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少女たちの夜 2 〜忘らるる島〜

1プルヒッター:2013/08/11(日) 18:44:39
続編です、今回は遠く遠く離れた何回の島国の話です。
前回同様恐怖の夜を過ごす話です。

今回から新キャラも登場する予定ですのでよろしく。

2プルヒッター:2013/08/11(日) 19:18:10
登場人物

前田 敦子『言わずとしれたAKB48の絶対的エース存在 日野達の陰謀に勝利した人物』
高橋みなみ『チームAのキャプテン、前田と共に苦労を味わったAKB全体のリーダーでもある、前田の盟友』
大島 優子『チームKのエース、少女時代は子役として過ごした苦労人・・・後輩達も一目置く存在』
板野 友美『チームAからチームKへ移籍・・・前田、高橋と共に一緒に活動してきた仲・・・クールで熱い一面も持つ』
篠田麻里子『AKBの最年長で、前田達とは遅れてチームAに合流、時には厳しく優しく接する人物』
小嶋 陽菜『チームA所属、マイペースで困った性格だが・・・・ここぞと言うときに力を発揮する、篠田とは仲がよい』
渡辺 麻友『チームBのエース、人見知りだがアニメが大好きな今時の少女・・・柏木由紀とは仲良しこよし』
柏木 由紀『チームBのキャプテン、普段はドジっこで気さくな子・・・ただ毒舌的な部分もある』
秋元 才加『チームKのキャプテンで、情に厚い少女・・・チーム全体の縁の下の力持ち敵存在で頼られている』
宮澤 佐江『チームK所属、秋元才加と並んで通称ツインタワーでチームKのまとめ役』
河西 智美『チームB所属、板野友美とは仲良しで・・・通称チユウというあだ名がある今時の少女』
北原 里英『チームBの所属でその頭の良さはメンバーも認めるくらい、相当な切れ者である・・・妄想癖が強い』
峯岸みなみ『前田達同様初期メンバーの1人であって、幼い部分もあるが高橋、小嶋とともにユニットを組む実力はの持ち主』
指原 莉乃『チームAのお調子者であって、時々メンバーや同期を困らせるハラハラさせる部分もあるチーム一のお調子者』
高城 亜樹『チームAの癒し系少女・・・諦めることを知らない負けん気なところもある、過去にテニス部に所属していた』
倉持明日香『チームA所属、ガッツ溢れる少女・・・父はかつて野球選手であってその勇気を恐れないところも持ち合わせている』
横山 由依『研究生から昇格し、現在チームK所属・・・真面目で努力かであって、高橋みなみも大きく評価させるほどの持ち主』
島崎 遥香『今回のお話の新キャラ、横山同様研究生から昇格し今はチームB所属・・・不器用で無表情だが横山とは心を許せる人物の1人』


戸賀崎支配人『かつてのメンバーだった神崎を供養するため、1人山に神崎の墓を建て足を運ぶ』


松井珠理奈『SKE所属、名古屋での活動を続けており・・・皆の安否を心配している、篠田とは心を許す親友的存在』
松井 玲奈『珠理奈と共にSKE所属、神崎とは小中学生の頃の幼なじみだった過去を持つ』

神崎 麗未『AKBの未来のスター的存在ではあったが、日野達の陰謀によりその夢を潰されてしまう、悲運な少女』

3プルヒッター:2013/08/11(日) 19:29:52
訂正 上の最初の文字は何回ではなく南海の間違いでした。
訂正してお詫びします。



あの恐怖の夜から幾日も過ぎ去ったある日。
また少女達に恐怖の夜が起ころうとしている・・・

そう忌まわしきあの恐怖の夜が再び始まろうとしている

4AKB大好き:2014/01/30(木) 23:17:49
続き、楽しみにしてます!

5プルヒッター:2014/02/11(火) 23:57:06
あの忌まわしき夜から数日が経ち
少女たちはドームツアーの真っ只中

大勢の観客が足を運んでいる
ツアーは大成功

6プルヒッター:2014/02/16(日) 16:31:31
ドームツアーの打ち上げに参加した少女たちは。
大きな都内某所のホテルで食事を楽しんでいた。

スタッフや、劇場支配人の戸賀崎、それに総合プロデュースの秋元康の顔をあった。
「お疲れ様」

7プルヒッター:2014/02/16(日) 19:45:03
Tシャツ姿の高橋みなみが前田に声をかけてくる。
手にはオレンジジュースの入っているコップを持っている。

『たかみな、お疲れ
 今回のドームツアーは大成功に終わったわね』
『本当本当、私たちいつしか大きくなっていってさ・・・今こうしているんだし』
『たかみなだけの力じゃないよ・・・皆がいてくれたからのことさ。
 本当ここまでの道は平坦じゃなかったよ・・・私もたかみなも皆も』

当時二人も中学生だったころに比べてみれば今はすっかり大人の人間だ。
ここに来るまでの苦労はそう平坦なものではなかったのだ。
それは二人もよく知っていることの話。

『あれあっちゃん、たかみな2人して何を話しているの?』
打ち上げ会場に一緒に離れていた大島優子が前田と高橋に声を掛けてきた
彼女の顔はちょっと赤らめていた・・・ワインの匂いがかすかに2人の鼻につーんと来る。

ちょっと酔っ払っている気分の大島優子は。
はにかんだ笑顔を見せる。

8プルヒッター:2014/02/16(日) 19:55:50
『うんちょっと2人での苦労話さ』
『そう・・・』
たかみなと前田はうんうんと頷く。

『そうなんだ・・・でもさこうして大変な思いをしてきたのは2人だけじゃないよ。
 皆も、私もここにいる全員がそうさ』
大島も2人の言葉に載ってくる。
彼女も小さいころにはいろいろな苦労があったのだ・・・本人が一番知っている


そんな中の打ち上げは夜通し続いて終わりを迎えたのはすでに深夜を過ぎていた。
スタッフたちはそれぞれホテルの会場を後にしていき。
AKBの少女たちも足早に自分の家路へと帰路へつく。


・・・・翌朝
秋元康に呼ばれた前田と高橋は。
『秋元先生
 突然呼ばれてどうしたんですか?』

秋元康は軽く咳払いをする。
『今回のドームツアーは大成功に終わった。
 それで今回の成功に伴って・・・私からのご褒美を与えようと思う』
ご褒美・・・彼の口からはそんなことを言ってくるのは初めてだ・・・2人は思わず首を捻る。

『・・・・そのご褒美とは?』
『聞きたいか』
えっとおどけてみせる前田は秋元康の言葉にちょっと肩をすくめながらびびった。

9プルヒッター:2014/02/16(日) 20:01:39
『お前たちの活躍により今日から1週間の夏休みをあげようと思う』

秋元康はキッパリと言い切った。
『ええええええっ』
高橋みなみは声を大きく上げる。
大きな部屋の空間が彼女の大声を大きく支配する・・・あまりのうれしさに高橋とは対照的に。
前田はよく話の状況が飲み込めなかったようだ。


『それって私たちだけの夏休みですか?秋元先生』
前田はようやく理解をした模様だ。
『そうだ!!!
 今回のドームツアーのご褒美だと思ってほしい・・・お前たちだけじゃなく・・・大島たちにもその情報を知らせている。
 だからこれはお前たちに送るプレゼントだと思ってくれ』

10プルヒッター:2014/02/16(日) 20:06:45
『ありがとうございます』
前田と高橋は二人そろえて秋元に礼の言葉を出した。

こんな長い夏休みなんて学生時代以来の遠い遠い出来事。
2人は目をぎらぎらさせて部屋を後にした。
やっぱ努力は必ず報われると高橋は思った。



・・・・8月25日。
大きな船を乗せて大海原を渡る。
そして18人の少女たちは、遅れた夏休みの時間を満喫することとなる。

11プルヒッター:2014/02/16(日) 20:11:34
『それにしても。
 みんな同じ夏休みなんだね。』
『私も聞いた・・・秋元先生からのご褒美だって』
『今年は南海の島だって聞いたからリゾートも期待しちゃいそう』

一緒に船に乗っていて座っている河西智美と秋元才加・・・・宮沢佐江はうきうき気分。

12プルヒッター:2014/02/16(日) 20:17:49
『ずいぶんとテンションが上がってるね佐江ちゃん・・・もうリゾート気分なのね』
大島優子が悪戯っぽく言う。
『そりゃ夏の思い出には一つほしいからさ』
そういいながら宮沢は自分のかぶっている帽子を被り直す。


『ところでさ敦子
 今回は大いに楽しむのも忘れないでほしいな・・・私たちずっと連日のステージに立ちっぱなしだし』
『たまには大いに羽根を伸ばすのも悪くないよ』
板野と篠田は大いに声をそろえて言う。


『そうだね』
前田はそう強く頷いた。

13プルヒッター:2014/06/01(日) 01:17:32
辺り一面は何もない大海原の景色。
空一つもない快晴の青空だ。

こんな風に景色を見るのは何年振りだろうか。
前田と高橋はそう感じていた様子。

14プルヒッター:2014/06/01(日) 01:20:17
大型の船は今どこへ進んでいるのだろうか?
乗っているのは18人。

前田達はともかく。
今回は新たなメンバーが一人追加したのだ。


「・・・・・・・・・ふうっ」
とある一人の少女が小さくフ〜っとため息を付きながら青空を見ていた。
彼女の名前は島崎遥香。

15名無しAKB:2014/08/20(水) 02:31:54
「・・・・・・・」

彼女は何かと無表情のままでクルーザーの窓の外から海を眺めている。
引っ込み思案なのだろうか?
なんだか話しかけづらそうなタイプな子だ。
高橋と前田はそう思った。

16プルヒッター:2014/08/20(水) 02:36:11
「島崎。
 今回の夏休みはどう」
前田は島崎に優しく声を懸ける

「・・・・うーん、普通です」
返事も何だか生々しいようだ。
あまり友達がいないのだろうか❓
ちょっと近寄りがたい子かなと前田は思った。

「あっちゃん、この子が島崎なのね
 何だか、昔の珠理奈に似ているんだこの子」
篠田が前田に肩を置きながら話す。

17プルヒッター:2014/08/20(水) 02:41:02
暫くすると前方に大きな島が18人の少女たちの目の前に目があった。
無人島のようである。

「付いたよ。
 ここが皆さんの夏休みの場所だよ」
クルーザーの船頭さんがそう言った。
「いかにも無人島な雰囲気だ」
「昔テレビの番組の企画でもやってたそうですよ」
北原と横山が無人島の島の全体を眺めながらそう言った。

確かにこんな無人島じゃリゾート地とは程遠い。
辺りは生い茂った木々のざわめきが風の音とともに気が大きく揺れている。
こんなにいい天気なのに何か起こりそうな気分。

18プルヒッター:2014/08/20(水) 02:46:25
島の砂浜が大きな波の音を立てているのが耳にする。
ビーチの雰囲気が出ている。

「泳ぐ場所は確保できたんじゃない」
「もう海水浴きぶんなの」
河西が言うと板野が皮肉そうに言った。
「とも早く泳ぎたい気分なんだ、せっかく新しい水着買ったんだし」
「はいはい、わかりましたよ」
板野がそういうと河西はちょっとプ〜っと小さく頬を膨らます、ちょっと癪にさわったようだ。

「あー暑いね。
 私今日も日焼けしちゃうの嫌だな・・・日焼けクリーム付けようっと」
小嶋陽菜はバッグから日焼け止めのクリームを取り出し腕に塗る。

19プルヒッター:2014/08/20(水) 02:54:38
「うーん指原、こういった島に住んでみたい気分だったんですよ
 何だか冒険心がつい出ちゃって」

いつも気弱な指原莉乃がこんなことを言うのは初めてだった。
「またもう帰りますっていうのだけは勘弁してよ」
宮澤佐江が意地悪く言った。
「大丈夫だよ佐江ちゃん、指原は結構タフなんですから」
「そういっている本人が一番危ないんだから」
指原が大船に乗ったつもりでは言ったものの
高城がそれを返す、どうやら言った言葉が逆効果だったようだ。

「・・・・前田さん、この島の名前なんて言うんでしょうか?」
渡辺が前田に声を懸ける。
「麻友、それ知っていたら私が先に知っているよ・・・第一こんな無人島に名前があるとは」
前田の言葉が渡辺を遮った。
しかし、クルーザーの船頭が口を開く。


「志らるる島だよ」
船頭がそういった

『志らるる島』
皆が口を揃えて言う。
「いつからそんな名前が付いたんですか?この島に」
大島優子が横から口を挟んできた。

20プルヒッター:2014/08/20(水) 03:02:10
「さあ、詳しい事は知らないよ
 なんせこの島は謎だらけだ、俺ら船頭も知らないんだよ」
船頭はそう言う。

「うーん、謎の島か。
 ちょっとした隠れたスポット観光地だったりして」
秋元才加がおどけて言って見せた。
「でもそうだと初めテレビで紹介するんじゃない?」
「無人島だよ、だれが紹介するのよ」
秋元がそういうと柏木由紀が冷静にいい捨てる。
宮澤もそのあとを続く。

「とにかく皆船から降りよう、どんな島なのか興味津々だし」
高橋みなみの言葉に皆が動く。
クルーザーの桟橋を渡り無人島の土を踏む少女たち。

21プルヒッター:2014/08/20(水) 03:07:59
島の砂を踏んだ時、感触を感じた。
どことなくただの島の味を感じだからだ、皆もそろって島の砂浜の感じを足元で感じた。

「それじゃあよい夏休みをな」
クルーザーの船頭はそう言いながらクルーザーを動かし、島を後にした。
青空の太陽が大きく降り注ぐ。
まさに無人島。

22プルヒッター:2014/08/20(水) 03:17:02
18人の少女たちは無人島、志らるる島の地を踏んだ。
道は山道のように緩やかで進みやすい、足取りも軽やかに弾むのが解る。

