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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part3
926
:
名無しリゾナント
:2013/06/18(火) 23:31:54
>>588-595
の続きです
一方、ここは爆発のあった都心のオフィスビル。
建物の周囲は関係者以外立ち入り禁止のテープで囲われ、さらにその周りを野次馬やマスコミたちが取り囲
んでいた。
そんな喧騒を余所に、建物内では必死の救助活動が行われる。
警察関係者である「瞬間移動」の能力者の手によって、次々と現場に送り込まれた治癒能力者。
数はさほど多くはないが、すぐに駆けつけることができた人数としては妥当なところ。救急部隊が到着するまで、
数分の時間差がある。さゆみたちの仕事はそのタイムラグの間に落としてしまう命を、救うことだった。
崩れた壁、粉々になった窓ガラス、そして血まみれで倒れている人々。
まだ先代リーダーの愛が在籍していた時。さゆみはニューヨークのとある場所で発生した爆弾テロ事件の負傷
者を治療する機会があった。あの時は異国の地ということもあり、状況をいまいち呑み込むことができなかった。
しかし、いざ自分と同じ日本人が血を流し苦しんでいるのを目の当たりにすると。その凄惨さはよりリアルに、さ
ゆみの心に刻みつけられるのだった。
フクちゃんを連れてこなくてよかった…
さゆみは心からそう思う。
いかにリゾナンターとは言え、彼女はまだ16歳だ。もちろん、さゆみやれいなを含めたかつてのリゾナンターた
ちも同じような年齢でこの世界に飛び込んでいるという事実はある。しかし、その経緯やアフターケアなどは今
とは比べものにならないほど劣悪だったのもまた、事実。免疫の少ない聖、いや今の若いリゾナンターたちを
できればこのような現場には連れて行きたくはない。
さゆみの目の前に倒れている女性の肩口の傷に手をかざしながら、過去のことを思い出す。
運命に導かれ、集うこととなった9人の仲間。それぞれが抱えていた心の傷は、容易には癒せないほど深かっ
た。愛に声をかけられるまで、各々が過酷な道を歩んできた。中には、その手を血に染めたものも。
― リゾナンターは、殺人集団やないんやよ ―
愛がかつて残した言葉が、いつまでもさゆみの胸の奥には残っている。
ダークネスとの争いが激化する中、思いがけず敵の命を奪ってしまうこともあった。若い小春や、秘密組織に身
を置いていたリンリンやジュンジュン、そして甘さが死を招くような環境にいた里沙は「仕方ない」と割り切った。
それを覆したのが、先の愛の言葉だった。
自らの内包する「i914」と戦い、打ち克ったものの、同時に「i914」の犯した過去の罪を共に背負うこととなった愛
だからこそ、その言葉は誰が発するものよりも、重かった。
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