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【場】DIONモール その3
73
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/06(土) 22:56:03
>>72
(なんだこいつ……えひ、変なやつだな……)
「いいから……」
テーテー テテーテッテテー♪
「……」
『スス』
……音量を下げておく。
ヌグイ ヌグイ
そして、お手拭きで手の油をぬぐってから、自分のゲームに集中する。
(イヤホンもってくれば良かった……)
〜〜〜〜 一 分 後 〜〜〜〜
カチ カチカチ
がちゃがちゃ
「……」 チラ
(うわ……こいつスイーツ男子かよ……)
てっきり肉でも食うのかと思っていた。
ここでこんなとは……
「…………僕、マカロンとか嫌いなんだよな……
……先に言っとくけど甘いドーナツも嫌いだから……」
・ ・ ・微妙な空気だ。
「……僕くらいの年でも……
……皆そういうのが好きってわけじゃないしな……」
常識的に考えて、と言いそうになったが……別に悪いことされたわけでもない。
ここはこらえておいた。
「…………このシリーズ、好きなの……?」
ぽつりと、高天原の買ったソフトを見ながら言った。
74
:
高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』
:2015/06/07(日) 10:16:04
>>73
「あっ…… そ、そうなんスか…」
ガーンだな…。
しかもマカロンとドーナツで小麦粉がかぶってしまったぞ…。
「なんか……スイマセンッス」
ヒョイパク
謝りつつ、一口。
高天原としては、迷惑をかけた謝罪もかねてのつもりだった。
それが出来ないことへのもどかしさ…
気まずい空気が流れる…。
>「…………このシリーズ、好きなの……?」
「ン?」
OPが終わり、スタート画面で放置されているままのゲームを見やる。
「あー、知ったのは最近ッス。なんで、昔からのファンってワケじゃねーかも」
「一応、ナンバリングと派生作品は一通りやった、って感じかな」
ヒョイパクしながら、さらっと答える。
それなりにやり込んではいるらしい……。
75
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/07(日) 19:47:13
>>74
「……別に謝ることでもないだろ……状況的に考えて……」
「……僕の好み……
ドンピシャ完全クリアなら、逆に怖いしな。えひ。」
(こいつは僕のこと知らないっぽいからな……)
モッ モソ
ポテトを二本まとめて口に運ぶ。
恋姫はアイドルだが……メジャーではない。
知らないことは何ら不思議ではないし、恋姫もそう思う。
・・・ちなみに好物は卵粥と七味せんべいだ。
「……僕はあんま……このシリーズやってないんだよな……
……今回は評判良いから買ったけど……」
「…………お前的にはどう?
過去作も全買いした方がいい……? えひ、既プレイ者の意見が聞きたいとこ……」
恋姫はヘビーゲーマーだが、まだまだ若い。
古くから続くこのシリーズには、手を出せないでいたのだ。
76
:
高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』
:2015/06/07(日) 20:38:41
>>75
「や、子どもはみんな甘いもん好きだと思ってたぜ…
つって、俺もまだ19なんだけどさァーー。クレープとか」
……19の割りに、小柄だ。
声もそれほど低くはない。が、本人が19といえば19なのだろう。
そして… ゲームトークの予感!
確か『歴史あるRPGの新作』、だったはずだ。
「ンー… まず、当然ッスけどストーリーはシリーズで別々ッス。
『過去作をやってなきゃ分からない話』とかは、ほとんどないかな」
「もちろん、過去作ネタも少しはあるけど、システムとかはほぼ共通ッス。
それに新しい方が必ずしも面白い、ってモンでもないし……
あ、でも『全買い』はオススメしないかな。
大コケで炎上騒動にまで発展したやつも、中にはあるし……」
「『コレが楽しめたなら、他も試しに買ってみる』… くらいがイイんじゃね?」
総括的な感想を踏まえ、アドバイスする。
初対面相手に語るには、少しヘビー過ぎる内容か…?
77
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/07(日) 21:25:26
>>76
「そういうのは……『血液型占い』よりありえないだろ……
……いろんなやつがいていいじゃん……人それぞれ、個性ってやつぅ……?」
ビリ ビリ
ハンバーガーを包んでいた紙を手慰みに細かくちぎる。
「……えひ、個性派過ぎるのは……
アレだけどな。」
付け加えて、陰気に笑んだ。
恋姫は、その人生は、『個性派』だから。
そして。
コク
コク
(こいつけっこう語るな……えひ、ゲームなら間違って二回話しかけたくないやつ……)
恋姫は頷きつつ、話を聞く。
シリーズものだから、と敬遠していた部分もあったが、それは杞憂らしい。
「そうだな……やってみないことには分からないか……」
「まあ……ありがとな。」
結論には、同意した。
実際、それは無難というか――的を射たアドバイスだった。
78
:
高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』
:2015/06/07(日) 22:44:14
>>77
(……こ、この子もだいぶ個性的な子だ)
が、言うとおりだ。ヒョイパク。
そして―― 意外ッ! それは『感謝』!
クセの強い少女から、やや想定外の言葉が出てきて目を見開く。
「…まっ、礼言われるほどのことでもないッスよ」
「『詳しく知ってることほど、人に知識をひけらかしたくなる』っつーか」
ちょっとした意趣返しだ。そして…
「…その割に、ゲームのチョイスはお互い『正統派』ッスねェ」
「やっぱ個性も大事だけど、王道は外せない、つーか」
放置していたゲームを、ようやく手に取る。
79
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/07(日) 23:03:11
>>78
恋姫にとって個性は商品でもある。
個性がなければ生き残れないのだ……そして礼が言えなくても生き残れない。
「えひ、仕返しのつもりか……?
…………礼の言い損になっちゃったかな……」
「……まあ、その気持ちは分かるけどな。
僕も語れることは語りたくなるしな……」
モソ モソ
(……ふやけてるの多いな……)
「……ごちそうさま……」
そして、最後のポテトを食べ終えた。
これで全品、すっかり食べ終えたというわけだ。
(バーガー以外微妙……まあメインが良いなら良作か……?)
「……ほんとに好きなのはSTGなんだけどな……これは、まじ評判良いし……」
「王道あってこその邪道みたいなとこあるし……
……クソゲー引くのやだから、王道に走りがちってのもあるかも……?」
「……えひ。こんなふうに語っちゃうわけ……」
などと言いつつ、出していたゲーム機を自分のカバンの中にしまい込む。
……そろそろ帰る気でいるのだ。帰ってゲームをするのだ。
80
:
高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』
:2015/06/07(日) 23:11:01
>>79
「あっ、いや……イヤミのつもりはなかったんだ」
「気ぃ悪くしたんなら、今度こそゴメンッス…」
そしてSTGは違う畑だ。
が、王道云々には同意する。
「まあ、ワカンネーモンに手ェ出すよりも、
ある程度評判ある方が安心っちゃ安心だな」
そして、自分はこのままここで残るつもりだ。
「……気に入るとイイっすね、そのシリーズ」
席を立とうとする恋姫に、最後に言う。
81
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/07(日) 23:31:47
>>
82
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/07(日) 23:36:51
>>80
「えひ、別に気は悪くしてないって……」
陰気に笑いつつ、席を立つ。
そして。
「まあ……たまにするから冒険が楽しいのかもな……
RPGの世界に住んでるやつがRPGやっても面白くないだろうし……」
その場をいそいそと立ち去る。
もちろんだが、食べ終えたゴミととトレイをもって。
「…………どうかな。
気に入っちゃったら……散財しちゃうからな、えひひ。」
「おまえも、気にいるといいな……
……えひ、気にいったからってOP歌うのは、あれだけど……じゃあな。」
そう言い残して、その場を去る。
83
:
色摩京子『ゴッタ・ラヴ・イット』&『ジャックポット』
:2015/06/14(日) 01:27:19
「ヒクッ」
ちっこい女がDIONモール内のベンチに腰掛けている。
4階の『催事場』で開催されている『日本酒フェア』に行ってきたのだ。
日本各地の日本酒をちびちびと飲んできたわけなので、
まあそれなりに酩酊状態だ。
「い"や"ァ〜、
やっばり濁り酒… やッばいわあ !
ジューズみだいにいげるがら酔いがァ 回るゥ!
…ッであれ、『ジャッグポッド』いねーし!
おーい!ジャッグポッドさーん!どこですかー ッ !!」
「キョーコちゃんはごごですよー!
キャハハハハハハハ!!」
84
:
ようこそ、名無しの世界へ…
:2015/06/18(木) 21:03:10
>>83
去
85
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/20(土) 00:31:50
DIONモールのフードコート、ガラス扉で仕切られた向こう側の喫煙席。
3時を過ぎていかにもおやつ時ってタイミングで、私はズルズルとレモンスカッシュを啜っているんだ。
まあ時間も時間ってことで、フードコートはそれなりに混雑してるわけなんだけど、
禁煙席が満員で、喫煙席で言えば私の目の前の席しか空いていないって状況は、どうにも不自然かもしれないね。
次にお客さんが来るってんなら、必然私と『相席』ってことになるわけだ。
「ここまですると、結構疲れるんだよねえ」
なあんて呟いて、私は尚もズルズルと、レモンスカッシュを啜ってみるわけだ。
86
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/06/20(土) 22:20:46
>>85
「お姉さん、お疲れなのれす?」
首を傾げながら、青色のパーカーを羽織った少年が話しかけてきた。
丸い顔立ちに大きな瞳の、幼い顔立ちだ。赤と茶色のくせ毛を、ヘアピンでいくつも止めている。
その手のトレイには、ハンバーガーとポテト、シェイクが乗っており、どうやら席を探していたらしい。
「お向かいさん、いーっすか?」
少年はにこにこしながら訊ねてくる。
87
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/21(日) 01:24:48
>>86
「そ。もーヘトヘトって感じよ」
私に声を掛けるくせ毛の少年に目を向けて、その手に抱えたトレイを認めて、
私は私のレモンスカッシュを、手元にぐいと引き寄せて見せるんだ。
もともとテーブルの広さには十分余裕があったけど、
『そこ空けといたから好きに置きなよ』というジェスチャーの意味がほとんどってことだね。
「もちろんもちろん!
席はここっきゃ空いてないんだし、仕方ないよねえ」
私の『ワガママ』に巻き込んでしまったようなものだし、当然拒否するなんてことはできようはずもない。
なんというか、いかにも『元気!』って感じの男の子だ。
正直『使いすぎ』でぐったりと疲れていた所だし、
折角だからこんな子とお喋りするにも楽しいかもね、なあんて。
「お昼?それともおやつなのかな。
喫煙席して空いてなくって、なんかごめんねえ」
少年からすれば私が謝るのも変な話かもしれないけれど、
この状況自体が間違いなく私の意図したものなわけで、
それを考えるとやっぱり私は、謝っとくべきなのかなって思うんだよね。
私の左手には開かれた状態で、一冊の『時刻表』が納まっている。
それが『何らかの何か』であることに、この少年は気付くかもしれないし、まあ気付かないかも知れないよねえ。
88
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/06/21(日) 19:32:12
>>87
「ありがとーございますれす!」
お姉さんの快諾に、少年はぺこりと頭を下げた。
そして椅子を引いて、机の上にトレイを置くと、早速ハンバーガーにかぶりつく。
「むぐ、お昼ごはんっす!」
「んむ?お姉さんのせいじゃないれす、気にすることないっすよ!」
案の定、少女の意図は全く分からなかったようだ。
ハンバーガーを頬に入れたまま口を閉じ、ぶんぶんと首を振る。そしてゆっくりと咀嚼して
飲み込むと、ぴっ、と左手の時刻表を指差した。
「お姉さんが疲れてるのは、その難しそーな本を読んでるからっすか?とっても勉強家なのれす!」
89
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/22(月) 00:35:52
>>88
「そっかそっか。遅めのお昼って感じなんだね」
第一印象と外れず違わず、素直で元気な男の子で間違い無さそうだし、
私のせいじゃないなんて言ってくれる辺り、本当に優しくていい子なのかなって思うんだ。
ここ最近、私はどうにもツイてる感じがする。ラッキーじゃん。
だけど折角フォローして貰っておいて申し訳ないことに、
やっぱりこの状況は私のせいに決まっていて、
それはつまるところ、私がこの場の人間の『出たり入ったりするタイミング』を、
思う通り好き放題やって調整した結果ってことなんだよね。
それを可能にするのが私の『時刻表』で、この子が『それ』を指さしたってわけだ。
だから改めて確認してみる。こういう出会いはこれを数に入れても『二度目』の私だ。
慎重に過ぎるってこともないじゃんね?
「これは『読み物』じゃあないし、普通は『見えない』はずなんだけどね。
ばっちり『見えてる』っていう……そういうことで、いいのかな」
90
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/06/22(月) 00:46:34
>>89
「?」「フツーは見えない?なぞなぞれす?」
少女の言葉に、少年は再三首を傾げる。
上の方を見上げながら、じゅーっと音を立ててシェイクを啜っていく。
そして、ポンと手を打った。
「お姉さんのそれ、『スタンド』なんすね!」
と、そこで慌てて両手で自分の口を塞いだ。
「もごご…こういうのはあんまり大きな声で言っちゃいけないってヴァイお姉ちゃんが言ってたっす…」
91
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/22(月) 01:05:15
>>90
「ああ、『やっぱし』って感じだねえ。へへへ。」
なあんて、特に照れる理由はないのに照れ隠しみたいに笑ってみたりして、
改めて正面の男の子と、ばちっと目を合わせてみるんだ。
「『スタンド』って、いうんだっけ。
なんだかそんなようなことを、『刺青の人』が言ってたような、そうでもなかったような……」
なんにせよ、『おんなしような人』と会うのはこれで『二人目』だ。
正直なところ私はこないだの『おねーさん』に当たりを付けてたきらいがあるんだけれど、
何はともあれ結果が大事。前向きにお話してみようって思うんだ。
「そのさ、『お姉ちゃん』だったり、他のひとでもいいんだけどさ、
この……『スタンド』?っての?
