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魔法・科学

1言理の妖精語りて曰く、:2006/05/31(水) 03:39:20
主として魔法や科学に関する記述を行うスレッドです。

267言理の妖精語りて曰く、:2007/05/27(日) 01:54:49
いやもう死人だし

268言理の妖精語りて曰く、:2007/06/02(土) 05:00:56
人間の不足している部分を他から写し取る技術が「あった」。
亡霊の影、猫の花、竜の毛皮、鬼の触手、犬の翼、石の胃袋・・・。
しかし今、術を伝える者は亡い。
術を記したものも無い。
術を施された人間も残っていない。

かつてその術が行われていた、穴倉があるだけ。

269言理の妖精語りて曰く、:2007/06/12(火) 19:05:16
結果から原因を引き出すカラクリを命とした、ある飛来神がいた。
いま彼は、ある存在に見せられた未来の光景、『預かり物を持ち主に返す自分』を結果とし、その光景へつながる道を探し続けている。

まずは「預かり物」を預かるところからなのだが。

270言理の妖精語りて曰く、:2007/06/13(水) 01:49:28
二つ名ならともかく本名がディスペータというのはややあんまりか。
名前が「しぇぱーど」の柴犬みたいだ。

271言理の妖精語りて曰く、:2007/06/14(木) 23:02:29
時間と空間は同一のものです。
永劫線なんて皆気づいてないだけで当たり前のように存在するのですよ。

272言理の妖精語りて曰く、:2007/06/14(木) 23:19:29
間接SAGEって、胸キュン。

という例の碑文が長らく研究者を悩ませていたが、このほどデルヒ研のズリング博士が読解に成功した。

273言理の妖精語りて曰く、:2007/06/15(金) 21:44:49
そろそろ「中二病」に定義づけしようぜ
『猫の国』でのいみじゃなくて、さ

274言理の妖精語りて曰く、:2007/06/15(金) 21:46:57
中の国の病。の略。

中(のク)二(の)病。

275言理の妖精語りて曰く、:2007/06/15(金) 22:42:18
いいね。
思い切り日本語なあたり潔いぜ。
あとは意味か。

中の国で発生したか、あるいは最大の被害が出たんだろうか?

276言理の妖精語りて曰く、:2007/06/15(金) 22:49:01
中病ってのがあって、
それの第二段階じゃなかったっけ?

277言理の妖精語りて曰く、:2007/06/15(金) 22:52:49
外の国もあるよ。どんどん内側になると重度になる。

278言理の妖精語りて曰く、:2007/06/15(金) 22:55:56
なるほど、第二段階の中病、通称中二病か。
と、いうことは中一病(第一段階中病)もあるわけで、しかも中三病(第三段階中病)の存在も予見されるわけか。
なにやらウイルス性感染症を思わせるね。

するとこれは伝染病なのかな?

279言理の妖精語りて曰く、:2007/06/15(金) 23:00:02
>>277
またも新説が。
外の国病>中の国病>第二段階中の国病>さらに重度の中の国病
というわけか。
おそろしいな。

よく耳にするのが「中二病」だけなのは、つまり外の国病の段階では発見が困難なんだろうな。

280匿名魔女:2007/06/19(火) 23:28:19
設問

f*R=K

この公式を説明せよ

281言理の妖精語りて曰く、:2007/06/19(火) 23:59:00
おれの知識だと
fという変数とRという変数の乗算結果がKという変数だ、という式にみえる。
それとは別に、そも変数名が不明なのに「公式」とはどういうこっちゃ、とか、なんとなくフリッカーとか脳内当て字をしてしまったり。

こんなもんじゃろうか。どうじゃろ。
でもきっとキミは答えない〜♪
だってキミは匿名〜♪

282匿名魔女:2007/06/20(水) 00:06:59
ハケスホノ。

彼が語るのはいつも嘘ばかり

乗算、は正しいが、しかし。
これらはおそらく、変数ではない と

解釈を許す文字列、と彼は述べた
だから、説明を請うた。
誰か。  
代入もしくは解読、あるいは捏造を

神話が何であるか
私は知りたい

283言理の妖精語りて曰く、:2007/06/20(水) 00:10:32
ちょっと共通語から外れすぎててナマりがきつい。
誰か、まず彼女の通訳を。

284言理の妖精語りて曰く、:2007/06/25(月) 23:25:50
【イパフィト・セルプス占筮】
絶対に当たらない占いの本。

285言理の妖精語りて曰く、:2007/06/26(火) 14:20:22
「当たらずも遠からず」すらも排除されている。

286言理の妖精語りて曰く、:2007/06/26(火) 22:48:56
この本の占いで、「幸運な未来」が予言された者がそろって出版元に殴り込んだら、出版者自身が既に「何事も善いほうに行く」という占い結果にヤケになっていた。

287言理の妖精語りて曰く、:2007/07/09(月) 23:15:18
魔法は不在の証明ができる

288言理の妖精語りて曰く、:2007/07/18(水) 12:59:36
嘆かわしいことだが、魔術結社にもディプロマミルが存在する。

289言理の妖精語りて曰く、:2007/08/04(土) 13:37:42
実の無い学位や資格を与えてみせる。しかしその物々しい名前から
たいていの人は疑わずに信じてしまう。これを狙ってディプロマミル結社と
その消費者は穢れた契約を結ぶのだ。

290言理の妖精語りて曰く、:2007/08/12(日) 18:46:11
「魔法は悪魔が教えるもの」「悪魔の力を借りるもの」という説が本当なら、
悪魔そのものを操る魔法は最高の魔法と言えるだろう。
同時に、悪魔そのものを操る魔術師は最高の魔術師ということになる。

291言理の妖精語りて曰く、:2007/08/12(日) 23:52:34
とうぜんながら、悪魔は魔法が使えない。
魔法を使うのは人間だけだ。

292言理の妖精語りて曰く、:2007/08/13(月) 01:26:32
おk
魔法を使う人間=悪魔
ぺれ覚えた!

293言理の妖精語りて曰く、:2007/08/13(月) 01:28:05
【理処化正順】
りしょかせんじゅん。
【五大言】を覚えるときの語呂合わせ。

294言理の妖精語りて曰く、:2007/08/13(月) 01:30:20
科学者たちは魔術の万能性にあこがれ、自分たちの技術体系に【近代魔術】という名をつけて呼んだ。
科学者ではない、【近代魔術】の利用者はただ【科学】と呼んだ。

295言理の妖精語りて曰く、:2007/08/13(月) 01:32:52
【前近代】と【近代】の間、7周期ほどの期間は文字による記録が行われておらず、【魔術】がどこへ散逸したのか、【科学】の発端はどこなのか、追うことができない。

296言理の妖精語りて曰く、:2007/08/13(月) 01:37:40
演算機の確実性と反比例する計算速度。
高速化が必要であったが・・・誰もが機械的技術力を持つわけではない。
よって生化学的技術によって対応した。
計算に一億年がかかるなら、一億年先まで生きればいい。
案外簡単なことであった。

297言理の妖精語りて曰く、:2007/10/23(火) 00:07:08
ソルキレウス:大義重視で目的重視で結果重視。目指す場所に到達するのが第一。そのためには徹底的に邪悪にもなる。
ディルノラフ:特別な才能が無くても、練習すれば誰もが使える術をめざす。その関係で安定性と安全性を同時に探求。

298言理の妖精語りて曰く、:2007/10/29(月) 00:09:02
きゆらの使う魔法は世界を確信させる。

この世界が正しいと信じる力が、世界設定を改変しようとする敵の攻撃を打ち破るのだ。

299言理の妖精語りて曰く、:2007/10/29(月) 00:11:01
そう信じていた。
きゆら自身こそが、「世界を改変するもの」だと告げられるそのときまで。

300言理の妖精語りて曰く、:2007/11/04(日) 17:48:27
『竜の方程式(Drake's Equation)』

301言理の妖精語りて曰く、:2007/11/07(水) 01:02:48
世界改変者の既存の世界を造り替える能力のことを「竜の方程式」という。
対して通常の人間のもつ自己を変容させることで世界に対処する能力を「猫の方程式」という。