暫くして島の奥地を進んでいく少女たち。
どうやら島の森林地帯へと入っていったようだ、太陽の日差しとともに木々が風に揺れる。
歓迎してくれているみたいだ私たちを。

「すごい島ね、迷いそうだわ」
前田がそう言った。
「そうね、皆ついてきている」
たかみなは皆にそう言った。
・・・ところが、ついてきているはずの島崎が遅れている。
歩くのが苦手なのだろうか?ほかのみんなとはちょっとペースを遅れている。

「あったかみなさん、待ってて下さい」
「由依」
たかみなの言葉に耳を貸さずに遅れている島崎の方へと引き返す横山由依
そんなにも歩いていないにも関わらず島崎は額に汗を格いていた。
「ぱるる、しっかりせえへんか」
横山が島崎の手を借りて歩く
「・・・・・ありがとう、由依」
生返事で横山にお礼を言う島崎、それでもちょっときつそうな表情の島崎だ。

23プルヒッター:2014/08/20(水) 03:27:37
ただでさえ暑いのに、島崎にはこの道はちょっと応えた様子。
それでも何とか横山の手を借りて皆と合流した。

「島崎、大丈夫」
「・・・たかみなさん、申し訳ありません」
「いいよいいよ、ゆっくり歩いて行こう」
たかみなは島崎に優しく諭した。
緩やかな森林地帯の道が徐々に険しくなる、登ったり降りたりとの繰り返し。
結構重労働のようす。

暫く森林を抜けたころには、大きな湖が目にあった。
「見て湖よ、キレイ」
倉持明日香が声を大きく上げて言った。
「・・・ちょっとここで休んでいこうか、暑さで体力消耗したら大変だし」
たかみなの言葉に皆は賛成した。

「この湖の水、飲めるかな?」
大島優子が首を傾げながら言う。
「大丈夫なんじゃない、別に毒が入ってないとは思えないし」
峯岸みなみが平気に言うも、大島はちょっと抵抗感があった。
「でもみいちゃん、無人島だよここ」
「優子は気にしすぎ、大丈夫だよ」
峯岸は湖に近づいて両手で水をすくいながら湖の水を口にした。
大島も初めはおっかなびっくりではあったものの、恐る恐る湖の水を飲む。

「良かった、ただの水だ」
安堵の表情を出す大島、皆も大丈夫と思って湖の水を両手ですくって飲んだ。

24プルヒッター:2014/08/20(水) 03:35:59
こうして湖で小休止して20分。
再び歩きだした18人の少女たち、さあ再び歩き出そう。

前田は自分のしている腕時計をチラッと見る。
時計の時刻は11時40分を指す。

皆が山道を歩いている最中、前田がたかみなに問いかけてきた。
「ねえたかみな、この島ってささっき志らるる島って言っていたよね。」
「敦子、また興味本位で首突っ込むきなの?確かに志らるる島って言っていたけどさ、それ以上は知らないって
 さっきあの船頭さんが言っていたじゃない」
「でもさ、気になるんだ?
 どうしてこの島が志らるる島っていう名前なのが知りたくて」
「まあ、誰かつけたのかは知らないけどさ、それよりも敦子・・・今日は思いっきり楽しもう。
 いつもそんな煮詰まったまんまじゃ駄目よ」
「うん、ありがとうたかみな」
たかみなは笑顔で前田にそう語りかけた。

25プルヒッター:2014/08/20(水) 17:18:56
「随分と歩いたけど、深い森林地帯だなここの無人島」
宮澤が歩きながらちょっと愚痴を言う。

「それにしてもいつからここに無人島があったんだろうか、秋元先生のものじゃないのかしら」
柏木は意味深のない言葉を出す。
「おいおいいくらなんでもそれはないでしょう、あの人が島の一つ持っていたとしたらうちらは大金持ちじゃない」
篠田の言葉に柏木も納得する。

「そりゃそうだよ、麻里ちゃんの言うとおりだよ・・・秋元さんのことならわかる気がする」
小嶋はそういった。

そして歩いて数分。
やっと島の森林地帯を抜けたころに少女たちの目の前には大きな大きな建物が目に入った。

26プルヒッター:2014/08/20(水) 17:23:41
「うわあっ大きい」
渡辺麻友が目を大きく輝かせながら目の前の屋敷の建物を食い入るかのように見た。

「いかにも頑丈そうな建物のようね」
大島もその屋敷の建物に興味津々。
その大きな屋敷の建物のつくりは相当なもの頑丈そうなようだ。
建物の一面の壁が石レンガのつくりでできている。
左右には窓があった・・・・ところが作りとは裏腹にレンガの壁には窓が一つもない。
つくり忘れたのだろうか?

27プルヒッター:2014/08/20(水) 17:30:25
屋敷のど真ん中の噴水は貝殻のオブジェで作られていた、噴水が目にあった。
そのオブジェから水が出ている。

「この貝殻のオブジェ綺麗やわ・・・日本にもないのに」
横山由依が目を輝かせながら言った。
「もっとも昔のつくりね建物自体は」
板野がそう言った。

18人の少女たちの足の歩みの動きが止まった。
屋敷の建物の前のドアについた。
ドアは鉄で出来ていた・・・随分と重そうな扉だ、如何にも頑丈そうな扉だと改めてそう思った。

28プルヒッター:2014/08/20(水) 17:35:03
前田が建物の鉄の扉の前にあるノッカーで扉を叩いた。
金属的な音が大きく響く。
暫くすると、鉄の大扉が大きく開きゆっくりと開いた。

やがて、一人の大男が目に入る。
「はいっ」
大男が低い声で言ってきた。
一瞬、ビクッとした少女たち、いやな威圧感が覚えるのを戦慄した。

「あ、あの私たちは・・・ここの」
「AKBの皆さまですね・・・話は秋元先生から聞いておりますどうぞ中へ」

えっ秋元先生がお呼びしたの。
それにこの人も秋元先生のことを知っているのかしら?

29プルヒッター:2014/08/20(水) 17:38:26
「皆さまがここに来ると丁度秋元先生から連絡がありましてね。
 いやあ、皆さんもそう言ってくれればいいのに、本当にあの人は驚くことする人ですよ」
大男はそう淡々と語った。
この人、秋元先生の知り合い?
たかみなはよくわからなかった。

大きな吹き抜けの玄関ホールを抜けて大扉を開ける男。
開けた途端息がつまりそうだった少女たち。

30プルヒッター:2014/08/24(日) 02:05:36
玄関ホールを抜けた先には目の前の大きな水槽があった。

そして大きな談話室。
男7人と女4人がソファーで座っていた。

何気にそちらに目を見る11人の客。

31プルヒッター:2014/08/24(日) 02:11:42
「んんっ」
若い男の一人が18人の少女たちの方をちらっとみる。

「誰なのあなたたちは」
今度は女の人が声を懸ける。
「まだこの島の観光客が来たってわけ」
「今日はやけに観光客が多いな、それだけ暇ってわけかいここの島は」
知らない11人の若い観光客が口を出してきた。
こっちもそんな気分だった、私たちもこの人たちのことは知らない顔だから。


「私が全員を呼んだのよ」
すると談話室の奥から、聞き覚えのある声がした。
奥から人影の姿が入った。

32プルヒッター:2014/08/24(日) 02:20:38
人影の姿はあの2期メンバーの一人、小林香菜だった。


『香菜!!!!』
秋元、宮澤、大島の3人が驚きの声をあげた・・・・なぜ彼女がここに。
「どうしてここに来ていたの?」
大島がすっとんきょんした声で小林に懸ける。

「私もねちょっと夏休みをもらってさ
 で、この人たちも一緒に来るっていってさ、ここの島へ遊びに来たの」
「ちょ、ちょっとまってよ
 香菜、あんた今日は劇場公演じゃない・・・勝手に休んじゃってもいいのか」
宮澤は小林に言った。

「それに、あんたは秋元先生に招待状もらってないし・・・・どうやってここに来た」
秋元も何だかちんぷんかんぷんだ
小林香菜が説明した。

「実はね、ここの人たちは私の高校生の同級生なんだ」
小林がそう説明した途端、18人の少女たちは驚きの声を上げる。

33プルヒッター:2014/08/24(日) 02:31:15
すると。
一人の若い男性がソファーから立ち上がって自己紹介を始めた。

「やあ、話は香菜から聞いたよ
 自己紹介をするね、俺は清瀬尚道・・・みんなよろしくな」
清瀬が自分の紹介を終えると高橋の手に握手をした。
「はじめまして」
握手の感触はどことなく体育会系の雰囲気を感じると、たかみなは思った。

「それでな順で追って紹介すると
 スポーツマンの、田所芳樹・・・・頭脳明晰の竹内 清、キザな井上良法
 伊達 守、内川浩太、佐久間昇」
男たちは深々とお辞儀する。

「で、こっちの女子たちが・・・・高校の水泳部のキャプテンの瀬戸裕子で
 同じく水泳部のエースの北島なつみ、こっちが早坂桃子さ」
「こんにちは皆さん」
女性たちは元気そうに少女たちに挨拶する。

「ところであの人は?」
大島が一人の女性の子を気にしていた様子。
「おい元木・・・お前も本ばかり見ていないであいさつしろ」

しかし、元木は本を読んでいるせいか聞こえていない。
「おいっ元木」
「こっちは今読書中・・・・話なら後にして」
なんだか今は自分の世界へと入っている元木だ。

34プルヒッター:2014/08/24(日) 02:35:24
「友達のいない子かしら?」
板野が前田の耳元でささやきながら言った。

「・・・・うーん、如何にも優等生タイプじゃないかな」
前田はそう返した。
「クラスに1人は居そうなタイプだよね」
「難しそうな本を読んでるよ」

篠田と小嶋もそろって言う。
「ごめん、彼女ちょっと変わっているからね、気にしないでくれ
 根はいいやつだから」

35プルヒッター:2014/08/24(日) 02:49:25
清瀬の言葉にも耳もくれずに元木は無言のまま本を読み続けている。

「おい元木よ、せっかく皆紹介しているのに
 全くよ・・・お前はいつもいつも変わり者だからと言われ続けるんだぜ」
佐久間が元木に食って掛かるような言葉を突きつけてきた。
だが、元木は全く動じない。
少女たちもその光景に固唾を飲んだ。

「大体こんな難しい本読んでてよ、ちったあいい加減に・・・・・」
元木の読んでる本に触れようとする佐久間、すると元木が
「やめてよ、この本に触るの!!!!」
えらい剣幕な形で佐久間に叱る元木

「やめろ2人とも・・・・大事な客がいるんだぞ。
 喧嘩している場合か」
清瀬がこの場を納めた
2人もどうやらもめ事を起こすのだけはやめたようだ。

前田と高橋はその光景をあっけにとられて見ていた。
渡辺は柏木の後ろに隠れてみていた、びっくりしたのだろうか。

36プルヒッター:2014/08/24(日) 02:59:41
「ごめん、本当に驚かせてね。
 まあ・・・悪気はないんだ許してやってくれ」
清瀬は申し訳ないと皆に誤った

「いいですよ、うちらも皆さんとは今日初対面ですから。
 それにしても皆さんがうちの小林香菜とは知り合いとは知りませんでした」
大島がそう尋ねると、小林香菜が口を出す。
「実はね、この人たちは私と同じ高校の水泳部のメンバーなんだ。
 でも、元木は違うの」

「じゃあ今日香菜が連れてきたのは皆同級生なんだ」
前田が口を揃えて言った。
「いやあ、実は俺が一年上でな、俺清瀬と瀬戸、北島、田所は皆1学年上でさ
 小林は後輩でね、あいつも水泳部のメンバーだったんだ」
「そうなんだ、みなさん香菜ちゃんの同じ学校の人たちなんですね。」
高城がそう言った。

「私、実はテニス部で
 皆さんと同じスポ魂の選手だったんですよ」
「ちょ、ちょっとあきちゃ・・・この人たちは水泳部の人たちよ」
倉持が口をはさんだ時、皆の笑い声が大きくあった。

37プルヒッター:2014/08/24(日) 03:02:29
高城が照れ隠ししながら頭をかいた。

「皆さん、お部屋の部屋割りが決まりましたよ」
そういっているうちに男が、談話室へとやってきた。

38プルヒッター:2014/08/24(日) 15:49:11
男の名前は黒木と言う。
黒木は客席にそれぞれ自分の部屋の鍵を渡した。

客席はすべて2階だった、談話室の裏手に階段を上る。
すると2階につくと・・・辺りは壁、窓一つもない・・・息がつまりそうだ。
客席は左手の階段側から女性たちの個別の部屋で、右側の階段側の裏側は男性側の個別だった。
荷物を持ちそれぞれの個室に入る18人の少女たちと小林香菜の同級生たち。
鍵を開けて部屋へ入る。

「シンプルな作りの部屋ね、
 お風呂はないか、それにしても窓一つもない部屋だな・・・息がつまりそう」
部屋に足を踏み入れた前田は何だか窮屈そうに思ったからだ。
荷物を置いてベッドの上にポンッと座る前田。
それにしても、先に先客が皆小林香菜の高校生の同級生だったとは、何にしても賑やかな夏休みの予感。

ふとそんなことを考えているとドアのノックする小さな音がした。
「誰」
「敦子、居るの」
たかみなの声が部屋の外でした。
「たかみな・・・なの」

39プルヒッター:2014/08/24(日) 15:56:43
「そうだよ」
おどけてみせるたかみながドアを開ける。

「入ってもいい」
「うん」
たかみなはお構いもなく前田の個室に足を入れた。

「にしても、ここの館ってすごい威圧感ね、客室の個室に窓が一つも無いなんて
 ただでさえ南の南海の暑い島なのにさ」
「泥棒除けのつもりかな・・・ほら客室を逃がさないっていう」
前田が恐る恐る言葉を濁した後に、たかみながおどけたように言う。
でもまさか、窓一つも無い館なんて聞いたことがない。
それに、ここの館の主人は全く泥棒が入ってこないかのように見える気がすると思ったからだと
前田はふと思った。