みんながみんな持ってたり、するものなのかな」
「私はあんましさ、そういう知り合いっての、いないんだよね」
私には理由があるんだ。理由というか動機というか。
私は、『おんなしような知り合い』ってのを、増やさないといけないんだよ、ね。
92
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/06/22(月) 01:26:03
>>91
>「『スタンド』って、いうんだっけ。
> なんだかそんなようなことを、『刺青の人』が言ってたような、そうでもなかったような……」
そう訊ねる少女を、少年は口に手を当てたままじーっと見ている。
が、すぐに手を外して、にこっと笑顔を向けた。
「・・・・・」「うん!お姉さん、いい人そうれすし大丈夫すなー!」
「そうっす!心が見える形になったのが『スタンド』って言うらしいれす!
お姉さんも、『刺青師』のおじさんにやってもらったっすか?」
聞き返しながら、少年が中のシャツごとパーカーの裾をぺろーんと捲り上げる。
その白い胸元には、『アザミ』という植物の刺青が掘ってあった。
「ヴァイ姉ちゃんとか、スミシー兄ちゃんとか、リュウコ姉ちゃんとか、
意外といるのれす。普通の人と比べたら全然多くはないっすけど」
パーカーを戻しながら、こくこくと頷く。
「お姉さんは、この町に来たばかりなのれす?」
93
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/22(月) 01:38:11
>>92
「まるで『悪い人』でもいるみたいに言うんだね」
なんて言いつつ、くすりと笑ってみたりして。
「そそ。私も『刺青』入れてもらって、それ以来って感じなんだよね。
私のはきみのみたく、あんましカッコイイ奴じゃないんだけど」
かっこ良くも、可愛くもないんだよね。なんだか、人に見せるのは、どうにも憚られるんだよ。
しかし期せずして男の子の素肌を拝んでしまうあたり、
これは役得って奴なのかもしれないね。
『スタンド』いいじゃん。流石じゃん『スタンド』。
「お友達多いみたいで、なんだか羨ましいかも。
この町に住むようになったのは、そう、今年っからなんだよね。
実家が近いから、遊びに来たりはあったけど」
「きみはアレかな、おうちがこの辺、とか?」
94
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/06/22(月) 01:50:06
>>93
「ヴァイ姉ちゃんが言うには、やっぱり悪い人もいるみたいれす」
「あ!あとオイラも、わるーい『スタンド使い』に襲われたりもしたっすな。でもやっつけてやったのれす!」
グーにした両手をあげ、少女にドヤ顔を向ける。
「むむ、じゃあ見るのは遠慮しておくっす。ゆーくんは気遣いのできる男の子なのれす」
「でもお姉さんの、その本みたいなスタンドはかっちょいいっすよ!知的なおーらが漂ってるれす!」
知的なオーラが皆無な言葉をかけながら、少年はぐっと親指を突き出した。
「この町に来てからできたんれすよ〜。みんないい人たちばかりっす。
でもでも、お姉さんもいい人だから、きっと出会ったら友達になれるれす!」
「おうち…。うーん、育ったところはもっと遠いところだったっすな。
ちょっとこの町まで人探しに来てたのれす。今は通りすがりの
お姉さんとけーやくをして、そこに住まわせてもらってるっすよ!」
95
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/22(月) 02:08:58
>>94
「襲われたり、やっつけたりって……。や、凄いんだね。壮絶って感じ」
私が見たときある『スタンド』って言えば、私の『時刻表』ともうひとつっきりで、
どっちも『悪さ』だとか『襲う』だとかってお話とは無縁のシロモノだと思っていたから、
私は目の前の見るからに年下の男の子の発言に、正直少し、動揺しているんだよね。
「『かっちょいい』かあ……へへ。初めて言われたや。
なんだか嬉しいもんだねえ、ええと、『ゆーくん』でいいのかな」
そういえば名前のひとつも名乗っていないままだったと、今更ながら気付いたんだ。
私はこないだもこんな調子で、名探偵のおねーさんに自己紹介もせずに別れてしまったんだ。
今は彼女の名前を、私は一方的に知っているんだけれど。
「私は坂下というんだよ。『坂下 佳侑希(さかした かゆき)』。よろしくねえ」
しかし不用意なことを聞いてしまった気がして、自分の軽率さに目眩がする。
家庭に問題のない現代っ子なんて、いまどき絶滅してるに決まってるってのに。まずったなあ。
敢えて触れるのもわざとらしく避けるのもなんだか違うと思うけれど、こうなっちゃったらもう仕方ないよねえ。
「『人探し』? 誰か、探してるひとがいるってことだよね」
「もし良ければ、本当に『ゆーくん』さえ良ければなんだけど、
ひょっとすると私はそういうの、お手伝いできるかも、知れないんだよね」
誤魔化すつもりも無いけれど、私を『いい人』なんて言ってくれるこの子の対して、
私はお節介じみた善意みたいなものを、見せたくなっちゃったんだ。
96
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/06/22(月) 02:28:12
>>95
「『スタンド』は、フツーの人には見えないものっすからね。
悪用すれば危ない力にもなるので、悪い事を考える人がいるのれす!」
「でも大丈夫っす、そういう時はオイラたちが頑張るれすよ!」
少女の動揺を恐れか何かかと受け取ったのか、少年が力強く胸を張る。
あたかもニチアサのヒーローに憧れる子供のようだ。
「そうっす!卯月悠紀(うづきゆき)って言うのれす!
佳侑希姉ちゃんっすね、オイラとゆきゆき繋がりれすな!」
にこにこと屈託のない笑みを浮かべる悠紀。
が、その人探しをお手伝いできるかもしれない、と言われて、その表情がきょとんとしたものに変わった。
「・・・・・」
「えっと、でもケーサツさんが今も頑張って探してくれてるような人を、見つけられたりとかできるっすか?」
頭のネジが緩んでいそうな少年でも、自分で言っていた通り、多少の気遣いはできるらしい。
その『人探し』が、どういったものかを間接的に示す言葉を選んだ。
場の雰囲気が暗くなることを恐れているかのように。
97
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/22(月) 02:54:21
>>96
「たっのもしいなあ、ゆーくんは」
「いや、せっかく『ゆきゆき繋がり』ってんなら、へへへ。
『ゆきくん』って呼んだほうが素敵かもしれないね」
頼もしいって言ったのは、別に嘘でもお世辞でも調子合わせでもなくて、
素直にそう思ってしまったからなんだ。
だって悪者に立ち向かおうなんて、その為に頑張ろうなんて、
なんの衒いもなく言えるひとなんてそうそう居ないんじゃないのかな。
正しいことの為に頑張るのは本当に立派なことのはずなのに、
それを口にするのは、なんとも大変なことのように私は思うんだ。
だって私は、たとえ嘘でもお世辞でも調子合わせであっても、
初めて会った人にそこまで言ったりは、とても出来はしないんだよね。
だから、
「そっか。それはちょっと、その、おっかないお話、だよねえ」
小心者で小市民の私は、本当に申し訳なく卑怯なことだと思いつつも、尻込みしてしまうんだ。
自分で言い出しておいてまったくみっともなくも恥ずかしいことだと思うんだけれど。
「だけど、多分『できる』し」
あ、
「私にそれができなかったところで」
まずい。私は、余計なことを、
「それが『できる人』が――」
これは、赤の他人を巻き込む奴だ。でももう、その、ごめんなさい、
「『名探偵』が――この町には居て、実を言うと私は、今日はそのひとを待っていたんだ」
ごめんなさい『おねーさん』。
小心者で小市民の私の、申し訳なく卑怯でみっともなくも恥ずかしい見栄っ張りに、
巻き込んでしまうかも知れません。
『午後3時』。『DIONモールのフードコート』。『喫煙席』。『唯一の空席』。
私が私の『レイルウェイ・チルドレン』で作り上げたこのシチュエーションは、
私が奇妙な『名探偵』――『紫 斜六』さんと初めて出会った時の、まったくそのままの再現なんだ。
98
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/06/22(月) 22:32:35
>>97
>「だけど、多分『できる』し」
「・・・・・」「ほん、とう?」
じっ、と少年の丸い瞳が坂下を見つめる。限りないほどの期待が彼女へと込められているのが、はっきりと分かる。
先ほどまでの陽気な雰囲気は消え、ただ幼くも、真剣な意思を真っ直ぐに向けていた。
>「私にそれができなかったところで」
『コク』
>「それが『できる人』が――」
『コクコク』
>「『名探偵』が――この町には居て、実を言うと私は、今日はそのひとを待っていたんだ」
「…名探偵、さん。すごい」
そうして坂下の紡ぐ言葉に、間に頷きを入れながら、ますます卯月の期待値は上がる。
今にも机の上に身を乗り出さんばかりに、坂下へと詰め寄った。
「佳侑希お姉ちゃん、そいつを見つけるために、ボクは何をすればいいかな。ね、なんでも言ってよ」
99
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/22(月) 23:46:14
>>98
さあって、ここからだ。
大見得を切って乗り掛かってしまった船だし勿論降りる気はないけれど、
じゃあ具体的にどうするかっていうと、幾つか越えなきゃいけないハードルがあるはずなんだ。
「ええっとねえ」
少し、考える。
私は別に名探偵でも探偵でもないから人探しのセオリーなんて知ったことじゃないし、
だけど知らないなりに曲がりなりに真似事をやってみせる必要があって、
多分一番最初にすべきなのは、
「まずは『そのひと』のこと、もちろん話せる範囲で構わないんだけど、
できるだけ詳しく、教えて欲しいんだよね」
こういう感じ?
「名前が分かると、だいぶ楽になってくるんだけど」
今日偶然初めて会った男の子の、恐らくナイーブな内面に触れてまで、
そこまでして私が探偵ごっこをする必要が本当にあるかは分からないけど、
でも差し当たってとりあえず、この子のぴかぴかした目を裏切るようなことは、避けたいんだよね。
100
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/06/23(火) 00:22:48
>>99
「・・・・・」
『その人』のことを教えて、と言われて、卯月は思わず俯いた。
自分の知る情報が、あまりに少ないから。解決の糸口になるとは思えなかった。
それでも、ここで万が一にも手がかりが得られるのならば。藁にもすがる気持ちでゆっくりと言葉を出す。
「…多分、今思えば『スタンド使い』だったんだと思う。殺された『孤児院』のみんなは、
無事だったんだけど、無事じゃなかったから。みんな、体のどこかが他の誰かと
入れ違って、くっついてた。だから、誰が本当は誰だったのか、わからなかった」
「去年のこと。ボクはたまたまお買い物に出かけてたから、わからない。
やった人間がいくつで、男なのか女なのかとか、全然わかんないんだ」
「でも、この町はスタンド使いが多いから、同じような事件に出会えるんじゃないかなって思って」
101
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/23(火) 01:04:56
>>100
やっばいなあ。
人死にはちょっと予想外というか予想以上というか、
一度に受け止めるにはちょっと重たいお話で、
私は氷が溶けてすっかり薄まってしまったレモンスカッシュを一口、ごくりと飲み込んでみるんだ。
『殺された』『孤児院のみんな』『体のどこかが』『入れ違ってくっついて』『スタンド使い』
ごくり。
殆ど水になってしまったドリンクと一緒に受け止めた言葉を飲み込んだ。
飲み込めた。おっけい大丈夫。大丈夫だと、思う。
「嘘はつけないからさ」
卑怯な私は卑怯な前置きをする。
「今のお話聞いた感じ、絶対大丈夫、私が見つけてみせる、なんて断言はちょっとできないんだけれど」
私の左手に握られた手のひらサイズの予知能力、まがい物の運命、『レイルウェイ』の能力で、
見事即座に解決ってわけにはどうやら行かなさそうで、そうなると私はやっぱり、
あの居合の達人の彼女に、お願いをしてみる必要がありそうだ。
「だけど、できるだけやれるだけ、やってみよっか。
三人寄ればって奴じゃないけどさ、名探偵の人にも相談してみるし」
実は『殺人犯』を探す為に『名探偵』を探す、というところから始まるんだけれど。
名刺の一つでも貰っておけば良かったなと今更になって後悔するよ。
名前で検索したらウェブサイトとか出てこない?駄目?どうしても?