302言理の妖精語りて曰く、:2007/11/08(木) 02:57:45
世界に神の如きモノが見せる至高の事象――『奇跡』は存在せず
ただ起こり終わる事象のみが横たわる

さりとて横たわる事象は不可視ではなく不触ではなく
その事象は時として『悪夢』と呼ばれ
時として『奇跡』と呼ばれ
幾億もの対なる、相反する名を抱いた其れは
何時しか何者かの戯言の中で『玉石虫の痕』と呼ばれるようになった

『痕』であると言う事はそれを遺したモノが在ると言う事であり
それを一度でも捕まえる事ができた者は
万物の事象の流れを誰よりも良く『識る』事が出来ると言う

さりとて事象は流転するものであり流れそのものであり
それを捕らえる事は物質的なものではなく、
存在した瞬間に過去になる「速さ」を持つ「言葉」でしかなしと言われた

故に、『玉の檻』と呼ばれる魔術は、未だ過去で無い事象を「捕らえる」為の物であり
何よりも強固な『硬玉』は、紡げば捕らえし未だ過去で無い事象の「確定」を行い
何よりも脆く軟らかい『軟玉』は、紡げば捕らえし未だ過去で無い事象を惑わせ、
本来流れるべき流れを変質させるものと言う

この魔術は翡翠から産まれた鳥が生み出した卵に宿り
それを食べたモノが魔術を『囀る』事もあったと言うが
今では翡翠で出来た鳥にしか囀れないものと成ったと言う

故に、生きた『翡翠の鳥』を産み彫り出せる彫刻家達もまた
「魔術師」と呼ばれると言う

303言理の妖精語りて曰く、:2007/11/08(木) 03:07:35
翡翠の鳥は「鳥」であるが故に、事象であり流れである「玉石虫」を啄み喰らうと言う
つまり、そもそも「鳥」は、「虫」を喰らうために、その魔術を産んだのかもしれない
鳥は虫を喰らわなければ生きていけず、ある程度の時期になると、玉虫色の卵を産むという

事象を喰う鳥が生み出した「卵」には、一体何が息づいているのだろう

304言理の妖精語りて曰く、:2007/11/08(木) 07:41:55
なんか途中から文章が変だぜ

305言理の妖精語りて曰く、:2007/11/11(日) 11:23:17
>>304
そいつは虫だな。
幼女の格好のやつだろう。
お前さんが「おや」とか「いいな」と思った部分を喰っちまうんだ。
喰いのこしは驚きも面白みもなくなった文章の骨だけ。
タチの悪い奴等だぜ。

悪いことはいわない、さあこの虫下しを飲むといい。
いまならお安くしとくから。

306匿名魔女:2007/11/15(木) 12:15:21
ヒスイが、わらう。

鳥などいない。
いるのは、竜だけだ。

307言理の妖精語りて曰く、:2007/11/18(日) 11:40:25
竜を鳥と呼ぶ者たちは、猫を虎と呼ぶ。

何のことも無い、異国のある単語が、自国のある単語と同じ発音、なんてよくあることだ。

308言理の妖精語りて曰く、:2007/11/18(日) 12:14:45
>307
虎の威を駆る猫かよ。
そんな妄言は猫派の奴らにしか通用しないぜ!

309言理の妖精語りて曰く、:2007/11/19(月) 11:49:43
レスト

初級回復魔法。
2ダメージを回復する。

310言理の妖精語りて曰く、:2007/11/19(月) 11:50:05
レスト

初級回復魔法。
2ダメージを回復する。

311言理の妖精語りて曰く、:2007/11/19(月) 22:26:23
レスト
初級回復魔法。
2ダメージを回復する。

2回唱えないと発動しない。

312言理の妖精語りて曰く、:2007/11/19(月) 23:39:38
ストレス
初級妨害魔法。

レストの2回詠唱の間に割り込むことでレストを失敗させる。

313言理の妖精語りて曰く、:2007/11/20(火) 23:57:30
アルファを使用してこちらへとやってきた「彼ら」は、まず最初にアルファが使えなくなっている事に気付いたんだ。
それは、つまるところ、元の居場所への帰還が不可能であるという事実。
その後は様々だった。
片道切符なんて聞いていない、とリーダー格の者に食って掛かって(文字通り、つまり牙で攻撃!)反対に取り押さえられる者、過剰ストレスに半狂乱となって泣き崩れる者、絶望したのかいきなり自分の頭蓋を砕いて擱坐するもの、メイン演算機とのリンクが立たれて幼児化する者。
とにかく最初の3秒でいきなり総数の2割が「死体」になってしまった。

314言理の妖精語りて曰く、:2007/11/24(土) 00:12:36
ユルペルドという禍の根を絶つべく、十一人の男女が立ち上がった。

「それは『大地の中心の九十九騎士』にかわる大地の支え手を
見出す試みの始まりでもあった。」と十一人を祖とするグループの書物は記す。

そして祖たる十一人の代で早くもユルペルドが討たれるという偉業が達成されるのだが、
彼らの活動はここで終わらなかった。ユルペルドの同類は他にもおり、また
色狂いの屑であったとはいえ、彼は『大いなる仕事』を司る一人でもあり、
その埋め合わせをする方法を探す必要もあったのだ。一人ならばまだ大丈夫ではあるが、
九十九騎の中にいる汚物を全部除去するとなると、大きな支障が出てくる。

315言理の妖精語りて曰く、:2007/11/25(日) 18:00:11
休息をとれるキャンプを建てて、補給と整備の当ても出来て、継続的な活動が出来るようになるまでにはまた全体の2割が「死んだ」。
「死体」は圧縮されてキャンプの端に整列された。
サイココードの文頭と末尾を接続して論理の循環状態(ウロボロスモード)に置かれたそれらは、まるで時間が止まったかのように静謐な表情で。

316言理の妖精語りて曰く、:2007/12/20(木) 23:48:59
武道家・格闘家・武人・戦士に勝てると思う者はなかなかいない。
だが、学者・専門家に勝てると思う者は実際のところけっこういる。

これは私がかけた魔法による効果である。

317言理の妖精語りて曰く、:2007/12/21(金) 13:48:00
【封魔眼】
見ただけで魔を封じるという眼。
ブラグラシン博士の提唱する封魔の究極形だが、全くの研究段階で実現の目処がたっていない。

318言理の妖精語りて曰く、:2007/12/23(日) 16:52:41
魔法と科学は同一の世界律を別位置から観測しているに過ぎない。
だから双方の長所を重ね、短所を補って、さらに汎用的な「手段」を生み出すことが出来るはずだ。

人形師が語った構想はしかし、姉妹の、特に妹たちからは冷淡な態度で迎えられた。

319言理の妖精語りて曰く、:2008/01/26(土) 00:40:11
九十九騎士の一人クーリンダースはタバクシャラスと取っ組み合いながらオルタへと吸い込まれていったと言われている。

吸い込まれつつある誰かと取っ組み合うことで深く繋がり逢えば、
我々の前にもオルタへの扉が開かれるというわけである。

この伝説の真偽は定かではないが、他の誰かと深く繋がり逢うための
合体組み手の元となったことを考えれば、ある種の真理を有してはいたと言えよう。

320言理の妖精語りて曰く、:2008/04/04(金) 20:34:24
【元素魔術】
義国を発祥とする、多元論を土台にした元素体系から生まれた魔術の総称。
火・水・風・剣・地の5つと、それらを統合した紀の属性からなる。

321言理の妖精語りて曰く、:2008/04/19(土) 16:23:02
最も初歩的な魔法は【言葉】である。

【言葉】は、常に混沌に支配される。
例えば、録音された音声は常に変化することは無いが、
それを聞く者によって受け取る意味は異なり、
また同じ者がその音声を聞いたとしても、
昨日と今日では違う意味に取ってしまうこともままある。

