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【場】砂浜

1ZAKI:2015/01/01(木) 00:41:57

倉庫街の西、H湖の入口にほど近い砂浜地帯。
以前殺人事件が起きた『いわくつきの場所』だが、今は落ち着きを取り戻している。
シーズン中には海の家が栄え、沖では沈没船が静かに時を過ごす。
治安は悪くもなく、ランニングにやってくる一般人も多く見られるが、
『歩くスイカ』や『突然変異クラゲ』、『人を操る影』など不思議な情報も多く、
『黄金町のミステリースポット』と化しているきらいもある。


―┘          ┌┘
―┐ H湖     ┌┘   ┌┐   住  宅  街   
  │      ┌┘   .┌ ..│...      ‖
   ┐     │    ┌ ┌┘       ‖←メインストリート
   │    │   ┌  │         ‖
    ┐   │  ┌  ┌..       黄金原駅
     │  └─┘┌―      ┏ ━■■━ ━ ━
  ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛    ‖←ネオンストリート
       │      └―┐黄金港.. 繁 華 街  
       └┐   ┌――┘       倉庫街
 ─────┘   └◎―――――――――――

512イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/30(日) 00:55:42
>>511

「そうか……ありがとなっ!
 気を付けて帰れよ! また襲われたりしねェようにな!」

去っていく鉤葛に、ニカっと笑ってブンブンと手を振る。

「おう!
 あっ、住所……えーっと、アタシはだいたい海にいるから!
 だからちゃんと取りに来いよな!」

取りに行くと言われても、そういえば住所がわからなければ取りに行くのも無理だろう、ということに気づく。
が、ここで住所を叫んでも一度で記憶できるか怪しいし……ということで、主な活動地域を伝えた。
ブンブンと手を振って、大きく叫んで鉤葛を見送る。

「『アディオス、アミーゴ(じゃあな、お友達)』!」

513鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/30(日) 01:09:19
>>512
「おうよ、また会おうぜ、アミーゴ!」

こちらも負けないぐらいの手振りで答える。

「ひゃははははははははははははは! ――やべーぞ、膝も笑うッ!?」

上機嫌な笑い声と、もうダメそうな叫び声をBGMに、夕日の向こうへ立ち去った。


後日、イザベルがジャケットを洗濯などしたのなら、
裏地に縫い付けられた万札を見つけるイベントが発生したとかしないとか。

514薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/03(木) 19:52:37
海を見ている。

「・・・」

特に理由は無い。海を見たくなったからここに来た。
海を見たくなった理由も特に無い。
いや、あるのかもしれないが、言いたくないか忘れたかのどっちかだ。

「ふん」

515タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/04(金) 23:39:12
>>514

     ザ
        ザァ  --ン

「こんにちは。」

声をかける。
理由とかはなく、先客だから。

「お近く、よろしいかしら。
 釣りをするのだけど――」

クラシックなメイド服を潮風に揺らす。
その手に持っているのは、つり具。

     「お邪魔なら、場所を変えますワ。」

大きな水色の目で水面を見て、言う。

516薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/06(日) 09:18:10
>>515
振り返る。
まだ涼しくなったとは言えないが、学ラン。校則ギリギリの長髪を、首の後ろで括って纏めてある。
それなりに整った顔立ちだが、彫り込まれたような眉間のシワ。険悪一歩手前の目つき。あまり人好きのする顔でもない。

「・・・釣り?」

ちょっと首を傾げ、相手の顔と持ち物と服を見て、ちらっと周辺(つまり砂浜だ)を見回し、

「その格好で?」

とりあえず一番突っ込みやすいところに突っ込んだ。

517タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/06(日) 20:00:24
>>516

「ええ。」

     ザッ

「この格好で、ですワ。
 生憎、釣りらしい服の持ち合わせがなく。」

もっとも、受容もされてはいない。
薄金から五、六歩ほど離れたところに、だ。

「手持ちで一番、動きやすい――着慣れた服を。
 それに、一番『格調高い』服でもありますワ。」

つまりどこにでも着ていける服だ。

「貴方は学校帰りということかしら?
 なにせ、もう二学期が始まっていますものね。」

準備をしつつ、話題を振る。
お互いお喋りしにきたわけでもないだろうが、雑談もまあよかろう。

518薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/06(日) 23:32:11
>>517
「ええ・・・」

そうなの? 女の人ってそういうもんなのかな・・・。

「でも絶対、針がからむとおもう」
「それに、ここからだとあんまり魚いないぜ。あっちの桟橋はいる。僕も釣りならあそこでやるんだけど」

ちょっと向こうにある桟橋を指さす。今は誰もいない。

「あとイクラはあんまり食わない。好みがあるのかな。とにかく虫団子とかそういうののほうがいい」
「サビキも最近全然食いつかないしな」

男の子は趣味の話になると饒舌になるのだ。
相手が初対面の女性でも。

519タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/06(日) 23:44:41
>>518

タタラは女だが、メイドだ。
それに、スタンド使いでもある。一般的女性ではない。

「アラ、そうなのですか。
 生憎、釣りの経験はあまりありませんで。」

桟橋をチラ、と見てから――

      「情報感謝しますワ。」

   ペコー

頭を大きく下げる。
二秒ほどしてから、上げる。

      「お詳しいんですのね、釣り。」

「サビキ釣りは初心者も安心、と聞いたのだけれど……
 季節の問題かしら? それとも、何か、こう――環境的な話?」

相手が饒舌なら、ほどほどにノろう。
釣りの知識は欲しいし、話のネタも欲しい。

520薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/06(日) 23:59:11
>>519
「季節もあるけど・・・でも今年全然だったから多分環境」
「サビキするなら倉庫街のほうにいいとこあるけど、土地柄が悪いし」

頭を下げられてなんか狼狽えかけたが、釣りの話に戻すことで平静を維持する。
確かに格好といい目の色といいなんだか一般人っぽくはないけど、女性なのは間違いないわけだ。

「それに今日は凪いでるしな・・・ここちょっと荒れてるくらいでそこそこなんだよな」
「多分あんまり、魚いないと思う」

やる前からなんだが、釣り糸を垂らすのが楽しい以外の理由で今日やる意味があんまり無いように思うので、言う。

「・・・釣ったら、晩ご飯にでもするのか?」

521タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/07(月) 00:12:51
>>520

「環境。地球温暖化とか――」

「いろいろ大変ですワね。」

難しい話は面倒だ。
少なくとも、雑談では。

     ・・・・海面を見る。

(波がないなら良く釣れるんじゃあないのね。)」

「倉庫街は、避けたいですワね。
 荒事になれば困りますもの。」

心得の有無の問題ではない。
荒事になれば、『罪』を作ることになりかねないし、怪我もするだろう。

「ええ、晩御飯にしますワ。
 焼き魚か、煮魚か……魚料理のリクエストがあったから。」

「帰りに魚屋で買って帰ろうかしらん?
 テレビドラマの釣り好きのみたく……バレるのがオチね。」

冗談かどうか分かりづらい顔で、そう言って、釣り具を拾う。
見込みがないことに長い時間をかけるわけにもいかない。

522薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/07(月) 00:51:06
>>521
「色々大変なんだろうね。魚も」

何せ食われるかどうかって話だものな。

「荒事はよくないよな。避けるべきだよ。
 そういや、ところで――」

片付け始めた(決断が早くていいな、と思った)女の人を見つつ、

「この辺でいい魚屋さんを知ってる。船で釣ってきたやつを売ってるんだけど」
「良かったら案内しようか」

せっかく来たのに、気分を折ってしまったかなという負い目もある。

523タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/07(月) 01:03:23
>>522

「漁師さんや、魚屋もですワね。」

何せ食えるかどうかの話だ。
・・・・ともかく。

「あそこ、殺人事件やらも起こってますものね。
 夜のネオンストリートがかわいく見えちゃうわ……と。」

そこで魅力的な提案を受けた。
笑顔(『模範的』だ)を見せるタタラ。

       「マア。」

(気が利くじゃない……)

「それなら、オチがつかなくて済みそうですワね。
 ええ、ぜひ。案内していただいてもよろしいかしら?」

実際これは助かる話だ。
釣ってきた魚を食わせるとは言ったが、自分がとは言ってない。

      (……嘘をつかずにすんだわ。)

524薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/07(月) 01:37:18
>>523
「・・・まあ・・・そうだね・・・」

何となく歯切れが悪くなる。
別に足を切断したからって死んだと決まったわけじゃあない。が、歯切れが悪くなる。

「近寄らない方が―――」「・・・」

仏頂面に拍車がかかる。
女の人に笑顔を向けられることに根本的に慣れていないのだ。

「まあ、誰が釣っても魚は魚だものな」
「こっちだよ」「・・・持とうか?荷物」

人として当然の気遣いだと思う。思うが、言ってから何となく気恥ずかしくなった。

525タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/07(月) 01:49:51
>>524

     「……?」

(何よ、急に。
 ……関係者?)

