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ドン・カルロ

1さーじょん:2004/03/14(日) 09:21
作曲:ジュセッペ・ヴェルディ(1813-1901)
台本(仏語):フランソワ・ヨーゼフ・メリ、カミーユ・デュ・ロークル
原作:シラー『ドン・カルロス』より
初演:1867年、パリ。改訂版初演1884年ミラノ

2さーじょん:2004/04/16(金) 19:53
15年前に観た藤原歌劇団公演。
1989年5月、東京文化会館。五十嵐喜芳総監督、粟國安彦演出、ドナート・レンツェッティ演出、東京フィルハーモニー交響楽団、藤原歌劇団合唱部。
ニコラ・ギュゼレフ(フィリポⅡ世)、ジョルジョ・ランベルティ(ドン・カルロ)、ロレンツォ・サッコマーニ(ロドリーゴ)、エリザベッタ(林康子)、吉井久美子(エボリ公女)、山田祥雄(宗教裁判長)。
 これも中河原理の筆による公演評が残っているが、読み直しても「そうだったけなー」っていうくらい。ただ、この公演を観に準備として、無理してショルティ盤のCD買ったことは覚えている。
 「世界のプリマ」ともてはやされていた林康子だが、印象には残っていない。むしろ吉井の舞台姿の優美さのほうが印象に残っている。一つだけ覚えているのは、2幕1場、ロドリーゴに突き飛ばされたがエボリが、台本にはない「マジこけ」をしてしまい、一瞬、サッコマーニが慌てていたこと。

3さーじょん:2004/10/02(土) 11:31
1958年ザルツブルク音楽祭実況録音
http://www.deutschegrammophon.com/catalog/product.htms?PRODUCT_NR=4476552
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000012WP
カラヤン指揮、ウィーン・フィル、シエピ(フィリポⅡ世)、フェルナンディ(カルロ)、バスティアニーニ(ロドリーゴ)、ユリナッチ(エリザベッタ)、シミオナート(エボリ)、ステファノーニ(宗教裁判長)、ザッカリア(修道士)、ローテンベルガー(天の声)

4さーじょん:2004/10/02(土) 12:08
>>3のCD鑑賞。
 基本的には、バスティアニーニとシミオナートを楽しむ演奏ですね。「呪われし美貌」とロドリーゴの死の場面は、「絶唱」と言うに相応しいものだと思います。カルロは、及第点には達しているといったレベルでしょう。やはりショルティ盤のベルゴンツィに比べると聴き劣りの感は否めません。一方、エリザベッタは予想ほど良くはありませんでした。声質自体がこの役に合うかどうか微妙でしょう。ユリナッチって、意外と役を選ぶ声のような気がします。
 シェピも、歌唱自体は素晴らしいのですが、これこそ声質がどうもしっくり来ません。この役はあまりにギャウロフの印象が強すぎて、シェピの声は軽く聞こえてしまいます。シェピの声自体は、ドン・ジョヴァンニとかフィガロの印象が強いので、どうしても年老いた国王には聞こえません。声だけでは、カルロよりもフィリッポのほうがはるかにイケメンに聞こえてしまうのは、贅沢な悩みというべきでしょうか。
 カラヤンの指揮は、後年のような「耳に障る」箇所はまったくなく、非常にまとまりよく、かつメリハリも利いていると思います。

5さーじょん:2005/03/12(土) 19:32:00
ガブリエレ・サンティーニ指揮、1961年DG録音、ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
ラボー(ドン・カルロ)、ステルラ(エリザベッタ)、コッソット(エボリ)、クリストフ(フィリッポ)、バスティアニーニ(ロドリーゴ)、ヴィンコ(大宗教裁判長)
名盤として知られているのに、なぜか長らく廃盤です。カラヤンのダレた指揮の下ではないバスティアニーニが聴けるのはうれしいし、ステルラやラボーもイイですね。