「ねえ、たかみな・・・たかみなは怖くないの?」
窓一つも無い個室に前田はちょっと腰を引くように言う
「どうして?あーっ敦子、ひょっとして怖いの
 全く敦子は昔から怖がりなんだからさ・・・・大丈夫よ」
そう言ったたかみなは全然怖がる素振りもない。
前田はなんか気になった、窓一つも無い館に1週間もいると気が休まらないと思った。

40プルヒッター:2014/08/24(日) 16:02:00
再びノックのする音がした。
今度ややや大きな音を立ててのノックだった。

「ヤッホー」
ノックの主は小林香菜だった。
『香菜』
前田とたかみなは声を揃えて言う。

「あっちゃん、あれったかみなも来てたんだ」
「うんっ、それより香菜、どうやってここに来たの?」

その話をしたかったたかみなは小林に語ってきた。
「ああその話ね、実はさ清瀬先輩がクルーザーの免許持っていたんだ
 あの人はね今は大学のヨット部のキャプテンやってさかっこいいアウトドアの天才でもあるんだよ」

そういえば初めてたかみなが清瀬と握手したときに何だかアウトドアの雰囲気を醸し出していたようにみえた。
野性的に見えるが、落ち着きのある雰囲気を感じたからだ。

41プルヒッター:2014/08/24(日) 16:05:59
「じゃあ、香菜も一緒に動向ってわけね。
 それより香菜、秋元先生からよくお休みもらえたわね、劇場公演はどうするのかと」
前田も心配をよそに言った。

「大丈夫よ、劇場公演は後輩にアンダーを任せたって言ってあるから」
「そう、まあいいや・・・大勢になるほど賑やかになるから文句は言えないし」
前田とたかみなは快く了承してくれたようだ。

けど、一番のムードメーカーがここに鉢合わせとは。
予測できない前田とたかみなだった。

42プルヒッター:2014/08/24(日) 16:09:04
「とにかく皆を呼んで島の中を探検していかない?
 館ばかりいたんじゃ体に毒だしさ・・・ほらほらあっちゃんとたかみなも」
「ああっ、そうだね。」
「行こうかたかみな」

結局小林香菜に無理に押し切られた感じの2人だった。
一緒にいた気分が何となく冷め切ってしまったからだ、ゲンキンな子だ。

43プルヒッター:2014/09/10(水) 23:15:07
ロビーの玄関前にはもう少女たちがいた。
そして一緒の清瀬達も談話室前のロビーの前に立っていた。

どうやら皆も外の空気を吸いたい気分の様子だろう。
窓のない館にずっといるのも気分が落ち着かないのだろうか?
玄関ロビーには少女たち18人、清瀬達もいた。
・・・しかし、あの元木早苗だけの姿はなかった。

「あの、あの元木って女の子はいないみたいですけど」
大島が清瀬に尋ねると。
「ああ、元木はあまり外には出たがらない性格でね、
 せっかく皆と島を探検しようと話したんだが、一人でいると聞かなくてね・・・部屋で読書するのがいいと」

変わった性格の人物のようだ、元木は。

44プルヒッター:2014/09/10(水) 23:19:09
「あの元木って友達のいない子なのかな?」
板野はそう言った。
「なんだかあまり友達にならないタイプの子も一人はいるみたいだね、どこの世界でも」
篠田もそう言う。

「ははは、大丈夫さ元木はそんなに根暗な子ではないからね
 あいつは皆と居るよりも、一人の方がいいと思ってね」
田所は大雑把に笑いながら言った。

45プルヒッター:2014/09/14(日) 01:11:00
館には元木早苗と館の主の黒木だけを残して皆は島を探検した。
重々しい鉄の扉の音が大きく響くように開いた。

46マジ女好き:2015/01/01(木) 01:37:08
マジすか学園を小説にしていただけると幸いです。

47プルヒッター:2015/01/09(金) 02:07:19
その重々しい扉を開けた途端。
眩しいくらいの太陽の光が少女たちを指す。

「うわあっ、もう太陽があんなにギラギラとしているよ」
柏木が手で太陽の光を遮っている。
あんなに大きな光を受けたのだからそりゃ当然だろう。

48プルヒッター:2015/01/09(金) 02:16:58
「俺たちは山の方に行ってみるよ
 皆はとこに行くんだい?」
リーダーの清瀬が前田達に問いだす。

「そうですね、せっかくですから
 ここの島の方をもうちょっと探検してみたいなと思いまして」
「清瀬さん、山の方に行くの?香菜もそっちに行きたい」
小林香菜が2人の会話に割って入る。

「ちょ、ちょっと香菜、あんた忘れたの
 私たちの掟を、勝手な行動とるのだけはやめてよね」
「でも」

秋元才加の言葉に小林香菜はちょっとショボくれる。
「・・・・ごめん」
小林もちょっと反省して平謝りした。

「清瀬さんは山の方に行かれるんですか?
 気を付けてくださいね、結構うちらはこの屋敷に来るまでは大変な山道をあるいてきたんですから。」
「いや、山の方っていっても山の近くまでは行かないよ、ちょっと軽い涼みに行こうと思っていたところなんだ」
「おーい、清瀬早く行こうぜ」

早く行きたいのだろうか、外からは佐久間の声が響いた。
「ああ、今行くよ、
 じゃあ皆さん、またあとでな」
清瀬は玄関のロビーを飛び出し、佐久間たちの後を追って山へと向かって行った

49プルヒッター:2015/01/09(金) 02:24:42
敦子とたかみなは何も言わなかった。

ふと敦子は自分のしている腕時計をチラッと見た。
・・・・時計は3時を刺そうとしていた。

「敦子、ほら香菜も行こう」
たかみなの言葉に前田敦子と小林は動いた。

「イェーイッ」
早くも屋敷の外に出ていた指原が屋敷内のある貝殻のオブジュで作られた貝殻に乗っかって遊んでいた。
全くいつまでたっても指原は子供なんだから。
北原と横山は危ないから落ちちゃうと心配しそうに見ていた。

「コラーッ指原、勝手な行動はするな!!!
 噴水の上の貝殻のオブジュに乗っかって遊んでいいの」
「だってたかみなさん、こんなオブジュ見たことないっすよ、さすがに変わっていて面白くて」
高橋の言葉を全く無視する指原、キャッキャと燥ぐ。

「いいから降りなさい」
「うっ!!!!」
高橋の剣幕な言葉に指原はおとなしく噴水の貝殻のオブジュからやっと降りた。

50プルヒッター:2015/01/09(金) 02:38:55
とにかく島の探検を続けよう。
18人の少女たちと香菜は忘らるる島の探検をした。

道は狭かったり広かったりと登ったり歩いたり結構重労働だ。
途中、島の方にはおかしな祠や、神社みたいな社の跡があった。
ふだんこの島の人には神社に来ているとは思えなかったからだ、さらに進むと。

島の展望台が見えた。
錆びた展望台の中を覗く。
入った途端、鉄の臭いが鼻の中へと入っていくのが解る、もう長く入っていないのだろうか。
18人の少女たちと香菜は思った。

「この展望台もう随分と昔からあるみたい」
大島優子が展望台の中を大きくなめるような気分で見渡す。
「なんか、監獄の雰囲気も味わう気分」
板野友美が背後から言ってくる。
その言葉に大島はちょっとドキッとした、監獄だったとは思えない。

「いったい誰がこの展望台、島に作られたんだろう?」
「昔の人に決まっているって、そうじゃなきゃ、この展望台自体ないよ」
不思議そうに言う小嶋陽菜とは対照的に。
篠田麻里子は当然のように言い切った。

51プルヒッター:2015/01/09(金) 02:49:31
展望台の中は特に何もなかった。
そろそろ皆は外へと出ようとした。

「麻友、どうしたのさっきから空ばかり眺めてて」
柏木由紀が心配そうに尋ねる。
「うーんっ、先程までにあんなに太陽が出ていた青空だったのに
 ほらっゆきりん見て」

渡辺麻友の言葉を受けて柏木が空を見る
嘘じゃなかった、先程までに青空の日差しを浴びていた太陽が曇った雲に完全に支配され
そのまま太陽は姿を現さず、完全に隠れてしまったからだ。

「あれっ、さっきまで太陽が姿があったのに
 天気予報では晴れと聞いたんだけども、予報が外れたのかな?」
柏木がちょっと首をひねったように言う。

「かしわげちゃん、これは早く戻った方がいいよ
 また降り出すと怖いから」
篠田が意地悪っぽく言う

「ええっ麻里子さま、ひどいっ
 確かに私は雨女ですけども、それとこれとは」
「でたよ、雨女の本領発揮が」
「ほんまですね」

そのあとを北原里英と横山由依が言う。
「うーんっ、そうですね・・・今日は戻りましょう
 島の探検はまた明日にして今日は早く戻りますか」
雨女と自覚していた柏木はすんなりと諦めたのだ。

「ゆきりん、おいて行くよ」
前田敦子の言葉に後を追う柏木由紀と渡辺麻友
「あっ、前田さんおいていかないでください」
すぐさま前田の後を追う

52プルヒッター:2015/01/09(金) 02:59:10
急いで忘らるる島の館へと戻った前田達。

どうやら皆濡れることなく屋敷へとたどり着いた。
「ただいま」
屋敷の支配人の黒木が出迎えてくれた。

「おや、お早いお帰りでして。
 屋敷に戻るにはまだ早かったのでは、それに・・・男性の人たちは合流しなかったのですか❓」
「はい、皆さんはまだ」

前田がそう頷いた
高橋もそのあとを続く
そしてとうとう屋敷の外はついに雨が降り出してきたのだ。
急いで戻って正解だったようだ。

ところがいつまでたっても清瀬達の姿は屋敷へとやってこない。
道に迷わなけれはいいのだが
雨が音を立てながら屋敷の1回の窓ガラスを濡らす

「おーいっ
 皆無事か・・・いやあっ参った参った、急に降り出すんだから」
清瀬達が戻ってきた、髪や服のTシャツにはすでに雨で濡れていたようだ。
「あっ、清瀬さん。
 戻ってきたのね、心配してたのよ、大丈夫」
北島なつみが清瀬を心配してきて尋ねてくる、早坂と瀬戸がタオルを持ってきて
くれたようだ。

早速清瀬達はもらったタオルで頭と体を拭く

53プルヒッター:2015/01/09(金) 03:07:11
「いやあ、山の近くへ行こうとしたら急に雨が降り出してきてね。
 俺たちも急いでこの屋敷へともどったのよ、まいったまいった」
清瀬はテレながらそう言い切る。

「結局、探検は中止となったわけさ」
「せっかくの探検がオジャンよ、いやあ最悪だよ、雨のせいでよ」
「早く風呂入りてえぜ」
田所、佐久間、竹内はがっかりした口調だ。

「着替えてくるから、皆さんは待っててくれ」
そう言い切ると清瀬達は2階の階段を登っていき、それぞれ自分の部屋へと消えていった。

「ねえ、この島って何かあった
 あなたたち、先程島を探検したって言ったよね・・・何か発見でもあったかしら」
水泳部の北島なつみが冒険心を抑えきれずに尋ねてくる

「実はですね」
前田敦子は堰を切らせて喋った。

54プルヒッター:2015/01/09(金) 03:20:26
5分たった。

先程まで部屋に着替えに行ってた清瀬達もその場にいた。
「そうだったのね、
 でも・・・おかしな島よねこの忘らるる島っていう名前は」
瀬戸裕子がそう言った。

「でもよ、信じられないぜ
 今更こんな変な島に神社があるとはよ、誰か呪いでも解くんじゃないのか?」
佐久間昇もそのあとを続くように言った。

「それで、清瀬さんの方は?」
大島優子が清瀬の方をちらっとみて尋ねてきた。
「俺たちは山の方へ行こうとしたんだけども、結局みつからずじまいさ」
「おかげで島の秘密も探れずじまい」

清瀬と伊達は言った。
しかし展望台のことだけは言わなかった。
言っても信じてくれないからと前田は思ったからだ。

「せっかくの夏休みがぶち壊しのムードだ」
「水着持ってきたのに」
「日光浴も出来ずじまいだね」
少女たちもちょっと残念なムードの気分、皆が部屋へと戻ろうとしたとき。

「お食事の用意ができました
 どうぞ大食堂の方へ皆さまいらしてください」
黒木の言葉を先頭に皆は動いた。

談話室の右側の廊下を通っていき暫くすると突き当りの向こう側に大きな扉が目の前にあった
黒木が大扉を開ける。

皆が中へ入ると。
そこは大きな白い布に掛けられたテーブルが目の前にあった。
「すごい広い食堂ね、ここ」
大島優子がそう言った。

「まるで誰かに見られているみたい」
河西智美がちょっと怯えた声で絞り出した。

55プルヒッター:2015/01/09(金) 03:32:55
既にテーブルの上には食器やナイフとフォークが置かれていた。

皆は一斉に椅子に座る。
「皆さまおかけになりましたね。
 ただいまスープをとってきますので、そこで待っていてください」
黒木がそう言うと、彼は大食堂から出ていき廊下の奥へと消えた。

「何だか楽しい雰囲気が冷めたみたいね」
板野がちょっと吐き捨てたように言い切る。
「俺もだぜ、せっかくのバカンスが台無しだぜ」
板野と同じ意見なのか、佐久間も不機嫌さを見せる。

「佐久間、そう言うな
 まあ何にしてもこうして皆が無事に今いるんだ、こういう嫌な雰囲気な気分は
 全て忘れて、皆と食事しながら話でもしよう」
清瀬の説得力には皆も落ち着いた。
ちょっと湿っていた雰囲気も今は静かになるくらいだ。

「そうね、清瀬さんの言う通り・・・こんな天気じゃ何もできないし
 せっかくの初対面なんだ、食事しながら話でもしましょう、とも・・・それでいい」
「・・・ごめんねたかみな」

