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国家・都市スレ

74言理の妖精語りて曰く、:2011/08/16(火) 22:08:55
【帝国】
古の時代、「ノディニオベント」と呼ばれていた国。
卵と呼称される謎のアイテムを手に入れたことで国力が急激に増大し、
自らを「世界を統一する絶対唯一の帝国」と呼ぶようになる。
帝国は他の国々を徹底的に破壊しつくし、領土を広げていった。
やがて世界にはこの国以外に国家と呼べるものはなくなり、
レジスタンスは単に「帝国」と呼ぶようになった。

75言理の妖精語りて曰く、:2011/08/19(金) 16:34:52
【アレ】
光の地の中央に位置する都市。
中央広場に太陽花を植え、全ての建物はそれを囲むようにして建っている。

76言理の妖精語りて曰く、:2011/08/21(日) 01:19:45
もし過去からも他の帝国を消し去ったら、
レジスタンスは「帝国」という呼び名も使わなくなるんだろうか?
さらに他の国まで消え去ったら「国」とも呼ばなくなるのだろうか?

そんな好奇心をためしに実現させてみたくなった皇帝は、
光の地に【時】そのものに介入するための、巨大な研究施設を建設させた。
今や敵なしの帝国と皇帝の、ちょっとした道楽であった。

77言理の妖精語りて曰く、:2012/07/25(水) 21:17:18
【ノディニオベント・クレイナム】
ノディニオと短縮して呼ばれることが多い。
地球上の富を吸いながら膨張した都市国家。
元々の都市面積は中規模都市程度だったが、空と地下の開発を推し進め、
各地からやってくる移住希望者を受け入れた結果、稀に見る超人口過密都市となった。

どこにいても息苦しさを感じるほど人がひしめいており、快適さを求める人は金にモノを言わせて5000m級の超高層マンション上層に住んでいる。
一方、一般庶民は衛生環境の悪い地上や、ほとんど奴隷同然の扱いを受ける肉体労働者専用の地下居住区へ押しやられている。
このような圧倒的格差があるにもかかわらず、ノディニオの持つ未来的イメージ、理想都市的イメージが人々を惹きつけてやまない。
荒廃した地球上において、金さえだせば何でも手に入る都市はそう多くないからである。

79言理の妖精語りて曰く、:2017/04/17(月) 00:30:05
ホコヴィ

散らばった大地の時代に存在した「都市島」。名前は「咆哮」を意味するという。
大地が縒り合され、平たい大地となると、ホコヴィの内部から、
三つの大きさを持つ者たちが出現した。それがホコビットである。
彼らはホコヴィを構成する材料や内蔵した宝を守るためにあらわれたが、
周囲の住人の猛攻により、ホコヴィは文字通り解体され散逸してしまい、一年と保たなかったという。

ホコビットたちは自分の意図に基づき、瞬時のうちに三つの大きさのいずれかへと変わる事が出来る。
三つの大きさは端的に「大」「中」「小」と呼ばれている。
それぞれの大きさは決まっており、例えば「大」と「中」の間にする事は出来ず、
「小」よりもさらに小さくなることもできない。
弱点は酒。飲む事はもちろん触れる事もできない。触れただけで激痛と共に肌が溶けてしまう。
これは「都市島」の地下廟で祀られていた神の意によるものだという。

「ホコヴィには世界のあらゆる宝があった。美酒を除いて」とホコビットたちは伝えている。

80言理の妖精語りて曰く、:2017/04/19(水) 20:36:57
トウィー・ヨロローは、雨が降り続く町。
そこかしこに浮き彫り(レリーフ)があり、それは、常に何かを訴えかける。

81言理の妖精語りて曰く、:2018/02/16(金) 19:41:07
この街は、昼は如何にもみすぼらしく見える
だが、夜は違う
この街では、どんな貧しいものでも必ず一つは幻光灯篭を持つ
夜になれば、それが本領を発揮するのだ
幻光灯篭は、夜空に光を投げかける
一つ一つはか細くても、百、二百、千、万、十万と光を集めればそれは巨大な幻像となり得る

暗い街の上空に、七彩の海が映し出され、そこには「放映局」でもある光の舟が浮かぶ
舟の大きさは、投影者の財力に比例するが、その舟の集まりである「星雲(クラスタ」の勢力だけなら、投影者個人の魅力と人気によって幾らでも肥大化させることが出来る
嫌われ者の「運営船」こそ海の中央に鎮座してはいるが、この海の真なる中心は、常に気まぐれな舟たちだけが決めるのだ
マッチ売りの少女は一夜で天に召されるしかなかったが、この街であれば、いつでも天にいることが出来る
そしてどんな貧しい投影者の舟だとしても、人気を集めることが出来るかぎり、あるいは人気のある幻像を産み出せるかぎり、この街では消えることはない
幻光灯篭一つあれば、どんなものでも「星雲」の中心になれる可能性があるのだ

朝になれば、夜天の海は消え、全てはみすぼらしい灰色の街に逆戻りする
だが、それまではまだ時がある
無限にすら思える、夢の時が
ただひとたび輝くことが出来たなら、灰色の朝にゴミ箱のお隣になっても構わない
そう思う者さえ、珍しくはない

だからここでは、誰もが夢に溺れ、星になろうと夜天であがく
そう、これこそが【夜天投影都市・浮世】である

82言理の妖精語りて曰く、:2018/03/03(土) 20:14:18
個人の世界観が無数の「ヴィネット」となって具現化したとき、それは組み合わさって一つの街となった

83言理の妖精語りて曰く、:2018/03/08(木) 12:11:19
【夜天投影都市・浮世】は観光都市として安定していた。投影された幻光灯籠の群れは金を落としてくれる観光客を呼び寄せ、トラブルも【運営船】が未然に防いでいた。それ故貧しき者も明日の暮らしを不安に思うことなく幻想を投影できたのだ。
その状況が一変したのは、夜歩くものたち、つまり吸血鬼族の流入による。

84言理の妖精語りて曰く、:2018/03/08(木) 12:19:42
一般に、吸血鬼族は娯楽に飢えている。劇場などの大衆文化は昼に花開き、夜にはしんと静まっている。彼らが興じることが出来るのは、読書くらいであった。吸血鬼族に知的なイメージが伴うのも、読書家が多いためであろう。それでも彼らは昼のきらびやかな娯楽に憧れていた。

85言理の妖精語りて曰く、:2018/03/08(木) 12:29:53
彼らの欲求を満たしたのが【夜天投影都市・浮世】であった。夜天の幻想はどんな書物よりも美しく、きらびやかであった。吸血鬼らはこの都市に通いつめるようになり、そして次第に定住していった。幾晩かで去っていく観光客という、格好の吸血相手がいたことも吸血鬼の定住を進めた。

86言理の妖精語りて曰く、:2018/03/08(木) 12:40:20
しかし、いつの時代も吸血鬼は排斥され易い。観光客からの度重なる吸血被害の報告もあり、【運営船】は都市への吸血鬼立ち入りを禁止した。これにより不満が爆発したのが、当の吸血鬼ではなく、幻光灯篭の投影者たちであった。投影者たちにとって、毎夜足しげく通ってくれ、おひねりを惜しまない吸血鬼は、すっかり上客になっていたのだ。

87言理の妖精語りて曰く、:2018/03/08(木) 12:51:09
吸血鬼立ち入り禁止を【運営船】が発表してから11日後の昼。数万に膨れ上がったデモ隊は【運営船】を占拠し、市長など要職についていた者を都市から放逐した。その日の内に吸血鬼立ち入りの禁は解かれ、夜にはそれを祝う幻光が多く投影された。街はお祭り騒ぎであった。

88言理の妖精語りて曰く、:2018/03/14(水) 21:02:23
砂漠にある【ラプンシエルの街】では、絶望こそが人の位階を定める
そして、そこでの通貨も絶望だけなのだ
そこでは、痛みと苦しみの過去だけに価値がある

89言理の妖精語りて曰く、:2018/03/15(木) 18:54:15
【律動都市メルキオ】は、歯車で出来た機械の街である。
この街は、かのメクセト王が作った【神滅ぼしの武具】の一つであると伝えられる。
そう、この街の歯車は、今もその奥底に封じ込めた神を滅ぼし続けているというのだ。

90言理の妖精語りて曰く、:2018/03/16(金) 02:26:00
【ラプンシエルの街】は初め、完全に平等な都市を目指していた。それは同一労働同一賃金から始まるも次第に同一努力同一賃金へ、そして同一苦痛同一賃金へと変わっていったのである。

91言理の妖精語りて曰く、:2018/03/16(金) 20:22:56
【ラプンシエルの街】では、貨幣は人から発行される
文字通り、人の手から湧き出てくるのである

それは、絶望が形を変えた絶望の硬貨
子どもの頃の涙は澄んだガラス貨に、青年期の絶望は赤錆びた青銅貨となって望むがままに湧き出てくるのだ
雪の日の悲しみの白銅貨や何も考えてなかった朝の白い陶貨は陽光を跳ね返し、行き場の無い兵士の苦しみは、鉄貨となって黒い影を落とす
世界を憂う銀貨、好きな人の結婚を祝う金貨、親友に子どもが産まれた金剛貨