誰もが【言葉】が魔法であると気付かずに使ってしまうのは、
これがあまりに基本的すぎる魔法であるからである。

【言葉】は常に一つの意味を持つ訳ではない事を真に理解した者は、
全ての魔法を扱うことが出来るだろう。


そして、言理の妖精は、当然【言葉】そのものである。

322言理の妖精語りて曰く、:2008/04/29(火) 23:11:26
【文字】もまた然り。
記された【文字】は、言葉よりも永く残る。一つの文字であっても、
時代や場所によってその意味は大きく変わってしまう。
文書においてはより顕著で、それを記した者、媒体、記された文脈、
時期、読まれる対象。同じ記号であっても、それは様々に解釈される。

【文字】が常に一つの意味を持つ訳ではない事は【言葉】のそれに比べれば理解されているといえる。
しかし、【文字】もまた【言葉】と同じように、魔術の本質である事を理解するものは少ない。

そして、言理の妖精は、当然【文字】そのものである。

323言理の妖精語りて曰く、:2008/04/30(水) 08:17:41
たった一文字で、現在過去未来、最小にして最大、一にして無限、疎にして密、アルパにしてオメガ…
全ての矛盾する概念をいっぺんに表現する文字があるとしたら、素晴らしいのではないか。

そのような文字を求めた女神テペトリアは、チョーク片手に、寝る間も惜しんで
その文字を書き続けている。

髪は伸び放題、目にはクマ、言葉は話さず、書けそうなものになら何にでも書き殴る。
そのことを知らずに近づいたせいで、よくわからないうちに書き殴り倒された飛来神もいるらしい。

324言理の妖精語りて曰く、:2008/05/01(木) 23:55:44
【魔】はその概念の意味を言葉で伝えることができないため、混沌魔術の分析は【魔】に近いとされる者の意識構造を応用意識魔術により直接読み取ることで行われた。
以下の文は【魔】に関する意識の会話を文字に記録しようとした試みの一つである。

「本当の魔とは、。世界で一番突拍子もない夢遊病者の気違いな妄想の深層を積層加工した果てに垣間見える無思考/指向な力よりもなお圧倒的な現実に対して何の意味もなく叫びたくなるような瞬間の後に訪れ崩れるゆがんで流れる時間と、一日25時間で自転する地球に刺さった槍が何本も抜け落ちて円環を作り循環する呼吸の気体分子が満たすファンデルワールス状態方程式の密度補正に引っかかった哀れな虚無が授業の合間に緑色の黒板を行き交う白色の石炭紀石灰岩の破片の三葉虫の死骸のばらばらになった粉の降り積もる緑色の床の隙間が存在しないこと自体を主張する矛盾に気づかないふりをすることで無意味になる存在はやはり存在する信号の色は鳥にしか見えない三次元の色相環が交差するときに見間違えて壊れたテレビを保管する電話状の影の色。
つまり色だ。でも色である必要はない。電話状の影の色は常に変化するし、三次元の色相環が交差するときにそれを見間違えて壊れるのは二割で、そのうちサンプルとして保管されるテレビは0.0082%だ。存在しないこと自体を主張する矛盾に気づかないふりをすることで無意味になる存在はやはり存在する、という一般論は、最初の主張は主の主張で無意味なガラクタを生み出し他人の無関心を引き出すことで客観的存在がほとんど無に近づくことを利用している。チョークの粉が落ちた緑色の床は同じように限りなく存在しない存在。希薄な存在に似た信号の色。その色は状態方程式の補正によってはじき出された誤差という虚無の主観によって構成される。この色はもう概念色といっていいくらいに抽象的だ。誤差の原因となった循環する呼吸の気体分子の存在もまた具体的なものではない。単なる例え。抜け落ちた槍は死に、呼吸しないから、この呼吸は、槍が抜け落ちて生き返った地球が、抜け落ちた槍を並べて作った円環を通してした呼吸。地球は1日25時間では自転しないが、ゆがんで流れる時間と対になるから地球の時間は安定して流れており、この地球は過去か未来の地球か地球という名の永遠に自転し続ける物体。ゆがんで流れる時間は、集中しようとは思っていないときに無理に集中力を出した後の倦怠感。集中の対象は、自らにとって考えうるあらゆる思考が既に他者によってなされており、自らにとって考えうるあらゆる思考をはるかに越えたレベルの事象が過去現在未来において起こりうるし現に起きていることへの無力感。積層加工された夢遊病者の気違いな妄想の深層は、現在妄想を修飾した上で、過去の妄想全てをそれに加えたもの。こうして解釈された文章は結果として無意味な文章を倍にしただけであり文字あたりの情報量は限りなく低い。しかもこれは主観時間で零秒にも満たない時間で想像されるのに、出力されるのには客観時間で五分以上もかかる。狂気にすら全く近づいていない段階でもこれなのだから、これから研究を続けても心を病むだけだとは思わんかね。」

325言理の妖精語りて曰く、:2008/05/03(土) 23:19:47
【人類】によって【言葉】は生まれた。
【人類】は【言葉】によって紀述されていた。

326言理の妖精語りて曰く、:2008/07/03(木) 21:09:50
「空の夢」

 鈴国における「世界の説明」である五行元素体系の根幹、となるはずの統一理論に付いた仮称。
当然、その理論はまだ完成を見ていない。

327言理の妖精語りて曰く、:2008/07/03(木) 21:20:29
「空現」
大陸東部〜南東部に伝わる剣武術・鈴道刀人(レンタォターレン)の奥紀(おうき:学問や武道における流派の基となる概念)のひとつ。
アマウツツ、またはジャグンと読むらしい。
実態は「自己と敵方の区別を無くし、総体としての流れをつかむ」というものらしい。
習熟できると師範代の名乗りを許される。

328言理の妖精語りて曰く、:2008/07/20(日) 22:27:19
【言葉の虫[word worm]】

【本の虫[book worm]】の変異種。
本だけではなくありとあらゆる言葉を喰べる虫。
次々と新しい記述が生まれるインターネット上で、
ありとあらゆる情報が散乱する今、
本の虫は新しい味を求めてネットを餌床とするようになった。

食べた言葉が嘘か否かを判断できる虫でなければ
ネット上を渡り歩く事は困難である、と言われていたが、
実際のところそこまで賢い虫はあまりいない。
(これは【本の虫】時代から大して変わらない。)

また、ネット上の言葉は、その数は豊富であるが、
質の良い言葉は本に比べその比率は小さい。
それゆえ、
常に何かを食べていないと気が済まない(その上常に飢えている)虫が多数存在する。
この手の虫は、何故か質の悪い言葉を餌とする傾向が高い。
(これは【本の虫】時代とは正反対である。)

329言理の妖精語りて曰く、:2008/07/24(木) 17:34:13
魔術師は得てして自らの研究成果を秘匿するものだが、ウォン派の魔術師は魔法の面倒な行程を短縮し、その知識と恩恵を一般に広く開放しようとするものだ。

330言理の妖精語りて曰く、:2008/07/30(水) 03:57:31
「……魔法ってのは、
つまり"不思議な力"や"神秘的なもの"を扱う方法であって、
それが<誰でも使える術>或いは<誰もが原理を知っている方法>に成ってしまったら、
最早それは魔法じゃなくて科学なんじゃないのか?」

                           ――反ウォン派魔術師

331言理の妖精語りて曰く、:2008/07/30(水) 20:29:41
反ウォン派はウォン派に対抗するための派閥であり、それ以上でも以下でもなかった。
だからウォン派の「魔法」に抗せる単語として「科学」を持ち出したのだが……彼らはその正しい語義をまったく理解できていなかった。

「科学」は「魔法」の対義語になりえない、どころかそれは類義語といえるものだったのだ。
反ウォン派は「科学」を中心に据えてウォン派への対抗技術体系を組み上げたが、結局それらすべてはウォン派に吸収されてしまった。

332言理の妖精語りて曰く、:2008/08/03(日) 19:47:16
そして、ウォン派の思惑通り、「魔法」は誰もがそれを使えるようになった。
「魔法」は理論と体系によって整理され、
それは不可思議な力ではなくなってしまった。

しかしながら、これにより
「魔法」の根底である【魔】即ち【混沌】は、次第に枯渇を迎えることと成る。
(言うまでも無く、理論だった体系は【混沌】から【秩序】へと向かう。)

これはウォン派も反ウォン派も想定していなかった事態であった。
結果的にエネルギー不足となった「魔法」は、
ウォン派の台頭から暫くの後、水面下で息を潜めることになる。

333言理の妖精語りて曰く、:2008/08/03(日) 22:33:43
因みに、ウォン派ではないもの達、取り分け【魔】を【混沌】であるとは
考えないもの達はいつも通りに魔法を使えた。

334言理の妖精語りて曰く、:2008/08/19(火) 22:05:41
【歌】 言語魔法詠唱形態の一。

335言理の妖精語りて曰く、:2008/09/27(土) 20:54:58
「147」の書架に、答えはあるのか?それもまたマヤカシではないのか?

