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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1

735紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/11/24(火) 01:11:29
>>733

    「ま、『洗脳能力』っていうのはそういうものですからね」

人の精神を支配する。
それはたくさんの人を殺せる能力よりも、ずっとずっと恐ろしい能力だ。
加えてその能力発動の容易さは、法外と言ってもいいだろう。
文字通り『唾をつける』……それだけで、どんな人間であっても自在に操れる手駒にできる。
……いや、あるいは、『人以外』でさえも。
それはルンクスの死によって崩壊する支配だが……逆説、ルンクスが死ぬまでは支配が可能になるという事。
確かに、世界征服ということも非現実的な話ではあるまい。
それは恐ろしい話ではある。が――――

        「ですが、ええ」

     「後のことは、後の者に。
      成すべき事は、成すべき者に任せましょう」


――――それは、もはや『紫斜六』の手からは離れた物語だろう。


  「ハッキリ言って、私は『名探偵』――――それ以上でも、それ以下でも無いのですから」

『Q.E.D.(証明終わり)』。
そう言ってハンチング帽を深くかぶり直す。
今度こそ、『名探偵』の時間はおしまいだ。あとはお開き、続刊に乞うご期待。
交わった道は再び別の方向へ進む。あるいはまた、交差することもあるかもしれないが。
いずれにせよ――――シュレディンガーの猫の生死を語る機会は、また今度に。


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