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とあるSSの禁書目録 PART11

1■■■■:2011/10/08(土) 20:31:05 ID:G1GZclqY
ここは「とある魔術の禁書目録」のSSを書いたり読んだり原作の予想外の展開にテンパってみたりするスレッドです。

【全般的な注意事項】
1.このスレはsage進行です。レスする際には必ずメール欄に半角で『sage』と入力しましょう。
2.ネタバレ注意。ネタバレは本スレ同様公式発売日の0時から。
3.基本マターリ進行で。特に作品及び職人への不当な文句と思われる発言は厳禁。
4.レスする際はスレの流れを確認してからにしましょう。

【投稿時の注意】
1.まずは原作を読み込む。最低でも登場人物の口調や性格は把握しておきましょう。
2.オリジナル設定や妄想はほどほどに。ここは『とある魔術の禁書目録』の二次創作を投稿する場です。
3.書いた作品はテキストファイル等で保存。投稿ミスによる文章消去を防ぎましょう。
4.投稿前に深呼吸して保存したテキストを読み返す。誤字脱字はありませんか?分量は十分ですか?
5.投稿時には作品タイトルを、投稿後には終了宣言を。共有の場なので始めと終わりは明確にしましょう。
6.特殊だったりや好みが分かれたりするシチュは投下前に警告しましょう(例 百合,BL,鬼畜,死にネタ等)。
7.18禁(と思われるもの含む)はスレ違い。

【前スレ】(Part9)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1280227550/

※ 参 考 ※
禁書風味SSの書き方
ttp://www12.atwiki.jp/index-index/pages/1682.html

【次スレについて】
次スレは原則として>>980の人にお願いします。
立てる前には宣言を、立てられない場合は代わりの番号指定をお願いします。

【まとめ】
とある魔術の禁書目録 Index SS自作スレまとめ
ttp://www21.atwiki.jp/index-ss/

399牧田さん:2012/10/13(土) 00:31:36 ID:8819CBcs
sage忘れた・・・・・・


===


打ち止めが、朝から一枚のチラシを振り回して五月蝿い口を開いた。

「ねえねえ、これ行ってみない? ってミサカはミサカは白髪のお兄さんに精一杯懇願してみる」
「・・・・・・、・・・・・・あァ?」
その金平糖のような声に一方通行は深い眠りから現実へ引きずり戻され、ソファーに横たわりながら生返事を返す。
「ほらこれ、第七学区百貨店屋上の企業マスコット披露会!! 実は開催が今日の九時かららしいんだけど、今回はゲコ太とその一味が「セブンスミスト勢」として特別に登場するんだって。ってミサカはミサカは説明ついでに売り文句を引用してその魅力を伝えてみたり」
「・・・・・・ハァ」
寝起きで思考が回らない一方通行に対して打ち止めは持ち前の若さ(年齢的に言えば普通は言語を理解できないほど)で自身の希望をグイグイと押し込んでいく。
一方通行が開き難い目を擦って壁際の時計を見ると、時刻は午前八時。眠りに落ちたのは午前五時前後なので、ここで起きてしまえば睡眠では無く仮眠だ。特に用事も無いので今日は久々に昼過ぎまで寝ていようと思っていたのだが、
「ねえねえ。ねえねえってば。行こうよ、行こうよー!! ってミサカはミサカは相手が眠気で反撃出来ない利点を活かして物理的に揺さぶってみたり」
昨夜の午後九時には暴睡してしまった同居人に、身体をユサユサと揺らされてしまっているので恐らく無理だろう。人生そう上手くはいかないらしい。
そんな事を考えている内も揺さぶりを止めようとしない少女を片手で振り払い、一方通行は重々しく身体を起こした。
「ったく、うるせェな朝から甲高い声張り上げやがって。マスコット博覧会だか何だか知らねェが、行きてェんなら他当たれ。芳川なンかは無職だし丁度良いだろォよ」
再び寝転ぶ白髪の少年だが、打ち止めは口を動かすことを止めようとはしない。
「マスコット披露会!! ひ・ろ・う・か・い!! 名前を間違えるなんてそれに携わった研究者の皆様に失礼だと思わないの? とミサカはミサカは正論を交えつつ再び説得の機会を窺ってみたり」
「・・・・・・研究者だ? 単なる披露会にどこぞの研究機関が関わってるっつーのか?」
「おおっと、やっと興味を示してくれたねヤッホウ!! ってミサカはミサカは相手にされる事の喜びを噛み締めつつ説明を続けてみる。研究者とは言っても、確か心理学系列の学生さん達のサークルのことなんだけどね。色んな名の知れたメーカーのマスコットキャラクターを集めて「どんなブランドのどんなキャラにどんな年代が興味を引かれてどんな心理状態が生まれるか」ってのを調べるための実験的イベントらしいよ。さっき言った通り、ゲコ太だけは一日だけ『セブンスミストのマスコットキャラクター』として出るらしいんだけどってミサカはミサカは知ってる情報をできるだけ口に出してみたり。」
「名の知れたメーカー、ねェ。いくら宣伝になるとは言ってもブランド付きの企業をゲストに呼ぶなンざ学生の財布じゃ不可能だろォし、予算は学園都市持ちってとこか。要は遊びだってのに、相も変わらずくっだらねェ実験に金をつぎ込ンでやがるなこの街も」
「まあ、そうのような主催者側の事情はわたし達の知るところでは無いので放置。あともう一つ言うべきことがあって、このイベントは一〇歳以下のお子様は保護者同伴でお願いしますとの事で、ミサカ一人だと見た目的に若干厳しいかもしれないの。という訳で一緒に行こうよ、ってミサカはミサカはそれっぽい口実を作って再びお願いしてみる」
「ガキ扱いが気に入らねェ割には、状況に応じてお子様宣言かよテメェは」
「ガキ扱いは気に入らないけれど、状況に応じてお子様の立場を利用するのも一つの生き方だよ、ってミサカはミサカは少ない人生経験から得た事実を述べてみたり」

400牧田さん:2012/10/13(土) 00:33:30 ID:8819CBcs

そんな日常的な会話を展開するバカップル(仮定)を横目で傍観する影があった。
そのもう一人の同居人は朝からテレビ画面を独占しつつ、ノーミスを保ちながら目まぐるしいシューティングゲームに勤しんでいる。
「んー、ミサカ的には芳川とか黄泉川とかより一方通行(あなた)に保護者役を買って出て欲しかったりするんだけどなあ」
打ち止めをそのまま大きくしたような少女、番外個体(ミサカワースト)は完璧なコントローラー捌き(しかも片手)を画面上に反映させながら、言い合いを続ける二人へ対する独り言を呟く。
「あァ? 結局テメェも姉の味方かよ。オマエには姉からの指令を弾く機能が備わってンだから、他の妹達とは扱いが違うンじゃねえのか」
「あれえ、聞こえてた? まあ、別にミサカ個人の感情では一方通行が付いていこうが、ちっこいのが一人でフラフラ外出しようが関係無いんだけどさ。あんまり意地悪しちゃうと困った最終信号(ラストオーダー)さんが変な負の感情を呼び起こしてこのミサカに悪影響を及ぼしちゃうから、あんまり突き放すのも賛成できないんだなコレが」
「そういや前にもそンな事あったな。・・・・・・確かに負の感情と分類されンなら、嫉妬だろうが劣等感だろうが何でも取り込ンでくしなオマエ」
いくら司令塔からの情報を弾くとは言っても、彼女が率先して抽出する『負の感情』がミサカネットワーク全体に充満してしまえば話は別だ。以前にもそれが原因で一方通行と一緒に御使いに行かされる羽目になった。
「つー訳で行ってあげな一方通行。せっかく取り返した平和に目を背けるのは、拒絶してるのと同じじゃない?」
「口元が愉快に緩んでるヤツに言われたくねェな。オマエ絶対楽しンでるだろ」
「キャハハハ、あなたを困らせるのがミサカの役目だもんね」
一方通行は思わず舌打ちを漏らした。せっかくの休日だというのに、この部屋には安息を邪魔する者しかいない。しかもそれらが遺伝子レベルで同一だというのだから、やはり血は争えないのだろう。
「なんか今日は芳川も黄泉川も朝から用事で居ないっぽいし、保護者様はミサカかあなたしかいないんだから」
「黄泉川は教師だからともかく、芳川は暇人のはずだろォがよ」
「さあね、就職活動じゃないの? 二人とも朝早く出てったみたいだし」
「そォかよ。ならオマエが行け」
「あいにくミサカは片腕負傷中だし、選択肢から外してもらいますぜ」
ニマニマと嫌な感じの笑顔を浮かべる番外個体。それでもゲームでは無駄の無い動きで敵と思われる宇宙戦艦を撃墜した。そろそろエンディングだというのに、残機は満タンである。このクローン娘は冗談抜きでゲームが上手い。
「一緒に行って下さい!! ってミサカはミサカは割と真剣にお願いしてみたり」
「早く決めなよ第一位。そんな顔でも男でしょ?」
もはや流れが決まっているかのような姉妹の言葉に、一方通行は観念した様子で溜息を吐く。
「・・・・・・チッ、面倒臭ェ」
「お? やっと行く気になってくれたのかな? ってミサカはミサカは目を輝かせながら聞いてみたり」
「変な癇癪起こされても迷惑だしな。ストーカー紛いの研究者が、またオマエに目をつけないとも限らねェ」
「おやおや。ツンツンデレデレな一方通行の、貴重なデレ期到来ときましたか。見てる分には面白いし、ミサカ的には大賛成」
「テメェは黙ってろ」
「やっほう!! ってミサカはミサカは溢れ出る喜びを全身で表現してみたり」
「・・・・・・暴れンなガキ。さっさと着替えろ」
結局、今日の一方通行の予定は騒ぎ立てる少女の提案で塗り潰された。

(・・・・・・学園都市第一位(アクセラレータ)が存在してるだけで、大抵ロクな事起きねェってのに。相変わらず慣れねェな、この感じは)
やはり普通の日常という生温いものは、いくら経験しても肌には合わないものなのだろう。

401牧田さん:2012/10/13(土) 00:34:19 ID:8819CBcs

口裂け女のような満面の笑みを浮かべた番外個体の見送りを受けて、二人は早速会場である第七学区百貨店屋上へと向かった。が、
「・・・・・・どォするよ。予想以上の大繁盛みたいだが」
「確かに、これはミサカも予想外だなってミサカはミサカは正直な感想を漏らしてみたり」
時刻は八時四五分。開始まで一五分と迫ったところだが、すでに会場は満員状態だった。
面積や形に関しては普通のデパートと変わりないその屋上だが、そこには目安だけで軽く一〇〇人は超えそうな客が集まっている。親子連れが多いかと思っていたが、意外なことに殆どが女子中学生だった。
そして会場の中央に二m程の壇上があり、そこに掲げられた看板には『第三回マスコット披露会』と文化祭のような字面で書かれている。恐らくはあの壇上にマスコットとやらが上がったりして、色々とアピールするのだろう。会場に居る殆どが女性であることを見ると、確かに企業のイメージアップには繋がりそうだ。
「第三回・・・・・・ってことは、前に二回もこンな事してたのかよ。大丈夫か学園都市」
「毎回結構繁盛してるみたいだけどねーってミサカはミサカはこのイベントの必要性を語ってみたり」
「必要性は語れて無ェぞ」
「需要はそのまま理由に代わるものなのだよってミサカはミサカは根拠を述べてみる」
「・・・・・・ホント、学習装置(テスタメント)は妙な言い回しを植え付けやがるな」
別段上手いことは言えていないが、この少女が決め顔で語ると謎の説得力を生み出すのは何故だろうか。少なくともギャップの必要性は痛感できた。
「とりえあず、始まるまではあっちの自販機でアイスでも買ってのんびり待ちましょうか、ってミサカはミサカはさり気なく自身の希望を言ってみたり」
「欲しいンなら普通に言え。金ならある」
「んん? 今あなたが懐から取り出したそれは、もしかして芳川のお財布じゃないのかな? ってミサカはミサカは学園都市第一位がせっこい盗みを働いているのでは無いかと疑ってみたり」
「リビングの机に堂々と置いてあったモンだ。仕舞われてねェって事は、使えって意味だろ」
「ほうほう。朝から出てった割には今日あなたがお金の必要な日になることを分かっていた訳ですなぁ、ってミサカはミサカは元科学者の驚異的な洞察力に感服してみたり」
「知るか」
傍から見れば白髪の少年と語尾の特徴的なアホ毛の少女というかなり異色な二人な訳だが、一方通行はそんなことを気にせずに沢山の人々をかき分けて屋上の端に佇むアイスの自販機へ小銭を投入した。硬貨の挿入口が少し錆付いていることを見ると、恐らくは普段からあまり人気の無い販売機なのだろう。これだけ人が居る中で彼以外の誰一人として利用していない時点で、需要もへったくれも無いのかもしれないが。
「(・・・・・・一昔前の品揃えだな。品が古けりゃ見向きもされねェとは、結局世の中はトコロテン方式でモノが排除されてく訳か。自販機自体の衛生状態も良くは無ェし、撤去も時間も問題だろうな)」
学園都市最高クラスの演算能力をフルに活かし、この自販機がいつ頃この屋上から姿を消すかを地味に計算していた一方通行に、打ち止めが怪訝そうな表情を向けた。
「あのー、買えましたか? ってミサカはミサカは謎の計算に勤しんでいるあなたに質問してみたり」
「ほっとけ、考え事だ。この水色で長方形のよく分からねェ固形物で良いよな?」
「不気味な言い回しで食欲を奪うのは止めて欲しいですよ、ってミサカはミサカはあなたの思考回路を提供している側として不満に思ってみたり。普通にソーダアイスって言えないの?」
「間違っちゃいねェだろうがよ」
一方通行は右上の『ソーダバー』というボタンを軽く押す。一秒ほどの間を空け、音を立てながら自販機の取り出し口へと商品が落下した。その氷菓を手に取り、打ち止めは口元を緩めながら袋を開封する。
「いっただっきまーす!!」
そして出てきた水色の固形物、もといソーダアイスを健康的な乳歯でガリガリと勢い良く砕いていく。だが、
「・・・・・・随分と楽しそうに食べてるとこ失礼だけどよォ。オマエ、脳味噌と歯のコンディションが一致してないンじゃねェか?」
その言葉通り、次の瞬間には打ち止めの歯の神経へ何かビリビリとした衝撃が走ったようで、アホ毛の少女はそのまま二秒程うずくまってしまった。
予想外の攻撃を口内に受けた妹達(シスターズ)の司令塔は、納得のいかない様子でボソリと呟く。
「・・・・・・ミサカのデンタルケアは完璧なはずなのに」
「そォかよ。そりゃ残念だったな」

402牧田さん:2012/10/13(土) 00:35:43 ID:8819CBcs

===============================

『それでは、第三回マスコット披露会を開催致しまーす』
司会と思われる店員の甲高い声と共に、観客からそれなりの拍手が巻き起こる。
そしてイベントが始まり、それを眺める一方通行が最初に思った事と言えば、

「・・・・・・地味だな、コレ」

ということだった。
メインの舞台と思われる中央の壇上には彼の予想通り大小様々なマスコットキャラクター(着ぐるみ)が上がり、妙に短い手を振るなり無理矢理くるりと一回転するなりと、それっぽいアピールをしている訳だが、逆に言えばそれだけなのだ。
観客も観客でその半分以上が壇上での必死の企業アピールを無視して『その場の雰囲気』自体を楽しんでいるようであり、率直に言えばグダグダである。
だがそれでもイベントを素直に満喫しているお客さんも幾らかはいるようで、それらは当然、自然と壇上へ近い位置へと集まっていく。その為、なんとなく居る人と積極的に楽しむ人とで完全に二分化されてしまっていた。
「(主役に興味を持つ奴と、場に居る事自体に拘る奴・・・・・・か。権力者の資金集めパーティーみたいな感じか?)」
そんな皮肉がぴったり合うこのイベントで、打ち止めはもちろん主役に興味を持つ側に分類される。なので客の列の中で、壇上に最も近い最前列の真ん中を陣取りキラキラと目を輝かせながら次々と登場するマスコットを見つめていた。周りからすれば実に微笑ましい光景だろう。
「・・・・・・俺にはこの披露会とやらの楽しさは、百年経っても分からねェだろうなァ」
対照的に壇上と最も離れた場所に設置されたベンチに座る一方通行は、申し訳程度に打ち止めを見守る目を少し細めた。
そして少し考えてみた。

多分、一般人の目線から見ればこのような少し騒がしいくらいのイベントは楽しいと思うだろう、と常識に基づいて考えてみた。
だが一般人とは言えない自分は、これを素直に楽しめないだろうな、と記憶に基づいて考えてみた。
何故なら凡で無く非凡な自分は、いくら必死に『普通』に溶け込もうと奮闘したところで無駄だろうから、と経験に基づいて考えてみた。
例えばこんな下らない休日を馬鹿みたいに過ごしてみたらどんな気分になるだろうか、と好奇心に基づいて考えてみた。
だけどもそれすら底辺から這い上がったばかりの自分には不可能だ、と真実に基づいて諦めた。

(・・・・・・目が痛ェ。眩しすぎんだよ)
今現在自分が居るのは、空が澄んでいて悪意の見えない慣れない環境。
どこを見ても深い闇しか無かった世界から、明るい光に染まりきった世界へと放り出された気分はとても複雑で、どこまでも奇怪だった。数奇な運命を辿ってきたつもりだった自分は、そのような当たり前の世界にすら順応するのが難しいと知った。
ここに来るまでは打ち止めというたった一つの灯りを頼りに暗闇を彷徨ってきたのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが。

そしてそこまで考えて、彼は区切るように一言呟く。
「だりィ」
素直な感想を漏らした彼は、それでも遠くで元気にはしゃいでいる打ち止めを緩んだ表情で眺めていた。仰いだ空は青かった。

403牧田さん:2012/10/13(土) 00:36:44 ID:8819CBcs

===============================

『少しの間休憩になりますので、暫くお待ちくださーい』
司会のアナウンスが入り、言葉通りの小休止。
マスコット披露会の開始から三〇分程ぶっ続けだったアピールタイムも終了し、現場のスタッフ(恐らくは主催者側の学生)が会場の隅で何やらコンピュータを弄りながら作業を始めていた。
休憩に入ると同時に一方通行の居るベンチまで舞い戻っていた打ち止めは、その光景を見て首を傾げている。
「ねえねえ、あのスタッフさん達は一体何をあんなに必死になってキーボードを叩いているの? ってミサカはミサカは素直を疑問を口にしてみたり」
「そりゃァ、元々は『マスコットを見た客の反応を研究する』って名目のイベントなンだろ? 観客の表情やら歓声やらを数値化して、それを資料の一つにでもしてるンだろォよ。じゃなきゃ、こンな暇つぶしイベント開催する意味が見当たらねェ」
「ふーん。心理学科も大変どすなあ」
休憩の入った会場は先程と余り変わらない人数が、マスコットの消えた壇上は数台の清掃ロボットが占拠している。さらによく見ると、披露会に登場したキャラクターのグッズなども端で販売されており、客の入りから見ると売上も上々の様。デパートの屋上を貸しって複数の企業を呼び寄せたほどのイベントが、何故に入場無料かという謎(学園都市全面協力というのも少し無理がある)がそれを見て容易に解けた。
「てかオマエ」
「なあに?」
一方通行は青い水玉のワンピースだけを着た打ち止めに、特に抑揚なく質問する。
「オマエ、白衣はどォした? 来る時は羽織ってたはずだろ」
「え? あ、そういえばミサカはワンピースの上から羽織ってたね。どこやったんだろ、ってミサカはミサカは辺りをキョロキョロ白衣の行方を探ってみたり」
「あの壇上前の柵にかかった、布切れみてェな白い物体は違うのか?」
一方通行が指差す先には、壇上への進入防止用として設置されている金属の柵に放置された白衣の姿が在った。
「おお、アレですよアレですとも蟻が十匹アイサンキューってミサカはミサカは御礼を言いつつ白衣のもとを直行してみたりー!!」
「日本語で話せ」
打ち止めは人込みを縫うように走り抜け、壇上前の柵に辿り付いた。が、
「おぉわあ!!?」
辿り付いた直後、ガシャァン!! という軽快な金属音を鳴らして柵と共に前方へすっ転んだ。
(馬鹿かあのガキ・・・・・・謝ンのはコッチなンだけどなァ・・・・・・)
「だ、大丈夫ですかお客様ー!?」
もはや呆れて物も言えない一方通行を尻目に、すぐさま従業員の一人が打ち止めへと駆け寄ろうとする。


だが、その前に異変は起こった。
(――――なンだ? 壇上の清掃ロボの動きがおかしい)
先程から場を綺麗にしようと細かく動き回っていた清掃ロボットが、打ち止めが転んだ直後から少し不自然な動きをしていた。小刻みに移動しているというよりは、ガタガタと振動しているようにも見える。
そして次の瞬間、その清掃ロボットの上部に取り付けられた赤色のランプが点灯し始め、警告音が鳴り響いた。

404牧田さん:2012/10/13(土) 00:38:08 ID:8819CBcs

『――――メッセージ、メッセージ、エラーコードNo.100231-YF。攻撃性電磁波を感知。システムの異常を確認――――』
(エラーコード!? まさか、あのガキ・・・・・・っ!!?)
一方通行が清掃ロボットに目をやると、その所々から薄っすらと黒煙が上がっているように見えた。
つまり、あのロボットが何らかの力にあてられたという事。そしてあの場でそんな事が出来るのは、
(・・・・・・クソガキが!! 転んだ拍子に放電しやがったな!!)