6さーじょん:2005/07/24(日) 23:05:42
久々に聴きます>>2で「無理して買った」ショルティ指揮65年録音。
http://catalogue.deccaclassics.com/catalogue/prodshow.jsp?searchstr=421114
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00000E3OE
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000666U0M
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005FL3X
 アナのないオールスターキャストだと思います。初めて聴いたときには、あまりに理知的に聞こえるF=ディースカウに違和感がありましたけど、ベルゴンツィとの声の相性という点では、結構イイんじゃなかしら? 「我らの胸に友情を」の二重唱も、二人とも声の通りがよいので、とても聴き応えがあります。ちなみにこの二人、82年にデュエット曲集を録音している。このときベルゴンツィ58歳、F=ディースカウ57歳でした。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00000596Z
 テバルディ、↓のサイトを見ると、実演ではエリザベッタを歌っていないらしい。初めてこの「世のむなしさを知るあなた」を聴いたときは、これ以上はないと思ったんだけど、これは意外だなあ。
http://www.geocities.com/renatatebaldi/repertory.htm

7さーじょん:2005/07/24(日) 23:06:06
 ギャウロフのフィリッポ、この歌唱も素晴らしいけど。さすがに83年メト実況DVDのほうに軍配を揚げる。そして何よりも素晴らしいのは、ベルゴンツィの表題役。基本的には陽気な声だと思うけど、陰影もあって、こういう悲劇的な役もよく似合う、っていうかどんな役でもしっくり来る。要するに、僕の好みの声、ってことだね。
 ここから先は、このオペラに関する感想というより、シラーの原作に対する感想だが……。
 初めてこのオペラに触れたとき、幕切れにはまったく納得いかなかった。エリザベッタとカルロの母子の美しい二重唱で終わったら、心温まる物語なのになあ、と思っていました。最近になってようやく、「この幕切れでなければならない」と思うようになってきました。「世のむなしさを知るあなた」とエリザベッタに呼びかけられたカルロ5世が、主人公をこの世から連れ去っていく──共感も納得もできないけど、いまでは「物語としてはこういう終わりでなければならない」と思っています。

8女工ミミ:2005/09/25(日) 17:54:35
>>4
『ばらの騎士』の項で書いた理由で、実はユリナッチのエリザベッタ大好きだったりします。
よく"『ドン・カルロ』は男のオペラ"なんていう人がいますけど、はっきりいってこの中に
出てくる男って揃いも揃って女々しくないですか(宗教裁判長は例外。男女がどうよりも
人間であるかどうかすら怪しいw)?そんな中で、エリザベッタの凛々しさや、意志の強さが
物凄く際立って感じられるんですよ。男前なんですよね。カルロより数倍。
それがユリナッチの切れ味の良い男前な声質に非常にマッチしてるような気がするんですよ。
2幕2場でとりすがるカルロに「やったらおどれの親父をバラしてその手でワシを抱けやゴルァ!!」
とタンカ切る場面なんかもういつ聴いても惚れますね(w。『世のむなしさを知る神』も、
決然とした歌い口で墓の中の何かと対話するかのように歌い進む様が鮮烈で、長いアリアも
ダレることなく聴けますし。
シエピも確かにフィリッポにしちゃ声が若々しいですが、『独り静かに眠ろう』なぞ
苦悩する王の側面を最も過不足無く表現しているのではないかと思います。寧ろ自分には
ギャウロフの方が美声に流されてフィリッポの気持ちが見えないなあと感じること度々。
シミオナートもバスティアニーニも今更敢えて書き連ねませんが素晴らしいですし…。
矢張りカルロの弱さがこの盤のネックですかね。最も4幕版ではカルロはタイトルロールの
クセにほんの刺身のツマでしかないのですが(w

9さーじょん:2006/01/28(土) 21:45:13
>>5サンティーニ盤鑑賞。
 指揮者の志向なのか、それともスカラ座管そのものの音なのか、オケはかなり明るい響きに聞こえます。この重苦しいオペラが非常に聞きやすいものになっていますね。
 言うまでもなく聴き所はポーサ候。ラボーのまっすぐな歌もなかなかに良いですね。ステルラっていう歌手、僕はあまりCDを持っていないんだけど、本来はどういう役が得意だったのでしょうか? この世代のソプラノ歌手って、なかなか「得意分野」がはっきりしないなあ。
 改めて聴くと、やはりこの作品は、王子ドン・カルロの成長物語なんだなあと思う。大詰め、ロドリーゴの死によって、自分の使命に目覚めるあたりなんか結構うまく描けてるのではないかしら。もちろん、ロドリーゴの死は、カルロを使命に目覚めさせるような高貴な死でなければならないわけですが、バスティアニーニはまさにそういう歌唱を聴かせてくれます。
 それにしても、「バスティアニーニ、ポーサ候ロドリーゴ」っていうと、たくさん書くべきことがあるなあ。いずれhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/7336/1085282357/6の引用も交えつつ、僕自身の感想も記すことになるでしょう。

