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【場】『私立秋映学園』 三学期

860イザベル『アーキペラゴ』【大三】:2015/10/08(木) 05:42:19
>>859

    「あい、ごちそーさんっと」

ナポリタンを平らげて、カフェオレを飲み干して。
穂風に合わせて、しかし適当に『ごちそうさま』を。
手なんか合わせるどころかひらひらしている。

   「ったく、アタシは今日だけで何回礼を言われりゃ済むんだ?
    向こう数ヵ月分は言われた気がするぜ」

からかうように笑ってそう言いながら、席を立つ。
けれど、それは穂風の素直さと真剣さの証明でもあって。
こうして何度も心からお礼を言う少女だからこそ、イザベルは手を貸してやりたいと思うのだ。

     「阿武名荘、阿武名荘ね。
      ……またスゲェ名前だなァ。覚えやすくていいけどよ」

       「でも、そうだな。今度顔出しに行くさ」

ひどい名前だが、彼女の『城』だ。
招いてくれるというのなら、見てみたい。
穂風の城に、招かれてみたいと思った。


……レジで支払いを済ませて、外に出る。
雨はほとんどやんでいて、早速太陽が顔を覗かせていた。
それでなんだか心が弾んで、人差し指と中指を唇に当ててから前に離す。
いわゆる『投げキッス』を穂風に飛ばして、同時にイザベルは再びウィンク。


                アディオス  アミーガ
               「『あばよ、お友達』ッ!」


         「またな、ホフリッ!」「追っ手がいねーか気を付けろよなッ!」


                  ダ
                   ッ


快活に、太陽みたいにそう言って、イザベルは学校の方に駆けて行く。
最初は首を後ろに向けて手を振っていたが、すぐに彼女は前を向いて振り返らなくなって、そのまま勢いよく駆けて行った。




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