清掃ロボットは警告音を響かせながら不規則に素早く動き回り、やがて壇上の端まで来ると、ロボット全てが勢い余ってそこから宙へと飛び出した。
そしてその真下には、柵ごと転んでうつ伏せになった打ち止めの姿。
「え・・・・・・?」


打ち止めが声を出した時には、自身の何倍もの重量の清掃ロボットが頭上から降り注いでくる寸前だった。
周りの人々からは小さな悲鳴が聞こえ、その場の誰もが目を瞑る。
そしてガシャアアアン!! という凄まじい音が鳴り響き、場に一瞬の静寂が訪れた。

目撃者は瞼を開くのを躊躇っただろう。
なぜなら目を開けた時に見える景色は、転んだ少女が鉄製の巨大なハンマーによって鮮血を撒きながら打ち砕かれる残酷な光景だったからだ。


・・・・・・いや、正確にはそのはず“だった”。

「・・・・・・クソったれが。面倒事は何でもコッチに回ってきやがる」
だが、その凄まじい音は少女が潰された音では無く、“突然乱入した白髪の少年が数台の清掃ロボットを全て蹴り飛ばした音だった”。
一瞬にして飛ばされたロボット達は、壇上の側面を沿うように滑空して反対側(売店の裏で無人のエリア)の屋上柵に勢い良く激突し、電源を落したような警告音の寸断と共に破壊される。
そして大勢の観客の目の前に残ったのは、呆然とする少女とそれに寄り添うように聳え立つ白髪の少年の姿。そして先程まで警備ロボだった金属の塊。
「無事か、ガキ」
一方通行は『いつも通りの表情で』首筋のスイッチを元に戻し、端的に安否を確認する。
「え、あ、うん・・・・・・大丈夫ってミサカはミサカは報告してみたり・・・・・・」
「お、お客様・・・・・・!!?」
状況が上手く掴めていないだろう従業員の一人が先程よりも慌てて駆けつけるが、一方通行はそれを片手で制してから目を見ずに言い放つ。
「コッチの心配するぐらいなら、オマエ等のイベント進行係の心配した方が良いンじャねェか? お掃除ロボットがスクラップになったお陰で、観客ドン引きだしな」
そして一台だけで自身二人分の重量があるであろう清掃ロボを平然と蹴り飛ばした無傷の少年は、続けてこう言った。
「スクラップ共の弁償はする。大事はソッチも厄介だろォし、コッチはとっとと退散するからよ」
それはまるでこの事態を最初から予期していたような、そんな口調にも思えた。


呆然とする従業員とイベントの参加者達の中心で、未だに起き上がっていなかった打ち止めを引き起こした一方通行は小さく呟く。
「(・・・・・・結局、いくら馴染もうとしても無駄だな。オレが存在してるだけで、ロクな事態にはならねェ)」
眩しいものに手を伸ばすと必ず何かの邪魔が入るのは、前から解ってはいた。ここまで露骨だとは思っていなかったが。

場違いな能力でロボットを暴走させた少女と、桁違いな能力でそれを止めた少年は、結局そのまま帰路に着いた。

405牧田さん:2012/10/13(土) 00:39:19 ID:8819CBcs

===============================

「おっかえりー。随分と早かったねえ、まだ昼過ぎだぜ?」
「・・・・・・軽いトラブルだ。気にするほどでも無ェだろォけど」
ソファーで身体を伸ばしていた番外個体(ミサカワースト)の適当な挨拶を適当に受け流しながら、一方通行は部屋に入るなりソファーへと体を落した。
「お疲れみたいだねえ第一位。何があったのか話してごらんなさい」
「それならそこの沈みきったガキに聞け。脳波リンクとやらは、オマエラの間じゃァ関係無いみてェだし」
一方通行の目線の先には、絨毯に顔面を突っ伏して微動だにしない打ち止めの姿があった。どうやら昼間の事で責任を感じてしまっているらしい。
「あらら。我が司令塔様は何をやらかしてしまったんだろーかねー」
あくまで楽しそうに首を揺らす番外個体に、打ち止めは首だけを曲げてその泣きそうな顔を晒した。
「・・・・・・かくかくしかじか、ってミサカはミサカは合理的に状況を説明してみたり。ミサカのせいで色んな人に迷惑かけちゃったみたい・・・・・・」
「ふうん。そりゃあ大変だったね。お疲れ様ー」
番外個体が心底興味無さそうに言い放つ。すると打ち止めは「・・・・・・寝室いってくるね、ってミサカはミサカはうぃるすりーぷ宣言してみたり」などと意味不明な事を口走りながら廊下へ消えていった。やはり相当疲れたのだろうか(主に精神的に)。

そしてそれを横目で流した番外個体は、ニマニマした顔のまま一方通行の方へ目線を向けた。
「・・・・・・で、第一位さんよ」
「ニヤニヤすンな、気持ち悪ィ」
「なんであなたが責任感じちゃってるの?」
「あァ?」
「バレバレだぜ第一位。デパートの屋上の件、自分のせいだと思ってんだろ?」
「・・・・・・」
クスクスと笑いながら的確な質問を突き刺す番外個体に対し、一方通行はいつもの面倒そうな表情で天井を仰ぎ、そして特に反論はしなかった。
「あらま、図星? 変な所で律儀だね、あなたも」
番外個体の笑顔は消えない。だが、その顔から嘲笑は消えている。
「どうせ『オレが存在しただけで悪いことが起こってしまう。オレが居たせいでこうなった』とか自分の存在全否定な事考えてんでしょ? 本当、頭良い癖に何も分かってないねえ」
「・・・・・・うるせェ。上っ面の表情しか出せないテメェに、何が分かるってンだ」
「ミサカの存在理由は今も昔も変わらないよ。あなたを困らせることだけ。上っ面も何も、これ以外にミサカの中身なんて無いんじゃないかな?」
「・・・・・・っ」
「まあ、あなたの存在理由なんて知ったこっちゃないけれど、どうせあの司令塔様でしょ? 本当に打ち止めとの平和な日常とやらを願っているのなら言わせてもらうけれど、『それはそもそもあなたが居ないと成立しないよ』?」
番外個体は、とても楽しそうな笑顔を見せながら言葉を紡ぐ。
「あなたが居て、打ち止めが居て、黄泉川が居て、芳川が居て、何故かこのミサカも居て・・・・・・、それらが滞りなく緩やかに生活していけることがあなたの理想なんだったら、無駄な責任感じる前に一つだけ大事なこと頭に刻んどけよ、一方通行(アクセラレータ)」
そして一方通行が何かを言い返す前に、クローンの少女は言い放つ。

「あなたの存在理由は、ここに存在すること。それだけ守ってれば、割と簡単に理想は叶っちゃうぜ?」

言うだけ言うと、番外個体はソファーを離れて液晶テレビの目の前に座り、再びゲーム機の電源を入れた。昨日も徹夜でゲーム三昧だったというのに、まだやり足りないのだろうか。
「ま、色々言ったけどさ。つまりはあなたが元気なら皆それで良いって訳よ。そもそもあなたが居なけりゃミサカの居る意味無いしね」
「その元気で居て欲しい奴を、オマエは殺そォとしてたけどな」
「今はあなたが居なきゃ日常生活すら地味に危なそうだし、絶対死ぬなよ? 死んだら殺すからマジで」
「そォかよ。ご苦労だな」

一方通行がそう吐き捨てると、番外個体はタイトル画面まで起動が完了した某ガンシューティングゲームを指差して言う。
「一緒にやるかい?」
「やらねェよ」
「だよね」
その皮肉気な笑顔は、一方通行の表情を僅かに緩ませた。

406牧田さん:2012/10/13(土) 00:42:43 ID:8819CBcs
投下終了です。なんか見直すとあんまり出来がよくない感じが・・・・・・

それとまとめの編集ですが、このSSについては諸事情で自分で編集したいと思います(載せる場所はいつもの場所)。

それでは、よい暇潰しになれたこと祈って。

407我道 ◆XksB4AwhxU:2012/10/13(土) 21:37:02 ID:e/4/3OD6
あれ? あのWiki編集って自分でやんなきゃいけないの? てっきり誰かがやってるんだと思ってましたー。(^^;)

それはさておき。久しぶりに投下があって何より。
番外個体ちゃんが一方通行を悪く言っているのに諭している雰囲気が良いですね。

408■■■■:2012/10/15(月) 17:39:14 ID:zL6T4NqY
>>407
誰が、とかは特に決まってないけど、大体は誰かしらがやってくれてたりする
編集に関して作者個人の拘りとかいれたい場合は、自分ですることもあるけどね

>>406
久々の投稿、お疲れ様でした
牧田さんの短編は予想外のオチとかが無いので本当に行間みたいな感じになってますが、そういう雰囲気は個人的に好きです
一方さんのネガティブ思考を適当なノリで注意する番外。しかも番外はなんだかんだでまともな事言ってるので一方も言い返せないというw

409我道 ◆XksB4AwhxU:2012/10/17(水) 19:35:08 ID:s1K0WCqw
どうもお久しぶりです。ひょっとして私の投下が4ヶ月空いたのは初めてだったかもしれない。
本当にずぼらですみません。(^^;)
というのも、最近、動画作りにハマり込んじゃいまして、以前、元ネタURLとか言って貼ったアレも私があっちで投下したやつだったりします。あんまり視聴してもらえないのが寂しいんだけど。(^^;)

と言ってもまあ!
だからと言って執筆趣味に陰りが出てる訳でも無くて単に筆が遅いってだけで(待ってくれている人がいると感涙なんですが)お待たせしました『死霊都市の境界』第3章!
内容を忘れてしまったって人は、大変申し訳ないですけどこのスレで1章と2章を見返していただけると嬉しいです。

さて、今回の注意事項は!

・能力にオレ流設定追加!(たぶん、この能力者はいなかったと思ってます故)


かな?
それでは第3章どうぞ!

410死霊都市の境界3−1:2012/10/17(水) 19:36:36 ID:s1K0WCqw
「おら! さっさとズらかるぞ!」
「ああ!」
 突如の爆発によって破壊されたシャッターの奥、まだ煙立つ影から三人の男が姿を現す。
 一人は長髪でがっしりした体つきの妙に歯茎が特徴的なタンクトップの男。
 一人は口から下に白のバンダナをマスク変わりに付けているボサボサ髪の男。
 一人は鞄を後生大事に抱えているちょっと弱気だが悪いことに憧れをもっていそうな高校生くらいの男。
 吹き飛ばされたシャッターの上の壁には金融機関の名前が彫ってある。
 もう説明の余地はない。状況判断だけで銀行強盗だと解る光景だ。
 となれば、
「どうやら、わたくしの出番のようですわ――――お姉さま!」
「んー?」
「わたくしは事の鎮静化に当たります。警備員が来るまでには少々かかるでしょうし、それまでに奴らの逃走が完了しないとは言い切れませんの!」
「で?」
「こういうことを一般人であるお姉さまにお願いするのは心苦しいのですが――――」
「まっかせなさい!」
「こちらの『インデックス』さんの『監視』をお願いします!」
「あ、そっち?」
 てっきり鎮静化を手伝うよう言われるかと思って、待ってましたとばかりに左手で右肩を抑え右腕をぐるぐる回してまで意気軒昂に吼えた美琴は思わず肩透かしを食ってしまう。
 気付けば目の前に、隣にいる少女とまったく同じ姿の少女が来ていた。
 白井黒子がテレポートで置いたのだろう。
 すでに白井の姿はない。
 どこに行ったのかといえばもちろん、
「ジャッジメントですの! ここからは逃がしません!」
 右の二の腕に誉れ高き緑の腕章を身に付けて強盗犯たちの前に立ちはだかっていた。
「って、あなたたちは!?」
「「て、てめえは!?」」
 白井と長髪の男とマスクの男が同時に素っ頓狂な声を上げた。
 そう。
 銀行強盗犯三人の内、二人は以前、白井黒子が撃退し逮捕した人物だったのである。




「へっへへへへへん! 久しっぶりだっなぁ小娘っ!」
「…………何をキョドってらっしゃいますの?」
 口元をマスクで覆った男が真っ先に白井へと声をかける。白井の言う通りでえらく噛み噛みだった。
 無理もない。
 以前、白井に撃退された時はズダボロのボロベロにやられたのである。
 トラウマになっていても当然と言えるし、当時のこの男の白井の評価は『捕まったが最後、身も心も踏み躙って再起不能にする最悪のテレポーター風紀委員』だったものだから、彼にとってその脅威推して知るべし。
「それにしても、せっかく忠告して差し上げましたのにまた同じ過ちを犯しますとは……はぁ……」
 白井は思いっきりため息を吐くしかなかった。
 この男を捕獲した時、白井は男の能力のレベルを賞賛し、そのレベルに到達するまでの努力ができるなら間違った方向に使わなければ、とまで言ってやったのだ。
 それをこの男は『踏み躙った』のである。白井が呆れてしまうのは無理からぬことだった。
 もっとも、後々、この男も昨年の夏に学園都市に騒動になった『幻想御手』を使用していたことが明らかになったので、あの時の発火能力は努力でも何でもなかったことになり、再び、このような愚行に走ることは予想できないことでもないのかもしれない。

411死霊都市の境界3−2:2012/10/17(水) 19:38:09 ID:s1K0WCqw
「へっ! ビビんなって。こんな小娘の一人や二人どうにでもなるだろうがよ、あぁ?」
「そ、そうだったな……ははっ」
 そんなマスクの男の肩に手を置いて、下劣な笑みを浮かべて不安を取り除く声をかけたのは長髪タンクトップの男だ。
 ――――!!
 白井の表情に緊張が走る。
 長髪タンクトップの男もまた、白井によって逮捕された人物ではあったのだが、白井にとっては発火能力者など足元にも及ばないほどの戦慄を覚えた人物なのだ。
 彼の能力は『偏光能力』。
 視覚情報に頼らざるを得ない絶対多数の『人間』の最大の弱点を付く、光の屈折を利用した『幻惑』能力。
 白井もまた例外ではなく、辛辣を舐めさせられた。想像以上に苦戦した。
「てなわけだ小娘。今度は前のようにはいかんぜ」
 呟き、ガンを飛ばす偏光能力。
 その背後では発火能力者が掌の上に炎を作り上げている。
「――――まさか!」
 白井は即座に周りを見回した。
 すでに野次馬がある程度距離を置いているとは言え、たむろしている。
「まずいですわ!」
 白井が声を上げると同時に発火能力者が炎を投擲!
 白井は打ち落とすべく、太もものホイルスターから金串を取り出して炎めがけて投げつける! その風圧で炎を鎮火しようと試みたのだ!
 が、金串は炎を素通りしただけだった。
「えっ!?」
 いぶかしげな声を漏らすと同時に左肩に走った灼熱感!
「あぐっ!」
 そう。見えている炎はまだこちらに到達していないのに『見えない炎』が白井の肩を焼いたのだ。
 即座に左肩を抑えて、
「…………くっ……そのような使い方がありましたか…………」
「そういうわけだ」
 言って無造作に近づいてくる偏光能力がゆっくりと拳を振り上げる。
 白井は当然、ガードすべく自身の右腕を目の前に掲げるが、
「ぐふっ!」
 衝撃はわき腹から来た。その勢いで吹き飛ばされて地面を滑る。
「おいおい忘れちまったのか? 俺の攻撃はお前には『視えない』んだぜ」
「そ、そうでしわね……」
 わき腹を押さえつつ、息を吐きながら、それでも偏光能力を睨みつける白井黒子。
 再び、発火能力者が偏光能力の後ろから炎を投げつけ、その炎は偏光能力の真上に表れた。
 が、もちろん、それが『本物かどうか』なんて分からない。
「きゃあっ!」
 今度は白井の右膝に灼熱感が走る。
 そう。発火能力者は一度、『偏光能力の傍に炎を走らせる』ことによって、その炎の位置を惑わせることにして相手に投げつけているのだ。
 そしてまた、『偏光能力』そのものは『視覚情報』に食い込んでくるため、『惑わされてしまうことに対して』言えばレベルは関係ない。
 いくら今回は『幻想御手』の恩恵が無くとも『偏光能力』そのものは白井黒子に通用するのである。
 加えて発火能力者の炎が幻惑されているということは、これも直撃すれば発火している以上、最低でも摂氏四〇〇度であるからして、どんなに高レベルな能力者であろうと、肉体そのものは生身の人間と変わらないだけに直撃すればダメージになる。なってしまう。
 白井の苦戦は免れない。
 この場はやじ馬が多数いる上に廃ビルではないのだ。
 偏光能力相手に前回のような手段を使えないとなると、網膜情報にどうしても惑わされてしまうため、対処のしようがない。
 しかも発火能力者の力も目くらまししているのだ。周りに与える被害を考えると白井は避けることもできない。
 八方ふさがりとはこのことだ。
「さあて小娘、前ん時のカリを返させてもらうぜぇ……」
 下衆な笑いが深くなる。
「くっ……」
 無造作にゆったりと近寄ってくる偏光能力に白井はなす術はない。
 ただただ、睨みつけるしか対抗手段はないのだ。
 その背後から発火能力者が三度、掌を上に向けて炎のエネルギーをうねらせている。
 逃げ場はない。
「オラ、俺にブッ飛ばされるか、黒焦げになって道を開けるか選べ」
「……はん……どっちもお断りですわ……」
「ほぉ……んじゃあ――――ご褒美に『両方』だ!」
 吼えて偏光能力が拳を振りかぶる。
 しかし今、見えている拳は偽物なのだ。実際はどこから来るか分からない一撃なのだ。
「死ねやオラァァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!」
 同時に背後から紅蓮の炎が周囲に火花を撒き散らして発射される。
 白井黒子に避ける術はない。
「黒子ぉぉぉぉぉおおおお!!」
「白井ぃぃぃぃぃいいいい!!」
 自動車道路を挟んでいるため、行き交う自動車が美琴と上条の行く手を阻む!
 この二人も間に合いそうにもない。

412死霊都市の境界3−3:2012/10/17(水) 19:39:56 ID:s1K0WCqw




 それでも現実は意外なところから白井黒子に救いの手を差し伸べる。




 覚悟を決めたかのようにギュッと瞳を閉じた白井の聴覚が二つの衝撃音を捉えた。
 一つは何かの弾けるような音。
 一つは何かが炸裂したような音。
 しかし、音響のみで白井自身には何の衝撃も届かない。
 そっと、恐る恐るまぶたを上げてみた。
「え……!」
 眼前に映し出された光景は銀と紺。
「……女の子を痛ぶるなんて最低なんだよ」
「て、テメエ……ナニモンだ……?」
「あなたみたいな下衆野郎に名乗る名前なんてないかも!」
「ぐあっ!」
 偏光能力が吹き飛ばされた。
 単純な力押しだが、偏光能力はもんどりうってアスファルトに背中をこすらせる!
 吹き飛ばしたのは、銀髪オッドアイで紺のとんがり帽子とフードとローブを纏うインデックスだ。
 白井からは、彼女の表情は背中を向けているので窺い知ることはできないが、声色からすると相当憤慨しているようである。
「えっ!?」
 白井黒子は俄かに信じられなかった。
 素直に解釈するならば今、発火能力者の攻撃と偏光能力の拳を迎撃したのは目の前の魔女っ子コスプレ少女ということになる。
 しかしである。
 偏光能力が絡んだ攻撃だったのだ。
 拳にしろ炎にしろ、目にしている情報は惑わされている攻撃だったのだ。
 それを寸分の狂いもなく的確に処理したのである。
 しかも、彼女は道路を挟んだ向こう側に居たはずだ。
 あり得ない。
 迎撃以前に、この場に、白井の目の前に居ることがあり得ない。
「い、インデックスさん……?」
 呼びかける白井に、
「司法取引」
「はい?」
「私はあなたを手助けするんだよ。だから、さっきの無銭飲食を放免してほしいかも」
「……ということは、あなたはわたくしの知人ではない方の『インデックス』さんですわね……?」
「そうなんだよ。で、どうなの?」
 振り向きもしないで背中で問いかけるインデックスに、場違いにも苦笑を浮かべる白井。
「それは……」
「短髪がお金を払ってくれたし、あのお店の人も通報だけで被害届は出していないはずなんだよ。それなら無銭飲食そのものが無かったことになるかも」
「む…………」
「私にはやることがあるんだよ。だから、少しでも拘束される事態は避けたいんだよ。この場を手伝う代わりに見逃してほしいんだよ」
 どこか真摯に、少々焦っているように持ちかけられて白井の心は揺れる。
 どんな方法かは分からないが、インデックスが偏光能力の攻撃を退けたのは事実だ。
 だとすれば、それは彼女は犯人確保に相当の戦力になることを意味する。
 それとインデックスが言った通りで被害届も出ていなければ料金も払ったことになっているし補導する理由は無いと言えば無い。
 しかも友人の方のインデックスが学園都市に滞在登録されているから、顔写真だけならば、多少仮装していようがおそらくこの少女が不法侵入扱いされることは無い。
 それでも、彼女は正体不明の人物だ。
 白井の友人と同じ名前、同じ姿、同じ声色、同じ喋り方とは言え、別人で得体の知れない人物だ。 
 とは言え、この場に関して言えば彼女の協力は喉から手が出るほど欲しい。
「どうかな?」
 再びインデックスが聞いてくる。
 そこで白井はハッとした。
 彼女は一言も自分が有利に交渉を進められる言葉を発していないことを。
 彼女は一言も「じゃ、あなた一人であいつらをなんとかできると思うの?」と言っていないことを。
 そのことに気付いてしまったのだ。
 最初から彼女は協力する気であり、逃げる気など毛頭ない。
 見逃してほしいという下心はあるが、それでも交換条件を付けているのだ。
 片や、被害届も被害らしい被害も出ていない無銭飲食娘。
 片や、器物破損に公務執行妨害すら犯している強盗三人。
 どちらを補導してどちらを見逃すかは明白だ。
 白井の腹は決まった。