板野はそう言うと頭をかきながら平謝りをする。
「・・・いい仲間をもったわね」
瀬戸は友情味を感じたのだろうか、何かとたかみなの言葉に理解した。

56プルヒッター:2015/01/09(金) 03:40:13
「ありがとう」
たかみなもちょっと照れながらそう言う。

「さすが香菜の同級生ね。
 どんなにつらい立場でも強い逆境の持ち主ばかり」
「うちらもこの強い精神を見習いたい位だよ」
大島と秋元は感心したようだ。

「あーっ、もうおなかがすいたよ
 指原何だか今日は朝から何も食べてないし、早く料理持ってきてほしいですよ」
駄々をこねる指原。

「嘘つけー
 指原今日朝からメロンパン3個も食べていたくせに、よく言うよ」
「食い意地の張った人ですね」
意地悪く言う北原と横山。

「もうっ、りえちゃん・・・横山・・・それを言うなよ」
指原の言葉に皆が笑ったのは言うまでもない、大食堂の間に笑いの声が絶え間なかった

57プルヒッター:2015/01/11(日) 03:06:09
そうこうしているうちに黒木がやって来た。
スープの鍋をワゴン車に乗せたまま、皆に次々とお皿に熱熱のスープを注ぐ。

「皆さま、温かいうちにスープをお召し上がりください。
 ほかの料理も間もなく持ってきますので」
黒木は深々と頭を下げながらまた大食堂を出たのだ。

「あっちっち」
たかみなはちょっと猫舌で熱熱のスープを啜る。
スープは野菜の入ったコンソメスープだ。
皆もスープを啜りながら美味しく味わったのだ。

食事は大変旨かった。
その他の料理も、どれをとっても美味しく召し上がった。
仔牛のローストビーフに、ススキの香草焼き、更には色とりどりのサラダも皆舌鼓をうった。
あの、黒木って男の人は外見とは裏腹に・・・料理の腕も一流の者とみた。
ついつい皆はその食事を有難く平らげ、皆の胃袋へと消えたのだった。

「いやあっ、旨かったな・・・ここの支配人は料理も結構なもんだね」
「そうね、これだけの腕があるにもかかわらずいい腕してるわね」
井上良則は得意げに言う、北島なつみも同じようなふうに言う。

「あの、皆さん。
 聞いてもいいでしょうか?」
渡辺麻友が清瀬達に尋ねる。
「なんだい、麻友さん・・・俺たちのことを聞きたいのか」
「香菜ちゃんとは高校生からずっと知っていると聞きました。
 皆さんは、香菜ちゃんの公演を見に行ったことありますか?」

いかぶしげに言う渡辺麻友。
清瀬は何も言わない。
竹内が代わりに言った。

「ああ、確かあれは小林が初めての公演だったっけな
 あの頃の香菜は可愛かったっけ、それでね・・僕は昔から香菜とは知っている顔だったからね。」
「そう、竹内君、お金持ちの人だから」

竹内の言葉に小林香菜も乗った。

58プルヒッター:2015/01/11(日) 03:18:05
「ちょっと、香菜。
 これ以上私たちのことは言うのはやめなよ、私たちもプライバシーってあるんだから。」
大島が心配しそうに言う。

「・・・・・あなた達。
 香菜の関係者なの?」
ずっと一人黙っていた元木早苗が珍しく口を開く

「ええ、まあ」
前田はそう言う。
「・・・・・・あなたたちは香菜のことをよくわかっていないようね。
 彼女は、これまでいろんな苦労があったのよ、それをあなたたちには」
段々と口調が荒くなる元木の喋りに皆は答えられずにいた。

「元木、よせよ・・・皆さんが困っているじゃないか
 ここに来たのだって今日が初めてなんだ、皆さんが小林と一緒にいられるのも皆さんのおかげなんだ」
清瀬がその場を納める。

「・・・・・・・・・私、戻るわ」
「あっ、おい元木」
清瀬の言葉を無視するかのように元木早苗は1人大食堂をそそくさと出て行った。
皆は彼女の背中を見送るのが精一杯だった。

「・・・・・・あの元木って子、なんか暗いイメージだね」
倉持は元木に聞こえないように小さい声で言う。
「なんか、視野の狭い子ね、ああいう人ってなんか苦手」
高城はそう言った。
「いやあ、すまない皆、あいつはちょっと変わった人間でね、昔から人づきあいが下手で
 誰とも話をしても聞いてはくれないからね。」
「でも、元木さんはいつも本しか読まない人だから、影のある人に見えるよいつも」
清瀬と内川は口々にそう言い切った。

「・・・元木さん」
前田はチラッと視線の方を廊下の方へと移す。

59プルヒッター:2015/01/11(日) 03:23:55
「とにかく元木のことは気にしないで
 まあ、皆はそれぞれの自分の時間を潰した方がいい、せっかくの夏休みなんだろう」
「そうですね、私も気にしないことに決めました」
清瀬の言葉を胸にたかみなはうんと頷く。

「お腹も一杯になったことだし談話室に行こうか」
「あっ待ってよ、北原、横山」
北原が大食堂を出て行くのを見て、指原と横山は先に大食堂を出て行った。
「そうね、食事も終わったことだし
 談話室で何かして遊ぼうかな、ここにいても何もすることもないし」
そのあとを篠田が追うように出て行く。

「じゃあ、我々も行こう。」
清瀬達も一緒に同行することとなった。

60プルヒッター:2015/01/11(日) 03:28:15
午後8時
談話室には前田達、清瀬達と小林香菜がいた。
外の雨は一向にやむ気配もない、雨風が窓ガラスに激しく打つ。

だが、そこに元木早苗の姿だけはない。
どこかへ行ってしまったのだろうか❓

61プルヒッター:2015/01/11(日) 03:37:13
皆が談話室に集まるとソファーに腰を落とす。

「ビールとワインをお持ちしました。」
黒木がテーブルに並べてあるビールとワインを用意してくれた。
喉も渇いたことだし一杯飲みたい気分だった。
「あの、私・・・お酒飲めません。
 他の飲み物もありませんでしょうか」
そういったのは島崎遥香だ。
彼女はもう20歳なのに、お酒は飲めないのか。

「じゃあ、代わりに紅茶でもお持ちしますので」
黒木は談話室を出て行き、キッチンへと向かった。
「お酒が飲めない人は、紅茶でもいいんじゃないか」
佐久間もそう言う。

やがてキッチンへ向かって行った黒木が戻ってきた。
お盆には紅茶が入ったカップが何個か乗せられている。

62プルヒッター:2015/01/11(日) 03:41:01
男の人たちは当然それぞれ缶ビールやビールを飲み干す。
瀬戸さん、北島さん、早坂さんも同じ。
たかみなとともちんと優子はワイン。
麻里子とにゃんにゃんも同じだ。

敦子は紅茶を頂くことにした。
それぞれ、飲み物をとりぐいぐいと飲む。

63プルヒッター:2015/01/11(日) 03:49:05
「そうなんだ、皆
 高校生は香菜とは一緒で、中学は皆さんちがうんですか」
佐江はちょっと酔っぱらった気分で言う。
「ああ、俺たちは丁度高校の時からずっと水泳部のメンバーでね
 全国大会までも行った経験もあるんだ、あの頃は楽しかったな、つらい練習もあったけども」
田所は自慢げに言う。
そこは彼がスポーツマンの証だからこそなのだろうか。

「ともね、つい最近水泳始めたんですよ、皆さん泳ぎが上手そうだし」
板野はこの頃水泳にハマっているみたいの様子。
「田所さん、水泳部のエースだからね」
香菜はそう言う。

「そうね、なんだか逞しい人だから」
小嶋は目をギラギラさせながら田所の方を見て言った。
「野性的に見えるけども・・・自慢げにしない人よね」
篠田は田所を褒めるように言った。

「いやあ有難う、そうだ、お礼に俺が今度泳ぎを教えてあげよう」
田所の言葉に2人は。
「でも、今回は私水着持ってきていないし」
小嶋陽菜は残念そうに言う。

「そうか、それは残念だな・・・まあいいや、次の機会でも」

64プルヒッター:2015/01/13(火) 03:10:26
「陽菜、あんた本気だったの?ちょっとあんたクロールだって泳げもしないくせに」
篠田がチャチャを入れる
「えーっひどいよ麻里ちゃん、私だって本気なのに」
小嶋が泣きそうに言った。
その言葉に皆が大笑いしたことはいうまでもない。

65プルヒッター:2015/01/18(日) 00:33:14
島崎が一人あたりを見回す。

「どうしたのぱるる、さっきから落ち着きがないようだけど」
心配して横山が島崎に声を懸ける。

「あの元木って子、さっきから来ないみたいだけど」
そういえば、あれからずっと元木早苗の姿が見えない・・・皆と食事したあとからずっと姿がないのだ。

「ああ、あの子ですか・・・さっき誘って行きましたけども。
 なんか一人で本を読んでいるのがいいと誘いを断られまして・・・でも一応飲み物は部屋へと置いていったので」
黒木が説明した。

「すいません、ありがとうございます。」
清瀬が頭をかきながら支配人の黒木に礼を言う。

66プルヒッター:2015/01/25(日) 01:30:42
目の前の大時計をチラッとみる前田敦子

9時だ。
外の雨と嵐は段々と強まる一方。
結局、皆たわいもない話をしたりなど大きな出来事もなくこの夜は皆解散した。

10時30分。
皆それぞれと自分の部屋へと戻っていき談話室を後にした。

67プルヒッター:2015/01/28(水) 01:41:06
そして皆が寝静まった館は一層不気味に見えた。

真の闇ともいえるべきか。
辺りは死に絶えるかのように静寂だった。
ボーンボーンボーンと大時計の鳴る音が聞こえたのだ。

68プルヒッター:2015/01/28(水) 01:43:16
翌朝。

雨と風の音は聞こえない。
前田敦子は目を覚ました。
ふと自分の腕時計を見る。
7時だ・・・皆何事もなく朝を迎えた。
前田はそんな事をずっと考えていたからだ。

が・・・それはすぐに打ち砕かれるのが彼女にはまだ解らなかったのだ。

69プルヒッター:2015/01/28(水) 01:45:53
部屋のドアを開けてすぐ廊下を出る前田。

すると下の方で何か騒がしい声があったのだ。
階段を下りて声のする方へ向かう前田。
突然、前田の背後から肩を叩く音がした。
「うわっ」

拍子のあまりに驚く前田。
チラッと後ろの方を見る・・・・たかみなだった。

「もうたかみな、びっくりさせないでよ・・・・お化けかと思った」
「ごめんごめん、それより何かあったの?」
たかみなは前田に問いかけてきた。

70プルヒッター:2015/01/28(水) 01:51:38
聞きたいのはこっちの方だ。
ちょっと下の方へ声がしたので行ってみると思ったからだ。

たかみなもそれを了承した。
下の方へ行ってみると。
館の廊下の外れで人が集まっているのが解る。
「おや、2人ともどうしたんだ、ここに来て」
「私、声の方がしたのでちょっと来たのです」

清瀬が話したあとに前田も答える。
そこにいたのは、リーダーの清瀬と北島なつみと瀬戸裕子・・・それに支配人の黒木だけ。
「いったい何があったんですか?」

高橋みなみは清瀬に聞いてみた。
清瀬は・・・無言でドアの方を見る。
「まさか!!!」

前田は焦った・・・メンバーの身に何が起こったのかを熟知していた。
すると・・・ドアのノブには嫌な匂いが。
この匂いは・・・・血。

71プルヒッター:2015/01/28(水) 01:53:21
「たかみな」
前田は高橋にそう言うように諭した。
もちろん高橋も頷く。
意を決してドアのノブを開ける前田。

・・・するとそこには信じられない光景があった。

72プルヒッター:2015/01/28(水) 01:57:20
ドアのノブを回し部屋へと踏み入れる2人。
どうやらここは物置部屋だ。

使われていない雑用の者があるだけ。
2人はその場所を踏み入れる。

とたん、前田の目の前に何かがぶつかった感触があった。
思わず顔を上げる前田。
と。

「ううっ」
「・・・・・・・・何てことだ」

前田と高橋はこの状況が理解できるまでに数秒かかった。
目の前には首を吊った状態の元木早苗の変わり果てた姿があった。

彼女の顔色は生気にとらわれた違う顔に見えた。

73プルヒッター:2015/01/28(水) 02:02:20
「元木さんが」
「・・・・首を吊って死んでいる」

前田と高橋は声にならないくらいに擦れた声で言う。

「早苗・・・・どうして」
後ろにいた北島なつみも涙目の声で言う。
「なんで・・・どうしてあんたが死ななきゃならないのよ」
瀬戸裕子は泣いていた。
清瀬と黒木はただただうつむいたままで何も喋ろうとはしなかった。


「見つけたのは俺なんだ。
 ちょうど1階のトイレに行ったときに、妙な匂いがして・・・黒木さんの所へ頼みに行ったんだ。
 そしたら・・・彼女が首を吊ってて」
無念の言葉を浮かべながら清瀬は言った。

74プルヒッター:2015/01/28(水) 02:04:30
黒木も同じだ。

「とにかくこのことを皆に話さないと」
清瀬は皆にそう言った。

「私たちはメンバーを呼びに行ってきます。」
「皆、談話室へ集めに行ってきます。」
前田と高橋の言葉に清瀬も同意した。

75プルヒッター:2015/01/28(水) 02:11:43
皆一斉に部屋の中にいる全員を呼びだす。

一刻も死体のあるところへは居たくない、それは皆同じだった。
急いで2階の部屋にいる大島優子を呼ぶ。

「誰」
部屋の中で大島優子の声がした。
「敦子だよ・・・優子いる」
「あっちゃん?その声はあっちゃんね・・・どうしたのそんなに慌てた声出して」

事情はいずれ説明するつもりだ。
とにかく無事を確認するのが精一杯で仕方がなかったからだ。
「どうしたのよそんなに慌てて」

事情を話す前田・・・・すると。
「嘘っ!!!それマジ」
大島優子はまだ信じられないと思ったからだ。

「優子、敦子の言っていることは本当よ・・・さっき下に言ったら元木早苗って子が首を吊っていたの」
「優子は信じられないかもしれないけど、わたしとたかみなと清瀬さん達で見に行った。」
前田はできる限り説明をした。


