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【場】『私立秋映学園』 三学期
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>>530
掴まれた手を、しっかり握り返す。
離さないように。確かめるように。
瞳をそらさず、じっと見つめ合う少女たち。
「そんなの……あたしにも、わかんないよ。
ただ逃げたくないって、思っただけだから」
肩で息をする也哉子の表情は、疲れと恐怖で蒼褪めているようでもあり、興奮と夕焼けで紅潮しているようでもあり。
およそ通常とは程遠いコンディションなのは確かで、今にも倒れそうな足取りで。
それでも、今倒れたらいけないと思うから、しっかりと両足で立つ。
倒れないように。『立って』、『向かう』ために。
「あたしは……『逃げない』ことはできても、まだ、前には進めない。
足元だっておぼつかなくて、見渡す限りはずぅっと暗くて。
手探りで、どうしたって走れない」
瞬きすらせず、ただの瞳で嵐ノ宮を見る。
そこにはなんの力もない。ただ、『意志』があるだけだ。
「だから、うん
あたしは暁利ちゃんに、『あかり』になってほしい。
あたしが逃げたくないって思ったのは、暁利ちゃんのおかげだから。
『逃げないあたし』でいるために、暁利ちゃんがいてほしい」
『逃げる自分』に、なりたくないから。
そうじゃないと、もう誰にも顔向けできないから。
もし『嵐ノ宮暁利』が『関東也哉子』を必要としていると言うのなら、同じくらいに『関東也哉子』は『嵐ノ宮暁利』を必要としている。
先行きの道連れでありたいと、思っている。
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