「本当は一発で解決できれば、カッコ良かったんだけどねえ」
なんて言って、へらりと笑ってみせるんだ。
笑ってでもみせないと、一歩でも後ろに退いてしまうと、
話題の重さで空気の重さで、私なんかぺちゃんこに潰れちゃいかねないから。
102
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/06/23(火) 01:57:13
>>101
>「今のお話聞いた感じ、絶対大丈夫、私が見つけてみせる、なんて断言はちょっとできないんだけれど」
「…うん」
その通りだと思う。犯人のデータは一切なく、犯行に使われた凶器だけが頼り。
幸いにもその凶器はそいつしか持っていないオンリーワンだけれど、
再びそいつが犯行を繰り返さなければ、探しようもない。
『スタンド』でも、できることとできないことはある。
実際に過去に戻って現場を見られるスタンドでもなければ、こんな情報だけで犯人を特定できるはずがない。
でも。
>「だけど、できるだけやれるだけ、やってみよっか。
> 三人寄ればって奴じゃないけどさ、名探偵の人にも相談してみるし」
「・・・・・!」
その言葉を聞いた途端に、表情がぱあっと明るくなる。
まだ、可能性が途切れていない。それだけでも希望はある。
希望がなくても、どちらにしてもやるしかないけれど、希望はあるに越したことはないのだから。
>「本当は一発で解決できれば、カッコ良かったんだけどねえ」
「ううん、そう言ってくれるだけでもとっても嬉しかったよ」
「それに、見つかる可能性は今までよりいっぱい増えたから」
少女の心遣いに、首を振る。
そしてまだ暖かいポテトをつまむと、坂下へと差し出した。
「はい、これは相談に乗ってくれたお礼れす!」
103
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/23(火) 02:36:00
>>102
大見得を切った割りには実際問題何一つ解決できない自分の無力さが、
ちょっとばかし、わりと、結構、情けなくなるね。
年下の男の子に、気を遣わせてしまった、と思ったんだ。
これじゃあまるっきり立場が逆っていうか、
本当に余計なお世話だったんじゃないかと不安になる部分もあったりして。
ただ、私は目の前の男の子の表情と、
お礼と言って差し出されたポテトを見て、ええと、なんて言うんだろね、
とにかく、
「へへへ」
笑うべきだと思ったんだ。
「ゆきくんは気前がいいね。いい男だね。
遠慮無く頂いちゃうけれど」
差し出されたポテトをひょいっと受け取って、
代わりとばかりに私は私の連絡先を教えてあげるんだ。
行間で電話番号とメールアドレスとLINEのIDが一瞬の内に彼に伝わることになる。
「ちょっと気前良すぎかも。もらいすぎちゃった感じがするよ。
お釣りは出ないけど、もらっちゃった分はさ、追々お返しして行くからね」
何もポテトを返そうってつもりはなくて、
ただ、私は彼に、多少なりとも報いなきゃいけないような、そんな気がしているんだよ。
そこまで言って私は、席を立つ。
「それじゃあ早速初めてみよっかな。人探し。
名探偵さんがすぐに捕まるといいんだけど」
104
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/06/23(火) 02:57:11
>>103
「にゃははっ」
えへへ、と笑う坂本を見て、卯月もつられたように笑う。
『お姉ちゃん』とはタイプが違うけれど、なんだかこの表情も、安心できるなぁと少年は思った。
そしてポケットからスマホを取り出すと、卯月は慣れない手つきで坂下の連絡先を登録する。
「いいのれす。いい男は見返りを求めないって、お姉ちゃんも言っていたっすから!」
坂下の言葉に元気よく返しつつ、卯月も同じく立ち上がった。
その『名探偵さん』の特徴は、先ほど訊いていた。それに、
実際に仕事で探偵のような、そういうことをしている人は多くない。
少なくとも『殺人犯』を探すよりは、ずっとずっと簡単なはず。
「じゃあ、オイラは町の方を探してくるっす!」
「佳侑希姉ちゃん、今日はありがとうございましたれす!」
空になったトレイを両手で持ちながら、勢いよく頭を下げた。
105
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/23(火) 02:59:49
>>104
106
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/23(火) 03:05:34
>>105
(途中送信です。失礼しました)
>>104
「それじゃ、連絡は都度取っていく感じで」
初めて会った男の子と連絡先を交換するっていうのは、
多分この子が、ゆきくんが本当にいい子だから成立するお話で、
だからやっぱり私ってば、かなりツイてる方なんだと思うんだ。
「こっちこそ、なんだかありがとねえ。
また近いうちに、会えるといいね」
なんて言って、受け取ったポテトを一本咥えてみせる。
タバコの一つも吸えればこんなときカッコ付くのかもしれないけど、
お酒タバコはハタチから。私とはまだ無縁のアイテムなんだ。
「そいじゃあ、また、ね」
ばいばい、と手をぐーぱーして、お別れの挨拶をしてみせる。
何もなければ私はこのままフードコートを立ち去って、
町へと繰り出すことになるね。
107
:
卯月悠紀『S・S・I・S』
:2015/06/23(火) 03:24:59
>>106
「きっとまたすぐに会えるっすよ!」
特に根拠はないけれど、いつものように自信たっぷりに、卯月は言う。
良いことは、はっきりと口にする。少しでも、それが叶うように。
「だから佳侑希姉ちゃん、また今度れす!ばいばーいっ」
坂下の去り際に、卯月も両手でぐーぱー、ぐーぱーと挨拶を返す。
にこにこと微笑みながら、坂下の背中を、視界から外れるまで見ていた。
そしてトレイを片付けると、パーカーのフードをすっぽり被る。
「…お姉ちゃん、今日はとってもいい人に出会えたよ」
「うん、ひょっとしたら、アイツももうすぐ見つかるかもしれないね」
「えへへ。だから楽しみに待っててね、お姉ちゃん」
何かに語りかけるように一人呟きながら、卯月もまた、フードコートを後にした。
108
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2015/06/23(火) 19:19:34
>>107
さて、フードコートを背にて歩く私は、ちょっとした考え事をしていたんだ。
なに考えるかって言えばそれは、一体全体私って奴はどうして、
こんならしくもないお節介を焼き始めてしまったんだろうって事なんだけど。
「ままならないって言うかさあ」
考えるまでもなく答えは出ていて、つまるところ私は、
誰かを助けたり、手伝ったり、そうでなくってもせめてなにかっしら、
動き出さずには居られなくなっちゃったんだよね。
「まったくイヤになっちゃうんだけどさ」
だって私じゃ、これまでみたく何をするでも誰に会うでもなく燻ぶってるような私じゃあ、
なんだか恥ずかしくってみっともなくって、あの子に合わせる顔がないんじゃないかって思うんだ。
これでもかってくらい大勢の人に囲まれて、それでも物怖じするでもなく、
むしろより一層ぴかぴか光って見せたあの子の、『湖のあの子』の隣に、
今のまんまの私じゃあ、ちょっと居られそうにないって思うんだよね。
だから、
「好きなひとができると、欲張りになるね」
だから、まずはここから始める。
しーゆー。
109
:
久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』
:2015/06/26(金) 01:12:49
「にんじんさん、たまねぎさん、牛スネさん、牛スジさん……それからそれから、必要なのは…」
巫女装束に狐のお面を阿弥陀被りにしたいつもの格好で、買い物籠に次々食品を入れていく。
「そう………大きいエビさんも必要ですねっ!」
110
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/26(金) 01:34:30
>>109
ビクッ
「うおっ……」
(なんっだあれ……
コスか? 気合入りすぎだろ……)
その様子を見て固まる、黒髪ロング、桜色の瞳の、人形の様な少女。
服装は黒いぶかぶかのパーカーに、ショートパンツ。
「……」
ゴソ
そちらに視線はむけたまま。
かごに、お徳用の『おこげせんべい』を放り込む。
111
:
久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』
:2015/06/26(金) 04:35:42
>>110
「はい、君、マンゴーさんも必要ですよっ」
野菜売り場では、あまり熟れすぎていない、まだちょっと固めなくらいのマンゴーをチョイス。
いい香りもしすぎると逆にNG。だって今回はそれ単体を食べるわけじゃないし。
キラッ
キラッ
踊るような足取り。その周りはちょっと光って見える…?
視線には気づいていないようだ。と、言うより、視線を浴びることに慣れているもの独特の鷹揚さを感じる。
アイドル
そう、例えば『偶像』、のように。
112
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/26(金) 21:28:21
>>111
キラッ
キラッ
「……?」
(なんだあいつ……
アニメみたいにキラキラさせやがって……つーか)
(イメージとかじゃないよな……
えひ、現実的にありえん……
……なんかの撮影か? ……アイドル?)
かごを持ったまま柱に寄りかかる。
ス ス
「…………」
(ググっても出てこん……でも、素人って雰囲気じゃない……
……巫女コスアイドルってわけじゃないのか……?)
なんとなく目が離せず、視線は『巫女』に向けたまま。
スマホで『アイドル 巫女 』と検索したが、それらしいのは見つからない……何者だろう?
ノソ
「……ここ、コスプレ広場じゃないんだが…………それ私服?」
怠慢な動きで『巫女』に歩み寄る。
113
:
久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』
:2015/06/26(金) 23:08:57
>>112
「ふむっ………後は何が要りますかね。
………イカ?丸ごとの?ああ、成るほど………………えっ?そうですよ?」
あらかた放り込み終えると、考え込む。いつもの材料は抑えた。後は何か一工夫欲しいところ。
……と、そこに声をかけられて、足が止まった。
弾けていた淡いキラメキが、収まっていく──
マニョ
マニョ
収まっていく──のは、いいのだが。
今までやたらと目立つ服装に、ルックスに、そして特にそのキラメキが収まっていく、そのせいで。
ムル
ムル
おかげで否応なく、『それ』が目に入る。 ..........
『狐面の巫女』の真後ろに(そう、それこそ『背後霊』のように)、『傍に立つもの』が。
見えているのに口で説明しろと言われると難しい、強いて言えば頭足類にも似た、名状しがたい『それ』。
「現職です。ああいえ、正確には見習いと言うか。次期跡取りなんですけど。
……ちょっとでも目立つ格好しておけば、参拝客も増えるかなって…………。
ほら、今時珍しいものって、すぐSNSに画像が投稿されたり、検索されたりするじゃないですか」
…実際恋姫も、調べてしまった、気になってしまった。まんまと引っかかったと言える。納得だ。
これで『それ』さえ無ければ、なるほどそうなんだー、で終わった話なのだが………。
114
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/26(金) 23:25:54
>>113
「……あ、そ…………
本物の巫女ってわけ――――」
ムル
ムル
「…………うおっ……!?」
オォォォ……
反射的に、恋姫は己のヴィジョンを背後に発現する。
ペスト医師めいた、黒衣の人型。各部から漏れ出す青色の焔。
「…………な、なるほどな……」
やや後ろに下がる。
その――『名状しがたい』ヴィジョンには、言いようのない恐怖感を覚える。
「……布教もデジタルの時代か……えひ、まんまとステマされちゃった……」
「いっそ……生主でもやればいいんじゃね……?
…………その、後ろの……で、アカBANされちゃうかもだが……えひ。」
恐らくスタンドなのだろうが……何か、異質というか。
陰気な笑みを浮かべつつ、警戒する。
115
:
久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』
:2015/06/26(金) 23:51:17
>>114
「そうです!
そしてこういう地道な活動のおかげか、最近はお店の人にちょっとおまけしてもらえるくらいにはなりましたよ!」
拳をぐっと握り締めつつ熱弁。
その纏った『偶像性』はともかく、根は小市民丸出しだった。
………それは単に、店の親父の助平心なんじゃないかと言う気もしなくはないが。
「??どうかしましたか?あっ…………」
《然り。こやつもよ。矢張りこの町は『多い』…………》
慌てて退く恋姫の背後に浮ぶものに声を上げ、何かを察するのと、『それ』が喋ったのは同時だった。
それは遠くに近くに、奇妙なエコーと共に、まるで深い水底から浮んでくるような響き。
「生主ですか…………ふむっ。
ああ、大丈夫ですよ。『神様』は普通の人には見えませんから……というか映るんでしょうか?」
《………それが『力』によるものならば、映るも映らぬも儂の自由よ。何の変哲もないカメラには映らぬ。
それはそれとして『生主』とは何じゃ?神主のようなものか?》
水面に垂らした墨みたいに、シルエットが不定形にうねり、蠢く『それ』を、『狐面の巫女』は『神様』と認識しているようだ。
ヌル
ヌル
コズミックホラー
…どう見ても『宇宙的恐怖』だけど(確かにそれも『神様』のようなものではあるが)。
116
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/27(土) 00:10:13
>>115
「……えひ、巫女ってより、アイドルみたいだな……ほんと。
あ、でも……ある意味、お布施みたいなもんか……えひ、貢ぎ物ってよりは……」
見た目も華やかだし。
まあともかく。
(……神様っても、性質はスタンドと同じ……か?
……まあ、レオのスタンドとかと似たようなもんだろ、たぶん……)
自立型スタンド、ということ。
もっとも半自立と完全自立は違うが。
「……えひ。
神様っても全知全能じゃないのか……」
「……生主ってのは……
動画サイトで生放送する人のコト……ネットのアイドル……みたいな?
……映らないなら、ホラー配信にならずに済むし……いいんじゃないの……」
やや物怖じしつつも、茶化しまじりに説明する。
……話は通じて、それがスタンドなら、まあ、問題はない……はず。
ゾ
(ホントにスタンドなら、だがな……)
「そういや……さっきのキラキラは神様の能力……か?」
多分そうなのだろうが、なんとなく気になる。
117
:
久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』
:2015/06/27(土) 21:14:39
>>116
「ええまあ、残念ながら。 アイドル
信仰を失ってる間に、そのう、何て言いますか…ほら、落ち目の『偶像』から社会的影響力が無くなるのと一緒で…力が…」
《……『神』と言うのも人気商売、さりとて寄代も誰でも良いと言う訳でもない故な。ここ暫く現世からは遠ざかっておったのじゃ。
ほう…………なるほどのう、直に会わずとも、不特定多数の人間に語りかけることができるのじゃな》
ニョニョニョニョニョニョニョ
恋姫の説明に、『神様』はどうやら興味津々らしく(?)、体表が虹色に波打っている。
《『巫女』や、どうじゃ。これを使わぬ手は無かろう?》
「う、うう〜〜ん、ネットは扱いが難しいんですよ…不特定多数を簡単に『信者』に出来るかも知れませんが、反感買うと一気に炎上ですし…。
場合によっては『世界』に届いちゃいますからね………………」
反面『巫女』は慎重な姿勢でいるようだ。ある意味きちんと脅威度を理解しているとも言える。
そしてあの『キラメキ』について問われると、二人そろって少し考え込み、言葉を選びながら答えた。
《そうとも言えるが、そうとも言えぬ。あれは儂が『巫女』に貸し与えた『力』の一つ也。故に今は、あれは『巫女』の『能力』よ》
「人智を越えた『力』を与える………それが『神様』の能力なんですよ。
もちろん、然るべき『対価』は支払ってもらいますし、然るべき『試練』も課せられますけど」
118
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/27(土) 23:01:38
>>117
「……なるほどな……神様の世界もシビアか……えひ、握手券付けるわけにもだしな……」
(……こいつ……まじで神なのか……?
