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歌手の“声質”区分――声の重さ・サイズの違い、役柄の違い(改)
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:
ユルシュール
:2004/10/11(月) 11:54 ID:9CIkd6dA
このような声の重さ軽さの区分は他国のオペラにもあります。例えばトスカやトゥーランドットを得意にする歌手(ソプラノ・ドラマティコ)と、ミミやリュウを持ち役にする歌手(ソプラノ・リリコ)とはやはり声の重さに違いがあります。
そんな中、カラヤンはしばしば、あえてリリコの歌手にドラマティコの役を歌わせていて(カティア・リッチャレッリのトスカやトゥーランドット、ミレッラ・フレーニのアイーダなど。両者とも本来はリリコ)、賛否両論を起こしています。
カラヤンにはドイツ・オペラでも同様の傾向がみられ、『トリスタン』録音でイゾルデを歌っているヘルガ・デルネシュは、本来はエリーザベトやジークリンデに本領があったようです。『ラインの黄金』ヴォータン役にフィッシャー=ディースカウを起用したあたりなど、まさにカラヤンでなければあり得ない選択だと思います。
カラヤンの歌手起用法への批判のひとつには、本来リリコの歌手に自分の本来の声の重さ(あるいは声のサイズ)に合わない役を歌わせて、素晴らしい声を早くつぶさせてしまった、というものがあります。カラヤンのせいかどうかは知りませんが、前述のデルネシュも比較的早くに高音を失い、メッゾ・ソプラノに転向しています。
バリトンですが、ヴォルフラムを十八番にする歌手がヴォータンも得意にする、という例はあまり多くないように感じます(私がよく知らないだけかもしれませんが)。
例えばF=ディースカウの場合、ヴァーグナーものも多く録音を残していますが、実際によく歌ったのはヴォルフラムとアンフォルタス、軍令使くらいだったように思います(クルヴェナールは……どうだったっけ?)。キャリアの後期にザックスにもチャレンジしていますが、彼の本領はやはりヴァーグナーのバリトン役の中でも軽めの役、ヴォルフラムのような役にあったと私は思います。
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