413死霊都市の境界3−4:2012/10/17(水) 19:41:21 ID:s1K0WCqw
「あなたが学園都市で何をなさるつもりか存じませんが、後ほど治安を乱すようなことをされるのであればその時に拘束させていただきますの……」
「てことは、今は?」
「ふふっ、犯人確保のため、協力を願いますわ!」
「そうこなくっちゃ!」
 白井の鋭い笑顔に無邪気な笑顔を返すインデックス。
 二人の共同戦線が張られた瞬間である。


「くっ! よくもやりやがったなぁぁぁあああああああああああああ!!」
 もんどりうって倒れていた偏光能力が飛び起きて。
 再び白井とインデックスめがけて突進!
「インデックスさん、そちらの男をお任せしてよろしいですの? わたくしはあちらの発火能力者を抑えますわ」
「――――了解なんだよ」
 白井の指示にインデックスが不敵な笑顔を見せる。
 同時に白井の姿が掻き消えた。
「けっ! あの小娘は後回しだ! まずはテメエからだ!!」
 が、偏光能力は意に介さず下劣な笑いでインデックスに肉薄する!
 刹那、迎撃態勢を取ったインデックスが両眼を閉じた。
「あん?」
 偏光能力がいぶかしげな声をもらしながらも拳を繰り出す。
 対するインデックスは少しスウェーしてその右手を掌で包み込み、その勢いのまま、柔道で言うところの背負い投げのように偏光能力をブン投げた!
 どぐわしゃあっ!
「うぐおえあ!?」
 まともな受け見を取れず背中を強打する偏光能力!
 即座にうずくまって背中に手を置き、ガクガク痙攣している。
 そのまま肩越しに視線を移して、
「て、てめえ……俺の力が……通じない……ってことは能力追跡者(AIMストーカー)、か!?」
 愕然たる面持ちで問いかける偏光能力。
 対するインデックスはまぶたを上げて、
「力? へぇ、あの程度のことで『力』って言うんだ。私からすれば『手品』くらいにしか感じないかも。しかもネタがバレバレなんだよ」
「ちっ!」
 インデックスの嘲笑に偏光能力は舌打ちして立ち上がる。背中に手を置いたままではあったが。まだ結構痛みが残っているのだろう。
 そんな彼の様子を眺めながらインデックスは、
「今度はこっちの番だよ」
 不敵に呟いて、すーっと、両足を少し開いた臨戦態勢のまま浮き上がる。
「んなっ!? 空中浮揚、だと!? そんな馬鹿な!? それは、その能力は!?」
 当然、困惑する偏光能力。
 無理もない。異能の力を『自分だけの現実』によって具現化する『能力者』が数多いる学園都市においてでさえも、空中浮揚能力者は存在しなかったのだ。
 第一位の一方通行、第二位の垣根提督ですら『飛んでいた』のは、あくまでも能力を駆使した『滞空時間の長いジャンプ』でしかなく、第三位の御坂美琴、第四位の麦野沈利にいたっては降下速度を落とす程度のもので、美琴は磁力を利用して壁から壁へと跳躍することはできたが、それでも二人に共通して言えることは空を舞うことはできなかった。レベル4で空間移動能力者の白井黒子と座標移動の結標淡希は能力によって単に自身の体を上空に移動したに過ぎず『飛んでいた』訳ではない。
 にも拘らず、目の前の魔女っ子はジャンプすることも勢いを付けることも風を纏うことも羽根を生やすこともなく文字通り浮き上がったのだ。
 偏光能力はこの場に少女が突然現れた理由はこれかと予測した。確かに空から来る分には障害物は無いし、突然現れたようにも感じるかもしれない。拳を繰り出した時、偏光能力は白井しか見えていなかった。
 驚嘆で固まりながら視線だけを自分へ向けることしかできない偏光能力を傲然と見下ろすインデックス。
 そのまま口の端を釣り上げた笑みを浮かべた。
 しかもそれは、前髪の影を濃くして瞳をより鮮明に見せながらの嬉々とした笑み。
 言い換えれば、悪魔の微笑。
 偏光能力に恐怖の戦慄が走り、背中には冷たい汗が伝う。
 しかも何か呟いているのが見える。小声なのと空中に居る分、距離があるので何を言っているのかが分からない。


 ――――!?


 少女の笑みが深くなったことが見て取れた。

414死霊都市の境界3−5:2012/10/17(水) 19:42:31 ID:s1K0WCqw
 同時に、
「グラビデジョン!!」
 掌をこちらに向けて叫ぶ少女!
 刹那、偏光能力の全身が強烈な重力、Gに襲われる! それは、比喩ではなく本気で押し潰される強烈なプレッシャー!!
 既に彼は地べたに這いつくばり、身動き一つ取れないばかりか声すら絞り出せない中、その代わりにミシミシ鳴り響く全身で悲鳴を上げている!!
「あ……ぐ……わ……!!」
 体中の軋む音が大きくなっていく。
 反射的に『声が出た』。




 その様子をようやく陸橋を渡ってこの場に到着した上条当麻、インデックス、御坂美琴の三人は愕然として立ち止まった。
 もう一人の『インデックス』の力に慄いたのだ。
「何あの子……もしかして重力を操る能力者なの……?」
「……それはひょっとして一方通行と同じ類のものってことか………?」
 美琴の疑問に推測を述べる上条。
「どうなんだろ……でも正直言って、あの子が使っている『力』と一方通行の『ベクトルコントロール』とは別モノのような気はするんだけど……だって、ベクトルコントロールできるならあの男の拳を止めたりブン投げたりするまでもなく反射一発で終わりだし……純粋に『重力』を増減させているだけのような…………」
 上条と美琴がそんな会話を交わしているその横でインデックスは言葉を失くして立ち尽くしていた。




 掌を下に向け、ヒキガエルのように押しつぶされている偏光能力を卑下した視線で見下ろしながら『インデックス』が呟く。
「あなたの『力』は、光の屈折をコントロールした単なる目くらまし。それも範囲は数十cmか広くても数メートルくらい。要は自分への攻撃を回避できる距離くらいしかないんだよ。それなら、その範囲まとめて攻撃すればあなた程度、やっつけるのは簡単かも。だって拳で攻撃してきたってことは目くらまし以外何もできないって意味だから」
 何とも可愛らしい女の子のような口調で語りかけるインデックス。
 それが逆に『恐怖』を助長してしまっている。
「うぐえ……!」
 最後に盛大なごきんという音響を体内に聞いて偏光能力の意識は闇に落ちた。
 その様子を一瞥してから今度は別の方向へと視線を移す。
 そこには白井黒子と発火能力者が睨み合っていた。
 どうやらこちらの状況には気づいていないらしい。
「それじゃ――」
 インデックスは再び何かを呟く。




 偏光能力はインデックスが抑えてくれる。
 根拠はないがそれを信じることができた白井黒子は発火能力者に集中する。
 前回は簡単に退けた相手。
 しかも今は目くらましもない。
 負けるはずがない。
 普通に相対するならば。
 しかし、と白井は思う。
 前回とは違って周りにはやじ馬が大勢いる。それも、離れていればいいのに発火能力者の能力射程距離内に大勢。
 前回のときはやじ馬が集まる前に片づけられたので大事には至らなかったが、今回は偏光能力者が居たので時間がかかってしまったのだ。
 もっとも退ける方法が無いでもない。ただそれはちょっとばかし熱い思いをしなければならない方法なのだ。
「ま――四の五の言ってられませんわね。風紀委員になった時からそれくらいは覚悟してませんと」
 呟き、白井は一つため息を吐いた。
「何ごちゃごちゃ言ってやがる!」
 白井のつぶやきが二人の硬直状態を解いたらしい。発火能力者が掌を上に向け、烈火のエネルギーを漲らせる。
「言っておきますけど」
「――!?」
「そちらをわたくし目がけて投げてきましたなら自身が炎に身を焼かれる覚悟が必要ですわよ」
 白井の不敵な笑みに、発火能力者は一瞬躊躇した。
 白井の狙いが見えてしまったのだ。
 もっとも、その一瞬が命取りになる。なってしまう。
 なぜならば、
「え?」「は?」
 突然、地面から強烈な噴水が発射され、ちょうど、それが発火能力者の右手を飲み込んだ。
 当然、発動しかけた炎は強制鎮火される。能力で作り上げたものとは言え、具現化した炎の勢いからすれば突如噴射された水の方が威力はあった。
 一瞬、呆気にとられた白井黒子ではあったが、この突然の出来事は偶然地下を走る水道管パイプが破裂した、としか思わなかった。

415死霊都市の境界3−6:2012/10/17(水) 19:44:14 ID:s1K0WCqw
 故に白井は即座に我に返って、
「いただきですわ!」
 即座に足に巻いてあるホイルスターから金串を三本、右手の指と指の間に挟み込んで投擲!
 その際、翻ったスカートから下着は見えなかったが、ほとんど見える位置まで上がったのと、そこから覗いた生ふとももがちょっと扇情的だったので、場違いにも拘らず、野次馬の野郎どもから歓声が上がる。
 もっとも白井はそんな外野の声など歯牙にもかけず、発火能力者を近くにあった街路樹に磔にした。
 勝負あり。
「どうやら、日頃の行いの差が出たようですわ。ついてませんでしたわね。足元の水道管が破裂いたしますとわ」
 心の底から嘲笑を浮かべる白井に発火能力者は何も言えず歯ぎしりするしかできない。
 白井はもはや危機は去ったということで、無造作に近づき、発火能力者にリミッター付の手錠をかける。これで能力は使えない。
「さてと、それではわたくしはインデックスさんの――――って!?」
 意気揚々と振り返り、確か偏光能力とインデックスが相対していた方向へと視線を移してみれば、そこには笑顔のインデックスがひらひらと左手を振っている姿しかなかった。
「え、ええっと……インデックスさん……?」
「あ、そっちも片付いたんだね。じゃ、契約成立かも」
「え? え?」
「私も、あの男を黙らせたから」
 ニコニコ笑顔のまま、インデックスが地面を指差す。もちろん、白井は視線をそちらに向けるわけだが、
「はい!?」
 なんとそこには偏光能力が突っ伏して、しかも地面がちょっとしたくぼみになっていたのである。くぼみというと軽い感じもするが、アスファルトの路地がくぼんでいるのだ。どでかいハンマーで思いっきり殴り付けたなら、こうなるかもしれないが、偏光能力の肉体でこうなるとは到底思えない。
 もちろん、偏光能力の意識は無い。
「それじゃ私行くね」
 笑顔のまま、踵を返すインデックス。
 再び茫然としていた白井ではあったが、
「お、お待ちになって!」
「ん? 何かな?」
「その……犯人確保にご協力いただいたというのに、こういうことを言わなければならないのは大変心苦しいのですが……」
「ほえ?」
 苦笑満面の白井の言葉に、きょとんとした表情でインデックスは向き直る。
 対する白井は偏光能力の方を、正確にはその下の地面を指差して、
「非常に申し訳ございませんが、器物破損の現行犯でございます……便宜は最大限図らせていただきますので、ご同行願えませんでしょうか……」
「あ゛」
 さすがに、これだけ野次馬という名の目撃者が居ると白井も見過ごす真似はちょっとできなかった。風紀委員や警備員なら始末書で済むかもしれないが、このインデックスはあくまでも一般人であり、しかも、正体不明の人物なのだ。今、形だけでも連行しておかないと、ある意味、厄介なことになるのは目に見えている。でなければ、毎回毎回面倒事を起こす御坂美琴に逃走を促すはずがない。
 インデックスもさすがにこれを見過ごしてもらうのはどうかと思ってしまった。
 逮捕協力だったとは言え、もうちょっとやり方があったことを認めざるを得なかった。
 ちなみに『三人目』は何の能力も無い単なるカバン持ち係。
 偏光能力と発火能力者がやられた様を見せつけられて恐怖に慄いて、その場で震えていたので逮捕するのは容易だったことだけは付け加えておく。




 白井黒子と『インデックス』の共闘を野次馬に交じって見ていた上条当麻は愕然とした。
 それはインデックスと御坂美琴も同じだった。
 数多くの野次馬の中で『そのこと』に気付いたのはこの三人だけだった。

416死霊都市の境界3−7:2012/10/17(水) 19:45:30 ID:s1K0WCqw
「……なんなんだ……今のは…………」
「分かんないよ……」
「あの子が噴射水を発生させなかった……?」
「俺にもそう見えた……白井や周りは気付かなかったのか…………?」
「そうみたいかも……でも……『あすふぁると』にはヒビ一つ入っていないんだよ……」
 そう白井黒子も野次馬も水道管が破裂した、としか思わなかったのだ。
「じゃあ何? あの子は重力を操る能力と水を操る能力があるってこと……? 重力操作で水は発生させらんないわよ……」
「しかもあいつ……空を舞ったり、相手を押し潰したり、噴射水を発生させたりしたときに、何か呟いていたよな……? 魔術師……か……?」
 空を飛ぶことと相手を押し潰すことは重力操作で説明がつく。重力を増減させて、だからだ。
「あり得ないんだよ!」
 上条の推測を間髪いれずインデックスが否定する。
「魔術は儀式の一種なんだよ。何も持たずに『儀式』はできないんだよ。つまり、魔術を行使するためには何らかの『媒介』が絶対不可欠で、あの子の着ている装束は何の術式も施されていないから、『何も持たずに』魔術を行使するなんて絶対にできない」
 どこか焦燥感に駆られて言葉を並べるインデックス。『インデックス』の着ている魔女っ子衣装に術式が施されているかどうかはインデックスクラスになれば見るだけで理解できるのだ。
「てことは、あのインデックスは能力者か? 能力者なら『自分だけの現実』で異能の力を行使できるし、媒介は必要ない。あの呟いていた言葉は精神集中のためのおまじないとか……」
「アンタ、それでも学園都市の学生? 習ったはずよ。能力は一人一つ。理論上、複数の能力を一人の能力者が行使することはできないのよ」
「……、そうだった……」
 上条の言葉を即座に否定する美琴だが、美琴自身は一人だけ複数の能力を操った『能力者』を知っている。
 もっとも、彼女は正確には『デュアルスキル』ではなく『マルチスキル』で、単に一万の能力者のAIMを束ねて『能力の向き』を『操った』に過ぎず、それは能力者とは言わない。魔術の話に例えるなら禁書目録を持つインデックスが近いだろう。魔術は使えないが一〇万三〇〇〇冊の魔道書の知識で魔術を『利用』できるという点で。
「だから、あのちっこいのは能力者でもないってことになるわ……」
「どういうことなんだよ? それはひょっとして『第三の異能の力』ってこと?』
 美琴の結論に、インデックスがどこか食ってかかるように聞いてきた。
 しかし、美琴は何も答えられない。
 魔術でも科学(=能力)でもない異能の力。
 そんな存在がいるとすれば科学サイドにも魔術サイドにも属さないことになる第三勢力ということになる。
 科学と魔術は互いに牽制し、また必要以上に立ち入らないことによって世界のパワーバランスは均衡を保ってきた。それが三ヶ月ほど前の第三次世界大戦で科学側に大きく天秤が傾いたはずなのだが、仮に第三勢力が存在するとするならば、それを味方に付けた方が、パワーバランスを大きく傾けることができ、どちらかのサイドは有利に立てることを意味するし、逆に第三勢力の力が想像以上に大きいとするならばお互いにとっての脅威に成り得るということで三竦み状態を選ぶか、科学と魔術が手を組む道を選ぶかの二択を迫られることになる。
 いずれにせよ、第三勢力の出現は科学サイドにとっても魔術サイドにとっても未知の恐怖であることは間違いない。
 もちろん、『原石』という魔術でも科学でも説明できない天然の存在がいることはいるが、そちらは絶対数が少ないのと、『創り出せる』ものではないのでで双方にとって脅威とまではいかないのである。
 さて、あの『インデックス』は――――
「とりあえず、本人に聞いてみりゃいいんじゃねえか?」
 上条がとっても建設的な意見を述べて、
「……それもそうね。あの子と接してみたけど悪い子じゃなさそうだし……」
 美琴が追随して、
「うん。それがいいかも。きっと、あの子は良い子に決まってるよ。悪い子は黒子のお手伝いしないもん」
 インデックスが笑顔で首肯する。
 ちなみに五和を病院送りにした件に関して言えば、『インデックス』を知り合いと(瓜二つだったとは言え)見間違えた五和に非があり、不用意に声をかけた五和自身の過ちである。当時、事情を知る由もない『インデックス』からすれば名前を呼ばれてしまえば相手を疑うことが当然だからだ。
 野次馬が四散し、白井と『インデックス』だけになったところで、三人は小走りに白井と『インデックス』に近寄っていって、真っ先に声をかけるのは少なからず会話を交わした御坂美琴がいいだろう。

417死霊都市の境界3−8:2012/10/17(水) 19:46:39 ID:s1K0WCqw
「ねえ、ちょっと」
「ほえ?」
 美琴の呼びかけに反応する『インデックス』。
「どうなさいました、お姉様?」
「あ……ええっと……そうね」
 ため息をひとつつく美琴。
 というのも、白井黒子は何が何だか分からない。そこで美琴が白井に事情説明をすることにして、『インデックス』に問いかけるのはインデックスと選手交代。
 なぜ、上条当麻で無いかというと、実のところ、上条はここまで、『インデックス』とはまったく言葉を交わしていなかったりするからであり、それはインデックスも同じなのだが、インデックスと『インデックス』は姿形、声色から喋り方までまるっきり同じなので『自分と話す』という感覚になる分、心を許しやすいだろうと踏んだからだ。
「あのね、今、あなたの行使した力について聞きたいんだよ」
「私の『力』?」
 予想通り、『インデックス』はきょとんとはしたが、自然にインデックスへ声を返している。
「うん。私ととうまと短髪で見てたんだけど、あなたの使った力は魔術でも科学でも無かったかも。だから、どんな『力』か知りたいんだよ」
「…………かがく? まじゅつ? えっと、聞いたこと無い名前かも。私の使った『力』はそういう名前じゃないんだよ」
「科学でも魔術でも無い?」
「うん。ていうか、さっきも言ったけど私はそんな言葉知らないし」
「じゃあ、あなたの使った『力』は何て言うんだよ?」




