したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

【場】『私立秋映学園』 三学期

530嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』【中二】:2015/05/24(日) 19:21:13
>>529
ヤーコの感情をぶつけられて、それでも彼女は暁利と友だちであろうとして。
暁利はしばらく、ヤーコに顔を向けることが出来なかった。ヤーコの視界に映る彼女の表情は、
いろんなものを混ぜた結果醜い色になったジュースだった。
口を固く結んで、眉を寄せて、涙を流さないように努めて、視線は下へ降ろされていた。
長い睫毛が瞬きの度に跳ねて、化粧を重ねた時のポテンシャルの高さが覗えた。
高校生になったら、暁利もメイクを覚えるだろう。いや、もうある程度はしているかもしれない。
でも、今ここにいる彼女は『素顔』だ。『綺麗に見せる』ことも、『汚いものを隠す』こともしていない。

「……『スタンド』は、前へ進む精神があってこそ、身につくものだって」

俯きながらも、訥々と語り始める。

「だから、わたしだって全力で前に進んでた。それで走りきって、ゴールが見えてた。
 でも、その前に大きな落とし穴があって、転がり落ちて心が折れてた」

そして、『嵐ノ宮暁利』は『関東也哉子』の手を掴む。
引き上げられるために。逃げ出さないために。

「『全部受け入れる』……なんて、わたしにはまだできない。
 どうやってするのか、教えてほしい」

        立ち向かう者         臆病者
顔を上げて、『也哉子の目』を直視する『嵐ノ宮暁利』。
夕暮れを反射しているためか、ブラウンの瞳の上できらりと輝いている太陽。
也哉子でも他の少女でも、彼女とここまで近い『距離』で触れ合った覚えはない。
昨日までの暁利には、暁利の思う『親友』などは存在しなかったから。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板