336言理の妖精語りて曰く、:2008/09/27(土) 22:38:30
魔法や科学。
人は、人には推し量りきれない広大な宇宙を、ワクで切り取りあるいは自らをワクでよろうことで対峙してきた。
それはたとえば「1と0は(数量的に)違うものである」といった定義であり、「1と0は(文法的に)同じものである」といった認識である。

これら「限定によって明確化する宇宙」型思考を行うものを人間、それ以外を非人間とする。
もちろん非人間はこの思考を行うことも出来るため、厳密には「この思考しか行えないものを人間とする」とするべきだが、諸般の事情によりそれは避けるべきである。

337言理の妖精語りて曰く、:2009/09/25(金) 00:02:54
霊団というのは、そんなに古くから地球にいたわけではない。もしいたら、
既に地球は彼らの手に落ちていただろう。彼らがここに来たのは近代になってから。
近代魔術の祖と呼ばれる「あの男」の元に空中から列をなして降りてきたのが最初だ。
後に語られたところによれば、その様は東洋に伝わる来迎図のようであったという。

338言理の妖精語りて曰く、:2011/08/16(火) 13:30:02
>>337
霊団は星の船より降り立ったが、この星の汚れた空気に思わず眉をひそめた。
彼らは純粋な水と空気の中でのみ力を扱うことが出来るため、
この星で力を使うのは困難であった

339言理の妖精語りて曰く、:2011/08/17(水) 01:49:56
そこで彼らは
純粋な水と空気を詰めた、宇宙服ならぬ地球服をつくることで
対処しようとしたのである。

340言理の妖精語りて曰く、:2014/10/28(火) 14:23:32

エブグルブ・バフォウ

チャカ大陸の歴史でもっとも有名な法術師の一人。
出生名はディフワ・エマ・ゴラムバ。【セナブ・フィズィズーン(七狡人)】の筆頭。
六人の同志と共に「汎用化法術」の礎を築いた。
(ゴラムバ家は長子派の由緒正しい高名な法術流派の名家であり、彼との関係を現在に至るまで否定し続けている。
初期の伝記映画『ゴラムバの仮面』が、エブグルブ・バフォウ=ゴラムバ家出身説をとっていたのを不服とし、
各所に圧力をかけて上映を中止させたのは有名な話である)

ルザナイ教において大罪である自殺の罪を犯してなお、法術を使い続ける事が出来ただけに留まらず、
大罪を犯してなお法術を使う事を自分以外の人間にも可能にした男。
死んだはずの彼の意識は、近くで転んで頭を打って気を失った酔っ払いの中年男性に宿り、
以降、その中年男性の名「エブグルブ・バフォウ」を名乗る事になる。
その中年男性の職業であった傭兵業を引き継ぎ、各地を回りながら同志を見つけ、
彼に見出された者たちも、「その立場では使用できないはずの法術」を編み出し、汎用化した。
彼らの存在はもともと属していた宗派に留まらず、ルザナイ教世界に広く精神的な激震を与えた。

死ぬ前の彼は細い長身のハンサムな青年であったが、新たに得た肉体は俊敏ではあるが固太りで
顔も丸顔で余り本人の気に入らないものであったらしい。それ抜きでも本来とは違う自分の顔を見るのは嫌いだったようで、
最初は鏡のある部屋でのみ身につけていた仮面を、やがては外でも着用するようになったと伝わる。

ルザナイ教徒には彼ら七人の業績を「法術の妖術化」として嫌うひとも少なくなく、
「七狡人」とは唯一神が敷いたルールの隙間や裏側を突いた
不法な手段を編み出した狡いならず者、という意味が込められている。

341言理の妖精語りて曰く、:2014/10/30(木) 00:26:06
【妖術】

「使用者に“資格”を要求しない術」のこと。
能力と手順の知識さえあれば使える術、またそのように使われる術のこと。
資格を問わないため、どんな得体の知れない者も使用できるということであり、
いかがわしく、妖しいものとなる。

342言理の妖精語りて曰く、:2015/08/16(日) 04:37:50
生命魔術には三種類が存在する。
性魔術、食魔術、睡魔術である。

343言理の妖精語りて曰く、:2015/10/04(日) 01:36:25
性魔術は魂の栄養
食魔術は体の栄養
睡魔術は心の栄養である

344<<妖精は口を噤んだ>>:<<妖精は口を噤んだ>>
<<妖精は口を噤んだ>>

345言理の妖精語りて曰く、:2016/05/04(水) 17:14:03
ルザナイ教では宗派ごとに「法術の使用を禁止されているか、できない」属性が存在する。
たとえば特定の身体障碍を持っていたり、同性愛者である場合である。
「七狡人」はそれぞれ、宗派ごとの法術使用不可の縛りを除去する事に成功した。
「それぞれの宗派の信仰を持たなくても法術が使用できる」はその集大成である。

346言理の妖精語りて曰く、:2016/05/06(金) 19:33:38
ハーツァブラール・ネシュ・アミ

七狡人の一人。「女性は法術を使用できない」を解除した。同じく七狡人であるムンノハッタカッターイー・ロアは夫。
「聖職者でない者、俗人は法術を使用できない」を解除した夫と協力し、
「尼僧しか使用できない法術」「女性祭司しか使用できない法術」といった
女性聖職者限定の法術をそれ以外の人々にも使用できるように改良した。
同時に「法術を使う聖職者は性交してはならない」も解除しており、二人は子をもうけている。
子供たちは両親の研究を引き継ぎ、チャカ大陸中にその成果を広めた。

さらに、ほぼ全ての宗派で否定されている同性愛を神の目からも正義であるとし、
夫と共に、同志ガフ・ダンリウとそのパートナーの同性結婚式を執り行った。

「性別」「聖職者である」ことを問う、複数の宗派の多数の法術系統を夫と共に改変し、
同性結婚式まで行ったことから、このふたりは七狡人の中でも最も憎まれている。

347言理の妖精語りて曰く、:2016/07/27(水) 01:01:52
ガフ・ダンリウは「同性愛者は法術を使用できない」を解除した。
彼にはマムリカ・ペレククという親が決めた婚約者がおり友好的な関係ではあったが、彼がムンノハッタカッターイー、ハーツァブラール夫妻のもとで同性結婚式を行ったことはマムリカをいたく激怒させた。
結婚式の次の日から、マムリカはガフ、そして七狡人すべての敵となった。

348言理の妖精語りて曰く、:2016/07/28(木) 20:56:38
彼女と七狡人との戦いは、二十年の長きに渡って続いた。
それは、ガフ・ダンリウが全財産を婚約破棄の代償として彼女に支払った後も、戦いで彼女の親族がことごとく死亡した後も続いた。
そこまでして彼女が戦い続けた理由は、愛でも、一族の掟でも、ましてや、世間体でも無かった。
それは、自分と同じくどれだけ努力しても「何も得ることが無い」と思い込んでいたガフ・ダンリウへの憤りだった。
つまり、それは嫉妬だった。