「んーと、えーと…………私たちの言葉にするけどいいかな? あれはね、『魔法』って言うんだよ」




 どこか自嘲の笑顔で『インデックス』が言葉を紡いだ途端。
 上条当麻、インデックス、御坂美琴、白井黒子の四人は絶句して固まった。
 そんな四人を尻目に『インデックス』は、
「あっと……『魔法』ってのはね、自然界の六元素、天・地・火・土・風・水の構成を『言葉』で変換して『力ある形』に創り上げて発動させるものなんだよ。それは『自然にはそうそう発生し得ない事象』なんだけど『自然の理』の中で作り上げるものに当たるんだよ。だから、『魔法』って言葉は『自然の法則に従って摩訶不思議な力を創り出す』って意味なんだよ」
「…………それだったら『魔法』じゃなくて『摩法』かも」
 それでも硬直から真っ先に立ち直ったのは、この中では唯一、『プロ』のインデックスだ。
 声はまだ茫然としていたが。
 ちなみに上条、美琴、白井の三人は基本的には『プロ』ではない。この場合の『プロ』とはその分野で飯を食っている人を指すという意味ではなく、場数を踏んでいるので、素早く冷静になれて、どんな状況でもある程度対応できる人を指す。美琴と白井は『自分だけの現実』という『確固たる信念』の持ち主ではあるが、インデックスとの場数という名の経験値は遠く及ばない。
「そんなの知らない。昔から『魔法』って言われてたんだから、過去に命名した人に言ってほしいかも」
 ぷーっと頬を膨らませて憮然と返す『インデックス』。
「どっちにしろ……一つ分かったことはあの子の振るう力が『科学』でも『魔術』でもないってことね……」
 もっとも『インデックス』のなんとも微笑ましい態度が美琴の硬直を解いた。それは上条と白井も同じだ。
「それも『生まれたときから備わった才能』でもなさそうですわ。今の説明からしますと、『自然の構成を変換する言葉』を理解することができれば誰にでも、というと語弊がありそうですけど、使えそうですもの……」
「『自然の力』を操る力、『魔法』……。けどよ、『言葉』にそこまでの力はあるもんなんか? それって『自分だけの現実』で物理法則を捻じ曲げるのと似てないか?」
 上条はまだ釈然としていないらしい。
「あり得ない話じゃないよ。現に私は以前、ひょうかを助けたときに短髪から教えてもらった縛りの仕組みを『歌』という祈りの『言葉』で解除したし、日本でも『言葉』は『言霊』って言われるほど力を宿すって聞いたことあるし、それを応用した術式が存在するんだよ。降霊術とかお札とか」
「あと、科学的に言えば『言葉』も『音』の一種。『音』の出る仕組みは『空気』という名の『大気』を振動させることよ。てことは、その『大気の振動』を解明して操作することができれば『大気中』にすべて含まれている『自然界の元素』を分解再構築が可能かもしれないことは否定できないわね」
「う゛……」
 魔術と科学の双方の見解から説明されてしまえば上条も納得せざるを得ない。

418死霊都市の境界3−9:2012/10/17(水) 19:47:53 ID:s1K0WCqw
 全員が『魔法』の存在にある程度の納得をし、五人は再び、風紀委員の詰め所へと歩みを進めることにして。




 しかし、そうは問屋は卸されなかった。




 とは言っても別に新しい敵が眼前に立ちはだかったわけではない。
 しかしある意味、新しいトラブルが眼前に舞い降りたからである。
「ふむ。理由は解らんがこちらのお嬢さん、数日間ほど寝ていなかったようだ。睡眠不足から来る疲労が相当溜まっていたよ」
 場所は第七学区内にある、カエル顔で有名なのに、その腕はブラックジャックさえも舌を巻くほどの名医が院長を務める病院の一室である。
「はあ……?」
「疲労、でございますの?」
 美琴と白井がいぶかしげに声を漏らしていた、その目の前には件(くだん)の医者がいる。
「とりあえず鎮静剤を射っておいたよ。これなら一晩は目を覚まさないだろうけど、明日の朝には疲労も取れるはずだ。身体には異常はなさそうだし、なら、睡眠が疲労回復のための一番の良薬だよ」
 医者の目の前には、すーすーと寝息を立てている『インデックス』がいた。
 そう。新しいトラブルとは、『インデックス』が詰め所での調書作成中、何の前触れもなく、いきなり倒れてしまったことである。
 ちなみに今寝入っている『インデックス』は、もちろん、とんがり帽子を外している。ただ言うまでも無く、銀髪の髪型はインデックスと『髪の長さ』まで同じだったわけだが、しかし、ここで一つ、決定的にインデックスとの違いがあったことが明らかになった。
 なんと彼女の『オッドアイ』はカラーコンタクトではなく、身体的特徴だったのである。しかも、先にも述べたとおり、身体に異常が無いわけだから、ごく稀というよりも希少価値に等しいほどの天然虹彩異色症。
 コンタクトをしたまま眠るというのは大変なことになる、というのは常識で、それゆえ、『インデックス』がオッドアイだったものだからてっきりコンタクトかと思い、外そうと試みて、そこで天然であることが分かったのである。もしかしたら『魔法』と何か関係があるのかもしれないが、今はまだ、本人から聞くことはできない。
 ちなみに、倒れて意識が無かったはずの『インデックス』は、無理矢理目を開けられ、指を突っ込まれた瞬間に『反射的』に『魔力爆発』という名の『魔法』を暴発させてしまったのだが、それは『異能の力』であれば全てを無効化する上条当麻の右手によって防がれたので事なきを得ている。もっとも『魔法』にも『幻想殺し』が効くとはいったい『幻想殺し』とは、どういった仕組みでどういった力を意味しているのだろうか、ますますもって謎が深まったと言えるだろう。
 それはさておき、ちなみにどうして上条当麻がこの場にいるのかというと、
「な、何なんですかあああああああああああああ!! どうしてですかっ!? なななな何でインデックスさんが二人いるんですかあああああああああああああああ!?」
 ここは五和が入院している病室でもあったからだ。
 倒れた『インデックス』を病院に運ぶことになるのは当然として、そして、正体不明の人物であるからカエル顔の医者がいる病院に運ぶのも当然として。
 となれば、五和のお見舞いにも行くつもりだったインデックスの意向を踏まえれば、くどいようだが正体不明の『インデックス』を運ぶためには救急車を呼ぶわけにもいかず、上条がおぶって運ぶ以外の手段は無く、現在に至る。
 そして、正式な手順を踏んでいるとは言え五和もまた魔術サイドの人間であるから監視の手間を省くという意味も込めて、二人は相部屋となったわけである。
 もっとも、だからと言ってカエル顔の医者は、学園都市の人間であろうとなかろうと、治療に手心を加えることはあり得ないのだが。
 ところで五和の言い回しだがどこかで聞いたことがあると思ってしまったのは気のせいだろうか。
「じゃ、僕はこれで失礼するよ。それともうすぐ面会終了の時間でもある。適当なところで四人とも切り上げておくれよ。何、心配はいらない。その子たちのことは僕が保証する」
 言って、カエル顔の医者は病室を後にした。
 また、上条とインデックスが五和に事情と経緯を説明した後、その間、壁紙と化していた美琴と白井とともに病室を後にする。
 残されたのは五和と『インデックス』。
「え、ええっと……本当に大丈夫ですよね……?」
 静寂が支配する病室で。
 五和は苦笑満面に今にも泣き出しそうな表情で、おそらくは聞こえていないであろう『インデックス』に恐る恐る声をかけていた。




 夜も結構更けた午後十時。
 御坂美琴は一人、常盤台中学学生寮二〇八号室で机に向かいつつ、指でくるくるシャープペンシルを弄んでいた。

419死霊都市の境界3−10:2012/10/17(水) 19:49:49 ID:s1K0WCqw
 同室の相方、白井黒子は今日が学園都市限定のハロウィンパーティー真っ只中ということで風紀委員の特別夜間パトロール(しかも泊まり込み)に駆り出されている。
「……結局、あの子が何者かは聞きそびれちゃったか……」
 ぽつりとつぶやく美琴の表情は、どこか不満が浮かんでいた。元々、厄介事というか、『謎』には嬉々として首を突っ込みたがる性分だけに『正体不明の魔法使いの女の子』が美琴の好奇心を擽(くすぐ)らせないわけがない。
 がたっと椅子の背もたれに背中を預けて伸びをして、頭の後ろで手を組んで、
「明日にでも聞いてみようかなー」
 もしこの場に白井黒子がいれば、諭しという名の説教が来ること間違いなしのセリフを呟いて。


 しかし、御坂美琴の平穏な日常は今、終りを告げる。


「――――っ!?」
 一瞬、背景も含めて協調反転するほどの衝撃が美琴を包み込んだ。
 もっとも、即座に我に返る美琴。
 なぜならば。
「あんにゃろ〜〜〜こんなところに来たら話がややこしくなるでしょうが!」
 叫んで、バンと机を叩いて勢いよく立ち上がる美琴。
 素早くそそくさと制服に着替えてコートを羽織って、そぉっと部屋の扉を開けて周囲を窺う。
 消灯時間はまだ一時間先だが、門限はとっくに過ぎている。白井黒子のように『風紀委員の仕事』があるならまだしも、美琴には何もない。
 この寮をこの時間に抜け出すのは寮規律違反以外の何物でもない訳だから、当然、あの寮監殿に見つかるわけにはいかない。
 抜き足差し足忍び足で廊下を渡り、万が一を考えてエレベーターも使わず玄関を盗み見る。
 どうやら寮監殿は今、この近くにいないようだ。
 察した瞬間、美琴はしなやかに寮を脱出した。

420死霊都市の境界3−11:2012/10/17(水) 19:50:51 ID:s1K0WCqw
 そして、外に出た途端、今度はダッシュをかけた。向かう先は美琴が察した気配へ、だ。むろん、美琴は『それ』が何者かを分かっている。
 微弱とは言え。
 自分より劣るとは言え。
 それでも『美琴とまったく同じ電磁波を作り出せる存在』など、この世には――――正確には九九七一人いるが――――根本的には美琴の他には『一人』しかいない。
「一体全体どういうつもりよ、こんな近くまで来てっ! 今はまだ、ここには来るなってあんだけ言っておいたのにぃぃぃぃぃぃ! って、あれ?」
 美琴はふと足をとめた。
 追いかけた気配が美琴の追撃を察知したのか、同じ方角へと走り出していたからだ。
 つまりそれは美琴から逃げる、という意味にも取れる。
「はぁ……何だ、単にからかってるだけってこと? そんなのに付き合ってらんない」
 ぼやいて、美琴は踵を返して今度は寮の方へと引き返すために歩き出す。
 が、どういう訳か、相手の方も足を止めて、美琴と同じ歩幅同じスピードで再び、今度は美琴を追うように歩き始めた。
「あん?」
 当然、美琴はいったん足を止めて、肩越しに振り返る。
 もちろん、そこには闇が広がるのみ。
「……何のつもりかしら?」
 再び、美琴が気配の方へと足を踏み出せば。
 同時に闇の向こうの気配は、再び、美琴に背を向ける形で『同じ方角』へ歩き出し。
 確認のため、美琴は再度、踵を返して寮の方へ向かおうとすると、相手もまたこちらに近づこうとして来る。
 すなわちそれは――――
「ふうん…………誘っているってわけね。何のつもりか知んないけど、分かったわ。アンタの案内する先に行ってやろうじゃない。でも下らない真似だったらただじゃおかないわよ」
 目を細めて御坂美琴は歩き出す。
 闇の向こうの気配が誘(いざな)う先へと。



 夜の学園都市を歩くこと、数十分。
「ここは――」
 美琴はふと目の前の建造物を見上げた。
 ここは競技場スタジアム。
 昨年の大覇星祭で、美琴が借り物競走で一位を取った時のゴール地点がこのスタジアムだった。
 当時の華やかな雰囲気とは真逆に、闇の静寂が支配する中、明かり一つないスタジアムは大きさ以上に不気味さを漂わせていた。
 一度、ゴクリと生唾を飲み込んでから美琴はスタジアムの中へと入っていく。
 おそらく『相手』が全てのロックを外し、警備システムも解除したのだろう。
 やすやすと美琴は中に入ることができた。
 そして見つけた。
 グランドの真ん中に立つ一つの人影を。
 御坂美琴の予想通りの人物を。
「で? 何が目的で私を呼び出したわけ? こちとら脱走がバレたら、あとから寮監にこっぴどく怒られるんだけど?」
 ため息を吐きつつ、頭をかきながら無造作に近づく美琴は相手の顔を見てとれて、分かっていたとは言え、どうやら少し安堵感に包まれたようだ。
 ところが、対する一人の『妹達』は無言でハンドガンを取り出し、美琴へと照準を向ける。
「んな!?」
 美琴が声を上げると同時に、妹達が発砲!
 とは言っても、そこはレベル5の御坂美琴。
 たかだかハンドガンを向けられたからと言って焦ることも動揺することも無く、即座に電磁力で『砂鉄』を組みあげ、無敵の盾を作り出す。
 着弾したのはその砂鉄の壁に、だ。
 それにしても、発砲から着弾までの間に、文字通り『瞬く間』なのに、壁一つ創り出す『レベル5』の実力は相変わらず常識の範疇では測れない。
「どういうつもり!?」
 当然、美琴は言い募る。
「お姉様」
 妹達は答えた。
 いつも通りの平坦で無機質な声で。




「ミサカはシリアルナンバー〇〇〇〇一のミサカです、とミサカは自己紹介します」




 御坂美琴の平穏な日常は今、終りを告げた。

421我道 ◆XksB4AwhxU:2012/10/17(水) 20:03:35 ID:s1K0WCqw
以上、ageて第3章終了です。というか続く、になってます。物語が動き始めましたし、もう一人のインデックスの正体も徐々に明かされていきます。
私的に『オリキャラ』出すときに気を付けていることがありまして、それはオリキャラを原作キャラ以上に目立たせないことかなと。そうなっているかどうかは読んでいただいた貴殿が判断してくださいまし。
実は、『死霊都市の境界』の今後の展開が、ひょっとしたら新約5巻以降と被らないかなぁ、などと自意識過剰にも危惧しております。
ちょっと、ネタばらししますけどたぶん、今回のお話のタイトルや1章で『ネクロマンサー』=死霊使いの名前を出したり、少し伏線張ったりしたんで、気付いている人はいるような気がするんですけど、原作で他界したキャラを出そうと考えていたのですが、新約5巻でフレンダが出てきたので大丈夫かなぁ〜〜〜と。
まあ、たぶん、被ることは無いだろうと思って続けていきますし、被ったら被ったで二次創作にありがちなネタだと思っていただけると幸いです。
いつもながら、文章の表現や誤字脱字に関する指摘を(あんまりきついものじゃない形で)お受けいたしておりますので、感想共々頂けると嬉しいです。
それでは次は『死霊都市の境界』第4章でお会いしましょう☆

422■■■■:2012/10/21(日) 21:07:24 ID:PI3CGx4o
遅レスですが、お疲れさまです。
いよいよ謎の核心に近づいてきた気がします。
続きが楽しみです。

以下は核心に触れる部分なら無視してください。

シリアルナンバー100001?
10万体もいるのでしょうか?

もう一つタイトルなのですが、ひょっとしてホラーだと思って敬遠する人がいるかもしれません。

423我道 ◆XksB4AwhxU:2012/10/22(月) 07:19:41 ID:0DENNSf.
> シリアルナンバー100001?

『シリアルナンバー』00001ですよ。ーと一じゃなくてーだけです。

> もう一つタイトルなのですが、ひょっとしてホラーだと思って敬遠する人がいるかもしれません。

1章のときに「ちょっと重い」って書いたと思ったのですが、まあホラーと受け取られるとちょっと辛いかも。
ホラーってわけでもないし、というか私自身がホラー苦手なんで。

424カリキュレイト=フォートレス:2012/10/22(月) 17:44:56 ID:BHWDsxko
新参ですが、書かせてもらいます。


注意書きは特にありませんが、オリキャラが多数。
いちゃいちゃは無いです

ストーリーの基盤としては一方通行と打ち止めが出会わなかったパラレルワールド
ウィルスにかかった打ち止めと暴走する妹達を書いていきたいと思います。

下手くそですが、投下します

425カリキュレイト=フォートレス:2012/10/22(月) 17:46:34 ID:BHWDsxko


とあるミサカの存在定義(レールインプット)


―――『上位命令文の読み込みを完了―上位命令プログラムは正常に起動しました』


               *
9月2日
シェリー=クロムウェルの襲撃から一晩開け、上条当麻はテレビの電源を付けた。
ニュース番組のテロップには『緊急速報』と表示されていて、生中継の様子だった。
ババババン!!と銃声、悲鳴や爆音、平和な日常とはかけ離れた音声が聞こえてくる。
上条はテロップ内容をベッドに座りながら凝視した。

『学園都市が秘密裏に開発していたクローン兵器が暴走!?世界中で戦乱が!』

画面上に居たのは見慣れた人物だった。妹達――
妹達は御坂美琴と言う少女のDNAから生まれたクローンでつい最近まで殺され続けていた人物でもあった。
上条は画面から目を離せない。
寝起きのインデックスは同じようにテレビを見ていたが、ぼそっと上条に聞いた。

「これって……短髪?」
「いや……妹達……御坂妹……」

上条は若干、現状が信じられないといった感じで答えた。
再びテレビの中から爆音が聞こえて、空気振動で部屋全体が揺れたような気がした。
テレビの向こうで妹達が手榴弾を投げたのか。
テレビに写っている光景はいつも見ているモノでスグそこの主要ターミナル前だった。
無人バスが何台も横転していて、大きな噴水は水道管が破裂したように一分間何百リットルもの水を出し続けた。
同じように御坂もまた、ニュースを見ているのだろうか?
上条は朝ごはんも食べずに制服を着て、中身が入っていないバッグを持って部屋から出た。

「どうなッて……」

目の前に広がる光景は血まみれでうずくまる人々。
その先に警備員に運ばれる妹達の姿。銃や手榴弾などが散乱してあって、銃痕や焦げ跡などがそこらじゅうでみられた。
まるで戦争でも始まっているようだ。

「――ッ!」

上条の顔は一気に真っ青になり、冷や汗をタラタラと流しながらヘタリと座り込んだ

426カリキュレイト=フォートレス:2012/10/22(月) 17:47:58 ID:BHWDsxko
同日

漫画でよく見る様な培養機が大きい部屋に何個もズラリとならべられていた。
円型の培養機の側面部分がハッチ式になっていて、激しい機械音と共にハッチが開いた。
中の培養液はホースから吸い上げられ、中に入っていたモノがヘタリ、と座り込んだ。
研究者である彼女は白衣のポケットに手を突っ込みながら『ソレ』に話しかけた。

「おはよう」

彼女の名前は芳川桔梗。
目の前に居る『ソレ』は世界中で暴走している『ソレ』だった。
『ソレ』は無機質な笑みを浮かべていたそれ等とは違い、悪意に満ちた笑みを浮かべた。
単純に構造が違った。プログラムの違いだ。

「……ミサカはこれからどうすればいいのさ?」
「番外個体(ミサカワースト)にはミサカネットワークを介して全ミサカのプログラム停止コードを送って欲しいの」
「……残念だけど、ミサカにはネットワークに接続するIDとPASSも持っていないし、最終信号じゃないと
プログラム停止コードなんて無理だよ」

芳川に向けて番外個体は服を着ながら言った。
状況は学習装置を介して得ている為、最終信号がどのような命令を出して、何が起こっているのかも理解していた。
芳川はハァ、と嘆息をついて別の部屋に移動した。
着替え終わった番外個体もその後を追いかけていく。一番端にある怪しい部屋には厳重な警備体制が敷かれていて、
電子キーに指紋認証、生体認証などの最新警備システムが付いている。一筋縄では侵入できない様な仕組みになっていた。
芳川が行ったID認証が終わり、分厚い鉄の壁は開いた。
中にあるのは先程まで番外個体が入っていた、円型の培養機の数々。
中に入っている『ソレ』を見て番外固体は柄にも無く怒り、芳川の胸ぐらを掴んで体中に帯電させた。

「……私じゃない……とは言い切れないけど…まだあの『計画』は凍結していないのよ」
「ミサカはまた犠牲になるんだね」

番外個体は芳川を離して、壁にもたれ掛かった。
そもそもの開発コンセプトが『妹達への悪意の供給や増幅』だった番外個体だったが、
予定製造完了日よりも一ヶ月早い事から『悪意のコントロール』が出来ていないのだ。
芳川は白衣のポケットに突っ込んでいた手をぬいて、培養機のケーブルに繋がっているパソコンに
ついてあるUSBメモリを引っこ抜いて、番外個体に投げた。

「これは…?」
「超電磁砲のDNAに関する情報と、上位個体命令遮断システムよ。いつか必要になるわ」
「……言っとくけど、ソレとコレは別だから」

番外個体は研究室を出て、芳川の所属している量子学研究所のドアの前に立った。
そして扉の横に付いてある映画でよく見るような電子キーに触れて、強制的に扉を開けさせた。
赤いランプが緑に代わり、全ての警報システムは解除された。
量子学研究所の門をよじ登って、そこから第七学区へと続く裏路地へと出た。
スキルアウトの溜まり場だったが、幸いと言うべきか妹達の攻撃活動でスキルアウトも逃げているようだ。

「もう頼れる人は、ミサカはあの人しかいないと思うんだよね」

番外個体は第七学区へと続く暗い裏路地を駆けていった。

427カリキュレイト=フォートレス:2012/10/22(月) 17:48:32 ID:BHWDsxko
上条当麻は自宅に戻っていた。
インデックスは朝のうちに必要悪の教会に保護してもらい、今は上条だけだ。
何か朗報を待っている様にも思えたが、上条はハァと嘆息をついて台所に向かった。
電気ケトルに水を入れて湯を沸かす。その間にカップラーメンのふうを開けてかやくなどを入れた。
ゴゴオオオオと電気ケトルから水を沸かす音が聞こえてくる中、ピンポーンよインターフォンが鳴った。
この寮は築20年で、更にそれ程重要性が無い為、数十年も前の賃貸マンションみたいのモノだった。
そのせいか、玄関先に誰が居るか確認できるカメラ機能がついていない。
上条は小さな穴から誰が居るか覗き込んだ。

