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【ファンキル】SSスレ

253pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/07/30(火) 01:27:11
尋ねた。
「室長も見たでしょう? あのケイオスリオン兵が手も足も出ず誅戮されていく様を」
「ええ。あれこそ神罰ですね」
「室長はあの力を見て恐ろしくはないのでしょうか? いくら霊装支配(ギアハック)で押さえつけてるとはあの力が我々に向かうことはないのかと?」
 兜で表情は見えないがキトはきょとんとしたようだった。
 数秒の空白の時間があった後、キトは不思議そうに問い返す。
「? 神の力がなぜ私たちに向くのです?」
「それはその、その通りなのですが……」
「君は少し疲れているようだ。次の仮眠は他の者より長くとりなさい」
 しどろもどろで要領を得ない部下にキトは優しい声で言った。部下の方も少しだけまだ何か言いたそうだったが諦め混じりの雰囲気でハルモニア式の敬礼をして、
「……すみません。そうさせていただきます」
「不安に思うことはありません。私たちは神の力に守られています」
 去っていく部下の背中にさらに言葉をかけて、キトは顎に手を当てて一人呟いた。
「彼は、斬ル姫を見るのが初めてだったのでしょうが? それで混乱を? 一体何を悩んでいたのでしょうか?」
 しばらく考えてみたが結論が出ることはなかった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「これが私たちハルモニアの砦ですか……?」
 キトが率いる部隊はケイオスリオン兵の襲撃からさらに二日ほどかけて『大穴』付近の砦にまで到着していた。
 ここにキトたちが運んできた大量の武具や物資を待つ同胞たちがいるのだが―――――、
「ずいぶんと、綺麗なのですね」
 キトが見上げる白い石造り壁はハルモニア本国でよく見られる建築様式である。天へ伸びる尖塔型の屋根も、曲線やアーチを多用して作られた塀や柵、随所にあしらわれた十字架のレリーフも、まるでハルモニア本国の建物同様だった。
「たしか『大穴』付近は激戦区で三国が集まってしのぎを削り合っているはずでは……?」
 そのような環境下ではたしてこんなに建築に時間がかかりそうな砦を、さらに装飾をここまでの完成度で作り上げることができるだろうか。
 まともな敵だったらそのような砦が建築されていると見れば有無を言わさず妨害にかかると思うのだが、
「まあ、こちらは小汚い要塞で数日過ごさねばならないと覚悟していたくらいです。予想が外れてむしろ喜ばしいことなのですが」


「戦いはここ数年起こっておりません。さらに言うならば武具は交換や修理が必要なほど痛んではいませんね」
「はい?」
 今やハルモニア都市区画七つ分もある砦を管理している部隊長は訪れたキトが投げかけた疑問に対して答えた。
「キト様、『大穴』は確かに三国が同等に陣を張り、確かに激戦区とはなっていますが。決して手に入れる価値のある土地ではないのです」
 キトと部隊長は城塞砦の最上階にいた。この部屋の窓からは砦や『大穴』の周囲が一望できる。
「しかし、ケイオスリオンもトレイセーマもあんなに近くに陣を構えているではないですか。それでいて戦いがないなど……」
 窓から外を眺めると、目と鼻の先にトレイセーマの部隊があった。城のよう




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