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【マハ=ディヤルニ】 ルザナイ教 【バーフルード】

1言理の妖精語りて曰く、:2010/12/09(木) 15:16:58
唯一神マハ=ディヤルニを信仰するチャカ大陸発の宗教・ルザナイ教を記述するスレッドです。

142言理の妖精語りて曰く、:2017/04/28(金) 20:43:02
彼ら兄妹は、決して実力が不足していたわけでも、相手を見くびっていたわけでもなかった。
ただ、彼らは、少しだけ運が悪かった。
そして、何よりも、彼らは、センジュという男のことを知らなかったのだ。
そう、彼が、どれだけ突拍子もないことをやらかすのか、そして、彼のルザナイ教についての知識の不足が、どれだけの面倒事を巻き起こすのか。
武力で罰し、対処するべき『悪』との戦いが専門であった彼らには、まるで予測が出来ていなかったのだ。

143言理の妖精語りて曰く、:2017/05/04(木) 18:38:32
遠方から【ルザナイの里】に帰還して、すぐさまセンジュの排除にかかった二人の準備に、落ち度は無かった。

兄の雷は、センジュがどこへ逃げようとも、彼を確実に縛り上げるはずであったし、妹の風も同様に、目標を逃すことなど考えられなかった。
その認識は、彼ら兄妹にとってというより、法術に関わる者、いや、すべてのルザナイの民にとっての常識に近いものであった。

そして、事実、そうなるはずであった。
地上の人間は、いかなる者であろうと、その運命からは逃れられなかったであろう――――地上に留まってさえいたならば

144言理の妖精語りて曰く、:2017/05/11(木) 20:06:48
もちろん、センジュはただの武芸者である。
そして、無色人族(ノローアー)である彼には、飛行や浮遊を可能にする魔術や法術の心得は無く、翼や体内ガスジェットといった能力も無かった。
ましてや、単なる武芸者が、高価で不安定な飛行装備や、伝説の魔道具を持っているはずも無い。

だが、それでも、彼は確かに空を飛んだのだ。
それは、決して偉業では無かったが、ある特殊な事情から、後々までルザナイの里に語り継がれるようになった出来事であった。

そう、それは単なる偶然だったのだ。
そして、それは『不幸な』偶然でもあった。

その事件は、武芸者センジュが、無謀な決闘のため二十四人の【シン・グロークス】を説得しようとしたことが原因であった――――

145言理の妖精語りて曰く、:2017/07/22(土) 00:28:32
架空の物語に登場する架空の武僧集団に所属する架空のシン=グロークスを開祖とする武術が存在する。

使い手達のその佇まい、青き燕の如し。

146言理の妖精語りて曰く、:2017/07/31(月) 18:44:45
センジュの試みは、彼の視点からすれば、万全の準備が出来ていたはずだった。
二十四人の武の達人【シン・グロークス】
その中でも、なかなか会うことが出来ないうちの一人を、彼は、襲撃するつもりであった。

センジュは、村外れの沼へ走った。
そこに、彼の目当ての相手が居るはずだったからだ。
彼が、襲いかかり、挑発するつもりだった相手は、
その名は【沼のシン・グロークス】
「水」と「土」二種の術を使いこなし、音に聞こえる投げ技の達人。


その頃、ルザナイの里には「雷」と「風」の【シン・グロークス】たちの帰郷が近いという噂も届いていたが、センジュは、まずまっ先に「沼」を優先すると決めていた。
思い付きだけで、挑みかかった若武者には、短気だという「彼」を挑発し、決闘に誘い込むなど、容易いことに思えたのだ。
そうして、それが、若者の命運を決することになる。

こうして、センジュは走っていった。
己が先に、待ち受けている運命も知らずに。

147言理の妖精語りて曰く、:2017/08/28(月) 17:56:32
チャカ大陸では、既にカンディスシャニティアという独自の宗教が繁栄を謳歌していた。
そこで、布教に訪れたルザナイ教第一陣は、一時的な協力体制を結成した。
これが、【ルザナイ十天官会議】と呼ばれる布教組織の始まりである。

