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【ファンキル】SSスレPart2

362嘘憑き少女:2019/10/21(月) 22:18:29
>>361
ニール「いつものちょっとした嘘のはずだったのよ。いたずら程度の・・・ほんのささやかな冗談のような嘘」
カシウス「人には許せる嘘と許せない嘘がある。嘘をつきなれていた貴女なら、きっとそれがいけない嘘だとわかっていたはず。それに虫の居所が悪ければ受け入れられないときがあるのが人間の性というもの」
ヘレナ「・・・そうだな、あのときのヘレナはどうかしていた」
カシウス「あえてその時何がおこったのか言及はしないけれど、そのあとにちゃんと謝ったの?」
ヘレナ「いや、まだ・・・あのときのレヴァの顔がもう一度向けられるのが怖くて、今日まで避け続けてる」
ニール「ヘレナ・・・」

ニールが心配そうにヘレナの側に寄り添う。
仲間に相談しようともした。しかし、明らかに自分の行いが悪く、それを知られたくないという矮小な自分が出てしまい踏ん切りがつかなくなってしまっていた。
そんな時にカリスは微妙な私たちの空気を察してくれていたようで、ヘレナに相談に乗ろうと持ちかけて来たけど、ヘレナはそれを拒否した。
きっとカリスなら、あっけらかんとして眩い笑顔で手を取って、そのままレヴァのもとへ連れていった上で無理にでも謝るタイミングを作ってくれただろう。
だが、ヘレナは怖かった。もう一度レヴァと向き合う勇気が出なかった。
時折ヘレナは思うのだ。カリスの天真爛漫さがあったら、きっともう少し素直な女の子でいられらだろうにと。

カシウス「そう。それが起因なのね。貴女の未来を曇らせる水滴は雨垂れが石を穿つように貫かれる。それは少しずつ穴を広げ、いずれは岩すら砕けるほどに大きくなっていく」
ヘレナ「・・・ヘレナは嘘つきだ。だからヘレナにはニールだけしか友達がいなかったんだ」
カシウス「その嘘が、ヘレナという個人の枷であり呪縛となってる。外すのは用意でないと、私にだって理解できるほど」
ヘレナ「わかってる。そんなことはとっくの昔にわかってた。わかってて、ヘレナは性分を曲げられなかった。嘘に憑かれてたんだ。嘘をつくのに疲れていたっていうのに、振り払えなかったヘレナが悪かったんだ!」

瞳に滲んで溢れかけていた涙をヘレナは拭いながら叫んだ。
仲間にすら打ち明けられなかった心境を打ち明けられたのは、この部屋の独特の暖かさか、それともお茶に何らかの作用があったからか。
単純にカシウスと接点がないからこそ、気が寝なく話せたのかもしれない。

ヘレナ「・・・ヘレナはどうすればいいのかな」
ニール「ヘレナ、いいのよ無理しなくて。ほら、こういうのって時間が解決してくれるってこともあるし!」
カシウス「それは駄目」
ニール「な!?話聞いてた?ヘレナの気持ちを思うなら時間を置いた方がいいに決まってる!」
カシウス「それが駄目だから私は貴女たちに会いに来た。その意味がわからない二人じゃないはず」
ニール「う、それは・・・」
カシウス「大丈夫。安心して、方法は考えてある」
ニール「方法?なにかいいアイディアがあるの?」
カシウス「ある。ただそれには条件がある。・・・その前にハンカチで涙を拭って」

カシウスはどこからか取り出したハンカチをヘレナに渡した。
ヘレナは深呼吸を繰り返し、流れ落ちる涙を止めてなんとか気持ちを落ち着かせる。

カシウス「落ち着いた?」
ヘレナ「うん」
カシウス「よかった。・・・それで、条件と言うのは簡単。私の手料理を試食してほしいの」
ヘレナ「手料理?そんなことでいいのか?」

ヘレナにとってレヴァとの問題は何よりも一大事だからこそ、どんな条件を出されるのかと思っていたが拍子抜けな条件に一瞬きょとんとなった。




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