10おせん:2006/08/21(月) 12:22:51
スカラとサンティーニの明解な演奏がこのメンバーの声質には合ってると思います。
話は暗くてもやっぱりヴェルディはこうでなきゃ!という感じがします。
それに比べカラヤンのザルツ映像ったら。。。

11さーじょん:2006/08/27(日) 06:59:26
>>10 おせん様、書き込みありがとうございます。亀レスになってしまいすいません。気が付くと、あと2週間ほどで新国立劇場も開幕ですね。この作品はさすがに予習の気のりがしないなあ……カラヤン盤でも聴こうかな。。。
 カラヤン演出の舞台は、どれもこれも照明が暗いですよね。DVDで見てても、ちょっとつらいものがあります。ビルギット・ニルソンは相当、嫌がっていたようです。『帝国・メト』http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/7336/1085282357/3上巻114〜115ページからの引用。

 ビングはニルソンのすばらしい声を尊敬し、同時に、無理のない自然さと機知を愛し、彼女のメトの活動のほぼあらゆる面について、二人でやり合うことを楽しんだ。彼女は給料から差し引かれる所得税についてビングに文句を言い、納税申告書で彼を自分の扶養家族にすると言いだしたりした。彼らは仲がよかったのだが、ビングはひとつ重要なことを忘れていた。彼女は「ハービー」と呼ぶヘルベルト・フォン・カラヤンのことを好きではなかったのだ。
 (中略)
 ニルソンは、メトからカラヤンを押しつけられたと感じた。そして、たとえば、サーチライト付きの石炭坑夫のヘルメットをかぶって舞台に出るような、カラヤンの暗い舞台の概念を嫌った。「私はビングさんに、[舞台に出ているあいだ]時々私がコーヒーを飲みに外に行っても、だれも気がつかないわ、と言いました」。

12さーじょん:2006/09/24(日) 03:45:48
先週末から今週初めにかけて、4日間で3つの公演を観たのですが、感想を書く時間もなく、ようやくまとめてアップします。
9月16日(土)新国立劇場公演鑑賞。
マルコ・アルトゥーロ・マレッリ演出・美術、ミゲル・ゴメス=マルティネス指揮、東京フィルハーモニー交響楽団、新国立劇場合唱団。
ヴィタリ・コワリョフ(フィリッポ2世)、ミロスラフ・ドヴォルスキー(ドン・カルロ)、マーティン・ガントナー(ロドリーゴ)、大村博美(エリザベッタ)、マルゴルツァータ・ヴァレヴスカ(エボリ公女)、妻屋秀和(宗教裁判長)、長谷川顯(修道士)。
公演情報↓
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000139.html
http://www.nntt.jac.go.jp/frecord/updata/10000053.html
http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/10000498.html
http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/10000523.html
 上記、新国立劇場の公演記録の写真では、セットの様子がいま一つよくわかりませんが、簡単に言えば「壁だけ」です。特徴は、壁の裂け目が十字架のように見えていたことでしょうか。この壁が結構よく上下左右に動かされていて、写真で見る以上に、変化に富んだ舞台だったことは確かです。強いて言えば、http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/7336/1079223329/8-14のファルスタッフのセットに似た仕組みです。
 たしかに「シンプルなセット」ですが、たとえば今年初に観た「マリンスキー・リング」などに比べれば、カネもかかっていたし、手も込んでいました。この物語に必要な深刻さというか、重厚さはよく表されていたと思います。まあ、公演写真を見ただけでは、(火刑台を除けば)これが「ドン・カルロ」の一場面であることが、まったくわからないわけですが。そう考えてみると、まったく同じセットで「ナブッコ」、「トロヴァトーレ」、「シモン・ボッカネグラ」、「マクベス」、「オテロ」あたりはいけそうな気がするなあ。

