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2名無しさん:2016/10/11(火) 18:38:32
青でも黒でもない空間、どこかもわからない空間で彼は浮かんでいる。

「………か」

掠れきった声がする。

「……し…」

彼は不機嫌さを隠すことなく吐き捨てる。
「三千世界(そうぞう)しい」
聞こえるはずのない声、内容も意味も目的もなにもかも不鮮明だが、それが彼にはたまらなく不快だった。
ふと目を向けると天井が見える。そして目覚まし時計の鳴る音がする。そう彼は目が覚めたのだ。
今日の昼にはこんな夢忘れているだろうな…などとぼんやりと思考を動かしながら彼は支度し家を出る。

「……」
彼の名前こそ吠與驚異。彼のことを多く知る者はいなかったが、彼もまた他人の多くは知らなかった。
取り留めもない物思いに耽りながら歩を進める。なんてことはない此処に書く必要もないようなことだ。
進み続けていると唐突な爆音がし、アスファルトを思い切り踏みつけつつ足を止める。赤信号を伴った道路とその上を走る自動車の音であった。
彼はひかれてはたまらないと思い目の前の道路に意識を向ける。
「赦されてェ…」
彼は自分に言い聞かせるように呟き、そのまま赤が青になるのを大人しく待っていた。


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