349言理の妖精語りて曰く、:2016/08/02(火) 23:57:44
ガフは言った「私に残された最後のものは、貴方にあげることはできない。
分かち合うしかできない。しかし、それを、あなたは望んでいない」

350言理の妖精語りて曰く、:2016/08/08(月) 20:26:41
その言葉に対し、マムリカ・ペレククは応えて語った。
「私は、あなたから何も受け取らないし、分かち合いたくもない」
「ただ、あなたとルザナイ教に、この世から消えて欲しい」
「何も持つことが出来ないこの私を、嘲笑う全てのものを消し去りたい」
「それだけだ」
と。
そして、最後の切り札として温存していた邪術を使ったのだ。

邪術【ルクスォミーズの憐れみ】
それは、かつて、キュトスの魔女ルクスォミーズが編み出した後、悪意ある者によって盗み取られ、伝播するうちに様々な改変が加えられた変身術であった。
長きに渡る戦によって追い詰められた彼女は、多くの代償を支払って得たその術を、ここへ来てついに使用したのだ。

邪術を使ったマムリカの身体は、見る間に黒い毛で覆われ、爪は長く伸び、口は裂けた。
かつてはほっそりしていた手足も、大きく膨れ上がり、ねじ曲がった。
最後に、全身から杭のような骨が突きだし、ガフの血を求めるかのように細かく震え、歌うような音を発し始めたのだ。
それは、もはやマムリカ・ペレククという貴族の娘ではなく、完全な悪鬼であった。

ここに至り、ついにルザナイ教の七狡人は、それぞれの秘術を解禁せざるを得なくなった。
七狡人が、一つずつ持つとされる秘術。
その解禁は、彼らが、己が信念と信仰を世に示す行為であると共に、敵対した対象を、絶対に殲滅するという覚悟の表明でもあった。

ただ、それでもガフ・ダンリウだけは、その戦いに乗り気では無かった。
彼は、まだ覚えていたのだ。
周囲の人間の言うがままに動くしかなく、しかしそれ以外にやりたいことも、やるべきことも見つからない。
そんな、何処にでも居るような子どもだった、ある少女のことを。
ルザナイ教に、そして最愛のパートナーに出会う前、互いの孤独を分かち合った、数少ない友人のことを。
そして、そして彼の大事な親戚であり、婚約者であった一人の女のことを。
マムリカ・ペレククのことを。

351言理の妖精語りて曰く、:2016/08/17(水) 02:33:34
法術における【使用者たる条件】を改変する、それが出来る、という事は他の部分の改変にも繋がる道であった。
少なくとも七人からすれば、それは応用といえた。

代表的なものは威力や規模の上限解除である。上限を解除されるという事は、
効果だけでなく、使用のためのコストの上限も解除されるという事である。
そのコストは、術者の生命力であったり、土地の滋養力であったりする。
上限なしの法術はこれらを文字通り食い尽くす可能性があった。
それ故、彼らはこの秘術を、弟子にすら明かさず、七人の間で研究を進めていた。
その目的はさらなる強化、ではなく、【再定義】により他の人間に使えなくする為であった。

しかしマムリカ・ペレククの暴走を前に彼らはついにこれを使用した。
上限解除によって封を切られ使用可能となった秘術の数々。
弟子や仲間たちは、主導者らの圧倒的な力を目にし、自分たちの宗教改革の成功を確信した。

352言理の妖精語りて曰く、:2016/08/19(金) 03:35:56
この戦いは物理的には避けることも可能であった。
マムリカが信仰を失っている事、何かしらの異教の禍々しい力を帯びている事にガフは感づいていた。
噂を彼女の一族に広め、周囲に追及させれば、彼女を「社会的に殺す」ことも可能であった。
信仰を失っただけなら、同情心すら得られるかもしれない。しかし明確にルザナイ教に敵対意識を持ち、
異教の邪術に手を出していたならば、しかもそれをしたのが法術士の名家ペレククの者がしたのなら、とてつもない大事である。
一族の不名誉どころではない。彼女には制裁が課されるか、少なくとも無力化されていただろう。

しかし、その手段をとることをガフは躊躇した。
内面の信仰の有無は、神と、それぞれの人との問題であり、それを武器にしてもよいものか。
秘密を暴露することで相手に損害を与え決着をつける手段、これを行う事が倫理的でありえようか。

かつてマムリカを想うある男が、結婚を防ごうとガフが同性愛者であるという噂を流した事を思い出し反芻した。
あの時の肝が冷える気持ち、焦り、このまま周囲の環境が変わり、全てが終わるのではという恐れ。
あれを武器にしてしまえば、あの男と同類になるのではないか。

「他者にされたくない事を他者にするな」こうした黄金律はルザナイ教にもある。
良心と聖典の章句が、ガフを立ち止まらせ、そしてあの時がやってきた。

353言理の妖精語りて曰く、:2016/08/21(日) 08:04:36
マムリカは、良く戦った。

戦いに至る動機や、その戦法はともかく、そう語っても良いだろう。
彼女が用いた邪術【ルクスォミーズの憐れみ】とは、キュトスの力の欠片、すなわち、大地の恵みの片鱗であったから、歪み捻れたものであっても、その力は強大なものであった。
マムリカは、大地をも砕く咆哮を放った。
その身体からも、無数の腕が産み出されて、風の刃を放ち、砕かれた大地も飛礫となって、七狡人を襲った。
さらには、身体から突き出した骨の歌は、大地の穢れを共鳴させて戦場に横たわる死者を呼び起こし、ルザナイ教に仇なす様々な邪霊や妖物を招き寄せた。
無論、悪鬼となったマムリカ自身の力も、凄まじかった。
憎悪と妄執に突き動かされて疾走するその身体は、まるで、一本の呪いの毒矢であるかのようだった。

しかし、そんな彼女の攻撃も、ついに秘術を解放した七狡人の前では、通用しなかった。
風の刃は、歴戦の傭兵たちの盾によって防がれ、飛礫は、商人たちが買い集めた資材による即席の防壁によって防がれた。
そして、熟練の狩人のみが持つ巧みな技によって、マムリカの狙いは誘導され、気づいた時には、罠に追い込まれていた。
漁網が、彼女の動きを奪い、暗殺一族に伝わる秘伝の毒が、彼女を弱らせた。
無論、これらの人々は、皆、七狡人の第一位たる聖人、エブグルブ・バフォウに導かれた者たちであった。職業に関する法術の制限を解き、卑しく穢れているとされた職業の者たちでさえ、教団に加えて来たエブグルブ。
その徳を慕って、多くの者が戦場に馳せ参じたのだ。
だが、マムリカの猛攻は、それでも、まだ終わらなかった。

354言理の妖精語りて曰く、:2016/08/21(日) 20:44:52
彼女は、包囲網のほんの少しの隙を突き、これを脱出したのだ。

無論、信徒たちに油断は無かった。
彼らの持つ、漁網を始めとした全ての武具は法術によって強化され、マムリカを追い詰めるために最適の使用が為されていた。

しかし、かえってそれがいけなかったのだ。
あまりに強力な装備と恵まれた人員、そして何より、七狡人が全員揃って秘術で自分たちを支援してくれるという状況が、信徒たちに、油断とも言えない僅かな気の緩みを産んだのだ。
そこにつけこんで、マムリカは、己が身を引き裂き、罠から逃れ去ったのであった。

そして、罠から逃れたマムリカは、またも大暴れをして、薙ぎ払い、こともあろうにマグブルグに襲いかかった。

しかし、やはりそれは、無駄な足掻きでしか無かったと言える。
何故ならば、七狡人は、その時のために、秘術を用意していたのだから。

まず、ハーツァブラール・ネシュ・アミとムンノハッタカッターイー・ロアの夫妻が、動いた。
ハーツァブラール・ネシュ・アミは、法術によって大風を巻き起こし、傷ついた味方を回収するとともに、不可避の圧力によってマムリカを少しでも弱らせようとした。
次に、たくましい一角獣にまたがったムンノハッタカッターイー・ロアたち救護部隊が、柔らかな光を放って回収された味方を癒すとともに【不埒な男から乙女を守る術】を応用、これを最大展開して、自分たちの身を守った。