「とにかく皆にも知らせないと」
大島も危険を察したのだろうか急いで皆の部屋を回る。

76プルヒッター:2015/01/28(水) 02:16:38
「麻里子・・・いる」
返事をしたが返ってこない。

まさか!!
と、その時隣の部屋でドアの開く音が。
「もう誰・・・ってあっちゃんじゃない、どうしたの血相を変えてさ」
部屋からは小嶋陽菜が顔を出してきて前田に声を懸ける。

「にゃんにゃん、麻里子が居ないの」
焦る前田に小嶋は。

「誰、誰かいるのそこに。
 ってなんだあっちゃんじゃん・・・朝っぱらから妙に騒々しいね」
ショートヘアの髪を小さく掻きながら『おはよう』の挨拶の仕草で前田に声を懸ける。
「麻里子さま・・・どうしてにゃんにゃんの部屋に」

77プルヒッター:2015/01/28(水) 02:21:06
事情を説明するたかみな。

「あれっ私昨日自分の部屋でグッスリ眠っていたのに
 おかしいな?トイレに行っていたところまでは覚えていたのにいつの間にかにゃろの部屋で眠りこけていたみたいで」

「鍵はかけてなかったの」
「・・・部屋に一人で入るまではずっとかけていたわ、多分昨日のお酒が抜けていなかったみたい」

気分屋にはかなわないようだ。
「ちょっと、心配したんだからね・・・もし麻里子に何かあったら私」
前田はちょっと涙目で喋った。

78プルヒッター:2015/01/28(水) 02:22:46
「結局酔いつぶれてそのままにゃんにゃんの部屋で力尽きて眠ったのね」
たかみなもちょっと呆れた様子。

「と、こんな事言いに来たんじゃないのよ
 それより大変なんだ・・・実はね」

79プルヒッター:2015/06/07(日) 01:09:32
「嘘でしょ?」
麻里子はまだ信じられないような言葉で返してきた。

「それ、本当なのあっちゃん、みなみ」
「私と敦子の2人で見たんだ」
「・・・・あの元木早苗って子が、誰に」

小嶋はまだ信じきれない表情を出していたようだ・・無理もないいちいち説明するのがつらいのは2人も解っていたからだ。
「ほかの皆にはまだ話してないの」
小嶋も乗る気ではないが協力はしてくれるようだ。

「急がないとこれは、大変だよ」
麻里子は2人にはっぱを懸ける。

80プルヒッター:2015/06/07(日) 01:11:37
「優子やともちんにも知らせてきた、だから解るのはうちらと清瀬さん達
 だから皆を早く1階の談話室へ集めて」
たかみなの言葉に2人も動き出す。

81プルヒッター:2015/06/07(日) 01:19:37
数分後。
1階の談話室には殺された元木を除いてはみな集まったころだ。

清瀬達、18人の少女たちと・・・・小林香菜と黒木だった。

「これで全員集まったね」
たかみなが小さく咳払いしながら皆の顔を見回す。
「たかみなそろそろ説明して。
 さっきまでなにがあったのよ、たかみなとあっちゃんしか知らないと聞いたから」

峯岸は恐る恐る2人に問いかけた。
「みいちゃんごめんね、怖い思いをさせて。
 私が下に降りようとしたときにたかみなと一緒に1階の物置部屋に清瀬さんたちと出会ったんだ
 そしたら」
「そしたら」
「ああ、皆には残酷な言い方しかできないんだけども・・・うちの元木早苗が首を吊って死んでいたんだ」
清瀬が絞り出すような言い方をして、皆にそう告白した。

82プルヒッター:2015/06/07(日) 01:25:21
「元木が・・・誰にだよ」
伊達守が大きな声で言う。

「解らない、でも最初に見つけたのは清瀬さん達なの」
「おいっ、でたらめも冗談いうなよ・・・お前たちが元木を殺そうとしたんだろうが!!!」
伊達の剣幕な怒りで敦子とたかみなは伊達の言葉が胸に突き刺さる。

「やめてよ伊達君、2人は丁度私たちより後からあったのよ」
そばにいた北島なつみが敦子とたかみなを庇うかのように言う。
「しかし、この二人が死体を見たって聞いたぜ俺は」
「辞めないか伊達、最初に見つけたのは俺と黒木さんだぜ」

清瀬もいつの間にか敦子とたかみなの味方をする。

83プルヒッター:2015/06/07(日) 01:37:00
「・・・・すまん清瀬」
なんだかんだで伊達も反省しきりだ。

「とにかく元木の死体は安全に手厚く葬った、以後あの物置部屋に入るのだけは
 今後禁止する、皆もみだりに入るのは危険だ」
清瀬が落ち着いた表情で皆にそう言葉を締めくくった。

「あとトイレとか外に出るのも一人では危険ね、団体行動で」
たかみなもその後に続く。

84プルヒッター:2015/06/07(日) 01:39:53
そう言って暫くは皆は言葉にも出さなかった。

8時。
昨日の大食堂に足を向ける前田達、清瀬達。
朝食の用意をしてくれたのだ。
何気に皆椅子に座るメンバー。

椅子の座り心地は昨日こんな気分だったのだろうか❓
そんなことを気にせずに食事にありつける皆。

85プルヒッター:2015/06/07(日) 01:53:11
「ぱるる、気分が悪いの?
 全然食事に手を付けていないじゃない」

心配そうに見た横山が島崎の顔を見る。
「・・・由依ごめんね、私ちょっと食欲がないんだ今」
冷めた表情で笑顔を見せない島崎遥香。

「おいおいいくら人が死んだからって食欲がないのはおかしいんじゃないのか?
 俺は何が起きても食欲だけは残しておきたいんでね。」
佐久間が皮肉そうに言いだす。
「・・・・・・・本当の事を言っているのに随分強がっているくせに」
無表情な島崎の言葉に佐久間はちょっとカッとなった。

「お前、本当は怖いくせによくそういう風に冷静に言えるな・・・生きるか死ぬかの瀬戸際なんだぞ」
一触即発ムードの気分だ。
佐久間は島崎に対しても容赦はしないようだ。

「おい朝っぱらから辞めろよ、相手は女の子だぞ・・・それに本当の事言ってるんだ」
田所が佐久間に注意した。

「なんだと、おいっ田所いくら相手が女だからってお前俺に指図する気かコラッ!!!」
注意されて頭に来た佐久間が今度は田所に食って掛かる。
前田達もその光景にちょっとざわつかせる、とても食事のムードとは返って雰囲気を壊すばかり。

「注意されて頭に来たか佐久間」
「てめえっ、言わせておけば」
佐久間が自分の座っている椅子を乱暴に後ろに叩き落とした。
そして田所に殴りかかったのだ。

「この野郎」
田所も負けじと佐久間の顔を一発殴った。
少女たちはこのざわつく光景に怯えるものもいた、あっけにとられるものや、恐ろしくて食堂を
出て行くものもいた。

86プルヒッター:2015/06/07(日) 02:08:56
2人は暫く激しい殴り合いを始めた。

たかみなと敦子は食堂からちょっと離れてその光景を見た。
清瀬達が少女たちを気遣うように反射的に庇った。
「・・・すまないせっかくの食事だというのにこんな事になるとは」
「清瀬さんのせいじゃないですよ」
横山が優しく清瀬に声を懸けた。

「申し訳ない・・・真実を話すのも正しいことだからね」
2人の殴り合いが続く。
意を決した清瀬と伊達が止めに入った。

「いい加減にしろお前たち」
清瀬が田所と佐久間の2人を殴り飛ばした。
田所と佐久間はポカーンとした表情で清瀬の方を見る。

「落ち着いたみたいだ」
秋元才加はその一部始終を見た。
「凄いバトルだったね・・・あーあせっかくの朝ごはんが台無しだよまだほんの少ししか食べてもいないのに」
「無茶苦茶だよこれじゃ。」

朝ごはんを台無しにされた宮澤は残念そうに言う。
河西も同じような気分だ。
「もうこれじゃ朝食の気分がなくなったよ」
板野はちょっと不服そうに言いながら大食堂を後にする。

「麻友行こう」
柏木も呆れたように麻友と一緒に大食堂を後にした。

皆も食欲がなくしたのだろうかそれぞれ大食堂を出た。
止めに入った清瀬、伊達・・・そして暴れた田所と佐久間を残して。


「香菜、あの2人っていつもあんな感じなの」
優子が心配そうに言う。
「初めて見た、田所君があんなに剣幕な顔で怒って暴れるのも初めて見た」
「そうなんだ、温厚な人間ほど何をしでかすかわからないからね」

優子はそんな小林香菜を窘めるように言った。

87プルヒッター:2015/06/07(日) 02:11:33
食事もろくに取ることができず談話室に戻った前田。
いるのは前田、たかみな、島崎、横山の4人しかいなかった。

88プルヒッター:2015/06/08(月) 00:45:13
「ぱるる、あんたは本当に無表情と言うか何というか・・・塩対応もほどほどにな」
「・・・・由依ごめん」

横山に諭された島崎は誤る。
「別に誤ることなんかないよ・・・またあの出来事が起きなきゃいいんだから」

横山は更に話し出す、あの時の夜は島崎は皆とは合流がなかったからだ。
島崎は無表情のまま首を小さくひねる仕草。

「まあとにかく2人とも無事だったし、これからどうする?
 食事もろくにできなかったし、もうあの人たちがあんなに暴れなかったら食事が台無しじゃないの」
「敦子・・・あんたあんなことがあったにも関わらず食事しか興味なかったわけ?」

前田の突発的なことの発言にたかみなはちょっと呆れたご様子。

89プルヒッター:2015/06/08(月) 00:55:06
「敦子は食べ物の事となるとちょっとすねるんだから」
「たかみなに言われたくないよ」

たかみなは子供っぽく笑った、前田も同じく笑う。
横山と島崎もつられて小さく笑う。
大食堂で起きた張りつめた空気が何となく解消された気分だった。
と、

「やあ君たち先程はすまなかったね。
 俺たちのメンバーが失礼をやらかしてすまなかった。
 食事しそこねただろう、ほいっ」

清瀬が缶ジュースを4人に渡した。
「あ、ありがとうございます。」
「例なら黒木って人に言ってくれ、あの人に頼んであげたまでさ・・・君たちのメンバー全員にもあげてきたところさ」

缶ジュースをもらってジーっと食い入るように見る島崎。
「・・・・・・・どうもありがとう」

ゆったりした口調で島崎も清瀬に礼を言う。
「怖い思いさせて申し訳ない・・あの二人には俺と伊達の2人が止めに入った、だから・・・・すまない」
「清瀬さん、はるるのために申し訳ないです」

横山も心配しそうに言う。
「でもいいじゃない、後で黒木さんにも礼を言いましょう」
たかみなは2人に心配かけないようにその場をしめた
缶ジュースの口を開ける。

程よいオレンジの味が濃厚だった。

90プルヒッター:2015/06/08(月) 00:58:04
同じ頃。
外の上面玄関のところでは渡辺、柏木、北原、倉持、高城、指原の6にんが噴水のところで
皆ひと固まりをしていた。

91プルヒッター:2015/06/08(月) 01:04:31
「あーもう怖かった。
 あの田所って人と佐久間って人・・さっきまですごい殴り合いしていたじゃない」
「あの2人ってさ、香菜ちゃんの話じゃスポーツマンだったじゃない」
「スポーツマンって結構紳士の人が多いって聞いたけどさ」

北原、倉持、高城の3人が口々に言い合う。
まだ怖がっているのかちょっと空威張り気分な様子。

「はにかみ屋な所もあったんじゃない。
 何だかんだでさあの2人もちょっと気を付けた方がいいよ」
指原の言葉に皆も賛同する。

「あーあ、あの元木早苗さんと話をしたかったなもう少し
 せっかく友達になろうと思ったのに、あんな事になるなんて」
元木が死んだショックなのか、麻友はなんか萎んだ表情

「麻友」
柏木はそっと麻友の肩を手に回して心配してあげた。

92プルヒッター:2015/06/08(月) 01:07:27
「でもあの清瀬って人、いざとなると頼りになるよね
 香菜ちゃんの高校生の同級生だと聞いたけど、何だかお兄ちゃんみたい」
倉持は清瀬のリーダーシップにとらわれた様子だ。

「そうね、私たちの力にもなりえる気分だわ」
高城も同じ。

93プルヒッター:2015/06/08(月) 01:16:17
一方その頃。

館のテラスにいた篠田、小嶋、秋元、宮澤の4人は
黒木にもらった缶ジュースを飲み干し、テラスの椅子にくつろいでいた。

「ふーっ」
「麻里ちゃん、ため息なんかついちゃって」
篠田のため息を見ながら小嶋が問いかける。

「あっ陽菜ごめんね、ちょっと風にあたっていたんだ。
 でも昨日あんなに激しい雨が降っていた後だったのに、もうすっかり太陽さんが顔を覗かせているんだもの」
「本当ね、昨日はあんな激しい雨の音聞いたもの・・・何だか悪い夢を見た気分だわ、ああ風が心地よい」
2人は真夏の太陽の光も気にせずテラスからくる涼風を浴びている。

「麻里子、にゃんにゃん・・・涼風に当たっていたんだ、私と佐江も同じさ・・・全くあの連中、せっかくの夏休みだというのにあんなに
 暴れちゃグズグズの夏休みが台無しだ」
さっきの光景を見た秋元は何だか強気なセリフを吐き捨てた。

94プルヒッター:2015/06/08(月) 01:20:09
「才加ならあの2人を止めていたんじゃない。
 ほら才加、合気道習っていたって言うしさ・・・佐江びびって怖かったよもう」
「才加ならきっとありうる」
宮澤と篠田の言葉に秋元はブンブンと首を横に振った。