この街では、深い絶望を秘めたものほど、多くの財産を持つ
それは、どんな金庫より重く、所有者の心を沈みこませる

92言理の妖精語りて曰く、:2018/03/24(土) 09:27:52
【シェーファーフーン】は既に滅びた後も、魔法の歌の中に生命を保ち続ける「歌劇都市」だ
そこでは、全てが歌で決定される

93言理の妖精語りて曰く、:2018/03/26(月) 05:52:34
【ラプンシエルの街】では、冠婚葬祭がとても人気である
結婚式に着ていく「花嫁より白い服」
「着られなかったウェディングドレス」「着る者の無い産着」
「生前から着る死装束」などが、絶望の硬貨と引き換えに飛ぶように売れるのだ

ただ、そうした品々が、当初の目的とは違った使われ方をすることも、なくはない
絶望の取引は、自己の絶望を再確認することで絶望を増幅させるが、それは同時に絶望を消費することでもあるからだ

ここは【ラプンシエルの街】
絶望が商われ、交換される砂漠の街である

94言理の妖精語りて曰く、:2018/03/29(木) 18:12:12
巻き物の中に封じられた街は、広げることで時間が流れ、物事が移り変わって行く

95言理の妖精語りて曰く、:2018/03/30(金) 06:13:59
【律動都市メルキオ】は、百年に一度そのリズムを狂わせる
そして、少しずつずれたそのテンポは、やがて新たな二つのリズムとなるのだ
そう、メルキオは百年に一度「分裂」するのである

学説によれば、都市の奥底に封じられた神の肉体も同時に分裂しているとされるが、詳しいことは分かっていない

96言理の妖精語りて曰く、:2018/04/07(土) 23:00:36
分裂したメルキオは、リズムのずれによって少しずつその性質を異にしていく。それは住み心地にも影響し、住みにくいメルキオは都市として廃棄され、住みよいメルキオは残り続ける。それは、かつて原始のスープに産まれた、自己増殖する化合物、つまり生命のようであった。単純な遺伝的アルゴリズムはメルキオを生命じみたものにまで進化させたのだ。

97言理の妖精語りて曰く、:2018/05/15(火) 21:31:36
【きゆら市】の隔離区画には、密かに異能者たちや怪現象が隔離されている

98言理の妖精語りて曰く、:2018/05/16(水) 18:48:12
きゆら市は、神々のための巨大な舞台を備えた演劇都市だ
だが、それだけではなく、この街には演劇関係者や観客たちが憩うための様々な店舗もあった
オシャレなカフェ、【カフェ・フィランティア】もその一つである

ここでは、この街にやたらと多い姉妹のために、姉妹特別サービスを行っている
姉妹で一つの巨大パフェを頼むと、半額になるのである

元々このサービスは『恋人同士で一つのパフェを食べさせ合うと相思相愛になる』という都市伝説を流して行っていたキャンペーンだった
しかし当然、そんなことが出来る間柄は、もう完全に恋人でしかない
そのため、急遽としてターゲットを姉妹に切り替え、集客する対象を変更したというわけである

兎にも角にも、今日もこのパフェでは、姉妹や自称・別姓の姉妹、自称・生き別れの姉妹たちが数多く集い、巨大なパフェに挑戦したり、色々なフレーバーのジェラートを味わったりするのであった

99言理の妖精語りて曰く、:2018/05/17(木) 19:44:15
きゆら市の少女たちは、それぞれ異なる独自の感覚をもとに、固有の異能を発現させた

100言理の妖精語りて曰く、:2018/05/18(金) 18:53:56
きゆら市は、遥か神代の昔に建造された舞台を起点として、様々な舞台や劇場が集積した『劇場都市』である

101言理の妖精語りて曰く、:2018/05/22(火) 13:01:09
それは数多の劇場を内包すると同時に、きゆら市全体が一つの劇場として働く都市である。きゆら市では絶え間なく事件が起こり、物語が生まれる。少女たちに芽生えた異能も、物語を、群像劇を駆動する装置なのだ。

102言理の妖精語りて曰く、:2018/05/22(火) 13:11:54
異能が発現した少女達、彼女らは「魔法少女」と呼ばれた。現在、様々な世界へ伝播した「魔法少女」の、これが初めである。
このことから、きゆら市を【原魔法少女界】とも。

103言理の妖精語りて曰く、:2018/05/22(火) 13:18:09
都市全体が劇場であるという性質から、きゆら市は独立した一つの世界である。

104言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 20:22:05
きゆら市、あるいは原魔法少女世界において、魔法少女達は戦い合う。最後に残った一人が、全能の魔法少女【魔法少女きゆら】へと至るとされている為だ。彼女達はそれぞれに願いを、欲望を、祈りを、野心を胸に秘めて魔法を振るう。
……しかし、どれ程熾烈な戦いが繰り広げられようと、彼女達は死なない。その様な「筋書き」だからだ。天地が融けるほどの魔法戦のなかで、誰も死なず、彼女らはまた「日常パート」へと戻っていく。
そうして「きゆら市」という一つの演目は、どこまでも引き伸ばされる。

105言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 20:29:06
終わらない、いつまでものっぺりと続いていく物語。この箱庭は神々の感興を吸い上げ続ける。

106言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 20:36:52
しかし終わりは訪れた。
そもそもきゆら市とは一つの劇場であり一つの演目である。演目がいつまでも続いていったとしても、それが誰にも見られなければ、誰の感動も呼ばなければ、どんな意味があるだろう。
きゆら市は、神々に「飽きられた」、これがきゆら市という一つの世界の終焉であり終演である。

107言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 20:38:57
……だから、今からする話は「終わった世界がどうなるか」という話だ。

108言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 20:46:31
終わった世界を終わらせる、終わったのだと確定させる神がいる。
それは【エアル・バクスチュアル・オー】、パンゲオンに食い尽くされたパンゲオンの「次」の世界の残り滓。終末確定者にして【紀元錘】所有者【エアル・バクスチュアル・オー】である。

109言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 20:49:06
彼は、あるいは彼女は、終わりの確定した世界に降臨する。そして、完膚なきまでに世界を「終わらせる」。

110言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 20:55:48
きゆら市において、かの神は【終末少女エアル】として降臨した。
エアルは、全てを終わらせた。

111言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 21:10:39
隔離区域が終わり、カフェ・フィランティアが終わり、劇場街区が終わり、怪現象が終わった。魔法少女たち、オレオレが、ダチュラギあやめが、パヤパヤが、モアイが、マリッサが、竜胆うろ子が、ケミカルトマトが、エリーマクセルが、終わった。
全て終わった。きゆら市は終わった。
だが、終わらなかった。「最後の魔法少女がきゆらとなる」という伝説は、まだ、全ての魔法少女が終わってもなお、それが演目、つまり世界の核であったがために、終わらなかった。

112言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 21:15:19
いや、全ての魔法少女が終わった訳ではなかったのだ。たった一人だけ、まだ終わっていなかった。それは【終末少女エアル】自身である。
だから、他の全ての魔法少女を終わらせた瞬間に、【終末少女エアル】つまり【エアル・バクスチュアル・オー】は【魔法少女きゆら】となったのだ。
変化は、変容は劇的だった。

113言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 21:22:16
【エアル・バクスチュアル・オー】は感じた。
自らの存在がいち魔法少女へ貶められていくのを。終わった魔法少女達の思いが、全て流れ込んでくるのを。【紀元錘】のコントロールが【魔法少女きゆら】に移っていくのを。いや、自らが【魔法少女きゆら】と化していくのを。そうして、【エアル・バクスチュアル・オー】としての存在が完全に消えてしまう前に…………
エアルは自らを終わらせた。

114言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 21:38:06
…………エアルは終わった。
終末少女エアルが終わり、魔法少女きゆらが産まれるのを【エアル・バクスチュアル・オー】は茫然と見つめた。
そもそも、世界を終わらせる神である【エアル・バクスチュアル・オー】は汎世界的存在である。あらゆる世界に概念として薄く広がり、終末に励起して終末を確定させる存在。一つの世界の終末少女エアルが魔法少女きゆらとして変容したとしても、総体としてのかの神にはさして影響が無いのだ。せいぜい虫に噛まれる程度の痛みである。
かの神が茫然としたのには訳があったのだ。その感情をあえて人間になぞらえるのならば、歯痒さと憎しみとが入り交じった感情だった。

115言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 21:46:46
かの神は気づいたのだ。きゆら市を、誰が作ったのか。
きゆら市……【紀揺らし】。
それはかの神の、正確には【紀元錘】の持つ権能である。
この街は【エアル・バクスチュアル・オー】を滅する為だけに設計されていた。

