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歌手の“声質”区分――声の重さ・サイズの違い、役柄の違い(改)

1ユルシュール:2004/10/11(月) 11:53 ID:9CIkd6dA
すみません、初めて立てた同タイトルのスレの1がやたら長くて見づらくなってしまったので、やり直しました。

僭越ながら、初めてスレを立てさせていただきます。
「CDを書き込むスレ」でのしばゆうさまへのお返事が長くなってしまいそうなのと、私自身とても気になっていた問題でしたので、スレを立ち上げました。
私の知識は生半可で、かつ誤認や偏見もあると思います。みなさまのご教示、ご見解をぜひお聞かせお願いいたします。

今事典が手元になくて(いつも大学の図書館で読んでいます)、自分の頭の中だけの理解になってしまうのですが……。
私の知識の範囲内でだいたいのことを申しますと、エーファ役を得意にする歌手が同時期にブリュンヒルデやイゾルデを歌うことはあまり多くない、というようなことです。多くは声の“重さ”という表現で説明されます。
ブリュンヒルデやイゾルデ(ホーホ・ドラマティッシャー・ソプラノと呼ばれる)はソプラノの中でも最重量級の声を必要とするもので、エーファやエリーザベト、エルザを歌うのにふさわしい、もう少し軽めの声(ユーゲントリッヒ・ドラマティッシャー・ソプラノ。リリック・ソプラノ(モーツァルトのアルマヴィーヴァ伯爵夫人やパミーナなど)で歌われることもある)で歌うにはやや負担が大きい、ということになります。
まだ若いソプラノがあまり重い役に早くから手を出すと声をつぶす、などともよく言われます。

2ユルシュール:2004/10/11(月) 11:54 ID:9CIkd6dA
このような声の重さ軽さの区分は他国のオペラにもあります。例えばトスカやトゥーランドットを得意にする歌手(ソプラノ・ドラマティコ)と、ミミやリュウを持ち役にする歌手(ソプラノ・リリコ)とはやはり声の重さに違いがあります。
そんな中、カラヤンはしばしば、あえてリリコの歌手にドラマティコの役を歌わせていて(カティア・リッチャレッリのトスカやトゥーランドット、ミレッラ・フレーニのアイーダなど。両者とも本来はリリコ)、賛否両論を起こしています。
カラヤンにはドイツ・オペラでも同様の傾向がみられ、『トリスタン』録音でイゾルデを歌っているヘルガ・デルネシュは、本来はエリーザベトやジークリンデに本領があったようです。『ラインの黄金』ヴォータン役にフィッシャー=ディースカウを起用したあたりなど、まさにカラヤンでなければあり得ない選択だと思います。
カラヤンの歌手起用法への批判のひとつには、本来リリコの歌手に自分の本来の声の重さ(あるいは声のサイズ)に合わない役を歌わせて、素晴らしい声を早くつぶさせてしまった、というものがあります。カラヤンのせいかどうかは知りませんが、前述のデルネシュも比較的早くに高音を失い、メッゾ・ソプラノに転向しています。
バリトンですが、ヴォルフラムを十八番にする歌手がヴォータンも得意にする、という例はあまり多くないように感じます(私がよく知らないだけかもしれませんが)。
例えばF=ディースカウの場合、ヴァーグナーものも多く録音を残していますが、実際によく歌ったのはヴォルフラムとアンフォルタス、軍令使くらいだったように思います(クルヴェナールは……どうだったっけ?)。キャリアの後期にザックスにもチャレンジしていますが、彼の本領はやはりヴァーグナーのバリトン役の中でも軽めの役、ヴォルフラムのような役にあったと私は思います。

3ユルシュール:2004/10/11(月) 11:57 ID:9CIkd6dA
細かいことに関しては明日か明後日、事典で調べてから改めて書き込ませていただきます。すみません。

ところで、ネットで検索してみると、イタリア・オペラでの声質区分(リリコやドラマティコなど)の解説には少なからずお目にかかるものの、ドイツ・オペラでの区分(ホーホ・ドラマティッシャーとか)の解説などはあまり目にしません。私の調べ方が悪いのでしょうか?

4ユルシュール:2004/10/15(金) 00:37 ID:lJxJEsmg
ごめんなさい、“細かいこと”ですが、もう少しお待ち下さいませ(え、誰も待ってない?とほほ……)。
オック××ォードのオペラ大事典め……なぜ例にマイナーな役ばかり挙げるんだ……私が全然聴いたことのないような役ばかり……。

ところでジークリンデって、比較的軽めのリリック・ソプラノからブリュンヒルデも歌えそうなドラマティック・ソプラノ、さらにはメッゾ・ソプラノまで(もうマイアー女史はメッゾとはいえないのかな?)、いろんなタイプの歌手が歌いますね。
この役の音楽面での懐の深さ(?)がうかがえて、面白いです。私は……リリックであろうとドラマティックであろうとメッゾであろうと、情熱的で芝居心のある歌唱をしてくれるジークリンデが好きです。