「――!?」

見覚えは無かった。
しかし『似たようなモノ』を知っている。
上条はチェーンを外して、ドアを開けた。

「初めまして、ミサカの名前は番外個体。これからよろしくだにゃーん」
「ミ……サ……カ……?」

薄いTシャツに少し色落ちがしたジーパンをはいている彼女は番外個体。
上条は唖然をしているなか、番外個体は更に言葉を進めた。

「検体番号は……20002号って事で。コードはまんま『ミサカワースト』」
「……20002号?あの実験じゃあ20000号までしか作られなかったんじゃ?」
「ミサカは『第三次製造計画』で生まれた新ミサカ。20001号のガキはもとからあったってきいてるけど」

番外固体はゴホッとわざとらしく咳き込んで、玄関前の地べたに膝をついた。

「お願いがあります……、『第三次製造計画』の停止の為ミサカに協力してくれませんか――」
「――ッ!」

手を掴んで、番外個体を立ち上がらせた。
そして、家の中へと入っていく。
さっき掃除したばかりなので埃も殆ど落ちていないし、机はどけてあるしで中々殺風景な部屋になっていた。
台所には沸かしっぱなしの湯と蓋を開けているカップラーメン。そしてスーパーの袋に山積みになっているカップラーメンや
惣菜の数々。それを見て食生活は酷いモノだ、とおもいながら番外個体はベッドに腰かけた。

「カップラーメン、いるか?醤油と豚骨しかないけどさ」
「んじゃぁ豚骨で」
「そうか」

上条は二つのカップにお湯を注いでいく。
そしてシールを側面部分に貼り付けて、カップラーメン二つを机の上においた。
番外個体は赤色の箸を持って、カップラーメンの蓋の上に置いた。
その箸はインデックスのもので、騒がしかったインデックスが居ない事を思いだし、上条は少し寂しくなった。

「どうしたのかにゃー?」
「……いや、なんでもねーよ」

ホクホク、と白い湯気があがっていく。

「で?一体どうなってる」

上条は腕を組んで、番外個体に訊いた。
しばしの沈黙が流れてから、番外固体はカップラーメンの蓋を開けた。
そして、番外固体は口を開いた。

「20001号、量産能力者計画の産物。20001号……上位個体はミサカ達のネットワークの管理者で一大事があった時の為に『上位命令文』と言うのが存在する。
その上位命令文を受信したミサカ達は『必ず』その命令に従う設定になってる。9月1日、午前零時。
上位個体からの『上位命令文』を受信したミサカ達は破壊行動に移したってこと」
「それはその上位個体ってヤツが元凶なのか?」
「いや、ミサカも実際の状況は知らないけど、学習装置に書き込まれた情報によると、『最終信号(ラストオーダー)』は
製造途中に『何者』かによって学習装置を介してウィルスを仕込まれてたらしいのね」

元凶はその『何者か』なのだ。
しかし、番外固体は上条が結論へ急ぐのを察知して指を並行に振った。
元凶は間違っていないだろうが、目的は『何者か』の確保でも撃退でもない。
目的は最終信号の確保。ミサカネットワークからの暴走からまだ三日だ。
いまなら修正がきく可能性だって存在する。

「目的は最終信号……上位個体の確保。これにはオリジナルの手助けも欲しいね」

番外固体はラーメンをすすりながら、上目で上条を見た。
しかし、上条の目には既に生気が無かった。
生気が無くて、怒りに満ちた目だった。

「まぁそんなに気にすることはないよ。ミサカは無事なんだしさ」
「……ああ」

428カリキュレイト=フォートレス:2012/10/22(月) 17:50:07 ID:BHWDsxko
『第一章の第一部』投下終了です……


分量が少なかったかな?
みたいな事も思いました。

次は二倍の分量を目指して頑張ります

429■■■■:2012/10/31(水) 23:19:19 ID:jqqcgyF2
>>428
感想良いでしょうか。旧約5巻から分岐したIFもののようですが
妹達の外部協力機関への配置は☆のプランに関わるものだから、基本的に暴走するルートは有り得ない筈なんですね
打ち止めが一方通行と出会わなかったとしても、天井の計画を☆が放っておく訳ない。PSP禁書のオリストのような本来ありえない時空という認識でいいのでしょうか
「外」はまた別だろうけど、学園都市に残った個体は10人弱だから、武装してるとはいえたかがレベル2〜3の能力者くらい警備員が即座に鎮圧しそうなもの
番外「個」体が出てきたのはまあ良いとして、その性格が原作と同じである理由はどうなるのでしょう?
原作では対一方通行用の刺客として、彼の人格を徹底的に壊す為にネットワークから悪意を抽出しやすいよう調整を施されていたからなんですけど、
このSSでの役回り「打ち止めの確保により妹達の暴走を終息させる事」に関して悪意を持ち出す必要はあるのでしょうか?
原作と同じキャラ設定で動かしたいなら、起源の違いを把握した上で整合性を取る理屈が必要だと思います
なんか粗ばっかりつつくようで申し訳ないですけど…現時点で説明しきれる事ばかりじゃないと思いますので、今後納得のいく理屈付けがあると期待してます
新しい書き手はいつでもウェルカムです!連載頑張って下さい

430■■■■:2012/11/24(土) 23:29:48 ID:ELzzcicI
過疎ってるな……

431MCC:2012/12/04(火) 14:05:12 ID:h8AHHAXk
イイじゃん☆

432■■■■:2012/12/07(金) 09:53:56 ID:UcWRFPpg
過疎ってるねぃ…

433■■■■:2012/12/10(月) 16:42:05 ID:BXCTxjck
過疎ってる

434■■■■:2012/12/13(木) 03:48:47 ID:.qavhOis
あの…原作を上琴変換しただけのSSとしか

435■■■■:2012/12/15(土) 00:22:53 ID:RRuUfTgQ
そげぶ!

436■■■■:2012/12/17(月) 22:19:08 ID:A.cvaRdw
な、なんて過疎ってるんだァ!

437■■■■:2012/12/20(木) 00:13:21 ID:I4hTWQO2
俺は信じてるよ。連載中のSSの続きを、またここで読める日が来ることを
新作PSP、劇場版禁書、超電磁砲二期と来年は色々控えてるから、SSの方も活気を取り戻してくれたら何より

438■■■■:2012/12/21(金) 19:22:58 ID:ooa4k.IM
連載中のSSって何がある?禁竜以外に

439■■■■:2012/12/21(金) 20:09:19 ID:i7RQlu4.
>>438
死霊都市の境界

440■■■■:2012/12/27(木) 22:52:27 ID:KqaftH/.
age
wikiスレの方で移転の進捗確認したけどリアクション無しのためこっちでも
実際の程度移転は終わってるんですかね?

441■■■■:2012/12/30(日) 11:23:01 ID:HSuVkXyU
     か へ っ た  -‐─── ‐-    お な か へ
   な  ,. -──- 、=ニニ二二ニニ=-‐─── 、っ
. お  / __    -‐\──── ≠         \ た
   / /   \       \    /       厂 ̄ 丶、\
.  〈_r'′  ___ \     丶〜"       / ___  \_〉
    |  /ハ ー─ ヽ \          //─‐  ハ\ /
    |/八从 ●  Ⅵ \       /〃  ●  ノノV/
    }ハ●    ゙゙゙   |从へ=ニニ=イ从// ゙゙゙    ●{
    |八゙゙  へ    イ   \  ̄/ ノ人   ¬   ゙ソ
.    | 丶 .. __ /リヽ/⌒ヽ/⌒ヽ、/  .. _  イ
    \\ / !/   人\ /  \\ \/!   /
      ,>'⌒ヽ }{ /⌒ヽ \ i!    ,>'⌒ヽ{\ (
      (  _ノ、リ {  丿       人__ノ  /⌒ヽ
      `r‐イ\\\ \       / / \\ゝ_ノ
       丿 |                     |

442440:2012/12/31(月) 22:27:18 ID:0kEBV9HU
リアクション無いんだけど、移転作業がどうなってるのか判る人はいないのか?
誰も反応してくれないようなら勝手に消させて貰うほかないんだが。

443■■■■:2012/12/31(月) 23:38:19 ID:laj9r89M
年末年始だからみんな忙しいんだろうよ。三が日過ぎたくらいにもう一度聞いてみては?

444■■■■:2013/01/05(土) 14:55:25 ID:.a/zz1Ng
過疎するその痛みから〜誰かをきっと守れるよ〜

445■■■■:2013/01/30(水) 10:59:17 ID:J8CuBpa6
(゚Д゚)ハァ?

(゜д゜)ウヴォァー!

(゜Д゜)ハァ?

(°д°)ハァ?

( ゚Д゚)ゴルァ !

(゚Д゚)ゴルァ!!

(#゚Д゚) ゴルァ!!

(#゚Д゚)オラー

(#゚Д゚)ニャー!!

(#゚д゚メ)

(゚Д゚#) ゴルァ

(|| ゚Д゚)

ハァ?(゚Д゚)y─┛~~

( ゚д゚)ポカーン

(;゚д゚)ポカーン

( ゚д゚)ポカーン …

( ゚Д゚)ホスィ

(*゚д゚*)モエー

(゚Д゚)ボーゼン

( ゚Д゚)/

( ゚Д゚)マッ!

( ゚Д゚)ドンドルマッ!

(゚Д゚)ハッ!

(゚д゚)マズー

(゚д゚)ウマー

(゜д゜)ウマー

あら(゚Д゚)そう

(゚Д゚)ウゼェェェ

( ゚Д゚)⊃旦

( ノ゚Д゚)すまん

( ノ*゚Д゚*)

(* ゚Д゚)ダミダ・・・

(*゚д゚) 、ペッ

( ゚д゚)、ペッ

(,,゚Д゚)

(,,゚Д゚)/<(゚Д゚)ケイレイ!!

( ・д;)ドウシヨウ...

(*Д`)uaaaaaa!!

( ゚Д゚)y─┛~~

☆〜(^д゜)

((( ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ピクピク

!!Σ(゚□゚(゚□゚*)ナニーッ!!

(;д;)エーンエーン!!

(  ゚Д゚)⊃旦 < 茶飲めやフォルァ

と(゚Д゚ と⌒ヽ アソボ

(lll゚Д゚)ヒィィィィ

(|| ゚Д゚)トラウマー

Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)

(゚Д゚≡゚Д゚)エッナニナニ?

(゚⊿゚)イラネ

w(゚o゚)w  オオー!

(*・Д・*)

(´д`)

(´д`)ママ…

(;´Д`)

(´Д`)/

(´Д`;)

(^д^;)

(;´Д`)/

ヽ(;´Д`)ノタスケテ〜

ヽ( ;´Д`)ノ

ヽ(;´Д`)ノ

(;´Д`)ハァハァ

(;´Д`)<ハァ?

(;´Д`)ウウッ…

(;´Д`)…ハァハァ

(*´д`*) ハァハァ

(*´Д`) 〜?

(;´Д`)l \ァ l \ァ

(;´Д)

(:´ο`)y-o00

(_´Д`) アイーン

(´Д`)y-~フゥー

(´Д⊂ モウダメポ

(´Д`υ)アツィ

(;´д`)ゞ アチィー!!

ウワァァァン (ノД`)

( ´Д⊂ヽゴミンナサイ

工エエェェ(´д`)ェェエエ工

・゚・(ノД`)ヽ(゚Д゚ )ヨチヨチ

アァ?( ´Д`)σ)Д`)ァゥァゥ

─(´o`)(´-`)(´ー`)─3兄弟

( ・A・)=Cく ´Д`;)

(`Д´)

(*`д´)

(;`Д´)

ヽ(`Д´)ノ

ヽ(`Д´)ノ

ヽ(*`Д´)ノグォラァ

ヽ(`Д´)ノ ウワァァン!!

ヽ(`Д´)ノウワァァァン!

ヽ(`Д´)ノキモイヨー

( `Д´)/

ヽ(`Д´)ノボッキアゲ

( `Д´)

m9(`Д´) オミトオシダ!

ヽ(´・д・`)ノ

446■■■■:2013/02/13(水) 02:49:38 ID:3pxMZJ3o
禁竜の続きマダー?

447希亜 ◆NOAH//esco:2013/03/19(火) 02:47:03 ID:Yc5vs0/I
過疎っているようだけど、劇場版を見てレディリーを救済したいと思って短いけど書いてみた。
場面は劇場版の最後のほう。地の文が少ないのはご愛嬌。
最後まで書いてあるけど、間違いの指摘次第では修正する可能性もあり。
※劇場版とある魔術の禁書目録のネタバレ注意

「奇跡と不幸」

448希亜 ◆NOAH//esco:2013/03/19(火) 02:47:55 ID:Yc5vs0/I
上条「エンデュミオンが崩壊する!?」
土御門『ああ、どうやら避けられん状況らしい。こっちでもできる限りのことは試してみるぜよ。だけど――(ツーッツーッ)』
上条「……二手に別れよう、インデックス。お前は魔術の起動を止めてくれ。俺はアリサの所へ行く」
インデックス「ねえとうま、絶対にアリサを助けようね! 約束したんだよ……あの歌ができたら二人で歌おうって!」
上条「分かった!」

上条がライブ会場へ着くと、シャットアウラの起こした爆発によってアリサがステージから落下していた。
すかさず駆け出した上条は、目一杯伸ばした両手でアリサを受け止める。
上条「間一髪か……」
アリサ「当麻くん……!」
上条の傷はまだ塞がっていなかったのか、傷口から血があふれ出す。
痛みを堪える上条に、シャットアウラが銃口を向ける。
アリサは立ち上がり、両手を広げて上条のことを庇う。
今度は、私が助ける番だとでも言うように――
それでも、シャットアウラが銃口をそらすことはない。
上条「やめろ……シャットアウラ!」
アウラ「こいつの存在がレディリーの計画を生み出した! こいつの歌が、こいつの起こす奇跡が人を惑わせる! ……だから殺す!」

「♪ララーラーラー……」
突然、上条の携帯電話からアリサの歌が流れ出した。アリサの陰で、上条が再生ボタンを押したのだ。
シャットアウラは、頭を押さえてよろめく。
アウラ「くっ……やめろ!」
上条はシャットアウラの手から拳銃をはたき落とす。
上条「ほんの僅かな可能性にかけて、なにかが手に入るって信じて……それでちょっとでも変えられるのが前に進むってことだろ! それが、お前の親父さんが目指したもんじゃないのか! それこそが、奇跡ってやつじゃないのかよ! お前のその惨めな幻想を、この右手でぶち殺す!」
そう言うと、上条はシャットアウラの顔面に拳を入れる。幻想を殺すための一撃を。
シャットアウラはその場に倒れこみ、反撃してくる様子もなかった。
上条「なあ、シャットアウラ……音楽ってのは、良いもんだぜ」

449希亜 ◆NOAH//esco:2013/03/19(火) 02:48:53 ID:Yc5vs0/I
北半球を破壊しかねないほどの大魔術を発動しようとするレディリーの元へ、インデックスが現れる。
インデックス「こんな無茶な術式は初めて見たよ。地球を壊しちゃう気? 魔力を生成する回路が乱れているどころじゃないよ」
レディリー「禁書目録ね……聞いたことあるわ。10万3000冊の魔道書を記憶させられた人間図書館……あなたなら分かるでしょう? 魔術によって呪われた者の気持ちが! ようやく抜け出せるの……この地獄から!」
インデックス「無理だよ。それをやってもあなたは死ねない。私には分かる」
レディリー「そんなの分からないじゃない! もう耐えられないの……こんな人生なんて!」
インデックス「……ねえ、あなた幻想殺し(イマジンブレイカー)って知ってる?」
レディリー「聞いたことないわ……あなたの使う魔術かしら?」
インデックス「違うよ。私に魔術は使えないし、その能力を持っているのはとうまだもん。それが異能の力なら、触れただけで打ち消せる能力――それが幻想殺しだよ」
レディリー「そんな能力、聞いたことないわ……それに、本当にそんな力があるなら、ここへ来て術式を破壊すればいいじゃない」
インデックス「とうまは今、アリサを助けに行ってるんだよ。でも、絶対に戻って来る。そしたら、あなたの呪いも消し去ることができるんだよ」
レディリー「そんなハッタリに応じると思って? もう遅いわ……これで終わりよ!」
上条「やめろ! レディリー!」

インデックス「とうま! アリサは!?」
上条「無事だ。絶対に助けるって言ったろ?」
インデックス「良かった……っとうま! その傷は大丈夫なの!?」
上条「気にするな……ただのかすり傷だ」
レディリー「あなた……あの子たちと仲良くやっていたみたいだけど、科学の人間がなんの用かしら?」
上条「……確かに俺は科学サイドの人間だ。でもな、超能力が使えない代わりに、少しばかり不幸(ラッキー)な能力を持っているんだ」
レディリー「それが幻想殺しだっていうの……?」
上条「インデックスから聞いたのか……そう、俺の右手には、それが異能の力なら、触れただけで打ち消せる能力がある」
レディリー「嘘よ……それならさっさと術式を破壊すればいいじゃない!」
上条「そうしたいところなんだけどな……大規模な術式を中途半端に破壊すると、別の魔術が発動しちまうかもしれない。インデックス、この魔術の仕組みとか分かるか?」
インデックス「今、折り重なった術式を解いて崩す方法を見つけるよ」

450希亜 ◆NOAH//esco:2013/03/19(火) 17:27:54 ID:Yc5vs0/I
レディリー「……千年は生きてきたけれど、あなたみたいなのは初めてだわ」
上条「千年……? どういうことだ?」
レディリー「あら、知らないでここに来たのかしら? 私は不老不死の呪いにかけられているの。今まで何度も死のうとしたし、何度も殺されそうになったわ。けれど死ねなかった。銃で撃たれても、爆発に巻き込まれても、真空に晒されても……」
上条「その呪いって、やっぱり魔術なのか?」
レディリー「ええ、そうよ。魔術によって呪われた者の気持ち……科学の住人であるあなたには分からないでしょうね」
上条「ああ、分からねえよ……てめえがそんなくだらない理由で、みんなが済む地球を破壊しようとしていることがな!」
レディリー「くだらないですって!? あなたになにが分かるっていうの!? 死にたくても死ねない、いつまでも生き続けなければならない私の気持ちが!」
上条「言っただろ。俺の右手には、それが異能の力ならなんでも破壊する能力がある。夏休みには、呪いを解いたことだってあるんだ」

レディリー「もう遅いわ……間もなく魔術は発動する。私もあなたたちも一緒に死ぬのよ!」
上条「俺には、お前の気持ちが分からない……どんなにつらかったか。どんなに苦しかったか。こんな馬鹿げた方法を取らなければならないお前の運命が。だからここで終わらせてやる。お前のその悲運な幻想を、この右手でぶち殺す!」
そう言うと、上条はレディリーの顔面に拳を入れる。幻想を殺すための一撃を。再び。
レディリー「ぐっ……顔面を殴った程度で私が死ぬとでも思ったのかしら? こんなものすぐに……えっ?」
レディリーは、傷ついた自分の顔面に手を当てる。いつもならすぐに回復するはずだが、一向にその気配がない。
レディリー「そんな……あなたの力……本物だというの……?」
上条「これで分かっただろ。できないことなんかないんだよ」
レディリー「そうか……私はもう苦しまなくていいのね……」
上条「ああ。お前はこれから普通の人間として生きていくんだ。怪我をすれば痛いし、年月が過ぎれば歳をとる。そしていつかは死ぬ……そんな、普通の人生を送れるんだ」

451希亜 ◆NOAH//esco:2013/03/19(火) 17:29:02 ID:Yc5vs0/I
『ゴゴゴゴゴ……』
突然、あたりに大きな地響きがした。地面などないはずのこの宇宙で。
レディリー「まさか……エンデュミオンをパージする気!?」
上条「なんだって!? インデックス! まだなのか?」
インデックス「もう少しだよ。四大元素の火、土、水、風にエーテルを加えた五大元素と、あちこちに描かれた五芒星が対応付けられている。その中心は……とうま! この建物のステージだよ!」
上条「よし、急いで向かうぞ!」
そう言うと、上条はボロボロの体にも関わらず、レディリーを背負って走りだした。
レディリー「あなた、どうして……?」
上条「お前も一緒に帰るんだ。こんなところで見殺しにできるかよ!」

