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【ファンキル】SSスレPart3

877兵器になれない彼女たち:2022/01/24(月) 23:21:32
 トレイセーマ兵たちが乗った車両を追いかけて走り去ったアイムールを見送ったシストルムはその後を慌てて追いかける。
 トレイセーマ兵たちが逃げていった方向にはトレイセーマの本隊が陣を敷いている。
 そのことをアイムールに伝えなければ。これは陽動だと。
 この場では勝てないから人数と装備を整えた本隊まで誘導して始末する気だと伝えなければ。
 そう思っていた。


 だが、ようやく追いついたシストルムが見たものは、
 一方的に蹂躙されるトレイセーマ軍だった。


 トレイセーマ軍が陣を敷いていたオアシスに突入したアイムールに対してトレイセーマ軍は魔銃兵、投槍兵、弓兵による集中砲火を敢行。
 しかしアイムールは進撃速度を緩めない。そのまま白兵戦へ。
 木の葉のようにトレイセーマ兵たちは散っていくが隙をついて爆薬で地面を爆破しオアシスの湖にアイムールを落とした。その隙に回復要因の杖兵まで動員して再び遠距離からの総攻撃を行うが効果なし。
 ここでトレイセーマ軍は最後の作戦を行う。
 湖を泳ぎながら向かってくるアイムールを大量のフック付きアンカーで縛り上げ動きを封じた。
 そしてトレイセーマ軍全員が手に手に武具を持ち、百人規模対一人の集団リンチでケリをつける。そのはずだったが、

 数秒後、トレイセーマ軍と湖が丸ごと消えた。

 シストルムは偵察兵としての能力で映像をその場で解析。今目の前で起こったのは水蒸気爆発だとわかった。
 周辺の大地が急激に温度をあげた影響で、湖の水分が一度に気化。その膨大なエネルギーがすべてを吹き飛ばしたのだ。
 ただ一人、その爆発の中心にたたずむアイムール以外を。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 赤熱するアイムール。大地から冥界の炎が噴き出し地面を溶岩溜りに変えながら荒野を歩いている。
 もうもうと白い蒸気が立ち上っているがその噴出量がしだいに収まっていき、

「戦闘終了。全ての敵を駆逐完了」

 近寄るだけで焼けそうな温度が急激に沈静化していった。

「ふぅ……勿体ないことをしました」

 せっかくあの数の人間を捕食できたというのに、取り入れたカロリーを全部消費してしまった。正直わりと追い詰められていてそうでもしないとアンカーによる拘束から脱せなかったというのも事実なのだが、

「ああ……お腹が、お腹が空きました」

 次の獲物を探さなければ。
 アイムールは決意を新たにして、愛用している武具、モーニングスターの鎖を引こうとして、

「あれ……?」

 鎖がない。
 そもそも武器を持っていない。素手である。

「そういえば――――」

 シストルムの集落で目覚めた時点で何も持っていなかった。
 そんなことにようやく気が付いた。


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