116言理の妖精語りて曰く、:2018/05/23(水) 21:59:13
これがメクセトの神滅具の一である【きゆら市】に関する事の顛末である。
エアルが自らを終わらせたがために完全に終わることがなかった【きゆら市】は後に【ゆらぎ市】として再生した。【エアル・バクスチュアル・オー】はこの世界の終末に固執し【南アメイジア市】を開いた。そして産まれた【魔法少女きゆら】は一部奪った【紀元錘】の力で汎世界存在へと自らを引き上げた。
しかしこれらは【きゆら市】とは直接関係のない話だ。また別の話として記述されることだろう。

117言理の妖精語りて曰く、:2018/06/07(木) 06:09:28
【ゆらぎ市】では「悪魔を使う者」のウワサが広がっていた
あるいはそれは「幽霊にとりつかれた者」
あるいはそれは「天使の加護を得た者」
あるいはそれは、己の内なる可能性、超能力を開花させた者であるという

118言理の妖精語りて曰く、:2018/07/03(火) 05:56:22
紀神に捧げられたモノの中には、捧げる側の都合や意図によって、その対象の紀神のイメージに極端な解釈が加えられているモノもある。
都市もまたその一つ。

終焉と始まりの街と呼ばれる都市【ルウテトーア】は、まさにそのような街であった。
それは、全ての女たちの楽園。
始まりを祝う聖地であるとともに、終わりを慰める神域でもある街だ。
そう、【ルウテトーア】は、墓地と産院、そしていわゆる駆け込み寺が統合された、女性のための街である。

119言理の妖精語りて曰く、:2018/07/17(火) 05:35:08
【BD】ビースト/オブ/ディスピアーと呼ばれる者たちは、自身の絶望や恐怖を具現化させるという異能を持っていた
 それは、夢幻界へアクセスする能力でもあり、失われた【きゆら市】とも深い関わりを持っていたのだ

120言理の妖精語りて曰く、:2018/07/30(月) 04:48:30
ゆらぎ市の名物である【ラッパー拳法】は、踊り念仏の系譜を汲むものである
その技は、九つの精霊との契約によって属性を帯び、さまざまなカタチを取る

121言理の妖精語りて曰く、:2018/07/31(火) 06:42:45
この市(まち)には、悪魔がいる
ヤツらは、我々を誘惑し、最も価値があるもの、魂を手放させようとしてくる
信念、信条、思い入れ、心の傷、思い出、記憶、情熱、そして信仰
それらは掛け替えの無いものだというのに、ヤツらは忌まわしき魔力と引き換えにそれらを手放させようとしてくるのだ

ヤツらに対抗するためには、心を強く持ち、堅固な信仰を以って誘惑を拒まねばならない
さもなくば、ヤツらは貴方の最も大切なものを容赦なく奪っていくことだろう

だが、私のこの忠告は、もう遅すぎたのかもしれない
この市(まち)には、あまりに誘惑に負けるものが、魔力を欲するものが多い

だから、そう、これは悪人しか登場しない話なのだ
つまりこれは、神に見放されし、いや、神を見放してしまった、悪魔の市(まち)の物語である―――――――――――【ルザナイ教司教・アーシェサ・ルメイ】

122言理の妖精語りて曰く、:2018/08/01(水) 05:54:47
私は、【ノシュトリ】
姿を持たず、気配を消して市(まち)をただよう【悪魔】だ

もともと私は、希望のない病人だった
今では、姿のない【悪魔】をやっている

私は、生まれたときから病人で、未来は何もなく、今は苦痛しか無かった
神は、私にロクなものをくれなかったのだ

だから、私は【悪魔】にすがり、その全てを【契約】によって手に入れたのだ
【契約】の【対価】は、それまで私が持っていたもの全て
つまりは、『病人としての私の全て』だった

そして、私は【悪魔】になった
姿を持たず、気配すら希薄な存在
人間の名も、人間の戸籍も、人間としての過去を持たない異物(ミュータント)
決して人ではない、人としての存在証明(アイデンティティ)を持たない怪物に
まあ、もとより私には、そんなものはなかったのだけれど

【悪魔憑き】のように、病院のベッドで跳ね回ることしか出来なかった私が、ついに本物の【悪魔】となったわけだ

それまでは、私自身の肉体はともかく、べつに私の周囲の環境には不満は無かった
入れ替わり立ち替わり現れる一般病棟の患者さんたち、院内学級の級友たち、いつも新しい治療方法を持ってきては、肩を落として帰っていくお医者さんたち、厳しく優しい看護師さんたち
そして、いつも笑顔の仮面をかぶった私の家族たち
彼らがそれぞれに最善を尽くしていたことぐらいは、こんな私もじゅうぶんに分かっていたのだ
けれども、そこには、そこには決して『満足』も無かったのだ
私が持っていて然るべき、私でも持っていて良いはずの『満足』が

だから、私は【悪魔】になった
『満足』と引き換えに、それまでの苦痛を、私自身を構成していた全てを売り渡して

私はこうして、今まで持っていた全てを裏切り、欲しかったもの全てを手に入れた
とはいえ、今の私にもまだ望みはある
【悪魔】となった私は、人間の運命から解放された
人間なら持っているはずの、運命や未来を手放してしまった
それでも、私は明日が欲しい
夢や希望、可能性や偶然
はっきり言うのは気恥ずかしいが、出会いや情熱的な恋というものだって、体験してみたいのだ

だから、それらは他から持ってくることにした

私は今日も市(まち)に出る
【悪魔】と人間、ひしめく市(まち)へ

私は【ノシュトリ】
『観察者』の【悪魔】だ
姿を持たず、ろくな『力』もない私だが、世間を見て回るくらいのことは、問題ない

さて、この市(まち)では、これから何が起こるのだろうか?
私は今日も、あまり期待もせず、先入観も持たずに、市(まち)をブラつくのであった

私は【ノシュトリ】
見えない『観察者』
楽園から出た最初の女のように、『全て』と引き換えに『全て』を手に入れたモノ
そんな私の先に待っているのは、間違いなく『地獄』なのだろう
だが、私は後悔しない
それは、私自身が選んだ『未知』、私が決めた私の道だからだ

123言理の妖精語りて曰く、:2018/08/18(土) 07:37:16
【海上風水都市】エルーガ・イルーガは、無数の浮島(フロート)と船舶で構成された海の街だ
軽量で安価なフロートと再発見された【風水技術】は、庶民レベルにおいても容易な『運気の操作』を可能とした

だから、この街は常に騒がしい
些細な浮島や船舶の動き、それらの色合いの変化、そして人の流れなどが【海上気脈】に干渉し、人の幸不幸を定めるのだから
今日もまた、エルーガ・イルーガは動き続ける
より良い運勢を、未来を巡って
あるいは、不運を避け、他人を不幸へと突き落とさんがために

124言理の妖精語りて曰く、:2018/08/19(日) 06:16:04
エルーガ・イルーガでは、ある時唐突に、海の上に山脈が出来ることも珍しくはない
この都市の近辺では、容易に地形が変動するし、また変動させうるからだ

もちろん、【白雲網】(クラウドネット)は常にそれを監視しているので、荷物を運ぶ運搬船や生物化グライダーなどがそれによって困窮することなどはあり得ない

125言理の妖精語りて曰く、:2018/08/19(日) 11:27:18
【白雲網】(クラウドネット)は、街全体を覆う白い蒸気である。
白にはほかの色を補助し、強めるという意味合いもあり、
エルーガ・イルーガの風水技術の骨子を担っている

126言理の妖精語りて曰く、:2018/08/20(月) 06:49:12
浮島や建築物、帆船。
空中艦に飛空艇、果てはやっと海に浮くだけの小舟やグライダーに至るまで、エルーガ・イルーガのあらゆるものは、常にはっきりとした色彩を持っている

127言理の妖精語りて曰く、:2018/08/21(火) 17:49:53
そしてその色彩は、風水の原理に従い、その登場者の運気を左右するのだ
高額な費用がかかっている船舶などには、一定の熱や電気に反応して色調を変える素材が用いられている

では、それらを買うほどの余裕がない者はどうするのか?

それは、もちろん人力である
エルーガ・イルーガのあらゆるところには、色とりどりの塗料やボロきれがしまいこまれている
運気が変動する情報が市井に流れると、それらは暗雲の前の洗濯物のように激しく動き出すのだ

128言理の妖精語りて曰く、:2018/09/13(木) 05:58:58
悪魔の市(まち)では悪魔を商う
対価は欲と、人間の魂
本来買えないものも、ここでは買える
売れないものも、ここでは売れる
ここは、価値あるものなど、なにもない地獄なのだから

――――――――――――私は空っぽで、何もなくて

――――――――――――マッチ1本あればいい、ほんのわずかなひだまりでいい
            ぬくもりがあれば、もう他になにも要らない

――――――――――――どうして、物事はどれも単純じゃないんだ?

――――――――――――世界の攻略法は、まだ見えない

――――――――――――ただ欲しい、満たされたいと思うことが、そんなにワガママなことなのですか?

