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野球大会イベントスレッド
105
:
ノサダ★
:2017/10/10(火) 02:41:21 ID:???0
魔球君臨 マッサカーズ、冴え渡るカーブで準決勝突破
ビレッジマッサカーズ13-7古高電鉄野球部
https://i.imgur.com/4wBD3xl.png
スローカーブを、もう一球。
読者諸兄はこの作品をお読みになったことがあるだろうか。1981年に角川書店から刊行されると、それまでのスポーツ記事とは一線を画した俯瞰的な語り口が人気を博し、ベストセラーとなったスポーツルポ界の金字塔的名著である。映画化もした「江夏の21球」が収録された一冊である、と言えば思い至る方も多いのではないだろうか。
収録作品の中では前述「江夏の21球」や、伝説の星稜対箕島延長18回の激闘を描いた「8月のカクテル光線」がよく知られているが、その中の表題作、「スローカーブを、もう一球」は、群馬県立高崎高校のエース川端投手にスポットライトを当てた作品である。とりわけ印象的なのは作中の川端投手の独白だ。「正面から、がむしゃらにいくだけが能じゃない。頭を使って工夫して、かわしていればチャンスは必ずやってくるんだ」その言葉通り、ストレートの最速は130キロ台と目立ったものではないものの、スローカーブを巧みに投じて1980年の秋季関東大会で準優勝の成績を残した。
今大会に関して言えば、古高電鉄は正にその強豪である。直球に強く、かわそうとする投球も容易には許さない地力がある。試合経験も飛び抜けて多く、打撃成績も堂々たるものだ。
そしてこの準決勝でその古高電鉄に挑んだのがビレッジマッサカーズだ。試合経験は決して少なくはないが古高電鉄には及ばず、なによりも一回戦時に違反投球で注意を受けた投球面に不安が残っていた。
立ち上がり、その不安は的中したかに思えた。初回の攻撃で3者凡退に倒れると、先頭は三振に打ち取ったものの続く打者は捉えられた打球を遊撃手がジャンプして掴むショートライナー。足並みが崩れ直球が上ずったところを狙われ、続く3番打者にはバックスクリーン右へ飛び込む本塁打を浴びる。後続を何とか切って踏ん張ったものの、ジャンプ投法の速球に振り遅れる姿が目立った初回の攻撃を鑑みれば、この5点は非常に重くのしかかるものに見えた。
実際、2回の攻撃は直球を決め打ちで捉えた2塁打一本に留まり、試合の前半を終わって2-5、ここまでは古高電鉄に流れのある試合運びとなっていた。
しかし2回裏、マッサカーズ先発投手に女神が微笑む。流れを大きく変えたのは、外低めへのカーブ。この試合から非ジャンプ投法のアンダースローにしていたこともあり、独特の軌道を描くこのボールが、面白いように決まる。
斜め向きに浮かぶ直方体の、その一辺を掠めてホームベースへ潜り込むカーブ。球速にして75キロ前後の山なりのボールが、ここでは魔球と化していた。
古高電鉄打線は2回、連投されたこのカーブを打ちあぐね、内野フライ2つ、三振一つの三者凡退に抑えられる。
野球というスポーツは不思議なもので、何か一つ転機が訪れれば、得てして試合全体の流れが大きく変わってしまうものだ。
3回表、後のないマッサカーズの攻撃は、簡単に二つのアウトを取られ絶体絶命。が、ここで古高電鉄投手陣が突如制球を乱す。先頭をストレートの四球で出塁させると、変化球を地面に叩きつける投球が続き、あっという間に3四球で満塁。2-5だった点差は5-5の同点となった。
そして、この土壇場、打席へ立つ打者へ、懐への甘いシンカーが投じられる。
高々と舞い上がった白球は夜の闇へ紛れ、手を伸ばせど届かぬ境界線の外へ消える。満塁本塁打。13-5。ビレッジマッサカーズがこの試合始めてリードを奪った瞬間であった。
一挙11得点での逆転に成功したマッサカーズ。最終回のマウンドで冴え渡ったのはやはりカーブだった。
ほぼ同じコースへの連投。別の球種はあくまで見せ球として使い、勝負どころでは必ずこのカーブ。それでも、打たれない。2アウトからセンターへのツーベース一本を許すも、最後はセカンドへのライナーに仕留めて試合終了。13-7。文句なしの優勝候補古高電鉄が打ち破られた瞬間であった。
作中、高崎高校の川端投手は関東大会決勝でプロ注目の好打者、月山を迎える。飄々とした彼には珍しく、目の前の打者を絶対に抑えたいという気持ちを抱き、キャッチャーのサインを覗き込むと、そのサインは「スローカーブを、もう一球。」得意のボールを投じた川端は月山を空振り三振に切って取るも、そこで緊張の糸が途切れたように連打を浴びて敗戦投手となる。
スローカーブを武器にして下克上。正面からぶつからず強豪を打ち破る。作中の川端投手とマッサカーズの間には多くの共通点があるが、何も幕切れまで同じである必要はない。決勝戦の相手は同じ左打者、ジャンプ投法の使い手である松島交通だ。次の決戦でも「スローカーブを、もう一球」投じる姿に期待したい。
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