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キリ番なんかの短編スレ

1名無し( 護摩):2005/03/16(水) 19:16:04
こっちはあちゃらの「喫茶タンポポ」のTOPカウンターや、
こちらでキリ番をGETされた方のリクにお応えして短編書いたり、
その他、中の人が超個人的な趣味で書いたものなどをうpするスレです。

301デイドリーム・ビリーバー Ⅶ:2012/01/14(土) 17:00:59

何となく、洗面所に向かう。
「聞いたよ、学校でケンカしたって」
と聖は囁くように言った。
「うん」
所在なさげに、衣梨奈は頭をかいて頷く。
「話伝わるの、早いと」
「ケガは?」
「あ、うん。
突き飛ばされたりしたっちゃけど、血は出ん…」
衣梨奈が全部言い切らないうちに、聖が強く抱きしめてきた。
強く抱きしめてはいるが、聖が震えているのが分かった。
「同じ学校じゃないんだし、いつでもそばにいて守ってあげれないんだから。
頼むから、無茶しないでよ」
聖が真っ直ぐ自分を見て、また抱きしめる。
「うん…」
衣梨奈は聖の肩に額をつけて、両手を彼女の背中に回した。
「聞いてる?」
「うん」
衣梨奈は小さく頷いた。

302デイドリーム・ビリーバー Ⅶ:2012/01/14(土) 17:01:51

「悔しかったと」
衣梨奈は呟いた。
「うん?」
「えりのことだけバカにするんならまだ我慢できると。
仲間とか親とか、モーニングとか、仕事とか、そんなんまでバカにされて…ばり、くやし…」
聖が黙って、衣梨奈の肩を掴んで押して、顔を上げさせた。
衣梨奈は手の甲で涙を拭う。
「えらかったね、我慢して」
「ちが…我慢しとらん…」
「うん?」
「自分らなんかに芸を見せれんって啖呵切ったと」
「フフ」
「なんで笑うと」
聖は目を細めて衣梨奈の頭を撫でる。
「頑張ったね」
お姉さんのように言い、聖が抱きしめてきた。
衣梨奈は何か自分の中の何かが溶けていくような気がして、また聖の肩に顔を埋めた。
顔を上げると、聖が両手で頬を包んできた。
そのまま目を閉じて口づけを受けようとすると人が入って来て、そのまま瞬時にふたりは離れて
何事もなかったかのように洗面所を出た。


「聖の彼女は、勇敢だよ」
廊下で、聖が前を向いたまま、ちょっとだけ手を繋いできて言った。


END.

303名無し護摩:2012/01/14(土) 17:07:58

※この話は『デイドリーム・ビリーバー Ⅵ』(このスレの>>281-290)の
後日の話です。
ちょうどミュージカル『リボーン』を上演してた頃です。
(というか、ヲレ、『リボーン』観てないんだけどね(;´∀`) )

304名無し護摩:2012/02/12(日) 14:09:05
 
ちょっと前に飼育のフリースレに書いたものです。

305くどぅーの願い:2012/02/12(日) 14:09:43


ある日、魔法をいきなり使えるようになったらどうするか。

306くどぅーの願い:2012/02/12(日) 14:11:36

何がきっかけか忘れたが、撮影の合間に10期でそんな話をしていた。

「はいはいはーい!衣梨奈はー、ハロショの新垣さんの生写真全部買うとー!」
「あ、それいいねー。
じゃ、聖は売ってるグッズ全部買うよ」
何故か関係ない9期入ってきてるし。
「ふたりに聞いてないし。
てか、欲まみれだし」
「くどぅーひどーい」
泣きマネするフクちゃんの非難はスルーして、『はるなんは?』とフッてみた。
「ええ〜?
やっぱあれかなー、道重さんのこともっと推したいし」
「はい終了〜」
強制終了してはるなんに『ええ〜!?』とおっとり不満の声を上げられてると、まぁちゃんがニコニコして
「雪、ふらす」
と言った。

307くどぅーの願い:2012/02/12(日) 14:12:57

「は?」
「まぁちゃん雪見たいから、雪降らす」
「寒いだけじゃん…」
なんかがっかりして呟くと、
「いいね、雪!
あたしも見たい!」
ダーイシが嬉しそうに手を叩いた。
そのまままぁちゃんとキャッキャ盛り上げる。
まったく、北国の人間は。
雪なんか今まで散々見てきただろうに。
はるなんも、ニコニコして見てる。
同期の年上ふたりは、まぁちゃんに甘い。
リアルに妹みたいなんだろうな。
「あんたたちは佐藤に甘いねー」
たまたま通りかかった新垣さんが、苦笑するように言った。
「くどぅーにも甘いですよ」
ダーイシが余計なことを言ったので、腕をパシンと叩く。
新垣さんはまた苦笑いして、スタジオの中に入って行った。