「とんでもない、あの2人がいきなり暴れだしたから止めるにも止めようがなかったよ」
「そう、才加なら真っ先に止めていたはずなんだけどな」

小嶋も意地悪そうに言う。
「辞めてよもう」

95プルヒッター:2015/06/08(月) 02:19:22
「せっかくのスキューバの道具も持ってきたのに
 なんだかそんな気分じゃなくなったな、せっかくの泳ぎを披露したかったのに」
残念そうに言う秋元。
佐江もそんな気分だろう。

そしてともちんと優子たちは。
もう片方の外れのテラスにいた。

とも〜みとみいちゃんも一緒だ。

96プルヒッター:2015/06/08(月) 02:26:46
白いワンピーススカートをまとっている河西は海の沖の方を見つめていた。
嫌なことを忘れたいのだろうか?峯岸も隣にいる。

「みいちゃん、海って何だか不思議ね。」
「とも〜みも?私もなんだ」
河西と峯岸は意気投合しながら言う。

「優子は泳ぎ得意なのに今日は泳がないんだ」
河西は優子の泳ぎを見たいんだろう・・・結構ミーハーな子だ。

「あっとも〜み、実は今回私水着が持ってきてこなかったんだ、せっかく私の自慢の泳ぎを披露したかったのにゴメン」
「いいよ誤らなくても、無理言ってごめんね」
優子に誤る河西。
ひとりテラスの椅子にテーブルを腕を付きながら板野はボーっとしている。

「ともちん、一人で日光浴?」
「違うよ、ともも海を見ながらちょっとボーっとしてたの
 私たちの大切な夏休みだからさ・・・それにこんな気分になるのも久々だから。」

97プルヒッター:2015/06/08(月) 02:28:23
皆お互い離れた場所で束の間の休みを取っている。


この夏休みがいつまでも続くように一同はそう願うばかりだった。

98プルヒッター:2015/06/08(月) 02:30:13
1時間後


清瀬達が皆を呼びだした。
何気に皆は談話室へやってきた。

99プルヒッター:2015/06/08(月) 02:37:20
「やあ先程は皆に迷惑かけた
 せっかくの夏休みだと思って・・・そんなしけた顔してたらせっかくの休みが台無しだよ
 オレ、実はクルーザーの免許持ってきているんだ、だから退屈しのぎにクルージングもどうかってね」

突然の清瀬の提案に皆は。
「クルージング?」
島崎は言葉に詰まる。

「ああ、クルーザーの操縦は僕がするよ・・・それに外に少し出て嫌なことを忘れようじゃないか」
清瀬の提案に誰も反対するものは居なかった。
皆も嫌な気分を変えるために一度は外に出たい気分だろう。

「じゃあ、私クルージングを楽しもうかな?
 それに太陽の日差しも浴びたい気分だったから、敦子いいでしょ」
たかみなは敦子にそう願いを申し出た。

「たかみなが言うなら行ってきてもいいよ。
 あんまり遅くならないくらいなら、大丈夫だし」
「ありがとう敦子」
「じゃあ決まりだね」

結局クルージングを楽しむのは清瀬と田所と瀬戸・・・・それにたかみなともっちいと横山、島崎のメンバーだった。

100プルヒッター:2015/06/08(月) 02:41:45
「気を付けてね」
小嶋がたかみなたちに声を掛けた。

「あんまり遅くならないでよ」
峯岸も心配しそうに言った。

「横山、しっかりとぱるるの事頼んだよ」
北原がリードする。


「なあ、俺たちも島のハーバーの方へ行こうぜ」
佐久間昇が言ってきた。

「・・・・・でも私水着がないよ」
優子は言う。
「まあ固い事言うなよ、水着なら俺たち女子の水泳部の水着が余っているから」
「ありがとう、佐久間さん」

大島はお礼を言った。

101プルヒッター:2015/06/11(木) 00:01:15
結局、佐久間の強い薦めで大島優子は水泳部のスクール水着を貸してもらうハメになり
泳ぎに行くのを決めた。

先程は泳ぐ意欲がわかなかった彼女だが、やはり彼女も女の子・・・泳ぎたい気分だったのだろう?
ハーバーには大島、篠田、宮澤、秋元、河西、北原、指原。
それに佐久間と田所と竹内と瀬戸のメンバーだった。

残ったメンバーは前田、板野、小嶋、峯岸、高城、柏木、渡辺、
それと内山浩太、早坂桃子・・・そして小林香菜だった。


前田達も別行動で・・・昨日できなかった島の探索の続きに行くとしたのだ。

102プルヒッター:2015/06/11(木) 00:08:05
「じゃあ行くとしようか」

伊達男の井上良則が皆に合図をする。
「香菜、日焼けクリームなんか持ってきて塗るの」
水泳部のエースの北島なつみは小林香菜にそう言う。

「・・・ちょっとこの島は暑いからね・・それに私結構肌には敏感な方なの・・・だから北島も塗る」
小林香菜は自分の日焼け止めクリームを北島に渡す。
北島なつみは何も答えずにうんと頷いてそのクリームを塗る。

そして再び館の鉄の大扉を再び開ける。
開けた途端、おおきく響く鉄の扉が嫌に耳に入るのが解る、そしてまた大きな太陽の日の光が前田敦子の顔に眩しく降り注ぐ。

103プルヒッター:2015/06/11(木) 00:25:12
「うわあっ太陽の日の光があんなに光るなんて」

顔を遮るように小嶋陽菜は自分のサングラスで目を隠す。
眩しかったのだろう。
それは皆も同じだった。

「にゃんにゃん、日焼け止めクリーム塗る?」
小林香菜は小嶋に日焼け止めを薦める。
「ありがとう、私も実は香菜と同じ肌に敏感なんだ」
そう言って、小林香菜の日焼け止めクリームを貸してもらい、自分の腕にそれを軽く塗った。


「敦子、行き先はどこ
 敦子が決めてもらわないと島の探索は進まないよ・・・昨日のとこから行く?」

昨日は島の沖の岬の灯台までしか探索ができなかったので
もう一度今日はその場所から進んでいくと決めたのだ。

「じゃあ、またあの灯台からスタートだね今日も」
峯岸も賛成した・・・・と思いきや。
小林香菜が突然話に割り込んできた。

「あのさ、私やっぱさ探検やめるわ・・・せっかく来たのにちょっと」
「どうしたの香菜、突然探検を辞めるなんて」

小林香菜の突然の行動に前田はちょっと深刻そうに問い尋ねた。
「私虫が駄目なのよ」
「ええっここまで来てそりゃないよ・・・探検したいのは私たちなんだからさ」

柏木はそう言うも小林香菜の意志は変わりありそうもない。


「・・・・しょうがないね
 わかったわ香菜、あんたは屋敷に残って待ってて、探検は私たちだけでするから」
「前田さん、いいんですか勝手に決めちゃって香菜ちゃんが」

柏木由紀は前田にそう言うも、前田は小林香菜を庇ったのだ。
と、ここで井上が。


「香菜が残るなら僕も残る、こっちは心配しないでくれ」
井上も残る決意を固めたようだ。

「井上さん・・・・・・じゃあ香菜のことお願いするね」
峯岸はそう井上に言う。

「ああわかったよ、何かあったら僕の携帯電話にでもかけてほしい・・・いいね」
「はいっ」

前田は小さく頷いた・・・ほかの皆も誰も止めるものはいなかった・・・こうして
小林香菜と井上良則の2人だけを館に残して・・・・あ、黒木さんもいた事を忘れていた。


前田達は昨日言った島の灯台をめざし島を出発する。

104プルヒッター:2015/06/12(金) 00:25:21
歩けば歩くほど島の道は結構厳しかった。
この道を何度歩くことやら。

茂みをぬけて、やがて皆の目の前には例の錆びた灯台にたどり着く。
「ここよ」
前田敦子は錆びた灯台の後を指さす。


「君たちが言っていた灯台ね、で・・・ここに何かあるの?」
内山浩太は前田達に尋ねる。

「私たちが昨日ここに来たんだけども・・・結局なにも解らずじまいなの
 中を調べたら、ただの灯台なんだ」
板野はそうぺらぺらと喋った。

「錆びついているともいえども、なんとなく監獄っぽいね」
後ろで北島がボソッとつぶやいた。

105プルヒッター:2015/06/12(金) 00:31:38
「北島さん、怖い事言わないで
 私怪談話、苦手なの知ってるでしょう」
気弱な早坂桃子はちょっとオドオドとした表情。

「あら本当の事言っただけなのに、ちょっと大袈裟じゃない」
得意げに北島は言った。
この人は女性なのになんて豪快なことを言いだすんだ、私だってそこまでは言えないのに。
前田はそう思った。

「あっちゃん、また調べるの?」
峯岸が言った。

「とりあえず今日はここで辞めましょう、調べるのは」
いつになく前田はサッパリと言い切った。

「そうだねここは何だか怖いから僕も思ったよ」
内山浩太も賛成する。

「とりあえずは戻るとするか」
高城はスタスタと一人山道を歩いて行った。

「あ、あきちゃ、待ってよ」
前田達も後に続く。

106プルヒッター:2015/06/12(金) 00:38:11
ふと高城が一人スタスタと山道を歩くと突然足を止める。
どうやら道の石をジーっと見ているようだ。

「あきちゃどうしたのよ、急に止まってさ」
板野が横から口を挟んできた。

「ともちんさん・・・この石、なんか変わった石ですねこれ」
高城が何だか奇妙な石を拾い上げる。


「石?
 そんなものいっぱいあるでしょう、どうしたのよそんな古い石を拾ってさ」
「あっ、でもこの石・・・石の中央になんか彫ってある」

板野は高城に石を捨てようとするも、高城はその石を眺めている。
石の中央には、なにやら天秤のマークみたいなものが彫られていた。


「天秤ですね」
高城がそう言う。

「どうしたのよあきちゃ、先に行くんだからもう」
柏木が追いついた、その後ろを前田、小嶋、峯岸たちも合流。

107プルヒッター:2015/06/12(金) 00:43:30
「あきちゃその石何処で拾ったの?」
前田はその石をどこで拾ったのかを高城に問いかけた。

「ちょうど歩いていた時に拾ったんです・・・これ中央の所見て」
「天秤のマークね」

前田はちょっとひねっているように言う。
「あきちゃは変わっているね昔から・・・そういえばあきちゃはおかしな石を集めるのがすごく趣味だときいたもん」
よく高城のことを知っている柏木はそう答えた。

「アハハ、そうなの?」
「高城さん・・・天然ね」
北島なつみと早坂桃子が嬉しそうに笑った、内山浩太も同じ

「そう、この子はちょっと変わっているの、皆から珍獣だと呼ばれている位なんですから」
「あきちゃ、面白い」
柏木と渡辺は子供っぽく言う。

「酷いよ、ゆきりん、まゆゆ」
高城はテレながら言った。

108プルヒッター:2015/06/12(金) 00:46:43
「で、その石どうするの?」
板野だけは不思議そうに言う。

「あっごめんなさいともちんさん、この石持って帰ります。
 珍しくて変わった石ですから・・・いいですよねともちんさん」
「う、うん・・・私は止めはしないけども」
高城の言葉に板野はそう答えた・・・板野も止めようとはしなかった

109プルヒッター:2015/06/12(金) 00:56:57
丁度前田は自分の腕時計の方を見る。

10時15分
館を出て数分しかたっていない・・・空の太陽がいつも以上に輝いているのを受けて前田は空を見上げる。
こんなに眩しいのは何故だろうと前田は思った。


同じ頃・・・・大島優子たちは佐久間たちと一緒に館から随分と離れている
ハーバーの砂浜で皆と海水浴を楽しんでいた。

皆もさっそく水着に着替えていた。
秋元才加と宮沢佐江はスキューバのマリンスーツにと着替えていた。


「やっぱスキューバやりたくてうずうずしてたんでしょう才加、一張羅に着替えて」
「ああ、やっぱ少し体が訛っていたからさ、私の華麗な泳ぎを皆に見せたくてさ。」
得意げに口語する秋元才加。

110プルヒッター:2015/06/12(金) 01:03:28
「ちょっとそのセリフはこっちよ
 私なんかスクール水着なんだから、もうっ・・・スクール水着なんか学生以来しか着たことないんだからさ」
大島はスクール水着を着てちょっと恥ずかしそうだ。

「でも優子ちゃんそのスクール水着も中々可愛いよ」
「ほんと、指原・・・優子ちゃんのスクール水着も中々イケてるんじゃない」
北原と指原がそう言う。

「2人ともそれは褒めているの?馬鹿にしているの?どっちさ」
大島がちょっとむくれるように言った。
「そんな怒らないでよ優子ちゃん」

北原がそう言った、でもまんざら半信半疑で着た大島もちょっと嬉しそうな表情。

111プルヒッター:2015/06/12(金) 01:10:32
皆は大いに笑った。


「優子、さっきまではあんなに泳ぐのはいいと言ったのに
 結局・・・優子は体を動かしていないとダメな子なんだろうね」
水着姿の河西も同じように言う。

「そうね、あの子はいつも明るくて無邪気な子なんだから、やっぱじっとしているのが
 嫌で嫌でしょうがなかったんだろうね」
そういう篠田も水着姿の様子。

「麻里子さま、きょうの水着姿もカッコいいわ」
「そう?とも〜みだって女の子らしいカッコで好きだわ」
お互いの水着姿を見て2人も笑顔を浮かべる。

「さあ泳ぎに行こうとも〜み」
篠田に手を引っ張られて河西も海に入った。
「うわあっ冷たくて気持ちいい」
とも〜みが海の水を篠田にかけた

「あーっやったわねとも〜み」
篠田も嬉しそうに海で燥いでいた・・・まるで子供のようだ。

112プルヒッター:2015/06/12(金) 01:16:19
田所と佐久間が秋元と宮沢と一緒にボートを使って少し離れた沖に行った。


「よーし、この辺でいいか
 それにしても2人がスキューバやるなんて驚いたよ・・・俺たちの水泳部じゃそこまで出来ないからね」
スポーツマンの田所芳樹はそう言う。


「つい最近なんだ
 私達佐江と一緒にスキューバダイビングの資格をとったばかりで・・・今日は初潜りなの」
「ああっやっと叶うんだ・・・スキューバが出来ることをずっと夢見ていたんだ佐江」
2人はいつになくテンションが高まっている気分。