          (……罪人? まさかよね。)

目を細める、が――

「ええ、近づかないようにしますワ。」

……『疑わしきは罰せず』。
人吉多々良という人間の基本原理だ。

「むしろ素人仕事で釣った魚より、いいかもしれませんワ。
 餅は餅屋。家事はメイド、釣りは漁師ってとこですワね。」

そして。

     「ありがとう。」

(紳士的ね。)

紳士の申し出は断らないものだ。

「折角だし、お願いしますワ。」

  ヒョイ

荷物を渡す。
……ほどほどの重さだ。

526薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/07(月) 01:54:24
>>525
まさかだよな。
まさかこんな人相は悪いが人のいい高校生つかまえて『殺し屋』だと看破できるヤツなんていない。

「かも知れないな。やっぱり〆方が違うと、臭いが違うよ。全然生臭くないもんな」

言いつつ荷物を受け取り

「ふぐっ」

見た目よりそこそこ重かったのでちょっと声が出た。
釣り竿か何かがぐらっと落ちそうになるが・・・    ギャン!  ヒョイ   ・・・一瞬だけスタンドで支えて持ち直し、

「どういたしまして」

『スタンド使い』としては、ちょっとした隙だ。

527タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/07(月) 02:05:45
>>526

「釣った魚がウマい、って聞いて、張り切ったけれど……
 よく考えたら、それはその場で食べるから、って話なのかもですワね。」

     「達成感の味かしら。」

       コク

頷きつつ、歩き出そうと――

     ギャン!  ヒョイ


「―― ・ ・ ・・・・ええ。」

      (多いわね、スタンド使い。
        そう多いだけ……まさか、でしょ。)

特異だが……悪の要素ではない。
疑わしきは罰せず。深追いするつもりもない。

      ・・・・自分は閻魔様ではない。

「それじゃあ……
 案内お願いしますワ。」

      ニコ

重いか? などと聞くのも失礼だ。
メイドらしく、模範的な笑みを向け、出発を促す。

528薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/07(月) 02:23:53
>>527
「(・・・今、見てたかな。気のせいかな・・・そうだな。うん)」

「いや、魚は釣りたてより、一日二日経った方がうまいよ」

アミノ酸とかの関係らしいが、経験則以上のことはわからない。
だから魚屋さんでも一番うまいタイミングのを売ってくれる。

「じゃあついてきて」「そこ段差キツいから」

転ぶなよと注意を促しつつ、一緒に魚屋に行くのだ。
何ごとも無く買い物は終わるし、何ごともなくおいしい夕食が待っているだろう。

529タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/07(月) 02:30:54
>>528

垣間見えた『影』に、タタラは何も言わない。

「ああ、いえ。それは、総いうものだけれど――
 自分で釣った魚だと、達成感が調味料になるのかな、と。」

     「そう思ったんですワ。」

科学的根拠はない。
が、あながち大間違いでもない、気がする。

       ・・・・そして。

「ええ。」

「ご忠告、感謝しますワ。」

小さめのお辞儀。
そして薄金のあとに続き、魚屋へ。

      ・…今夜の食卓には、秋魚が並ぶだろう。

530鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 01:26:46
夏も終わり、本格的に秋に近づいていくある日。
夕暮れ時である。
砂浜に一人の少年が座り込んでいた。
和服に身を包み、肩まで黒い癖毛を伸ばしている。
膝を抱えるように座る彼はじっと海を見つめていた。

「……海きれぇやなぁ。」

ぼーっと海を眺めている。

531久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 01:37:17
>>530

  サク サク

日課のスケッチのために
わざわざ秋風のふく砂浜にやってきた墨彦。


  「あっ涼くんだ」


だったがこんなところで珍しく、見知った後ろ姿を発見だ。
そういえば、お見舞いのお礼がまだだった……(やべっ)


  ソロ〜〜〜〜


海を見つめる友人の背中に忍び足でこっそり近づく。

532鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 01:48:17
>>531

「……ん〜」

しばらく眺めた後、伸びをした。
クマのぬいぐるみのように両足を伸ばすと
太ももの上に編みかけの編み物が乗っていた。

「続きしよかな。」

編み物を手に取り、作業を始める。
後ろから誰かが近づいているのには気付けていない。

533久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 02:00:40
>>532

「(秋の海辺で何をしているのかと思えば……)」


  意外! それは『編み物』(しかもくま)!


涼くんにそんな趣味があったとは……
分かるような……分からないような……

しかし編み物作業中となると、背中からこっそり近づいて
ワーッと驚かせる作戦ができなくなってしまったな……(中学生並の発想)


                 ⇒ ソロ〜〜〜〜


いったん離れて、適当な物陰に隠れる。
そしてスマホをスチャと取り出して、
『ショートメッセージサービス』を涼くんに送るぞ。

連絡先はお見舞いの時に交換したし、普段もやりとりしているのだ(言い切り)。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

                                    ______
                                  /         \ 
                    未読          <    やあ    |
                    05:38  PM       \______/   フーィ



                                _________
                              /             \ 
                  未読        <    今ひまかい?   |
                  05:38  PM     \_________/   フィ

534久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 02:09:00
>>533 (自レス・訂正)

てっきりクマのぬいぐるみを編んでるものと空目しましたァ……!(ごめんなさい)

535鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 02:10:07
>>533

「……」
              「……」

編み物を続けている。
が、それは直に止められることになる。

ヴヴヴ

懐の辺りからバイブ音が響き、鈴元はスマホを取り出す。

「あ、墨彦さんやぁ。」

若干明るい声色の言葉が漏れる。

(ひまかい?やて。墨彦さん暇なんやろか。)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

                                     ______
                                   /         \ 
                    未読           │    うん    >
                    05:39  PM       \______/   

                                     ______
                                   /         \ 
                    未読           │  ひましてた   >
                    05:39  PM       \______/

536久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 02:17:40
>>535

「おっ。きたきた」

いたずらっぽい笑みが浮かぶ。
なんか適当な海の家かなんかの陰に隠れたまま、ぽちぽちスマホを打つ。

「へへ」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  <   ひましてた  |  既読            
    \______/   05:39  PM 

                                    ______
                                  /         \ 
                    未読           |    それ    >
                    05:39  PM       \______/   フーィ

                                _________
                              /             \ 
                  未読         |  誰かにあげるの?  >
                  05:39  PM     \_________/    フィ

                                _________
                              /             \ 
                  未読         |     (・∀・)ニヤニヤ   >
                  05:40  PM     \_________/    フィ

537鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 02:23:53
>>536

「?」

(?)

 ?彼は一体何を言っているのだろうか?

(それ?ん?)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  <   (・∀・)ニヤニヤ |  既読            
    \______/   05:40  PM 

                                    ______
                                  /         \ 
                    未読           |    ?      >
                    05:41  PM       \______/   フーィ

                                _________
                              /             \ 
                  未読         |  それってどれ?    >
                  05:41  PM     \_________/    フィ

                                _________
                              /             \ 
                  未読         │あ、送る相手間違えた?>
                  05:42  PM     \_________/    フィ

538久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 02:36:48
>>537

「ぷふっ」

素直なリアクションに思わず吹きだす。

「アハ……純真だなあ涼くんは」

笑いつつスマホをぽちぽち打つ。
フフフ、この文面ならどうだ?


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  < あ、送る相手間違えた? |  既読            
    \__________/   05:42  PM 

                                _____________
                              /                  \ 
                 未読          |  さーどうでしょう(・∀・)ニヤニヤ >
                 05:42  PM      \____________/   フーィ

                                 __________
                               /              \ 
                               |  そんなところで     |
                   未読         |  編み物してたら     >
                   05:42  PM     \__________/    フィ

                                  _________
                                /             \ 
                   未読          |  風邪引いちゃうよ   >
                   05:42  PM      \_________/   フィ

539鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 02:46:31
>>538

「へ?」

編み物、と久染は言った。
確かに今編み物をしている。
しかし、なぜそれを彼が知っているのだろうか。
病院のときのようにスタンドで悪戯しているのか?
                                 __________
                               /              \ 
                               |  墨彦さん         \
                               │   どこにいるの?      >
                   未読         |                 /
                   05:42  PM     \__________/    フィ

                                  _________
                                /             \ 
                   未読          |  僕のこと覗いてる? >
                   05:42  PM      \_________/   フィ

540久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 02:56:06
>>539

「フフフ」

気づいた気づいた。

ササーっと海の家の陰に身を潜めつつ、鈴元の様子をチラっとうかがう。
目が合うかもしれないし合わないかもしれない。

へっへっへ……病院での仕返しだ!

