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物語スレッド
180
:
遺された紀憶(2)
◆hsy.5SELx2
:2007/06/06(水) 07:44:47
時:a84vx-jhr5-jh8d
それからどれくらいの月日が流れたのか、ぼくにはわからない。ぼくはただ、うずくまっていただけだから。
まわりの地面に草が高く生い茂っては、また枯れていった。
近くに狼がねぐらを作ったけれど、何世代か続いたあとで一匹もいなくなった。
ぼくの身体からちっぽけな緑の芽が出た。それはやがてぼくの身体よりもずっと大きな樹になった。鳥たちが、季節ごとにたくさんの巣を作った。でもそれも、あるとき雷が落ちてぼろぼろになっちゃった。
湖は一度枯れ果ててしまったものの、今では再び豊かに水を湛えている。以前とは形が変わってしまっているけれど。
まったく、自然というのは凄いものだ。くるくる、くるくると、変化しつつもちゃんと生き続ける。ぼくみたいに、生まれて数年で壊れちゃった出来損ないとは大違いだ。とはいえこんなに長い年月ぼくの身体がちゃんと形を保っていることには素直に感心してしまう。きっとぼくの父さんはぼくが思っているよりもずっと凄い人だったんだろう。もし壊れなければ、ぼくもその偉大な発明品として歴史に名前を残せたのかもしれない。
今となっては、むなしい空想だけれど。
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