308くどぅーの願い:2012/02/12(日) 14:13:58

それは撮影の後だった。

まぁちゃんがスタジオから出て来た田中さんと、廊下でぶつかったのだ。
田中さんはジロッとまぁちゃんの方を見たが、何も言わないで足早に歩いてった。
「ちょっと!ちゃんと周り見ろって田中さんに前に言われたでしょ!」
「ごめんなさい」
「謝るんなら、はるじゃなくて田中さんにすぐ謝んなよ!」
「はぁい」
「大体まぁちゃんは!」
今までたまってた不満を全て吐き出した。
たまたまその場に居合わせた、えりぽんとかフクちゃんもオロオロしてたけど、構わず怒鳴る。
ありえないくらい不思議ちゃんだし、手の焼ける子だし、挨拶もなんかおかしくてズレてるし。

「ポクポクポクポク言ってんじゃないよ!」
「まぁちゃんそんなポクポク言ってないもん」
「勝手にすれば!」
勢い余って外に飛び出した。

309くどぅーの願い:2012/02/12(日) 14:14:49

吐く息がとんでもなく白い。

どんだけ寒いんだ。
見上げた空も、どんよりと曇ってる。
こんな芯から冷える日は、心も冷えてくる。
かじかむ指に息をふきかけて、わずかなぬくもりを得る。

310くどぅーの願い:2012/02/12(日) 14:15:29

まぁちゃん、雪が見たい。


ああ、ちょっとサトゴコロってやつが出てるのかな。
ちょっとでいいから、降らないかな。
降るとまた寒いけど。

311くどぅーの願い:2012/02/12(日) 14:16:03


その時。
顔に、冷たくて濡れたものがかすった。

312くどぅーの願い:2012/02/12(日) 14:16:39

雪だ。
ひらひらと、うすい氷のかけらみたいなのが空から落ちてくる。
「雪だねー」
気が付くと、いつの間にかまぁちゃんが隣にいた。
「内地の雪は、すぐとける」
「ナイチ?」
「北海道は、本州をそう言うの」
「ふうん」

とりあえず、願いはかなったようだ。

313くどぅーの願い:2012/02/12(日) 14:17:40




おわり

314名無し護摩:2013/07/13(土) 16:21:35

みっしげさんの生誕記念で。
去年某スレに上げたものです。

315夜想曲:2013/07/13(土) 16:22:21

『夜想曲』

316夜想曲:2013/07/13(土) 16:22:56

道重邸のバンケットルームでは、優雅にバイオリン曲が流れていた。


今日は、道重財閥の御曹司――――さゆみのバースデーパーティーだった。
御曹司ではあるが、心は乙女なので、ドレスを着用する予定だ。
ドレスはパリのデザイナーに作らせた完全オートクチュールで、価格は殆ど8桁に近い7桁だった。

さゆみは、学校の友人も招いていた。
一番の親友で幼馴染の亀井絵里、その彼女田中れいな。
中等部の後輩も数人。
そして。
飯窪財閥の令嬢、春菜にも義理で招待状を渡していた。

317夜想曲:2013/07/13(土) 16:23:27

『絶対行きます!
わあ、すっごい楽しみです』
ある日の昼休み、さゆみが直接招待状を渡すと、春菜は大喜びで受け取った。
『道重さん!わたし、ケーキ作って持って行きますね!』
キラキラした目で言われ、さゆみはちょっとげんなりしつつ、
『はいはい、適当に楽しみにしてるの』
スルー気味で手を振って教室に戻ったのだ。

321夜想曲:2013/07/13(土) 16:27:07

「う…殺人的な苦しさなの」
控え室でコルセットの紐をお手伝いさんふたりにぎゅうぎゅうに締め上げられ、さゆみはゼーハー、と荒い息を吐いた。
「坊っちゃん、学校のカレーパンが美味しいのは分かりますけどね、少しは控えないと」
道重邸で一番年長のお手伝いさんに言われ、さゆみは『分かってるの』と拗ねたように答える。
「ドレスを着る前に軽く食べておきなさい」
ハムサンドの載った皿を渡され、さゆみは
「こんな胃を締め上げた状態で食欲わかないの」
げんなり言う。
「今日は色んな方の接待で、始まったら食べてるヒマなんてありませんよ!」
「あー、はいはい」
仕方なく、ハムサンドを口にする。