148言理の妖精語りて曰く、:2017/08/28(月) 19:37:03
彼等は南極から来た。

十の流星が彼等を北方の大地へと導いた。

149言理の妖精語りて曰く、:2017/08/30(水) 07:07:27
天体とは天霊の体であり、流星は天使の舟と呼ばれている。

流星が落ちた場所は天使の着地点である。

150言理の妖精語りて曰く、:2017/09/03(日) 20:35:57
また別の説によれば、流星とは、ルザナイの殉教者が天界にて生まれ変わった姿であるともされている。

151言理の妖精語りて曰く、:2017/09/05(火) 15:00:02
殉教者は流星となって地上に遣わされる。彼らは地霊(オロフルード)になって地上の信徒を助けるとも、
再び母の胎に宿り、ふたたび人として生まれるとも言われる。

152言理の妖精語りて曰く、:2017/09/05(火) 18:40:44
地霊(オロフルード)は、地よりルザナイの徒を助ける。
その霊験は、多くは豊作という形で現れるが、時には歩行を助けもするという。
山道を歩くとき、足取りがふと軽くなるのは、地霊のおかげであるというのだ。

153言理の妖精語りて曰く、:2017/09/08(金) 06:14:19
ルザナイ教には、天使が乗るという「天の舟」を模して儀式用の舟を作る専門の舟職人がいる

154言理の妖精語りて曰く、:2017/09/09(土) 15:44:08
この舟は修行者だけが住む島、聖地なる島に渡るものとしても使われる。

そして、水葬が認められる宗派においては、遺体を乗せて海に流す棺としても。

155言理の妖精語りて曰く、:2017/09/11(月) 23:56:32
人々を誘惑し、ときに天使すら堕落させる悪魔は鳥喰鰐に譬えられる。

鳥喰鰐は水上に鳥が飛んでいるのを確認すると皆底から矢の如く推進し、
水面から飛び出すと鳥を銛のような舌で突き刺し、そのまま水中に引きずり込んで食べてしまう。
この能力は水中の獲物を狙うさいにもいかんなく発揮される。

人の魂を魚に、天使を鳥になぞらえて呼ぶ観点においては、まさに悪魔の象徴としてふさわしい生き物と言える。

156言理の妖精語りて曰く、:2017/09/15(金) 16:59:28
鳥喰鰐が狙うのは自分より小さい魚や鳥であるが、こいつが生息する海の海岸地域では棺舟に鳥喰鰐除けの法術がかけられる。
鳥喰鰐は死んだ生き物なら自分よりも大きいものも食べ、しかも嗅覚が良い。
そのため舟に浮かべて流すと舟の腹をしつこくコツコツと口で突くのである。
「魂を奪われない、地獄に連れられない」という象徴的な意味もあるが、生理的にマジで受け付けないという点も大きいと思われる。

157言理の妖精語りて曰く、:2017/09/16(土) 22:08:54
一方、【ルザナイ教海拝派】ては、鰐の類を冥界の使いとして崇めるという。
彼らが、鳥葬ならぬ【鰐葬】を行う所以である。

158言理の妖精語りて曰く、:2017/09/19(火) 19:38:49
ルザナイ教登段派は、特徴的な段を制作することで有名である。
水色、紫、薄桃色。
様々な色の布が被せられたその段は、祭壇であるとともに彼ら特有の工芸品でもある。

159言理の妖精語りて曰く、:2017/09/21(木) 18:56:54
武天使シンの説いた「武」の体系は「シン・アナイ(シンの教え)」と呼ばれ、縮めて「シナナイ」とも発音される。

シナナイは階段を意味する言葉との同音異義語であり、登段派においてはまさにダブルミーニングであると認識する。
「武」の階段の最上段は「無色の段」「不可視の段」と呼ばれ、「不死」へと通じているという。

160言理の妖精語りて曰く、:2017/09/28(木) 04:39:03
曰く、

武を窮めた者の前には「お迎え」があるという。

武の道を進む者もまた、武によって命を落し、「不死」すなわち死の無い来世に行くという。

武を修めた者の技は後進に受け継がれ、その意味で武人は受け継がれ続ける事で死なないもの、「武」そのものの一部となるという。

161言理の妖精語りて曰く、:2017/09/30(土) 04:35:30
護符の天使ジャルバテャスルは石や木や紙に、聖典の言葉や象徴を刻み、書き記した。
護符を作り、用いる術は、法術における一大ジャンルであり、法術を使用するほぼ全ての宗派が護符法術を持つ。

