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【場】『私立秋映学園』 三学期

846イザベル『アーキペラゴ』【大三】:2015/10/08(木) 00:01:16
>>845

   「ああ、悪ィ悪ィ」

     「吸血鬼な、吸血鬼……」

反芻するように、繰り返しその言葉を紡ぐ。
飲み込むのに少し時間はかかったが……吸血鬼、と来たもんだ。
続けてくれ、と手で示し、穂風の告白に耳を傾ける。

       「…………」

ずっとずっと続く、家の歴史。
家が繁栄し続けるための、奇妙なしきたり。

――――イザベルは思い出す。幼いころ、父に聞いた話を。
イザベルの祖先は、昔海の向こうからスペインにやってきた船乗りだったという話。
我が家は誇り高く勇気に溢れた、海の男たちの血を引いている、と。
そんな話を、父が誇らしげに語っていたことを覚えている。
イザベルにとってもそれは誇りだ。
勇敢な海の民という『血の歴史』は、誇りとして自らにも刻まれている。

だが――――彼女のそれは、そういったものでは無いように感じた。
それは妄執とか、呪いとか、そういった言葉で表現するべきことであるように感じた。
家のための、栄光のための、狂気じみたおまじない。


          「……『吸血鬼の一族』、か」


なるほど、確かにそれなら、外に出ることは少ないだろう。
伝承によれば、吸血鬼は陽光を嫌う。故に、昼間を嫌う。
彼らは夜の生き物で、館に住まうお貴族様だから。……普通、外には出ない。

    「それで……ずっと、吸血鬼みたいに暮らしてたのか?
     家族みんな、揃いも揃って?」




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