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物語スレッド

315ワンテクスト リザードマンの皮3:2008/02/08(金) 22:58:28
どさりという鈍い音、獲物を巣に下ろすディザウィアーはようやっと一息を入れて人心地つく。それは一日の労働が終わったと言う心地の良い証だ。
お疲れさん、という声と共に、屠殺場では姉が既に解体用の鉈を手に待っている所だった。鮮烈な赤い鱗を持つ姉は表に出れば標的となりやすい。
美しいと言うことはそれだけで狩られる要因になる。狩るか狩られるかの瀬戸際の中、ディザウィアーたちは適材適所を謳いつつどうにか絶対数の少ない戦士の配置をやりくりしていた。
単独で要所を任せられると言う事は、即ち優秀だという証明だ。
ディザウィアーに対する皆の信頼は、篤い。
「今日はまた偉く大猟だね。 群をまるごと狩れるのなんてそう無いよ?」
「人間は群で狩った方が旨みがある。 こちらが単独と見ると油断することも多い」
「だからって、あんまり無茶しないの」
軽い力で頭を叩かれる。姉と二人で暮らしてもう随分になるが、ディザウィアーは唯一の肉親にだけは絶対に頭が上がらない。
それはこうして彼が帰るべき家を任せているということ以上に、血なまぐさい闘争が報われる唯一の実感を与えてくれる存在だからだろう。
「ディザウィアーは奥間でくつろいでなよ。私はちゃっちゃと食事の準備するから」
姉、シュィルプフゥは細身に似合わぬ膂力で獲物の入った袋をまとめて背負うと、そのまま奥へ運んでいった。
楽しげに揺れる尻尾を見ながら、ディザウィアーは暖かな家庭の空気にそっと息を吐き出した。


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