スタンドなんてのがあるんだし、おかしくはないのか……)
聞いている限り、普通のスタンドではないのは確からしい。
……そーいう設定ってだけかもしれないが。いやどうだろう。
「……えひ。
まあ、宗教ネタはどこでも荒れるからな……
布教顔出し生放送とか考えただけで……おおこわ……」
政治と宗教と野球はまずい。炎上で済めばいいが……
まあ、それよりも……だ。
「…………力を与える……?
……スタンド能力を、ってことか……?」
「……えひ、それ……いいの? オフレコじゃなくて。……狙われる案件じゃね……?」
力の与え手ともなれば、その身を狙うものも多かろう。
もっとも、対抗する力を持っているのかもしれないが……
「まあ、僕はもう持ってるからあんま関係ないけど……
……つーか、神の試練ってめっちゃヤバそう……えひ。」
対価ってのも気になるが。
やはり供物なのだろうか? 生贄とかじゃなければいいが。
119
:
久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』
:2015/06/28(日) 01:44:13
>>118
《その例えで言うなれば、『巫女』が儂の握手券とも言えるかのう。
『巫女』は現世における儂の『代理人』。『巫女』目当てに『信仰』が集まれば、儂の『力』もまた戻る》
『握手券』目当てに『DVD』が売れれば、事務所に金が入る…と、言ったところか。
案外シビアで、俗っぽい話だが…。
「まあ、私の……私たちの『布教』は宗教色は無いので、そっちの心配はあんまり無いんですよっ。
仮に生主をやるにしても、いわゆるお説教したりとかはしないでしょうね」
『生食用』のシールの貼られたスルメイカ、その中で一番ぷくぷくに身が太ったのを、買い物籠の中に入れ…かけて、手を止める。
《なんじゃ『巫女』や、買わぬのか》
「確かにこのスルメイカさんもいいんですけど、やっぱりアオリイカさんを使いたいんですよね…!なので、帰った後に釣りに行きます!
……何の話でしたっけ、ああ、そうです、ただでもゼロからじゃありません。既に力あるものに、『新たな力』か『今のその先の力』を与えるだけです」
《釣れなんだらどうするつもりじゃ。またここに買いに来るのか?
娘よ、『力』を得るには『対価』と『試練』以前に『習熟』と、何より儂と『波長』が合わねばならぬ。そうそう簡単には与えれぬよ》
『神様』の言葉に、イカを手に迷う『巫女』。ある種神々しさとは無縁のシュールな光景だ。
「ヤバいと言うより結構大変ですよ。
私の『神様』は『いくさ神』らしいので………『武』を奉納しなくちゃいけないんです。つまり何かと戦って、己がその力を得るに相応しい存在であることを示さないといけません。
………やっぱり買っておきましょうか、もし釣れたら釣れたで、その時はスルメイカさんは別の何かに使いましょう」
120
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/28(日) 22:54:25
>>119
「……そんなもんか……アイドルとそんな変わらないかもな。えひ。」
(……ファンのことも信者っていうしな…………)
・ ・ ・ともかく。
「…………んで……つまりパワーアップか……
僕のなら……えひ、レーザーにでも変わったりすんのかな……」
夢は膨らむ。
「……習熟……経験値みたいな……?
リアルで『レベリング』とか………………いや、ボス狩り……?」
「……まあ、そういうのは……めんどそうだな。僕にはご縁がないってことで一つ。
えひ、僕はあそびにんみたいなもんだし…………覚醒イベは勇者様にお任せだ。」
……が、今より強い力は、少なくともまだいらない。
恋姫は戦士じゃないし、『ブルー・サンシャイン』はいい『自機』だ。
「…………つーか、これ全然関係ないけどさ……
……マンゴーとイカって……なにつくんの……? 料理スキル無いからわからん……」
(つーか釣りとか……まじ本格的だなこいつ……
……たぶん、ゲームでしかやったことないんだよな……イカって釣れるのか……?)
だから話題を切り替えた。
目の前の巫女の買い物……おそらく料理の具材なのだろうが……
121
:
久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』
:2015/06/29(月) 02:25:33
>>120
「そもそも『アイドル』と言う言葉自体、『偶像』、つまり『神様の代わりの崇拝対象』っていう意味ですからねっ」
《然り。正しく『巫女』は我が『偶像』よ》
歩きながら会話を続ける…次の目的地は『お菓子売り場』だ。
キラ
キラ
動き出すや、あの『キラメキ』が、小さくではあるが弾けて踊る。
「そんな所です、シューティングゲームで例えれば、弾がレーザーになるか、オプションがつくか…と言ったところですっ。
これですか?カレーライスですよ。『エビフライ』か『イカリング』がトッピングの。
ええと…ああ、これこれ、これを切らしてたんですよね」
売り場につくと、青い、小さな箱を………『M永のコーヒーキャラメル』を手に取った。
「ニンジンさんとタマネギさん、牛スネさんと牛スジさんを具にして、ルーを入れた後、焦がさないように軽く炒ったエビさんの頭を入れるんです。
エビさんの頭は、殻自体からも出汁が出ますし、エビミソが隠し味になるんですよ。そこに今回はイカさんのワタも入れてみようかなと。
マンゴーさんは『チャツネ』って言う、まあスパイス入りのジャムみたいなのにして、これもちょっとだけ隠し味に加えます。
コーヒーキャラメルさんも少しだけ。細かく削って入れると美味しくなるんですよっ」
122
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/29(月) 02:53:51
>>121
「……えひ。まあな……
巫女さまはアイドルのご先祖様ってとこか……?」
(…………じゃあ、プロデューサーが神か?
……えひ、そういうわけじゃないわな……)
意外な接点ってとこだろうか。
お菓子売り場には用があるので、ついていく。
キラ
キラ
(うお……またキラキラしてる……)
「……これはアレか……パッシブ?
……オンオフ設定とか無いやつ……?」
なんだか妙に気になるのだ。
まあともかく、自分用ではないお菓子を適当にかごに入れる。
「えひ。わかりやすい説明おつ……
……カレー? ああ、言われてみりゃそれっぽ…………は? キャラメル?」
疑問に思ったが――
「…………えひ、ほんっとぉ……わかりやすい説明おつ。
つーか……めっちゃ本格的だな。メシテロされたわ……えひひ。」
すぐに説明してくれやがった。おかげで、なんだかお腹が減ってきた。
恋姫としてはお菓子も買ったし、そろそろ帰ってもいい。
「……なんか食って帰ろうかな……
……お前はまだ買い物すんの……?」
123
:
久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』
:2015/06/29(月) 03:28:27
>>122
「…?
ああ!『神様』から貸して貰った、『力』のうちの一つなんです、これ。
『神様』から『どう動けば無駄がない』か、それを教えてもらうことで私は素早く!華麗に!そして無駄が無い故に美しく!動くことができるんです。
……ただほら、緊急時には聞いてから動くんじゃ、遅いかも知れないじゃないですか。
ですからそうですね……2年前くらいからずっと聞き続けて、無意識レベル、条件反射レベルで動けるように鍛錬してるんですよ。
起きてる時は基本常にオン状態で、意識してオフにする時もある、っていう感じですね」
フッ
キラメキが消えた。途端に、感じていた『妙に気になる』感じも薄れていく。
「マンゴーさんは半分は『チャツネ』にして、残りは細切りにしてサラダに入れちゃってもいいですねっ。
…ふふふ、うちの神社、跡継ぎは神官だけじゃなく、料理人としても一流でなくてはいけないので。これも修行のうちですよ」
恋姫の問いに、小首を傾げて考え込んだ。
「そうですねっ…買い物はさておき、もう少しお話もしたいですけど」
会ったばかり、まだ言葉を少し交わしただけの恋姫に、屈託の無い、そしてちょっと申し訳なさそうな笑顔をする。
「一度帰って釣りに行くとなると、あまりのんびりもしていられないみたいです。
…もし良ければ、いつかうちに遊びに来てください。季節のお茶菓子くらいならご馳走しますからっ」
124
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/06/29(月) 05:31:19
>>123
「……なるほどな……そーいう感じか……
スキルってよりか……お前が自機で神様がプレイヤーってやつ……」
合点がいった。消えたきらめき。
気になる気持ちも、なぜか消えていた。
「……巫女+料理人か……両方マスターすんのきつそうだな……
まあアレか、メシマズ属性とか誰得だし……メシウマ巫女、すげえ人気でそう……えひ。」
(……僕も料理、練習してみるか……?
…………えひ、キャラに合わないかな……)
まあ、アイドルも巫女も、老若男女、料理が上手いとか……技があるのはいいことだ。
そして。
「…………おう、気向いたら行く。
神社なら……お呼ばれしてもスキャンダルとかもないだろうしな、えひ。」
陰気な――しかし、どこか嬉し気な笑みを返す。
「……んじゃ、ばいばい……
お茶菓子は甘すぎないやつでよろしく……」
いまいち頼りにならない口約束だけして、レジの方へ去った。
125
:
久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』
:2015/06/30(火) 03:29:08
>>124
「まあそこはそれ、私には他にもまだまだ、『神様』の『ご加護』がありますから。
はい、是非に。湖のほとりにある『御蔵神社』に、遊びに来てください」
んふふ、と得意げに笑って別れる。
「さて、何を準備しましょうか。
水饅頭?葛餅?冷やし汁粉に梅ゼリー、カキ氷なんかも定番ですし……」
《儂は心太がいいのぉ》
「もう、何言ってるんですか…『神様』は食べれないでしょう」
キラ
キラ
ほとんど孫と祖父な会話を交わしつつ、買い物籠を片手に今度はスパイスコーナーへと向かっていった。
126
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/01(水) 21:59:03
「そろそろハチミツが切れそうだから……買っておかないと、ですねぇ〜〜〜〜」
食品売り場で歩いているさなぎ。
「服はまだ大丈夫だとして〜〜〜〜……
ペットショップやゲームセンターを見に行くのも悪くないかもしれません〜〜〜。
蝶々さんはいないと思いますけど……ゲームセンターにそういうグッズはあるかもしれませんしぃ〜〜〜」
レンゲのハチミツを籠に入れながら独り言をつぶやいている。
127
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/01(水) 23:25:03
>>126
「ラララ今日もおつかい〜〜〜♪
レレレレンゲのハチミツ〜〜〜♪」
「あ゙ッ」
とかバカな歌を口ずさんどる間に
レンゲのラスイチ(最後のいっこ)を目の前でカゴに入れられたァ!
「あっ……あァ〜〜〜〜〜〜」 ↓↓
シオシオ…
横からやってきた年下とおぼしきノンキ少年(志染より背が低い)が、
志染の様子を見て露骨にシオシオしている。
128
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/01(水) 23:36:24
>>127
「え〜〜〜〜〜〜〜っとぉ……」
露骨に萎れている少年の姿が目に入る。
「どう……なさいましたぁ?
羽化したばかりの蝶々みたいにしょぼくれて……
お腹でも痛いのかなぁ……?」
レンゲのハチミツラス1を取ってしまったという事実を知ってか知らずか、
さなぎはその少年に心配そうに話しかけるのであった。
129
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/01(水) 23:52:13
>>128
「あ」
フワァ〜〜〜っ
ショックで床に手をつくほどシオシオしていると、
落ち込んだ視界に長くキレイな純白色の髪がフワリと入ってきて、
思わず顔を上げる。
「あッ、え、えーっと……すっごく綺麗な髪……
じゃなくって、そのォ……」
ゆっくり立ち上がるパイナップル頭の少年。
志染のカゴの中身をチラチラ見つつ、
何か言い出しにくそうにもじもじしている。
「羽化したばかりの……? (すごい例えセンスの人だ)
あ、や、なんでもないです。こういうのは早いもの勝ちですから……」
カゴの中にはとったばかりのレンゲのハチミツ、つまりはそういうことだろう。
久染はまだちょっとシオシオしているが、
志染の綺麗な髪パワーによってかなんでかちょっと潤いが戻ってきた様子だ。
130
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/02(木) 00:11:34
>>129
「綺麗な髪? ありがとうございますぅ、よく言われるんですよぉ〜〜〜〜〜〜
カイコガの繭……。シルクみたいだって」
本人的にも『チャームポイント』らしい。
「早い者勝ち……ああ!
そっか、あなたもこの『レンゲのハチミツ』を狙っていたんですねぇ〜〜〜〜」
ふむふむ、と納得したように頷く。
「うふふ……まぁ、今回は運が悪かったですねぇ〜〜〜〜〜。
あなたの言うとおり早い者勝ちですし……次は買えると良いですねぇ
では、縁があったらまた会いましょう〜〜〜〜〜」
そんなことを言い残し、立ち去……
……………
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜……。
流石に心が毒蛾に刺された気分ですよぉ……」
と思いきや3歩くらいで引き返してきた。
良心の呵責というやつか。
「あのまますんなりレジまで直行できればよかったんですけど……。
私ったらカイコガ並みに意志が弱いですね……
仕方ありません、話し合いましょう〜〜〜〜〜。
私は『自分が食べる』ためにこのハチミツを買うつもりなんですけど、
あなたはどうしてこれが必要なんです〜〜〜?」
どうやら『お人よし』な一面があるらしく、
『理由次第では譲ることもやぶさかではない』ような口ぶりだ。
おそらくさっきの『心が毒蛾に刺された気分』は『心が痛む』みたいな意味なのだろう。
131
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/02(木) 00:25:25
>>130
「え、えっと、すみません
出し抜けにそんなこと言っちゃっ……カイコガ?」
「心が毒蛾?」
なんかその妖精的な見た目に負けず劣らず、
中身もそーとー『ポエティック』な人なようだぞ。
しかしその濃いキャラクター、決して久染はキライではなかった。
(マンガ家志望の彼は『濃い人』を見るとワクワクして、
インスピレーションがムンムン湧いてくるのだ)
右手に抱えたスケッチブックを今にも開きたくなっている。
「い、いえいえそんなお気になさらず……
本当に……。誰が悪いってわけでもないんですから、
あ、ではでは…………」
「…………
……………………
戻ってきた」
なんだろう、すごくいい人っぽいぞこの人……。
どうしよ。
『母の病気を直すのに必要なんですゥ!』とか
『妹のきっと最期になる食事、せめて大好きなレンゲのハチミツを!』とか
言えたらいーんだろうけど、僕の理由って超しょうもないんだよな……。
「え、えーっと、どうしてこれが必要か?
