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【オリジン】Saraしスレ part3
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一所懸命に縋すがり付いていた腕を引き抜かれて、ハズミを喰くらった私は、固い人造石の床の上にドタリと尻餅しりもちを突いた。あぶなく引っくり返るところを、両手で支え止めると、気抜けしたようにそこいらを見まわした。
すると……又、不思議な事が起った。
今まで一所懸命に張り詰めていた気もちが、尻餅を突くと同時に、みるみる弛んで来るに連つれて、何とも知れない可笑おかしさが、腹の底からムクムクと湧き起り初めるのを、どうすることも出来なくなった。それは迚とてもタマラナイ程、変テコに可笑しい……頭の毛が一本毎ごとにザワザワとふるえ出すほどの可笑しさであった。魂のドン底からセリ上って、全身をゆすぶり上げて、あとからあとから止とめ度どもなく湧き起って、骨も肉もバラバラになるまで笑わなければ、笑い切れない可笑しさであった。
……アッハッハッハッハッ。ナアーンだ馬鹿馬鹿しい。名前なんてどうでもいいじゃないか。忘れたってチットモ不自由はしない。俺は俺に間違いないじゃないか。アハアハアハアハアハ………。
こう気が付くと、私はいよいよたまらなくなって、床の上に引っくり返った。頭を抱えて、胸をたたいて、足をバタバタさせて笑った。笑った……笑った……笑った。涙を嚥のんでは咽むせかえって、身体からだを捩よじらせ、捻ねじりまわしつつ、ノタ打ちまわりつつ笑いころげた。
……アハハハハ。こんな馬鹿な事が又とあろうか。
……天から降ったか、地から湧いたか。エタイのわからない人間がここに一人居る。俺はこんな人間を知らない。アハハハハハハハ……。
……今までどこで何をしていた人間だろう。そうしてこれから先、何をするつもりなんだろう。何が何だか一つも見当が附かない。俺はタッタ今、生れて初めてこんな人間と識しり合いになったのだ。アハハハハハ…………。
……これはどうした事なのだ。何という不思議な、何という馬鹿げた事だろう。アハ……アハ……可笑おかしい可笑しい……アハアハアハアハアハ……。
……ああ苦しい。やり切れない。俺はどうしてコンナに可笑しいのだろう。アッハッハッハッハッハッハッ……。
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