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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part2
1
:
名無しリゾナント
:2011/01/18(火) 17:04:23
アク禁食らって作品を上げられない人のためのスレ第2弾です。
ここに作品を上げる → このスレの中で本スレに代理投稿する人が立候補する
って感じでお願いします。
(例)
>>1-3
に作品を投稿
>>4
で作者が代理投稿の依頼
>>5
で代理投稿者が立候補
>>6
で代理投稿完了通知
立候補者が重複したら適宜調整してください。ではよろしこ。
2
:
名無し募集中。。。
:2011/01/20(木) 23:59:21
ああもう、暴走しないでよ……証明されたんだから!
身体が解放されたその時だった。目の前の出来事に怒りを通り越して悲しくなる。そしてまたすぐ怒りが沸いてくる。
えーいとにかく自由になったんだ、みんなのところに行かなきゃ!
「コラーえりぽん!ばか!はやくカメ治して!!」
走りながら叫んでいる私以外の全員の動きが五秒ほど止まった……と思う。
あの子たちは私の勝利を見せ付けられたこと、みんなは私が現れたことに驚いてるんだろう。
そう、いたんだよ私ずっと!命を賭けて証明するために。
えりぽん、ちなみに私がつけたあだ名ね、あの子は私を一瞥するとカメのところへ歩いていった。
よしそれでいい。って素直に治す気があるなら最初から攻撃しないでよねー。
「にーがきさぁーん!」
「うおっ、小春!」
いきなり飛びついてくるんだからーもー。このキンキン声も懐かしいよ。
あはは……はあ。疲れたなー。やっと帰れる。
リゾナントでお茶したい。
ゆっくり眠りたい。
みんなの元へ
「こは
「小春もういい、こっち来るっちゃ」
田中っち? ………… みんな?
3
:
名無し募集中。。。
:2011/01/21(金) 00:00:18
訝しがるような、あるいは睨んでいるような。はっきりと嫌悪を向ける顔もあった。
あっ……そうか……なんで気付かなかったんだろう。精神を読まずとも解る。
えりぽんに声をかけるタイミングを間違えたんだ。えりぽんがそれを誘ったというのもあるけど、まんまと引っかかった私も悪い。
また左脚が言うこときかなくなっちゃった……。
「はぁーい」
いつもと変わらない返事で私から離れる小春。
右手がぼんやり光ってる……きっと妙な動きを見せたら即感電させられたんだろうな。
ああなに私冷静になってるんだ。いや、冷静であれ。里沙。
「みんな」
声が震える心音が早まる冷や汗が出る今の私はどうみられてる?まだ間に合う?きっとグレーから
「裏切り者!なに亀井さんにしとんねん!」
黒に
「光井、落ち着いて」
「こっちは散々心配したんやで!泣いて、傷ついて……意味わからへん!指示したんやろ!仲もいんやろなぁあだ名で呼んで!」
冷静であれ 冷静で
「ちょちょちょおっと、今から説明するから、ね」
「うっさいわ!もうわかってるんや!探しに来たん、やで、なのに、こんな小さい子たち、使うてまで」
新垣さん……卑怯や……って言ったかなぁ。涙声になっててよく聞こえないよ。
あ、右脚はもう駄目だ。頭が真っ白になりそうなるのを必死で耐える。こんなはずじゃない。まだ望みは捨てられない。
4
:
名無し募集中。。。
:2011/01/21(金) 00:01:07
「新垣サン見損ないマシタ」
「攻撃されテモ信じてタノニ……」
ジュンジュン、リンリン。両肩の自由がなくなった。
「本当に、待ってみんな、私に話もさせてくれないの?」
「聞かなくても解るけん。れーなたちが来るの知って待ってたんやろ?もう子分おるんね、まとめてかかって来いっちゃれーな手加減せんよ」
股関節が。
「絵里は落ち着いたみたいだけど……まだ目覚めないの。ジュンジュンとリンリン、絵里にまでヒドい目に遭わせるなんて……。
いくらガキさんでも問答無用、さゆみは許しません」
左腕が。
私の身体はもうほとんどが動かない。ずっと立ちすくんでいるからみんなは気付いてないけれど。それに言えない。これは『縛り』。
自由がきくのは右腕と首から上だけになってしまった。まだ声が出せるのが救いだ。
そう。諦めちゃだめだ里沙。私は証明しなければならない。
「愛ちゃん……お願い聞いて……」
愛ちゃんは、話聞いてくれるよね?愛ちゃん。愛ちゃんってば黙ってないで応えてよ。
心にも問いかけるのに、それを受け止めてくれない。愛ちゃんの心の中に投げ込まれたまま反響せず放置されている。
つまり拒否、だ。あ、あ、あああああああ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああ
5
:
名無し募集中。。。
:2011/01/21(金) 00:02:08
「あんたか!!」
「きゃっ」
首だけ左に動かすと、瞬間移動をした愛ちゃんがフクちゃんを羽交い絞めにしていた。
「なんかピンみたいなの投げてたな。僅かな動作だったからなかなか解らなかったけど、それでガキさんの動きを奪ったんやろ?」
「くるし……」
「苦しいのはガキさんだ!ずっとここに閉じ込めて!!今この瞬間も!!遊ぶのもいい加減にしろ!!」
「……ご、めっ……」
筋繊維に刺さった針の気配が消えた。
無理矢理封じ込まれていた反動なのか、解放されると身体がふわりと浮き上がってるんじゃないかと思った。
膝が、ふにゃふにゃする、転ぶっ、…………いぃった尾てい骨打ったよーーー。
ぬっと大きい手が目の前に出てきた。
「ガキさん。立てるか?」
「愛ちゃん……」
ぎゅっと掴んで起き上がり、そのまま抱きしめる。温かい。
あー、愛ちゃん。愛ちゃん。愛ちゃぁん。うううう。視界がぼやけるよう。
はははってなによ笑わないでよ。鼻水出てる?しょーがないでしょー泣くとセットで出るでしょおー!
別に愛ちゃんだから、とかじゃない。誰一人聞く耳を持たない状況で、一人でもわかってくれたことが嬉しいから。
そしてこの結果はあの子たち四人にとって逃れられない証明になるんだ。
私がすでに得ている信頼を投げ捨てて、証明したかったこと。探しに来てくれる“仲間”が存在する。疑念を超える“絆”が存在する。それは生きる希望となる。
わかって、くれたかなぁ…………?
6
:
名無し募集中。。。
:2011/01/21(金) 00:05:16
>>2-5
『Lost children 中編』
スレ51話目に投下した『Lost children 前編』の続編です
荒削りですがお許しを。。。
アク禁のためこちらに投稿させて頂きました。
どなたかお気づきの方、よろしくお願い致します。
7
:
名無しリゾナント
:2011/01/21(金) 17:42:58
今から代理投稿に行ってきます!
8
:
名無し募集中。。。
:2011/01/25(火) 10:49:53
>>7
遅くなりすみません代理投稿ありがとうございます!
9
:
名無し募集中。。。
:2011/01/25(火) 15:27:54
「ちょっときみたち?動物いじめちゃだめじゃない」
驚いた。
今のご時世、赤の他人に忠告してくる大人がいるなんて。
無視したら「ちょっとちょっとー」と食い下がってくる。うざい。
「ハァ……いじめてなんかないし。遊んでるの。これ私のだもん」
何したっていいじゃん。生まれたときからいつも一緒にいる相棒。どうせ私から離れられないんだから。
「だったらなおらさ大事にしなよ……泣いてるよ?」
この人、動物愛護団体かなんかなの?はー、めんどくさいやつにつかまったなぁ。
なんにも知らないくせに出しゃばる大人は大嫌い。まぁ……この子たちも信用してるわけじゃないけど。
「さやしりほちゃん」
え?
「すずきかのんちゃん。いくたえりなちゃん。ふくむらみずきちゃん。ちなみに私は新垣里沙ですヨロシク」
みんなの名前も次々と当てていく。私の口もぽかーんと開いてたんだろうな、四人揃って同じ顔してる。
当然、こんなうざい大人の名前は知らないし会ったこともなかった。
そして次の言葉には驚きというより恐怖を感じた。私は思わず相棒を抱きしめてしまった。
10
:
名無し募集中。。。
:2011/01/25(火) 15:28:40
「私もきみたちと同じで……力を持ってる。心を読めるんだ。驚かせてごめんね。
きみたちからさー、こんなこというのもあれだけど、なんていうか絶望感が出てる。
いっぱいいっぱい傷ついて、何も信じられなくなってるんでしょ。私もそうだったから……。
でも本当は寂しいんだよね。全員今にも泣き出しそうだよ?この子みたいに」
相棒を見ると、いつもと変わらずどこか遠い目をしていた。その目で、この人の正体を映し出してよ。
「いきなりごめんね。謝ってばっかだね。でも、あんまり悲観しないでほしい。
私も見つけられたから、きみたちも信じられるものと出逢えるといいね。
あ、そうだ、よかったらここ来なよ!えーと……あった、ハイこれ。私の理解者が集う喫茶店」
わかった。この人の正体は……偽善者だ。
心を読めるのは本当で、境遇を理解しているのもわかる。でもみんながみんな自分みたいに救われると思ってるんだ。
名刺のような紙……地図が描いてある。それを差し出された手ごと払いのける。
「証明して」
「へ?」
「あんたの“信じられるもの”を、証明して」
「じゃあ今からみんなで行く?私の信じられる仲間たち、紹介しようか」
「だめ。イチから。ううんもっと、ゼロからじゃなきゃ証明されない。証明できたら喫茶店、行ってもいいよ」
「ふーん……もしできなかったら?」
「殺します」
11
:
名無し募集中。。。
:2011/01/25(火) 15:29:18
◆
里保ちゃーん、どうしちゃったの?
私は今のやりとり、よくわからなかった。証明?殺す?
