歌手陣で最も印象に残ったのはパーペ。美しく、真っ直ぐに伸びている声だ。本当に立派な歌唱だと思う。http://www.renepape.com/には、“Since his appearance under the baton of Sir Georg Solti in 1991 as the youngest Sarastro ever to appear in The Magic Flute at the Salzburg Festival, Mr. Pape has created a unique profile for himself in the world of music.”と書かれている。64年生まれだから、このときはまだ27歳! 不思議なものだ。若い歌手がザラストロを演じているだけで、オペラ全体の雰囲気がいつもとはがらりと変わったように思えてしまう。
グルントヘーバー、セッラといった有名歌手も、その他の(僕が知らない)無名歌手も、総じて好演だ。ただし、ツェドニクのモノスタトスだけは、歌唱も演技も、これ以上何を望めようかというほど上手いのだが、僕の好みではない。ミーメやヘロデ王、密偵(アンドレア・シェニエ)といった、奸計をたくらむ、腹にイチモツあるような役では本当に素晴らしいし、http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/7336/1073782739/10-14もとても印象に残っているが、何と言ったらいいのだろう? モノスタトスにしては、切れ味が良すぎて、アタマが良すぎるように聞こえてしまうのである。
2018年6月16日(土)日生劇場公演鑑賞「NSSAY OPERA 2018」
佐藤見晴演出、沼尻竜典指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団。
デニス・ビシュニャ(ザラストロ)、西村悟(タミーノ)、福島明也(弁者)、中江早希(夜の女王)、森谷真理(パミーナ)、梅津碧(パパゲーナ)、石野繁生(パパゲーノ)、大川信之(モノスタトス)