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企画リレー小説スレッド
19
:
第一回4番(4)
:2007/09/24(月) 22:35:34
「それで、私の所に相談しに来たの?」
古い書籍やら遺物やらが無造作に散乱した薄暗い研究室で、カールした美しい髪が特徴的な女性、アンリエッタが言った。
「言っておくけど、私の専攻は医術考古学で文学じゃないのよ」
「分かってますよ」デフォンは肩を竦める彼女に言った。「でも、この研究所の中では貴方が一番文学に近い」
「まぁ、外科研究よりは近いわね。それで、ヘリステラ教授の書いたシナリオを見せてくれない」
そう言って、デフォンからシナリオの入ったメモリカードを受け取ると、ケースの上に大量に書類が積んであるマシンにメモリカードを差し込んでファイルを実行させる。
「なるほど……ね」
アンリエッタは空いている手でクルクルと器用にボールペンを指で一回点させて、マウスをカチカチと操作しながら呟いた。
「ヘリステラ教授、左手で書いたって言っているけどそんなことないわね。ちゃんとシナリオの最後にはだれが核か分かるようになっているわよ。これは非常に高度に計算されたシナリオだわ」
「でも、『北風』ですよ、これでは。もし彼女を無事にこの世界に戻すことが出来ても……」
「後遺症は残るでしょうね」
アンリエッタはボールペンで頭を書きながらこともなげに言う。
「私としては、後遺症なしで彼女をこの世界に戻してあげたいんです」
「……無茶を言うわね」
「無茶は覚悟の上です」
真顔でそう答えるデフォンの顔を見て、「ははぁ」とアンリエッタは悪戯っぽく顔を歪める。
「惚れちゃったんだ、あの娘に?」
アンリエッタの言葉に視線を逸らしたままデフォンは何も答えない。それは彼女の言葉を肯定しているようにも否定しているようにもどちらにもとれた。
「まぁいいわ、協力してあげる。まずは誰がこの話の核かをシナリオが75%まで進行するまでに探し出すことね。ヘリステラ教授に言って。シナリオの進行の遅延を50%じゃなくて30%にするようにね」
「それじゃ」
「明日から私も立ち会うわ。哀れなシンデレラをお姫様に変えた魔法使いじゃないけど、叶えてあげるわ、貴方の願い。でもね条件があるわ」
キョトンとするデフォンに、口元を緩めて彼女は言う。
「シナリオの書き換え、そして彼女が目覚めた後のハッピーエンドは貴方が作りなさい。そして彼女にあげなさい、最高のシナリオと最高のフィナーレをね」
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