さて、ここで、マムリカに襲いかかられたマグブルグが、いかにして彼女に立ち向かったかを語る段となったわけだが、それには、まず、カッター・メグジャニヤなる男について説明せねばならない。

355言理の妖精語りて曰く、:2016/08/22(月) 07:12:55
カッター・メグジャニヤは、七狡人の一人に数えられてはいるが、彼自身は、どこにでもいそうな普通の男である。
それどころか、ルザナイ教内部では、どちらかというと好かれず、避けられがちな七狡人であった。
その在り方は、時に教団の敵にさえ、その存在を忘れられたり、侮られることさえあったほどである。
何故なら、彼は、金銭が大好きであったから。

カッターは、金貸しであった。
無論、その信仰は篤く、他の七狡人にも認められてはいたが、それでも、ちょいちょい、信仰より金儲けに熱中してしまいがちなのが、彼の玉に傷なところだったのだ。
そのせいか、彼は七狡人でありながら法術が苦手であり、七狡人が揃って動く時には、基本的に他のメンバーのバックアップに徹していた。

しかし、マムリカ・ペレククとの戦いでは、彼も前線に赴くことになった。
彼女との永きに渡る戦いは彼の資金無くしては、到底しのげなかった。
とはいえ、およそ戦いになど縁の無いはずの彼が、わざわざ前線に赴くという奇行には、教団のほとんどのメンバーが首をひねった。
だが、彼には、どうしても、前線に赴かなければならない理由があったのだ。
そう、彼の秘術が、まさにそこで、必要とされていたのだから。

さて、そこで話は戦場へと戻ってくる。
マムリカは、確かに七狡人のリーダー、第一位のエブグルグに襲いかかった、そのはずであった。
しかし、彼女がその爪を突き立てていたのは、ひょろ長く痩せた、エグブルグとは似ても似つかない男であった。
どうも、マムリカさん接客専用のエグブルグ、すなわち「マグブルグ」またの名をカッター・メグジャニヤと申します、どうぞお見知り置きを。
マグブルグの仮面を外した男は、ニヤリと笑いながらそう語り、服の下に分厚く鎧を着込んだその胸を張った。
そして、その時、カッターの秘術が発動したのだ。

356言理の妖精語りて曰く、:2016/08/28(日) 06:53:23
七狡人の一人、カッター・メグジャニヤ。
彼は、エブグルグが襲われた時のために、控えていたのだ。
彼の秘術は、変装、対象との位置の交換など、一見、多様な効果を発揮するかに見えるものだ。
しかし、その本質は、単純明快であり、彼が破った法術の制約に関係している。

すなわち「法術によって、教団内の地位を揺るがしてはならない。」
ここで言う「地位を揺るがす」とは、低い地位の者を高い地位にあると錯覚させることである。
通常、宗教組織において地位や位階というモノは、かなり重要視される。
それはその地位にある人物が「どれたけその宗教の教えを知っているか」の目安となるからだ。
それゆえ、多くの宗教において、服装や装飾品、座席の位置、祝祭時に消費する金銭の量などは、地位に応じて厳格に規定され、「誤解」を招くことが無いようにされている。
カッターのような金貸しや商人が多くの教団で疎まれるのも、彼らが商売上の付き合いなどで、豪華な衣服を着用したり、派手な金づかいをしがちな人々であるからだ。
そうした振る舞いは、この規定に抵触するのである。

だが、エブグルブは、そしてカッターは、この規定を破り、そして逆手に取った。
すなわち、自分を「より地位の高い者と入れ換える」法術の創造である。
そもそも、七狡人に序列や位階などは存在しない。
エブグルブに至っては、常日頃から平信徒の中に混ざって、働いたり、子どもと遊んだりしているので、最大の特徴である仮面さえ無ければ、入信したばかりの信徒と間違えられる怖れさえあったほどだ。
この戦いにおいて、あえて序列を定めたのは、いざという時に、この秘術を使うため以外の何物でも無かったのだ。


しかし、この法術は、危険を伴った。
自分より、宗教的に地位の高い者に成り代わるということは、本来の自分以上の「出力」を術者に強制するということだからだ。
護身のための一時的な地位の詐称を、マハ=ディヤルニがお許し下さっても、この術を使った本人には、命の危険があった。
それゆえ、この術は、ルザナイ教においても、秘術に指定されていたのだ。

この場合も、カッターは、ニヤリと笑いながらも、血を吐いていた。
それは、マムリカが与えた傷によるものではない。
彼が使用した法術が、その身体に強大な負荷をかけていたのだ。
それでも、カッターに後悔は無かった。
それは、秘術によって、己が活躍出来たからではなく、己の行動が、エブグルブに、そしてルザナイ教に貢献することが出来たからであった。
そして、彼の貢献は「次」に繋げるためのものでもあった。

カッターが、ニヤリと笑ったその瞬間、同時に、無数の金貨が、飛び散っていた。

財産を喜捨することによって、加護や祝福を得る術は、様々な宗教に存在する。
しかし、ルザナイ教においては「神の加護は善行と信仰に対して与えられるものであり、単なる労働や財貨を喜捨することによっては、更なる祝福を受ける資格は得られない」とされ、祝福を得るには喜捨だけでなく、相応の善行が必要とされた。
だが、今、資格を得るに十分な善行は為された。
ゆえに、マハ=ディヤルニは、カッターの喜捨を認め、ここに更なる法術の発動を許したのだ。
神殿領に課した税でも、信徒からの献金でもなく、カッターが人から蔑まれる稼業で稼いだ金銭が、彼の善行によって、今まさに、ルザナイ教を守る力となったのだ。

そして、もちろん、その法術は、ルザナイ最大の聖人エブグルブのものと、完全に同等の威力をもって放たれた。
この瞬間、カッターとエブグルブは「同じ地位」にある同等の聖人として、認められていたのだ。

カッターの放った光は、強大な陽光となってマムリカを弾き飛ばし、彼女が呼び出した邪霊と死者の三割を消し去った。

もちろん、ルザナイ教の反撃は、そこでまだ終わってなどいなかった。

この機会を待っていた七狡人は、カッターだけではなかったし、友の勝ち取った機会を無駄にする信徒など、ルザナイ教には、存在しないのだ。

357言理の妖精語りて曰く、:2016/09/05(月) 21:48:04
そう、そこで三人の七狡人が、機会を待ち構えていたのだ。
ついに動き出した二人の七狡人、シャーリス・ペンネカとヌチャリカが、その秘術を発動した。
奇しくも、この時動いた二人は、どちらもマムリカと同じく女性であった。

まず、シャーリスが動いた。
彼女は、七狡人では珍しく、職業を持たずに入信した信者であった。
彼女は、巡礼者、正確に言えば、疫病にかかって故郷から放り出された者であったのだ。
おまけに、彼女には、先天的に手足が存在しなかった。
当時の俗信から言えば、それは二重に神に呪われている証であったのだ。

しかし、彼女を見出だしたエブグルブは、語った。
障害や病は、神の呪いなどではなく、神が与えた試練である、と。
我々は、とかく神の恵みを軽んじがちだ。
若く健康であるから、と無茶をして身体を壊し、人より良く動けるから、と手足を酷使して、これを損なう。
あなた方は、それを我々に教えるために、神から使わされた使者なのだよ。
自分一人の力にこだわらず、皆の力を合わせたり、人間より遥かに偉大な御方にすがるなら、病や障害など、大した問題ではないのだ。
あなたより遥かに健康で、五体満足な身体を持ちながら、生涯、人と力を合わせることも、神の偉大さも知らず、友の一人すら持たずに死んでいく者など、大勢居る。
あなたは、幸せだ。
あなたは、今、私たちと偉大なるマハ=ディヤルニに出会ったのだから。
この世には、エブグルブの教えを認めない者も居るかもしれない。