322夜想曲:2013/07/13(土) 16:27:41

「…わあ!」
招待状を持ってやって来た中等部一同は、外も中も豪華な道重邸に歓声を上げる。
何度も来たことがある絵里とれいなは、後輩たちの様子を見て小さく笑う。
「すっげ!庭の噴水、ギリシャ彫刻みたいなんから水がどばどば出てる!」
と工藤遥少年。
「きっと風呂は大理石でライオンの口からお湯が出てくると!」
「もー、えりぽんはー」
生田衣梨奈は幼馴染の譜久村聖に軽く腕を叩かれて窘められた。
「生田は昭和なのだ!」
「生田もガキさんに言われたくないやろ」
高等部の新垣里沙にクラスメートの高橋愛少年がツッコんだ。
「なに、ここ!?
じ、自宅!?」
聖の友人、石田亜佑美も物凄いキレで辺りを見渡している。
「みなさま、ようこそ」
入口でさゆみの執事兼SPの黒服氏(通称クロ、クロさんなど)が出迎えてくれた。
「こんばんは。
お招きありがとうございます」
この中で一番裕福な家庭の子女である聖は、慣れた様子でドレスの裾を持ち挨拶する。
「おお!」
「お嬢様なんだろうね!」
聖と衣梨奈の幼馴染である、鞘師里保と鈴木香音は小さく驚きの声を上げる。
「若はもうバンケットルームにいらっしゃいます。
みなさまもどうぞ」
黒服氏はふと、
「飯窪様は…ご一緒ではないのですか?」
と一同を見て言った。
「はるなんは、ケーキがあるからお家の車で来るって言ってましたー!」
工藤少年の友人、佐藤優樹は元気よく答えた。
「左様でございますか。
では、先にご案内いたします」

323夜想曲:2013/07/13(土) 16:28:12

「ビ、ビフテキなんだろうね!?」
バンケットルームに通された中等部一同は、テーブルに並んだ料理の豪華さに驚愕していた。
立食パーティーなのでバイキング式ではあるが、見たこともないような分厚いステーキなどに香音や少年たちは『すげっ…!』と目を見開く。
「高級黒毛和牛のサーロインステーキでございます。サーロインの脂が苦手な方には、ヒレステーキなどもご用意しておりますので、どうぞお召し上がり下さい」
黒服氏に言われ、何人か肉にがっつきだす。
「僕たちも食べようか、れいな」
「そうっちゃね」
絵里は後輩たちのがっつきぶりにくすくす笑いながら、れいなに取り皿を手渡した。


「飯窪様は、ギリギリにいらっしゃるとのことです」
黒服氏はそっとさゆみに近づき、報告した。
「そう」
「屋上のヘリポートを貸してほしい、との連絡が来てますが、よろしいですか」
「…は?」
さゆみが一瞬ぽかんとすると、バラバラバラ、とヘリコプターの音が外から聞こえた。
「え、ヘリ?」
聖が窓に近づいて、空を見上げる。
「…また派手な登場してくれたの」
さゆみは手にしたシャンパングラスを黒服に渡し、バンケットルームを出て行った。

324夜想曲:2013/07/13(土) 16:28:48

「遅くなってごめんなさい」
ヘリで到着したのは、高等部の後輩・飯窪春菜だった。
「あなたね」
バンケットルームの外で、さゆみはあきれたように彼女を見た。
「ギリギリなのはともかく、ヘリで乗りつけるってどーなのよ」
「申し訳ございません。
道路状況から遅刻は免れない、と判断いたしまして、ヘリを使用いたしました」
春菜の執事兼SPの白服氏が答える。
「ああ、そう。
ま、招待した時刻に間に合ったのは褒めてあげるの。
ふたりともいらっしゃい」
さゆみは自ら扉を開けて、ふたりを入れた。

325夜想曲:2013/07/13(土) 16:29:39

春菜がバンケットルームに入って行くと、招待客の何人かがざわつき出した。
「おい…あれ、飯窪の!」
「今日来てるってことは…」
「そうか…道重とついに」
さゆみは小声で囁かれる客たちの勝手な推測に、『予想通りだな』と苦笑する。
道重の人間が、ライバルである飯窪家の娘を今日のような公の場に招待したら。
自分と春菜の婚約、道重と飯窪の合併。
普通の企業人ならこう考えるのが自然だ。
「ちょっと、おいで」
さゆみは春菜の手を引いて、また一旦部屋を出る。
廊下の隅まで歩いて行き、人目がないことを確認し、
「分かってるだろうけどね」
「はい」
「余計なこと、言わないでよ?
今日は、あなたのお家も取り引きしてるよーな、偉いおじちゃんたちとかいっぱい来てるから」
「重々承知してます」
春菜は真っ直ぐさゆみの目を見て微笑む。
「それと」
「ええ」
「絵里たちにも頼んどくから、身の危険を感じたら誰でもいいから頼って逃げなさい。
あの白服ちゃんの手も及ばないよーな目に遭ったら、さゆみが直接ボコるけどね…て、ナニ目、キラキラさせてんの」
「だって」
春菜は感激の余り、目尻にうっすら浮かんだ涙を拭い、
「好きな人にそんなこと言われたら、女の子は泣きますよ」
「勘違いしないでよ。
道重の人間として、招待した以上、責任があるからよ」
「いいんです、それでも」
春菜は泣きながら笑った。