                                 ___________
                               /              \ 
                   未読         |  え? なんのこと?   >
                   05:43  PM     \__________/    フィ



                   未読                (・3・)〜♪
                   05:43  PM                        ポン

                                  _________
                                /             \ 
                   未読          | で、誰にあげるの?  >
                   05:44  PM      \_________/   フィ

541<ガオンッ>:<ガオンッ>
<ガオンッ>

542鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 03:08:37
「ん……とぼけてはるわ。」

きょろきょろと辺りを見回すが久染の姿には気付かない。
何度かスマホの画面と膝の上の編み物を交互に見る。
しばらくして、はぁ、と息を吐き久染に返答をする。

                                 ___________
                               /              \ 
                   未読         |     イケズ        >
                   05:44  PM     \__________/ 

                                 ___________
                                /               \ 
                   未読         |  墨彦さん用の贈り物   >
                   05:45  PM     \__________/ 

                                 ___________
                                /              \ 
                               │驚かせようと思って    │
                    未読         | 内緒にしてたのに…… >
                    05:45  PM     \__________/

543久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 23:03:53
>>542

         「………………」


           『 ゴ  ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ  ゴ 』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 < 墨彦さん用の贈り物  |      既読              
  \__________/       05:45  PM          

    __________   
   /                \ 
  | 驚かせようと思って    |
 <   内緒にしてたのに……  |    既読
   \___________/     05:45  PM
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


              「 な 」


     「 なんだってェェェ――――――――― っ 」



          ガ ――――――――z_______ ン !




ショック!
衝撃の文面を目の当たりにし、砂の上に膝からガクーと崩れ落ちて手をつく墨彦。


 「( ま……まさか彼が編んでいたのが
   僕へのプレゼントだったなんて!! )」


きっかけはささいなイタズラ心……
病院のお返しにチョッピリからかってやろーなんて浅はかな気持ちで……

ぼ……僕は……僕はなんてことをしてしまったんだァ!
(ウオオオオオオオオオオオ)



                  ヒョコ…

           

     海の家の陰から身を出して鈴元に姿を見せる墨彦。
     うつむき視線のまま、トボ…トボ…と鈴元のほうに申し訳なさそうな表情と足取りで近づいてくる。

     嫁さんにサプライズパーティするつもりが、
     クローゼットの中で間男との逢瀬を目撃した旦那くらいに悲しい背中だ……。


 と、鈴元のSMSに着信。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                                      ______
                                    /         \ 
                      未読           |     あの     >
                      05:46  PM       \______/   フィ

                                      ______
                                    /         \ 
                      未読           |  ほんとごまま  >
                      05:46  PM       \______/   フィ

                                      ______
                                    /         \ 
                      未読           | ほんとごめん… >
                      05:46  PM       \______/   フィ



動揺のせいか一回『誤入力』している…………。

544鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/18(金) 00:21:50
>>543

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 <  あの   |      既読              
  \__________/       05:46  PM          

    __________   
   /                \ 
 <     ほんとごまま      |    既読
   \___________/     05:46  PM

    __________   
   /                \ 
 <     ほんとごめん…    |    既読
   \___________/     05:46  PM
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「……」

鈴元の表情は変わらない。
ただ唇を少し尖らせて画面を見つめているだけだ。

(言い過ぎたやろか……)

誤送信に心が痛む。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                                      ______
                                    /         \ 
                      未読           |     うん     >
                      05:46  PM       \______/   フィ

                                      ______
                                    /         \ 
                      未読           |  もういいよ    >
                      05:46  PM       \______/   フィ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

すこし周りを見て、こちらに寄ってくる久染をみつけた。
が、特に声はかけなかった。

545久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/18(金) 01:03:42
>>544

トボトボ歩いていたが、
着信音を受けてスマホをチラ見。


         チラ


「(うっ………

  こ、この文面!
  『もういいよ』って、
  許しているのか怒っているのかわかんない!
  いや……なんだろう……
  ちょっと『悲しみの気配』さえ感じる!)」


文章のコミュニケーションはとっても難しい……
でも墨彦はこの文面から、そんな風に鈴元の感情を読み取った。




「ごめん涼くん!」


    ズッサ――――― ッ


声をかけられる距離にまで近づいたとたん勢いよく頭を下げる。
スライディング土下座だ!

546鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/18(金) 01:17:29
>>545

鈴元は何も言わない。
ただ歩み寄る久染を見つめている。

「なにが?」

頭を下げ、謝罪をする久染に鈴元がかけた言葉はそれだった。

「ちょっとよう分からんねんけどぉ。」

首に手を沿え、頭を上げさせる。
下を向かれると目を見てお話が出来ない。
だから顔を上げていただこう。

「なんに対して謝ってるんやろか?」

547久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/18(金) 01:35:06
>>546

「………………」


顔面を砂に埋めたままの墨彦だったが、
頭上から降りそそぐ鈴元の声色からすべてを察していた。



  『あっ これは怖いときの涼くんだ』

          と……



「……………
 あ、あの…………ううッ」


いきなり顔を持ち上げさせられ、驚きの声が漏れる。
涼くんのスキンシップはたまに僕の想像を超えていることがある……
し、しかしここは……誠意を見せねば……。



「な、なんていうか………
 涼くんは僕へのプレゼントを編んでくれていたんだよね。

 それを僕は隠れてコソコソのぞき見して……
 オマケに茶化すような言い方で何度もからかったりして。

 ちょっとしたイタズラ心のつもりだったけど、
 それは涼くんの厚意を損なう行いだったと思うよ……

 本当にごめんね」


伝えるべきことは伝えたつもりだ……
ど、どうだ……?

548鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/18(金) 01:59:09
>>547

首に添えた手、その指から久染の脈を感じる。
命の鼓動。止まることなく続く鼓動。
今この瞬間を久染が生きている証だ。
触れた頚動脈から生を感じている。

「ん?僕、怒ってへんよ?」

「バレたんは残念やけど、それは僕の脇が甘かっただけの話。」

いつものように笑って久染に話しかける。

「そういえば、ちょうどエエくらいやね。」

首から手を離し、編み物を編み始める。
割と速い。慣れてるのだろうか。それともただ単に器用なだけか。

「ちょっと待ってねぇ。」

   ……
                 ……
                               ……

「はい。できた。」

十分ほどして鈴元の手から久染の手へと編み物が渡される。
ネックウォーマーだ。水色っぽい色をしている。

「これから寒なるからね。
 いらんねやったら、返してくれてかまんよぉ?」

「それと、退院おめでとう。」

549久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/18(金) 21:04:38
>>548

「んえっ……?」

あれっ 怒ってないの……?


 首元から離れていく手を追いかけて視線をあげると、
 そこにあったのは いつもの優しい涼くんの笑み。


「う、うん……」

 まだ少し当惑ぎみのまま、
 言われるままおとなしく待っていると……


   ……
                 ……
                               ……


                パサ 


      「えっ」


 手渡されたのは出来たての編み物。
 

  「これって…………」


 手の中のものの意味を飲みこむように、
 おそるおそる鈴元の顔をうかがうと……



>「これから寒なるからね。
> いらんねやったら、返してくれてかまんよぉ?」

>「それと、退院おめでとう。」



      ガ ――――――――z_______ ン !

                          (本日二回目)


             「うっ」


                「うっう」


       「あ」


   「ありがとう涼くん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」


 感動のあまり大げさなくらい喜びの声をあげ、
 そのままガバ――― っと勢いよく鈴元に抱きつく(≒タックル)墨彦。


       「大事にするよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」


 さっきまで無駄にハラハラしていたおかげで感動も二倍だあ―――――ッ

550鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/18(金) 23:57:19
>>549

「うふふ。どない?」

最近はじめたが結構上手くいったと本人は思っているらしい。
実際どうであるかは人によるが、特に問題の箇所は見当たらない。

「え?あっ。」

急に抱きつかれたために砂浜に倒れてしまう。

「墨彦さん。もう、いきなり大胆やねぇ。」

そう言いつつ久染の服の背中側を掴む。
片手で掴んでいるが、その行為は久染の行動を阻害しかねない。

「そう言えば、墨彦さんここで何してはったん?お散歩?」

551久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 00:13:57
>>550

「うんうんッ、
 すっごくよく出来てると思うよ!
 これも一つの才能だね〜〜〜〜〜 って 」 


             「あッ!

              ごめんごめん!」



 鈴元を下敷きにしていることに気づき、
 慌てて立ち上がる…………


 立ち上が……


       ガッシィ―― ン



     ………れないぞ。あれっ……



 涼くん。その手は一体どういうつもりなんだ?
 なぜ僕の背中をひっ掴んでいる?
 鈴元涼…………

 掴むのはともかく理由を言え――――ッ!



 
 という流れが一瞬頭に浮かんだがしょせん掴んでいるのは片手だったので
 頑張って振り払って墨彦は立ち上がることに成功した(言い切り)。
 ポンポン砂を払い、倒れている鈴元が立ち上がるのに手を貸す。


「ん? ああ、僕のほうは日課のスケッチさ――――っ
 (といってスケッチブックを取り出してフリフリ顔の横で振る)

 それを言う涼くんのほうこそ、なんでまたこんなところで編み物を?」

552鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 00:30:45
>>551

「そう言ってもらえると嬉しいわぁ。」

にこにこ笑っている。
それは鈴元の平常であり通常であった。

特に抵抗をすることもなく片手を離させる。
深い意味はないのだろう。
聞けば答えるだろうが、別にいいだろう。

「へぇスケッチが日課なんやねぇ。
 僕絵ぇはあんま描かへんわぁ。すごいねぇ。」

「んー家で編みモンしてたら色々言われたから……
 まぁ、気分転換のついでやわぁ。」

553久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 00:47:30
>>552

「でへ……といっても まだまだ修行中だけどね!
 じつは僕、『マンガ家』になるのが夢なんだ……!