上条たちがステージへ向かうと、少女の歌声が聞こえてきた。
上条「この歌は……」
そこでは、アリサとシャットアウラが手を取り合い、歌を歌っていた。
それは、まさに奇跡のような光景だった。
上条も、インデックスも、そしてレディリーも、その光景を静かに見守っていた。
『♪羽撃こう……』
歌を歌い終えると、シャットアウラは上条のほうを向いた。その表情にもはや敵意は感じられない。
シャットアウラ「……思い出したんだ。あの事故で、なぜ私が音楽を認識する機能を失ったのか。私はあのとき願った。大事なものを差し引いてでも、奇跡が欲しいと。そして……」
アリサ「私が生まれた」
シャットアウラ「私は歌を歌うことが好きだった。そして、いつも仕事に一生懸命だった父のことも……」
レディリー「……シャットアウラ、私を殺しなさい。それですべてが終わるわ」
シャットアウラ「……あいにく、死にもしない相手を痛みつけて喜ぶ趣味は持ち合わせていない」
レディリー「で、でも……」
上条「だってよ。お前は当分死ねないみたいだな」
そう言って、上条は微笑んだ。

452希亜 ◆NOAH//esco:2013/03/19(火) 17:32:40 ID:Yc5vs0/I
インデックス「とうま、これだよ! この支柱が、術式の核を制御するための役割を担ってる」
その柱は、まさにステージの中心にそびえ立っていた。先程までアリサが立っていた、その下に。
上条「それを破壊すればいいんだな?」
インデックス「うん!」
上条はその柱に手を伸ばし、そっと触れた。幻想を殺すことしかできない、その右手で。
なにかを破壊したような音がして、すべてが終わったことを告げる。
上条「さて……急がないと帰れなくなるぞ」
シャットアウラ「待て、エンデュミオンがパージされたから、リニアシャトルは動かないぞ」
上条「大丈夫だ。俺達が乗ってきたバリスティックスライダーがある。二人乗りだからちょっと狭いけど、そこは我慢してくれよ」

453希亜 ◆NOAH//esco:2013/03/19(火) 17:33:49 ID:Yc5vs0/I
なんとか地球へ帰還を果たした上条は、病院で土御門と話していた。
土御門「それで、上やんは女の子四人と密着状態で宇宙旅行を楽しんできたわけかにゃー」
上条「そんな楽しいもんじゃねえっつーの! 今回は本当に死ぬかと思ったんだからな!」
土御門「ああ、その件に関してはイギリス清教……いや、全人類を代表してお礼を言わせてもらうぜい。ありがとうな、上やん」
上条「お前が人類の代表ね……ところで、アリサはもう大丈夫なのか? また魔術師に狙われるようなことがあったら……」
土御門「その点は問題ないぜい。鳴護アリサに、もはや聖人としての力はない。仮に誰かに狙われるようなことがあっても、それは彼女の熱狂的なファンだろうさ」
上条「それはそれで心配だけど……とりあえず、もう魔術師に狙われることはないんだな」
土御門「ああ。それと、レディリー=タングルロードだが、彼女は必要悪の教会(ネセサリウス)が預かることになった。まったく、オルソラやら天草式やら……アニェーゼ部隊もそのうち必要悪の教会の傘下になったりしてにゃー」
上条「それはないだろ。あいつら俺達のことあまり良く思ってないだろうし」
土御門「……相変わらずだな、上やんは」
上条「どういう意味だ?」

「それでね、とうまってばいっつも一人で無茶して、大怪我して帰ってくるんだよ?」
「そうなんだ……でも、そういうところがかっこいいよね」
「えええ!? そ、それって……」
土御門「……さてと、邪魔者は退散するとしますか」
上条「っておい土御門! なに窓から出ようとしてるんだ! ここ三階だぞ!?」
実は一週間ほど前に上条も同じことをしたのだが、あれはなかなかにスリル満点だった。
『トントン』
上条が窓に気を取られていると、扉がノックされた。
上条「まあ、あいつも結構タフだし大丈夫か……どうぞー!」
扉が開くと、見慣れた修道服を着た少女と、上条が命を賭けて救った少女が立っていた。
少女たちは笑顔で上条の元へ駆け寄り、口を揃えて言った。
「とうま!」
「当麻くん!」

454希亜 ◆NOAH//esco:2013/03/19(火) 17:37:37 ID:Yc5vs0/I
以上、「奇跡と不幸」でした。
その後、アリサは恩返しと称して上条に迫ったり、インデックスと歌を歌ったりしていると思います。
レディリーは不死の呪いを解かれたことで価値がないと判断され、アレイスターに捕獲されることなく人生を全うします。
救われぬ者に救いの手を――

455■■■■:2013/03/19(火) 22:36:14 ID:IAfMZnw6
GJ

456■■■■:2013/03/20(水) 01:36:23 ID:g.riuHZg
> その後、アリサは恩返しと称して上条に迫ったり
kwsk

457■■■■:2013/03/20(水) 03:56:27 ID:/nXZNXms
禁書アニメ2期が放送されてた頃に書いてお蔵行きになっていたSSを投下しても良いだろうか?
今でも何でこんなのを書いたんだろうって思うほどカオスな内容で色々拙いところはある。

458■■■■:2013/03/20(水) 09:16:37 ID:KDUJfI1A
>>457
賑やかしくなるのは歓迎

459457:2013/03/20(水) 21:14:22 ID:/nXZNXms
※キャラ崩壊あり

土御門「上やんをオークションにかけるにゃー」

460457:2013/03/20(水) 21:22:56 ID:/nXZNXms



ことの始まりは上条当麻の日常から生まれた。

上条当麻の日常とは、銀髪美少女シスターと同棲し、クラスでは影の薄い黒髪ロングJKと談笑し、デコ巨乳の委員長気質なJKにお仕置きされ、永遠の合法ロリな先生と2人きりの補習。下校時には待ち伏せしていた電撃系美少女と戯れ、家に帰ると銀髪美少女シスターがお出迎えする。そして、大事件に巻き込まれては美女・美少女を助けてフラグを立てていく毎日である。

そんな(傍から見れば幸運な)日常に上条当麻本人の感想は・・・

上条「不幸だ――――――――――――――――!!!!!」

土御門「どこがっ!」ボコッ!!
青髪ピアス「不幸やねん!!」バキッ!!

上条「そげぶ!」

三馬鹿デルタフォース同盟である土御門元春と青髪ピアス(本名不明)にツッコミ(という嫉妬の拳)を入れられ、クラス中の男子から睨まれるのが日課である。

土御門「毎日毎日、性懲りも無く見せつけてくれるにゃー」
青髪ピアス「なぁ・・・、上やん。わざとやろ?それ絶対わざとやろ?」
クラスメート達「上条ノ奴・・・イツカ殺ス・・・・・」
土御門「まぁ、俺としては義妹がいれば世は事も無し。でもそれとこれとは話が違うぜい」
青ピ「なぁ、上やん。そろそろ腹括って誰か一人決めようや。ハーレムエンドはエロゲーだから許されるんやで?」

上条「いやいや、上条さんだって出会いが欲しくてたまらないんですよ」

土御門「・・・・・・・」
青ピ「・・・・・・・」

土御門「こりゃ病気だにゃー」
青ピ「冥土返し先生でも諦めるわ」
土御門「なぁ、上やん。もっと周りに目を向けるんだにゃー」
上条「もっと周りに?」

教室中を見渡してみる。そこには上条を睨みつける男子諸君と吹寄の姿。

上条「ああ。やっぱり俺って、ふk(ボコッ!)あべしっ!!」

土御門・青ピ(やっぱり、力づくでも気付かせないといかねぇな(いかへんなぁ)。)

上条「え!?何で2人とも目が据わってるんでしょうか?・・・ってか、そのロープ何!?」
土御門「年貢の納め時だ」
青ピ「流石のボクも我慢できへんわ」

ロープを持ってにじり寄る2人。

上条「ふ、ふ、ふ、不幸だぁあああああああああああああああああ!!!!!」

461457:2013/03/20(水) 21:24:12 ID:/nXZNXms
数日後 学園都市 某所
上条は目が覚めると真っ暗闇の中にいた。椅子にロープで縛り付けられており、全く身動きが取れない。

上条(クソッ!このロープ硬過ぎる!)

???「お目覚めかにゃ〜?」

上条「その声は・・・土御門!?」

その瞬間、前方のライトが点き、サーカスのピエロのように土御門だけがライトアップされて現れた。

土御門「ご明答だにゃー」
青ピ「ちなみにボクもおるで〜」

そう言うと、青ピのところもライトアップされる。
2人ともタキシードスーツを着ており、いつも着崩した制服ぐらいしか見ていない上条には新鮮だった。

上条「これはどういうことだ!?」
土御門「上やんには自分がどれほど多くの女性に愛されているか知ってもらう一大イベントを企画したんだにゃー」

土御門が自身の後方に手を向けると、周りが一気にライトアップされた。
上条の目の前には、約100人分の豪華な座席が広がっており、自分がステージの上の椅子に縛り付けられているのが分かった。

上条「コンサート会場?」
青ピ「と言うよりは、オークション会場や」
上条「オークション!?」
土御門「学園都市の暗部が使っていた裏のオークション会場だぜい。色々とヤバめの商品を扱ったり、人身売買をしていた場所だにゃー。まぁ、今は使われていないけどな」
上条・青ピ(今、衝撃の事実をサラリと言ったな)

土御門「今日は上やんをオークションにかけるんだにゃー!」
上条「な、なんだって―――――――!!!」

販売者と購入者が交差する時、物語は始まる。





青ピ「お、そろそろお客さんが来る時間やでー」

そう言って、青ピは上条の口を塞ぐようにガムテープを張り、上から全体を覆い隠す大きな布をかぶせた。
会場の扉が開き、数多くの来客が会場内へとゾロゾロ入り込む。


正面ゲート

インデックス「あれっ!?とうまどこー?」
五和「かかかかか、上条さんが本当にここで買えるんでしょうか?」
神裂「べ、べべべべべべべ別に彼を買って、フヒヒなことをするつもりじゃありません!彼が変な女に変われるのを防ぐためです!そうです!これは恩返しです!」

上条(インデックス!?ってか、人身売買するようなお金はウチにありません!この穀潰し!!)
土御門「安心するにゃー。このオークションでお金は扱わないぜい」
上条(心の声読まれた!?)

美琴(会場ってここでいいのよね?・・・って違うのよ!私はあいつが欲しいわけじゃなくて・・・、そ、そう!あいつがどんな女に売りさばかれるのか見に来ただけよ!あ。でも・・・もし私が手に入れちゃったら・・・フヒヒヒヒヒ・・・ゲコ太抱き枕が当麻に変わるのねぇ///)
黒子「どうしたんですの?お姉様。」
美琴「いやいやいやいや。何でもないわよ。さあ!手に入れるわよ!ゲコ太の超激レア抱き枕!」
黒子(お姉様。バレバレですのよ。ここで売り捌かれるのがあの殿方だってことは・・・・。だって黒子にも招待状が来てるんですの)

“上条当麻オークション!!”
会場:学園都市第七学区 秘密のオークション会場 裏の地図参照
日時:○月×日 09:00より

黒子(今日の黒子はお姉様があの殿方を手に入れないように妨害するのが目的ですの)
美琴「どうしたの?黒子」
黒子「いえいえ。何でもないですの。お姉様」

吹寄「クラスメートとして、あいつが変なことをしないか監視しに来たのよ」
小萌「上条ちゃんは何をするか分からないですからね。それにどんな娘に引き取られるか見届けるのも教師の役目なのです」
姫神「2人とも誰に向かって。言っているの?」

アニェーゼ「あの幻想殺しが手に入る千載一遇のチャンス!彼を手に入れて・・・フヒヒヒヒヒヒ・・・・おっと、ヨダレが出ちまいやした」
アンジェレネ「シスタールチア。私はこんなことよりも学舎の園限定ケーキが食べたいのですが・・・・」
ルチア「黙りなさい。シスターアンジェレネ。シスターともあろう者が異教徒の地の嗜好品に想いを馳せるなど」
オルソラ「私達が手に入れれば、イギリス女子寮の男子禁制は軽々と破綻していくのでございましょう。フフフフフ」
シェリー「お前、絶対それを期待しているな。させねぇからな。絶対にさせねぇからな」

面白そうだから付いて来た人

462457:2013/03/20(水) 21:24:38 ID:/nXZNXms
ミサカ10032号(以下ミサカ)「ミサカは妹達の代表として出席しましたとミサカはこのSSを読んでいるであろうごく少数の方々に説明します」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

MNW(ミサカネットワーク)
本日のスレ:上条オークションで上条を競り落としたら何に使う?

1:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka10032
 おまいら、上条が自分のものになったらどうする?

2:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka14510
 そんなことよりもセロリたんが欲しい!!
 セロリたん!どこぉ!?

3:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka15732
 >>2
 やべぇ。セロリ症候群末期だわ。運営(打ち止め)に消されるぞ

4:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka19874
そんなことより、運営はどうしてる?

5:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka13432
 >>4
 てめぇ!“そんなことと”は何だ!?
 上条さんを手に入れるかどうかは妹達の死活問題だろうが!

6:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka17600
 こちらスネーク
 運営はセロリと第七学区のセブンスミストで買い物中
 セロリはいつも通りのロリコン&ツンデレ平常運転

7:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka14354
 スネークキタアアアアアア!!!(・∀・)

8:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka15696
 スネークさんマジパネぇっス!!

9:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka14510
 >>6
 第七学区のセブンスミストだね!
 セロリたん!今行くよぉぉぉぉぉぉぉ!!

10:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka18531
 >>9
 ご武運を祈る

11:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka15555
 >>9
 あいつ、無茶しやがって・・・・・

12:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka10032
 で、色々と話が脱線したけど、上条を手に入れたらおまいらどうする?

13:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka14000
 >>12
 恥ずかしくてそんなこと言える訳ないだろ///

14:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka14735
 >>12
 言わせんな。恥ずかしい///

15:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka20000
 >>12
 そんなの決まってんだろ!
 身体中をベロベロチュッチュするんだよ!
 いや、ベロベロチュッチュされるのもいいかも///

16:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka17894
 >>15
 通報しますた。

17:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka19090
 >>15
 言うなよ。恥ずかしい(//∀//)

18:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka17600
 こちらスネーク
 運営が鼻血出して倒れた。

 打ち止め「みんな何て淫らで爛れたことを妄想してるのーってミサカはミサカは少年漫画のベタなリアクションをとってみたりー!!」
 一方通行「ラストオォォォォォォォォダァァァァァァァ!!!」(泣)

 ・・・ってな感じ。何が起こった。

19:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka20000
  >>18
  な、なんだってー!

20:名無しに代わりましてミサカがお送りします。ID:misaka19626
  >>19
  お前のせいだろうが!!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ミサカ「あの人を手に入れた暁には・・・フヒヒヒヒヒ・・・とミサカは込み上げてくる自らの劣情に逆らえきれません」

463457:2013/03/20(水) 21:25:57 ID:/nXZNXms
リドヴィア「使徒十字作戦が失敗したのは幻想殺しを敵に回してしまったから。ならば、今回はその絶大な力を手に入れるチャンスです。絶対に私たちが手に入れるのですよ」
オリアナ「まさか、再び学園都市に来るとはね。あの子の熱い拳、お姉さんゾクゾクしちゃう」
リドヴィア「そのような卑猥な発言は控えなさい」


青ピ「なぁ、つっちー。皆、目が据わっててちょっと怖いねんけど」
土御門「でも、ここまで来たらやるしかないぜよ」
(フラグが立ってなさそうな奴がいるのがちょっと気になるが・・・・)

上条(俺は、俺はどうなってしまうんだー!!)


土御門「レディース アーンド ジェントルメーン!!」
青ピ「って、ジェントルメンはおらんやんか!!」ペシッ

一同「・・・・・・・・・・」

青ピ(渾身のギャグがすべってもうたー!!)
土御門(ピアスくん。ここはサクッと本題に移った方がいいにゃー)
青ピ(せ、せやな)
土御門「さて!本日の、注目の商品はこちら!!」
青ピ「せいやっ!」

青髪ピアスが布を剥ぎ取り、椅子に縛られ、ガムテープで口を塞がれた上条当麻の姿が露になる。それと同時に「キャアアアアアアアアアアア!!!」という上条症候群患者の歓喜の雄叫びが会場中に響き渡る。

土御門「はいはーい。皆さーん。静かにするんだにゃー。今から、当オークションのルールについて箇条書きで説明するにゃー」

1.当オークションでは金品はお取り扱いしておりません。
2.“上条当麻にどれだけ尽くすことが出来るか?”という度合いで落札者を決める。
3.尽くし度合いの上下関係は学園都市製のスーパーコンピュータが解析してランクを付ける。
4.あくまで個人で行えることであり、金品や組織を使ったものは除外とする。
5.落札者は“提示した尽くすことの内容”を実行しなければならない。

土御門「じゃあ、ルールを説明したところで、さっそく始めるにゃー。お手元のボタンを押してから、発言するようにお願いするぜよ。ピアスくん。最低ラインを決めて欲しいにゃー」
青ピ「ほんじゃ、“5分間手を繋ぐ”からスタートやでー!!」

青髪ピアスの「スタート!」という掛け声と共に皆が一斉にボタンを押し始める。
各自の座席には学園都市製の高性能マイクが設置されており、全員が一斉に喋ってもその人の言葉しか収音しないという機能が付いている。それをコンピュータが解析し、尽くし度をランク付けするのだ。

五和「10分ぐらい手を繋ぐなら・・・・」
神裂「な、なら、私は30分ぐらい繋いであげても・・・いいような・・・」
姫神「一時間ぐらいは余裕」
アニェーゼ「三時間ぐらいは!!」
ミサカ「一日中手を繋ぐのは余裕です、とミサカはトイレや食事中ぐらいは手を離さないといけないのでは?という問題点を無視して発言します」

青ピ「はーい!今、ミサカちゃんの『一日中手を繋ぐ』がトップやでー!!」
土御門「別に手を繋ぐ時間で競わなくてもいいですたい」


美琴「だったら、三日連続でデート///(キャー!言っちゃったー!(>∀<))」
黒子「おっ、お姉様!?」

神裂「あなたが入院する度に堕天使エロメイドでご奉仕してあげます!!」
五和「私は毎日、家に通ってご飯を作って上げます!」

上条(五和―!今、上条さんの中ではあなたがトップですよー!)

青ピ「神裂火織ちゃんの『入院する度に堕天使エロメイドでご奉仕』がトップに来たでー!!ってか、ボクがご奉仕して欲しい!!」

上条(神裂!ゴメン!それホントに止めて!)

土御門「上やん。ホント、うらやまs・・・おっと、俺には舞夏がいたにゃ」
青ピ「さあ!さあ!他にはおるやろ!?おるやろ!?」(怒)

インデックス「とうまと同棲するんだよ!」

青ピ「おーっと!インデックスちゃんの『同棲発言』がトップに躍り出たで!!」
上条(インデックスー!お前は既に一つ屋根の下じゃないかー!!)

五和「だったら、泊まり込みで毎日、朝御飯、弁当、晩御飯を作ります!ってか、お望みなら家事を全て担います!」

青ピ「五和ちゃんの『泊り込みで家事をする』がトップや!!」

464457:2013/03/20(水) 21:26:54 ID:/nXZNXms
リドヴィア「まだ、一度も発言していませんね」
オリアナ「こういうのはタイミングがあるのよ。・・・・っと、そろそろね」

ボタン<ポチッ!

オリアナ「ねぇ〜♡ 大人のホテルでお姉さんとイ・ケ・ナ・イ・コ・トしない?」

青ピ「出た―!!オリアナ・トムソンさんの『大人のホテルでイケナイコト』!!上やん。羨まし過ぎて、ホンマブッ殺していい?」

オルソラ「皆さん、なんて盛り上がっているのでございましょうか」
アンジェレネ「あのー、私はこんなことよりも学園都市の美味しいお菓子が食べたいのですが・・・」
アニェーゼ「キーッ!!イケナイコトとか!!シスターのアタシ達には無理じゃねぇですか!」

オルソラ「純潔を・・・、シスターであることを棄てる覚悟を持ってやれってことでございましょう?」
アンジェレネ「あのー、シスターアニューゼ。私は・・・・」
アニェーゼ「ぐぬぬぬぬ・・・・」
アンジェレネ「あのー、シスタールチア。私達だけでも・・・・」
ルチア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
アンジェレネ(お祈りで神様の世界にエスケープしてる。私だけでも抜けていいのでしょうか?)
オルソラ「なら、わたくしは毎晩、夜の営みのお相手を」
アンジェレネ(純潔とシスターであることをアッサリと棄てたー!?)

青ピ「はいはーい。現在、オルソラ・アクィナスさんの『毎晩、夜の営み』がトップやで!!」
土御門「こっから先は欲望への一方通行だにゃー!その理性をブチ殺す!!」

上条(か、上条さんは今、夢でも見ているんでしょうか・・・・・?)