おねえさんは……ゆっくりと頷いてた。
「みんなも協力してね」
「待って里保ちゃん、よくわかんないんだけど」
「ここじゃ寒いから、あそこに戻ろう。あんたもついてきて。もう始まってるの」
あそこというのは、私の借りてきた空間。
しばらく歩くと使われていない倉庫が立ち並ぶ。
そのなかの一つの倉庫に、地下への階段と空間を持ってきて、一週間ほど前から過ごしていた。
私たちの避難場所。そして再びやり直すための、出発地点。
階段を降りながらおねえさんが話しかけてきた。
「へー。これは誰の能力?作り出したの?」
「私です。作るんじゃなくて、借りてくるの」
「かのんちゃんかー。へええーすごーい」
おねえさんはさすがって言ったらいいのか、全然驚いてなかった。
この力を知っちゃった人は気味悪がってどんどん遠ざかっていったのに……。
おねえさん自体が、私の知らない世界そのものに思えた。
12
:
名無し募集中。。。
:2011/01/25(火) 15:29:56
「里保、説明してよ」
「珍しいね熱くなっちゃって。私もよくわかんなかったよ」
衣梨ちゃんも譜久村さんもわかってなかったんだ。ちょっと安心。
「じゃあ説明するね」
説明の間、おねえさんはただ静かに聞いていた。きっと里保ちゃんの心を読んでいて、もうわかっていたんだと思う。
このおねえさんは“信じられるもの”を命を賭けて証明することになった。
今日から三日間ここに軟禁、携帯電話も使えなくする。
三日経ったらおねえさんの仲間に連絡をし、ここに呼び出す。そのとき私たちは別の空間を借りて隠れてる。
まずここで仲間が来なかったら証明失敗。おねえさんは殺される。
仲間が来たらおねえさんは、仲間を裏切る。信頼を失わせる方法は自由。それができたらおねえさんも別空間に入れる。
ここからが『ゼロからの証明』だよ、と里保ちゃん。
また三日以内に、裏切られてもなお仲間がここに探しに来ればおねえさんの勝ち。証明できたことになる。
でも三日過ぎた時点で来なければ証明失敗。おねえさんは殺される。
「りほちゃん、私途中で逃げ出しちゃったらどうするの?」
「逃げたり証明失敗したら死ぬ呪いをかける。仲間に計画を漏らしてもあんたは死ぬ。あと、譜久村さんにも身体の自由奪ってもらうから安心して」
里保ちゃんは相棒の頭をなでなでしながらさらりと怖いことを言っている。
胃のあたりがぐっと冷えた感じがした。なんだか私のほうが逃げ出したい気分だ。本気?ねえ本気なの?
私の知らない世界は、私以外のすべてなんじゃないか?
13
:
名無し募集中。。。
:2011/01/25(火) 15:30:30
◆
「やっしーね!えーと、ズッキとか良くない?やっぱフクちゃんでしょー、うーん、そうだなー、えりぽん」
みんなして変な呼び名をつけられた。衣梨はやだったから絶対呼ぶなって言った。
「私はねー、ガキさんって呼ばれてるよ。みんなもそれでいいから」
衣梨はめんどくさかったから絶対呼ばないって言った。
「まあまあ、一緒に生活してる仲なんだしさ」
「なんで笑ってられるんですか?こんな状況なのに。死ぬかもしれないのに」
あれから三日経ち、この人の仲間は来た。思ったよりたくさんいたことに驚いた。カタコトの人もいた。
死を回避したこの人はシナリオどおり動いた。なんかよくわからないけど攻撃もしてた。
全てが終わったあと、泣いている人や叫んでいる人を見たのがとても新鮮だった。あんなに感情をオープンにしたことなんてここ数年ないし。
なんていうか衣梨は感情の渦の中にいるようで、衣梨が責められているようで、胸が苦しくなった。
そして一夜明けても相変わらず、この人は聖の能力で身体が動かせず横たわっている。笑ってるってことは案外平気なの?鉄の心臓の持ち主か。
「いやー昔を思い出しちゃって。こんな時代もあったなぁなんて」
気持ち悪。変態?どんな昔があったのよ。でも突っ込んだら負けな気がしたから無視した。
「それに、私死なないよ。絶対また来てくれる。前にもあったんだ」
前にも?更に興味があったけど、やっぱり聞いたら負けな気がしたから無視した。
「その時はもうどこにも行かないからねって約束したんだけど……今この状況だからなぁ。私はやっぱり裏切り者なのかもね」
その天井を見つめる顔がすごく寂しそうだったなんて、言ったらめんどくさくなるから見なかったことにした。
14
:
名無し募集中。。。
:2011/01/25(火) 15:31:06
そもそも里保は「みんなも協力してね」って言ったのにおかしい。私なんにもしてないじゃん。
この人の話し相手だけ?そんなのつまんない!
「みんなっ、来た!にいがきさん隠すね!」
香音ちゃんが小さく叫ぶと目の前の人を別空間に入れる。
もう来たの?昨日の今日だよ?早くない?“信じられるもの”……あるの?
「あれ……女の子だよね!?しかも小学生いや中学生くらいかな?」
“信じられるもの”“仲間”“絆”……なんどもあの人から出た言葉をぐるぐる反芻しながら会話を繋ぐ。
「そっか……残念。でもね、昨日ここにお友達が来たのは確かなんだ。ちょっと調べさせてもらうよ?」
聖が能力を解くのがわかった。香音ちゃんも解こうとしている。里保はまだ認めてないみたいだけど。
どうするのよ。衣梨もわかんないよ。それに、ただ見せ付けられるのはなんか嫌だ。参加したい。この大掛かりな『証明』の一部になりたい。
「そこをなんとか!」
気付いたら攻撃していた。やってしまった。いつもこう。衣梨奈は場をかき乱すねってよく言われてた。
「コラーえりぽん!ばか!はやくカメ治して!!」
早速来た。その呼び名、やだって言ってるのに。それにしても『かめ』ねー。かめに縁でもあるのかな。
「今から治しますのでちょっとどいてください」
「嘘」
「ほんとです」
「…………もし嘘だったらさゆみ、あなたを刺すから」
15
:
名無し募集中。。。
:2011/01/25(火) 15:31:37
◆
衣梨奈ちゃん暴走しちゃって……。ナイフ当てられてるけど大丈夫かなー。
「譜久村さん、またお願い」
「なんで?里保ちゃん」
「今、流れが変わってきてる」
流れ……。あ、なるほど。にいがきさんの仲間が、また疑いだしてるんだ。里保ちゃんのいう『証明』に達していない。
「今度は八箇所でお願い。判断は譜久村さんに任せる」
里保ちゃんは多くを語らない。それは私がうまく汲み取るから。
にいがきさんの仲間が八人。にいがきさんを信じない者と判断した時点で、私は針を刺していく。
きっと八箇所刺した時点で里保ちゃんは殺すんだろうな。
私と一緒で、訓練された彼女は、私以上に冷酷だった。でも……
「里保ちゃん熱いね」
「私、案外熱いんだよ」
こんな『証明』に熱くなるなんて、子どもだ。
16
:
名無し募集中。。。
:2011/01/25(火) 15:32:15
針を刺す。負の感情は恐ろしい。
針を刺す。あっという間に連鎖するから。
針を刺す。にいがきさんの負けかな。
針を刺す。ひとつ、言っておけばよかった。
針を刺す。ありがとうって。
針を刺す。普通じゃないとか、特別だとか言わないでくれて。
そういえばひとり、衣梨奈ちゃんが倒した人の分、余っちゃうな。
あの人がダメだったら二本同時に投げればいいかな。ねえ里保ちゃん。
「いいよ」
だよね。あの人は……まだ黙ってる。早くどっちかにしてよ。結構神経使うんだよ。
ハア、と息を緩めたそのときだった。く、くるしい……!!
「あんたか!!」
「なんかピンみたいなの投げてたな」
「苦しいのはガキさんだ!ずっとここに閉じ込めて!今この瞬間も!遊ぶのもいい加減にしろ!!」
やっと解放されて、その場でしゃがみ込みげほげほ咳き込む。
甘かった。まさか、見破られたなんて。
香音ちゃんと衣梨奈ちゃんが背中をさすってくれる。
里保ちゃんはというと、もう移動する準備をしていた。え、にいがきさんは?