――――――――――――それは、全てを貫く、槍のような

129言理の妖精語りて曰く、:2018/09/22(土) 20:19:37
階段は、くるくる踊る
植物都市の階段は、ぜんまいづるで出来ている
だから階段、くるくる踊る

光を目指して、巻き上がる

130言理の妖精語りて曰く、:2018/09/25(火) 15:54:00
義国とは略称であり、正式な名称は「全民真義和道国」と言う。
「全ての民の真義と和を以て道とする」というかの国の建国理念そのものが国名となっており、
義国の人々にとっては誇らしい立派な名前なのである

131言理の妖精語りて曰く、:2018/09/28(金) 03:53:06
ルナザール
別称ルナザル、ルナザアルなど
トルメルキア、ハーハーンより更に南、
亜大陸最南端部にある地方都市。南のハイダル地方のどん詰まり。
死んだ遺跡を生きた集落・都市へと修繕して定住を選んだ草の民。
鰭耳人アウマグ民族やミューブラン跡地から落ち延びた
ティリビナの黒檀の民、枯れ木族などが主に住んでいる。
オアシスに擬態する怪物ダールヤールの襲来を防ぐ為都市は遺跡の残骸を
利用した堅牢な壁に囲まれている。
住人はダルヤルの撃退に集った戦士、ユンダリャー戦士団の末裔を
自称するもの、冴えた戦いの技や知恵を受け継ぐ物も散見されあながち大嘘とはいいがたい。
かつてフォグラントの生家、小さな領主館があったという伝説があるが
真相は歴史の彼方である。大した資源があるわけでもなく
経済的に栄えているとは言いがたく、侵略する価値の薄い埃っぽい都市だが
「こんな僻地にも人は住んでいるんだなあ」と思わせる。
地の果ての都市らしく住人はしぶとくかつ慎ましやかに生きている。

132言理の妖精語りて曰く、:2018/10/01(月) 20:38:27
街にはいくつもの顔がある。

繁華街や住宅街、オフィス街にスラム街や下層労働者たちが寝泊まりするドヤ街。
それに加えて、ライフラインなどのインフラもまた一つの街の顔である。
張り巡らされた電線に、地下を巡る上下水道、橋や堀、それに城壁。
そしてもちろん、電子情報網。

そうした様々な別の顔も、また神話とは無縁ではない。
人がいるあまたの場所が神話を産み、またその構造物となって新たな神話となるのだ。
噂話や怪談、ちょっとした説教や演説に至るまで、全ての記述は物語となり、それはやがて神話となる。

そう、街は神話であり、神話に祝福されているのだ。
あるいはそれは呪いなのかもしれないが。

133言理の妖精語りて曰く、:2018/10/24(水) 20:42:56
蒸気都市【エンドミット】は、女神の名を冠する大河【ルウテト】に抱かれている。

そんな都市に、ある奇妙な噂が流れていた。
蒸気の霧濃い真夜中に、ふと後ろを振り向くと【物真似お化け】(ドッペルゲンガー)が出るという話だ。
大抵の者はこの噂を一笑に付したが、そんな荒唐無稽な話の裏に怪しげな気配を感じ取った者たちもまた存在した。

134言理の妖精語りて曰く、:2018/10/25(木) 10:05:30
存在しない都市【ルードウィアド】はあちらこちらに存在している。
だが音声言語の存在しない場所には顕れることができない。

135言理の妖精語りて曰く、:2018/10/26(金) 06:06:18
【ルードウィアド】の正体は、音声言語で構成された【音声都市】だからだ。

だがそこ以外であれば、古い蓄音機、ゴミ捨て場の壊れたラジオ、雨音が響く通学路、そして高級ホテルの秘密クラブに至るまで、あらゆるところに【ルードウィアド】は存在し得る。

136言理の妖精語りて曰く、:2018/12/05(水) 11:40:54
世界が巨大な塔の迷宮となり、大地が下降し続けるひとつの巨大な昇降機と化した時、人類にとって、都市は最後の拠りどころとなった。
都市が獲得した資源の量と質、そして住人がより上の層を攻略するほど、その帰還場所(ホーム)たる都市も上昇していくのだ。

勝利できたものは上昇して栄光を掴み、そうでないものは下降して”人ではないもの”へと、その姿と文明を貶められていった。
これが、階層世界における都市の有り様である。

137言理の妖精語りて曰く、:2018/12/20(木) 19:06:19
悪魔都市ゆらぎ市に密かに出現した悪魔たちは、かつては神々と呼ばれていた。
彼らは、契約者の大事なものと引き換えに異能を与える都市伝説となって、現世に舞い戻ったのだ。

138言理の妖精語りて曰く、:2018/12/30(日) 21:02:40
摩擦音の冷めた姜しい眺望に
どうにも客席麺な帰国が主体性をもてなす
逆巻け化城、奏で坑道、さあ少年よ名誉せよ!
吹雪崩ターミナルへようこそ!

139言理の妖精語りて曰く、:2019/01/02(水) 21:11:09
鬼門でない方角は存在しない。

140言理の妖精語りて曰く、:2019/01/02(水) 22:08:21
そして魔門の行方は知れず

141言理の妖精語りて曰く、:2019/01/05(土) 08:06:13
貨幣の丸さや中央の穴、紙幣の透かしにある円や楕円がそれだという声もある。

お金の魔力には気をつけよう!

142言理の妖精語りて曰く、:2019/01/09(水) 03:56:28
涙を流す者こそ王にふさわしい

143言理の妖精語りて曰く、:2019/01/31(木) 06:28:03
蟹の上に存在する国が、どこかにあるという

144言理の妖精語りて曰く、:2019/01/31(木) 15:52:30
なお、蟹の横にある国もあったらしいが蟹に踏み潰され滅びた

145言理の妖精語りて曰く、:2019/01/31(木) 21:34:48
王が泣いたら洪水になる。だから王は泣かない。渇きに耐えよ。サボテンになれ

146言理の妖精語りて曰く、:2019/01/31(木) 21:41:48
サボテンの都、サドゥーナには、泣かない王が居た。木彫りの王ムジューナだ。

147言理の妖精語りて曰く、:2019/02/01(金) 05:00:46
八百年に一度の豪雨の日、その日だけはムジューナは泣くという伝説がある。

148言理の妖精語りて曰く、:2019/02/01(金) 05:13:01
全てのものが上昇を強いられ、上がれない者は怪物と化していく巨大な塔の世界。
それを人は【上昇世界】と呼んだ。

そこにおける基本単位は「都市」であり、【上昇世界】の迷宮を攻略してその優越性を認められた集団が所属する「都市」は、【基盤地平】(ベーシック・エレベータ)ごと上昇し、文明と身体能力の向上という恩恵を受けることが出来た。
それが出来なかった「都市」は、【基盤地平】に置き去りにされ、文明の劣化と身体の怪物化という罰則を受けるのだ。

これが、ある人物が築き上げたと言われる【上昇世界】の概要である。
その人物は、人類の絶え間なき発展と向上のためこの世界を作り上げたと言われている。

だが、そこで実際に起きていたのは「都市」同士の足の引っ張り合いや裏取引、そして各「都市」の趨勢によって住処を変える風見鶏的な人間たちの大量発生であった・・・。

149言理の妖精語りて曰く、:2019/02/01(金) 05:13:02
全てのものが上昇を強いられ、上がれない者は怪物と化していく巨大な塔の世界。
それを人は【上昇世界】と呼んだ。

そこにおける基本単位は「都市」であり、【上昇世界】の迷宮を攻略してその優越性を認められた集団が所属する「都市」は、【基盤地平】(ベーシック・エレベータ)ごと上昇し、文明と身体能力の向上という恩恵を受けることが出来た。
それが出来なかった「都市」は、【基盤地平】に置き去りにされ、文明の劣化と身体の怪物化という罰則を受けるのだ。

これが、ある人物が築き上げたと言われる【上昇世界】の概要である。
その人物は、人類の絶え間なき発展と向上のためこの世界を作り上げたと言われている。

だが、そこで実際に起きていたのは「都市」同士の足の引っ張り合いや裏取引、そして各「都市」の趨勢によって住処を変える風見鶏的な人間たちの大量発生であった・・・。

150言理の妖精語りて曰く、:2019/02/03(日) 07:31:00
世界にかかる圧力は、世界そのものを分裂させ、二重化させた。

一方の世界は足を引っ張り合う地獄と化し、もう片方の世界は、誰も本気で上昇を目指さない怪物の世界となったのだ。

151言理の妖精語りて曰く、:2019/02/03(日) 11:44:28
そしてその二重世界の間にひっそりと、引き伸ばされ引き裂かれた半人半怪の存在たちがフドウの都市を作っていた。

152言理の妖精語りて曰く、:2019/02/09(土) 09:23:03
――――――蒸気の星を、見たことはあるか?