 だからこうやって毎日出かけては
 目に入った面白そうなものを描くことにしてるんだ〜〜〜〜っ」


デヘヘ、と後頭部を恥ずかしそうにポリポリと掻く墨彦。


「……へえ〜〜〜っ そうなんだ。 
 ……んっ? 『色々言われた』? ってどういうこと?
 家で編み物してちゃいけないの?
 外じゃ日が落ちたら寒くなるよ」


特に深い意味はなく訊ねる墨彦。

554鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 01:12:19
>>553

「うふふ。エエねぇ。」

「『夢があって、叶えるために行動できる』っちゅんは。」

けらけら笑って久染に対してぱちぱちと拍手を送る。

「あ、じゃあ今のうちに色紙にサインとかもろとこかなぁ。」

冗談っぽい口調ではあるが、割と本気で言っているようだ。

「や、編みモンしたらアカンとかは無いんやけどぉ……
 『誰にあげるん?』とか『自分にも作って』とかやね。
 友達に上げるっちゅうたら『店つれてきた女の子?』って聞かれるし。」

「家族とかお弟子さんとか友達とか大切な人に贈るために作っとるし……
 あんま見られたくないんもあるわ。」

だからわざわざ野外を選んだらしい。

555久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 01:24:35
>>554

「ま、また涼くんはそんなこと言って…………デヘ」

鈴元の拍手とおべっかに照れ笑いが深まる。(だらしない)


「ああ、そういうこと……アハハ。
 仲いいんだね………… えっ?」


ん?
ちょっと待って今聞き捨てならない言葉を聴いた気がするよ。


「…………『店つれてきた女の子?』」


涼くん…………
い、いるのか……君……もしかして『そういう人』が……

そういえば涼くんとはそういう話をしたことがないが……
ひょっとして涼くん……
そっち方面は僕よりはるかに『オトナ』……なのか……?


    『 ド ド ド ド ド ド  ド』


「えっ……それってひょっとしてか、彼女とか……?」

556鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 01:49:51
>>555

「そやね。仲エエんとちゃうかな。うん。」

言い切りはしなかった。
それは表向き仲良くしているとかそういう意味ではない。

「うん。店につれてきた女の子。」

復唱。
女性を店に連れてきたのは事実である。

「ん?なんで僕に彼女さんが出来んの?」

「ないない。」

手を振り否定する。
彼女がいない。それもまた事実だ。

だから心配しなくていい。
鈴元も子供だ。

557久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 02:10:37
>>556

「そ、そうなんだ。ほっ……」 (謎の安堵からくるため息)


  良かった……
  『ん? そうよ。これで七人目。前の彼女はねぇ……』
  とか続けられたらどうしようかと思ったぜ……

  涼くんはなんかそういうこと
  サラッと言ってもおかしくない妖しい雰囲気あるからな……(※偏見です)(いや偏見でもない)


もろもろ早合点が過ぎるがそこは中学三年生15才。
友達の色恋事情がたいへん気になるお年ごろなのである……


「ふう〜〜〜〜ん。
 その店につれていった女の人ってどういう人なの?」


まだまだ引き下がらないぞォ――――ッ

558鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 02:27:25
>>557

「そうそう。」

「んぇ?変な事気にしはるね?」

(彼女さんなんかおらんのに。)

久染の言葉を理解できるが、言葉にこもった意味までは読み解けない。

「えっと、東郷さん覚えてはるよね?あの人とか。
 部長……ミスコンの司会してはった子ぉとか。」

「後は、稗田さんとかかなぁ。」

「大体ミスコン関係やね。」

指折数えてみる。
そんなに数はいない気がする。
もしかしたら『店に連れてきた女の子』は身内のイジリ的な意味のある言葉なのかもしれない。

「墨彦さんこそ女の子にちょっかいとかけてへんの?」

559久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 03:03:06
>>558

「フムフム……

 東郷さん? …………あっ、日向さんか!
 そっか、お店に呼んでたんだね〜〜〜〜。

 部長? ミスコンの司会って……ああ、あのバニーガールの人!
 よくわからないけど、ブチョー? なの? あの人……

 後は? 稗田さ…………えっ」


          「稗田さ…………えっ!?」



予想外の名前に思わず二度見ならぬ二度聞きする墨彦。
まさかここで飛び出してくるとは夢にも思わない相手だ!


          「…………えっ!?」 (三度目)



  「ひ、稗田さんって………」


「れっ…… いや、ちょ、ちょっっかいって!!
 僕のことは今はいいじゃないかァ!!」


 真っ赤になって首を振る墨彦。


   「そ、それより稗田さんって……もしかして稗田恋姫ちゃん!?
    ミスコン関係って……ど、どういうこと?」

    金言部周りをまるっと知らない墨彦であった。
    説明をもとめます!

560鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 03:19:09
>>559

「うふふ。その反応、女の子にちょっかいかけた自覚あるみたいな感じやね。」

鈴元には自覚がない。いや、もとより女性にちょっかいなどかけていない。

「そうそう稗田恋姫さん。ウチの兄がフアンなんよね。」

それから鈴元は久染に金言部とミスコンについての解説を始めた。

其の一 金言部という富豪『銀杏羽 明日乃』を部長とする部活があること。
其の二 ミスコンは銀杏羽が色々と手を回して運営していたこと。
其の三 金言部員は銀杏羽から参加者のスカウトを頼まれ、鈴元もスカウトを行ったこと。
其の四 東郷日向など何人かスカウトしたこと。
其の五 稗田恋姫とは偶然出会ってスカウトしてみたらたまたま成功したこと。

以上である。
なお金言部は現在ミッションを開催中である。
詳しくは下記参照。
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1426951058/

「ちゅう感じ。」

「にしても墨彦さん
 エラい稗田さんのこと気にしてはるみたいやけどフアンなん?」

「それとも純粋に好きとか?」

にやりとちょっと意地悪な笑みを浮かべて聞いた。

561久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 19:37:45
>>560

>いや、もとより女性にちょっかいなどかけていない。

 ダウト


 それはともかく……



  ・      「ふむ」

  ・            「ふむ」

  ・    「ふむ……」




  「なッ なんだって―――――― っ!


   まさか涼くんが裏で
   そんなことをしていたなんて………」


 中学生にスカウトさす部活動っていいのか……?
 いやそもそも あんだけ大規模なミスコンが
 まさか『一部活の企画』で動いてたことにビックリだ。


    僕がいつも通ってる『秋映学園』で―――僕のすぐそばで、
    まさしくマンガみたいな世界観の話が展開されているってのに、
    僕は今の今までそれにまったく気づいていなかったなんて! (ショック!)


 鈴元の口から次々と飛びだす壮大なスケールの話に
 ポカーンとあっけにとられていると……突然 急角度!



>「にしても墨彦さん
> エラい稗田さんのこと気にしてはるみたいやけどフアンなん?」


      「っえ」     ドキィ――――――ッ!


>「それとも純粋に好きとか?」


          「ぉっ」    ド ド ドキィ―――――――ッ!



   「………………………」


  胸のあたりをギュッと押さえ、背を丸めて黙りこむ墨彦。
  その顔はさっきよりさらにまっかっかだ。


     「いっ……」

562鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 21:12:15
>>561

>ダウト

いや違う。本当だ。君は何か大きな思い違いをしている。そうだろう?

ともかくとして。
鈴元は解説を終え、結果として久染は驚いた。

「参加者の朱鷺宮さんも金言部の部員なんよ。」

「部長もエラいお人さんよねぇ……」

アレだけの規模を回したのだから。
いや、銀杏羽だけの力ではないだろうが彼女が色々と手を回していただろう。

……鈴元涼は恋を知らない。
また愛についてもよく分かっていない。
しかし他人の顔色については知っている。
久染の反応を見て鈴元はにっと笑っている。

「なるほど。」

「いっ?なに?」

もうちょっと様子を見てみよう。

563久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 23:47:35
>>562

  「いっ……」


        「…や、……」


     「その……」


 返す言葉と とるべき感情に迷っているのか、
 うつむいたまま真っ赤な顔で
 しばらく口をパクパクさせる墨彦。


    「……………」


 が、ギュ――――ッ と目を閉じて首をブンブン振る。
 何かの言葉を追い出すように、
 そうして次に顔をあげたときには、頬は赤くないし、
 もう瞳はまっすぐだ。



   「いや…………その……
    僕、そう、」


      「………『ファン』なんだ。『こいひめ』ちゃんの。
       すごく応援してる……」



 墨彦にとって 彼女との関係は、
 とても繊細で大切な何かだ。
 『そーいう言葉』で表したら 終わってしまいそうな……


     「そ……それだけ。ファンだったから、
      いきなり名前が出てちょっとビックリしただけ!」


 僕は彼女となにを約束したのか?
 自分の右手を見つめる……


              キュ

 ………少なくとも、今はまだ。



 「と、とにかく!
  すごいんだね〜〜〜〜ッ その『金言部』の部長さんっていうのは!
  なんだか活動もすごく楽しそうッ!」

 
 と、超強引に話題を変えよーとする墨彦。(オホンオホン)

564鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/20(日) 01:03:35
>>563

「ふぅん。」     
                「そう。」

鈴元は久染の瞳をじっと見つめる。
まるで中を覗き込むかのように。

「『ただのフアン』なんや。
 まぁ墨彦さんが言うんやたらそうなんやろうね。」

「墨彦さんがそう言うんやったらそうやし
 そう思うんやったらそうやわ。」

「もし違うくても言霊の力で嫌でもそうなるわ。」

追求するつもりない。
ただ久染の行動、言葉、顔、全て見て追求するつもりがなくなった。
少しイジワルな言い方になっているが、『ただのファン』なのだから気にする必要は無い。
そう、久染墨彦は『稗田恋姫の一ファン』だ。それ以上でもそれ以下でもない。
なら心に傷を負うことはない。

「そうそう。ウチの部長はすごいんよぉ。」

久染が変えたいのなら話題を変えよう。

「これからもミスコンみたいなことするんちゃうかなぁ。」

565久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/20(日) 23:59:32
>>564

>「もし違うくても言霊の力で嫌でもそうなるわ。」


     「うっ……」


            「ぐぐ……」


 突きはなすような鈴元の言い方に 一瞬、
 応じ返したい気持ちが喉元までググッと出かかるが、飲みこむ。
 自分が言い出したことだろ……! 突っかかってどーする!


       「…………」


   (でも鈴元をみる目には無意識のうちに
    少しムッとした気持ちが乗っている。)



 「ふ、ふーん……
  なんかあの人が
  すごい人だってのは伝わったよ。
  面白そーな人だね」


   そういえばミスコンのオープニングでも
   鮫を撃ち殺していたな…… (直接的すぎる表現)

   こういうマンガみたいにブッ飛んだキャラクターに
   墨彦はどーも弱いのだった。


 「でも、涼くんはどーしてそんな部活に入ろうと思ったの?
  なんかきっかけが?」

566鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/21(月) 00:42:43
>>565

久染の目の変化くらいは鈴元にもわかった。
鈴元にとって久染の反応は正直予想外のものであった。
久染は冗談っぽく、喜劇的な人間に見えるがキチンとした人間だと思っていた。
危険な状況にいざという時は自分を置ける人間だと、思っていた。
大切なことを大事に、出来ると思っていた。

(まぁ、別にエエか。喧嘩したいわけやないし。)

そもそも喧嘩は苦手だ。

「そやねぇ。オモロいお人さんやわぁ。」

案外幽霊が苦手だった気がする。

「僕は部長から入らんかっていわれたんよ。
 まぁ、いわれたから入った訳やないけど。」

「僕が入ったらオモロそうっていうてくれたんよぉ。」

「毎日店番とガッコに行くんの繰り返しで退屈しとった僕にそういうてくれた。
 僕はそれがホンマに嬉しゅうて、部長は信頼できるお人さんやって思うて……」

「やから、僕は金言部に入ったんよ。」

心の底からそう思っている。
珍しく本音を語る鈴元である。その顔は爽やかで、笑顔は晴れやかであった。

                       ソガイ
「それに、鈴元家家訓『進まぬならば背向に終わりの影あり。』」

「進めるんやったら進みたかったんよ。」

567久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/21(月) 01:33:29
>>566

 墨彦は何も言わなかった。

                                  . . .
 ことばにすることで失われてしまう 繊細な揺らめきや あわいが
 この世にはあると墨彦は思っているからだ。


  (そしてそれを ことば以外の方法で
   この世界になんとか縫い止めようとする試みが
   芸術であり描くという行動だと墨彦は信じている)


 けれど、
  . .. .. . .. . .. .. . . ... . ..
 ことばにしなかったことで失われてしまうもの というのもまた、
 この世にはあるのだろう……墨彦はそれに気づけない。
 ……さておき。



 「………
  ふんふん」



        「………」



 「…………
  そっかァ」


   「なんか……」


 なんとなく、
 なんとな〜〜〜〜くだけど、
 ちょっぴり分かった気がする…………

 金言部というのが……
 その『部長』という人が、涼くんにとってどういう存在なのか。


   「フフ。『進まぬならば』……かあ。
    いい言葉。僕も覚えておこっと」


 そういって楽しげに語る鈴元の顔を
 しばらく楽しげに眺める墨彦だったが、
 とつぜん吹いた秋の潮風を浴び、肩を抱いて身震いをする。


「うぶるるるるるる。
 な、なんかちょっと寒くなってきたかも……」

568鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/21(月) 02:21:57
>>567

鈴元涼はただ久染を見つめていた。

言葉を必要とせず、会話できるような
心のみで通じ合える、それが価値のあるものだと思っているし教えられた。

それは思いやりや心遣いであり、他人について深く知っていることであると思っている。
しかし、子供である自分には言葉にせねば分からぬことのほうが多いことも知っている。

鈴元涼と久染墨彦は違う。
同じ部分はあっても違う部分がある。
それがどういう部分なのか、鈴元は知らない。

「なんよぉ。もう。」

意味深な風に呟く久染に唇を尖らせる鈴元。

「『エエ言葉』やろ?家訓やもん。」

そういう問題ではないが鈴元の家への誇りがそういわせるのだろうか。
……そうこうしている内に久染が体を震わせる。

「あぁ、すんません。長話してもうたね。
 風邪引いたらアカンし、そろそろ帰ろか?」

そういって立ち上がろうとした瞬間、鈴元の動きが止まる。

「ねぇ。墨彦さん。もし、もしよかったらなんやけどぉ……」

「『金言部に入らへん?』」

「部長のことやしこれから色んなことする思うねん。
 そんな時、墨彦さんおってくれたらもっとオモロなる思うんよ。」

まっすぐな瞳で久染を見つめる。

「お願いできんかな?きっと損はせんと思う。漫画みたいにオモロくてすごいことが起きるはずやから。」

もしかしたら、面白い出来事も呼び起こすかもしれない。

569久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/21(月) 23:31:25
>>568

 「えっへっへっへ……………… へっくし!」  ブミャー


 唇を尖らせる鈴元に
 思わせぶりなニヤ顔でこたえる墨彦だったが、くしゃみ。


「うぶるる、かたじけない………
 なんかついつい いっぱい話しちゃったね」


 二の腕をごしごし擦りつつ
 友人が立ち上がるのを待つ。


 が、彼から返ってきたのは
 意外な誘い文句だった。
 
 

  「………」



      「………」



   「涼くんがそこまで言うんだから、
    ほんとにほんとに素敵なところなんだね――」


    その瞳がなによりの、だ。
    墨彦も正面から見かえして応える。


  「わかった。『入るよ』」



      「………………
       ………………
       って言いたいところなんだけど……


       僕 『漫研』に入っちゃってるんだよね、
       実はすでに……」


    タハハ、と申し訳なさそーな笑いを漏らして
    頬をかく墨彦。



    「えーっと……
     『掛け持ち』でもいいのかな?」

570鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/22(火) 00:21:28
>>569

「あぁ、大丈夫?寒かったらそれ使い。」

それとは先程渡したネックウォーマーだ。
まぁ暖かいだろう。

「ホンマ?」
「ホンマに?」

「おおきにぃ。」

それは満面の笑みであった。
喜色満面。今にも久染に抱きつきそうで、鈴元の心から喜びが発露しているのだ。
本心を隠し、繕われた外面と
掴めない言葉で生き続けた男の珍しく見せる本心だった。

「兼部も全然大丈夫。」

「僕らはいつでも歓迎するよぉ。」

右手を差し出した。
約束の握手だ。友情の握手だ。
仲間を歓迎している握手だ。

「墨彦さん。行こか。」

571久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/22(火) 00:46:44
>>570

 「う、うん」


  「うん」


   「………」


 「そ、そんなに喜ばれるとこっちが
  照れちゃうなァ〜〜〜……」


 後頭部をポリポリ掻きつつ、
 デヘヘと 正直に照れ笑い。

 けれど珍しい――友人の満面の笑顔を見れて、
 今は悪くない気分だ。

  これだけ笑顔になってもらえただけでも
  YESと言った価値はある……かな?
 


 もらったばかりのプレゼントを、
 さっそく頭からかぶりつつ。


 「でへへ………
  あったかァ〜〜〜〜い」


    「超あったかいよ涼くん!」


 頬までネックウォーマーに
 うずめてホクホク顔だ。

 そして差し出された鈴元の手に、
 こちらも力強く右手を出して応じる。


 「こちらこそ。
  いつもありがとう。

  そして、これからもよろしくね、涼くん」


      ギュ


 「〜〜〜〜〜よしっ!