「ちゃんと呪いは解いたよ。私の負け。……行こう、譜久村さん、みんなも」
私のほうが子どもだったのかな。それとも両方かな。
思い通りにいかなくて憮然とした顔の里保ちゃん。
にいがきさんが死ななくて嬉しい私。
あの日こっそり拾っておいた喫茶店の紙を、ポケットの中で握り締めた。
17
:
名無し募集中。。。
:2011/01/25(火) 15:40:02
>>9-16
『Lost children 中編(2)』
だらだらと長くなってしまいました
次の後編で本編を終了させて、そのあと番外編としてある9期メンにスポットをあてたものを
書こうかなと思っていますので、もう少しお付き合いください
アク禁のためこちらにあげさせていただきました。
いつもすみませんが、お気づきの方いましたらよろしくお願い致します。
18
:
名無しリゾナント
:2011/01/25(火) 17:38:26
本スレも空いてるようだし行って来ます
19
:
名無しリゾナント
:2011/01/25(火) 17:50:09
転載完了
9期メンバーの乾いた心がガキさんとの出会いで少し変わったのが印象的でしたね
20
:
名無しリゾナント
:2011/01/26(水) 18:54:11
長いので2箇所で上げようと思ってたら片方がいつの間にか規制されてました;
申し訳ないですが締めレスだけ どなたか転載のほどお願い致します。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
>>258-266
『“未来”への反逆者たち ―闇と光(6)―』
以上です。
以下補足です。
というか作中で説明しきれずに終わるであろう箇所の自己解説です;(ネタバレを含みます)
れいなが生きていた理由は(42)072『“未来”への反逆者たち ―氷と炎―』をご参照ください。
また、それと同時にれいなの能力“共鳴―リゾナント”が関係しています。
れいなが閉じかけていた裂け目をこじ開けたのも同様です。
それから……他にも山ほどありますがキリがないことに気付いたので、やっぱりあとは皆様にお任せしますw
最後に、具体的なリゾナント元についてだけ。
愛の記憶の中の場面は、(08)893 『葉を隠すなら森へ、愛を隠すなら名へ』に繋がるようなイメージです。
後藤さんの造形及び、愛やれいなとの関係性については、『Air on G』シリーズや『黒い羊』(『pepper』シリーズ)に影響を受けています。
(※どちらもあくまで“イメージ”ですので、もちろんのこと同じ設定であるわけではありません)
また、「光と闇は溶け合わない云々」の箇所は(10)065 『邂逅〜長雨の合間に〜』のラスト部分から着想を得ています。
各作者様、ありがとうございました。
21
:
名無しリゾナント
:2011/02/02(水) 01:36:40
代理お願いします。5レスほどです
22
:
名無しリゾナント
:2011/02/02(水) 01:37:19
「ねぇ、さゆ」
覚醒と微睡みの間。薬がの作用か先ほどから意識がはっきりしない。
絵里は目が醒める度さゆみの名を呼び、そして何言か喋り、また眠るのを繰り返していた。
つい30分前に起きた時には、リンゴが食べたい、と口にしたので
さゆみは病院の売店でリンゴを買い、不器用な手つきで皮を剥いている。
「なに?絵里」
リンゴを剥く手を止め絵里を見やる。
視線は定まっておらず、また今にも眠ってしまいそうだった。
「絵里ね、元気になったら喫茶店で働きたいな…」
ドクン、と一つ鼓動が跳ねる。
さゆみはリンゴをテーブルに置き、絵里のめくれた布団をかけなおしてやる。
平静を装えているだろうか。震えてしまいそうな指先で絵里の前髪を整える。
「喫茶店?」
「絵里ね、夢を見たの。さゆとねぇ…あとは、誰だかわかんなかったけど、…みんなでね、喫茶店で働いてたんだよ」
「うん」
「それがね…」
23
:
名無しリゾナント
:2011/02/02(水) 01:39:14
絵里の瞼がぱたんと閉じる。さゆみは何も言わず言葉の続きを待った。
あの日からいくつかの季節が過ぎた。いつの間にか伸びた絵里の髪の毛が枕の下で跳ねている。
「なんだかね、すっごく懐かしい感じがして…すごく、楽しそう、だったの」
「うん」
大きく息を吐いて重い瞼を上げる。覗き込むさゆみと目が合い、絵里はふわりと微笑んだ。
「ねぇさゆ」
「なに?」
「さっき見た夢みたいに、…絵里にも友達、できる…かなぁ…?」
言い終わるのが早かったか、再び眠りにつくのが早かったか、刹那、絵里は穏やかに寝息を立てていた。
鼻の奥がツンとして、さゆみは眉間に力を入れる。
24
:
名無しリゾナント
:2011/02/02(水) 01:40:23
里沙に書き換えられた記憶。
さゆみはあの日からいつも、絵里が目覚めた時に全てを思い出していればいいと思っていた。
たとえ病気が絵里の身体を蝕んでも。起き上がれないほどの傷を負っても
絵里が全てを思い出し、そして仲間達と再び戦える日が来ればいいと願っていた。
――― 絵里は今、ひとりぼっちだ。
不意にさゆみと初めて屋上で出会った、あの時のような顔をする。
目を離すとふわりと、今度こそそこから飛び立ってしまうような気がする。
耐え切れずに溢れた涙が絵里の頬に落ちた。ぽたぽたと途絶えることなく絵里の頬に、シーツに流れ落ちる。
さゆみは涙で濡れたシーツを痛いくらいに握り締め、構うことなく眠る絵里に向かって喚いた。
知っている。再び眠ってしまうと暫くは起きれない。季節が移り行くたび、絵里に投与される薬は強くなっている。
「ばかっ!絵里にはね、友達よりももっとずっとすっごい仲間がいるんだからっ!!!!」
起きる度にさゆみの名前を呼ばないで。不安になんないで。あの頃はひとりでも平気だったじゃん
一人で入院して、一人で退院して、自分の足でリゾナントへ来てたじゃない
ねぇ、絵里。早く見つけてよ。ガキさんが残してくれた小さな欠片を拾ってよ
全部い思い出してよ、ねぇ、絵里。絵里はひとりじゃないんだよ、絵里…
25
:
名無しリゾナント
:2011/02/02(水) 01:46:45
◇
「あー…なんか絵里、めっちゃ寝てた?」
「寝てた寝てた。たまに起きてたけど」
「うっそぉ。全然覚えてないや。あれ、リンゴ?」
「寝ぼけてリンゴ食べたいって言ってたから買ってきてあげたよ。なかなか起きないからちょっと色変わっちゃった」
「ほんと?絵里そんなこと言ってたっけか」
「言ってたよー。せっかく剥いたんだから食べてよね?」
「食べるよ!ありがと。ね、絵里他になんか言ってた?」
「…ううん、何も言わなかったよ」
共鳴してよ、絵里。絵里の場所は、ココにあるのに。
26
:
名無しリゾナント
:2011/02/02(水) 01:48:34
>>22-25
『夢の欠片』
新メンの話が出る中、過去にしがみついてみました。
『Empty Recollection's Imagination』『パスワード』とリゾナントしています
こんな寒い日にどんよりさせてしまい申し訳ない
自分で書いてなんですが、絵里は必ずまた戻ってくると信じています!リゾ的にもリアルにも
過去にしがみついてるとかいいつつ、自分も新メンの話考えたりしちゃってますw
どうやって壮絶な過去を背負わせようかと試行錯誤中…あ、別に性格ひねくれてる訳じゃないですからねっ!
27
:
名無しリゾナント
:2011/02/02(水) 04:08:55
行ってきます
28
:
名無しリゾナント
:2011/02/02(水) 04:14:18
転載完了
過去を吹っ切れない時代の残党である自分にはたまらない作品でした
29
:
名無しリゾナント
:2011/02/03(木) 00:15:42
代理投稿ありがとうございました!!
やはり原点は9人、ですものね…
ここに書く内容ではないかもしれないですが、どうしても。
『Empty Recollection's Imagination』の作者さんの意図とは違う、
ということを承知の上で続編を書きました。
そのことをはじめに一言お伝えしておくべきでした、すみません。
このお話を書くきっかけを頂いたのはその作品でしたが
そこから話を進めて彼女達を不幸にしたのは自分ですので
こちらこそ申し訳ない気持ちでいっぱいです…
それでも温かいお言葉ありがとうございました。
他の方からも嬉しいお言葉いただけでよかったです!精進します
またここでお世話になると思いますがよろしくお願いします。
30
:
名無しリゾナント
:2011/02/03(木) 19:10:30
>>29
こちらこそ申し訳なかったです;
自分の意図と違うように読まれていて不本意…という意味では決してないですのでね。
思わず切なくなるくらい素敵な作品だったという一言に尽きます。
正直なところ、自分自身救われない悲しみに沈むストーリーに惹かれる部分は少なからずありますし。
ハッピーエンドを望みながらも、どこかではやっぱり最初に惹かれた「リゾナントブルー」から感じた孤独感を求めているといいますか。
すみません、またどうでもいいことを関係ないスレで語ってしまいましたが。
ともかく新たな作品を楽しみにしています。
リゾナントされるって嬉しいものだなと改めて思いました^^
ありがとうございました。
31
:
名無しリゾナント
:2011/02/12(土) 06:51:56
※転載希望
ついうっかり10分割
連投規制でこれ以上書き込めません
>>746-747
>>749-756
■ キャストアウェイ−鞘師里保X鈴木香音− ■ でした
32
:
名無しリゾナント
:2011/02/12(土) 07:04:37
>>31
の件
自己解決できました
33
:
名無し募集中。。。
:2011/02/17(木) 23:26:00
M日本支部
「なっち、なっちはおらんか?」
M日本支部長の稲葉が安倍なつみを探していた。
「さきほど、散歩に出かけると言って出ていかれたんですが・・・」
「またかいな、報告書も出さずにどこをほっつき歩いてるんや!」
その頃、なつみは町中を歩いていた。
目指しているのは町中の小さな開業医の家だった。
ピンポーン!