オルソラ「まぁ〜。トップになりましたか〜」
シェリー「お前、あっさりとシスター棄てたな」

<青ピ「おおっと!他の女の子達も『毎晩、夜の営み』を尽くすと言い始めた!」

シェリー「こいつら、頭大丈夫なのか?」
オルソラ「まぁまぁ。同列になってしまったのでございましょうか?どうしましょう」
シェリー「くだらないな。だったらよぉ。『朝、昼、晩、あなたが望むなら四六時中ぶっ通しでイケナイコトをします』なんて言ってみろよ。まぁ、流石にそれは・・・・」

<青ピ「おーっと!シェリー・クロムウェルさんの『四六時中、ぶっ通しでイケナイコト』がトップやー!」
<土御門「とんでもないダークホースの登場ですたい」

オルソラ「あらあら。マイクが貴方の声を収音してたのでございましょうか?」
シェリー「あ・・・・・・、えっと・・・その・・・・これはノーカンで・・・・」

<小萌「四六時中、ぶっ通しは流石に先生も止めますー。」ヒソヒソ
<姫神「先生。それ以前に問題があると思うんだけど。もう付いていけない」ヒソヒソ
<オリアナ「四六時中ぶっ通しだなんて、お姉さんでもそこまで絶倫じゃないわよ」ヒソヒソ

シェリー「これは誤解だ!不幸だ!理不尽だ!!私は絶倫じゃないぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・」

465457:2013/03/20(水) 21:27:20 ID:/nXZNXms
黒子(今ですわね)

ボタン<ポチッ!

黒子「私は、上条当麻が望むなら、ありとあらゆる鬼畜・変態プレイを受け入れる・・・・」


土御門・青ピ(もう収集がつかない・・・・・・。どうしよう・・・・。)
上条(どうにかして、ここから逃げないと・・・・)コソコソ


黒子「・・・と、お姉様がおっしゃっていました」
美琴「何言ってんの!?黒子!?」

<うわー。マジでドン引きです ザワザワ
<まさか常盤台の超電磁砲が・・・・ ザワザワ
<けっこう、淫乱なんだね ザワザワ
<まぁ、お年頃だけど、さすがにそれは無いわ ザワザワ

美琴「どうしてくれんの!?これじゃあ、あいつを手に入れるどころか・・・・」
黒子(お姉様。申し訳ありませんが、こうすることでしかあの類人猿からお姉様を守ることしか出来ませんの。恨むならこの黒子を恨んで下さいまし。さすがにこんな変態的で類人猿にとってもマイナスなのがトップに来ることも・・・)

青ピ「あ、トップが御坂美琴の『鬼畜・変態プレイ』になったで・・・・」

黒子(ですのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!?????????)

土御門「どうなってんだ!このコンピュータの判断基準は!?」
上条(2人の視線がコンピュータに向かっている今のうちに!)

そう見計らうと、上条は縄を解き、椅子から自力で脱出する。

土御門「あ!待て!上やん!」
上条「こんなところに長時間耐えられるほど、上条さんの精神は丈夫じゃないんですよ!」
青ピ「ボクが追いかけるから、つっちーは場を繋いでくれへんか?待て!上やん!」

そう告げて、青髪ピアスは上条の後を追いかけて、会場を跡にした。
上条の逃走ということで、会場は騒然となり、一部の人間は自暴自棄になったりしていた。

土御門「皆さま、どうぞご心配なくだにゃー。今はプロが上やんを追いかけているぜよ。しばらくしたら、戻ってくるぜよ」
(実際は暗部に仕事を依頼しているんだけどな)

466457:2013/03/20(水) 21:27:46 ID:/nXZNXms
その頃、上条当麻は見慣れない施設の中を必死に逃走していた。

青ピ「待てー!上やーん!」
上条「待てと言われて、待つ奴がいるかぁ!!」
青ピ「今日こそは上やんの嫁を決めて、第一級フラグ建築士の看板を降ろさせてもらうで!」

すると、上条は走る足を止めて、反転する。そして、青髪と向き合った。

青ピ「やっと決心が付いたんか?」
上条「違うだろ」
青ピ「え?」

上条「俺の嫁ってのはあんなやり方で決めるのかよ!俺の嫁ってのは相手に好かれよう、好かれようと必死に努力して手に入れるものだろ!?あの娘はどんな男がタイプなのか!?どの食べ物が好きなのか!?どのデートスポットを廻ったら上手くいくのか!?どんなプレゼントをしたらいいのか!?何度も成功したり、失敗したり、不安になったり、緊張したり、振られたら一日中泣き叫んで、上手くいったらバカみたいに喜んで!!そうやって手に入れてこそ、価値があるもんだろ!!それはエロゲー中毒のお前が一番理解しているんじゃないのか!?」

青ピ「か、上やん・・・・・」
上条「いいぜ。お前があんなやり方で嫁を決めようっていうなら、まずはそのふざけた幻想をブチ殺す!」
青ピ「あべしっ!!」ドサッ

通路で横たわる青髪ピアスを余所目に上条は出口があるだろうと思っている方向へと走っていった。

青髪(でも上やん。女の子にあそこまで醜態さらさせておいて、決めなかったらそれはそれで残酷なことやで・・・)


上条「はぁ・・・・はぁ・・・・。どうやら、ここが出口みたいだな」

上条がドアノブに手をかけ、扉を開いた。薄暗い通路に眩しい光が差し込む。

上条「あれ?ここって・・・・」

そこには上条の見慣れた広場が目の前に広がっていた。いつもお世話になり、第二のマイホームと化した病院の前にある広場だ。いつもの病室から見ている場所だから間違いない。
どうやら、広場の片隅にある公衆トイレの壁の隠し扉から繋がっていたらしい。

上条「とにかく、見慣れた場所で良かった。逃げながら道に迷うとか嫌だからな」

上条は律義に隠し扉を閉じ、公衆トイレから広場へと出た。
すると、目の前にある病院の出入り口から見たことのある、そして、出来れば二度と関わりたくない人間の姿があった。

上条「ア、一方通行!?」

一方「よゥ。三下ァ・・・・。ウチの打ち止め(ラストオーダー)をあんな風にした責任は取ってくれるンだよなァ?」

上条「え?あのー、全く身に覚えが無いのですが・・・・。」

一方「とぼけても無駄だァ!!あいつが鼻血噴き出しながらぶっ倒れて病院に運ンだら、『ミサカは・・・・上条・・・・って、ミサカはミサカは・・・・。』ってうなされてンだよ!!」

上条「いやいや、本当に身に覚えが無いんだって!大体、俺はロリコンじゃないし!」

<カチッ!
一方「うちの打ち止めをキズモノにして命があると思うなよォォォォォ!!」

上条「だから、上条さんは無実ですぅぅぅぅぅぅぅ!!」

一方「ギネス級に愉快な死体にしてやらァ!!!!」

ちなみに真相は「“ミサカは”あまりにも変態的な方向に行ったので、ミサカネットワークの“上条”スレを閉鎖したんだよって“ミサカはミサカは”辛くも現状報告してみる。」である。

467457:2013/03/20(水) 21:32:14 ID:/nXZNXms
とある路地裏

麦野「ったく!クズのくせに手こずらせんじゃねぇよ!この腐れ×××が!」
絹旗「今日の麦野は超不機嫌です。まぁ、八つ当たりの矛先が浜面に向かうから超関係無いですけど」
フレンダ「まぁ、結局は変態のバカ面が痛い目を見るって訳よ」
滝壺「大丈夫。理不尽に八つ当たりされるはまづらを私は応援してるから」

浜面「おーい!電話の女が新しい仕事持ちかけて来たんだけど・・・・」

麦野「ムカつくから死ね!」ビームッ!!
浜面「うぉっ!危ねっ!!殺す気か!?」
麦野「殺す気だ!」
浜面「せめて否定してください!!」
滝壷「大丈夫。理不尽に殺されてそうになるはまづらを私は応援してるから」
浜面「応援するなら助けてくれぇ!!(涙)」
麦野「で?どんな仕事?」
浜面「なんか無能力者の学生を一人捕まえるだけらしい。詳しいことはメールで送るってさ」

絹旗「そんなの超パシリじゃないですか。わざわざアイテムを使うまでも・・・・」

ピロリロリン♪

麦野「あ、メール来た。んー、なになに?・・・・・!?」
フレンダ「どうしたの?そんなに目を見開いた麦野は見たこと無いって訳よ」

フレンダは麦野からケータイを取り上げる。

フレンダ「ぶわっ!!なななななな、この金額はヤバいって訳よ!」
絹旗「フレンダは超大袈裟すぎるんでよ。たかが学生1人捕まえる仕事で・・・!?」

To:麦のん
From:電話の女

仕事内容
さっき舞い込んできた依頼だけど、
太っ腹だからそっちに廻しとくっつーの。
無能力者の学生、上条当麻の拘束。
殺さないで生け捕りが絶対条件。
怪我をさせたら報酬は2割引き。
(添付ファイルに彼の画像があるから。)

絹旗「よよよよ、4千万円!?たかが無能力者(レベル0)を捕まえるだけで!?2割引きでも3千2百万円!?」
麦野「でも、上手過ぎる話ね。何か裏があるんじゃないかしら?例えば、実は超能力者(レベル5)とか?」
フレンダ「添付ファイルがあるって訳よ。開いちゃえ」
麦野「これが、目標の学生か・・・。画質が悪いわね。シルエットぐらいしか分からない」
フレンダ「男でツンツンウニ頭ってことぐらいしか分からないって訳よ」
浜面「おいおい。俺にも見せてくれよ。・・・・・って、こいつ!?」
滝壷「はまづら・・・。知り合い?」
浜面「ああ。俺と同じ無能力者だよ。あいつの邪魔したせいで・・・・」
絹旗「超変態の浜面のアブノーマルな過去話はどうでもいいですから、さっさと特徴を話してください」
浜面「俺はアブノーマルじゃねぇ!!」
滝壷「そんなアブノーマルなはまづらを私は応援・・・・できないかもしれない」
浜面「滝壷さん!?・・・・・って、特徴って言われてもなぁ・・・。何て言っていいのやら」
絹旗「じゃあ、誰誰に似ているとか・・・・」
浜面「う〜ん。そうだなぁ・・・・」

468457:2013/03/20(水) 21:32:51 ID:/nXZNXms

上条「ちょっと通りまーす」

麦・フレ・絹・滝「「「「あっ、すいませーん。」」」」」

浜面「ああ。そうそう。丁度、あんな感じ・・・・って、居た――――――――!!!」
絹旗「えっ!?」
麦野「原子崩し!!」
上条「うぉぉい!!今度は後ろからビーム出てきた!!」そげぶ!
滝壷「今、むぎののビームを消してた。」
フレンダ「超電磁砲でも軌道を逸らすのにやっとだった麦野のビームを打ち消すなんて、本当に無能力者って訳?」
浜面「いやいや、確かにあいつに間違いないって。武装した十数人の武装集団(スキルアウト)に生身で立ち向かってたし、能力だって使わなかった」
絹旗「そんなことより超追いかけますよ!!」
浜面「俺、車まわしてくる!」

上条「ひぃぃぃ!一方通行がぶっ倒れて逃げきれたかと思ったら、見知らぬ小学生から車やらお掃除ロボやら投げつけられるなんて・・・・不幸だぁー!!」
絹旗「小学生じゃないです。超中学生です!!」
上条「“超”中学生って何!?超(スーパー)サイヤ人みたいなの!?」

キィィィィィ!!

上条「うぉ!今度は前から車が!?」
麦野「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」
フレンダ「いやいや。殺しちゃったら報酬が0な訳よ」

浜面(うわぁ〜。あいつ可哀想。今だけは同情してやる)

麦野「原子崩し!」
絹旗「窒素装甲!」
フレンダ「ぬいぐるみ爆弾!!」

浜面「いやいや、殺さないんじゃなかったのかよ!?」

上条「ふふふふふ、不幸だああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


その頃、オークション会場では・・・・

インデックス「だったら、とうまと[ピー]して[禁則事項]するんだよ!」
姫神「だったら。私は毎日。上条君の [検閲により削除]」
五和「だったら、性天使モロ出しメイドコスで毎日[あまりにも卑猥な発言の為、自主規制]」
美琴「私は当麻の×××を○○○して、☆☆☆☆する!!」
アニェーゼ「だったら、もういっそのこと[禁則事項]しちまいやっせ!!」
ミサカ「だったら、残りの9969体のミサカ(打ち止めと番外個体除く)と上条当麻で前代未聞の9970Pをします、とミサカは羞恥心そっちのけで発言します」
黒子「黒子は何も聞こえないですの。何も見えないですの。そう、これは夢ですの」

土御門「集団心理って、本当に怖いにゃあ」

469457:2013/03/20(水) 21:33:09 ID:/nXZNXms
リドヴィア「これは流石にピンチですね・・・・ん?ピンチ?」
オリアナ(やべ。変な火がついたかも・・・・)
リドヴィア「そうですわ!それは我が主が与えた試練!これを乗り越えてこそ意義のあるものですのね!だったらわたくしは[禁則事項]して[神様もドン引きするレベルの卑猥発言]ですわ!」

オリアナ(お姉さんは18歳。お姉さんは18歳。大人ぶってるけどまだまだピュアな18歳。歩く18禁なんて言われるけどまだ18歳)←本当です。

耳を塞ぎ、自己暗示しながら会場を出たオリアナ。その先には会場のカオスな空間に耐えきれなかった数多くのリタイア者がいた。

ルチア「ああ。神よ。ここ現世の試練に耐えられなかった私をお許しくださいませ」
アンジェレネ(シスターオルソラはあんなところにいて大丈夫なのでしょうか?)
小萌「」←放心状態
吹寄「」←気絶
オリアナ「お姉さんは18歳。お姉さんは18歳。お姉さんは18歳」
神裂「私は18歳。私は18歳。私は18歳。私は18歳」
オリ・神裂「「18歳?」」
オリ・神裂「「いやいや。18歳はないでしょう。絶対にサバ読んでるって」」
オリ・神裂「「本当に18歳?」」
オリ・神裂「「うん。本当に18歳」」
オリ・神裂「「じゅうはっさい!!」」

熱い抱擁を交わす2人の東西巨乳美女。
これが学園都市における“永遠の18歳教”の起源なのはまた別のお話。


麦野「ちょっとやり過ぎちゃったわね。」
浜面「いやいや。やり過ぎどころか九分殺しじゃねぇか!報酬90%カットだよ!これ絶対!」
絹旗「原子殺し一斉掃射、窒素装甲で巨大コンテナの雨、能力が効かないと分かったらぬいぐるみ爆弾100連発、死ななかったのが超奇跡ですね。」
フレ「まぁ、90%カットでも4百万円も報酬があるわけよ」
麦野「じゃあ、今回の報酬は麦:絹;フレ:滝:浜=3:3:3:1:0ってことで」
浜面「うぉい!俺、タダ働きかよ!!」
滝壷「大丈夫。お金を稼げない甲斐性無しのまづらを私は応援している」
浜面「滝壷さ〜ん(泣)。それもう暴言!!」
麦野「私はもう疲れたから帰るわ。浜面、後始末しときなさいよ」
絹旗「私も超以下同文です。滝壷さんも一緒に帰りましょ」
滝壷「うん。ばいばい。はまづら」
フレ「新製品のサバ缶が待っているって訳よ」
浜面「ああ。気を付けて帰れよ。・・・・・。後始末って、これ(上条)をか?」

prrrrrrrr

浜面「はいはい。こちらアイテム雑用兼運転手兼電話受付係兼八つ当たりの的兼ドリンクバーの往復係の浜面仕上です」
電話の女「それ、自分で言ってて悲しくない?まぁ、それは置いといて、例の仕事は片付いた?」
浜面「ああ。九分殺しだけど生け捕りしてきたよ」
電話の女「そう、じゃあ、対象を依頼主のところまで運んでくれない?そっちのカーナビにデータ送ったから」
浜面「あ。来た来た。そんじゃあ、行ってくるわ」

470457:2013/03/20(水) 21:33:30 ID:/nXZNXms
オークション会場
「当麻はまだかー!!」「さっさと当麻出せやー!!」「とーうーまー!とーうーまー!」と怒号が飛び交い、全員がステージ上に上がって土御門を取り囲んでいた。
美琴「超電磁砲(レールガン)ぶっ放すぞ!!ゴルァ!!」
ミサカ「約一万人の妹達で総攻撃(ミサカスクランブル)仕掛けるぞ!ゴルァ!!とミサカは生まれて初めて恐喝というものを実践してみます」
リドヴィア「ローマ正教総勢力でぶっ潰しますよ!」
アニューゼ「部隊総出で血祭りにあげちまいやしょう!!」
インデックス「あなたを十字架に張りつけて教会の像にするかも」
姫神「ケルト十字を外して。吸血鬼を呼び寄せて。哀れな犠牲者の1人にする」

土御門「もう少し!もう少しで上やんが来るからぁ!!」

まるで借金取りに取り立てられる低所得者の如く、土御門は涙目に観客に懇願していた。
しかし、そこに一つの希望が舞い降りた。

浜面「すいませーん。依頼主の土御門元春さんですか?」

ボロボロになった上条を背負い、状況を理解できてなかった浜面がステージ上に現れた。
上条の姿を見て、土御門は全身の血の気が引いて、真っ青になった。

土御門「そ、そうだが、な、何で上やんがこんなボロボロになってるんだにゃー」
浜面「すいません。ウチは何かと荒事専門なんで・・・。やっぱり、報酬は減額ですよねぇ」
土御門「あ、えーと。報酬は『アイテム』の口座に振り込んどくにゃー!!後は頼むぜよ!」

そう言い残して、全速力で土御門はその場から逃走。

浜面「後は頼むって・・・・あれ?皆さん、なんでこっちを睨んでるんですか?」

浜面に恐怖という文字がピッタリな視線が集まり、浜面の置かれた状況は絶望に等しかった。

一同「「「「当麻を傷つける奴は、全て敵!!!」」」」

浜面「こいつじゃないけど、今は言っていいんだよなぁ?」

レールガンが、御坂妹の機関銃が、竜王の棲息(ドラゴンブレス)が、ありとあらゆる世界滅亡級必殺技の矛先が向けられていた。

ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!

浜面「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

471457:2013/03/20(水) 21:33:48 ID:/nXZNXms
いつもの病院

上条「俺・・・生きてる・・・。何か、分からないけど生きてて良かった〜!!今回は本当に死ぬかと思った!!」
浜面「ウゼェ!!死ね!!」
上条「あれ?何で浜面さんが同じ病室なんでせうか?」
浜面「同時に大量の入院患者が出たから、病室が足りないんだとさ」
上条「同時に大量の?・・・・はっ!まさか魔術師が!?」
浜面「いやいや違うから。どんだけ魔術師って奴に悪いイメージ持ってんだよ。ほら、窓の外見ろよ」
上条「ええ!!ここってこんな光景だった!?明らかに世紀末なんですけど!」
浜面「お前をあそこに連れて行ったら、何か解らない技で殺されかけたんだよ」
土御門「その事は俺から説明させてもらうぜい」
上条「土御門!?」
浜面「あっ!てめぇ!あの時はよくも!」
土御門「無茶して身体を動かさない方がいいですたい。せっかく、冥土返し(へヴンキャンセラー)が治療したお前の身体が“また”8つのパーツに分かれるぜい」
上条「え?“また”?」
浜面「え?何!?俺ってh/a/m/a/d/u/r/aの状態で搬送されたのか!?」
上条「ぶった切られた俺の右腕が後遺症も無くくっついた時には驚いたけど・・・・、あの医者、やっぱチートだな」
土御門「まぁ、そんなことは置いといて、俺から今回の結末を説明させてもらうぜい。まず、上やんがボロボロになって帰ってきたことで女子共が狂乱。色々となった挙句、あの様だにゃー」
浜面「いや、色々とかそういう問題じゃないだろ。」
上条「オークション会場が地下だったのに、地上まで完全に消し飛んでるじゃねえか」
土御門「話は最後まで聞くにゃー。その騒乱で判定用のコンピュータが壊れたせいで落札者も不明。その結果が気に入らなかった女子共は八つ当たりで周辺に攻撃したら、警備員(アンチスキル)に一斉検挙されたにゃー」
上条「うわー。あの面子を逮捕した警備員すげぇ」
土御門「でも入院患者のほとんどが警備員。あと、アイテムへの報酬だが、さすがにやり過ぎだから9割引きで400万円くらい口座に振り込んだんにゃー」
浜面「まぁ、報酬が振り分けられない俺には関係ない話だけどな」
上条「お前も案外不幸なんだな」
土御門「ちなみに俺がコツコツと貯めてきたポケットマネーで用意した4千万円のうち3600万円はお前らの治療費と今後の入院費でブッ飛んだけどにゃー」

上条・浜面「「ありがとうございます!土御門大明神様!!」」

土御門「はっはっは。誉めてももうお金は出ないぜい。しばらくは義妹に賄ってもらうにゃー」

472457:2013/03/20(水) 21:34:11 ID:/nXZNXms
後日談

退院してすぐに家に戻った上条を待っていたのは、

“おるそら達と一緒にしばらくシスターの修行の旅に出ます。捜さないで下さい。 インデックス”

“彼女には僕が付いている。君は安心して永遠に彼女の帰りを待つといい。 byステイル”

というインデックス直筆の書置きがテーブルの上に残されていただけだった。

上条(ステイルと一緒なら安心か。まぁ、上条さん的には食費が浮いて助かるんですけどね。)

そして、久々に学校に行けば姫神はずっと学校を休んでいるし、吹寄(オデコデラックスバージョン)の頭突きを喰らってしまい、小萌先生に嫌〜な雰囲気の職員室に呼び出されてしまった。

そして下校中

上条「上条さんだって被害者なんですー!!不幸だあああ――――――!!!」
美琴「やっと見つけたわよ。」
上条「ビリb・・・じゃなくて御坂・・・・。えーと、そのー・・・・・」
美琴「何?どしたの?」
上条「上条さんはピュアでノーマルで健全な男子高校生なんですー!!」
美琴「ちょsgjfdv、あれは黒子が勝手に言ったのよ!!」
上条「嘘つけ!!あれ以降も卑猥な言葉を連呼しまくってたって、土御門から聞いたぞ!!」
美琴「ああ!その事は言わないで!!やっと、留置所から出てきて、忘れられてたのにー!!」
上条「今のは右手じゃなかったら危なかったぞ!!」
美琴「忘れろ!忘れろ!脳細胞ごと焼き尽くして記憶を消してやる!!」
上条「それはもう経験済みなので勘弁してください!!」


青ピ「ああー。上やん。またラブコメってるやん。」
土御門「本当に羨ましいぜよ。けど、それで誰ともくっつかないのが上やんらしいにゃー。」
青ピ「けど、女の子にあそこまで醜態晒させておいて、誰も選ばないってのは残酷なことやで。」
土御門「まぁ、あれだにゃー。」
青ピ「ホンマ、あれですやん。」
土御門・青ピ「「“釣った魚に餌を与えないのが上条流”」」

上条を巡る女達の仁義なき戦いはこれからも続く。

彼が誰かの想いに気付くまで・・・・。

473457:2013/03/20(水) 21:34:31 ID:/nXZNXms
これで以上です。ありがとうございました。

474■■■■:2013/03/28(木) 00:09:14 ID:EaY6dJOA
gj

475■■■■:2013/03/28(木) 00:09:29 ID:EaY6dJOA
gj

476■■■■:2013/03/28(木) 15:02:59 ID:OnS3g7uc
gj

477■■■■:2013/04/16(火) 20:44:20 ID:g23ZverQ
牧田さんェ…もう禁竜の続き書かないの?あそこまで連載して、完結させずに投げ出しちゃうの?
アニレー二期も始まって最愛ちゃんも活躍するというのに

478■■■■:2013/04/17(水) 14:51:21 ID:7pFlbgWg
GJ!!!