13さーじょん:2006/09/24(日) 03:47:32
 初日が7日で、すでにインターネット上でも多くの感想を見かけました。酷評も多かったのですが、僕的にはオケ・歌手ともに十分満足できる出来栄えでした。あ、でも、前半と後半では、かなり印象違ったなあ。良かったのは後半で、フィリッポ2世「ひとりさびしく眠ろう」、エボリ公女「呪われし美貌」、ロドリーゴの死、エリザベッタ「世のむなしさを知るあなた」など、みんなそれぞれ自分の「見せ場」で大健闘です。オケも、後半の方が聴き応えありました。そういえば、エボリの「呪われし美貌」で、エリザベッタは退場せず、エボリがエリザベッタにすがるようにして歌う、という演出でした。
 歌手は総じて満足できる水準だったと思います。まあ、アラ探しを始めたらキリがありませんが、上にも書いたように、後半の各々の見せ場は健闘してましたし。
 ロドリーゴに関しては、新聞評でも少し手厳しい意見が書かれていました。たしかに、第1幕のカルロとの二重唱など、声圧で押してほしいような場面はちょっと欲求不満が残りましたが、たとえば、第1幕2場でエリザベッタにカルロの悩みを訴える場面とか、「死」の場面とか、結構丁寧に歌っていて(>>6のF=ディースカウを思い出す、と書いたら褒め過ぎでしょう)、当方も十分に感情移入して聴くことができました。

14さーじょん:2006/09/24(日) 03:49:13
 それにしても、ロドリーゴって、「おいしい役」ですね。ちなみに今回の字幕で、フィリッポ2世がロドリーゴに、カルロの監視役を頼む際に「お前は男の中の男だ」という台詞が出てきました。こんな台詞あったっけ?と思い、手許にある対訳で確認してみたら、「この人間衆団(ママ)の中の真の男」(Tu, che sol sei un uom, fra lo stuol uman)となっていました。
 今回の公演、とくにシンプルすぎるセットに関しては、賛否が分かれた(そして否のほうが多かった)ようで、休憩時間中にも「もう少し王宮とか寺院とか衣装が再現されてるようなセットがよかった……」とお話しされているご夫婦もいました。
 僕はというと、じつはこのセット、結構気に入りました。如何に忠実に16世紀の王宮、寺院、衣装を再現し、リアルな演技をつけたところで、どのみち「よくわからない話」であることには変わりないからです。史実からシラーの戯曲がつくられた際に、シラーの戯曲からオペラ台本がつくられた際に、そして5幕版から4幕版への改編が行われた際に、いろんな要素がこぼれ落ちてしまったのでしょう。結果として、ナニがナンだかわからない話です。だとすれば、もはやお伽噺として見るのがもっともよいのではないかと思っています。

15さーじょん:2006/09/24(日) 03:50:54
 余談です。メト盤DVDで、バンブリー(エボリ公女)が眼帯をして出ていたので、ずーっと「何でだろ?」と思っていました。本公演のプログラムに「実在のエボリ公女」が隻眼であったことが記されていました。納得……。

マルゴルツァータ・ヴァレヴスカ  http://www.walewska.net/

16さーじょん:2007/03/24(土) 01:05:29
>>3-4カラヤン盤、部屋の掃除をしながら聴く。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/486024
 >>5>>9のサンティーニ盤と対照的に、大時代劇的な演奏ですね。やはりウィーン・フィルは良い音を出しています。ユリナッチの声、オクタヴィアンや作曲家(ナクソス島のアリアドネ)の印象が強くて、僕にはどうしても「少年」に聞こえてしまって。。。