「ごめんください!安倍です。」
「あら、安倍さんだ。どうしたのさ。」
応対したのは小さな女の子だった。
「あら、ヒノコちゃん。先生はいるかな。」
「いるなのさ、先生!黒尾先生!」
すると中から目つきの鋭い全身黒の服を着た男が現れた。
「中に入ってくれ。」
「おじゃまします。」
なつみは黒尾と呼ばれた男に案内されて診察室に入った。
「珍しいですね、患者さんがひとりもいないなんて。」
「なぁにこんな日だってあるさ。それほどみんなが元気という証拠だ。」
「それはいいことですね。あっ、それで約束通りお金振り込んでおきましたから。今月の援助費。」
「いつも済まない。」
34
:
名無し募集中。。。
:2011/02/17(木) 23:27:10
黒尾はあたりを見回した。
奥の手術室には町の開業医としてはあり得ないほどの医療設備が整えられている。
この開業医・黒尾はかつて有能な外科医として活躍していたが、今の医療体制に疑問を持ち、病院を辞め、開業医として養女のヒノコとともに新しい人生をスタートしていた。
しかし現実は甘くはなかった。資金が少なかった黒尾は設備や薬が不足し十分な治療を施すことができない場合が多々あった。また無償で患者を見ることがあるため運営に苦しんでいたのだが、そこに手を差し伸べたのがなつみだった。
「あっ、そろそろいかないと。じゃあまた来ます。」
「ああ、どこか悪くなったら言ってくれ。」
なつみが次に向かったところは・・・
東京都内の建設現場だった。
そこは今度、新しい超高層ビルが建設されることになっており、大勢の作業員が汗水流して働いていた。
「皆さん、お昼ですよ。」
なつみがおにぎりを持って、現れた。
「うひょー!天使のおにぎりだ!」
「もうやだな、天使だなんて。」
「こんな辛い作業をずっとやってられるのは天使がケアしてくれるおかげですよ。」
35
:
名無し募集中。。。
:2011/02/17(木) 23:28:01
建設現場を後にしたなつみは再び町を散歩していた。
「ひったくりよ!」
目の前で女性が男にバックをひったくられた。
男はなつみの前を通り過ぎようとした。
「止まりなさい。」
なつみの一声で男は石のように動かなくなってしまった。
動かなくなった男の腕からバックをとったなつみは女性の元に向かった。
「はい。」
「ありがとうございます。あのできればお名前を。」
「名乗るほどのものじゃありませんから。それより早く警察を呼んだほうがいいですよ。」
そういってなつみはその場を後にした。
36
:
名無し募集中。。。
:2011/02/17(木) 23:28:50
そしてなつみが最後に向かったのは・・・
「どうも院長先生。」
「あら、安倍さんいらっしゃい。」
れいながかつて暮らしていた孤児院だった。
「こないだの騒動の時はすいませんでした。私が海外出張していたばっかりに。」
「いいえ、あの子たちのおかげで事なきを得ましたから。」
この孤児院は以前、暴力団に土地をだまし取られ、つぶされようとしたがリゾナンターの活躍で元の持ち主に返された。
「今後はちゃんと管理にも目を行き届けますから。」
「気にしなくて結構ですわ。それにあなたには十分助けられているわ。ここの維持費もあなたが援助してくれている。」
実は孤児院はなつみが資金をだして建てられたものであった。
管理は信用できる人物を選び、院長先生をはじめとする職員もなつみが子供たちを預けるにおいて信用できると感じた人たちを選んだのだ。
なつみが帰ろうとすると・・・
「ねぇ、なつみお姉ちゃん。久しぶりに来たんだから、歌を歌ってよ。」
「わかったわ。じゃあみんな集まって。」
37
:
名無し募集中。。。
:2011/02/17(木) 23:29:35
なつみは大広間に子供たちを集めた。
「じゃあ、はじめるわね。」
♪〜♪〜♪〜
なつみの歌はまるでカナリアのように美しかった。
なつみが歌い終えると子供たちが盛大な拍手をした。
「じゃあ、みんなまたね。」
子供たちが手を振って見送られながらなつみは孤児院を後にした。
M日本支部
「ただいま。」
「おかえり、なっち・・・」
そこには仁王立ちをしている稲葉の姿が・・・
「どうしたの、そんな怖い顔をして・・・」
「いったい何時間散歩しとんねん。さっさと報告書をださんかい!」
天使の影の救済を知るものは少ない。
しかしいつか天使があなたの前に現れるかもしれない。
38
:
名無し募集中。。。
:2011/02/17(木) 23:34:10
>>33-37
「天使の救済」でした。
どうもリゾクラ作者です。
現在、体調を崩されている方も多く、新メンバーなどをめぐるスレの動向をあわただしいものを感じ、
少し天使でスレを癒してみようとずいぶん前に書いた保全作をあげました。
ちなみに現在、わたくし個人では新メンバーは3人まで書いてみましたが、最後のひとりの鞘師里保ちゃんに
関してはなぜか何パターンも出てきて、投稿に決定打をだせない状態です。
とにかく現在、アク禁状態なので代理投稿よろしくお願いします。
39
:
名無しリゾナント
:2011/02/18(金) 13:08:21
行ってきたで
安倍さんが元気で頑張っている設定はクライシス作者さんならではですかね
心優しき天使に少しばかり癒されました
40
:
名無し募集中。。。
:2011/02/18(金) 18:18:17
代理投稿ありがとうございました。正直、私も天使に癒されたい。
41
:
名無しリゾナント
:2011/02/19(土) 01:41:29
窓ガラスも入れられてない吹き抜けの廃墟。
其処へ、『立ち入り禁止』の看板を無視して立ち入る人影があった。
アート気取りの落書きに目もくれず、奥へと進んで行く。
まるでここに踏み入った経験があるように本来エレベーターがあるはずの空洞の
脇をすり抜け、階段を踏みつけるように登りだす。
息を切らしながら、それでも人影は上へ上へと一心不乱に登って行く。
空高くあった太陽はすでに傾き、目に染みる色の夕焼けが、街を、この廃墟を包み込む。
人影、彼はその姿を、ただ見つめている。
最上階のフロアは何も無い。
在るのは、数年前に自殺した少年に手向けられたと思しき枯れた花が一つ。
「僕は…」
この世界に残した爪痕。
誰かの心に残した傷は、今此処に立つ彼の心にも爪を立てる。
「僕が居ても世界が変わらないなら、居る必要なんてない」
彼は呟く。
生唾を呑み、じっくりと一歩を踏み出し、ガラスの入っていない大きな窓枠へ。
其処から見えるのは、まるで街が、世界が、太陽に焼かれている風景。
「だから僕は…」
決心をもう一度、口の中で繰り返そうとした。
「――― ふうん、飛ぶんだ」
42
:
名無しリゾナント
:2011/02/19(土) 01:42:57
声が鳴る。
突然のできごとに彼の喉は奇妙な音を立てた。
この場所には他に誰も居ない。登って来たのなら気付くはず。
背中にゾワリと嫌な震えが走る。
「……なっ!?…」
彼は飛び跳ねるように窓から離れる。
勢いで、みっともなく尻餅を付いた。
「あ、ごめん。びっくりした?」
窓から射し込む夕陽を背に、女の子が小さく笑った。
…気がしただけだ。
彼は、喉にたまった泡のような空気と共に大きく飲み込む。
乾ききっている口内、それでも彼は、少女から視線を離せなかった。
否、少女なのかどうかも分からない。
直前まで身体を支配していた恐怖が薄れて行き――― 見惚れていた。
強い意志を秘めた大きな瞳に長い睫毛。
紅い唇と透き通るような淡く白い肌。
陽が沈み始めた薄暗い世界に浮かび上がる、白黒を併せ持つ其の姿に。
「飛ぶならもっとええ天気の方がええと思うけどね。
こんな日に飛ぶなんて――― 死ぬ気だった?」
彼女が言葉を弾く。
もしかしたら大人のなのかもしれないが、子供っぽいその声が不思議と鼓膜を刺激する。
ゆっくりと近づいてくる彼女。
膝を抱えるように屈むと、首をやや傾けて彼の顔をじっと見つめた。
43
:
名無しリゾナント
:2011/02/19(土) 01:43:43
「でもこんな所で飛んでも、けっこー痛いかもね。それでも死にたいの?」
「……ぼ、僕は、死にたいんだ。こんな世界に居たって何もいいことなんてない、だから」
「そっか……」
彼女がため息のように零す。
酷く哀しく、やけに大きく響き、彼の心が揺れる。
他人の筈の自分を嘆いてくれているのか?
自分のことのように哀しんでくれているのか?
彼は彼女に見惚れていた。
そして…。
「それなら――― あーしがやってあげるやよ」
「……へ?」
「だから、あーしが、"殺ってあげる"んよ」
指を交互に指し示す彼女。
「………な、何を…っ!…」
彼の喉から悲鳴が漏れる。
パチンと乾いた音、フィンガースナップが鳴り響いた。
最期に見たのは彼女の笑顔。
こんな状況で無ければ一発で彼は彼女への恋に落ちていただろう。
だが、それは仮定の話だ。
恋に落ちる前に、どうやら自分自身が堕ちてしまうらしい。
地上へまっしぐら。
気付けば、彼は外に放り出されていた。
しかも先ほどまで居た廃墟よりも高い、手を伸ばせば空を掴めそうな、そんな場所へ。
44
:
名無しリゾナント
:2011/02/19(土) 01:45:28
「うわあああああああああああああああああああっっっ!」
何故自分がそんな場所に居るのかなどという疑問など吹っ飛んでいた。
彼は喉が痛くなるほどの叫びを上げる。浮遊感の後の落下する時に包む不気味な風。
ただひたすらに、死ぬ恐怖を取り払うように両手を振り回す。
一瞬前まで、死にたいと言っていた自分が、こうして死ぬ事を拒否している。
だが頭に浮かぶのは、自分がこのまま地面に叩きつけられるという事実のみ。
だからこそ彼は叫んだ。
生まれて初めて想った。
「し、死にたくないいぃぃぃぃ!!!」
"――― なら、軽々しく死にたいなんて言ったらあかんよ。君の世界はこれからなんやから"
先ほどの彼女の声がまるで頭の内側から聞こえて来た。
瞬間、彼の身体は廃墟の室内の床にドサリと転がる。
溜まった埃を舞い上げ、彼女が手で払い、「ぶぇっくしょい」とおっさんのような咳をした。
「見つかった?愛ちゃ……なにしたの?」
「ん?やぁ、この子の"意志"がどんなもんなんかちょっと気になってね」
「気絶させるほどってどんだけよ」
階段から上がってきたのは彼女と同じくらいの少女。
強い意志を秘めた大きな瞳に長い睫毛。
その上にある凛々しい眉がひそまる。
気絶してしまった彼の安否を確かめながら、彼女に文句を言った。
「というか、この子を気絶させちゃったら"コレ"を何処で手に入れたのか分かんないじゃないの」
「あ、ごめん」
「ごめんじゃないでしょ、全く愛ちゃんはー」
愛と呼ばれた彼女は反射的にペロッと舌を出して謝罪し
少女はそんな彼女の言動に慣れているのか諦めたようにがっくりと頭を垂らしながら言う。
45
:
名無しリゾナント
:2011/02/19(土) 01:47:45
「ま、まぁほら、こうして"コレ"も回収できたし、今日はこれで、な?」
「あーはいはい。分かったから。にしても、最近この子みたいなのが増えて困るよね。
愛ちゃんが見つけてくれなかったらって思うと」
「それってあーしのおかげってこと?珍しい、ガキさんがあーしを褒めた」
「ねぇ、それって自覚か無自覚か突っ込んでほしいの?」
「よーし、これからもやるよあーしはっ」
「聞いてよねぇってば」
ハリキる愛を少女が止める。
沈みかけの夕陽が最期の光を発して、二人を照らしていた。
「あーしはいくらでも見つけたげるよ。やってあーしらは『リゾナンター』やからな」
"意志"を持つ不思議な魔石、ダークネス。
ダークネスが持ち主と認めた人間は、その意志に触れる事により
特別なチカラを得るとされてきた。
だがその代償として人間はダークネスに意志を呑まれる。
その存在と出来事はこの世界の何処かで人知れず起こっていた。
いつしか、そのダークネスを回収する任務を請け負う少女が現れた。
その少女は白と黒を併せ持つ姿をし、周りには8人の少女達が集まる様になる。
現在、少女はダークネスが起こす不思議な事件を解決する日々を過ごしている。
何処から出現しているのかを調査しながら世界を救うために立ちあがる少女達。
その9人を見たある者はこう呼んだ。
蒼き意志と共鳴する者達、『リゾナンター』と。
46
:
名無しリゾナント
:2011/02/19(土) 01:51:35
「〜共鳴協奏曲〜 Concerto resonance」
という話を書いていた夢を見たのさ。
------------------------------------------
で、お願いします。
お時間がある時にでも投下してもらっても全然構わないのでorz
47
:
名無しリゾナント
:2011/02/19(土) 01:59:43
あ、タイトルは最期の文章の下にも明記して頂けると幸いです。
書き忘れてましたすみません(汗
48
:
名無し募集中。。。
:2011/02/21(月) 23:55:37
ある日、亀井絵里は病院の地下3階を訪れていた。
(ここに来るのはあの事件以来か。)
絵里が言うあの事件とはDr.マルシェが開発した細菌のためにリゾナンターをはじめ多くの人々が行動不能になった事件である。
その事件はさゆみが細菌発生装置を止め、絵里とジュンジュンが血清の材料を確保したおかげで事なきを得た。
しかし絵里にはひとつ気になることがあった。
(どうしてれいなの写真があの部屋にあったんだろう。)
絵里はあの時、地下三階でリゾナンターのメンバー・田中れいなの幼少期の写真を見つけたのだ。
ずっと気にしていたのだが、さまざまな事件が立て続けに起こったことですっかり忘れていたのだった。
ただ、れいなの過去についてはデリケートな事だと感じている絵里は本人に聞くのは気がひけたので写真があった病院の地下3階へと向かったのであった。
「それにさゆの両親の病院になんで地下室があったんだろう?ロビーにそんな表示はなかったし。紺ちゃんの一件がなかったら絶対わからなかったよ。」
様々な疑問をぶつぶつ呟いている内に問題の地下3階についた。
かつてこの中で絵里を成長させる戦いが繰り広げられたのだ。
「もう防衛機能なんて働かないよね・・・」
ここの防衛装置として大型ロボットが絵里とジュンジュンの前に立ちはだかったが、新たな力に目覚めた絵里のおかげもあってなんとか切り抜けた。
49
:
名無し募集中。。。
:2011/02/21(月) 23:56:42
ガサッ!