だが、彼女は幸せになった。
同時に、それはルザナイ教初の、そして、最強の「法術の身体」を持つ信徒の誕生をも、また意味していた。

そう、シャーリス・ペンネカは、法術によってその身体を補強し、手足を補うことが出来るのだ。
もちろん、普段の彼女は、なるべくそうした法術には頼らないようにしている。マハ=ディヤルニにすがるだけでなく、他のルザナイ教徒と協力して日常を過ごすことこそ、自分に与えられた使命だと信じているからだ。
だが、この時、彼女はついに己に課した制約を破り、全力で法術を使った。
それは、土地の生命力を過剰に吸いとってしまうことをも意味していたが、マムリカが暴れまわった戦場は、既に荒れ果てていたし、何より、もはや他に取る手立てなど無かったのだ。

シャーリスは、車椅子の上でその身を乗り出し、肘までも無いその右腕を、遠く離れたマムリカまで伸ばした。
すると、どうしたことだろうか。
それまで、決して動きを止めることが無かったマムリカが、その途端、石像のように硬直したのだ。
見るものが見れば、巨大な右腕が、彼女を拘束していることが分かったであろう。
マハ=ディヤルニが、シャーリスに貸し与えた天使の右腕が、マムリカを掴み、その動きを止めたのだ。
マムリカが、いくら足掻こうが、鉄をも砕くその牙で噛み付こうが、天使の腕はものともしない。
そして例え、大地を砕き、シャーリスの車椅子壊そうとも、シャーリスを支える天使の足は、小揺るぎもせずに彼女を支え続けるだろう。

そこへ更に、ヌチャリカが、聖域と沈静の法術を放った。
ヌチャリカは、戦いが苦手であり、これといって、この戦いで担える役割などは無かった。
そのため、この決戦までは後方支援に徹し、カッター以上に前線には近づかないようにしていた。

しかし、今回の戦乱で、最も怒りを感じていたのも、また彼女だった。
ヌチャリカは、娼婦の元締めである。
それゆえ、不幸な女性に出会う機会など、枚挙に暇がない。
マムリカ以上に、不幸な女性など、その豊かな髪の毛の数より、遥かに多く見てきたのだ。
確かに、マムリカは不幸だったのだろう。
法術の名家として、教えよりも体面と利益を重視するペレクク家に産まれ、人形同然の人生しか、彼女には与えられなかった。
しかし、かつて彼女と同様の立場に在り、やがて娼婦にまで身を落としながらも、己の生き甲斐を見つけ出し、幸福に生きている女性なども、またヌチャリカの髪の毛より数多く居るのだ。
曲がりなりにもルザナイ教に身を置き、エブグルブにいつでも面会出来る立場を得ながら、このような「八つ当たり」で戦乱を巻き起こすなど、決して許されるはずがない。
いや、自分が決して許さない。
ヌチャリカの怒りは、法術となり、見えざる壁となってマムリカと、その呼び出した邪霊たちを隔離した。ヌチャリカは、娼婦の元締め。
暴れる客やチンピラを押さえつけるのは、お手のものだった。

そして同時に、彼女は、この戦乱を静めるために、七狡人が放つ最後の一撃を、エブグルブが秘術を放つ準備をしていたのだ。

そう、ついに「その時」が来たのだ。

358言理の妖精語りて曰く、:2016/09/06(火) 16:12:55
そして「その時」が来た。これまで、秘術の準備に集中していたエブグルブが、ついにその秘術を解禁する時が。

エブグルブが破った法術の制約の中で、最も重大で最も有名な制約が、その秘術には関係していた。
それは、宗教などまるで分からぬ民衆には、意味が理解出来ない制約であり、逆に僅かでも宗教に関わる者であれば、破ることを考えただけで、恐ろしさに震え上がるような制約だった。その内容は、単純である。
「異教の妖術を用いてはならない」
エブグルブは、法術士では、いや、およそ宗教に関わる術者にとっては、常識だったこの制約を破ったのだ。

万物は、マハ=ディヤルニによってもたらされたもの。
真に邪悪なものなど存在しないし、邪悪な術も存在しない。
正しく神に向き合い、正しく扱うならば、妖術と呼ばれる術も、我々の力となるであろう。
それが、エブグルブ・バフォウの信念であり、信仰であった。
今、その信仰が、試されようとしていた。

まず、エブグルブの直属部隊が、彼の露払いをするため、動き出した。
おそらく、この時点では、まだマムリカは、己の勝利を疑わずにいたに違いない。
だが、その妄想は、ここへ来て砕け散った。
エブグルブの直属部隊は、占い師、妖術師、人形繰り、霊媒、魔女、まじない師、呪い屋…………およそ、ありとあらゆる妖術に関わる者たちで構成されていたのだ。

世に「蛇の道は蛇」と言う。
マムリカが邪悪で強大な、禁じられた術を身につけているのは確かだが、彼女は、元々そうした術の専門家ではない。
そうした術について、彼女より深く学んでいる者が数多くいるのも、また確かなのだ。

そして当然、エブグルブの元に集った者たちは、力量や知識の差こそあれど、彼女が使ったような術の専門家であり、その対策にも長けていた。
彼らが、杖を、薬草を、御守りを、異形の像を振りかざし、様々なまじないを放つと、マムリカが呼び出した死者は地に還り、残っていた邪霊のさらに三割も、あるべきところへと、帰っていった。

そして、ついにエブグルブが動いた。
まず、彼は左手を掲げた。
彼の左手には、神の威光を示す、暖かな陽光が集まった。
この時点では、マムリカはまだ慢心していただろう。エブグルブが使用しようとしていた法術は、カッターが用いたものと同じ。
すなわち、七狡人には、先ほどマムリカが耐えた攻撃以上の破壊力を出す手段が無いのだ、と。
それは、マムリカのさらなる反撃の可能性と、彼女の勝利を約束しているかのように取れなくも無かった。

しかし、次に、エブグルブは、右手をも掲げた。
その瞬間、まだ日暮れ前だというのに、あたりは、闇に包まれた。
それは、まるで夜明け前のような暗さであった。
突然のことに驚かされた、ルザナイ教の人びと、それにマムリカは、やがて気づいた。
あたりがインクのような闇に包まれているというのに、エブグルブの両手だけが、輝いていることを。
そして、彼の左手に宿った見慣れた陽光と比べて、エブグルブの右手の輝きが、あまりに奇妙であることを。
それは、一見、輝いているように見えたが、実のところ、全く光を放ってはいなかった。
それは、自ら輝くのではなく、周囲に闇を振りまいているのだ。
それによって、あまりにあたりが暗くなるので、実際には変わっていない右手が、逆に輝いているように錯覚してしまうのであった。
その闇に侵されないのは、エブグルブの左手、いや、彼の左手に集ったマハ=ディヤルニの光だけであったのだ。
その闇の右手は、まるで、唯一太陽に張り合う、暁星の光が宿っているかのようだった。

そして、マムリカは、その邪術で歪んだ身体によって、さらにその右手の正しい性質を感じとっていた。
右手が振りまく闇は、人びとの心から集められている。
すなわち、エブグルブ・バフォウの右手は、マムリカの力を吸いとるのだ。
怒りが、憎しみが、嫉妬が、そして、マムリカが己の本質であると信じていた虚しさでさえも、彼の右手に集められ、それに喰らわれていたのだ。

マムリカの洞察は正しかった。
確かに、エブグルブはカッターが用いた以上に破壊力のある法術など使えない。
だが、妖術なら話は別である。
そして、一部の妖術は、その邪悪な性質によって、かえって、マハ・ディヤルニの威光である法術を、強めることさえあるのであった。
今、エブグルブの右手に宿る暁星こそが、その代表的な例であった。
その暁星が振りまく闇は、本来は強大な呪いをもたらすはずだった。
しかし、それは全て、彼の左手から漏れだす陽光によって中和されたのだ。
むしろ、その闇は、初めから陽光を際立たせ、誉め称えるためにのみ、存在するかのようであった。
それは、まるで、今のマムリカのようだった。