フツーに僕は『おつかい』で。
なんに必要なんだろう?
お父さんに聞いてみないとちょっとわからないけど…
でもおいしい『鶏ハム』をペタペタつくりたい! とか
フレンチトーストにトロォ〜〜〜っと山盛りかけたい! とか
どーせロクな理由ではないとは思いますけど……」
いちおう正直に話すだけ話してみよう。
132
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/02(木) 21:43:12
>>131
「ふむぅ……」
「お父さんに頼まれたのですかぁ〜〜〜〜……。と、なると……。う〜〜〜〜ん……」
と、しばらく悩んだような動作をした後……。
「……よし、じゃあこうしましょう」
と、おもむろに近くにあったレンゲではないハチミツを手に取った。
「シロツメクサ……まぁ、いいでしょう、うん」
そしてそれを籠に入れる。
「というわけでどうでしょう〜〜〜〜〜? ここは平等に『勝負』で決めましょ〜〜〜〜。
勝った方がこの『レンゲのハチミツ』『シロツメクサのハチミツ』どちらか好きな方を選べる、という事でぇ」
突然の宣戦布告だった。
「あっ……でも勝負方法はどうしましょう。『じゃんけん』って言うのも芸がないよね……。かと言って『蝶の名前山手線ゲーム』じゃ私に有利すぎるし……。
『殴りあい』は流石に頭おかしいし……。う〜〜〜〜ん……『しりとり』? いやでも……」
かなり悩んでいるようだ。
「何かいいアイデアないですかね〜〜〜〜〜? え〜〜〜〜〜っと……」
「あっ、ごめんなさい。そういえばまだ名乗っていませんでしたぁ。いけませんね……。
私、志が染まると書いて志染さなぎと申します〜〜〜〜。よろしくお願いします〜〜〜〜〜〜」
何かいい感じの勝負のアイデアがないか墨彦に尋ねようとしたところで、
自己紹介をしていなかったという事実を思い出し、名乗る。
133
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/02(木) 23:19:29
>>132
「え? はぁ……」
いきなり『クローバー蜂蜜』なんか手にとって、
一体何をする気なんだろう……と訝しんでいると。
「えッ」
なんとなんと!
突然の『宣戦布告』!
これには墨彦少年もブッたまげた!
「なにィ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ
このお姉さん、想像以上のキャラの濃さ……!
.. .. ..
しかし乗ったッ!」
指鉄砲を両手で作ってOKの意思表示だッ。
「と言っても勝負方法は僕もまったく思いついていませんがッ。
まぁ……………
何も思いつかないないならベタに『隠れんぼ』とかはどうですか?
ただし隠れるのは『ハチミツ』で」
「あ、そしてどうもご丁寧に………(ペコォ―――ッ)
『シジミ サナギ』さん。なんかちょっと奇遇ですね。
僕は『久しく染まる』と書いて『久染 墨彦(ヒサゾメスミヒコ)』です。
『ヒーローマンガ家』志望、秋映学園中等部三年生、15才。
こちらこそよろしくお願いします……?」
再度ペコォ――ッと頭を下げ、さなぎに名乗り返す。アイサツ大事。
134
:
ようこそ、名無しの世界へ…
:2015/07/02(木) 23:39:52
>>133
「久染墨彦さん……ですね。よろしくおねがいしますぅ!」
こちらもお辞儀を返す。
「ふむ……『ハチミツがかくれんぼ』ですか……。
落ち葉に紛れたコノハチョウのよーに、ハチミツを隠して探し出す……つまり『宝探し』ということですね〜〜〜〜」
いいですねぇ、と頷く。
「……あー、でも、このままそれをやったら……
『何という事だ! 偶然通りかかった第三者が買って行ってしまったぁ〜〜〜〜〜!』
……みたいなオチが見え見えですねぇ。どうしましょう……」
と、しばらく悩むさなぎ。そして……
「そーだ。これ、どっちも値段は一緒ですし……『買ってから』、『安全な場所』でやりましょう〜〜〜〜〜。
どうでしょう?」
『漁夫の利』を防ぐため、一旦購入することを持ちかける。
所謂『ワリカン』というやつだ。
135
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/02(木) 23:40:24
>>134
136
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/03(金) 00:01:37
>>134
元気にお辞儀を返される。
「そうです そうですッ。
つまり『 宝 探 ……アッハイ、要するにそーいうことですね」
言いたいことを全部先に言われてしまったぜ!
「………………………………………………・なるほど。
『漁夫の利』。い、一理ありますね……?」
なんてことだ…………
その『オチ』を逆手にとった高等な『隠しトリック』を考えていたのに
先んじて潰されてしまった (みんなも考えてみよう)。
「(やっぱり悪いこと考えてはいけない)
わかりました…………
さなぎさんの提案にまったく異論はありません。
いっしょにレジに行き、『ワリカン』としましょうッ。
しかして……
『物を隠せる』『安全な場所』というのはどこか心当たりがあるんですか?」
三階のフードコートとか屋上とかかな…?
さなぎに確認しつつ、レジに向かって歩きださんとす。
137
:
ようこそ、名無しの世界へ…
:2015/07/03(金) 00:58:21
>>136
「……?」
どういうわけか狼狽えた様子の墨彦に少々疑問を持つが、
(まぁ、いいかぁ……)
と、気にしないで置くことにした。
「物を隠せる安全な場所の心当たりですかぁ……」
「ふふふ、何を隠そう――――――――」
と、しばらく溜めるが……
「ごめんなさい、思いつきません……。私の家ってわけにもいきませんし、外に隠すのもあれですかね……?
もしくはいっそのこと『学園』……とか? 偶然にも私もそこの生徒ですし……いやでも大丈夫かしらぁ?」
どうやらノープランだった様子。
138
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/03(金) 00:59:01
>>138
名前欄訂正
139
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/03(金) 00:59:24
>>138
>>137
140
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/03(金) 17:56:43
>>137-139
「おおッ? しかしてその心当たりとは……」
ワクワク
「……ってないんか――――――い!」
ズコー!
ノリツッコケ!
さなぎの前でハデに床を滑る。
「(ムクリ) ってさなぎさん、
実は『さなぎ先輩』だったんですね……(ヒリヒリ)
ならば…………提案させてもらいますッ。
せっかくモールに来てるんですし、ここの『屋上』はどうでしょうッ?」
ピーンと天井を指さしてみせる。
「そこそこの広さがあり、たまにステージを組んで
『屋外プロレスショー』とか
『ゾンビダンスパフォーマンス』なんかもやってるみたいですが、
そーいうイベントがない日はあまり人通りも多くないハズです。
見通しはだいぶいいんですが、
『ステージ』『座席』『休憩用ベンチ』『自動販売機』『遊具』など、
『隠し場所』もそれなりにあったと記憶しています………」
…………どうでしょう?
と、隣を歩いている(はずの)さなぎの顔を覗きこむぞ。
141
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/04(土) 16:18:16
>>140
「いえいえ、好きに呼んでくれて構いませんよぉ〜〜。私、上下関係はあまり気にしませんから!」
と、さん付けでも先輩でも構わないと伝えておく。
「ほぇ〜、『屋上』ですかぁ〜〜〜。あぁ〜いいですねぇ〜〜!」
と、モルフォ蝶のような碧眼を青く輝かせ、答える。
「と、なるといくつか『ルール』を設定しないといけませんね……」
勝負においてルールはなくてならないものである。
「まず1つ。『隠すものはレンゲのハチミツとする』……お互いの本命がこっちですし、これでいいですよね?
あ、以降『レンゲのハチミツ』は『宝』と呼ぶことにしますね〜〜〜〜」
と、指を一本立てて確認する。
「2つ。『隠す際、宝の破壊を禁じる。宝は商品としての価値を保っていなければならない』。
……つまり、中身を飲み込んで『お腹の中に隠したり』、瓶を破壊して『中身をぶちまけたり』しちゃあいけない、ということです。
勝者側の景品ですし当然ですね。」
指を二本立て、言う。
「3つ。『隠した側が見つけられない場所、及び隠し場所をすぐに、正確に言えない場所へ隠す行為の禁止』。
よーするに、屋上から下のトラックの荷台にぶん投げたり、鳥に括り付けてどっかに飛ばしたりしちゃあ駄目だという事です。
以降『隠す側』を『アゲハ』、探す側を『タテハ』と呼ぶことにします。
……もっとも、トラック云々は次のルールでそもそも不可能になりますがね……」
三本目の指も立てる。
「4つ。『隠す場所はDIONモールの屋上とする。屋上とは、転落防止のフェンスに囲まれた内側であり、階段は屋上として扱わない』。
……安全性には考慮しないといけませんし、風で落ちて割れたら目も当てられません」
「5つ。『アゲハは、タテハに取り出せない場所に宝を隠してはならない』。……つまり、たとえば久染さんが自販機の鍵を持っていたとして……
それを使って自販機の中にハチミツを隠したりちゃだめですよー、ってことです」
「6つ『ただし、条件を満たせば取り出せる場合、その条件となるものを相手からよく見える位置においておくならばその限りではない』。
前項の例にのっとるなら、その鍵を首とかそういう分かりやすい位置に用意しておけばいいですよ、ってことですね〜〜〜〜」
「7つ。『捜索行為を妨害することを禁じる』。アゲハがタテハを殴ったりしちゃあいけないという事です。アゲハが関与できるのは隠す瞬間まで、です」
「8つ。『隠す際、宝を開封してはならない』。……これはルール2の補足みたいなものですね。外側のラベルとかも剥がしちゃあだめです」
「9つ。『制限時間はタテハが屋上に到着してから3600秒……すなわち一時間とする』。制限時間が設けられていないとタテハ側が有利すぎますし、ね」
「10。『アゲハの勝利条件は「タテハが屋上に到着してから3601秒の経過」、タテハの勝利条件は「制限時間内の宝の発見」である』。ここを一番はっきりさせなきゃでしたね。ごめんなさい」
「11。『隠す時間はタテハが屋上に到着するまでとする』。」
「12。『タテハはアゲハの姿が見えなくなってから、階段で移動すること。エレベーターやエスカレーターを使ってはならない』」
「あとはそうだ。13。『あくまでも「かくれんぼ」であって「隠れ鬼」ではない。よって、宝は隠し場所から移動してはならない』。……ハチミツが動くはずはありませんが、念のため……ですね」
「つまり14。『アゲハはタテハが屋上に到着した瞬間から、宝を動かしてはならない』」
「15。『宝が隠し場所から1m以上移動した場合、タテハ側の勝利とする』」
「16。『ただし、タテハが直接、または間接的に宝に触れて移動させることではルール12に接触しない』。……ボールとかを投げつけてわざと移動してもダメですよー、ってことですね」
指を伸ばしたり折ったりしながら、その場で作ったルールを挙げていく。
他人の提案したゲームのルールを決めるのはどうなんだ、と思う人もいるかもしれないが……
そもそもそういうゲームを提案したという事は、『自信がある』ということ。
ならばこういう形でアドヴァンテージを取らなければなりません。
「……みたいな感じで如何でしょう? あ、アゲハは久染さんで構いませんか?」
142
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/04(土) 20:50:54
>>141
「えーっと………
じゃあ今日は『さなぎ先輩』って呼ばせてもらいます」
テク テク
「そしてなるほど、『ルールなくしてゲームなし』。
確かにルールは重要ですねッ。
ふむふむ……………………………………フムフム……?」
フムフムうなづきつつ、
さなぎのルール注釈を
気楽に聴いているように見えるが…………
心の中の『リトル墨彦』 (二頭身)は
深刻な表情、滝のような汗を迸らせている。
「(さ、さ、さなぎ先輩…………
さっきまでの『ふわふわ妖精さんキャラ』とは
ぜんぜんキャラが違うよ―――――――――ッ!)」
怒涛の勢いで次々と追加されていくルール、
アリの巣をひとつひとつ丁寧に潰していくような冷酷な宣告!
「(か…………彼女のルールの埋め方はとてつもなく戦略的!
『たかがゲーム』と侮っていない………
とことん『勝利に執着的』だッ!
僕としてはさなぎ先輩側から提案してくれたゲーム、
『フェアネス』をなるべく大事にするつもりだったけど……
こうなると僕も『全力』で応えるしかなくなった!)」
手の中のハチミツ瓶のラベルがわずかに『震える』。
「(しかし僕の『スタンド』…………
彼女が気づいているなんてことはもちろんないだろうけど、
『僕が秘策を持っている』ってことには
しっかり気づいてるような『ルールの埋め方』だッ!
ど…………どうするッ!?)」
ド ド ド ド ドド ド ド ド ド
「(いや………本気でいくならなおのこと、『あのルール』だけはッ。
『あのルール』だけは認められないぞッ!
なんとしてでも『抜け道』を作らなくてはッ!)」
143
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/04(土) 20:53:14
>>141
「その、えーと、全体的に『とってもイイ』と思いますねッ。
ただ、そのいくつか、
ほんのチョビっと気になる部分もあるかなァ――――」
困り顔を作りつつ、こちらも指を立てていく。
「まず『ルール(9):探索時間』。
『一時間』はちょっと長すぎるかなァ〜〜〜っと……
僕『おつかい』で来てて、門限とかもありまして……
ちょっとしたゲームですし、
できればササッと『10分』くらいにしてもらえると助かるかなァ〜〜〜と」
(※久染PLは『1レス=30秒ぐらい?』という大雑把な計算!)