何か物音がした。
それに絵里は驚いた。
「何?何?まさかまたロボット!」
絵里がおそるおそる部屋の中を覗くと・・・
「あれ?女の子?」
そこには小学生ぐらいの少女が部屋の中をうろうろしていた。
「ね、ねぇ・・・」
絵里が声をかけると少女は鋭い目をして絵里を睨みつけた。
(こ、怖っ!れいなみたい・・・)
「ねぇ、あなたどうしたの?病院の患者さんなのかな?」
「病人がこんなところでうろうろすると思いますか?亀井絵里さん。」
「そうだよね、絵里何言って・・・ちょっと待ってあなたどうして絵里の名前を・・・」
「そうですね、説明したいところですけど・・・ちょっと無理みたいです。」
「えっ?」
すると絵里の降りてきた階段の方から男が数人降りてきた。
「え、何なんなの?」
「ちょっと後ろにいてください。あの人たちの目的は私ですから。」
「ちょっと、待って!」
「大丈夫です。あなたより戦い慣れてますから。」
50
:
名無し募集中。。。
:2011/02/21(月) 23:57:47
そういうと少女は男たちの方に向かっていった。
「鞘師、俺たちと来るんだ。」
「戻ったって殺すんでしょ。戻る気はない。」
「仕方がない。お前の命はここでもらう。」
男たちは一斉に懐から銃を抜く。
「あ、危ない!」
絵里がそう叫ぶのが早いのか。鞘師という少女は足を男たちの銃に向けて一閃した。
パキン!
すると男たちの銃が横に割れた。
「くそっ!」
男たちが悔しそうな顔をしていると少女はいつの間にか男たちの懐に入り、全員に拳をぶつけ、悶絶させていた。
「す、すごい。あの早さ愛ちゃん並だ。」
少女の戦闘はまるで瞬間移動を駆使して敵を倒していく愛のように見えた。
絵里が感心していると少女は男のひとりに近づいた。
「私を倒そうって言うんならもっと腕の良い人を派遣することね。さっきは殴るだけにしたけど今度は・・・」
少女は腕を振り上げて、まるで突き刺すような態勢をとった。
「ちょっと、何してるのよ。」
「殺すんです。死体にして相手を怯えさせるんです。二度と私に手を出させないように。」
少女は表情を変えずに恐ろしいことを言っている。
そして少女は腕を動かした。
51
:
名無し募集中。。。
:2011/02/21(月) 23:59:19
「だめ!」
絵里の叫びに少女は腕を止めた。
「だめよ、そんな簡単に命を奪ったら・・・その人にも家族がいるかもしれないじゃん。いくらあなたを襲ったからって命を奪ったら帰ってこないんだよ。それにまだ小さいあなたが命を奪うなんてそんなのないわよ。」
「甘いですね。」
「えっ?」
少女は薄らと冷たい笑みを浮かべている。
「そんな事が甘いのはリゾナンターとして戦っているあなたが一番わかっていると思ってましたけど。その歳で甘い事を言っててはずかしくないんですか?」
「甘い?」
「戦いは非情です。殺すか殺されるかの世界なんですよ。命がどうのこうの言っていたら闘えま・・・」
バシッ!
絵里は少女の頬をビンタしていた。
「命を守るが甘い考え・・・冗談じゃないわよ!絵里たちは殺し合いをするために戦っているんじゃない!命を・・・そこから生み出される未来を守るために戦ってきたのよ!」
絵里にビンタされた少女はそのまま階段へと進んだ。
「ちょっと、待って。この人たちどうするのよ。」
「ほおっておいても自分たちから姿を消します。全員殺すつもりでしたけど、あなたに免じて命だけは勘弁してあげます。」
52
:
名無し募集中。。。
:2011/02/22(火) 00:00:36
少女と絵里は病院の外に出た。
「ねぇ、あなた名前は?鞘師っていうのが聞こえたけど。」
「鞘師里保。」
「へぇー里保ちゃんか。ありがとうね、あの人たちの命救ってくれて。」
「リゾナンターってあなたみたいに甘い考えの持ち主の集まりなんですか?」
「えっ、まぁそうかな?でも、みんな強いよ。絵里だってそういう思いを持っているから強くなれたし。そういえばあなたどうして絵里の事を知っているの?」
「あなただけではありませんよ。ほかのリゾナンターのみなさんのこともある程度知ってます。戦闘相手としてデータを見てますから。」
「戦闘相手って?」
「あの病院に行ったのもあなたと道重さゆみ、田中れいなに関することの調べていたんです。実は私・・・」
「実は?」
「対リゾナンター戦士。あなたたちを倒すために自衛隊に育てられたんです。ちなみに亀井さん、さっきビンタしましたけど、私が能力を解除していなかったら・・・」
すると里保は近くの鉄柵に手を振り下ろした。
スパッ!
すると鉄柵が真っ二つに切れた。
「手が真っ二つになってましたよ。」
53
:
名無し募集中。。。
:2011/02/22(火) 00:02:32
絵里に寒気が走った。
さきほどの男たちの銃が切られていたことは気になっていたけど、この子自身の体で切っていたとは。
「この斬体化の力は対リゾナンター用に人工的に植え付けられたんです。今度からは下手に触らない方がいいですよ。まぁっみんな、怖がって握手もしないでしょうけど。」
里保がそのままどこかに行こうとすると絵里が里保の手を掴んで引っ張った。
「えっ、ちょっと何するんですか!」
「行こうよ、喫茶リゾナントへ。」
「何考えてるんですか!私はあなたたちと戦うために訓練されたって・・・」
「でも、あなたは良い人だよ.絵里の言うことを聞いてくれたし。あなたは自分の事をあえて嫌われ者になろうとしているけど、本当は違うんでしょ。さっ、会わせてあげるよみんなに・・・」
「ちょっと!」
(この子は救ってあげないといけない。この子は絵里と同じなんだ、自分の力で関係ない人が傷つかないようにあえて遠ざけている。私たちなら救えるはず。たとえ私たちの敵なんだとしても・・・)
絵里は急いでリゾナントへ向かった心のうちに深い悲しみを抱える少女を救うために・・・
54
:
名無し募集中。。。
:2011/02/22(火) 00:07:43
>>48-53
「新たなる出会い 鞘師里保 編 」でした。
どうもリゾクラ作者です。
作者が何パターンも設定を考えてしまった鞘師里保ちゃんの登場回です。
実はここに投稿する数時間前にできたホクホクの作品なのでおかしなところがあるかもしれません。
ちなみにすでにほかの作者さんで出ている水限定念動力や水軍流はどこかで織り込んでみたいなと思っています。
今回は「Eri−Jun](07)100『Orange−Aid』という作品にリゾナントしました。
いまだにアク禁中ですので代理投稿よろしくお願いします。
55
:
名無しリゾナント
:2011/02/22(火) 05:56:32
行ってまいりました
56
:
名無し募集中。。。
:2011/02/22(火) 17:20:59
代理投稿ありがとうございました。
57
:
名無しリゾナント
:2011/02/24(木) 18:59:08
転載依頼
本スレ(
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1298110764/
の
>>136-145
です
また連投規制をすっかり忘れていました
次からのレスの転載をおねがいできませんでしょうか?
