それにしても、ロドリーゴって、「おいしい役」ですね。ちなみに今回の字幕で、フィリッポ2世がロドリーゴに、カルロの監視役を頼む際に「お前は男の中の男だ」という台詞が出てきました。こんな台詞あったっけ?と思い、手許にある対訳で確認してみたら、「この人間衆団(ママ)の中の真の男」(Tu, che sol sei un uom, fra lo stuol uman)となっていました。
今回の公演、とくにシンプルすぎるセットに関しては、賛否が分かれた(そして否のほうが多かった)ようで、休憩時間中にも「もう少し王宮とか寺院とか衣装が再現されてるようなセットがよかった……」とお話しされているご夫婦もいました。
僕はというと、じつはこのセット、結構気に入りました。如何に忠実に16世紀の王宮、寺院、衣装を再現し、リアルな演技をつけたところで、どのみち「よくわからない話」であることには変わりないからです。史実からシラーの戯曲がつくられた際に、シラーの戯曲からオペラ台本がつくられた際に、そして5幕版から4幕版への改編が行われた際に、いろんな要素がこぼれ落ちてしまったのでしょう。結果として、ナニがナンだかわからない話です。だとすれば、もはやお伽噺として見るのがもっともよいのではないかと思っています。