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三題話もしくは二題話スレッド

26そう(回想):2007/04/22(日) 23:34:35
ぼくは陰気な少年だった。読書が好きだったのはお話を想像するのが大好きだったからだ。物語が好きだ。神話が好きだ。陳腐なものも斬新なものもみんな好きだ。
情動は、物語を創造するだけでは、世界を想像するだけでは収まらず、この神話世界に関わりを持ちたくて、神秘たる魔術の方面に手を伸ばした。対象は別になんでも良かったんだ。

それなりに研究に心血を注いだ。別に肉体労働が好きなわけでもなく、攻撃魔術を含む戦闘に特化したものなんて数えるほどもない。お陰で華が無いとよくいわれる。

ドルネスタンルフの象徴である儀式媒体「真球」を使った魔術も楽して効果が得られるものを選んだだけで、本家であるドーレスタと比べれば正に雲泥の差、全くの《マガイモノ》だ。たしか、元々は有り触れた電磁系魔術師だった。と思う。

ぼくは求めた。自分の凡百の言語的なセンスや乏しい修辞の知識ではとても言い表せないなにかを。
だから貪欲に求めた。躊躇いも禁忌への畏れもない。魔術礼装を身に纏い儀式媒体を掻き集め聖遺物を暴きたて淫祠邪教の術法を取り込み魔女魔男に教えを請い悪魔と契りを交わし精霊の加護を取り付け必要とあらば神に祈りを捧げた。無節操なまでに何でもやったのだが、それでも足りなかった。

目標は未だ霞の向こう、いや、その目標すら定まっていない現状に殺意が沸く。

無様な現状に眼を逸らし、放浪してきた。それがこのザマだ。こんな状態で死滅するなんて信じられないくらい口惜しい。

間違いない。「ボク」はここで、死ぬ。死し死死c志死ィ死死死。

「おい、そこの君。そんなところで寝ていると風邪を引くよ」

それを例えると、バッドエンド間際に現れた救世主、完璧なシナリオを理不尽にぶち破るヒーロー。

この死に体の人間にまるで十年来の知人に出会ったかのように気安く話しかけてきた女は、当たり前の様に名を問うた。
そしては僕は血に塗れた唇を動かし、当たり前の様に答えた。「アルフレイム」と。
猟犬を連れた魔女は当たり前の様に、長いから略そう。君の名前は「そう」だ。と、勝手にのたまいやがった。

だが、不覚にもこのありえない出会いに、花も恥らう乙女の様に【運命】というものを感じてしまった。

これが、言技士、狂言廻しと、悪魔の九姉が長姉、路の女王とその従者との出会いである。


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