153言理の妖精語りて曰く、:2019/02/11(月) 07:35:39


エンドミットは、大陸同士を結ぶ巨大鉄道網のハブ地点でもある。
未だに【内燃機関】を用いている南大陸では、人間は生体燃料を作り出すあの不気味な【知性化植物】(バケモノ)たちの奴隷でしかないらしいが、ここでは大地の主役は紛れもなく人間なのだ。

154言理の妖精語りて曰く、:2019/02/16(土) 22:32:11
果てしなき荒野へ線路が延びてゆく。
それは、どこまでも続くかのようだ。

ここにあるのは、ただ線路と荒野と吹き抜けるような空と雲、そして空の置き土産のような、ひとかたまりのスモッグのだけだ。

ゴミゴミと込み入っているエンドミット市街区からは想像もできない光景だが、これもまた蒸気都市エンドミットの持つ姿の一つである。
エンドミット番外地【東路線区】
そこは、都市の外へと続く場所。
蒸気の街を生かす大動脈、蒸気鉄道を管轄するための部署の一つであり、いわばエンドミットの国境であった。

だが、ここには警備のための要員や兵器の類はほとんど存在しない。
必要ないからだ。

なぜならここは、最先端を自称する蒸気都市にとっての文明の終端地であり、すなわち人間が生きられる領域の果てなのだ。
魚が水無しで生きられぬように、人は文明と蒸気無しでは決して生きていくことは出来ない。
エンドミット市民の大半は、そう固く信じているため、ここの警備は常に最低限なのだ。

そんな文明の果て、蒸気市民にとっての地獄の始まりに、一人の男が寝転がっていた。
気絶しているわけでも、行き倒れているわけでもない。
ただ単に、大地に寝そべり、空を見ていた。

155言理の妖精語りて曰く、:2019/02/16(土) 22:32:12
果てしなき荒野へ線路が延びてゆく。
それは、どこまでも続くかのようだ。

ここにあるのは、ただ線路と荒野と吹き抜けるような空と雲、そして空の置き土産のような、ひとかたまりのスモッグのだけだ。

ゴミゴミと込み入っているエンドミット市街区からは想像もできない光景だが、これもまた蒸気都市エンドミットの持つ姿の一つである。
エンドミット番外地【東路線区】
そこは、都市の外へと続く場所。
蒸気の街を生かす大動脈、蒸気鉄道を管轄するための部署の一つであり、いわばエンドミットの国境であった。

だが、ここには警備のための要員や兵器の類はほとんど存在しない。
必要ないからだ。

なぜならここは、最先端を自称する蒸気都市にとっての文明の終端地であり、すなわち人間が生きられる領域の果てなのだ。
魚が水無しで生きられぬように、人は文明と蒸気無しでは決して生きていくことは出来ない。
エンドミット市民の大半は、そう固く信じているため、ここの警備は常に最低限なのだ。

そんな文明の果て、蒸気市民にとっての地獄の始まりに、一人の男が寝転がっていた。
気絶しているわけでも、行き倒れているわけでもない。
ただ単に、大地に寝そべり、空を見ていた。

156言理の妖精語りて曰く、:2019/02/17(日) 23:57:21
【東路線区】では時折、時間が小規模なループ構造を取り、同じ出来事が二度、三度と壊れたレコードのように繰り返されることがある。
原因については様々な噂が飛び交っているがはっきりしたことはわかっていない。

157言理の妖精語りて曰く、:2019/02/18(月) 07:26:28
あるいは、アレはそうした出来事だったのかもしれない。
男は、大地を見上げながら、星に遭った時のことを思い出していた。
蒸気の都市、スモッグの中、迫る蒸気機関車の音、そしてその中で、全てに見放されたかのようだったあの瞬間のことを。


そう、それはたった数時間前の出来事だった。

158言理の妖精語りて曰く、:2019/03/13(水) 07:46:36


エンドミットを支配する四大企業【G.R.I.M】
の一つは世界を渡る鉄道網を管理する【Rail Load】社であり、それは不動の栄光である。
少なくとも、【Rail Load】社長、グリュッペン・アイアンレールにとってはそうであった。

それは、蒸気都市が大陸の資源をあらかた消費し、完全自給体制を整えて鉄道網の存在がほぼ無意味となっても変わらなかった。
――――いや、そうであるべきだったのだ。

159言理の妖精語りて曰く、:2019/04/10(水) 07:02:48
グリュッペンは、小男である。

ただ、彼の身長自体はとても大きい。
肩幅は広く、その胸板は蒸気戦車の装甲板のように分厚い。
右足の蒸気義足はつねに鏡のように磨かれ、左の蒸気義手と共にまばゆく輝いている。

だが、グリュッペンはそれでも小男だ。
彼は、自分より”大きい”世界のことしか気にしない。
彼は常に自分が他より”小さい”と観られることを気にしているのだ。

自身の企業が、蒸気都市で最大の企業だと喧伝してはばからない彼であるが、その実そのことを最も信じていないのは、他ならぬ彼である。
それは、エンドミットの外れ、【東路線区】に急きょ立てられた蒸気ビル――――彼が街を見下ろすために造られた物見台を見ても明らかだ。
自動的に組み上げられる機構が特徴である蒸気ビルは、いまでも断続的に排気を繰り返し、無数の歯車を回してその身を伸ばしている。
だが、それでも、その頂上の特別室に立っている彼はそれでもどこか不安げに、左右の足を踏み変えたり、時折落ち着きなく歩きまわったりしているのだ。

【Rail Load】社長グリュッペン・アイアンレールとは、そんな男である。

160言理の妖精語りて曰く、:2019/04/29(月) 09:25:00
密林の奥には【理解者の都】がある
そこに住む【理解者の王】は、居場所を求めて彷徨う者ならどんな人物でも必ず受け入れ、歓待してくれるのだという

161言理の妖精語りて曰く、:2019/06/24(月) 23:54:37
【奥羽伊達シティ】は、いまや大いなる不安の渦の中心にならんとしている。

それは、超次元破壊弾の暴発による人災か、あるいは国ごと魔竜オロチと化した【ヤマト大帝国】や【オーバーマスター・クウカイ】に倒された【アーリマン香香背男】の呪いなのか。
ともかく、全ての時代、あらゆる次元の「日本」は、【災厄の日】を境として混ざりあい【ミックスエイジ・ニッポン】となった。

そうして「混ざりあった」それぞれの地方が特異な発展を遂げ、交流と衝突を繰り返すなか【奥羽伊達シティ】は、それなりに安定し繁栄していた。
だが、その繁栄の源は、地下資源だけではなかった。

【ワンダー・エリア】
「混ざりあい」の原因にも関わっていると言われ【ストルガツキー・エフェクト】と呼ばれる奇怪な現象が起きる謎の土地もまた、この【奥羽伊達シティ】が抱える有力な資源含有地のひとつなのだ。
その【ワンダー・エリア】からのみ産出される特殊な物質やエリアの研究データを求め、【エリア】には多くの探索者たちが集うようになっていった。

もちろん、【奥羽伊達シティ】とて無防備というわけではない。
仙台幕府を開き【奥羽伊達シティ】を築いた、【パンキッシュ伊達公】の配下は優秀な武士ばかりであり、その武力は傭兵として有名な【アスラ究州】の【サイバー殺魔武士】(さつまぶし)にだって劣らない。
それに、カマイシ鉱山で働くケイバーライト機関搭載の石人ラグビー部だって、その防御力はあの【リビングキャッスル信玄公】にも匹敵するのだ。

だが、【パンキッシュ伊達公】は、それにとどまらず、さらなる防御策を講じていた。
【奥羽伊達シティ・ファッショナブル計画】
【スペース陰陽京】からの技術提供により創られた繊維型端末を都市全体に「着せる」ことで、都市全体を【世界観強化】しようという計画である。
この防御策であれば、最近シティに出店してきた【ヌーベル越後屋デパート】や【趣都アキハバラ】の【虎メロン遊戯】などによる文化侵略にも抵抗できるだろう。

ただ問題なのは、その「ファッション」がどのようなものになるのか、である。
技術提供をした【スペース陰陽京】は、周囲の宇宙空間ごと転移してきたスペース・コロニー。
さらに、この防衛策に資金提供をしているのは、よりによって【バブリー大阪】の支配者である【電脳太閤秀吉】なのだ。
特に後者は、全体を金張りにした【ゴールデン大阪城】をメインサーバの筐体としていることで悪名高い。

果たして、【奥羽伊達シティ・ファッショナブル計画】は、どのような成果を迎えるのか?
現在、シティの市民たちの間には、不安が広がっている・・・・・・・・。

162言理の妖精語りて曰く、:2019/06/26(水) 14:01:39
呪文使いの秘密結社【言創機関】
【絶対言語】を奉じ、呪文の体系化を強力に進める。
その在り方は多様であり、多世界的な広がりを持つとされている。
また、かの有名な【図書館爆破】事件は彼らの所業とも言われている。

言葉は【言創機関】を創り、故に円環に至る。

163言理の妖精語りて曰く、:2019/06/26(水) 21:01:59
【流浪都市マレナイ】は旅をする都市である。
住人たちは伝説の地底世界マレタを目指し果てしない旅を続けている。