「あとは………『ルール(13)&(14):宝の移動禁止』。
これはどうですかね〜〜〜?
タテハ(探)に見えないところで
アゲハ(隠)がこっそり宝を移動させてた場合、
それをタテハが追及することって『実質ムリ』だと思うんです。
あとたまたま通りかかった他の『お客さん』とか『子ども』が
気付かず触っちゃったり、
開扉時の『ドア風』とか『ビル風』とかで隠し場所から
ほんのちょっとズレちゃったり、
そーいうどうしようもない『不可抗力』で
宝が移動することもあると思うんですよね…………」
「あっ、となると『ルール(15):宝の1m移動禁止』も同様の理由で、
『正確な距離判定』が難しいですかね〜〜〜〜〜?(白々しい顔)」
「あと、『ルール(7)&(11):アゲハの行動制限』。
隠したあとのアゲハがやることがまったくなくて、
『タテハの宝探しを数十分間ボーッと突っ立って見てるだけ』に
なっちゃうのは、ちょーっとつまんないかもしれないですね―――っ」
「なので………このへんのルールはバッサリ!
『たった一つのシンプルなルール』にまとめるってのはどうでしょうッ?」
「ルール(7)(11)(13)(14)(15)統一代案:
『アゲハ(隠)は常にタテハ(探)に同行し、
その一挙手一投足がタテハに視認できる場所にいなければならない』」
「これなら一石三鳥!
・アゲハがタテハに隠れてコソコソ宝に細工することもできませんし、
・宝の移動のこまかい距離判定にモメることもありません。
・同行してたら会話もできるんで隠したあとのアゲハもヒマじゃあなくなります。
……………いかがでしょうッ?
この改案を受けていただけるなら、こっちからは他に意見はないですが」
表面上はあくまで澄まし顔で提案だ。
しかしこの久染墨彦の中では、
『もうすでにゲームは始まっているものとみなすッ!』
「あっ、そうですね…………そういうことなら、
せっかくだしアゲハ(隠)をやらせてもらいますねッ」(白々しい顔)
144
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/04(土) 22:20:11
>>142-143
久染さんが私のあげたルールについて言及する。
「……確かに1時間は長すぎるかもしれませんねェ〜〜〜……ではルール9:『制限時間はタテハが屋上に到着してから600秒。すなわち10分とする』!」
制限時間変更のルールはすんなりと受け入れる!
門限ならば仕方がない。「女の子と遅くまで遊んでいた」など沽券に係わるだろうし……そこは認めるしかありません。
次に久染さんは『宝の移動制限』に対して言及する!
そして『アゲハの行動制限』に関しても言及し……そして、これらのルールに対する代案を挙げる!
なるほど……『ナイスアイデア』だ。さなぎは素直にそう思った……だから認める。
「グッドアイデアです! では……ルール17。『アゲハは常にタテハに同行し、
その一挙手一投足がタテハに視認できる場所にいなければならない』!」
ただし! それはあくまで『追加ルール』としてッ!
「グッドアイデアですが……『まとめる』必要は『ない』んですよォ〜〜〜〜〜。ですがまぁ、第三者の件を忘れていましたね……私ったらついうっかり。
18。『志染さなぎ、久染墨彦以外の第三者がゲームに影響を与えた場合、それが如何なるものであれ、ノーゲームとする』!
その時はまぁ、2本先取のじゃんけんで決めましょう」
「ですが! 『移動に関する揉め事』を解決する手段は『あります』。
まずは……この『ビニールテープ』! 丸く貼れるタイプです……これをハチミツの位置に貼って目印としましょう。そこから『1m以上』動いたら駄目、です!」
さなぎは鞄から『ビニールテープ』を取り出すッ!
「更に言えば……これで隠し場所に『貼りつければ』風を心配する必要なんかありません……まさに『一石二蝶』、ですネ!」
「そして……『正確な距離判定』に関する対策も……『あります』」
そう言ってさなぎは鞄から『メジャー』を取り出す!
「もうお気づきだと思いますが……私は『蝶々』が『大好き』でしてね……こういう観察やら何やらに使える道具は常に持ち歩いているんです♪
それに、ないならないで『買えば済む』話ですしねェ〜〜〜〜。うふふ、何しろここはDIONモールですから!」
145
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/04(土) 22:20:35
志染さなぎは……そのファンタジー世界の住人のような『ふわふわしていて』『夢見がちな』雰囲気とは裏腹に……非常に『臆病』で『敏感』であるッ!
『蝶』のように儚く弱い存在だから……常に何かに怯えながら生活している……故に!
これを代案として認めるという事は、『移動』『妨害』を『認可』することなんじゃあないかと……さなぎは『怯える』ッ!
そして……このルールを塗り替えようとするという事は、どちらかを『やろうと思っているんじゃあないか』? さなぎはそう考える。
更に! 現代社会にはドローンというものが存在するし……ラジコンだってある。鳥やら何やらだって調教すればいう事を聞くし……
生態さえ知り尽くしていれば虫を使うことだって『できる』! ……かもしれない。
そして……以前涙音ちゃんに教えてもらった『スタンド』というものもある。
ゆえに、さなぎはこう怯える……『たとえば、小人くらいの大きさのスタンドが居たとして。それがこっそり宝を移動させたとしたら』
『それを私から逃げるように10分間永遠に続けたとしたら』
『見つけることはほぼ不可能になる』………こんな風に。
勿論、この少年……『久染墨彦』が『スタンド』を持っているとは『限らない』。ましてや、それが『小人のようなもの』である確率は著しく低い……
ならばなぜ、『そこまで考えるのか』? いくらなんでも『考えすぎじゃあないか』? 答えはシンプル。
『刺青を入れてもらうことでこのスタンドを手に入れた』事実!
そして、『涙音ちゃんとの出会いが偶然だった』という事実!
この二つから、さなぎは『スタンド持ちてのは意外とたくさんいるんじゃあないか』……そう考える。
そう考えたなら当然、『久染さんもスタンドを持ってる「かもしれない」』……そう考える。
そしてッ! 「かもしれない」と思ったのなら……「そうである」と仮定して行動するッ!
志染さなぎの人間哲学。「虫は叩けば死ぬし、踏んでも死ぬ。薬でも死ぬ。鳥にも食われるし、虫にも食われる。獣にも、人にも、植物にだって食われる。寄生虫にだってやられる。
幼虫なんかほとんど動けないし、蛹に至っては全く動けない。弱弱しくて儚い存在だ……なのになぜ、ここまで繁栄しているのか?
こんなに弱くて弱くて弱弱しい生命体が、地球上のあらゆる動物よりもたくさん存在しているのか?
答えは単純……『臆病だから』。臆病だから物音やにおいに敏感に反応し、即座に逃げる。臆病だから子供を沢山生む。臆病だから周囲の風景に紛れる。臆病だから……ここまで生き残ってきたッ!」
つまり!
「最後に勝つのは強さよりも臆病さ! 弱弱しい虫けらのように全てに怯えろ!」 さなぎはこの信念を胸に日々を生きているッ!
「さて、如何でしょう久染さん。他にも何か質問はありますか?」
しかし、その臆病さはおくびにも出さない。あくまでお淑やかな笑顔で確認を取る。
(余談だが、おくびとはげっぷという意味らしい。女の子としては二重の意味でおくびは出したくない)
「そして、そういう事ならタテハは私ですね!」
146
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/04(土) 23:58:32
>>144-145
心のなかでは芋虫のように怯えながらも、
さなぎは淑とした態度を崩さない……決しておくびなんぞを出すこともない。
このちっぽけな少女は、
『弱さ』と表裏一体の『したたかさ』を持っているッ!
「ぐェえぇ」
一方墨彦は潰れたカエルのような声を漏らした。
「( ぐェえぇ〜〜〜〜〜〜〜ッ ゲボォ――――――ッ!
なんてこった!
『勝利への抜け道』をヒネリ出すための確かな計画だったはずなのに、
僕の首が絞まる結果にしかなっていないじゃないかァ――――――! )」
さなぎが取りだした『ビニールテープ』『メジャー』を見て、
二頭身の墨彦が心の中で壮絶に頭を抱え悶絶する。
おまけに『同行ルール』という『余計な足かせ』が一つ増えてしまったぞ!
もちろん墨彦はさなぎが『スタンド使い』だとは想像すらしてない。
なので『宝隠し』に『インク・フィッシュ』を使うと言っても、
『常識的に人間の能力で実現不可能なこと』は行わないつもりでいた。
『どうやってそこに隠したの?』と訊ねられたとき、
一般人の範囲内で答えられないようなことはしないつもりだったのだ。
が、さなぎにしてみればもちろんそんなことは知ったこっちゃなかろう。
「………………………………………………………………………
…………………………………………………………りょ、了解しました。
じゃあ、ひとまずレジで精算を済ませましょう………」
特にさなぎに問題がなければ、二つのハチミツを精算(ワリカン)し、
そのまま二人並んで『エレベーター』へ向かおう。
テク テク
「(ど、どうしよう……
考えろ……考えるんだ墨彦……
『プランB』を考えろ……
『ルール』をもう一度よく見直すんだ
…………)」
テク テク
「…………………
さなぎ先輩って、部活はなにかしてます?
ひょっとして、中学時代から続けてたりとか……?」
一見、ゲームにはなんにも関係なさそうな質問だ。
エレベーターに到着するまでの間のちょっとした世間話かもしれない。
147
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/05(日) 00:21:43
>>146
「!?」
突如蛙のような呻き声を上げる久染さん……これにはさなぎも驚きを隠せない。
「えっ!? だ、大丈夫ですか? 体調がすぐれないんですか? や、やっぱりゲームはやめててっとり早くじゃんけんにしますか……?」
さっきの弱さと臆病さに裏付けられたしたたかさはどこへやら。本気で墨彦を心配し……そう声をかけた。
さなぎの臆病さは時に『心配性』という形でも表現されるのだ。
「ええ、そうですね。……あの、どうしても具合が悪くなったら言ってくださいね?」
ハチミツを割り勘で購入した後で、再度確認する。本気で心配している目である。
墨彦の質問を聞き、
「そうですねぇ……今も幼虫時代もやってないですよぉ。放課後は専ら帰宅部で蝶々を追いかけてました〜〜〜〜〜」
ここで嘘を吐く理由は全くないので、さなぎはその世間話に付き合うことにした。
先ほどまでの『妖精キャラ』で返事をする。これで久染さんの体調が紛れれば僥倖だ。
……この返答で話が続くかはわからないが。子供の頃を幼虫時代とか表現してるし。
148
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/05(日) 00:52:19
>>147
「あッ、心配かけてすみません。
大丈夫です。
僕ノドの調子が抜群に良すぎる日には、
たま〜にこういうエグめの声が出ちゃうんです。『グェえェ』 ほら」
などという超絶小粋な中学生ジョークで
さなぎの心配を取り除かんとする。
僕の邪念の発露に対して
『本気の心配』をしているのが伝わってきて、
ちょっと申し訳ない気持ちになったのだ……。
ゲームを降りる気はもちろん一切ないので、
必要以上に元気な様子をさなぎに見せるぞ。
「そうなんですか…… (いま『幼虫時代』って言わなかった?)
『帰宅部』。 (いま『蝶々を追いかけてた』って言わなかった?)
やっぱりそうなんですね」
途中スゴく突っ込みたいフレーズが聴こえた気がするが、
そうこうしているうちに『エレベーター前』に到着したのでやめた。
「中学時代からの『陸上部』や『登山部』ってわけじゃあないなら、
『階段』で屋上まで登るのはけっこう大変じゃあないですか?
一緒にエレベーターで屋上まで行って、
『隠している間2分ほど扉の前で待ってもらう』というのでも僕はいいですよ」
という一つの『提案』だ。
これは『善意』から来ているのか、それとも……?
149
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/05(日) 22:42:17
>>148
「そ、そうなんですかぁ…… 所謂デスボイスってやつなのかな?
大丈夫ならよかったですぅ」
と、安心した顔を見せる。
「うふふ、大丈夫ですよ久染さん! 私、小さいころから蝶々を追いかけてきたんですよぉ。
知らないんですか? 蝶々ってね、飛ぶんですよ」
何を言っているんだこいつと思われるかもしれないが、何言ってんだこいつ。
「それに、蝶々ってのは『山』や『森』にもいますからね……つまり! こんなか弱い感じの容姿ですけど、こう見えて私、体力には自信があるのです!
ほら、こんな風に上背もあるでしょう?」
帰宅部だが、体力はある方だ……と告白。さなぎの身長は168cm。確かに、同年代の女子の平均身長を10cm上回っている。
「それに……。私が作ったルールなのに、私が自ら進んで破っちゃあ……もう何が何だか分からなくなるじゃあないですか」
さなぎはその提案を善意と受け取ったが……いくら相手を警戒するとは言っても、いくらしたたかに攻めると言っても、『フェアプレイ』の精神は崩さないようだ……
臆病とは言っても、人間不信というわけではないのだ。他人のことは警戒してもそう簡単には疑わない。
「まぁ、でもそうしてもとおっしゃるなら……私が屋上の“2階下”からスタートするーとかでも構いませんよぉ?」
などと、冗談めかして言ってみたりもする。
150
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/05(日) 23:18:45
>>149
>「うふふ、大丈夫ですよ久染さん! 私、小さいころから蝶々を追いかけてきたんですよぉ。
>知らないんですか? 蝶々ってね、飛ぶんですよ」
なに言ってんだこいつ。
………
あ、あぶない、
先輩相手に思わずタメ口で突っ込むところだった……
まあ、安心してくれたならよしだ。
「………………
………………
………………
(ぐぅ、やっぱりさなぎ先輩、根っこはいい人そう……
…………『ここ』については『考えすぎ』か?