326夜想曲:2013/07/13(土) 16:30:30

「とゆーわけで、さゆみの目が届かないところで飯窪さんになんかあったら頼むの」
さゆみは、絵里と愛を外に連れ出して春菜の護衛を頼んでいた。
「ラジャー」
愛は腕組みして壁に凭れ、ニヤッと笑う。
絵里も
「優しいねえ、シゲは」
アヒル口をいつも以上にニマニマさせる。
「飯窪さん、ちょっと痩せ過ぎな気もすっけど、普通にスタイルいいし、シゲ、好きなタイプなんじゃないの?」
ニヤニヤする愛に、
「…愛ちゃんでも、グーパンは辞さないの」
さゆみはしょっぱい顔をして、拳を突き出すフリをする。
「あ、こんなところにいた!
愛ちゃん、スーズキが呼んでるよ!」
里沙が扉を開けて中から顔を出すと、
「今行くがし!」
愛は『じゃ、行くやよ』と入って行った。


中等部の香音は、両手にマンガに出てくるような骨付き肉を持って幸せを噛みしめていた。
「香音ちゃんは他の誰よりもマンガ肉が似合うきに」
幼馴染の鞘師里保少年も絶賛だ。
「たかはしさん!
あたしいま、幸せです!」
「おー、そうかそうか。
食え、存分に食え」
愛は楽しそうに、香音の食いっぷりを見物している。
「はい!」
香音はマンガ肉に喰らい付いた。

327夜想曲:2013/07/13(土) 16:31:52

「うー。
こんなローストビーフ食ったん初めてやし」
生田衣梨奈少年は、肉をたらふく食べて腹をさすっていた。
「もー。
こんな場所でがっつくのはお行儀悪いって言ったでしょ」
幼馴染の譜久村聖は、横でずっと小言を言っている。
「せっかくカッコいい服、チョイスしてあげたのに」
聖は拗ねて、頬を膨らませた。


「…ハ、ハンバーグみたいに固めたお肉の中に、ゆで卵が入ってる…!
フランス料理だ!」
「あゆみさん…たぶん、違うと思います」
「ダーイシ、なんでもフランス料理にすんなよ」
石田亜佑美が後輩の工藤少年と佐藤少年にツッコまれていると、
「スコッチエッグは、イギリス料理でございます」
黒服氏が、さり気なく言って通り過ぎて行った。


さゆみはドレスの苦しさに耐えながら、方々の招待客に愛想を振りまいていた。
「本当に素敵なドレスですこと。
どちらでお求めに?」
「ええ、パリのデザイナーに作ってもらいまして…」
(ああー…マジで死にそー)
さゆみは笑顔を浮かべながら、心の中で呟く。
(なんなの、このドレス。
よく見たら縫製は雑だし、生地もボッタくった割には着心地悪いし、おまけになんか痒いの!)
通気性にも問題があるのか、さゆみは今すぐ脱いで、背中を掻きたくなった。
今日はさゆみのバースデーパーティーと、道重家と今度提携する予定のデザイナーの新作発表会も兼ねていた。
さゆみ自らモデルとなって、ドレスを各方面の著名人に見せる目的もあった。
(あー…絶対提携断ってやる。
早く脱ぎてー)
痒みと苦しさにげんなりしつつ部屋の隅に目をやると、ふと見覚えのある人物が視界に飛び込んだ。
(…あいつ!)
さゆみは咄嗟に、春菜の姿を追った。
春菜は見つからなかったが、絵里と目が合い、アイコンタクトでこっちに来るように合図する。

328夜想曲:2013/07/13(土) 16:32:29

さゆみは庭へ絵里を連れて出て行った。
「なに?」
「厄介なヤツが来てる」
「え?」
さゆみは苦々しい顔をし、指を噛んだ。
「バルコニーのそばに、ダークスーツに水色のネクタイをした痩せた男がいたでしょ」
「ああ」
絵里は思い出したように頷いた。
「アイツは、絶対飯窪さんに近づけないで」
「なんで」
「経済誌の記者だって言ってるけどね、どうだか。
さゆみが前、取材を受けたんだけど、無礼な質問ばっかするから大金払って掲載の差し止めしたの」
「へえ。
そっか、分かったよ」
絵里は頷いたが、
「なんで飯窪さんに?」
改めて疑問を口にした。
「嫌な予感がするの」
さゆみはまた、自分の親指を噛んだ。

329夜想曲:2013/07/13(土) 16:33:58

「そこのお嬢さん」
香音が顔を上げると、黒っぽいスーツを着た、痩せた男がいた。
「なんですか」
「君のお友達の、飯窪さんはどこにいるか知ってるかな」
「知らないんだろうね」
香音は素直に首を振った。
春菜とは今日はあまり顔を合わせていないので、嘘はついていなかった。
「飯窪さんとは、今日は来る時も別行動でしたし、さっき少し挨拶したくらいですわ」
たまたま居合わせた聖が、香音をフォローするように説明する。
「これはこれは、譜久村様のお嬢様で。
道重様とはお友達で?」
男の慇懃無礼な様子に聖は少々ムッとし、
「ええ、道重さんは学校の先輩ですわ。
仲良くして頂いてます」
最低限の答えを返す。
香音は分からないながらも不穏な空気を感じ、
「聖ちゃん、行こ」
と聖の袖を引っ張る。
「失礼します」
聖は頭を下げて香音と立ち去った。