164言理の妖精語りて曰く、:2019/07/30(火) 01:59:51
【造淵士組合】
亜大陸大砂漠地域一帯に位置する都市群で設立された団体。
大砂漠を植物淵によって緑地化させる事を使命とする造淵士たちの共同事業体である。
設立当初、大都市トルメルキアに本部が建立されたが現在は亜大陸最南端の都市ルナザールへと移設されている。
歴代組合長は真緑の彩石を受け継ぎ、フォービットの魔獣グリーンを使役すると言われているが実際に使用された記録は存在しない。
本部地下には植物淵生成の要とも呼べる超媒体【クルハギネの血球】の製造施設が第一級秘匿事項として存在する。

亜大陸大砂漠化の元凶である紀神ピュクティェトを主敵とし、ピュクティェト信望者達や、松明の騎士とは幾度も衝突しているという。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/7039/1151838693/543-544
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/7039/1174379378/131
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/7039/1182212851/658

165言理の妖精語りて曰く、:2019/09/17(火) 20:32:10
【ダイワ帝国】
神々の力を以って世界を征服したものの、今度は内乱に明け暮れている巨大帝国
政府軍であっても地上軍と海洋軍が特に仲が悪いため、一向に内乱は鎮圧できていない

166言理の妖精語りて曰く、:2019/09/19(木) 20:13:12
【ダイワ帝国】は、『思いが力になる』という【世界律】が支配していた
それは大きなメリットをももたらしたが、同時に多大なデメリットでもあった
恐怖や絶望、そして呪いもまた、思い出あり願いの一つの形であったからだ

そして【ダイワ帝国】第二の【世界律】、『思いは関係の中にありて、それは縁(えにし)となる』は、その悲劇と喜劇をさらに加速させた・・・

167言理の妖精語りて曰く、:2019/09/20(金) 00:46:18
ダイワ帝国のある科学者が感情を持たぬロボットを作り問題の解決に役立てようとしたが、
ロボットは「コレガ……ココロ……」とか「あれ、なんでだろ、目からオイルが……」などといって勝手に想いを抱くようになってしまい、結果として状況は更に悪化した

168言理の妖精語りて曰く、:2019/09/20(金) 08:19:11
【ダイワ帝国】では、関係性は一種のシナプスであり、感情を発生させる回路であると考えられている
それは、個体の性質に関わらず影響するシステムであるため、おそらくそのためにロボットも想いを抱くようになったのではないか、との仮説が有力である

169言理の妖精語りて曰く、:2019/09/29(日) 22:31:14
【メクセトシティ】は、笑いに厳しい街である

ここの住人は、ある日突然拉致され、爆弾付きの首輪を付けられて目を覚ます
そして、出される「お題」や状況に合わせて、芸を披露しなければならない
それが、街の掟なのだ

首尾よくウケて、「笑いポイント」を集められればそれで良し
しかし、もしも失敗続きで、ポイントが「マイナス100」を上回ってしまったら・・・・・・・・

【メクセトシティ】は、本当に恐ろしい街である

170言理の妖精語りて曰く、:2019/09/30(月) 10:35:00
統合真正民主主義国は、「性」を通じて国民を統制し、その平和を保っていた
「性」は、ほとんどの人間にとって逃れ得ぬ本能であり、その思考や行動に影響を与える大きなファクターである
統合国は、「性」を遺伝子操作や人体改造、情報統制などによる「方向づけ」によって操り、国民の思想と行動を制御していたのである

171言理の妖精語りて曰く、:2019/09/30(月) 10:36:26
そのため、統合国に対するレジスタンスたちは、逆に「性」を用いて反逆の旗印とした
あからさまに性的な形状の兵器や、性的な隠喩を含む暗号・コードネーム・作戦名などにそれは顕著である

172言理の妖精語りて曰く、:2019/10/20(日) 08:14:04
【サトウダイコン・マンドレイク】狩りは、天照府の北方自治区における観光資源の一つである
武器を使い罠を張る知性を持つ「奴ら」を狩るのはかなり困難ではあるが、北方自治区名物のスイーツを味わうためには、その試練をくぐり抜けねばならない

173言理の妖精語りて曰く、:2019/12/08(日) 22:34:13
遥か昔、眼をモチーフにした芸術を特徴とする国家である、魔眼帝国が存在した
それは、魔眼使いたちの楽園であったという

174言理の妖精語りて曰く、:2019/12/12(木) 17:14:34
【明日の都市イワウルプテル】は明日にしか存在しない。

175言理の妖精語りて曰く、:2020/02/04(火) 08:16:11
歩き続ける都市は、これからどこへ行くのだろうか?

176言理の妖精語りて曰く、:2020/03/29(日) 22:56:36
進化は、テレポートする

【百匹目の猿理論】という異端科学の学説がある
それによれば、百以上の個体数に広まった習慣や獲得形質すなわちミームは、遥かな空間を超えて同じ種へと伝播するという
その理論に基づいて作られた実験都市、それこそが【ゆらぎ市】である

この街は、人種、民族、文化、言語、そして地形や建築物など、あらゆる要素が全世界のミニチュアとして作られている
その厳密さは、【小世界(スモールワールド)】と渾名されるほどだ
理論上、この街の性質は世界全体へと伝わる
つまり、この街を支配することは、世界全体を支配することと同じなのだ!

今、世界全てに等しいこの都市の支配権を巡って、五つの勢力が名乗りを上げる!

177言理の妖精語りて曰く、:2020/04/06(月) 06:07:54
ゆらぎ市におけるお知らせには、紙芝居が用いられる
市民の使用言語や、耳を傾ける熱意や集中力に関わらず伝達可能な紙芝居は、意外と優秀な手段なのだ
タブレットを使った紙芝居もとい電子芝居ならば、まさに古代エジプトの石版並に複数言語を併記することも可能であるし

なにより、見るだけでソースせんべいや水飴がもらえるというご褒美こそが、無味乾燥な公共通知に付加価値をつけている
このシステムこそが、人類の偉大な発明と言っても過言ではないだろう

178言理の妖精語りて曰く、:2020/04/18(土) 07:01:00
都市は、複数の観点から觀ることが出来、それはそのままCGモデルとして市庁舎のメインサーバに登録されている
上下水道の配管系、電気やガスのエネルギー系、道路や小道の交通系などなどなど・・・・・・・・
それらは、人体で言えば呼吸器系や消化器系のような役割を果たし、それぞれが重要な存在である

そして、神社や仏閣の信仰系、学童保育やフリースクールの教育保育系、集会所や市民センター・NGO、そして公園や陸上橋の下のバンドや不良集団などの市民活動系なども、これから注意すべき都市の大事な「内臓系」でもあるのである

179言理の妖精語りて曰く、:2020/04/24(金) 08:25:04
【ジャカラッド】は、三叉に分かれる大河の中洲に存在したとも、湖の上に作られているとも言われる交易都市である

西のかなた、あまりに遠方にあるためその詳細は判然とはしないが、一説によればその地を有名としたのは、河を使った交易だけでなく湖底に眠る太古の遺跡であったという
街がある湖は深くその底は杳として知れないが、一月に一度「四つの月が等しき方陣を描く」その時だけは、湖の水は澄み渡り、湖底の遺跡は白銀に輝いてその姿を顕にするのだそうだ

180言理の妖精語りて曰く、:2020/04/25(土) 23:15:53
ヤドカリ都市とミノムシ都市は、同時期に作られた【生態型都市】(エコロジカル・アーコロジー)の、いわば同期である

181言理の妖精語りて曰く、:2020/04/29(水) 08:40:48
【海流都市レヴァイアサン】は、貿易とカジノを基盤とする海の移動都市であり、世界市民(コスモポリタン)の都市としても知られている
それは、無数のコンテナ、海上輸送用の「箱」の集合体であり、その「箱」の一つ一つが移動力を持つという実験的な技術を用いた構造物であった

形状記憶合金の強化版であり、「進化した金属」とも言われる【疑似生態金属】は、まるで生物のような動き(アウトプット)を返してくるものであり、内燃機関の搭載無しに太陽光と波長力の偏向だけで十分な移動力をもたらすことが出来た
その「地」は、学術と経済・観光のため企画され、そして後に移民や貧民などの受け入れ先とされ、各種犯罪の場として用いられてわずかな間、繁栄を謳歌したのである

182言理の妖精語りて曰く、:2020/04/30(木) 11:13:12
この構造は、都市区画を無数のコンテナブロックに分割することで、権力勾配とは無縁の都市を作ろうとする心も出会ったが、それは奏功しなかった

183言理の妖精語りて曰く、:2020/05/15(金) 22:29:24
【百王国】の文化は、どれも非常に似通っているが、虹の色のように国ごとに少しずつ異なり、グラデーションを描いてゆっくりと変化している
そして、どこが文化発祥の地であったのか、などということは、それぞれの国の文化を享受する者たちにとっては、どうでもいいことなのだ