17さーじょん:2007/06/08(金) 00:45:34
ホルスト・シュタイン指揮1970年ウィーン国立歌劇場実況録音。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1488006
 シュタインの指揮とウィーン・フィルの響きが良いですね。歌手に関しては、コレルリ、ギャウロフ、ヴァーレットはさすがです。ヤノヴィッツは、う〜ん、意外と大時代劇的な役は似合わないのだなあという印象です。まぁ、このエリザベッタって、結構難役なのかもしれませんね。いちばんしっくりくるのはテバルディだけど、>>6に書いたように実演では歌っていないらしいし。。。
 足を引っ張っているのはヴェヒター。70年ですでに声の衰えが始まってます。あと、「見せ場」のはずのカルロとの二重唱、歌詞がいい加減です。あ〜あ……。

18さーじょん:2008/04/30(水) 01:47:21
>>5>>9のサンティーニ盤、部屋の掃除のBGMとして聴く。
バスティアニーニ、ラボー、ステルラ、コッソット、このあたりはよいのですが、フィリッポや宗教裁判長がちょっと、どうでしょうね。やはりショルティ盤のギャウロフ+タルヴェラのほうが強烈だなあ。

19さーじょん:2008/12/31(水) 14:39:36
ネット上にいろいろと書き込みながら流して聴いた、>>6-7ショルティ盤。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1797593
やはり「大時代劇」としての魅力満載ですね。歌手もすべて揃っていますし、何より充実しているのがベルゴンツィとF-ディースカウです。

20さーじょん:2009/02/23(月) 23:07:07
たま〜にこういうことがあるのですが、なぜか、「世の空しさを知る神よ」のメロディがアタマの中を流れ出して、止まらなくなってしまいました。というわけで、>>3-4>>16のカラヤン指揮1958年ザルツブルク音楽祭実況録音を聴く。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/486024
やはり(表題役以外の)キャストは充実していますね。
 改めて聴くと、ドン・カルロって、登場人物が揃いも揃って、死への思いを抱いているという、何とも不思議なオペラです。ロドリーゴは(ネガティブな自死ではないものの)自らの命を投げ出しますし、フィリッポは「エスクリアルの墓所で初めて安らぎを得るだろう」と歌います。エリザベッタも「お墓の平和」を歌い、大詰めでカルロとエリザベッタは「天上での再会」を約束します。さらに、4幕版ではカルロとエリザベッタの出逢いの喜びもなく、カルロは登場していきなり絶望しています。それがこのオペラの空気を、非常に独特なものにしているように思えますね。
 唯一エボリのみが、生きることへの執着──というか普通の人が抱くであろう人生の喜びへの思い──を持っているように思われます。

21さーじょん:2009/09/23(水) 14:07:04
9月15日(火)東京文化会館にて、ミラノ・スカラ座来日公演鑑賞。
シュテファン・ブラウンシュヴァイク演出、ダニエレ・ガッティ指揮、ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
ルネ・パーペ(フィリッポ2世)、ラモン・ヴァルガス(ドン・カルロ)、ダリボール・イエニス(ロドリーゴ)、アナトーリ・コチェルガ(宗教裁判長)、ガボール・プレッツ(修道士)、ミカエラ・カロージ(エリザベッタ)、アンナ・スミルノヴァ(エボリ公女)、カルラ・ディ・チェンソ(テバルド)。
公演概要↓
http://www.nbs.or.jp/09scala/index.html
http://eplus.jp/sys/web/s/teatro_alla_scala/index.html
http://www.nbs.or.jp/09scala/doncarlo/index.html
http://www.nbs.or.jp/09scala/doncarlo/kaisetsu.html
http://www.nbs.or.jp/09scala/doncarlo/story.html
http://www.nbs.or.jp/09scala/doncarlo/cast.html
 1週間経って、新聞評も、ネット上の感想もすでにたくさん出ています。賛否両論、といか、演出、演奏に関して否定的な感想も目立ちますが、僕的には結構満足できた公演でした。