「まあ、気を付けろよ・・・・海はプールとは違って助け呼べないからな」
佐久間が2人にそう言う。
2人はスキューバダイビングの酸素ボンベを付けて深い海に入った。
大きな水しぶきが佐久間、田所の顔に掛かったのが解る。

113プルヒッター:2015/06/12(金) 01:21:49
「優子さん泳ぎが上手ね」
その泳ぎを見ていた瀬戸裕子が大島の泳ぎを見て褒めていた。

「瀬戸さんだって水泳部のキャプテンだったでしょう
 私とは全然違うって・・・私も泳ぎは小さい頃スイミング習っていた程度なんだけど」
「あらそうなんだ、小さいころからスイミングスクール行ってたって訳か」
瀬戸と大島優子は一喜一憂して話し出す。


青い空・・・白い雲一つも無い太陽が大きく降り注ぐ。
あの嫌な出来事が忘れるくらい2人は泳いだ。

114プルヒッター:2015/06/12(金) 01:24:56
皆は大いに海水浴を楽しんだ。

そろそろ海に浸かってはふやけちゃうのでここらで海水浴は終わりと決めた。
皆も十分楽しんだことだろう。
ところが?
スキューバをしている秋元と宮沢が一向に海へと上がってこない。
まだ楽しんでいる頃だろうか。

ただ事でないと分かった皆が心配したときだった。
海から大きな水しぶきを上げて2人が浜から上がってきたではないか。

115プルヒッター:2015/06/12(金) 01:28:58
「才加、佐江・・・もういつまでたっても
 海に上がってこないんだから、とも心配していたんだから」
ちょっと河西が心配して言ってくる。
でも秋元と宮沢の顔はちょっと深刻な表情だった。

宮澤が皆に自分の手を差し出して見せる。


「なにこれ?」
篠田は不思議そうに言ってくる、そう・・・宮沢が見せたのはおかしな石だった。
石には魚のマークが彫られていたのだ。
それだけじゃない、秋元も同じ石を拾っていたのだ。
水瓶のマークが彫られてあったのだ。

116プルヒッター:2015/06/12(金) 01:33:56
「佐江と才加が海に潜ったときにこの石を見つけたんだ
 なんか、不思議だと思ったんだ・・・この石をみてさ」

宮沢はそうべらべらと喋る。
「なんだその石は、汚い石だなそれ・・・ただのゴミだろそれ」
そう言われて見ればただのゴミだと思う。

「海に物を捨てる人が増えているんじゃないの、この島って」
竹内はそう信じたのだ
そんなことは信じていなかった、南海の沖の方でごみを捨てる人が本当にいるのだろうか?
もしかして昔の無人島じゃなかったのか?
皆は解らなかった。

117プルヒッター:2015/06/12(金) 01:37:32
「なんか不気味ね・・・昔この島で暮らしていてゴミとしてすてたんじゃないのそれ?」
北原はそう確信して言った、そう思った。

「まさか・・・こんな沖の島に人が住んでたなんて信じられないよ」
指原は信じようとはしなかった。


「それにしてもおかしな島ねここは」
瀬戸裕子はちょっと皮肉そうに言った。

118プルヒッター:2015/06/12(金) 01:41:14
「俺もそう思った
 人一人も住んでいないし、この島は何かありそうだな」
田所はこの島に何かありそうな雰囲気を持っている様子。

幸い2人が海の中で見つけた石は結局2人は持ち帰ると決めた。
誰もそれに反対するものは居なかった。
皆は疑問を感じてハーバーの海岸を後にして館へと戻る。


大きな小波が砂浜を飲み込んでいくのが最後にあった。

119プルヒッター:2015/06/12(金) 01:43:19
館に戻ったのは前田達と一緒だった。


「あっあっちゃんたち」
「優子、戻ってきたの」
先に戻ってきたのはクルージングを楽しんできた清瀬とたかみなたちだった。

120プルヒッター:2015/06/12(金) 01:48:09
「あれっクルージングを楽しんできたの」

大島がたかみなにそう言った。

「うん丁度私たちも戻ってきたとこ
 あー気持ちよかった、清瀬さんあんなに船のそうじゅうがうまいひとだったなんて」
「嫌なこと忘れる気分でしたね」
たかみなと横山はすっかり気分爽快な気持ちだ。

「清瀬さん、まるで自分の手取り足取りみたいに船の操縦がうまいの・・・私なんかもうハラハラドキドキの
 連続だったわ・・・また清瀬さんのクルージングを楽しみたい位面白かった」
倉持も相当入れ込んだようである。

「私も・・・・ストレス解消には十分くらいでした」
無表情な島崎もさすがに笑顔を見せ白い歯がこぼれた。

121プルヒッター:2015/06/12(金) 01:51:40
「おかげさまで皆楽しめてなによりだよ」
清瀬も嬉しそうだ。

嫌な気分も忘れればお腹も減ってくる。
朝食もとることも出来ずにいたから、皆腹ペコだと気付く。

ボーン
それと同時に談話室の大時計が丁度12時の合図を示した。


「皆さま、昼食のご用意ができました。
 大食堂の方へお越しください。」
黒木が皆にそう言った。

122プルヒッター:2015/06/12(金) 01:55:28
大食堂に再び付いた。

テーブルの上にはもう既に食事が並べられてある。
シーフードのサラダ・・・チヌの香草焼きにロブスターの照り焼きが美味しそうに鼻につく。
皆は椅子に座って食事を始めた。


食事は楽しそうに行われた。
朝食の時はなんとなく張りつめていた空気があったのに、今はそんな気分もどこへやら。
それぞれ皆は黒木が作った魚料理を美味しく堪能する。
あっという間に皆の胃袋へと料理は消えていった。

123プルヒッター:2015/06/12(金) 02:04:30
「ごちそうさま」

小林香菜が美味しそうに閉めた。
「あーっお腹いっぱい」
前田も満足そうな顔を浮かべる。

「こんなにおいしく食べたのは初めてだわ」
「朝食を食べ損ねたから、なんとなく気分がいいわ」
板野と河西は気分そうに言う。

ところが一人、内山浩太が辺りを見渡す。
「あれっ、井上くんがまだ来てないよ」
「あらっ本当、どうしたのかしら?」

瀬戸が井上が来ていないことにようやく気付く、ほかの皆も同じだ。
食事は皆済ませていたのに、井上良則の食事だけはまだ手が付けていなかったのだ。
「そういえば井上君、ずっと見ていないけどもどこに行ったんだろう
 香菜ね井上君の部屋に行ってみたけども誰もいなかったの、声を懸けても返事なくて」

前田とたかみなは残されている井上の食事あとを見る。
まさか!!!例の物置部屋に行ったんじゃないかと。

「井上のことだきっと戻ってくるだろう
 それよりも談話室へ戻っている頃だろう、あいつの分の食事を持っていこう・・・きっと部屋へ戻っているに違いないよ」
清瀬の言葉に皆は頷いた。
皆はいったん大食堂を後にした。

124プルヒッター:2015/06/12(金) 02:08:38
井上良則の部屋の前のドアに一同が集まる。

清瀬がドアをノックする。
「おい井上、昼飯持ってきたぞ・・・いるのか?」
いくら返事しても井上の声は返ってこない・・・誰もいないのだろうか?


「どこかへ出かけているんじゃない」
板野がそう言う。
「食事を残して?まさかそれはないって」
大島はそう言うと・・・清瀬はもう一度ドアをノックする。

が、やはり返事は返ってこないようだ、ドアのノブに手を懸ける清瀬。
鍵は開いていないようだ。
開けずにどこかへ行っているのだろうか?清瀬がドアのノブに手を懸けて開けた。

125プルヒッター:2015/06/12(金) 02:13:08
清瀬が最初に部屋の中に足を踏み入れる。

「おい井上、いい加減に・・・・」
そう言いかけた時、彼は持っていたお盆を落とした。
落とした食事の食器の皿がきれいな音を立てて割れる音がした。

「清瀬さん・・・どうしたんですか?」
「立ち止まっていて」
前田とたかみながそう問いかけた時、清瀬が唇を震わせていたのがわかった。

「い、井上・・・・・・・」
清瀬が見たのは紛れもない・・・部屋で首を吊っていた井上良則の変わり果てた姿だった。

126プルヒッター:2015/06/12(金) 02:19:50
「きゃっ」
後ろで見ていた優子たちも小さい悲鳴を上げた。

「何てことだ」
佐久間は変わり果てた井上の死体をみて唇を噛みしめている。
田所、竹内、伊達は言葉が出なかった。

「これって元木さんと同じ」
大島はハッと感じた・・・またしても館で一人の命を落としたのだ。

「そんな・・・・井上君までもが」
小林香菜が傍らで涙を浮かべているのがあった・・・さっきまであんなに元気な人が人一人簡単に死ねるのだろうか?
前田はそんな気分だった。

死因は元木と同じ首つりによる窒息死だった。
彼の首には何かに締め付けられた跡が生々しく残っていたからだ・・・麻友は目を背けなるべく見ないようにした。

127プルヒッター:2015/06/14(日) 00:06:00
「井上君!!!」
涙声を上げて叫ぶ小林香菜は井上の死体に近づく。

「香菜!!!」
宮沢がそれを止める。

「佐江ちゃん離して・・・こんな事されてもほっておくつもりなの?」
無理やり宮沢の腕をを振りほどこうとする小林香菜・・・でも宮沢は離そうともしない。
もう彼は動かない、ピクリとも。

「佐江だって同じだよ・・・でも現に彼は殺されたのよ」
「まだだれか殺されたって決めつけないでよ!!!佐江ちゃんはいっつもそう、放っておくんだ」
小林も負けじと食って掛かる。


パーンッ!!!!渇いた音が廊下中に聞こえるのが解る。
小林香菜の目の前には大島優子が平手打ちを見舞ったのだ・・・・大島はちょっと怒った表情を見せている。


「優子」
前田は止めようとしたが・・・大島の手の方が早かった。

「ふざんけんじゃないよ!!!!!香菜、あんたはそうやって向こう見ずに行動する
 佐江の気持ちが解らないの?解らないなら私はあんたを許さないわ!!!」
えらく剣幕な言い方をする大島優子。
大島の威圧に小林香菜はポカーンとした表情。

「勝手な行動するなら私はあんたを同期とは呼ばないわ」
さらに大島の言葉が小林香菜の胸に突き刺さる。
言葉に耐えきれるに彼女はその場を走り去っていった・・・大島をちょっと睨みながら。

128プルヒッター:2015/06/14(日) 00:15:18
「香菜!!優子いくらなんでもやりすぎじゃない、香菜はね彼の無念を押してまでこういう行動をとったのよ」
たかみなは優子にそう言いかける。

「たかみなも香菜の味方するの?
 あいつはね・・・いつも私たちのことを困らせているの・・・私もそれはわかっていたつもりだ」
再び一触即発のムード。
しかも今度はたかみなと優子がお互いに睨みあう仕草。

ほかの皆もそれを固唾に飲んで見守っていた。
その時!!!!

「馬鹿野郎!!!お前たちは女の癖に俺たちみたいになりたいのか!!!!」
意外だった。
止めに入ったのは佐久間昇だ。

「君たちは、女の子だろうが・・・・それを醜い言い争いまでして」
田所芳樹も後に続く。
2人は先程大食堂で喧嘩したのだ。
また同じことが起きたらいけないという種を植え付けたのだろうか?

「田所君・・・佐久間君」
大島と高橋はチラッと2人を見る。

「優子ちゃん・・・・香菜の気持ちも解ってやってくれないか、あいつは
 昔から正直なところがある、だからきっとああいう事までのことをしたんだろう」
一触即発のムードを清瀬が締めた。

「・・・・・香菜」
大島は小さくつぶやいた。

129プルヒッター:2015/06/14(日) 00:17:58
結局2人はいつもの2人に戻ったようだ。

「あれっ麻友?
 麻友どこに行ったの?」
柏木の後ろにいたはずの渡辺がいない・・・・清瀬はハッとする。

「ねえ皆さん・・・ちょっと来てください」
渡辺の大きな声が廊下に響く。

130プルヒッター:2015/06/14(日) 00:21:58
渡辺は死体のある部屋に勝手に踏み込んでいたのだ。


「あっコラ、どこに行ってたのよ・・・心配してたんだからね」
柏木は渡辺にちょっと注意する。

が・・・渡辺は床にある奇妙なのを見つける。
石だった。

「石ころ・・・・それどこにあったのよ?」
せかす柏木。

「麻友、その石」
大島も問い詰めた。
「この石、この人に死体の脇に落ちていたんですよ・・・うーんっあっ石の真ん中に何か彫られています。」

131プルヒッター:2015/06/14(日) 00:25:39
よく見てみると石の真ん中に何かマークのようなものが彫られてあった。
それは弓矢のマークだった。

「なんなの?これ・・・・おかしなマークね、弓矢って一体」
「ダイイング・メッセージじゃない?」
大島が言うと、いぶしげに前田が口を滑らした。

「なんですそれ」
渡辺が言う。

「つまり死んだ人間が残した証拠となるものなんだ・・・おそらく彼は死ぬ間際にこれを残した。」
清瀬がスラスラとそう言う。

132プルヒッター:2015/06/14(日) 00:46:06
前田は渡辺の拾った石を見て思った。

そういえば、先程私たちと一緒にいたあきちゃも同じ印みたいな石を拾ったのを思い出した。
あの石は何なのか?
前田は渋い顔をしながら謎は解らぬままだった。

133プルヒッター:2015/06/14(日) 00:48:55
「?」
ふと前田が井上の部屋を覗くと・・・また床に何かが

「缶ジュース?」
前田は井上が飲んだらしい缶ジュースの缶を拾い上げる。
どういうことか?
前田はその缶ジュースの缶を静かに床に置いてその場を後にする。

134プルヒッター:2015/06/14(日) 00:52:26
井上の死体は清瀬が最初元木早苗が殺害された同じ場所に手厚く葬られた。

これで被害者は2人となってしまった。
そして物置部屋の死体は2人の死体を残して静かにドアを閉めた。

135プルヒッター:2015/06/14(日) 01:08:55
午後1時
前田は自分の腕時計を見る。
外に出た前田。

私、たかみな、優子、ともちん、麻里子、にゃんにゃん、麻友、ゆきりん
この8人が館の入り口前にある貝殻のオブジェの噴水に固まっていた。
貝殻のオブジェ口から噴水の水が流れ出ている。
静かなチョロチョロと音を立てて。