5ユルシュール:2004/10/15(金) 22:28 ID:MPshTYhA
声の分類についてですが、細かいことについて書かれているサイト(イタリア風区分もドイツ風区分も両方表記されています)を見つけました。灯台下暗しでした……。一応、直リンクは控えさせていただきますが、
ttp://www.cantabile-subito.de/Categories/categories.html
の頭にhを足して、どうぞ。かなり細かい区分が書かれています。
最初はソプラノ/コントラルト(=アルト)/テノール/バスの四声のみ、その後メッゾ・ソプラノとバリトン、バス=バリトンが加わった後、さらに、声の重さとカラーによってあのように細かく分類されるようになったようです。
とりあえず、あちらの分類(‘German Fach System’と呼ぶようです)に従って、ヴァーグナーものの主な役柄を声の軽い順に挙げてみますと、次のようになります。声の分類名は、先に書いてあるのがイタリア語名、後に括弧付きで書いてあるのがドイツ語名です。分かりづらくてごめんなさい。
では今回はまず、ソプラノから……。

【スブレット(Soubrette [Soubrette])】
<他作品ではツェルリーナ(『ドン・ジョヴァンニ』)、デスピーナ(『コジ・ファン・トゥッテ』)、エンヒェン(『魔弾の射手』)など>
牧童(『タンホイザー』)

【リリック・コロラトゥーラ・ソプラノ (Lyric Coloratura Soprano [Lyrischer Koloratursopran])】
<他作品:ツェルビネッタ(『ナクソス島のアリアドネ』)、ムゼッタ(『ラ・ボエーム』)など>
ヴォークリンデ(『ラインの黄金』)/森の小鳥(『ジークフリート』)

【ドラマティック・コロラトゥーラ・ソプラノ (Dramatic Coloratura Soprano [Dramatischer Koloratursopran])】
<他作品:フィオルディリージ(『コジ・ファン・トゥッテ』)、夜の女王(『魔笛』)、ヴィオレッタ(『椿姫』)など>
ヴォークリンデ(『ラインの黄金』)

6ユルシュール:2004/10/15(金) 22:30 ID:MPshTYhA
続きです。

リリック・ソプラノ (Lyric Soprano [Lyrischer Sopran])】
<他作品:パミーナ(『魔笛』)、ミミ(『ラ・ボエーム』)、リュウ(『トゥーランドット』)など>
牧童(『タンホイザー』)/ヴェルグンデ(『ラインの黄金』)

【リリコ・スピント・ソプラノ(ユーゲントリッヒ・ドラマティッシャー・ソプラノ)
(Lirico Spinto Soprano [Jugendlich-dramatischer Sopran])】
<他作品:クリソテミス(『エレクトラ』)、デズデーモナ(『オテロ』)など>
エリーザベト(『タンホイザー』)/エルザ(『ローエングリン』)/エーファ(『ニュルンベルクのマイスタージンガー』)/フライア(『ラインの黄金』)/グートルーネ(『神々の黄昏』)

【スピント・ソプラノ(ドラマティッシャー・ソプラノ) (Spinto Soprano [Dramatischer Sopran])】
<他作品:レオノーレ(『フィデリオ』)、サロメ、トスカ、トゥーランドット、アイーダなど>
ヴェーヌス(『タンホイザー』)/オルトルート(『ローエングリン』)/ジークリンデ(『ヴァルキューレ』)/第三のノルン(『神々の黄昏』)/グートルーネ(『神々の黄昏』)/クンドリー(『パルジファル』)

【ドラマティック・ソプラノ(ホーホ・ドラマティッシャー・ソプラノ) (Dramatic/Heroic Soprano [Hochdramatischer Sopran] )】
<他作品:エレクトラなど>
ゼンタ(『さまよえるオランダ人』)/オルトルート(『ローエングリン』)/イゾルデ(『トリスタンとイゾルデ』)/ブリュンヒルデ(『ヴァルキューレ』『ジークフリート』)/クンドリー(『パルジファル』)

メッゾ以降は次回に回させて下さいませ。

7ユルシュール:2004/10/17(日) 00:17 ID:O.smB18A
一昨日の続きです。メッゾ/コントラルト編。
ヴァーグナーもののメッゾ・ソプラノまたはコントラルトの諸役は、そのほとんどがドラマティック・メッゾ・ソプラノ(Dramatic Mezzo-Soprano)あるいはドラマティック・コントラルト(Dramatic Contralto)と呼ばれるカテゴリーに入るようです。クリテムネストラ(『エレクトラ』)やアムネリス(『アイーダ』)、エーボリ(『ドン・カルロ』)を歌うような歌手のための役、というところでしょうか。
ただしエールダだけは、ディープ・コントラルト(Deep Contralto)と呼ばれる声質の歌手が歌うことが多いようです。ドラマティック・コントラルトよりも、深々とした、より低い声が求められるということなのでしょうか?


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