22さーじょん:2009/09/23(水) 14:07:51
 上記のURLに、いくつかの舞台写真が出ていますが、>>12-14の新国立劇場公演と同様、非常にシンプルでした。一緒に持ってきたアイーダは、ゼッフィレルリ演出の絢爛豪華極まりないものですから、こちらも……と期待しなかったわけではありませんが、>>14にも書いたように、この作品に関しては、シンプルなセットもアリかなあと思っています。とはいえ、さすがにフィリッポが「ひとり寂しく眠ろう」を歌う居室が、ホモキ演出のフィガロの結婚http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/7336/1073887372/46-48のごとき真っ白な箱の中だったのは、いささかモノ足りませんでしたが。
 演出家なりのひと工夫もあります。ひとつは、カルロ、ロドリーゴ、エリザベッタの幼少時代を舞台上に登場させて、3人の心象風景を表す、という試みですが、じつはこれ、二期会のワルキューレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/7336/1075558224/78-81や新日フィルのばらの騎士http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/7336/1081170028/47-50でも試みられていて、目新しくないどころか、いずれも「失敗」だと思います。今回も残念な結果でした。何でこんな「小細工」するんだろうねー。なくてもイイじゃん。

23さーじょん:2009/09/23(水) 14:10:38
 歌手については、フィリッポ、ロドリーゴ、エボリ公女、エリザベッタなどは、いずれも好演でした。パーペはさすがです。一日も早くこの人のヴォータンやハンス・ザックスが聴きたいなあと思います。エボリ公女、声力はなかなかのものでした。あとフリットリの評判が良かったので、カロージで観るのは失敗だったかな……と不安でしたが、こちらもなかなかのモノです。「テバルディにちょっと似た声質」とまでいうとホメ過ぎでしょうが、ちょっと似た声の雰囲気と思いました。
 残念だったのはヴァルガス。高い声出ない、大きな声出ない、ないないづくしでして、何でこの人が世界のテノールとして名前が知られているのか、さっぱりわかりませんでした。最後のエリザベッタとの二重唱だけは、大声も高音も必要ありませんし、声の綺麗さが十分に生きる曲ですから、聴きモノになってはいました。
 あと指揮。これはちょっと……とくに前半はテンポを速くしたり遅くしたり、動かしすぎで、オケの各パート、オケと舞台がかみ合わなかった場面が散見されました。後半は多少良かったのですが、それでも、とてもまとまりが良いとは言いがたいものでした。ついこの前のシモン・ボッカネグラhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/7336/1082892361/9-10や飯守泰次郎のナクソス島のアリアドネhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/7336/1083258395/27-28では、「よくぞこのオケから、この音を引き出したものだ」と感心しましたが、今回はそれと真逆で、「このオケで、指揮がちゃんとしていたら、もっとイイおとが出るはずじゃない?」と強く感じさせる演奏でした。
 そんな指揮でも、それなりに説得力のある演奏をしてくれるところは、やはり流石スカラ座管なのでしょう。トータルとしては、結構満足できる公演でした。

24さーじょん:2011/06/26(日) 07:36:16
カラヤン指揮1978年録音を聴く。
http://www.amazon.co.jp/dp/B000002SDX
豪華キャスト、全盛期のカラヤン&BPOの名録音ですが、意外にも聴くのは初めて。まあ予想通りの素晴らしい演奏、録音です。

25さーじょん:2021/06/21(月) 01:29:45
2021年5月29日(土)新国立劇場公演鑑賞。>>12-14の再々演(2014年11月の再演公演はスルーしました)。
マルコ・アルトゥーロ・マレッリ演出・美術、パオロ・カリニャーニ指揮、東京フィルハーモニー交響楽団、新国立劇場合唱団。
妻屋秀和(フィリッポ二世)、ジュゼッペ・ジパリ(ドン・カルロ)、髙田智宏(ロドリーゴ)、小林厚子(エリザベッタ)、アンナ・マリア・キウリ(エボリ公女)、マルコ・スポッティ(宗教裁判長)、大塚博章(修道士)。

初日舞台写真↓
https://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_019844.html
公演概要↓
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/doncarlo/
当日の僕のアルバム↓
https://www.facebook.com/hogehoge2005/posts/2305010509632546