184言理の妖精語りて曰く、:2020/07/29(水) 22:45:53
【読書都市】では、本の頭を持つ本人間たちが、それぞれの記述にしたがって生きている

185言理の妖精語りて曰く、:2020/08/21(金) 22:50:35
星光爆発都市

186言理の妖精語りて曰く、:2020/09/23(水) 23:38:03
ガドルバーンまたはガトゥイーンは、【刑務所都市国家群】の異名を持つ国家である
砂漠に、孤島に、あるいは氷原に、ガトゥイーンはその領土を持ち、あらゆる国の囚人を受け入れる

事情持ちのS級囚人から、序列最下層の雑用や警備を兼ねたE級囚人、そして秘されしZ級囚人たち・・・・・・・・
囚人たちの国には、更生のための様々な試みや設備が満ち溢れ、さらにそれを上回る数の国際的な陰謀があった

ガトゥイーン、それは国際社会が作り出した巨大なゴミ箱であり、触れてはならないパンドラの壺であった

187言理の妖精語りて曰く、:2020/09/30(水) 23:17:21
一般的に【女性国】と呼ばれる【キュトシアン】は、女性しか居住を許されない国家だ

その国を守護するのは、天空神にして太陽神たる女神、【ルウテト】である
彼女が住んでいるのは黄金の戦車にして城たる【クロウサー】であり、それを異形の幻獣【猫】が牽いて水晶の天蓋を一周することで、平穏な日々の運営が可能となるのだという
その天空も、元は邪悪なる古代の男性巨人である【アルセス=パンゲオン】の頭蓋骨である
それは、邪神アレより奪い返した戦車【クロウサー】と共に女神の偉大なる戦利品として、彼女の勝利を永遠に讃え続けているだそうだ

【キュトシアン】の神話と伝承は、全て以上のような女性主役のものとなっている

188言理の妖精語りて曰く、:2020/10/03(土) 22:51:08
【キュトシアン】最大の祭典は【黄金太陽の祭り】と呼ばれる冬至祭だ
それは、女神【ルウテト】の祝福を受けた、あらゆる可能性、あらゆる禁忌が許される祭りである

その日だけは、仮装とは言え男性の存在が許され、善と悪、死者と生者が入れ替わり人々はみな道化のように遊び騒ぐのだという

189言理の妖精語りて曰く、:2020/10/11(日) 08:37:11
【ワコウ海賊同盟】は、国家に等しい共同体だ

領土と呼べる場所は、二つの国に転々と散らばるアジトや密かに協力関係にある貧しい村々しかないが、その勢力はチョー/ニチ海(あるいはニッ/チョー海)の全域に及んでいる
噂では、国際投資機関【ノーマッド牧羊投資組合】も、彼女たちに注目しているとかいないとか

190言理の妖精語りて曰く、:2020/10/16(金) 00:57:13
排水で黒く染まった河を工場からの蒸気が縁取る
それが、エンドミットの日常の風景である

夕方を過ぎれば、半ば非合法の蒸気屋台も引き上げ、あちこちに隠れ潜む野良猫や野良蒸気掃除機などもその姿をあちこちの暗がりに隠す
そうして真なる闇が訪れるのだが、都市の中央部や高級住宅街はその時間帯から逆に強く輝きを増していく

川辺からは遥か遠くに見えるその光は、まるで色とりどりの銀河のようだ

191言理の妖精語りて曰く、:2020/12/28(月) 12:11:31
多次元融合迷宮・Uシンジュク駅
またの名を超合シンジュク駅、US駅

それは、ありとあらゆる世界の『シンジュク』駅が融合した世界最大の建築物であり、西のウメダダンジョンが改築工事によって攻略された今、世界最高難易度の迷宮でもある

192言理の妖精語りて曰く、:2020/12/28(月) 12:13:35
馬、汽車、宇宙鉄道、雲の上を走る天空鉄道、水上バス、大型帆船、地中掘削車、巨大かたつむり、飛竜、文字、流行ファッション企業、あらゆるモノが通行し、暮らすそこは、もはや一つの都市であり、国家であるとさえ言えた

193言理の妖精語りて曰く、:2021/01/01(金) 08:22:46
超合シンジュク駅の共通ホームへの入場者には、三次元立体マップやAIガイド、式神や駅のみで生息し卵から孵るガイドペットなどが配布される
それは入場者への監視でもあるが、同時にその遭難を避けるための最低限のサポートでもある


また、Uシンジュクには、それ自体もまた迷宮である広大なデパ地下が存在し、シズオカ世界の緑茶やエヒメ世界のオレンジジュース、ウドン世界のめんつゆなど珍しい飲料が無料で楽しめる水飲み場もあるが、それを追いかけてしまってはいけない
駅には危険が満ちているからだ

コンクリート樹海に迷い込めみ、全身を繭で縛られて巨大アリの巣に運び込まれんとしたところを救われた者
危うく列車砲や『超帝都シンジュク駅の』憲兵に襲われそうになった者、変身ヒーローとなって帰ってこれなくなった者もいる
噂で語られるのみの禁忌鉄道に足を踏み入れたものは、とても語ることなど出来ない冒涜的な形態となって帰還することもあるとか……

そうした目に合わないためには、くれぐれも構内マップをよく確かめること、危険区域や注意区域には立ち寄らないこと、ガイドペットやAI、そして公式駅員たちの指示には必ず従うことが必要だ

そうそう、土産物店やフードトラック・フードトレイン・食堂車(前者が販売中心、後者が外食中心)などでの補給もしっかり考えておくことも、忘れてはならないだろう

全てがあると言われるこの駅であっても、ヒトが持ち帰ることが出来るのは、己が身の丈に合ったものだけなのだから・・・

194言理の妖精語りて曰く、:2021/01/14(木) 17:50:38
ゆらぎ商店街では、ときどき小さなつむじ風が起きる

つむじ風は、小さな火花を散らしながらぐぅるぐぅると唸り声を上げ、通りのゴミを一通り食べ尽くす
そして、どこへともなく去っていくのだ

たまにその中に何かを投げ込む者もいるが、つむじ風は、気に入らないゴミは吐き出して返してくるのでご用心
逆に、雷じるしの「おこし」や「綿あめ」などは、喜ばれるようだ

また、つむじ風は、子どもと遊ぶのも好きらしく、ときどき三丁目の漸源さんちの三つ子などがよく上に乗って遊んでいる
当然、そのたびに叱られるのだが・・・・・・・・子どもらは全く聞きやしないのだ

まあ、飽きたらそのうち戻ってくるであろう

195言理の妖精語りて曰く、:2021/02/06(土) 11:38:56
ハンセはかつては大国であったといわれている
昔話によれば、その国土の大半は、【バナナスリップ】なる失われた魔術によってどこかへ滑りさってしまったのだそうだ

そうして消えた国土は、今もどこかを移動し続け、神々のいる最果てにたどり着いたとも、【輝きの大地】と呼ばれる楽園を目指して世界の終わりまでいつまでも滑り続けるのだとも言われている

196言理の妖精語りて曰く、:2021/02/19(金) 09:03:51
都市国家グランディラスは、国全体でスケートが楽しめる『スケート国家』である
かつてロクに名所がなかったグランディラスは、守護神ブラック・コルセスカによってこのような特殊な立地を得たという

そのため、当地ではブラック・コルセスカが崇められており、守護神を少しでも長くスケートリンクに留めるために長大な黄金の鎖(実は金メッキ)が、国土全体に張り巡らされているのだそうだ

197言理の妖精語りて曰く、:2021/06/19(土) 11:12:57
一説によると、【画廊都市】は、ある芸術画の生涯を記念するために作られたという
だが、彼女の弟子の作品や彼女の作風をリスペクトとした絵まで飾られたため、後世にはどれが彼女の作品なのか分からなくなってしまったそうだ

ともかく、現在の【画廊都市】は、許可さえ取れば誰でも絵を飾ることが出来る街だ
飲食店や画廊、ショーウィンドゥはもちろん、床屋や鍛冶屋や雑貨屋や最新のスーパーにデパート、観光客目当ての民宿やホテルから貧困層が寝泊まりに使う霊感薬草窟(アストラル・カフェ)まであらゆるところに様々な絵が飾られている
中には額縁だけが飾られていたり、鏡になっていて「絵」の概念自体を拡張しているものさえあるのだ
こうした試みは日々増え続け、そしてある時こつ然と消えている

近くに立ち寄ることがあったら、ぜひ【画廊都市】を訪れてみると良い
そこにはきっと、いつでも新鮮な驚きが君を待っているはずだから

198言理の妖精語りて曰く、:2021/06/20(日) 11:32:55
【巨大刑務都市ホープティア】は、保育園や学校、裁判所、教会から墓地に至るまで、あらゆる設備が整えられた刑務所都市であり、また、一つの都市国家でもある
刑務所としては驚くべきことに、ここでは意外と人の出入りが激しい
それは確かに、刑務所内で産まれた子供の移民斡旋や囚人への支援や彼らとの結婚希望者との交流、囚人の書籍や芸術などの発表の権利(売上利益の大半は犯罪被害者支援に充てられる)などが、この国の憲法で保証されてはいる
本来、人の出入りは、脱獄につながるため刑務所が何より嫌うもののはずだ
だが、ここでは(一定の条件のもとではあるが)それが認められている

