したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

三題話もしくは二題話スレッド

40言理の妖精語りて曰く、:2007/07/01(日) 15:04:27
キャキキキキィー
文字に直せばこんな感じ。でも耳に入ったその音はかん高くて
まるでガラスを釘でこすり付ける様にひっかいたようだった。
深夜、コンビニの入り口に差し掛かっていた俺は、思わず振り返った。
ガシャン
それが勢いよく電柱に衝突するのと同時だった。
炎上するバイク、体に火がついているというのに身動き一つしない人間。
俺はその両方に既視感を抱いた。店員や客たちが慌てた様子で
コンビニから出てくる。その一人と肩がぶつかった。
「お、兄ちゃんか。」
兄はジーパンに白Tシャツという服装をしていた、普段は汗まみれの
暑苦しい男なんだが、冷房のきいた店内で悠々と立ち読みしていたためか、
この時ばかりは一滴たりとも汗をかいてない様子だ。
「お、じゃないだろうよ。事故だぞ事故。交通事故。むしろクラッシュ。
横転して火花散らしてるのが見えてビックリしたんだが、お前はそうでもないのか?」
「ビックリした。まー、破片とか飛んでこなくてよかったよ。」
「何淡々としてるんだよ。そうには見えんがなぁ。」
冷房の外で語り始め、兄の体温が右肩上がりになりだしたのだろう。あと、汗も。
その場が暑苦しくなりはじめた。
「ビックリが顔に出ない人間もいるんだよ。」
談義を打ち切りにして、兄以外の状況を見渡してみる。
近づくパトカーのサイレンに、濡れた上着や布団みたいなので
事故者の火を消そうと奮闘する客とか店員とか。
その善意に感心して近づいてみると、電信柱の近くに熱と衝撃で捻じ曲がった
金属バットが転がっていた。炎とコンビニからの光がちらちらと表面に反射している。
暗いためか、俺以外の誰もバットの存在には気付いていないようだった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板