  せっかくだから涼くん、このままウチくる?
  ごはん食べて行きなよ――――」


 波の音を背に、墨彦は歩き出していく。
 友人とふたり、肩を並べ、同じ歩幅で――

572鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/22(火) 01:14:27
>>571

「うふふ。なんでよぉ。」

その顔は徐々に普段通りの笑顔に戻っていく。
本心を見せるのは一瞬だ。

「暖かい?よかったわぁ。」

「うん。これからもよろしゅうね。」

久染と並んで歩く。
二人の影が歩いていく。
二人の行く先には何があるのだろうか。

「ご飯かぁ。墨彦さんのご両親にご挨拶せんとねぇ。」

鈴元涼→『ネックウォーマーを渡す』

久染墨彦→『金言部 入部』

573錏葉九郎『ザ・シグマ』:2015/09/27(日) 23:09:28
「おー」

「いい流木」

薪を拾いにきた。
砂浜に打ち上げられた流木は薪に良いと何かの本で読んだのだ。
そういうわけで流木を拾っている。
小さいのも大きいのもある。運べないような

  「フン!」

    ベキ。

人の胴体ほどあるようなやつは叩き割って、細かくして、どでかいカゴに入れるのだ。

574立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/10/06(火) 22:44:24
>>573
「…………」


テトラポッドに腰掛けた小学生くらいの女の子が、
ぼうっと海を眺めていた。


「……ん……」


ふと、錏葉に気づき、流木を拾っている姿を目で追う。


        じー

575立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/10/12(月) 00:30:56
>>574
「ふあ……」


しばらく眺めていた少女であったが、
眠そうにあくびをすると、そのうち、うとうとし始め


「はっ……」


時計を見ると、慌てて帰っていった。

576黄 町 断 ル ラ イ with:2015/10/13(火) 23:25:24
秋も半ば、そろそろ冬物の衣類を準備し始める季節の某日の朝十時。

足跡も轍も無いまっさらな砂浜。

波の音だけがただ引き続けているその砂浜の真ん中に、
大きな『何か』が、ポツンとある。大きさは小型のバスほどだろうか。

『何か』と形容したのは、それには上から全体に大きな布がかぶせてあり、
詳しい形や、色などが解らない様になっているからである。


 ザザァー
                ザザァーン

577音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/10/13(火) 23:41:16
>>576
「……おい、何だこれは?」


    「クジラの死骸でも流れ着いたか?
     変な臭いとかしないだろうね、――――どれどれ」


ランニングシューズにハーフパンツ、ウィンドブレーカー。
いかにもランニング中という格好で足を止め、足元の珍物を訝しげに見下ろす。
海難物なのだろうが、それにしては周囲に人気も見えない。
周囲の様子を見るに、まるで空から落ちてきたかのようだ。


       ガシッ


布の端っこを掴み、持ち上げて捲ってみる。

578黄 町 断 ルトラ イ with:2015/10/13(火) 23:50:38
>>577
布の端を持ち上げれば、そこから現れるのは径の大きい『タイヤ』だ。
どうやらこれは『大型車』らしい。

しかし、肝心の車体の部分まで布をまくることは『できなかった』。
まるで『接着剤でくっつけられている』かの様に、布はそれ以上ピクリとも動かない。


「あー……うーん」

布の中から、唸り声のような物が聞こえた。

579音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/10/13(火) 23:59:49
>>578
「――――お、おい!?

 大丈夫か!?  クソッ、唯の『事故車』じゃあないかッ!
 せめて、私が『落とし穴』に引っかかるくらいで済んで欲しかったッ」

『横断幕』を引っ張るように砂浜を走った『ジープ』が、
砂にタイヤを取られて転倒、布を巻き込むように倒れこんだのか。
何にせよ、運転手が心配だ。この砂浜には『足跡』も『轍』もない。
――――つまり、事故が置きてから時間が経過している可能性がある。


    「だ、誰か!  誰か来てくれッ!
     人手が必要なんだァァ――――」


         「クソッ、埒が明かないぞッ!
          『ジュリエット』、救いの手となれッ!」


                           ジ ュ リ エ ッ ト
周囲に大声で助けを呼びつつも、遂には、『 両 手 剣 』を発現。
右手に発現したそれを逆手に掴み、肉厚な刃の切っ先を布に宛てて滑らせる。
『捲くる』のではなく『切り裂く』。『コの字』に裂いてから布を捲り、声の主の様子を見る。


        「しっかりしろォォ――――!!」


               「もう少しだぞォォ――――!!」

580黄金町 断 ルトラ イ with:2015/10/14(水) 00:24:01
>>579
大声で助けを呼ぶピエール。
砂浜沿いの歩道を歩いている若い男性が見える。
距離的に考えて、その声は十分に彼に届いているように思えた。
 

  「しっかりしてます。してますともォ〜」
 
  「だけど残念。そのパターンはもう『見た』んですよねえ」

         布の奥からの声。


歩道を歩いていた男性は、ピエールの声に応えることなくそのまま歩き去っていく。
一瞬視線があったような気がするが、特に大きな反応は示さなかった。

しかし、
『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』の刃は、布をコの字に切り裂いた。


「お」

「この流れは、『初めて見た』ですよ」
「なかなか貴方、『新しい』ですね」


コの字に切り裂かれた部分の布のみがめくれて、隠されていた物の一部が露わになる。

そこから現れたのは──艶のある黒髪を伸ばしたケツアゴの男性。
いや、これはピエールの顔が映っているだけだ。

布で隠れていた部分は、どうやら『鏡』になっているらしい。

581音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/10/14(水) 00:36:36
>>580
「な、なんだこりゃあ!?」

捲った先に見えたのは己自身、――――否ッ!
曇りのない鏡だ。しかし、車両の何処にそんな鏡を付ける必要がある?
鏡面ガラス窓とは考えにくいが、バックミラーにしては大き過ぎる。

>「この流れは、『初めて見た』ですよ」

>「なかなか貴方、『新しい』ですね」


        「――――や、やられたッ!

         貴様、私に『ドッキリ』を仕掛けたかッ!
         ええい、怪我人を装ってイタズラとは恥を知れッ!」


鏡には羞恥と怒気で顔を真っ赤にしたピエールが映るだろう。
『剣』を持たぬ対の手を握り、鏡に思いっきり拳をぶち込む。

582黄金町横断ウルトラクイズwith……:2015/10/14(水) 00:56:12
>>582

「ああ、そんなつもりはなかったんですよ」


鏡面の奥から声がする。
次第にはっきりと聞こえるようになったこの声の主は男性のようだ。


興奮したピエールの拳が鏡面に炸裂する。

だが、『何も起こらなかった』。

殴った鏡面には傷一つつかず、ピエールの拳にも衝撃は走らず、激突音もしない。
ただ、壁を殴った様な感触はあるが痛みも無い。



「そのパターンは、それこそ何回も『見た』んですよ」

「どんなに人気があっても、どんなに素晴らしくても」

「何回も見られたら、飽きられて、意味を持てなくなっていくのです」

「すべて、すべてが」


  ブロロロロ……


布の中から響き始めるエンジン音。
車輪が砂を弾きながら、ゆっくりと前進し始める。


「でも貴方はそこそこ新しかった」

「これで貴方が『18歳以上の女性』だったら……いえ、自称でも良いんですけれどねフフフ」



布をかぶったままのそれは、次第に加速を始める。
ここから去るつもりのようだ。

583黄金町横断ウルトラクイズwith……:2015/10/14(水) 00:58:00
安価ミス
>>582>>581です。

584音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/10/14(水) 01:05:43
>>582
「逃がすかッ!

  ――――貴様の『善悪』をハッキリさせるッ!」


『自動車』が加速を始めるよりも先に、左手に『ザ・リックス』を発現。
地面に這うと『盾』を後輪に押し当て、『移動』する『パワー』を奪う。


      「『温故知新』を知れッ!
       手始めに『人を騙す』とどうなるかってところだ!」


『ジュリエット』の柄を押し付け、『紋章』を吸収する。

585黄金町横断ウルトラクイズwith……:2015/10/14(水) 01:42:42
>>584

「……ほほう」

「凄いですね。正解は『無効化』?『吸収』?」

「正確な『解答』を出すには、時間が足りない様な気がしますね」


布に包まれた車両は動かない。否、動けない。
『ザ・リックス』が『移動するパワー』を奪っているからだ。


「とにかく『スタンド』の力ってのは凄い。奥が深い」

「誰も見た事が無い『新しい』『力』。良いですよね」

  
  ブロロロロッ!


エンジン音が強く鳴り響く。


「『善か悪か』。そんなの、どう答え立って『正答』だし、『誤答』ですよ」

「ともかく、今回は『貴方の勝ち』です。ああ、また材料を集めないと」

「それではさようなら、『挑戦者』さん。賞品はいずれお渡ししますよ」

     ブオンッ

                  ガシャッ ガシャ

              ガシャガシャガシャッ


ピエールの反対側から飛び出す大型の『オフロードバイク』。
フルフェイスのヘルメットをかぶった男の運転するそれは、
猛スピードで疾走し、瞬く間に彼方へと消えた。


                  ガシャッ ガシャ

              ガシャガシャガシャッ

      ガシャンッ!