359言理の妖精語りて曰く、:2016/09/09(金) 17:57:52
その瞬間、何が起きたのか。
それを正しく理解出来た者などいなかった。
見たままに述べるならば、エブグルブが術を放つや否や、あたりは瞬時に昼のような明るさに包まれ、次の瞬間には、夜明け前のような闇に包まれた。
一瞬の間に、百万の昼と夜が過ぎ、我々を置き去りにして時が去って行ったのだ、と語った者も居た。
ある者は、光の中に、偉大なるマハ=ディヤルニの姿を垣間見たかのように思い、またある者は、闇の中に、あまりに己に似通った邪悪な影の姿を見た。
つまるところ、それは人の知性を超えた出来事だったのだ。
二つの術が、いかなる効果をもたらしたのか、その過程を認識することは、不可能だった。

だが、その結果だけは、誰の目にも明らかであった。光と闇が去った後、マムリカが呼び出した邪霊は、影も形も無く消えており、邪悪な術で変化した怪物の姿も、また無かった。
そこにあったのは、長きにわたる戦乱と秘術の行使によって荒れ果てた大地、そして、今にも息絶える寸前の、一人の老婆の姿だった。
その老婆こそ、マムリカ・ペレククの変わり果てた姿であったのだ。

戦いは、今、ここに決した。

360言理の妖精語りて曰く、:2016/09/11(日) 19:01:40
「マムリカ・ペレククの乱」は、七狡人が秘術を用いて戦った希少な例として、後世に記憶されている。
だが、常に歴史の影に潜み、あらゆる文献からその名が消されている「七人目の七狡人」だけは、今回もその例外であった。
「彼女」は、七狡人の中で、最後まで秘術を解放しなかったのだ。

「彼女」が何者であったのか、諸説が存在する。
ある者は、「彼女」は屠殺や処刑などの「真に忌み嫌われる職業」の代表であったのだと言い、またある者は、ルザナイ教内部を粛清するための暗殺者かスパイだったのだと語った。
歴史学者の中には、当時、ルザナイ教を迫害していた帝国において、密かにルザナイ教を庇護していた皇帝の弟こそ「彼女」だったのだという説を唱えている者さえ居る。
だが、「彼女」の正体は、謎のままである。

「彼女」という呼称にしても、かつてのルザナイ教「唯男派」への反発の名残でこう呼ばれているだけであり、「彼女」は、実際の性別すら不明なのである。

ともかく、七狡人が全員参加したこの「乱」に「彼女」も参加したことだけは確かとされている。

そしておそらく、「彼女」は見守っていたのだ。
彼、ガフ・ペンリヴが、どうマムリカに向き合うのかを。
そして、万が一の時のために、その秘術を温存していたのだ。
そう、私は信じたいのだ。

361言理の妖精語りて曰く、:2016/09/21(水) 21:56:13
【紀術ガリヨンテ】とは、自身を分け与える術である。
かつては【紀術アルセスの槍】と対をなしていたが、後に【紀術キュトス】にその地位を奪われた。

この術は、術者の肉を炊いた米に、血をぶどうジュースに変えて他者に提供する。

これは、自滅を促す滅びの術とも、自己の滅却という究極の快楽を得るための術とも、あるいは世界の再生を促す術であるとも言われている。

362言理の妖精語りて曰く、:2016/09/26(月) 07:51:16
空白魔術とは、あらゆるものに空白を見出だし、それを活用する魔術体系である。
元々、意味の不在を利用して意味を現出させるため「真空魔術」とも呼ばれている。
空白とは「完全記号」であり、あるいはレヴィナスの〈他者〉やラカン〈対象a〉にあたるものと言えるのかもしれない。
空白のページ、空き地、書きかけの五線譜、破り捨てられた絵の破片、断章、腕を無くした美女の彫像など「そこに存在するはずの意味」を想定させることで、空白魔術は、力を発揮するのだ。

363言理の妖精語りて曰く、:2016/09/29(木) 19:22:58
宗教にまつわる術で最も有名なものは、間違いなく、デュキュローンの信仰防衛隊とルザナイ教の決戦において用いられた「天使の召喚」であろう。
これは、獅子天使「ティナ・ガラブグルン」とルザナイ教の猫天使の対決が生じた極めて珍しい事例であり、魔術研究の上で重要な資料となっている。

ただ、その実態と言えば
獅子天使が、ルザナイの猫天使に「マタタビ」なる霊木の枝を贈与されて彼女と和解したというものであり、術の破壊力や霊妙不可思議な特殊効果については、何も学ぶべきところがないものであった。

ジャルバテャスル・アヅェと相対した相手が、七代目ガフ・ダンリウではなく、天使による感覚の補強を得意とする“見えざる猫耳”七代目シャーリス・ペンネカであれば、もっと違った結末であっただろうというのが、この件に関する大方の評価である。

364言理の妖精語りて曰く、:2016/10/08(土) 09:00:41
【物語魔術】とは、【空白魔術】から分かたれた魔術体系の一つである。
その別名を【戦う構造主義】と言う。

この魔術は、物事の背後に【物語】、ストーリーを捏造して、社会や人間を操作する技術である。
例えば、泣いている子どもが居たとする。
その子どもは、自分で転んで怪我をしたのかもしれない。
あるいは、大人には分からない哀しい話に、もらい泣きしたり、特に理由も無く泣いているだけかもしれない。
しかし、人は、泣いている子どもをなかなか放っておくことが出来ない。
得てして、その背後に「子どもが泣いた分かりやすい理由」や「犯人」を欲し、妄想してしまう。
そこで、そうした心の働きを利用して、その子どもを泣かせた「真犯人」やその動機を捏造するのが、この魔術である。

人間の記憶や認識というものは、不確かなものだ。
そこに無かったものを、あったと思い込ませるなど、造作もないことなのである。

この魔術の代表的なものとしては【安全神話】や【冤罪】そして【感動悲話】などが挙げられる。
近年では【正義の戦争】や【幼児虐待の過去】なども有名である。

人が、都合の良いことを信じたがる限り、そして、客観的に証明出来る真実ではなく、己の印象に支配され続ける限り、この魔術の影響から逃れることは出来ないであろう。

ただ、これは悪事に用いるだけの魔術では無い。
この魔術の一形態である【童話魔術】などは、その好例であろう。

365言理の妖精語りて曰く、:2016/11/20(日) 19:06:52
通説によれば、肉体に関する魔術は、大きく二つに大別される。
一つは、肉体にイメージや力を「上書き」するもの。もう一つは、肉体から各種の感覚や情報、内宇宙からのエネルギーなどを「読み込み」するものである。

前者の代表例としては、各種の付与魔術、ルザナイ教恭天術などの精霊や天使憑き、歯車や回路、羽根など架空器官を想定することによる肉体の変性や延長が挙げられる。

対して、後者の代表としては、ルザナイ教回天派の回天瞑想をはじめとする各種の瞑想、感覚の延長による取得情報の増加および強化を目的とする感知系の魔眼、受動系聖痕術、内宇宙からの召喚術などが挙げられる。

しかし、通説では、別のものとされるこの二つの術系統は、実は、極めれば同じものとなるのだ。
私は、異界の幻獣【猫】の力を借りて、それを証明してみせよう。

――――リーデ=ヘルサルの著書『新感覚☆猫変身』よりの抜粋

366言理の妖精語りて曰く、:2017/01/07(土) 06:18:24
「言語による捕縛」は、究極の捕縛魔法と言われるものの一つである。
言語は、世界の全てを分節し、束縛するのだ。
ただし「語り得ないもの」も存在するため、それに対する対処としては――――


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