「また人一人がやられるなんて」
篠田が突発的に言う。
「ちょっとやめてよ麻里子・・・縁起でもない」
板野がビクッとした表情で言う。
昔の出来事でちょっと嫌な気分を覚えた板野。

136プルヒッター:2015/06/16(火) 01:25:59
またあの忌まわしい出来事がここでも起こると忍び寄ってるのか?
それとも私たちの夏休みを誰がどこかで見ているのか?
怖い・・・また何も起こらなければいいが。


「麻友、さっきさ何か見つけたんでしょ、さっきからずっと黙っててさ」
柏木由紀が麻友に答えた、しかし麻友は何も言わない。
それもそうだろう、あの嫌な死体を見てしまっては黙っているのも解る。

「ねえ前田さん、さっき私が拾った石のことなんですけど、さっき前田さん達も拾ったと
 あきちゃに聞きましたよ、前田さんたちも拾ったんですか?」
妙に食い入る渡辺、前田はしどろもどろに小さく頷いた。

「石って、敦子たちも見つけたの?
 私もよ、さっきさ清瀬さんたちとクルージングしてちょっと浜を下りたら石に躓いて」
たかみなもなにか知っているような顔だろう・・・それにしても皆が同じような石を拾うとは妙な縁だ。

「えったかみなも」
「うん、私の石にも何か刻まれている印があったんだ」
たかみなは懐から石を取り出す。
皆もその石に覗き込んだ・・・・よく見ると、双子のような顔をした印だ。

「ポルクスとカストルね」
前田はそう言う?

「なーにそれあっちゃん」
小嶋は知らなさそうに尋ねる。

137プルヒッター:2015/06/16(火) 01:32:32
「双子座の略だよ」
大島が口を挟む・・・小嶋はまだポカーンとしていた。

「そうなんだ?私新しいアイドルのコンビ名かと思ったよ」
大ボケの小嶋陽菜・・・皆があきれるのも解った。
「でも、なんでその石この館中にあるのかしら?
 だいいち、こんな石ってどこにでもあるじゃない・・・そんなの気味が悪いよ」

板野は吐き捨てるように言う。
でも前田は別のことで心配していたのだ。
さっき香菜が飛び出していった姿を見て、ちょっとやるせない気持ち。

138プルヒッター:2015/06/16(火) 01:37:36
その時、入り口の大扉が開いた。

「おーい、皆ここにいたのか」
秋元才加と宮沢佐江と峯岸みなみが続いて合流した。

「才加、佐江、みいちゃん」
前田が声を懸けた。

「佐江、香菜はどうしてる?」
たかみなが心配そうに答えた。
「あっ、香菜・・・・自分の部屋でこもっているよ・・・ちょっと勝手な行動したって、優子にゴメンって誤ってた」
宮沢佐江が心配して答えた、たかみなと敦子の表情に安堵が緩む。

139プルヒッター:2015/06/16(火) 01:43:49
優子は黙っているのか、何も答えないのか・・・とにかく2人のわだかまりは解けた。

「でも、せっかくの夏休みなのにさ
 人っ子1人もいない無人島なのに、何で次々と人が殺されなきゃダメなんだろう」
峯岸がよせばいいのにと思って余計な口を挟む。
皆はキクっとなった。

「ちょっとみいちゃんまで何を言いだすのよ。
 せっかくの夏休みにそんな事いうなんて縁起が悪いよ・・・とも、早く忘れたいんだからさ」
「とも、いつになくナーバスね」
板野はちょっと怖いことに敏感になってきた・・・反対に高橋みなみは楽天的な様子だ。
11人の少女たちは一度この出来事を忘れたいと思った。

140プルヒッター:2015/06/16(火) 01:45:39
この日はあの嫌な出来事が起こった以外、その先は何も起こらなかった。


そして夕焼け空が赤々と染まる。
いつかあの時の夕日と同じに見える前田敦子たちだった。

141プルヒッター:2015/06/16(火) 01:49:00
午後7時

ノックの音がした。
「夕食の用意ができました、皆大食堂で待っていますよ」
前田敦子の戸を叩いた声の主、黒木だ。
私は急いで2階の自分の部屋から出て1階の大食堂へと進む。

142プルヒッター:2015/06/16(火) 02:05:14
皆席についてた。

「あっちゃん、遅〜い」
「あっちゃんが最後だよ」
峯岸と篠田が言った。

「ゴメン皆。」
私は皆に誤るとたかみなの隣の席に座った。
夕食はミネストローネのスープとサラダ、それにローストビーフだ。
私は夕食を有難く頂いた。

「ここへ来てもう2日が経つのね・・・あれから色んな事があったけども」
食事をしながら瀬戸裕子が会話に口をはさんだ。
「よせよ、今更死体のことを思い浮かべてたら食事がまずくなるぜ」
「怖いよ〜」
佐久間昇と内山浩太も会話に口を挟む。

「あの〜皆さんはいつ頃からこの島にやってきたんですか❓」
大島が言ったん食事を止めて清瀬達に口を挟んだ。

「そうだな・・・・君たちとはずいぶん早く来たんだ。
 丁度君たちとだいぶ時間がズレていたってことは違いない」
手で顎を擦りながら清瀬は言った。

「香菜も清瀬さんと一緒だったの?」
河西も不思議そうに言った。
「うん、私も一緒なの・・・清瀬さんと一緒に合流してきたのよ」
小林香菜はきっぱりとそう言う。


「時間で言えば俺たちは大体10時丁度だった・・・そして君たちが来たのは正午だったよな」
田所も腹の探り合いのように言う。
「じゃあ皆さんが早く着いたってわけですね」

大島がそう言うと、清瀬達はそうキッパリと全員頷いた。

143プルヒッター:2015/06/18(木) 23:13:35
「まあなんにしろこれ以上変なことが起きなければいいんだがな、死体と一緒に過ごす一夜なんてのは
 はっきり言ってゴメンだぜ俺は。」
佐久間昇が吐き捨てたようにセリフを言った。
そう、もう何も起きないでほしいと前田とたかみなは思ったのだ、こんな事が2度も起こるなんて馬鹿げてる。
皆の脳裏にそう思った。

144プルヒッター:2015/06/18(木) 23:17:07
午後8時、皆大食堂へと出た。

「きゃあああああ」
その時、耳に痛いくらいの悲鳴が館中に響いた。
先に大食堂へ出た島崎遥香の姿がない。
何かあったのだろうか?

「はるる!!!」
いち早く横山由依が早く島崎のもとへと走り出していった。
「横山!!危険だよ」
指原も横山の後へと続き走っていった。

「皆」
前田の言葉に皆は頷いて島崎のいる2階の部屋へと向かう。

145プルヒッター:2015/06/18(木) 23:24:37
2階へあがっていった頃、先に向かって行った横山と指原が先についていた。
どうやら島崎は部屋のドアの前で尻餅をついている状態だ。
何かあったのか?
島崎は声が出ない・・・・何か怯えている様子だ。


「島崎・・・なにかあったの?」
板野が心配そうに島崎遥香に駆け寄った、そして板野が横から覗くと島崎の左手には
何やら紙切れのようなものを持っていたようだ。

「あっ板野さん、私と指原さんが先についた時彼女が尻餅付いたまんま部屋で叫んでいたそうです。
 で、ぱるるが何かあったと聞いてみたんですが」
心配そうに横山が答えだした。

「島崎しっかり」
たかみなが震えている島崎遥香の体を支えている、でもまだ震えが止まりそうもない。
ふと島崎の持っている紙切れには赤い文字で何かが書かれてあるのが見える。
たかみなは島崎に紙切れの事を尋ねた。

「これ島崎が見つけたの?」
「はい・・・・・・・ちょうど大食堂に戻って行ったとき、私の部屋のドアの隙間に紙切れみたいなものが
 挟んであって、それでおかしいと思って紙切れの中を見たら急に怖くなって」
島崎遥香は涙は見せなかったが、ちょっと涙声で喋りとおす。

146プルヒッター:2015/06/18(木) 23:27:39
「島崎、わるいけどもその紙切れ見せてほしいの」

前田が島崎に言うと、島崎は何も言わずに前田に礼の紙切れを渡した。
前田がその紙切れを覗き込んだ時。
一瞬言葉を失いそうになった。

その紙切れを覗き込んだ。

そこには赤い文字で乱暴に書かれていた。






『この館は呪われている・・・・さもなくば命はない』

147プルヒッター:2015/06/21(日) 02:03:43
戦慄が走った。

『この館は呪われている、さもなくば命はない』
皆、その言葉にギクリとした。
支配人の黒木も同じだった。


「悪趣味ね」
「この館は呪われている?」
板野は吐き捨てたように言ったが、峯岸は半信半疑の言葉で言った。

148プルヒッター:2015/06/21(日) 02:08:57
「誰かの悪戯じゃないの?
 そんなことやる人ってさ、ほらこの館のルールってさあるじゃない」
一人小林香菜が明るい声で言った、が・・・彼女もちょっと怖がったような気分だろう。


「香菜、あんたこんな状態でも明るいのね
 何というか、無神経と言うか・・・ちょっとよく平然としているよ」
大島も怖がりな一面を見せる・・・・悪戯にしてはちょっと度が過ぎた行為。

「黒木さん」
前田が尋ねると、黒木は口を開く。

「とにかくここにいては危険だってことに変わりはないです、ひとまずここは皆さん
 1階のホールの談話室へ戻りましょう」
黒木の言葉に皆は頷いた・・・・黒木を先頭に1階のホールの談話室へ戻る。

149プルヒッター:2015/06/21(日) 02:20:08
一人前田は考えていた。
あれからこの館では2人の命が奪われた。

最初の被害者は・・・・元木早苗。
あの後彼女は昨日からずっと自分の部屋から一歩も出ていない。
私もあまり口を交わそうとはしなかったものの、ちょっと物静かなイメージがあったなあ。

そして・・・私とたかみなが一緒に彼女の死体を発見したときにはすでに息を引き取っていたのだ。
死因は首つりによる窒息死、でも彼女一人でどうやって首を吊って死んだのだろうか?
自分から部屋へ出たとは思えない。
一人で出たのは無い。

次に第2の殺人。
井上良則が殺されたのは私たちが昼食の時・・・彼の部屋で発見された。
でも彼だけがどうして食事に来なかったのか、そこが気になる。
彼も同じく首つりによるものであった。
自分から2人とも同じ死に方なんて・・・・なんか引っかかる?

いや、待ってよ。
彼は島には探検には行かなかったんだ。
あの時、香菜と一緒に残ると自分で言ってきたんだから自ら。
でも井上良則の死体の首にも醜い締め付けられた跡があった、あの太い首で人一人
簡単に殺害することができるのだろうか❓
男性ならできるが・・・あの時清瀬さんたちは外にいたんだ。
でも・・・・黒木さんなら、ありうることもある。
じゃあ香菜は?でも彼女の細腕では無理がある、いくら大の男の太い首を絞めるなんて彼女の力では到底無理。

150プルヒッター:2015/06/21(日) 02:25:23
黒木さん?

私はハッと気づいた、彼に犯行は到底無理だ。
彼は2階に上がることは絶対に不可能・・・おそらく皆の昼食の支度なので時間が合わないんだ。
まさか・・・・私たちの知らない第一人者がいるってことなのか?
見えない敵?

そう思う前田だった。
「敦子・・・・どうした考え事なんかしてさ」
心配をよそおった高橋みなみが声かける。

「たかみな・・・ひょっとしたら、この犯行、不可能殺人だと思う」
前田はきっぱりと言う。

151プルヒッター:2015/06/21(日) 02:30:11
午後8時
皆は1階のホールの談話室に集まった。

「皆さん、重ね重ね申し訳ありませんですが
 皆さんを危険な目にあうわけにはまいりません、大変恐縮ですが今夜は早いうちにお休みになられた方がいいと思います。」
黒木の言葉に反対するものは居ない。

「それと、いま自分の部屋で1人でいるのは危険すぎる。
 これから皆と一緒に過ごした方がいい、その方がかえって危険も少ないはず」
清瀬がそう言う。


「清瀬さん、ひとまず安全な大食堂へ向かった方がいいのでは?」
たかみなはそう言う。

152プルヒッター:2015/10/11(日) 21:43:58
勿論たかみなの言葉に皆は反論するものはいない。

下手に行動すると危機感があったのだと悟ったんだろうか?
ひとまず行動に移さないと皆殺されてしまうんだから。

皆は大食堂へと向かう。

153名無しAKB:2016/02/27(土) 02:54:19
「これで、皆そろったみたいね」

皆いる、ほっとするたかみなと敦子
何とか皆いるだけでもほっとするのは何気なく安堵感を感じたからだ。

154める:2016/04/16(土) 00:05:45
熊本地方今度は大雨
bitly.jp/?gf26et02

155優希朱莉:2023/11/05(日) 18:04:47
このまま全員揃ったのはいいが
皆容疑者
私とたかみなも同じこと

妙な旋律感がはしる前田敦子
背筋が伝わってくる


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