布に包まれていた物が崩れていく。

露出されていたタイヤとホイールも瞬く間にボロボロのスクラップへと変化していく。



    ……ブオオオオン

その場に残されたのは、巨大な布に包まれた大量のスクラップ。

586音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/10/14(水) 01:56:20
>>585


         ギャルルルルル――――


  「(『回転』の刃でタイヤをバーストッ)」


                           「(『振動』の刃で車体を切り裂くッ!)」


     >ブオンッ

                  >ガシャッ ガシャ

              >ガシャガシャガシャッ


     「――――――ッ!?」


          「しまっ――――」         「『デコイ』ッ!」


飛び出したオフロードバイクは一陣の風のように己から遠ざかっていく。
眼前の自動車はスクラップとなって崩れ落ち、砂浜に散らばったのだ。


    「な、なんだったんだ……?」


まるで妖精に化かされたような一連の事態にポカンを大口を開けるも、
やがて、散らばったゴミ達を片付けようとパーカーを腕捲くりする。


     「全く、今日はなんて日だ!」

             「とにかく、これをどうにかしないとな……」


エッチラオッチラとスクラップを引きずって、砂浜の隅っこに置いていく。
やがて、人目に付かぬ場所へと置き去れば、ランニングコースへと戻っていった。

587荒咬『ザップ』:2015/10/18(日) 02:06:39
「ふー、季節の変わり目は寒かったり暑かったりして、調子が出ないなあ」

海を眺めながら、『ダイヤルを回す』。

※次にレスする人は、詳細を読んで荒咬が『どこに移動するか』をレスの秒数下一桁で決め、URLを指定してください。
  1レスのみで構いません。お気軽にどうぞ。

『ザップ』能力詳細
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1311712763/564

588ようこそ、名無しの世界へ…:2015/10/18(日) 02:18:41
>>587
残念。フィレンツェ行きには間に合わず――

【場】メインストリート その4
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1424962526/

589荒咬『ザップ』:2015/10/18(日) 02:21:53

            『ZAP』!

→ ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1424962526/799

590稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/27(火) 00:40:07

恋姫はもうどうしようもないし、どうしたらいいかもわからなかった。

     ザザーーン

「……」

        ゼェ   ゼェ

肩で息をして、砂浜に体育座り。
内心ドラマみたいだな、と思った。悲劇に浸りたい自分がいたのか。

「クソゲーだな……人生は。
 えひ……鬱ればいいと思ってやがるんだ……」

         《オォォォオオオオ》

己の精神の像に語りかける。
虚しい気分だ。

     《オォォォ……》  

        ボボボボ

黒衣のヴィジョンから、不完全燃焼気味に青い炎が吹く。

あったと思ったものは、無かった。
怒り、恐怖、それに……心に空いた、穴。

591トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/27(火) 01:29:49
>>590
「人生にお悩みですか?」
           『スッゲー燃エテル』
「んっふっふっふ」
        『イイノカソレ、スッゲー燃エテルケド』

後ろから声をかける。
長身、金銀マダラに染めた髪、安物のスーツ。そろそろ寒いのでコート。
そしてその傍らでひたすら『青い炎』にツッコミを入れる羊角剛健の『スタンド』。

592稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/27(火) 01:58:30
>>>591

       「ん……」

      グイッ

座ったまま、首を後ろに傾けて、その姿を見る。
金銀まだら頭。ある依頼で共犯者だった――

「……あー、ええと…………探偵か。おっすおっす」

         ボ  ボッ

「えひ……燃えてるんじゃないよ……
 こういうもんなんだ、僕の『ブルー・サンシャイン』は。」

       「……あんまじろじろ見んなよな。」

     ォォォ 
          フシュン

ヴィジョンは掻き消える。
炎を指摘されて、何だか、気恥ずかしいような――  

      ・・・・まあ、ともかく。

「……探偵ってジョブは、あれか?
 『カウンセリング』もやんの……?」   

        「僕、今自分語んのめっちゃ捗るけど……」

陰気な笑みを浮かべる恋姫。
誰かに話を聞いてもらうと、楽になるか?

         ・・・・そもそもこれは悩みなのか?
           ・・・・それとも一過性の感情なのか?

593トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/28(水) 19:48:04
>>592
「やあ、どうも」「お久しぶりです」

奇妙なことだが、知らない仲でもない。

「その節はどうも」  『ソーイウモンナノカ?』

ごく自然に上から見下ろす形になるが、気にしたふうもなく。そして『LoG』は消えた『ブルー・S』のいたところをじっと眺める。特に意味はない。

「いや、業務には入りませんが」
「そもそも芝居がかった言い方をすれば、ぼくらはいわゆる『戦友』」
「その友人が、何か知らないが相談をしようというのに、金を取るなんて真似はとても致しかねますねえ」「んっふっふ」

「何か思うところが? あのあと、何かありましたか」

すっと『稗田』の隣りへ移動するトミー。
こういう感じの話は、顔を突き合わせるのが厭なタイプの人もいるからだ。希望があれば座るし向くが、とりあえず隣りに立ち、海を見ている。

594稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/28(水) 21:56:27
>>593

「どもども……そういうもんだよ。僕のはな……」

        ・・・・

     ・・・・

消えたヴィジョンは少しの熱も残さない。

「戦友って。えひ、漫画とかでしか聞いたことないぜ……」

      (……言ったことはあるけど。
       こいつそういうキャラだったのか……)

            ニマ

陰気な、笑みを浮かべる。

悪い気はしない。
事実、的外れでもない――

「まあ……ありがとな……」

隣にトミーが来たのを察する。
向き合って話したい、とは思わない。この位置がいい。

         ・・・・海は穏やかだ。

「……僕も、あんま整理できてなくて。
 チラ裏でやれって感じも、するんだけど……」

           「あー……」

自分の心のアウトプットは案外、難しい。
頭を小さく掻いて、体育座りの膝に顔を埋める。

「……妹が出来たと思ったら……朝起きたらいなくなってた。」

      「実際んとこは……
       そういう能力を食らったっぽい……」

シンプルな――スタンド攻撃を受けた、という話だ。

595トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/28(水) 23:13:52
>>594
「ほう?」

じっと黙って聞くが、『能力を食らった』という言葉に返す。

「人がいなくなるのは簡単です。自分の足で歩けばいい。そういった可能性や、あるいは妹さんが寄りそうな場所まで考慮に入れた上で」
「『スタンド使い』である君が『いなくなった』と言うならば、なるほど、深刻だ」

あるいは『スタンド使い』『だから』。そうなのか? という疑問は口には出さず、その単語を僅かに強調する口調で問う。

596稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/28(水) 23:38:14
>>595

「……僕、一人っこなんだ。妹なんかいるわけない……
 義理のもいないし……腹違いもいない……いるわけない。」

顔を上げないままに、恋姫は言葉を紡ぐ。
事実をかみしめる。妹などいない。

「……いるわけないんだ。
 現実はゲームじゃない……
 いきなり妹が出来るなんてありえない。」
          
       「でも……昨日は妹がいたんだ。
        家族になる『能力』ってやつで……
        僕の妹に成りすましたやつが……いた。」

――稗田鈴野。
存在するはずのない妹。

「……朝起きたらそいつがいなくて……
 妹なんかいないってこと、思い出して……」

       ギュ

        「……わかんないんだ。」

膝を強く抱える。
自分の心の炉に、何が燃えているのか、分からない。

            ザザ --ン ・・・・

海は答えてくれない。
探偵は、どうだろうか。

597トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/29(木) 00:05:11
>>596
「あ、成る程」

『妹』が『スタンド能力』によって『いなくなった』のではなく
『スタンド能力』によって『妹』に『なりすました』誰かがいる、という意味だった。

「いや、これは早とちりでしたね。んっふふふ」

「要するにそれほどまで深く『思い込む』ほどの能力」
「しかし能力は解除されたようだし、君も状況はきちんと把握しているようだ。問題は」

稗田には見えないが、首を傾げつつ。
阿南トミーは探偵であり、探偵は事実を事実としてのみ取り扱う。
阿南トミーは人間であり当然、人情を充分に理解するが、既に起こった事実、それが誰かの仕業であれば、思考するのはただ二つ。
『ゆるす』か『ゆるさない』か、だけだ。

「君がどうしたいか、では? まず敵――いやいや、その相手が何を目的にしていたのか。知っているならそれは達成されたのか。ならばそれを君はゆるすのか?」
「分からない時こそ、一旦整理してみることが肝心ですよ。ご存知の通り、この世には何が埋もれているのかわからない」
「君自身に何の覚えがなくとも、誰かが君を狙うのかもしれない。その敵――ではなく相手が初対面でも、相手からしたら違うかもしれない」
「考えて、行動することだ。悲嘆にくれるのはそれからでも遅くはない。それこそ還暦過ぎてからでも遅くはないどころか適齢期なんだから」

「『わけのわからんことで心を千々に乱れさせられる』なんていうのは、一刻も早く解決するべき重大な自由の侵害なんですから」

598稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/29(木) 01:22:25
>>597

「考えて、行動する……か……」

「そう……だよな。
 理由……それか、なんかのフラグがあるはずだ……
 それこそゲームじゃないんだし、超展開はない……常識的に考えて。」

       グイ

探偵の助言を受け、恋姫は少し顔を上げた。陰気な笑みが戻る。
正体不明の妹・鈴野にも、『バックボーン』はあるのだ。

                 ・・・・あるはず。

「目的……ぽいことは言ってなかった……
 攻撃とか……物盗むとかも、されてないし……」

        「あ……」
 
            「……距離、近かったなそういや。
            それなんて百合アニメってくらいベタベタしてきた……
            やっべ変態じゃん……こわちかだな、えひ。」

     「……」

恋姫に近づくことが目的。
……そう考えるのが自然か? 