「どうしてアイツが来てんの」
さゆみは、客人からは目につかない別室で黒服氏を問い詰めていた。
自分に無礼を働いた記者など、まずこんな場に来られない筈だった。
「申し訳ございません。
招待客はリストを作成した際、厳重にチェックしたのですが」
「ん。で?」
「今日は招待状を持った人間と一緒でしたら入れますので、何らかの手を使って、潜り込んだと思われます」
「客の誰かを脅したとかそーゆーの?」
「その可能性が高いです」
苦々しい気持ちで、さゆみは壁を睨みつける。
そういう手を使っていても、おかしくない人間だった。
さゆみは取材日に、例の記者に『ゲイでも、大企業のトップまでいけるんですね』と不躾に言われたことを思い出す。
よく目の前のコップの水を記者にかけなかったな、と自分で思う。
『夜のお相手は、若いイケメン社員の中からお選びで?』
この台詞で、完全にさゆみの堪忍袋の緒が切れて、『失礼、今日は帰ります』と席を立ったのだが。
「次からシステム変えてね。
もーゴメンだからね」
「はっ」
さゆみはドレスを翻し、部屋に戻って行った。

330夜想曲:2013/07/13(土) 16:34:40

「飯窪春菜さん?」
ダークスーツの記者の男は、壁際に立っていた春菜に声をかけた。
春菜は手元のマチのある紙袋を、思わずかばうように持つ。
「…どなたですか?」
「こういう者です」
男は名刺を取り出し、差し出した。
「はあ。
申し訳ありませんが、わたくし、まだ高校生ですので、名刺は持ち歩いておりません」
「いえ、構いません。
以後、お見知りおきを」
春菜はチラッと顔を上げて、白服氏を見た。
白服氏が行動を起こそうとしたその時。

331夜想曲:2013/07/13(土) 16:35:48

「…キャー!」
バンケットルームの中央で、爆竹が派手に鳴った。
連続して鳴り、部屋は混乱する。
「え…うっわ!」
室内の電気が消え、真っ暗になる。
爆竹の白い煙が方々で上がっていた。
「…こっち!」
春菜が戸惑っていると、聞いたことのある声がして腕を引っ張って行かれた。
「お、お嬢様…!」
白服氏が爆竹の煙にむせながら叫ぶと、
「アンタもこっちなのだ!」
か細い手に掴まれて、引っ張って行かれた。


「…高橋さん!」
春菜が分からぬまま連れられて部屋を飛び出すと、高等部の高橋少年が悪戯っぽく笑い、自分の腕を掴んでいた。
「荒っぽいマネしてごめんやよ。
ちょっと付き合ってもらうがし」
「え?え?」
春菜はそのまま引っ張って行かれた。


「だから、どーしてマンガ肉持って来るんじゃ!」
「ハラが減っては戦は出来ぬなんだろうね!」
里保にツッコまれながら、香音は両手にマンガ肉を持って緊急避難していた。
「せめて1本にしろよ!」
文句を言いつつ、里保は香音に『こっち!』と指示して走る。


「うへー、さすがに火薬くさいですよ?」
絵里は、バンケットルームに一気に爆竹を放り込み、火薬くさくなったジャケットを脱ぎ、裏庭で少しむせていた。
「絵里、大丈夫と?」
れいなは絵里の背中をさすってやる。
「愛ちゃんの作戦は雑ですよ?」
「だよね」
れいなと絵里は顔を見合わせて苦笑する。
「シゲん家に前に遊んだ爆竹の残りがあって、まあよかったですよ?」
さゆみに春菜の護衛を頼まれた後、絵里は冗談半分に愛に
『いざとなったら、シゲの部屋にある爆竹でも鳴らしますよ?』
と言ったところ、
『その案、採用やし』
とあっさり絵里の冗談が通ったのだ。
さゆみ曰く自称・経済誌、実際はゴシップ誌の記者が現れ、本格的に春菜に困った事態が近づいているのを悟ったため、愛は絵里に、
「あとは任せた」
と爆竹に火を点けるよう言ったのだった。
「飯窪さん、逃げれたやろか」
「んー、愛ちゃんが転んでなきゃ」
「はあ、れな、疲れたと」
「どっかで休憩しますよ?」
れいなの手を引いて、絵里は自分の肩にジャケットを引っ掛け歩き出した。

332夜想曲:2013/07/13(土) 16:36:23

春菜はある建物まで連れて来られた。
こじんまりとしてはいるが、家のようだ。
「…ここは?」
「じゃ、グッドラック」
「高橋先輩!」
彼はニッと笑って、上着を引っ掛けて歩いて行った。
「こっち」
急にニュッと手が伸び、春菜は思わず
「ひゃっ!」
と身を竦める。
「なんて声出すの」
さゆみはあきれ顔で言った。
「道重さん!ご無事でしたか!」
「愛ちゃんからのメールの指示で先にここに向かったから、部屋の有様はまだ見てないの」
『爆竹投げ込んだんだって?』とさゆみは続けた。
「ええ、急に爆竹が何発も部屋で鳴ったと思ったら、電気も消えて…」
「何やってくれてるの、たく」
おいで、とさゆみは春菜の手を引いて、建物に入って行った。