護符法術の基礎にして奥義、初歩でありなおかつ終着点にある技巧、それは「視線逸らし」である。

邪悪なる超常的存在の視線「邪視」のみならず、人々や動物の視線もまた、逸らされる対象となる。

猛獣の視線に留まれば食い殺され、悪人の視線に留まればそれより怖ろしい事態もありうる。
それを防ぐ術は、この天使の慈悲でもあった。

162言理の妖精語りて曰く、:2017/10/01(日) 20:09:58
ラゴヴヴァ・カハトゥ

七先駆派を迫害・鎮圧した伝統宗派側が編んだ記録『七狡人討伐記』
『最悪のブマズの徒どもについて』などで「死体泥棒の魔女」と呼ばれる人物。

七狡人の忠実な手下であり、ジャルバテャスルの護符法術を悪用し、
墓場や葬儀場に侵入し、死体を盗み出したという。
それは異端の首領なる「偽りの鷹匠」エブグルブ・バフォウの承認のもと行われた。

「意識逸らし」の護符法術を武術・戦法に組み込んでいたガフ・ダンリウの高弟であり、
戦闘能力も高かった。彼女を討ち取るために多くの犠牲者が出てしまった。

163言理の妖精語りて曰く、:2017/10/04(水) 11:06:19
「七先駆派」を自称する異端者たちとの戦いのなか、老年の聖職者は異端者となった我が子の死体を見出し、嗚咽した。

異端との大規模法術の撃ち合いのさなか、それに紛れ行われた
シン=グロークスの位にある拳法家の闇討ちにより、命を落したのだった。
彼の子は異端者側においても指導的立場にあり、幹部である七狡人の側近であった。

「なぜ惑わされてしまったのか……」父は涙を流し、伝統宗派側の指導層にあるお願いをした。

「息子を自分達の宗派の方式で葬儀させてほしい。息子はきっとエブグルブ・バフォウの妖術に魂を汚染され、正気を奪われてしまったのです」

これは程なくして承認された。

164言理の妖精語りて曰く、:2017/10/20(金) 22:50:15
遺体にかけられた布をとった父は目を背けた。

「ああやはり、そうなっていたか」

遺体には最小限の損傷しかなく、強張ってはいたが、その相貌にも汚れはない。

165言理の妖精語りて曰く、:2017/10/26(木) 20:59:13
問題は我が子の服装であった。彼の子は男、として育ててきた。
しかし遺体が着ていたのは女性の服装であった。

それを見て、父は声にならないうめき声をあげた。彼は
息子が異端宗団に渡る前にも、偶然、女装している姿を見ていた。

息子をなじり、問い詰め、宗教家や学者のもとに連れていこうとし、
我が子は姿を消した。

「あの時もう少しうまくやっていれば、息子はここにいなかったのか?」

166言理の妖精語りて曰く、:2018/01/01(月) 07:56:36
妻と共に息子の服を替え、火葬の場に遺体を運んだ夜、ラゴヴヴァ・カハトゥがやって来た。
赤い斑のある白鳥ほどもある雀の上に立ち、夜天を流星のように速やかに、地上からの警備をすり抜けて。

「男として葬るな。彼女は女だから」大音声でこう呼ばわり、雀の大群を巨人の腕のようにまとめ、横に凪ぐと
参列者は恐れに駆られ、椅子から転げ落ちた。

大きな腕が伸びてくる。しかし父は息子の遺体を守るため、火の中に身を乗り出して、そして覆い被さり
雀の嘴で突かれても物ともしない。父は彼女のことを知っていた。
異端者を異端の儀式に服させるべく、そのためにあらゆる手を尽くす魔女。
最悪の異端者どもを率いる「偽りの鷹匠」エブグルブ・バフォウ、
その腹心なる七狡人が一、「男と結婚した男」ガフ・ダンリウのおそるべき高弟、それがラゴヴヴァ・カハトゥである。

167言理の妖精語りて曰く、:2018/01/14(日) 05:24:02
老父はすぐさま鳶天使バダルカ=ディエンの助力を請う聖語をとなえ、
虚空から響いた猛禽の叫び声は雀の群れを霧散させた。

168言理の妖精語りて曰く、:2018/01/15(月) 06:48:41
それに対しラゴヴヴァ・カハトゥは風笛仕込みの錘をつけた紐を高速で回転させる。

もとは登段派に伝わる道具であり、この道具にはもう一つの顔があった。

169言理の妖精語りて曰く、:2018/01/24(水) 10:47:25
鎖鎌の、もう一方!