        ――お姉様。

そう呼ばれた声。表情。そして、あの『告白』の意図――
心に空いた穴のような、気持ち。

       「……探偵、人探しは本業だよな……?」

『またね』――もう一度会えば、何か分かるのか?

599トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/29(木) 23:22:45
>>589
「ぼくは何でも本業ですよ」「んっふふふふふ」

稗田の思考に水はささない。
『人探し』という単語に返す。

「少々お時間はいただくかもしれませんが」

600稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/29(木) 23:56:11
>>599

「……えひひ。
 頼もしいよな、お前って……」

恋姫は顔を上げ、トミーの方を向く。
お姫様としてじゃあない、『稗田恋姫』として――

「……鈴野、って名前で……見た目は小学生くらい……
 ほんとの年は分からないけど……髪はちょい青っぽい。目は黒……」

       「……スタンドは、『フナムシ』。
        僕が会ったのは、ZUTAYA……」

鈴野について、知ってることは話す。
見つけだす、意味があるからだ。

自分はRPGの無能な王様じゃあない。
出来ることは、する。

「……全然、知らないんだ。あいつのこと。
 お金は……払うよ。……50ゴールドなんて言わない。」

        「……頼める、か?」

恋姫は真剣な面持ちで、言った。

601トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/30(金) 00:31:23
>>600
「名前まで分かっているとは、これはけっこう」

   チャッ

鈴野。
小学生のような見た目。
黒い目。青っぽい髪。
『フナムシ』の『スタンド』。

           Pi

聞きながら、フリック。メモは重要だ。記憶力とは曖昧だからだ。

「ZUTAYA。日常的に利用しているならば、レンタルと返却で二回。んっふっふっふ」

探しやすい。

「もちろん、引き受けましょう。探して見つけたらどうします? 『目的』まで吐―――調べるべきでしょうか」
「それとも、連絡をするべきでしょうか」「おっと、後払いで結構。当然お安くしときますとも」

602稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/30(金) 00:39:16
>>601

   チャッ

           Pi

「えひ……まじで探偵なのな。
 あの仕事んときは、探偵カッコ物理だと思ってた……」

        「……ありがとな。
         受けてくれて……」

陰気な、しかし満足げな笑み。
上手くいくかは、分からないけれど――

「見つけたら……連絡でよろ。
 電話番号は、教えとくから……」

      「……悪用は禁止だかんな。
        プライスレスなレア度だぜ、僕の番号……えひひ。」

スマートフォンを取り出して、電話番号を教える。
探偵に依頼する以上、まあ当然のことだが。

            ・・・・少しは、もやが晴れた。

603トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/30(金) 01:07:44
>>602
「わかりました」「あ、これぼくの番号です」「知らない番号には出ないって依頼人もいらっしゃいますし、一応」

電話帳登録は番号のまま。顧客のは名無しだ。個人情報だし、この程度は充分記憶力の範囲内だ。

「お礼なんて水臭い。では、見つけたら連絡しますよ」「ちょっと声に張りも出てきたようだ」

  ニカッ

笑いかけ、踵を返す。鼻歌混じりに。呼び止められないなら、このまま砂浜を去るのだ。

604稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/30(金) 01:17:07
>>603

「……登録しとくわ。
 えひ、やったね恋姫電話帳が増えたよ……っと。」

           pi
pi

番号は登録した。

「じゃ……頼むな、探偵。
 緊急クエストってわけじゃないから……」

なるはや、ってところだ。
自分でも、探そう。他にもやることはあるけど。

        「……えひ。
         んじゃ、朗報待ってる。」

            「おつー……」

     ニマ

笑い返し、小さく手を振る。

605関東 也哉子/ヤーコ『一般人』:2015/12/03(木) 23:49:05

    ザザーン

          ザザーン

夕暮れ時の砂浜。
陽も傾き、夜も近いかという時間。

   「……そろそろかなぁ」

一人の少女が、潮風を受けながら佇んでいた。
白いつば広帽子、ベージュのコート、淡いブルーのロングスカート。
黒の長髪が風で乱れぬように手で押さえ、もう片方の手には安物のデジタルカメラ。
沈む夕日を眺めながら、そんな少女が佇んでいた。

         ブ ワ ッ

           「あっ!」

と、その時、ひときわ強い潮風に煽られ、帽子がするりと外れて飛んでいってしまった。

606関東 也哉子/ヤーコ『一般人』:2015/12/05(土) 02:26:35
>>605

   「ふぅ。潮風、強いなぁ」

ざくざくと砂浜を歩き、飛んでいった帽子を拾う。
砂を払って、被り直して。

    「……よし、ピッタリ」

振り返れば、陽が沈むところ。
この風景をしばらくデジカメで撮影して……陽が沈むころには、少女は去って行った。

607葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/07(月) 03:36:39

「…………」


    ザ

       ザーン ……


穂風は砂浜を歩く。
今日は仕事もなければ、書類も届かない日。

        (あ……綺麗な、貝。)

    ザ 

しゃがみこんで、貝殻を拾った。
こうして『ビーチ・コーミング』に興じるのは、楽しい。

「……」

      ニコ-

穂風はその貝を、日に翳してみる。
あまり、意味はないけれど。

              ・・・・ひさびさに、心休まる時間。

608葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/10(木) 04:41:10
>>607(続き)

    ザ
         ザーーーン


「わっ……」

          バチャ!

         「たっ!」

(つ……冷たい。
 冬の海って、こんなに……)

寄せる波が脚を濡らす。
冬の海は、冷たい。

          ザ
             ザーー ・・・

  「……えへ、へ……」

        パチャ

       「つめたっ」

                 ≪……お嬢様。
                  お風邪をお引きになられます。≫

    「……」
                    その傍らには、スタンドの像。
                    蝙蝠傘を人型にしたような、不気味な像。

穂風はそれを、不服そうな目で見る。
そんな様子が、今砂浜にはあった。

609春夏秋 冬樹『メメント・モリ』:2015/12/10(木) 23:29:44
>>608
「――――ちょいと、嬢ちゃん」

穂風の背中に、声がかけられる。
振り向いたなら、『灰色』のコートを着た、
初老の男が目に入るだろう。
男は、右の頬に、『ウサギの手』の『刺青』を入れている。

「こんな季節にどうしたんだい・・・?
冬の海なんて眺めても、寂しいばっかりじゃないかね」
「ま、余計なお世話かも知れないが」

『人型』をちらりと見やると、そう言って煙草を吹かす。
冬の寒天に、紫煙がゆらゆらと漂う。

610葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/10(木) 23:52:14
>>609

     ピク

   …クル

「あ、う……は、はい。
 あの、私……ですよね?」

       (な、何、だろう……?
        刺青……スタンド、使い――?)

穂風は振り返る。
片目に掛かった赤い髪、蝙蝠のような大きなリボンが揺れる。

             ≪…………≫ 

             傍らの像――傘の従者は男に視線を向ける。
             見えているのだろう。ゆえに品定めするように。

         パチ

穂風は問いに、目を瞬かせて。

「あの、お散歩……しに来て。」

        モゴ

「海……砂浜を歩くの、好きなんです。
 その、綺麗な貝殻とかが、落ちているので……」

           モゴ

ややもごもごした口調でそう答える。
そして、穂風は足元に寄せる波を見て。

       ザ ザ ――― ・・・

「……冬の海は、その。
 冷たいですね。それに……」

「……それに、確かにちょっとだけ、寂しい、かも。」

穂風はそういうと、沈黙する。
波の音。
くゆる煙。

   ・・・・

        ・・・・

今日の穂風には少し、この場所が広く感じていた。
そういう事を感じる『余裕』が、心にある穂風だった。

そしてふと、気になった。

    「あの。貴方は、どうして……?」

              ・・・・ここに来たのか?という意味。

611春夏秋 冬樹『メメント・モリ』:2015/12/11(金) 00:11:51
>>610
「キヒヒ・・・他に誰もいやァしないさ」

男は笑った。風に吹かれる枯れ草のように、乾いた笑いだ。
『従者』は男を見る。男の表情は柔和だが、
瞳は、眼前の海よりも冷たく、淀んでいる。

「『貝殻』ねえ。いいね、『ロマンチック』だ。
あっしにゃ、貝ってえと『酒の肴』としか思えないが」

そう言うと、また一服。
白い空に消える煙を、何ともなしに眺める。

「あっしかい? ちょいと、気分転換にね。
しんみりしたいとき、ってのもあるのさ」
「・・・特に歳食ってくるとねえ・・・こんな季節は、
人が良く死ぬ。知り合いだったり、そうでなかったり」

どこか遠くを眺めながら、男は言う。
頬の刺青に手を当て、何かを思い出している風だ。


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