26さーじょん:2021/06/21(月) 01:30:27
感染症関連で配役変更が相次いだのですが、結果として日本人歌手陣が大健闘、高水準の公演でした。鑑賞前からSNS等で絶賛されていたロドリーゴとエリザベッタが出色。
2018年7月のトスカ、2021年3月のジークリンデに次いでピンチヒッターとして登板して見事な歌唱を聴かせてくれた小林厚子、新たな「スタァ誕生」といった感もあります。こういう瞬間を目撃できるのが、ナマ舞台の醍醐味ですね。
「凱旋帰国」とも言うべき髙田智宏。こういう素晴しい日本人歌手が、海外で活躍しているんですね〜。本当に立派な歌でして、カルロとの二重唱、ロドリーゴの死、いずれも落涙してしまいました。いろいろ検索したら「カヴァリエバリトン」と言うんだそうな。
それにしても、年齢の所為でしょうか、この作品全体に漂う無常観、諦観を以前よりも深く感じるようになりました。あと、オケのアレンジも相当イイのね。これまで気づかなかったなぁ。
ちなみに終演後、隣のオペラシティで夕食をとって広場に出たら、HUB(閉店中)の前で日本人歌手陣が「立ち飲み」してました。フィリッポ二世とロドリーゴが居ました(笑)。

27さーじょん:2021/06/21(月) 01:32:33
髙田智宏の奥方のブログ↓
https://saki-bianca.hatenablog.com/
宮廷歌手の称号を受勲
https://saki-bianca.hatenablog.com/entry/2017/12/13/062936
国立音大・高田智宏インタビュー↓
https://www.kunitachi.ac.jp/introduction/kunion_cafe/interview/50on/ta/takadatomohiro.html
カヴァリエバリトンってどんなバリトン?
https://kazuhisakurumada.com/opera-singer/kavalierbariton/

28さーじょん:2021/06/21(月) 01:33:15
コロナ禍で頭角現す日本人歌手たち
https://twitter.com/Sankei_news/status/1400461055248109583

29さーじょん:2023/10/22(日) 21:36:59
2023年10月14日(土)東京文化会館にて、東京二期会公演鑑賞。
レオナルド・シーニ指揮、ロッテ・デ・ベア演出、カルメン・クルーゼ演出補、東京フィルハーモニー交響楽団、二期会合唱団。
妻屋秀和(フィリッポ2世)、城宏憲(ドン・カルロ)、清水勇磨(ロドリーゴ)、大塚博章(宗教裁判長)、清水宏樹(修道士)、木下美穂子(エリザベッタ)、加藤のぞみ(エボリ公女)。

当日の僕の書き込み↓
https://www.facebook.com/hogehoge2005/posts/pfbid0qeaJtxgfb415RefabnYtnKvPMDzmYsQ8w7rnkmTPieCW7HW8bLFeDuB8hVDLHmACl

公演概要↓
http://www.nikikai.net/lineup/don_carlo2023/index.html

https://youtu.be/rd1gVXXwxeE?si=RlymZWNP6qkkdxCI

30さーじょん:2023/10/22(日) 21:37:30
気鋭の女性演出家を迎えてのシュトゥットガルト州立歌劇場との提携公演ということで、事前にはずいぶん力を入れて宣伝していた(ような気がする)。1週間経ってみれば、演出に関しては大した印象はほとんど残っておらず、「大騒ぎするほどの事でもなかったなぁ」という感想。
ロッテ・デ・ベア、公演パンフに依ればペーター・コンヴィチュニーの助手をつとめていた、らしい。コンヴィチュニー演出は結構好きなので期待したワケですが「劣化コピー」といった感は否めず。

31さーじょん:2023/10/22(日) 21:38:01
僕が感じるコンヴィチュニー演出の魅力の一つは、やっぱりセンスオブユーモアだと思う。「意味はわかんない、けど面白い!」って要素を、脈絡なしにブチ込んでくるところ。「これって、突っ込むところだよなwww」っていう仕掛けが好きなのです。
今回の演出、色々と仕掛けがあったような記憶もあるが、(少なくとも僕にとっては)何ら効果的でもなく、ユーモアの欠片も感じられず。それどころか、かえって音楽鑑賞の妨げになっていた場面も。
歌手やオケはそこそこ健闘していた(ような気もする)んだけど、演出の否定的印象が台無しにしちゃったよなぁ・・・。まあ、オペラはナマものですから、たまにはこういうこともありますわな〜。


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