「ここは?」
部屋に入り、春菜は天井を見上げた。
「まあ、普通の家でいえば離れっていうのかな。
さゆみのもうひとつのプライベートルームみたいなモン」
「まあ」
さゆみはヒールを脱いで、ソファーに『やれやれ』と腰掛けた。
「落ち着くまでここにいていいの」
座ったまま、さゆみは自分の正面のソファーを指す。
「すみません」
春菜はドレスの裾を整え、自分も腰掛けた。
「ちょっと着替えてくるの。
やれやれ、やっと脱げるの」
言うや否や、さゆみはその場でジッパーを下ろしドレスを脱ぎ捨てた。
「み、道重さん…!」
春菜は赤くなり、手で顔を覆う。
しかし指の隙間からしっかり見ていた。
コルセット、ガーター、ストッキング。
次から次へ脱ぎ捨て、パンツだけになる。
(じょ、女性用なんですね…!)
春菜はしっかりそこまで見ていた。
「風呂って来るの!」
大股で歩き、さゆみはバスルームへ消える。

333夜想曲:2013/07/13(土) 16:37:15

約10分後、シャワーの済んださゆみがバスローブを着て出て来た。
「あ〜、解放感!」
さゆみは心底嬉しそうな声を上げる。
ソファーのそばのクローゼットを開け、中の服を吟味する。
「やはり、ドレスが窮屈でしたか」
春菜はやっぱり、という顔で呟く。
「当たり前なの。
大体、さゆみも男のはしくれなんだから、あんなにコルセットで女のウエスト作るためにギューギュー締められたら死ぬの。
あー、このクソドレス、もう二度と着てやんないの」
「そもそも、サイズが道重さんに合ってないような…」
「よく気付いたの。
微妙に寸法測るのミスってるの」
「そうでしたか…」
さゆみはしばらく春菜の顔を見、
「着替えたら、ちょっと付き合ってほしいの」
服を手にし、後ろを向いて着替えだした。



「どちらへ行かれるんですか」
「まあ、普通に招いた客は行かないよーなところ」
さゆみは春菜の手を引いて、
「足元に気をつけるの」
彼女のペースに合わせて歩いて行く。

334夜想曲:2013/07/13(土) 16:38:45

さゆみはある建物まで来るとカメラのような装置の前で『向こう向いてて』と言い、オートロックの番号を打ち込んだ。
電子錠が解除される。
ここは、道重財閥で働く人間の事務棟だった。
「虹彩認証とキー入力の両方ですか。
さすが厳重ですね」
「余計なことは言わなくていいの」
さゆみは振り返り様、春菜を軽く睨みつける。
長い廊下を歩いて行き、財閥のスタッフの詰所の前まで行く。
「ここは、スタッフルームのようなところですか」
「家に帰って内情バラすんじゃないわよ」
「言いませんよ」
さゆみはポケットから財布を取り出し、廊下の自動販売機にコインを入れる。
「何にするの?」
「え…」
「言わないんなら、あなたの嫌いそーなのにするわよ」
「ええ〜!じゃ、じゃ。烏龍茶でお願いします!」
さゆみはニヤリと笑って、烏龍茶のボタンを押した。
自分はコーラを買い、廊下の長椅子に春菜と並んで腰掛ける。
「静かですね」
「んー」
コーラを口に含み、はあ、と息をついた。
「道重さん、そういう服も着るんですね」
さゆみは、上こそ薄いピンクのTシャツだが、下はカーキ色のカーゴパンツだった。
足元は絵里やれいなと買物に行った時に選んだ、白のビルケンシュトックのサンダル。
いつもと違うさゆみに、春菜は頬を綻ばせた。
「言うんでしょ、『アイツ、家では女装してないんだぜ?』って」
「言いませんよ」
「ところで、あなた、そのずーっと持ってる紙袋、ナニ?」
春菜がさっきから持ち歩いていて、今は横に置いてる紙袋を、さゆみは怪訝そうに指した。
「ケーキです」
「…は?」
「今日、持って行くって言ってたケーキです」
「…マジで?」
春菜はニコニコして、自分の膝に紙袋をのせた。
「お誕生日、おめでとうございます」
「…うん」
さゆみは、春菜から紙袋を受け取った。
「開けていいの?」
「ええ」
さゆみはケーキボックスを取り出し、上蓋を上げ、途端に吹き出す。

