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小噺をば

94超初心者:2003/07/04(金) 22:31
小噺その44(ペロロンカ・ホテル番外編)

再び男女の交わりについてである。今ベッド上で互いの愛撫に勤しむ二人は、あの道草旬太郎
と黒デルモ“ゆき”。デルモは勿論処女だったが道草の方もぎこちない動き、日頃のカッコづけ
とは裏腹に、おっかなびっくりな所作からはおよそこの男、女を知っているとも思えない。
それでも一途な情を奮い立たせ深い口づけを交わせば、骨盤に生じる愛欲の炎がめらめらと
燃え盛る。「やさしく…して…」女の月並みなセリフもこの場合、どぎまぎしている男に
最後の決意を促すもの、大汗をかきながらも道草が「男」になるまさに瀬戸際がそこに
あった、が…。バンッ!――扉が荒荒しく開き、駆け込んできた人影がある。
「やっと見つけたわ、道草クン、そこ離れて!」真紅スーツ姿の女は、下から男の腰に
あてがう女の手をさっさと振りほどき、素っ裸の道草をベッドから引き離す。
「あ…藍華さぁん…」間の抜けた、いやイケテる道草の声を置き去りにしたまま、ベッドの
女へ向かう藍華。「あ…あぁ…」引きつった表情の“ゆき”は今までの恍惚半分、突然の
緊張半分でただ震える裸身を晒すのみ。驚愕のあまり仰向けに横たわる己が身体を
起こそうともしない。「りおんや道草クンまで巻き込んで…あなたも覚悟はいいわねッ!」
「い、いやあぁぁっ…!」涙声になって懸命に首を振る黒デルモ、だが藍華怒涛の勢いは
止まらなかった。一切身構えもしない女の下腹部に藍華の拳が飛び込んでいく――ドボウッ
「あうッ…!」ただの一撃で深い気絶の闇へ落ちていく黒デルモ。この身体に本来迎え入れる
筈だった男のモノを考えれば只今の状況天地の差とも言えよう、が、しかし。さすがは藍華の
技である、苦痛は一瞬、そのあとすぐに甘美な桃源が女の全身を優しく、そしてとろける様に
包み込む。早や股間よりこんこんと湧きだす愛の泉にその証左を読み取ったか、次の瞬間には
呆然と立ち尽くす道草へ向かい、手短かに指示を投げる藍華。「さ、ここを脱出するわよ、
道草クン。早く服を着て頂戴」はぁ〜い、と相変わらずボケた返事で応ずる道草は自分の服で
なく何と黒デルモの下着やコスチュームを着こんでいる。いつもの癖ね、と特段咎めもしない
藍華と道草がそそくさと立ち去っていったあと、部屋には黒デルモひとり、一糸纏うものない
哀れな姿で放置されていた…この顛末改めて俯瞰すれば、あのホテルで道草やりおんを人質に
とろうとしたデルモたちの作戦がそもそもの発端、それは確かに卑怯だし今更弁明の余地も
ない。だがひとつ付言出来ることがある。あの時“ゆき”は、自分単独で道草を拘束する役回り
を申し出、居合わせた他の黒デルモ仲間の同意を得た。その根底には彼への淡い思いがある。
加えて南の島の魔法がもたらしたのか、それからの“ゆき”と道草はあっという間にああいう
仲へと変じていった。道草が人質だからといってぞんざいに扱うつもりなどさらさらなく。
作戦の最終目的である藍華の捕獲さえ果たせば、この男と一緒になってもいい、とまで
思っていたのである。とは言え、そんな背景など当時知るよしもない藍華。犬吠島以降では、
事情を知り幾重にも埋め合わせの愛を注ぐ藍華によって再びの幸せを得る黒デルモだが、
それでもある種運命の歯車が狂ったことには違いない。あれが唯一のご縁だったのだろう、
二人の処女と童貞については…現在も微動だにせずそのまんまということなのだから。


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