いや…………)」
チラ、とさなぎの『今の服装』を見る。
どんな服装をしているだろうか? スカートだろうか。
靴はどういうものを履いているだろうか。
(この質問ひょっとするとちょっと不気味に感じるかもしれないが、
変態的な意味は一切ないので安心してもらいたい)
「フフフ。
さなぎ先輩が『鍛えてる』っていうのなら、
余計な提案でしたね。
僕もちゃんと隠せるか自信ないし(白々しい顔)
さすがにその『ハンデ』はちょっとキビシイですよ〜」
さなぎの冗談におなじくおどけて返しつつ、
カチ
エレベーター搭乗口横の『▲(昇降)』ボタンを押す。
次かその次ぐらいには、一階に到着するだろう。
そうなればいよいよ『ゲーム開始』だ。
「『フェアプレイ』…………『フェアプレイ』かァ。
さなぎ先輩。『スマホ』持ってますか?」
ニコッと笑いつつ。
また一見ゲームとは関係なさそうな質問だが……
151
:
ようこそ、名無しの世界へ…
:2015/07/05(日) 23:31:43
>>150
さなぎの服装は一見すると白いワンピースだった。
しかしよく見れば、(よく見たりしたらマジで変態的だが)
スカートの下には黒いスパッツのようなものを履いており、ストッキングも履いている。
センスはともかくとして……スカートでありながら、森のような場所でも大丈夫そう……といった服装だ。
ちなみに靴はスニーカーである。女子力を感じない靴である……
「うふふ、鍛えてるって意識は別にないんですけどね!」
「スマホですか? ええ、持っていますよぉ。最近新しい『メル友』もできましたし!(まだメールしてないけど)」
素直に持っている、と答えるさなぎ。しかしスマホは取り出さない。
別に警戒しているわけじゃあなく、ただの質問だと認識しているからだ。(ほんのちょっぴりものぐさ精神ってのもあるかもしれないが)
このタイミングでアドレス交換っていうのもないだろう、という意識もある。
152
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/05(日) 23:32:21
>>151
153
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/06(月) 00:02:21
>>151-152
(ジィ―――――――――ッ)
……ハッ。
い、いや、服装をチェックしているのは
ゲームにかかわる『二つの理由』のためであって変な意味はないぞ!
ひとつは『走りやすい格好をしているのか』を見るため。
もうひとつの理由は………まあ、これはすぐに明らかになる。
ちなみに今日の墨彦のファッションは……
・『UNIQULO』の『MoMA柄Tシャツ』
・『HEAD PORTER』の『ドリップペイントチノ』
・腰に巻いた『アメコミプリント総柄』の『フルジップパーカー』
・『VANS』の『スリッポン(ネイビー)』
ムダに詳しい中学3年男子のファッション設定。
見事に誰も得しない情報だ。
「フフフ。ああ……良かったァ。
『ガラケー』だったらどうしようかと思いました。
あの……『ビデオチャット』機能ってありますよね―――『スカイプ』とか。
あれ、僕も今から起動するんで、『送信』してもらえます?
あッ。設定がわからないなら僕がやりますんで……」
ポケットから取り出したスマホを振りつつ言う。
「いやァ〜〜〜〜。というのも、
『ルール(12):
『タテハはアゲハの姿が見えなくなってから、階段で移動すること。
エレベーターやエスカレーターを使ってはならない』
これ、考えてみたらどうやって『証明』するのかなァ――と思いましてね」
ニコォ
「僕の乗ったエレベーターのドアが一度閉まったら、
その後さなぎ先輩が即隣のエレベーターに乗ったって、
僕にはまーったく確認のしようがないわけじゃないですかァ。
あッ、別にさなぎ先輩がそんなイカサマをするなんて
疑ってるわけじゃあないですよ!
もちろんさなぎ先輩はそんな人じゃあないってわかってます!
でも……せっかくここまで二人で
丁寧に『穴』のないルールを練り上げてきたんですから、
こんな粗雑な『抜け道』を残しとくのはどうも気になっちゃって……
『フェアプレイ』精神を真に大切に思うならばこそ
その『証明』に対してどこまでも真摯になるべきでは? と思ったんです。
…………というわけでどうでしょう? 『ビデオチャット』……」
『論理的整合性』は間違いなく通っている。
彼女が本当に『正当に階段を登りきる』というのなら、
さなぎ先輩が断る理由もないはずだ……。
154
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/06(月) 00:10:37
>>153
155
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/07(火) 20:25:54
>>153
「………?」
何やら浮かない表情のさなぎ。
「え、えっと……。『私がきちんと階段を使ったか確認する方法』が必要だってのはすごくよく分かるんです。
私としても『エレベーターをこっそり使ったんじゃないか』って言われるリスクは避けたいわけですしぃ、証明方法があるってのはお互いにプラスになるはずです……。
だからここで『証明手段』を用意してくれるというのは、私としても願ったりかなったりという感じなんですけれど……」
と、久染君の意見に言うことはないようなのだが……
「でもその……何でしたっけ? 『ビデオチャット』? 『スカイプ』? ってその……『何なんですか』?」
志染さなぎは『イマドキ』の『女子高生』なのに全くスマホを使いこなせていなかったッ!
蝶々を追いかけてばかりの子供だった彼女には無理からぬことか。
だから、
「え!? 『テレビ電話』みたいなものって……そんなのSFかドラえもんの世界だけの話だと思ってましたぁ! ほぇ〜〜〜〜……」
と、ビデオチャットのことを教わると、本気で驚いたような声を出して、スマホ(所謂Xperiaである)を久染君に手渡すのであった。
156
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/07(火) 21:11:35
>>155
こちらの提案にたいして
なにやら浮かない表情を見せるさなぎに対し、
みずからの『疑念』を『確信』へと深めていく墨彦。
「(この反応………『やはり』か。
やはり『なにか』あるな………!
『ルール(11):隠す時間はタテハが屋上に到着するまでとする』。
この『階段ルール』。
さっきから妙に気になっていた……
なぜならこのルールだけ、
彼女が提案したなかで唯一タテハ側が
『ゲーム開始前に技術介入可能』な要素だからだ。
それに僕がさっき言ったように、
『ゲーム開始』はもっと楽な方法で決めてもよかったハズだ。
『階段での到達』はタテハ側に対して
『不要な負担』と言っても過言じゃあない…………
それをなんの言及もなく自分から設定したということ……
この『違和感』。
『スタンド』…………とは言わないまでも、
『屋上への到達』について、彼女も何かしらの
尋常ならざる『秘策』を持っているんじゃあないか?
そう考えた僕の疑念は今確信に変わりつつあるぞってズコー!!!」
ズコー!
「び、ビデオチャット……を、知らなかっただけ……です、か。
テレビ電話って……せ、先輩、ほんとうに女子高生なんですか?」
こんなに純真(ていうか天然)な人が、
僕になにか隠れて『裏工作』をするんじゃあないか?
なんて疑っていた自分が恥ずかしいッ!
赤面顔をごまかしながら、
さなぎからスマホを受け取りムニムニ設定する。
数分後…………
トゥットゥールー \クェッコ/ テッテレー \クェッコ/ (あの音)
「よし。これで大丈夫だと思います……どれどれ。 (スチャッ)
お、映ってますよ映ってますよー。
単方向なので、こっちの姿はあたりまえだけど見えません。
一応そのビデオチャットは『ルール(11)』の証明なので、
ぜったいに切ったりしないでくださいね。
あと、先輩が階段を登っている姿が
確認できないような状態にするのもアウトです。
その場合は『無効試合』になりますからね」
ゴウン ゴウン …
\ チ ――― ン /
ゾロ ゾロ ゾロ…
「お、ちょうどいいタイミングでエレベーターも着きましたね。
じゃあ、僕はお先に失礼させてもらいますよ」
さなぎの姿が映るスマホを片手に、
空になったエレベーターに乗り込む。
「では、このドアが閉じられたら『ゲームスタート』ということで……
…………いいですね?」
振り返ってさなぎを見つめる。ニヤリッ。
最終確認だ。
157
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/07(火) 21:53:26
>>156
「女子高生ですよぅピチピチの!」
ピチピチとか言う人はピチピチじゃない。
「……ま、まぁ、ピチピチはちょっとしたジョークです。
実は私、スマホを買ったのはつい最近なんですよぉ。去年までは専らガラケー派でして……。
スマホは電話・メール・ネット・ゲームくらいにしか使ってなかったんですぅ」
初心者ならばそんなもんだろう。
「おぉ〜〜〜〜……。これで映るんですねぇ……」
と、蝶々やら芋虫やらでデコられたスマホに向かってポーズを取ったりしてみるさなぎ。
「そりゃあまぁ、私からも見えちゃったらゲームが成立しなくなりますからねぇ」
と言いつつ、スマホを自分に向け、腕を曲げたり伸ばしたり――――つまりスマホを近づけたり遠ざけたり、傾けたりする。
「どの範囲までなら私の動きが確認できます? そのあたりも今のうちに確認しておきましょ〜〜〜〜。映らなくなったら無効試合ですものね」
と、久染君の話を聞きながら確認する。
「そういえば電池は……うん、大丈夫ですね」
「ええ、いいですよぉ。エレベーターのドアが閉じられると同時に、私達の戦いは幕を開けるのです! まさに蝶番です!」
と、小洒落たことを言ってみるさなぎなのであった。
(蝶番は普通に開けば開くし閉じれば閉じるのだが、細かいことは気にしないとしよう)
158
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/07(火) 22:19:12
>>157
「……ああ、そういうことだったんですね。
すごい納得できるような……
(そしてスマホまで徹底してて感動すら覚えるぜ……
この人のキャラは『本物』だァ!)」
色々納得しつつ、自分のスマホ画面を見やる。
「最低限、足元さえ映っていればいいですよ。
歩くのの邪魔にならない範囲でOKです」
こっちの準備は万端……一歩手前って感じだな。
エレベーター内で一つ二つ、
確認しておいたほうがいいことがある……
「先輩の方の準備は完璧みたいですね?
では行きますよッ。ゲームスタ――――」
>「まさに蝶番です!」
「…………」
カチッ
ウィィ――――ン
――→| |←――
さなぎの鉄板『蝶番ジョーク』に対し、
『無言の閉ボタン』で返す墨彦。
とにかく決戦の火蓋は切って落とされた。
『アゲハとタテハのハチミツ探し』―――
いよいよ『ゲームスタート』だ!
159
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/10(金) 05:39:45
>>158
「………」
スルーされちゃいました。
やれやれですね。
さて。エレベーターの扉が閉まり切る。それがゲームスタートの合図。
それと同時に私は、
『クリサリス』を発動する!
そして、自分の足がキチッと映るようにスマホを構え、屋上目指して走って行く。
今回のルールは『タテハは階段で移動すること』。「歩いて移動しなければならない」とは一言も言っていない。
つまり極端な話、バイクで階段を駆け上がっても反則にはならないのだ。……バイクも免許もないけど。
だから私は『クリサリス』を発動して“スピードB(猛獣並みの速さ)”で駆け抜ける。
その姿は当然“ビデオチャット”で久染くんに送信されるわけだが、そんなことは何の問題にもならない。
ちゃんと階段を使っているわけだから『反則』をとることはできないし……
久染君がこの段階でちゃんとスマホをチェックしていなければ、このスピードでまともに隠し切る前に不意打ち的に登場できるし、
チェックしていて、私のスタンドに気付いていなければ、思わぬ速さで“焦り”を生むことができる。
気づかれていた場合でも、隠すのに使える時間を可能な限り減らせるのはプラスだ。
だから私は、どんな場合においてもスタンドのスピードで全力疾走するのが正解!
『ビデオチャット』を使っても、“反則”は抑止できても“正攻法”は止められない。
ならば、久染君の行動は無意味だったのか―――――?
いや、違う。
この世には無駄な努力が数えきれないほどあるが、今回のこれはその中のひとつではなかった。
考えてみてほしい。ルールの確認の為、約束上、さなぎは自分の身体をスマホで撮影し続けなければならないのだ。
つまり必然的に『片手が固定される』。言い換えれば『バランスを取るのが難しくなる』。
そんな状態で本当に『全力疾走』ができるだろうか?
よしんばできたとしても、階段ではどうだろう?
いや、確かにこの状態で階段を疾走できる可能性はある。しかしどうだろう。
片手を固定した、バランスの悪い状態で“階段”を“全力疾走する”というのは――――“怖い”んじゃあないだろうか?
度胸があればそんなものは何の問題にもならない。
しかし志染さなぎは『臆病』。
蚕の繭のように絢爛豪華な個性(キャラクター)に隠れていても、鱗粉のようにイロモノな言動に覆われていても、
その本質は、その本体はノミの心臓。芋虫のようにか弱く、毛虫のように臆病でビビりな少女。
この状況では“怯え”て最高の速度(パフォーマンス)が発揮できない―――――
そう、つまり。
今までプラスに働いてきたさなぎの臆病(よわ)さが、今回はマイナスに働いてしまう。
臆病と慎重、周到さは表裏一体だが、同時に優柔不断さ、意気地なしとも紙一重。
度胸を必要とする状況では、不利に働いてしまう。
だから必然的に『スピードB』で全力疾走するよりは若干『遅く』なってしまうはずだ。
それでも普通の人間よりは速いだろうが―――――
反則の監視という名目で片手を封じた久染君の行動は、まさにファインプレイである。
果たしてこの『ほんの少しのスピードダウン』が、勝負をどのように左右するだろう?
水面下で盛り上がりを見せる戦いだが、勝負はまだ始まったばかりだ。
160
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/10(金) 22:03:55
>>159
階段は現在位置から8mほど先、
エレベーターから少し回りこむような位置にある。
. . . .. .. . . ... .
しかしひとたび志染さなぎが
. . .. . .. .. ... . ..
この『クリサリス』をまとったならば!
それは『ほんのちっぽけな8m』――
なんの障害にもならない距離になるッ!