335夜想曲:2013/07/13(土) 16:39:21

「ちょ…!
ぐちゃぐちゃじゃん!」
「あー…。
やはりさっきの爆竹騒ぎで」
春菜は気まずそうに笑う。
「『みちしげさん、世界でいちばんカワイイです!!』ってなんだこりゃ!」
チョコプレートに書かれた文句に、さゆみはまた大受けする。
「偽らざる本音です。ていうか、事実です」
「ハッハ!
ありがとね」
さゆみは添えてあったプラスチックのフォークを持って、大口開けて食べだす。
「うん…味はいいの。
ちょっと甘いけど」
「ありがとうございます」
春菜は嬉しそうに笑う。
「こんな…地味に残念なプレゼント、初めてかも」
残念、と言われ、春菜は『え〜、そうですか?』とさゆみの顔を覗き込む。
さゆみは、言葉とは裏腹に、微笑んでいた。
こんな優しい目で微笑まれたことがなかったので、春菜はちょっと目を丸くする。
「豪華なプレゼントならいくらでもあるけど、こんなぐちゃぐちゃでおいしいケーキ、初めてなの」
フフ、と笑い、さゆみはまたケーキを口にする。
「ここまでぐちゃぐちゃになるのは計算外でしたが…」
「この先、こういうプレゼントを貰うことはないだろうから、貴重なの」
「道重さん…」
春菜は切なそうな顔になり、
「わたし」
と切り出した。
「え?」
「これから毎年、道重さんのお誕生日にケーキを作ります」
「…なんで?」
「豪華なプレゼントをくださる人はこの先、たくさんいると思います。
じゃ、わたしは残念なケーキを毎年作って、道重さんに笑って食べてもらいます」
「あのね…もし、わたしの婚約者とか奥さんがイヤがったらどーすんの」
さゆみは溜息をついて、フォークをケーキのそばに置いた。
「あ、そう…ですね」
春菜が俯くと、
「まあ…それくらいで文句言うようなケツの穴の小さい女、道重の家にはふさわしくないけどね」
さゆみは髪をかきあげて、フォローのつもりか悪態をつく。
「ご結婚なさるおつもりなんですか」
春菜の素朴な疑問に、
「まあ、まだ高校生ってことで免除してもらってるけど、どこぞの令嬢との縁談がわんさか待ち構えてるの」
「そうですか…」
「わたしの役目のひとつは、跡継ぎを作ることだし」
さゆみは缶コーラを手に、どこか焦点の定まらない目で前を見た。
「道重さんの好きな女性と…」
春菜が全部言い切らないうちに、
「そんな自由あると思う?」
前を向いたまま、跳ね除けるように言った。
「好きな女が出来たところで?
うちの親が認めないような女だったら?
何処かへ連れて逃げて六畳一間のボロアパートででもひっそり暮らせと?」
「……そんなこと」
「道重の家を捨てれると思う?」
「思いません」
春菜は小さな声ではあったが、はっきり言い切った。
さゆみは思わず目を丸くする。
「あなたはこのカンパニーのスタッフも、その家族も、捨てやしません。
勿論、ご自分の家族も。
最後までトップとして責任を取ろうとするでしょう、きっと。
そんなあなただから、好きになったんです」
さゆみはコーラをぐっと飲み干した。
ぐしゃっと缶を握りつぶし、
「…バッカみたい」
春菜に分からないように、涙を流した。

336夜想曲:2013/07/13(土) 16:39:59

「若、そろそろお戻りください」
いつの間にか、黒服氏がそっと跪いてそばに控えていた。
春菜は声にこそ出さなかったが、さすがにびっくりする。
「やれやれ。
戻らなきゃダメ?
さゆみ、もーあのデザイナーのドレス、着たくないんだけど」
てか、自分の関わったプロジェクトなのに、『スケジュールの都合で欠席』ってナメてんの、と、さゆみはデザイナーをこき下ろした。
「会場もどうにか落ち着きましたし、どうか」
「はいよ、はいよ」
さゆみは欠伸をして立ち上がり、
「そこのお嬢さん、連れてってあげて」
長財布をズボンの後ろポケットに突っ込み、ひとり歩いて行った。


黒服氏に連れられて戻る際、春菜は
「あの…うちの者は」
白服氏が気になって尋ねた。
「お付きの白い方は、新垣様が誘導されて安全な場所に避難されました」
「そうですか…よかった」


春菜はバンケットルームで聖たちと合流した。
「はるなん!どこ行ってたの?」
聖は『無事でよかった』と春菜を軽くハグした。
「ええ、高橋さんに連れられて避難してたの」
「お嬢様!」
白服氏が里沙に連れられてやって来る。
「よかった、無事だったのね」
「申し訳ございません」
「いえ、構いません」
ふと、扉の辺りから歓声が沸いた。
顔を上げると、さゆみが真紅のドレスを身にまとって立っていた。
先程の淡い色のドレスとはまた違ったデザインだった。
「道重さん!」
聖が目を輝かせて、頬も紅潮させる。
「うっわ!
お色直しっちゃか!てか、フツーに違和感なくて逆におかしいっちゃ!」
れいなは腹を抱えて笑い出す。
「だよね」
横にいた絵里も、笑いをこらえつつ、親友の勇姿を見届ける。

337夜想曲:2013/07/13(土) 16:41:27

(さて、さゆみの本領発揮といくの。
世界でいちば〜んカワイイさゆみを、存分に見せつけるの!)
さゆみは微笑みを浮かべ、招待客すべてを見渡す。
「道重さん…カワイイ、すっごくカワイイ」
興奮気味の聖、そんな聖をちょっと悲しそうに見る衣梨奈の横で、
(道重さん…世界で一番かわいくて、そして)

世界で一番、カッコいいひとです

春菜は微笑みながら、目を伏せた。


fin.