170言理の妖精語りて曰く、:2018/01/27(土) 15:42:29
猛禽の速さは、強弓から放たれた矢のようであったが、ラゴヴヴァの放った錘も負けてはいなかった。
それは、鎌首を持ち上げた毒蛇のように宙を飛び、天より来たりし猛禽に襲いかかったのだ。

171言理の妖精語りて曰く、:2018/04/07(土) 14:55:00
「ルザナイ教」の表記および発音は「ルズ・アナイ・ィ・アナイ」が縮んだものであり、チャカ大陸北方で用いられる。
本大陸と地理的に近かったため、マハ=ディヤルニ信仰全体を指す語として認識されるようになった。

これがチャカ大陸中部に来ると、発音は「ラーズ・ア・ナイン・イー・ナイン」となる。
基本的な世界観と主要な天使の面子はかなり共通しているが、正典リストや法術の体系に大きな違いが見られる。
この違いは他の地域でも同様に存在する。

「ルザナイ教をどう数えるかによって『チャカ大陸三大宗教』が『チャカ大陸四大宗教』や『チャカ大陸五大宗教』になる」と言われる所以である。

172言理の妖精語りて曰く、:2019/05/30(木) 09:33:12
ルザナイ教法典派は「匠人への祝福論争」を経て、新しい技術を積極的に認めていく方針へと転換した

この改革は、伝統の教団勢力と新興の科学勢力、その両方にメリットがあった
教団勢力は、改革によって、新しい技術によって変化する世の中から置き去りにされることを防げたし
なにより、急速に勢いを増してきている科学者・技術者たちやそのパトロンたちを教団に取り込むことが出来た

そして、科学者たち新興の科学勢力は、死体を解剖したり蒸気自動車を暴走させるなど、科学の発展に不可欠な怪しげな行為を教団によって庇護してもらうことが出来たのである
これはいわば、双方にとって幸福な婚姻であったといえよう

それにそもそも、ルザナイ教の中でも法典派は、無数の論文や資料を用いての論争を得意とすることで有名であった
Xという問題は、法典のYという部分を論拠として正当化することが出来、その解釈は論文Aに基づく
そしてその論文Aの解釈は、より昔に書かれた権威ある論文Bによって正当化され、その論文Bはさらに古代の聖人Cの書物の引用によって正当化される・・・といった形で、法典派は、延々と引用を繰り返した論争によってある行為が宗教的に正しいかどうかを立証するのである

そうした論争による正当化は、厳密な立証を不可欠とする科学技術ときわめて相性が良かったのである
二つの勢力が結びついたのは、当然の結果であると言えよう

173言理の妖精語りて曰く、:2019/05/31(金) 23:36:03
「法典派の神はテクストである」と巷では称されているが、その通説は実態とは大きく異なる
 神はテクストそのものではない
 神は人間と隔絶した偉大なる存在
 テクストはあくまでモノに過ぎない
 そのため、法典派にとって、法典を燃やす行為は侮辱とはならない
 砂地に水を捨てるような愚かな行為とみなされるだけである
 むしろ、法典派をはじめとするルザナイ教における聖者の逸話には、法典で船の穴塞いだり、法典を燃やして貧しきものを暖をとる話などが多いくらいだ
 法典派においては、人や法よりも法典を重んじるように振る舞うのは偽りの信者であり、そんな者は、嘲笑の対象となるのみなのである

174言理の妖精語りて曰く、:2021/11/26(金) 22:34:15
というわけで、我々は自分達が、歴史上の”原典”その人かをあんまり気にしていないのですよ。

事実上魔術や妖術の産物であろうと構わぬという者すらおります。

ただ神と人々のために”用”を果たすのみです。

175言理の妖精語りて曰く、:2022/07/14(木) 22:22:26
聖典学者ヒッリ・ウィドゥン。
ひとはかれを、旅する校訂者と呼ぶ。


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