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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1
632
:
『小角 宝梦は火種となる』
:2015/11/11(水) 23:40:04
>全員
レコーダーの青田の声は、全員に聞こえた。
だが、しっかりと聞こえたのは青田の声だけで、
その相手の声は、風の音に掻き消され、よく聞き取れなかった。
様子から察するに、フライス、スヴァルトとも
青田の声しか聞こえなかったようだ。
即ち、「青田がアーントと会話している」という情報だけが手に入り、
通信は途切れた。
>>624
(エイノー)
かすかに聞こえるアーントの声に気付き、青田に告げる。
ほどなく、レコーダーは沈黙した。
エイノーの警告が効いたのかもしれない。
ドギュ! シュバ!
『フィストフル』が接近し、スヴァルトの足を狙う。
だが、スヴァルトはいち早く足を引き、これを回避する。
そのスピードは、『フィストフル』にも等しい──
そしてゼロ距離からの『闘乾熱風』を想定していたエイノーは、
己がスタンド自身に異常を覚えた。
両肩の『カートリッジ』が破壊されている──いつのまにか。
ガ バ ッ !
プロフェッサー
「まだやり足りないってか・・・・『教授』?」
「待て、スヴァルト」
声音を落とすスヴァルトを制するフライス。
その間に、『フィストフル』は紫と愛川の二人を抱き、
小角のもとに合流させた。
愛川の状態は明らかによくないが・・・・
そこに高遠が近づいてくる。
>>629
(高遠)
高遠の脳裏を過る、『殺し屋』の怪物。
──この二人の圧力は、それに匹敵するものだ。
今、下手に動けば、間違いなく誰かが犠牲になる・・・・
エイノーが合流させた愛川の傍に寄り、
彼女の手を取る。
『踊り手』が代わり、愛川が意識のないまま立ち上がると同時に、
高遠はその場に崩れ落ちた。
折れた足に加え、体中が筋肉痛だ。まともに歩くことも出来ない・・・・
フライス:
「──それだ」
高遠の言葉に、フライスが興味を示した。
「誰もが小角を欲しがるが故、彼女の存在は『火種』になる。
それに・・・・問題は他にもある」
>>630
(青田)
急ぎ、『聴覚』の送信を止めたが、
ここまでの情報は流れてしまった。
果たして、このことが吉と出るか凶と出るか。
アーント:
「信頼を得る為には、まず与えよ、です」
にっこりと微笑む。
見る限りは、裏があるようには感じられない。
「それにフライスは、私を理解しています。
彼は、私の幼馴染ですから」
彼女が出すフライスという名前に、
ことさらに特別な雰囲気があるのは、これが理由らしい。
「『ヤング・ダイヤモンド』は組織ではありません。
互いに鎬を削る、ライバル同士。
スヴァルやルンクスの暴虐が許されるように、
私がこの町の住人と交流し、情報を出すことも許されます」
「仮に許されなくても──私は、誰にも負けません」
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