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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part2

266名無しリゾナント:2011/08/13(土) 02:15:50

「さゆみちゃん、絵里ちゃんの着替え後二日分よろしくね。軽い貧血。大事をとってだから、心配しないで」

落ちた食器をトレイに乗せながら看護士が小声でさゆみに伝えた。

「すぐに先生来るから、どこも行かないでね」

優しい声でそう残し部屋を後にする。静寂が二人を包んだ。
――― 大したことないって。二日延びるだけじゃん。
平気な振りしてそう声をかけるのは簡単だった。だが今のさゆみにそれを言うことは躊躇われる。
絵里にとっての二日間がどれほど長いか。病院で過ごす一日一日がどれほど不安か。
出会ってもう10年近い。その気持ちは、痛い位理解しているつもりだ。

「調子悪かったの?」

ベッドの傍にあった丸イスに腰を下ろした。顔色も悪くない。点滴だっていつものやつだ。
大事をとって、その言葉に間違いはないようだ。

「悪くないもん。元気だもん…」

ベッドに備え付けられているテーブルに突っ伏した。

「明日着替えもって来るね。赤いチェックのパジャマ、乾いてるから」
「持ってこなくていいよ。絵里今日帰るもん」

くぐもった声は震えていた。

「絵里…」
「帰るもん!!帰るんだってばっ!!!!」

ドン、と拳でテーブルを叩いた。部屋が揺れた様な気がした。
どうしようもないことは絵里自身が一番分かっている。だからこそ、この感情をどこにぶつければいいのか分からない。
絵里の腕はさゆみを求めた。さゆみはイスから立ち上がり絵里のしたいように体を預ける。
ぎゅう、と痛いほどの力で抱きしめられて、さゆみはどうしようもなく切なくなった。だから同じくらいの力で絵里の頭を抱きしめた。


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