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避難所ロールスレ

38 ◆HnQRCeqIrM:2020/07/21(火) 00:58:18
>>37
「うん、それだけ。ワタシが、キミに興味があったんだ」
「そんなに緊張しなくたっていいさ。何も取って食べようって訳じゃないんだから」

至極あっさりと、さしたる理由がない事を認めた。あるいは、そう思わせない程に飄々としているだけかもしれない。
視線を逸らす事はなく、偶然の邂逅にしても行き過ぎた、言葉通りの好奇心を隠そうともせず。
両肘をテーブルに乗せ、組んだ手の上に顎を置く。首を傾げて、一挙手一投足を観測しているようだった。

「分かるよ。ワタシも沢山の国を廻ったけど、英国の紅茶は格別だ。ロシアじゃあ、こんなに繊細な飲み物はなかったからね」

英国流の作法や文学的な所感を求めているつもりはなかった。そも、彼女とて英国を拠点としていたのは数年程。
土地に際立って深い思い入れがある訳でもなく、だからこそ本当に上質な物に心を惹かれる。
拙いながらも素直な感想は、むしろ祖国の代物ではないが故の共感を齎して大きく相槌を打った。なんでもないように、彼女もまた異邦人である事を露呈した。

「へえ、そうだったんだ。こんなに遠くまで一緒に来るなんて、二人とも仲がいいんだね」
「……それで、此処を選んだんだ。そっか……」

眉を持ち上げた驚愕の仕草はわざとらしく、それでいて嘘っぽくはない絶妙なバランス。どうにもいちいち演技がかっていた。
しかしその動機を頭の中で噛み砕いている時だけは、誰かに見せるための表情のようではなかった。
もっと遠くて近くの、目の前でない何処かへ向いた思索に目を伏せたのも束の間。

「美珠くんか。ワタシの事はヘレナでもエレーナでも、好きに呼んでくれて構わないよ」
「実はワタシも、オックスフォードに来たのは最近なんだ。昔、少しだけ住んでいたんだけれど、なんだか懐かしくなってね」

そう言って笑いかけた時には、言い知れぬ感傷の瑕疵はもうどこにもなかった。
ありふれた、けれど人によっては既に亡き者となっているはずの人物を想起する名。
相手がどんな反応をするか。それすら楽しんでいるのだろう、悠然と足を組んで目を細めた。


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