58
:
名無しリゾナント
:2011/02/24(木) 19:00:20
そして別の言葉をつなげる。
「どうしても死ぬまで戦いたいとおっしゃるのでしたら、強くは止めません。
このまま続けましょう。
でも矢口さんはそこまで聞き分けのない人じゃないですよね?」
完全に上からの物言い。こんなガキに。
だが矢口はすでに戦意は喪失していた。
こいつらの言いなりになるしかない。
「オイラはこのあと、どうすればいい?」
「なにも。
矢口さんは今まで通りの毎日を。
なにかあればその時はこちらから、あらためて接触します。
変な気を起こさないでください、なんて野暮なことも言いません。
もともと矢口さんを縛るつもりもありませんしお好きなように。」
59
:
名無しリゾナント
:2011/02/24(木) 19:01:07
下手なことをすれば『警告なしに消す…。』そう言っているに等しい、最大限の脅迫。
矢口は首を縦に振るしかなかった。
「よかった。
願わくば今後も『平和的な関係で』ありたいものですね。」
少女たちは虚空へ消えた。
揺らぐ陽炎のように、忽然と。
夜の闇は静寂を取り戻していた。
60
:
名無しリゾナント
:2011/02/24(木) 19:01:49
----
以下補足情報。
補足1.組織側登場人物の能力設定。
後藤真希:【暗黒物質(ダークマター;dark matter)】
・詳細不明。実際には物質というよりは異空間の一種と推測されている。
天文の分野でよく耳にする実在の暗黒物質とは別物。
視認される現象としては一切光を反射しないマットで漆黒の不定形の『なにか』を出現させ
自在に形状変化させ攻撃や防御に利用する。
翼と化して飛行する等の使用も可能。
高硬度の物質を斬り裂く、銃弾や爆風、超高熱や超低温を防ぐなど、
物理的には最強の攻撃能力と無敵の防御能力を持つ。
極端な話、全身を【暗黒物質】で覆ってしまえば、文字通り悪魔のごとき人外の戦闘能力を発揮するはずで
後藤相手に勝つことなど、まして殺すことなど不可能に近いはずなのだが…
矢口真里:【能力阻害(インぺディメント;impediment)】
能力を妨害し事実上完全に封じ込めることが可能。
通常は距離にして数十メートル圏内の一人の能力を封じ込める。
またわざと妨害の威力を弱め、『がんばれば能力が使える』ようにすることも可能。
この場合、対象者は普段より威力の落ちた能力、かつ激しい体力気力の消耗を強いられる状態となる。
そんな相手をいたぶって楽しむのだ。
なお、エネルギー弾〜という設定は当作品では割愛されており、
実際に相手を倒すのは部下やコンビを組んだ他の能力者となる。
一人で戦う場合は、銃器に頼ることになる。
補足2.仮に後藤と矢口が戦ったら…
能力戦と言う点では、これほど最強の後藤といえども矢口によって能力は封じられてしまう。
ただし、後藤の場合、生身の格闘戦、銃撃戦いずれの場合も矢口を圧倒できるだけの能力を有しており
能力なしでもほぼ9割、後藤が勝つと思われる。
また、豊富な実戦経験と野性の勘から、実際は「後藤を殺してやろう」と決心した段階からすでに
その意図を見破られ、能力阻害しようとしたときにはすでに何らかの手を打たれているとおもわれ、
事実上矢口の勝つ見込みはゼロに等しい。
と、当作品内では設定しています。
61
:
名無しリゾナント
:2011/02/24(木) 19:03:26
>>136-145
、>>->>
■ デビルマッシャー−和田彩花・前田憂佳X後藤真希・矢口真里− ■ でした。
62
:
名無しリゾナント
:2011/02/24(木) 19:05:12
>>57
です
以上
>>58-61
のレスの
転載をどなたかお願いいたします
お手数おかけしてすみません
63
:
名無しリゾナント
:2011/02/24(木) 19:30:58
>>57
です
自己解決できました
連投規制の仕組みがよくわからない…
もしかして30分で解除されるのだろうか?
64
:
名無しリゾナント
:2011/04/09(土) 01:07:18
相変わらずの規制です。どなたかよろしくお願いします…
7レスほどです。自分のやりたい放題
勝手に能力作って話書きましたので見たくない人はスルーでお願いします
フクちゃんメイン
65
:
名無しリゾナント
:2011/04/09(土) 01:08:32
お家の人について作文を書いてみましょう。
小学生の道徳の時間に先生がそういったのを鮮明に覚えている。
あの時、父親か母親かを指定しなかったのがせめてもの救いだった。
聖の手が止まる。思い浮かべるのは父親でも母親でもない。所謂『お手伝いさん』だった。
いいよねー聖ん家はお金持ちでさ。家超デカいじゃん。
お手伝いさんもいっぱいいるんでしょ?うらやましーい
服もいつだってブランドだしねー憧れるわー。やっぱ何でも買ってもらえるの?
いいなぁ。私も聖ん家の子に生まれればよかった
お金持ちだからといって全てにおいて恵まれているわけではない。
実際、聖は自分の母親の顔が分からなかったし、父親だって年に2回会えばいいほうだった。
身の回りの世話をするのは赤の他人で、聖はいつも言いようのない孤独感を抱えていた。
クラスメイト達の声を曖昧な笑顔で濁す。
いつからだろうか、そうすることが当たり前になっていた。
66
:
名無しリゾナント
:2011/04/09(土) 01:10:01
「聖ちゃん、お茶のお稽古の時間です」
お嬢様という呼び方を『ちゃん』付けに変えろと言ったのはその孤独感を少しでも紛らわせるためで
聞き分けのよい聖がした唯一の我侭だった。
聖が生まれた頃から自分を世話してくれている『お手伝いさん』は申し分ないほど優しく、気の利く女性だった。
目じりに深い皺が刻まれている。笑うと濃くなるそれが聖は好きだった。
だがこの女性にも『家族』があり、その家族を養うため働いているのだと、社会の仕組みを知ったとき
聖はまた電気もつかない知らない場所にポツンと独りぼっちにされたような気分になった。
「お茶が終わったら絵を描いてもいい?」
顔も名前も知らぬ聖の母親は、絵を描くことが好きだったと聞いたことがある。
譜久村家ではタブー視されている母親の話題だったが、家政婦は聖が悲しそうな顔をする度
ほんの少しだけ母親の事を聖に教え、そして聖のために作った小さな巾着袋や赤ん坊の頃を描いた聖のスケッチをこっそりと見せてくれた。
旦那様は捨てろとおっしゃったのですが、私には出来ませんでした。
初めてそれを目にしたのはいつだったか。
家政婦から渡された綺麗な色の風呂敷。聖は静まり返った部屋の中でそっと結び目を解く。
随分と使い込んでいたらしい小さな巾着はところどころが綻びており、汚れが目立った。
『みずき』と鮮やかなピンクの糸で刺繍が施されている。
丸みを帯びたその文字がいかにも手縫である『らしさ』を表しており、聖は堪らずその文字を指でなぞった。
瞬きを忘れた瞳からぽたりと涙がこぼれる。それはすぐに袋の生地に吸収されてしまったが
零れ落ちるそれは止まる事を知らず、次々と溢れ頬を滑り落ちた。
67
:
名無しリゾナント
:2011/04/09(土) 01:10:55
優しいお手伝いさんも、ブランドの服も使いきれないほどのお小遣いなんかいらない。私のお母さんに会わせて
もう、温もりも匂いも何も残っていない。
涙が滲むそれを胸に抱きながら声を上げて泣いた。
ただ寂しかった。本来愛されるべき人に愛されたかった。
ぎゅっと抱きしめて、頭を撫でてほしかった。
聖、と優しい声で呼んで欲しかった。
それだけでいい。たったそれだけでいいのに
――――――――――――!!!!!
その時。
眼球を強い力で押さえつけられているような酷い痛みを目の奥に感じた。
あまりの激痛に息が詰まる。
古いビデオテープが高速で巻き戻されているような気味悪い音が頭の中で鳴り響く。
フラッシュバック。白黒の映像が目の前を矢継ぎ早に通り過ぎる。目が、回る。
うぅっ……!!!
頭が割れそうに痛い。
68
:
名無しリゾナント
:2011/04/09(土) 01:11:38
なに…これは
誰…
寂しくなったらこの袋を開けて
魔法をかけた飴玉が入っているから
ひとつ舐めるだけで聖は元気になれる
あの女の子は私だ
そしてその女の子の頭を撫でるのは
ママはお仕事に行ってくるから
あとはばあやの言うことをしっかり聞くのよ、聖
――― お母さんだ
69
:
名無しリゾナント
:2011/04/09(土) 01:12:26
「6時にお迎えの車が参ります。夕食の後、絵の時間にしましょう」
「はぁい」
聖は手を振りながら車に乗り込む。家政婦は目じりの皺を深くしながらそれに応えた。
『モノ』に触れると母との夢を見ることが出来る。
実際に起こった現実なのか、自分が作り出している幻想なのか聖には判断が付かない。
それでも聖は母にひと目会いたくて、少しでも近づきたくて、名前を呼んで欲しくて
手当たり次第に『モノ』を掴み母との夢を探した。
夢を見た後には決まって高熱が出る。それでも聖はやめることができなかった。
「出発しますよ」
「お願いします」
車が静かに発進する。微かな揺れに稽古道具が小さな音を立てた。
「おっと」
割れ物が入っている。聖はそれを膝の上に乗せた。微かに指先が車のシートに触れる。
70
:
名無しリゾナント
:2011/04/09(土) 01:13:41
「―――っ!!」
眼球を押さえつけられているような激痛。
ビデオテープの巻き戻される音。
フラッシュバック。目の前を通り過ぎる白黒の映像。
―――…駅まで送ってください。そこからは自分で行きます。もう切符は買ってあるので…はい、
時間までは喫茶店でも探して過ごします…ありがとう…。この車に乗るのも今日で最後ですね…
あの、聖のこと………聖のこと、どうか気にかけてやってください…
きっとあの人は―――…おざなりにすると思うから…どうか、お願いします…
「あ。」
この車だ。そして運転手は…、紛れもない今目の前に居る老人だ。今よりも少し若い。
そして母は…疲れた顔をしている。大きなバッグを膝に乗せて、今にも泣き出しそうな顔で話している。
――― あ、あの喫茶店にします。ここからだと駅まで歩いて5分くらいですよね…―――、いいです、停めてください
本当に本当にお世話になりました…おねがいします、どうか、どうか聖のこと―――――――――………
71
:
名無しリゾナント
:2011/04/09(土) 01:14:32
「…ねぇ、じい。あなたは私のお母さんを最後に乗せた?」
体が熱い。体中に流れる血が沸騰しているかのようだ。お茶の稽古も絵を描くことも今日はできなさそうだ。
意識が朦朧とし始めている。聖は浅く呼吸を繰り返しながら、静かに車を運転する老人に声をかけた。
「お願い、母を降ろした喫茶店に連れて行って…私が見ているのは、夢じゃなかった…」
聖の身体が大きく揺れ、ぐったりとシートへ倒れこんだ。
72
:
名無しリゾナント
:2011/04/09(土) 01:20:07
>>65-71
『mizuki―――』 以上です。
勝手に考えて勝手に作りました。一人に対して色んな能力案?があってもいいですよね
そこがリゾスレのいい所だといい風に解釈していますw
フクちゃんのお金持ちのイメージから書き始めたらこんなことになってしまった
一応『接触感応』『接触感応者』ってことでサイコメトリーでサイコメトラーなイメージです。
実際にフクちゃんはまだ自分の能力に気付いてない、でも気付き始めてる?設定でw
こんなん書いといてあれですが、フクちゃん未来人設定自分も好きです
改行などはお任せします
お手数ですが代理投稿よろしくお願いします
明日やっとリゾナンターに会えるっ!!!