ザシュッ! ザシュッ!
ザシュッ!
狩猟獣のごとき疾駆!
あっという間に階段までたどり着き、『最速』で――いや、
『片手の心理的障壁』にわずかばかり心を乱され、
『最速マイナス1』で駆け上がっていくさなぎ。
ダンッ
ダッ
ダ!
ダッ
が、はっきり言って――
それでも『スピード:B』は『人外』の速度だ。
階段を利用する客はそこまで多くなく、
『降下してくる足音』などに注意を向けておけば、
『最速』のままでも『衝突』の危険性は低い。
とはいえ……
通り道、そして階段ですれちがう客はみな、
『超常』の速度で駆け抜けていくさなぎの姿を見て一瞬ギョッとし、
一様に『何あれ……』といった顔で振りかえる。
161
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/10(金) 22:07:55
そしてそれは『スマホの画面』を通じて
さなぎの疾駆を見ていた墨彦も同じだった。
「………………………………
……………………………… (唖然)」
しばらく呆然としていたがふと我に帰り、
『音声通話』ボタンを押す。 \クェッコ/
「………」
「………………
さ、なぎ、先輩」
「………」
「…………
…………
…………」
「フ」
「フ、フフフ」
急に笑い出す墨彦。
さなぎの尋常ならざる走破を見て、
頭がおかしくなってしまったのだろうか?
「『やっぱり』か―――」
いや、違う。
これは……
「そおーいうことなら……フ、フフフ。
僕も遠慮なく『スタンド』を使わせてもらいますからね―――」
. . . .
これはさなぎへの 宣戦布告だ!
162
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/10(金) 22:09:03
>>159
_______________________________________
/
| 到着についてですが、ふたりが屋上に着くのはほぼ『同着』、
| ただし『片手の心理的ストッパー』のせいで『さなぎ』が『墨彦』の『1レス後』になった……
| と判定したいところですが、どうでしょうか。
|
| (なにか『ショートカット』のアイディアをお持ちでしたら、さらに早く着いてよいと思います)
|
|
| 特に異存がなければ、
| 次のレスでスレ移動(墨彦が屋上に到着して『隠す』レスから開始)を行いたいと思いますが、
| どうでしょう?
\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_______________________________________
/
| あと、明記してなかったんですが (ごめんなさい)、
|
>>144
の『お宝固定用のビニールテープ』は
| 『さなぎから受け取っていた』ということで大丈夫でしょうか?
\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
163
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/10(金) 22:37:33
>>162
>お宝固定用のビニールテープ
あ、すみません。渡す描写を忘れていましたね……。
それで大丈夫ですよ。
ちなみにゲームには全く関係ありませんがビニールテープの色は紫です。
>到着時間について
ショートカット方法そのものはいくつか考えられそうですが、さなぎの性格上実行は無理っぽいですね……。
非常階段を使ったところでどうこうなるとも思えませんし……
なのでその判定で大丈夫です!
164
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/12(日) 20:41:04
>>163
_______________________________________
/
| 了解しました。そして……
|
| 次レスでスレ移動とキッパリ言ったばかりなのに……スマン
| ありゃ ウソだった (ごめんなさい)。
\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ゴゥン ゴゥン・・・
「あ」
「そうだ…………さなぎ先輩。
『大変お急ぎ』のところ申し訳ないですが (フフ)、
『ルール』について最終確認させてもらっていいですか?
たぶんこれが最後のタイミングでしょうから―――」
駆け上がるさなぎに向けて、スマホから
単方向の『音声通話』で墨彦の声がかかる。
ビィ―――――ッ ビッ
その声の間から、『ビニールテープ』を切る音が聴こえてくる。
エレベーター内であらかじめハチミツ側に張り付けておくことで、
少しでも『隠す』のにかかる時間を短縮しようという狙いがあるのだろう。
「まずは………
ルール(7):『捜索行為の妨害禁止』について。
『妨害』とは、直接攻撃にかぎらず、
『アゲハの制限時間を無為に浪費させる行為』 全般を
指すとみて間違いありませんか?
たとえば『足止め』をしたり、『視界』を塞ごうとしたり、
『自販機の鍵を渡せ』と言われたときに応じなかったり……
そしてこれはあくまで『捜索行為』に対して――
つまり『屋上』に到達した時点で適応される、ということでいいですね?」
「そしてルール(13)(14)(15):『宝の移動禁止』について。
これは先輩の『テープ』の提案 (
>>144
) によって
ルールの意味が少し変わってしまいましたね。
『宝』は『テープ』によって『固定』、
つまり元から『動かない』ようになっている……
つまり『動かしてはならない』のは『テープ』だと考えていいですか?
すなわち…………
ルール(13):「あくまでも『かくれんぼ』であって『隠れ鬼』ではない。
よって、宝は『隠し場所』から移動してはならない。
『隠し場所』とは『固定のためのテープが張り付けられた場所』を指す」
ルール(14):「アゲハはタテハが屋上に到着した瞬間から、
『宝を固定したテープ』を剥がしてはならず、別の場所に移してはならない」
ルール(15):「宝が『テープ』の位置から1m以上移動していた場合、タテハ側の勝利とする」
このようなルールだと再定義してもいいですか?」
『ルール解釈の齟齬で失格』だけは絶対ないようにしたいからな……
タイミング的にここがラスト、
曖昧な部分をハッキリなくしてから勝負に挑みたい。
165
:
志染さなぎ『クリサリス』
:2015/07/12(日) 21:18:15
>>164
「……」
駆けあがりつつ、スマホを操作し(上手くできたかどうかは定かじゃあないが)
「ええ、勿論ですよぉ。あくまで禁止となるのは捜索行為全般。現段階の私の移動を邪魔しても問題ないですよぉ」
と答え、
「そして当然暴力的でも非暴力的でも私(タテハ)の捜索行為を妨害したら規則違反ですぅ〜〜〜〜〜。
だからたとえばぁ、無駄話とかでも反則になりますよぉ。まぁ、平たく言えば『私が邪魔されたと思ったら邪魔した扱い』ってことですね」
と、答えた。
「ええ、そうですねぇ―――――そしてテープの移動も反則ですよ。
……まぁ、これを確かめるのは難しそうですが……。テープの場合、剥がされた痕跡があったら反則であるとお考えください。
つまりその通り――――『テープを剥がしてはいけない』ってことになりますね!
一度でも貼り剥がしの跡があったり、不自然に粘着力が弱まったりしてたら『誤魔化すためにテープごと移動した』と解釈せざるを得ないのでぇ、
隠し場所はしっかりと見極めて! 一発で貼り付けてくださいねぇ」
「ですがルール15 ……テープの位置から、の『位置』は『座標』とお考えください。
まぁ、そんなことは起こらないと思いますが……。たとえば地震かなんかでこの建物ごと1m移動した場合も……残念ですが私の勝利になります。
もっとも、そんなことが起こったらゲームどころじゃあないですけどね……」
と、得意の考えすぎも交えつつ、ルールを詳しく説明する。
「ああ、あとは……いくらテープと密着していても、『動いているところを私が見た場合』『カメラなどの映像記録から確認できる場合』
……言うまでもなく移動した扱いとなりますよぉ」
「まぁ、これは私の自己申告なので、『動いてた!』とでも言えば反則勝ちができてしまうルールだと思うかもしれませんが……。
そこは貴方(アゲハ)側も『テープの移動については証明方法が乏しい』という意味ではお互い様ですので……。
お互いの良識とスポーツマンシップに則って、フェアにやりましょ〜〜」
「それでどうしても揉め事になり……決着がつかなかったら仕方ありませんじゃんけんです」
166
:
久染 墨彦『インク・フィッシュ』
:2015/07/12(日) 22:45:16
>>165
ビィ――――――――ッ ビッ
「…………………………
…………………………なる、ほど。了解しました」
……………………
……………………(ヤバイ)
ゴウン ゴウン ・・・
\ チ――――――ン /
「おっ、と………ちょうどいいタイミングで
こっちは『到着』、しましたよ。
『良識とスポーツマンシップに則ってフェアにやりましょう』……
フフ。うん………いい言葉です。
一足先に屋上でお待ちしています、さなぎ先輩。
あんまり急ぎすぎてツッコケないように気をつけてくださいね。
ではまた…………すぐ後で」
エレベーターの開扉音、そして踏み出す足音。
いよいよ舞台は、メインステージとなる『屋上』へ――!
/i_________ _ ._
< To Be Continued |i\|i/
\! ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄
【戦】『無限軌道』 その3
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1420214957/537-
167
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/07/28(火) 22:24:23
DIONショッピングモールの、その3階にある広めのフードコート。
今日は平日で、間もなく21時も回りそうだというのに
辺りには、それなりの客が居て、それなりに賑わっていた。
その窓際の席に一人、背の高い、赤みがかった長い黒髪の女が座っていた。
「……」
テーブルの上には水の入った紙コップと、チーズがたっぷり乗ったタコ焼きが置かれ、
椅子に座る長髪の女『赤銅伊織』が、それらを遅いペースで交互に口に運ぶ。
「……ふむ」
「……そう言えば、前もこんな事があった気がする、な」
「あれは冬……つまりはこちらへ越してきたばかりの事だったか」
唐突に何かを思い出したかのようにそう呟けば、目線を窓の外へ向ける。
「……ふふ」
口元を少しだけゆがめて、小さな声で笑う。
「……もう、夏か」
その言葉に、特別な意味など、無い、筈。
窓の外へ視線を向けたままに、たこ焼きを一つ爪楊枝で刺した。
168
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/07/28(火) 23:04:54
>>167
「はァ。
俺の『海賊装備』が、
アップデートで産廃化ッてマジかよ」
メル メル
横の席に腰掛けてる痩躯の男が、
タブレットで2ちゃんのスレッドを閲覧してる。
「衣装スキルの威力が低下ッてマジかよ。
なあ、俺ら頑張ってクエスト回したのにな」
『イ、イエ…トイウヨリコンナトコロでダベッテナイデ…
いい加減修行ヲ…』
「今年は暑いから秋になったらな…」
男の傍らには偉丈夫のスタンドが立っている。
169
:
伊織『クロックワーク・クルー』
:2015/07/28(火) 23:21:57
>>168
耳に届く男の声。
それに釣られて顔をそちらへ向ければ──
「……ふむ」
目に映ったのは、こんな人目につきやすそうなところでくつろいでいる『男とスタンド』だ。
会話から察するに、どうやらタブレットでゲームの情報でも見ているようだ。
「……なんというか、私も慣れてきたようだ、な」
彼らに聞こえ難い様にと小さな声でそう呟けば
グッ グッ
紙コップの水を飲み干して口内を洗い流す。
何か言葉をかけようとしたところで、ふと『先日の奇妙な出来事』を思い出す。
「『ギルド・オブ・エイジズ オンライン』、だったか。『アレ』は」
口から出る『ゲームの名前』。
思い起こされる『オフ会』の光景。
多少、危険な目にもあったが、悪くはない1日だったと記憶している。
「……まあ、それは良いか」
結局、かける言葉が見つからぬままに、偉丈夫のスタンドを無表情で見つめていた。
170
:
赤夜『ウインドミル』
:2015/07/28(火) 23:25:28
>>167
「……へぇ、此処が黄金町、スポットの一つ。総合ショッピングセンター
『DIONモール』、か」
僕は今日DIONモールに来ていた。今日は青を基調としたブラウスで
下はマキシスカートで繕ってみたよ。
余りフードコート、と言うのは行かないからね。
確かメニューを選んで注文して、そして注文を呼ばれると予約のカードを
差し出して料理と交換して貰えるんだよね? フフ、それぐらい僕も知ってるよ。
ただね、僕も日本は久しぶりなんだ。
特に、この。『たっぷりジューシーゴマ蜜垂れタコ焼き』と言うのは一体どう言う代物なんだい……?
ゴマ蜜……確か団子とかで良く処方されるものだ。つまり、これは
おやつ感覚で食べるもおなんだろうか?
いや、それだと『ジューシー』の語句に説明付かない気もする。
となると夜の時間帯に食べるものなのか……?
うーん、一人で考えるにしては悩ましい……。あ、そうか💡
聞けばいい、フードコートで寛いでる、誰かに。
と、言うわけで見渡して君を見つけた。君のもとにチョコチョコ近づく
メニュー表を掲げて尋ねる。
「あー、少しいいかい?」
「僕はこの『たっぷりジューシーゴマ蜜入りタコ焼き』と言うのが
とても気になってるんだが、一つ買ってみて大変実は口に合わない
残念なものでした。と、言うのは避けたい。 出来れば貴方がこの
タコ焼きの味を知ってればお聞きしたいのだが」
そう、質問したい。ゴマ蜜 タコ焼き。この融合は果たしてどのような
ハーモニーを醸し出しているのか……。
171
:
赤夜『ウインドミル』
:2015/07/28(火) 23:27:29
>>168
-
>>169
と、思ったけど。何やら二人で話し込んでるし
僕は別の味の探検の旅にでも洒落こもう
172
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/07/28(火) 23:44:13
>>169
『ア』
ペコォーッ
スタンドが伊織に会釈した。
「そーそー。
GOAオンライン。
クソゲークソゲーって文句言いつつもやってるよな。
特にこの間のあのイベントなんてクソofクソだったけどよ、
終わってみれば楽しいもんだったし
あ」
思わず振り向いた。
『穂村老師ッ!コノお方我ノ事ガ見エテイマス!
キット高名ナ武術家カ、アルイハスタンド使いデスヨ!』
「いや、知らねーけど。
こんちはっす。こんなクソ暑い日にたこ焼き?
俺も、よく真夏にオデン喰ったりするし、すげーわかるわ。
つか、オタクもGOAやってる感じ?」
ちなみに此方の出で立ちは、
虎模様のYシャツにスーツだ。
>>170
申し訳ない
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