おまけ


愛が春菜を連れて、さゆみの離れの家に向かっている頃。
「…うっわ!」
暗闇のどさくさに紛れて、優樹は件の記者にバンダナで素早く目隠しした。
彼もやはりメールで愛から指示を受けており、たまたま持って来ていたハンカチ代わりのバンダナを使った。
「なにすんだ!」
「じっちゃん、こっちだよ!」
遥はやはりどさくさに紛れて男の腕を引いて、門の外まで連れて行く。
「さ、これに乗って逃げて!」
「な、なんだ?」
男は、知らぬ間にタクシーに乗り込んでいた。
「はい、成田空港まででしたね。
毎度ありがとうございます」
「え…」
あれよあれよという間に、男は道重邸から遠ざかって行ったのだった。
そして頭には何故かマンガ肉がのせられていたとかいないとか。

从*´◇`)<おじさんイヤな人だから、おみやげがわりに香音がビニールでしばってのせたんだろうね!



今度こそfin.

338名無し護摩:2013/07/13(土) 16:47:45

☆補足

・当然アンリアル

・メンバーの何人かは男

・みっしげさんは財閥の御曹司、飯窪さんは敵対する財閥の令嬢でみっしげさんに
ベタ惚れ

・みっしげさんの本命はかめーくん(無論男)。飯窪さんに言い寄られて
ウザがってるけど悪い気はしない

・56期は高校生、910期は付属中学の後輩(エスカレーター式の学校)

・だーいしはそんなに貧乏じゃない

339名無しタンポポ:2014/04/12(土) 17:48:08
工藤さん視点です。

341くどぅーの想い:2014/04/12(土) 17:53:25

魔法キャラっていったら、あのヒトか

342くどぅーの想い:2014/04/12(土) 17:55:08

「ちちんぷいぷい、魔法にかーかれ! あー、かかっちゃったー!」 「てか生田さん、投げっぱッスよソレー!」 てツッコむと、譜久村さんも 「だよねー」 と同意してくれる。 「ズルイっすよねー」 「聖も思うー」 生田さんは、苦笑いして部屋を出てった。

343くどぅーの想い:2014/04/12(土) 17:55:57

「なんかえりぽん、魔法禁止令出てるらしーよ」 ライブ後にハミガキしながら、鞘師さんが言った。 「へー。 マジですか」 「うん。 なんかね、言われたみたい」 淡々と言いながら、ハミガキする鞘師さん。

344くどぅーの想い:2014/04/12(土) 17:57:04
「くどぅー、どぅー!」 甲高い声が廊下から響く。 なんだよ、うっせーな。 「おー、コッチ。 なんだよ、まーちゃん」 楽屋のドアを開けて顔を出すと、 「コッチ!」 を手を掴んでいきなり走り出した。 「なんだよ」 「いいから!」 まーちゃんはまた振り回す。 くるくる、くるくると。

345くどぅーの想い:2014/04/12(土) 17:58:10

「じゃーん!」

眼の前に、でかい空が広がる。 コンサートホールの入ったビルの、けっこー上の階まで連れてかれて。 映画館のスクリーンみたいな、おっきな窓があって。 そこから、青空が広がっていた。

346名無しタンポポ:2014/04/12(土) 18:02:28

「おー、すっげ」 嬉しくて、窓に近づいてあちこち見渡す。 まーちゃんは、隣で同じように見てる。 「どぅー」 「あ?」 「まさね、女の子だよ」 「…知らなかったとでも?」 「だーかーらー!女の子なの!」 「なんでキレてんだよ!」 「だって、どぅーなんか」

347名無しタンポポ:2014/04/12(土) 18:03:08

どぅーの中には、男の子と女の子がはんぶんずついて いっつもケンカするから、どぅーはつかれちゃうんだよ

348くどぅーの想い:2014/04/12(土) 18:04:48

言われて、あぜんとした。 何言ってんだ、コイツ。

「だから、まーは女の子なんだよ」 「…あのー、佐藤さん。 なんか疲れたから戻っていっすか?」

349くどぅーの想い:2014/04/12(土) 18:05:49

返事も待たず、楽屋へ戻る。 なんなんだ、このスカっとしない気持ちは。

そうだ。 帰ったら、生田さんにスカっとする魔法でもかけてもらお。 効くかわかんねーけど。 そんで鞘師さんにサイダー分けてもらお。 うんうん、それがいい。

おわり

350名無しタンポポ:2014/04/12(土) 18:07:38
以上です。
タイトルを途中で消してしまいました。
失礼しました。


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