73
:
名無しリゾナント
:2011/04/09(土) 10:48:09
行ってきますね
74
:
名無しリゾナント
:2011/04/09(土) 10:58:40
行ってまいりました
サイコメトリーとはまた渋い能力を選ばれましたな
ただ母の残像を求めて家中の色んなものを触る場面というのは美しいですな
75
:
名無しリゾナント
:2011/04/10(日) 00:56:29
>>74
ありがとうございました!
メジャーな能力なのに出てないなぁと思いましてフクちゃんに宛てました
またお世話になるかもしれませんm(__)m
その際はよろしくお願いいたします
76
:
名無しリゾナント
:2011/04/16(土) 21:49:50
http://hato.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1301481279/
サーバーが変わったらしいね
77
:
名無しリゾナント
:2011/04/18(月) 22:30:52
二人の預言者が彼女を例えた
一人は「希望」と、一人は「絶望」と
★ ★ ★ ★ ★ ★
「はい、オッケーです!!」
「「「「「「ありがとうございました」」」」」」
豪華なセットの前でブラウン管の中の人物達がテレビ局のスタッフに挨拶をする
その中に月島きらり、いや、久住小春の姿があった
「ありがとうございました!」
久住は深々とお辞儀をして、スタジオを後にし、用意された楽屋に戻ってきた
「マネージャーさん、どうでした?今日の小春は?」
「う〜ん、まあまあだね。もう少し頑張れるとおもったな、僕は」
「そうですか?小春は結構手ごたえありましたけど〜あ、着替えるので後ろ向いてください」
マネージャーとの反省会をしながら久住は身支度を整える
「はい、こっち向いてもいいですよ。え〜と、今日はこれでおしまいですよね?」
「いや、チーフから事務所に来るようにと言伝を受け取っております」
「え〜せっかく早く終わったから映画観ようと思っていたのに〜」
唇を尖がらせて久住は抵抗を示すが、それが無駄だということは分かっていた
「じゃあ、急いで駅まで行きましょうか?」
「え〜タクシーじゃないんですか〜?」
マネージャーは頭を掻きながら苦笑いを浮かべた
「ダメみたいです、アハハ…」
「最近さあ、タクシー移動減ってるよね?もしかして、エコに会社も賛同したのカナ?」
「え、そ、そうかもしれませんね、ハハハ・・・さて、きらりちゃん行きましょうか!」
「は〜い」
★ ★ ★ ★ ★ ★
78
:
名無しリゾナント
:2011/04/18(月) 22:31:26
「エリ〜まだ帰らないの〜寒いよ、暗いよ、お腹すいたよ〜」
「さゆ、もう少しだけ付き合ってよ。今、秘密特訓中なんだから」
「さゆみがいるだけでもうすでに『秘密特訓』じゃないと思うの」
さゆみは自販で買ったホットココアを一口飲み、満足そうに白い息を吐きだした
亀井は公園のベンチの上に並べられた空き缶に意識を集中した
体全体で空気の流れを感じ、微かな気流を読み取る
そこから気流の渦を掴み、その気流の端を手にするイメージを浮かべる
気流の端をムチのように、もしくは気流をそのまま弾丸のように弾き飛ばすように手を大きく振るう
シュッ カーン
並べた10個の空き缶が見事に宙に舞った
「お見事、もう完璧だね♪」
道重がカマイタチで弾かれた缶の軌道を目で追いながらパチパチと拍手する
「・・・いや、まだだよ、今はしっかりと風の流れを掴め切れなかったもん
ただ風をぶつけただけで、切れ味がまったくない。重いだけのカマイタチじゃダメなんだよぅ」
亀井は飛ばされた缶をもう一度並べ直しながら、首をかしげた
「どうすればいいんだろう?もっとしっかり風を読める方法ないのかな・・・」
「エリはほんとうにがんばるね〜さゆみはもう眠くて眠くて仕方がないよ」
しかしそうやって文句を言いながらも道重は亀井の特訓に付き合ってきていた
「よし、もう一回!」
亀井は集中するために大きく深呼吸を繰り返し、目を閉じた
両手を広げて全身の感覚を過ぎ富ませ、風を感じる
(よし、今は風は静かに流れてるね。よし、これなら、風を掴みやすい)
亀井は静かに呼吸を整え、きっかけをつかもうとタイミングを伺い始めた
79
:
名無しリゾナント
:2011/04/18(月) 22:32:32
(うん、いい風だな・・・ん?あれ?)
突然腕を下ろし、辺りをきょろきょろと見渡し始めた亀井の様子を見て道重もベンチから立ち上がる
「どうしたの、えり?」
「サユ、なんか風がおかしい。何か起こりそうな気がする」
「それってダークネス」
「いや、違う、そんな悪い空気じゃないの。これまで感じたことのない感覚」
亀井は空気が渦巻きのように一点に集中しているように感じた
その一点の空気の密度が重くて奇妙な感覚
まるでその一点に空気が流れこんでいて、窓があるかの外へと抜けていく感覚
「サユ、ちょっと見に行こう。何か気になるの」
強引に道重の手を引っ張って亀井は走り出した
「あっちだ!サユ、あそこを見て」
亀井がさした先はこの公園のシンボルにもなっている大きな木の頂上近く
「え?何あれ?」
空間に渦巻きができていて、頂上付近の葉が渦の中に吸い込まれて少しずつ消えていった
「ちょっとサユ、下がっていて。そーれ」
亀井は特訓に使っていた空き缶を頂上近くに飛ばした
放物線を描いて頂上付近まで飛んで行った空き缶は―そのまま地面に落ちることなく消えた
「消えた?」「というより吸い込まれているって感じだね」
(これは愛ちゃんに報告したほうがいい)
そう亀井が思った時、新たな、今とは違う風を感じた
今度は先ほどとは逆に『外に向かう』風だった
(―何かが来る)
それを感じさせたのは亀井の本能だったのかもしれない。何も言わずに亀井は道重の手を取って駆けだした
80
:
名無しリゾナント
:2011/04/18(月) 22:33:10
二人が振り返ると渦巻きのあった木の頂上の辺りの空間に卵を割るときのようなヒビが入っていた
そこから何本もの細い光が差し込み、深夜だというのに奇妙な明るさが生まれていた
「何が起きているの」
立ち止まろうとする道重の手を引っ張って足を止めないようにしつつも、亀井の目はそこに向いてしまう
ヒビ割れた空間には葉っぱなり砂が吸い込まれたり、吐きだされたりと忙しい
そうしているうちにひびが細かくなり、卵のように空間が『砕けた』
亀井、道重はもちろんのこと、辺り一帯が眩しい光で包まれた
「まぶしい」「何も見えない」
思わず道重は亀井の手を強く握った。ぎゅうっと強く、逃がさないようにと
光が消え、目を開けて視界が回復するのも時間にしてみればわずか数秒
「さゆ、大丈夫?」
「うん、まだ少し頭がボゥっとしているけど、怪我はしていないよ。エリは?」
「エリも大丈夫・・・だけどなんだったんだろう?風は元に戻ったから大丈夫だと思うんだけど」
「爆発・・・じゃないよね?怪我もしてないし、何も倒れていないし」
そう言って道重は先程奇妙な渦が浮かんでいた辺りを眺めた
「!!ねえ、えり、あそこ、木の根元を見て!誰か倒れている」
「本当だ!さゆ、急いで!!」
慌てて二人は駈け寄った
倒れていたのは一人の女性であった。近くには彼女のモノと思われるカバンが落ちていた
道重は肩をたたいて意識があることを確認する
「もしもし、大丈夫ですか?私の声が聴こえますか?」
「う、うん・・・」
かすかではあったが女性は反応を示した
「よかった、意識はあるみたい。それに怪我もしていないみたい」
亀井と道重はほっと安堵のため息をついた
81
:
名無しリゾナント
:2011/04/18(月) 22:33:42
すると倒れていた女性が尋ねてきた
「あ、あの、今は何年何月ですか?」
「へ!?20XX年3月だよ」
「そう・・・よかった・・・着いたんだ・・・」
そう言って女性は意識を失った
「ちょっと、もしもし、もしもし!起きてよ!」
突然意識を失った女性を腕に抱えて何度も道重はヒーリングを試みる。が、一向に起きようとはしない
「息はしているんだけど、どうしよう?このままほっておくわけにはいかないし」
「・・・さっきの風の変化とこの人が関係あるかもしれないし、一旦リゾナントで預かってもらおうよ
今、愛ちゃんにお願いするから」
亀井は携帯をカバンから取り出した
亀井が高橋に電話する間、道重は何者なのかを調べようと落ちていたカバンを探りだした
カバンの中身は主に衣服だったが、驚いたことに底の方に数百万ほどの現金が詰まっていた
「な、なに、この人何?なんで現金が入っているの?」
カバンの内ポケットには名前を示す書類が入っていた
「『ふくむらみずきさん』・・・14歳・・・え?14歳?この人、14歳なの!?」
そこに高橋が“跳んで”現れた
「連絡貰って急いできたよ〜話は聞いたからリゾナントに連れていくよ!絵里とさゆ荷物はお願い!」
そう言い高橋は「ふくむら」を背負い、リゾナントへと跳んだ