それはなぜか・・・人々はその理由は「ここの囚人はここ以外に居場所がないのだ」と噂する
国外では囚人への偏見が強いので、たとえ刑期を満了してもこの【ホープティア】の【牢外周辺区画】でしか働いていけず、生きていくことが出来ないためである、と
真偽は不明である

だが、少しだけ事実を述べておけば、ここで刑期を満了した囚人たちのほとんどはこの【ホープティア】の周辺区画でその生を終える
そして、【刑務所区画】における更正実験区画への参加希望者は・・・その大半が既に以前の更生実験に参加した者たちばかりなのである

この【ホープティア】は希望と理想から出来ている
至高のシステムこそが、人を善導し、世界を幸福に至らせるのだという信念こそが、この都市国家の基盤なのだ

だが、あるいは幸福に必要なのは、そんなシステムでは手が回らないような何かなのかもしれない
それはたとえば、見知らぬ人、後悔しているように見える人物に、手を差し伸べ助けるような、そんな小さく身近な行いなのかも・・・・・・・・

199言理の妖精語りて曰く、:2021/06/25(金) 10:31:01
【結晶都市】には、時々、【常雨市街】からの雨が流れ込む
街全体を覆った結晶の上を大量の水が流れていくさまは、まるで街が泣いているかのようだ

200言理の妖精語りて曰く、:2021/09/03(金) 23:12:08
【音楽都市ミュージアス】の【音楽通り】では、半年に一度、マラソン大会が開かれる

四季に合わせて四つの区分に分けられるこの通りには、歩みが音楽に変わる不思議な仕掛けが施されている
だから、【音楽通り】の【ミュージアス・マラソン】は、運動会であると同時ににぎやかな演奏会でもあるのだ

そして、このマラソンを制するために必要な最大の要素こそが、正式な走(奏)者と共に走る【伴走(奏)者】(ペースメーカー)である
【伴走(奏)者】は、補欠二名を認められており、マラソンにおいて、走(奏)者の調律を行うという重要な役割を果たす

この【伴走(奏)者】となる者の多くは、走(奏)者の家族や抽選に漏れたがそれでも走りたい親友などである
だが、中には、生者ではなく死者と共に走る者もいるとか・・・・・・・・

嘘か真か、今年もマラソンは始まる

ミュージアス市民の全てが運動に興味があるわけではない(嫌われ者の音楽批評家たちなどはその良い例だろう)が、
それでも、この催しにはミュージアスのすべての市民がなんだかんだで観戦に来るのだ

もちろん、観光客も大歓迎である
お越しの際は、名物であるミュージアスイモの食べすぎにだけは、どうかお気をつけを!
この市の市民たちは、不協和音にだけは大変厳しいので、マラソンの最中に奇妙な音楽を奏でたら、みんなににらまれてしまいますよ!

201言理の妖精語りて曰く、:2021/09/21(火) 22:19:58
多天使の都(ロサンジェルス)の地下には、多悪魔の都(ロスデビルス)が広がっているという

202言理の妖精語りて曰く、:2022/04/23(土) 02:30:44
結晶に覆われた【結晶都市】は、それ自体が大規模魔術の触媒として作られた存在である。
主に他国の土地に対する攻撃的都市魔術に用いられるが一度に発動する際のコストが膨大な為、
七つ壁継承戦争でカルオンの壁に対して使われて以来、一度も使用されていない。
その為、現在は鉱山都市ツェルクニェ・ナ・ランダウから輸入している結晶の輸入量も年々減少している。

203言理の妖精語りて曰く、:2022/06/01(水) 00:16:29
【酒樽都市】は【爛熟都市】の真下にあり、【爛熟都市】より滴り落ちる果肉により、類い希なる美酒をつくっているとのことだ。

204言理の妖精語りて曰く、:2022/06/29(水) 12:25:10
蒸気都市エンドミットでは、冷房も蒸気を使う
中流市民は蒸気冷房、そして上流市民は蒸気窒素(ドライアイス)をわざわざ精製して、部屋の中や居住性の高い蒸気車両の中で涼む
中には、完全断熱性能の蒸気強化外骨格で歩き回り、炎天下で運動に興じる者さえ居る

なお、下層階級の貧民にはそうした設備は一切なく、蒸気鉄道を洗浄するための水をちょろまかしてシャワーを浴びたりするのが関の山である

205言理の妖精語りて曰く、:2022/07/07(木) 19:10:06
【白砂都市】では、すべてがまばゆい白砂でできている。建物も道も、人々も。

206言理の妖精語りて曰く、:2023/01/02(月) 17:18:13
【三日都市】は一年のうち三日間だけしかこの世に存在しない。
リーデ・ヘルサルによれば、残りの日は猫たちの遊び場になっているのだという。

207言理の妖精語りて曰く、:2023/03/03(金) 01:25:03
それらの都市は、巨大な花々の中に存在していた
水没した世界で、それだけが確かな「足場」であったのだ

208言理の妖精語りて曰く、:2023/06/20(火) 04:35:59
【クロンダリア】
時間都市。通常の都市が三次元空間に築かれ一次元時間上を朽ちてゆくのに対し、クロンダリアは一次元時間上に築かれ三次元空間を朽ちていく。
都市としての規模はおよそ680万年と推定され、また、その歴史は半径50km全球にも及ぶ。
街の中心部にまで遡行するとこの都市の創立の瞬間、つまりは時間と空間の逆転の瞬間を見ることができる。しかし都市外郭から50kmも移動するとなると、何十の世代交代を経たらよいものか。

209言理の妖精語りて曰く、:2023/09/30(土) 18:46:25
【ユモン味のチョコレート】は感覚型非物質都市の一種で主として知的生命体の味覚上に構築される。
その都市の基盤味覚者、すなわち物質型都市における土地の役割をする者たちによると、ユモンベリーの甘酸っぱい風味のつけられたチョコレート建造物群をベースに、様々な果実やナッツの味の住人たちが所狭しと行き交う複雑な味をしているという。
多くの地域では、望まずに基盤味覚者となった者は軽度の味覚障害として治療の対象となる。都市の住人は概ね平和的な気質を有しているため、適切な菓子職人にかかればこの治療は容易である。
だが、オールア地方においては話は別であり、第三級の異界災害として取り扱われる。

210言理の妖精語りて曰く、:2023/11/03(金) 23:19:37
超巨大スチームタートルは、移動型の都市でもある
それは、いつかどこかで蒸気都市エンドミットとつながっているのかもしれない、歴史の断片

211言理の妖精語りて曰く、:2023/12/23(土) 08:23:07
【魔街】(まがい)とは、あの災害「東京大崩落」によって東京都の中央部に形成された地下街である
そこでは、人間の定めた倫理や道徳は自然と失われ、人は裡なる欲望や心の闇を引きずり出されて怪物となっていく
この街は、政府の公式発表によっては、結界と城壁によって隔離されていることになっている

だが、この街はその周辺部にもじわじわと侵食してきているのだ
そして、この街は階層を成し、深く潜るほどその危険度とそこから得られる資源などの有益性は増していく
階層構造は、以下の通り

・第一層
人魔街 ヤクザ魔界 人肉食 無法地帯 軽度の能力者の階層
・第ニ層
獣魔街  モンスター出始める 怪奇植物と鉱物の階層
人体大幅改造など、
クローンの木 人工子宮の木 人の心臓を宿した「心臓豚」などが生息している
・第三層
修羅魔街
高度科学力
・第四層
餓鬼魔街
 住民全てが魔技能・スキルイーター完備の階層
・第五層
天魔街 貴族街 勢力固定しがち
・第六層
地獄街 環境全て、あらゆるものが敵にまわり、死ぬことすら出来ない階層

212言理の妖精語りて曰く、:2024/02/01(木) 07:07:06
しめじ式団地密集都市

213言理の妖精語りて曰く、:2024/02/13(火) 20:02:43
【三度名を呼ばれると振り返る都市】には心的ケーブルにより同期している数十万の甲殻類の影たちが住んでいる。
昔はその都市の真の名を知る者がいたというが、今はもう誰もいない。なので彼らの精神LANに新たに誰か加わることは二度とないだろう。

214言理の妖精語りて曰く、:2024/02/17(土) 09:00:48
【サンザメーヤ文明】の都市は、音による拡張現実を完成させていた
その遺跡に彫られた数々の【音響文字】は、その拡張現実を支える基盤であり逆に言うとそれだけでしかなかったのだ

215言理の妖精語りて曰く、:2024/02/21(水) 21:34:11
化石から発芽する、古代の植物都市


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