道重は開けていたカバンを閉じ、他にも落ちていた「ふくむら」の持ち物と思われる荷物を亀井に渡した
しかし、しっかりとカバンが閉じていなかったのだろう、何かがカバンから地面へと落ちた
「さゆ、しっかりしてよ。何か落ちたじゃない。もう〜」
亀井がしゃがみ込んでその“何か”を拾った
「なにこれ?お守り?」
月明かりに照らされたそれには黄色の糸で「A」、緑の糸で「R」とアルファベットが縫われていた
82
:
名無しリゾナント
:2011/04/18(月) 22:34:53
★ ★ ★ ★ ★ ★
カタンと光井の手から離れたその刀を小春は拾い上げた
鞘から抜き出しその刃が研がれているのを確認して、へえと小さく声を上げた
「なんだ、みっつぃ、やっぱりこの子をしっかり使ってくれてるじゃない。
全然錆びていないし、きっとたくさん血を吸ってきたのカナ?」
久住は刀の峰をぺろりと舐め、嬉しそうに微笑んだ
「うぅ・・・さ、触るんな・・・」
「あ、やっぱ電圧抑えてたから死ねなかったのカナ?みっつぃ、具合はどう?」
「・・・気易く愛佳の名前を呼ぶなや、この裏切りモンが!」
「その台詞、しっかり立って言えたらきっと凄身がでるのにね〜関西弁ってやっぱ苦手かも〜」
久住は地面で倒れたまで動けない光井を見て、髪の毛を左手でいじりながらあっけらかんとした口調で言った
「無駄だって、しばらくはみっつぃは動けないから。
『いい感じ』に運動神経だけ麻痺させたから見えたり、話せたりするけど動けないから」
そう言われても光井はどうにかして動かそうと手足に力を入れたが、やはりぴくりとも反応しない
久住はしゃがみ込み、動けない光井に顔を寄せた
「くやしいでしょ、みっつぃ。何もできないって。ただ見るだけ、話すだけってツライよね〜
ねえ、みっつぃ、その格好地べたにはいつくばっているようだよ!まるで蟻みたいカナ☆
それに比べて小春は蝶!自由に何にも囚われず空を飛びまわる綺麗な蝶☆バサバサ〜」
そう言って久住は腹を抱えて笑いだし、光井は唇を強く噛み締めた
その表情に気がついたのだろう、久住は明らかに不機嫌そうな顔で光井を睨みつけた
「あ?何、その表情?蟻の分際で蝶に楯突くつもり?」
「・・・あんたはほんまの久住さんやない・・・」
「何言ってんの?私は小春、あなたのかつての仲間であって、今はダークネスの久住小春」
「愛佳のしっとる久住さんはあんたみたいな心が凍った人間やない。
あんたは名前と顔は久住小春やけどあんたは仲間だった『久住さん』なんかとちゃうわ!」
久住は自分を見つめる愛佳の目に憎しみの炎が燃えたぎっているのを感じていた
「・・・光井愛佳、小春は変わったんだよ。あの頃みたいな甘い考えは捨てた
やりたいようにやって、生きたいように生きる、それが今の小春のポリシー!今が楽しければそれでいい!」
83
:
名無しリゾナント
:2011/04/18(月) 22:35:35
小さく光井は悲しげに息を吐いた
「かつて視た未来の予知では久住さんと愛佳が高橋さんが残してくれたものを守るハズだったのに
いつから愛佳達の道は分かれてしもうたんや・・・」
光井の呟いた言葉が久住の脳裏に邪悪な心を呼び起こした
「『いつ』から?そうね、明確な時は小春も分からないや・・・そうだ、面白いこと考えた♪
ねえ、みっつぃ、いつから小春が変わったのかその正確な日時を教えてあげるよ」
わざと声色を優しくして久住は光井に話しかけ始めた
「何をする気や!やめるんや!」
光井は大声をあげて、久住を引き留めようとした。そう、これから彼女がしそうなことを予測できたので―
ただ動こうとしてもやはり力が入らず、どうしようもない
「無駄だって、動けないよ。そこで大人しく見てなよ。
でも、仲間だったことがあるから小春のしそうなことは予想できるって?すごいよ、やっぱみっつぃは凄いよ
今度はさ、みっつぃも私と一緒にこちら側に来てくれることを期待しているから」
(動け、愛佳の体、少しでも動け!)
「みっつぃのしたことは小春、知ってるよ。過去に戦士を送って今を変えようとしてるんでしょ〜
そして、これがその過去へとつながり入口ってことも☆」
そう言い久住は―光井の開いた時空の扉へと飛び込んだ
「面白そうじゃん、時間旅行なんて☆」と言葉を残して
「フクちゃん・・・すまん、とんでもない人をそちらに送ってしもうた
気を付けてくれや・・・ああ、高橋さん、ふくちゃんを、久住さんをしっかりみていてください」
そして、動けない光井の目の前で時空の扉は完全に閉じ切った
84
:
名無しリゾナント
:2011/04/18(月) 22:40:00
以上『止み、病み、闇』です。
『聖なるもの』書いた作者が考えていた『聖なるもの』シリーズの続きです。
なんていうか設定だけを走らせてますが、一応の俺なりの答えです
投下できないので代理の方お願いします。
85
:
名無しリゾナント
:2011/04/19(火) 05:40:51
いって来ましたぜ
この小春は憎たらしいけど魅力的だな
…ところでもう一つ続き物書いてませんでしたっけ
86
:
名無しリゾナント
:2011/04/19(火) 20:33:52
>>85
代理ありがとうございました(^o^)
闇小春は矢口っぽい小春をイメージして書きましたw
それから『能力』については他の皆さんにお任せしたいです
全ての設定を決めるのはスレとして良くないことだと思うので
え〜と、もう一つのほうはもがき苦しんで書いてます(汗
オチは決めてるけど、最初の部分がしっくりこないんです(+_+)
87
:
名無しリゾナント
:2011/05/10(火) 19:26:43
――――――――
こんばんは
しばらく作品を投下せずにいる間に狼の事情がだいぶ変わっているみたいで
「忍法帳」という壁に投下を阻まれてしまいました。
どなたか【代理投稿】を願います。
――――――――
88
:
名無しリゾナント
:2011/05/10(火) 19:27:19
■ スクールエントランス −鈴木香音− ■
「やだやだやだやだー!やなの!やなの!やなの!!!」
道重さんがじたばたしながら必死に異議申し立てしている。
「もーさゆー。あんたも一回納得したでしょーが?」
「でもっでもっ」
「でもじゃなーい。あんまりわがまま言うと入学式連れて行かないよっ。」
「うーっ…」
「鞘ちゃあああああああん!」
「うわっ。道重さん。」
「鞘ちゃんだってやでしょ?寮なんかよりさゆんちの方がいいよね?ね?」
あーあー…、大変だなぁコリャw
ずっき…鈴木香音はニコニコと二人の珍コントを見物していた。
この春、鈴木と鞘師はそろって私立凰卵女学院中等部へ入学した。
この冬はとても勉強どころでは無かったし(鈴木「てっかもともとアタシばかだけどwww」)
学校どころではないって思っていたのに。
ある日、高橋さんが願書を持ってきてくれた。
「受けてみ?『きっと受かるから』」
「大丈夫ですよ。ずっきもいっしょだし…それに。女子寮、リゾナントへは道重さんちより近いです。」
「でもっでもっ!さゆいなかったら鞘ちゃんのシャンプーとかご飯あーんしてあげる係とかっそれからそれからっ…」
「大丈夫です…自分で出来ます…。」
「てゆうかアンタいままで鞘師にそんなことやってたんかい」
新垣さんのツッコミ。
「ひゃひゃひゃさゆは鞘師がホント好きなんやねー」
「笑い事じゃないよ愛ちゃん!ほんとにもー」
「それよっか皆さん。はよせんと時間時間!」
「うわっ!ちょっいつの間にこんな時間!鈴木っ鞘師っ!もーいくよ!」
89
:
名無しリゾナント
:2011/05/10(火) 19:28:20
勢いよく開いたドアから駆け出す。
春の風が頬をなでる。
わー幸せだなぁアタシ…
香音は空を見上げる。
お父さんっ、アタシねっ!今日から中学生になったよっ!
90
:
名無しリゾナント
:2011/05/10(火) 19:30:12
転載しました
91
:
名無しリゾナント
:2011/05/10(火) 19:30:54
■ ミッションエントランス −鞘師里保− ■
「おうらん…女学院ですか?」
「そうやよ。そこへ潜入してもらいたいんやよ。」
走りながら鞘師は高橋さんの言葉を思い出していた。
「今回の任務…教師や職員という立場ではなく、学生という立場でなければならんの。」
「形の上では入試を受けてもらうことになるが…」
無邪気に前を走る鈴木に目を向ける。
「わかってんのかなぁ…もう」
高橋さんが掴んだ情報。
凰卵学園で能力者による事件が起こる。
確実に。
そしてその犠牲者もまた ―能力者―
92
:
名無しリゾナント
:2011/05/10(火) 19:31:59
>>88-89
■ スクールエントランス −鈴木香音− ■ でした。
>>91
■ スクールエントランス −鞘師里保− ■ でした。
>>91
ありがとうございます
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