479■■■■:2013/05/16(木) 18:26:28 ID:806hD30k
>>477
twitterにはたまにいるよ
受験終わりの新学期で忙しいみたい

480■■■■:2013/05/18(土) 00:26:26 ID:MvAf00VM
>>479
おお、マジですか。はやく連載再会してほしいな

481■■■■:2013/05/22(水) 19:15:34 ID:cvCxw0/M
>>480
一応書いてはいる、的なこと言ってた
忙しい学校なのかもしれない

482牧田さん:2013/07/20(土) 15:19:41 ID:7czRrRTI

一年ぶりです牧田です。
とても久しぶりですが、『禁竜召式(パラディンノート)』の続きを投下したいと思います。
今回は14か15レスほど頂きます。

483牧田さん:2013/07/20(土) 15:23:45 ID:7czRrRTI
・・・・・・と、思いましたがゴメンなさい
なぜか右クリックが反応しないのでペーストできないです・・・・・・

ネカフェかどこかへ出かけてそこで投下します。
今日中には何とか・・・・・・

484牧田さん:2013/07/20(土) 15:29:10 ID:7czRrRTI
言い忘れていましたが、今回もオリジナルまみれですので、あしからず

485■■■■:2013/07/20(土) 19:40:38 ID:yl4hLbYM
>>482-484
「……戻ったか」
「戻ったか」
「戻ったかッ!!」

「「「牧田さんッ!!!」」」

連載再開おめでとうございます。夏休み初日から朗報ですなぁ
禁書の夏、SSの夏

486牧田さん:2013/07/20(土) 23:55:47 ID:ZCrQb.vY
時間が空いてしまいましたが、投下始めます

487牧田さん:2013/07/20(土) 23:56:33 ID:ZCrQb.vY

十月一六日午前二時三五分。ハイドパーク中央広場。


月明かりが煌々と差し込む深夜の大広間には、一面を覆い隠すようにして、ルーンが魔法陣の役を果たすために“規則正しくバラまかれていた”。
しかしそれは一見、雑に捨てられているようにも見え、それらのルーンが『規則正しい』と気づく者は殆どいない。

アニェーゼ=サンクティスやそれが指揮する修道女部隊は、絶対にその足を止めぬよう、そして何があろうとその眼から『敵』の姿を外さぬように、凸凹の混じる広場をひたすらに駆け続ける。

「走れ!! 避けろ!! 油断するな目を凝らせ!!」

アニェーゼの怒号が広場へ響き渡る。霊装によって言霊化されたそれは、不自然なほど広範囲に走っていった。
もはや陣形という概念を一時的に捨て去り、部隊長の簡潔すぎる命令を選択した修道女達は、広場の外側から回り込むように大量に降り注ぐ『ロキの咆哮』の対処と、それを操る術者への攻撃も申し訳程度に視野に入れ、走り続ける。
回避、回避、思考、回避、思考、思考、攻撃、失敗、回避、援助、回避・・・・・・ひたすらにこの作業を繰り返し、彼女等の神経はかなり擦り減らされていた。
アニェーゼからは少し前に「命が無くなりそうなら広場から出ろ」との指示は受けていたのだが、『ロキの咆哮』により繰り出される真空刃は無言詠唱の後“一度クリスタルの真横に大きく展開され、外側からカーブを描いて”襲い掛かってくるため、数人の助けが無いとそもそもが外へなど安全に出られない。先程の林の中での奇襲のように煙幕の類は使われていないが、攻撃の量は桁違いだ。
つまり彼女達は、かなり広範囲とは言え、半ば真空刃の群れに閉じ込められたような状態に陥っているのだ。

(あー、全く。格好つけた割に、随分情けないことになっちまいましたねぇ)

「・・・・・・っ!! シスター・アニェーゼ!! このままでは本格的に八方塞りです!! ほんの一瞬だけでも隙をついて態勢を整えるべきでは!!」
車輪の爆破を利用し、不自然な動作で真空刃を避けるルチアの言葉に、素の身体能力で回避を続けるアニェーゼは『異常なほど』落ち着いた様子で返した。
「大声で指示しといて何ですが、別に慌てる必要はありませんよルチア。度合いは違えど消耗しているのは相手も同じでしょうし、それに幸い『ロキの咆哮』の命中精度はかなり悪い・・・というかそもそも、あれは数打ちゃ当たるで打ちまくってる節があります。先の戦闘でクリスタルが使ったような、・・・・・・っ!! と危ない」
アニェーゼは迫り来る刃を軽くかわし、体勢を立て直して言葉を紡ぐ。
「・・・・・・先程の戦闘でクリスタルが使っていた『ただの真空刃』と違い、攻撃力も命中力も低い。この『ロキの咆哮』は単なる時間稼ぎでしか無いのでしょう。実際、クリスタルは刃の弾幕を張り続けてはいるものの、それ以外は何もしようとはしてきませんから」
「確かにそうですが・・・・・・」
ルチアの自身無さげな声にも、アニェーゼは表情を変えない。

「それに、最初よりは楽でしょう? “さっき神裂さんが来てくれてから”、相手の目は殆どそっちにいっちゃってるんですし」
「アナタと神裂火織が異常なんですよ!! こっちは避けるだけで精一杯です!」
「だから、避けるだけなら余裕なんでしょう?  『今日はみんな調子良いみたい』ですし、まだ問題は無い・・・・・・と思います」
アニェーゼはちらりと右に首を動かし、戦闘開始直後に応援にやって来た『聖人』を視界に入れた。

アニェーゼにはよく分からないが、何かワイヤーのような物を使って地面を盛り上げて敵の刃を容易く受け流す圧倒的な存在が、そこにあった。
神裂火織。世界に二十人といない『聖人』が、ようやくアニェーゼ部隊と合流したのだ。

488牧田さん:2013/07/20(土) 23:57:16 ID:ZCrQb.vY

=========================

[行間]


絹旗最愛は、広場へ着くまでは漠然とした疑問を持っていた。
それはアニェーゼ達への恩、などという取ってつけたような理由では説明しきれない彼女の気持ちに対してだ。

それはどうしようもなく熱く、何よりも胸躍る好奇心が彼方まで広がっていくような感覚だった。


(・・・・・・何故、こんなに超戦いたいと思うのでしょうか? こんなに超突き進みたいと思うのでしょうか?)


絹旗は、闘いたい。今はとにかく闘いたくて堪らない。その理由はもはや分からないが。
彼女は今、内側から湧き上がる意味不明の欲望に逆らうことが出来なくなってきている。

(分からない。分からない。私は何で歩を進めている? 超アニェーゼへの協力? 滝壷さんへのお土産の奪取? ・・・・・・違う。どれも違う。どれも、どんな理由も納得できない)

絹旗最愛は、密かにそんな事をずっと考えていた。

489牧田さん:2013/07/20(土) 23:58:11 ID:ZCrQb.vY

そして、アニェーゼ部隊とクリスタル=アークライトとの相対の後、アニェーゼが『何かに駆り立てられたように』広場へと進入した時のこと。
当然、部隊の一員として参加している絹旗も同時に広場の中心の敵へと、走り出した。


そして、その瞬間、

(・・・・・・私は)

絹旗は走る。そして考える。

(私は 何をして い る)

絹旗は走る。眩暈がする。

(わた し は なにの ために ここ に ?)

走る。頭が痛い。

( ど   う   に   して   れが ?)

走る。呼吸が安定していない。

( なに   が  い  不  り  ? )

走り続ける。月明かりが溶岩のように蕩けていく。

(   わ     は   ?   い   れ    そ )

走り続けて、そして、

(      私ハ、  ? )

490牧田さん:2013/07/20(土) 23:58:44 ID:ZCrQb.vY

そして捉えた、目線の先の一人の女の姿。
征服者のような佇まいのそれは、認識上では絹旗最愛の敵とされているクリスタルという人間だった。

(・・・・・・クリスタル=アークライト・・・・・・)

熱湯のに放り込まれたような感覚を背負い、濁った視界を通して脳が目の前の世界を把握しようと奮闘する。
そして今、絹旗が走っている理由を簡潔に誤魔化す手段が、彼女の脳内から半ば強制的に引きずり出された。



(そうだ、今、私は、あの女を、)


見えない鎧を、心身共に満遍なく張り巡らして、





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・超、ぶっころせば良いんでしたね?」



ぐんにゃりと歪んだ視界と思考の中で、
誰にも気づかれる事無く、


絹旗最愛は壊れた。

491牧田さん:2013/07/20(土) 23:59:34 ID:ZCrQb.vY

==============================

そこでは、ガキィィン!! という、重い音が絶え間なく聞こえていた。
金属音と爆発音とが問答無用に響きあうその広場で、微かに鳴る斬撃を繰り返す神裂火織は冷や汗を拭う暇もなくその身体を稼動させ続けていた。
「アニェーゼ!! これでは埒があきませんよ!! 『なぜ一時撤退の指示を出さないんですか』!?」
神裂は蝗害のように降り注ぐ緑色の真空刃を凌ぎながら、通信霊装を介してアニェーゼへ叫んだ。
「ルチアの言う通り、ここは一度引き下がるべきです!! 広場の外へこの弾幕が及ばないというのなら、それに甘えて不都合は無いはず!!」
一人だけ、周りと比べて明らかに捌く攻撃の数が多すぎる彼女は、それでもそれらを若干の余裕を残して対処し続け、同時進攻でアニェーゼを睨みつける。
対するアニェーゼは『聖人』の言葉に臆することはなく、あくまで落ち着いて言葉を返した。無論、迫り来る真空刃を軽やかに避け続けながら。
「そうは言いましてもね、神裂さん。・・・・・・今現在、負傷でこの広場から離脱した修道女が何人いるかご存知ですか?」
「な、何を呑気に質問しているんです貴方は!!」
「うるさいですねいちいち・・・・・・現在の離脱者は、六人です」
神裂は霊装越しに聞こえたその数を聞き、少なからず驚いた。
「六人、ですか・・・・・・!? 失礼ながら、もう少し多いものかと・・・・・・」
「ええ、まあ、『貴方の存在』が敵の意識と攻撃を多めに持っていってくれてますし、今現在襲ってきている『一人平均三秒に一発程度』なら、うちの部隊でも充分避け続けられる量ですしね。実際、避けれてますし。当たるときは当たるでしょうけど」
「それでも充分に無茶な話でしょう・・・・・・!!」
ちなみに神裂が現在受け続けている真空刃は、他の修道女の約三倍、つまり一秒間に一発食らっていることになる。もっとも『ロキの咆哮』はそれ自体の命中精度が高くなく、そもそもクリスタルは修道女達を細かく狙って撃っている訳ではないので、妙に多く攻撃のやってくる数秒間もあれば、その逆のまたある。

「驚くのはそこじゃないですよ、神裂さん。貴方、クリスタルの足元に何か見えませんか?」
「足元?」
神裂はなおも迫り続ける刃を紙一重で綺麗にかわし、常人には有り得ない視力でもって二十mほど離れたクリスタルの足元を見た。
広場に適当(に見えるように)ばら撒かれたルーンのカードの密集率は、中心に近づくほど、つまりクリスタルに近づくほど増していき、彼女の足元はカードの山のような状態になっていた。そしてそのクリスタル近くのルーン上に、アニェーゼの言ったそれは見えた。
「あれは・・・・・・、アラビア数字の『5』?」
ぐしゃぐしゃに積まれるような形のルーンの上に、『5』という数が浮かび上がっていた。それはとても薄い光で、目を凝らさないと見えるはずがないほどだった。
「あれは一体・・・・・・?」
「よく、見ててください神裂さん」
そう言うと、アニェーゼは数m離れた『遠爆』第一班の金髪の修道女に、とある指示を出した。
『仲間の手を借り、お前だけ一時離脱せよ』という指示を。
金髪の少女は一瞬困惑したような表情を見せたが、すぐに周りのシスターに援護を依頼し、防御術式を何人かのシスターに施されながら弾幕に逆らうように広場の沿を目指して走り出した。
そして、彼女が広場の外周へと無傷で到達したころに、
「神裂さん、耳を澄まして」
アニェーゼがステップを刻んで攻撃を受け流しながら、静かに言った。神裂もそれに従い、耳の神経を尖らした。
すると、

カチッ、と。

大量の雑音が蔓延る空間では、とてもとても聞こえ辛い音が鳴った。

492牧田さん:2013/07/21(日) 00:00:18 ID:r39TFej2

そしてそれと同時に、神裂は再びクリスタルの足元の数字を見て、そして異変に気づく。
「・・・・・・数字が・・・『4』になっている・・・・・・?」
「日本語で言うと、カウントダウン、ってやつですかね。私も気がついたのはついさっきなんですが、どうやら最初は『9』だったみたいですよ。広場から出た人数、それも『髪の毛が金色のシスター』の数だけが、そのままカウントされてるみたいです。現在離脱したシスター七人の内、黒髪と赤髪が一人ずついましたし、この二人の装飾物や霊装に金色黄色が混じっていたので、どうやら『髪の毛が金色』というのが重要らしいですね」
「髪の毛が金色? カウント? それは、つまり・・・・・・」
「・・・・・・『ロキの軌跡』の第三段階は、恐らくあのカウントダウンの先にあります」
心無しか、少し勢いの弱まった弾幕の中でアニェーゼは通信霊装に声を送り続ける。
「第二段階の『咆哮』とは、つまり『ロキの捕縛』。これは、酒の席で他の神々を侮辱したロキが、その息子ナリの腸で拘束され、洞穴にて蛇の毒液を垂らされ続けた説を元にしていると見て間違いないでしょう。そうなれば、それが解かれる時にやってくるのは何か、分かりますよね?」
北欧神話に於いて、ロキがその戒めから解き放たれるタイミングは、神話の終盤。つまり、
「『終末(ラグナロク)』、ですか」
「ええ、その通りです。元々が巨人族の一部だったロキはその後、アース神族を滅ぼすために巨人族を引き連れて出陣したと伝えられています。つまりクリスタルの扱う『ロキの軌跡』の第三段階は、恐らく巨人をモチーフにしたものなのでしょう。これだけ大量のルーンを“規則正しく配置している”ので、何が来るかは大体予想できちまうんですけどね」
バラバラに見えるように広げられたルーンの真意に、アニェーゼはすでに気づいていた。神裂はそれに対しては特に驚きもせず、尚も迫り来る刃を捌いていく。
「なるほど、『ロキの捕縛』ですか。確かにそれなら説明はつきますが・・・・・・、しかし、貴方が先程言った『金髪のシスターがカウントされている』というのは、そこにどのように絡んでくるのですか?」
離れた場所で別々に動きを続ける二人は、周りに注意を払いつつ会話を続ける。
「そもそも神裂さん。ロキ、つまり巨人とは、元々“どの属性を表すか”ご存知ですよね?」
「・・・・・・北欧神話での、それもロキの話だと言うなら、巨人は原初のユミルの説に従って『霧』。霧は水分と認識されがちですが、古来の捉え方では大気の流れの一種、つまりは『風』を表しますね。しかしそもそも“ロキは『嘘』の役が一番メジャーですし”、だからこの広場には、ロキの属性とは関係の無い緑色のルーンがばら撒かれているのでしょう? それだけで『嘘』が成立する上に、ルーンというのはそれ自体が結界になったり魔法陣になったり色々便利ですから」
「それがそもそも、おかしいんですよ」
「・・・・・・と、言うと?」
「“ロキは『嘘』を表す”。これは、魔術世界での最もポピュラーで扱いやすい認識のはずです。第一段階『ロキの虚言』の人を欺くという性質から見ても、クリスタルがこれを応用しているのは間違い無いでしょうが・・・・・・、肝心なのは第二段階、つまり今現在の『ロキの咆哮』です。咆哮、というのはロキが動きを封じられ、毒液を垂らされた際の痛みによる叫び声のことです。・・・・・・まあ要するに、それを表す為には“ロキは封じられていなければならない”んですよ」
「・・・・・・」
神裂は少しだけその言葉の意味を考えた。
そして、“少し考えただけで分かってしまった”。

493牧田さん:2013/07/21(日) 00:01:11 ID:r39TFej2



神裂火織が理解できたことは、此方の認識に混ざる矛盾に関してだった。
『把握報網(MasterNet)』からの情報や、実際にこの目で見る限り、『ロキの軌跡』はルーン以外の魔力媒体を使用していないし、それらしい霊装も無い。
(つまり広場に置かれたルーンの中に、『ロキの咆哮(捕縛)』の性質を示すことの出来る、ロキを縛り付けていた『ナリの腸』、つまりは『嘘を打ち消す何か』があるはず。『嘘』を構築してそれを後から意図的に封じることが、ロキを生み出してそれを縛り付ける役へと直結するはずですし・・・・・・)
しかしクリスタルによって用意されたのは全て緑色、『土』のルーンである。これでは『嘘』を正当に表せてしまうため、『ナリの腸』が成立しない。
(しかしアニェーゼの話に寄ると、敵が言い放つ詠唱は決まっていて・・・・・・)

『C E V U U D D(五大の元素の第一 風よ 力を解き放ち 神に属する愚か者を狩り尽くせ)』

使用するルーンは『土』。詠唱では『風』。正しく巨人(ロキ)を表す風属性によって、“『嘘』は『真』に上書きされる”。
(この時、媒体よりも詠唱を優先しているとすれば、これで上書きされた『ナリの腸』の役は果たされるはず、ですね)
カチカチと高速で動く時計になった錯覚に囚われながら、神裂の脅威的すぎる考察は続く。

(もう一つ、私が此処へ到着した頃にルチアから伝達でもって、大抵の状況は知らされていた。その中にこんな事実がありましたね)

『アニェーゼ等が広場の外で居る時には、詠唱付きの真空刃で牽制。広場に進入した後には、詠唱無しの攻撃』

つまりアニェーゼ部隊が進入する以前には『ナリの腸』が成り立っていて、彼女達が戦闘へと乗り出してからは『ナリの腸』が成り立っていないことになる。
そしてそれを数秒かからずに考え終えた辺りから、神裂の頭にもう一つの選択肢が浮んだ。


つまり『金』髪のシスター。


金髪。それはそう称されるだけであって、実際に金色に光っている訳ではなく、その色は『黄色』である。
黄色は『風』の属性の色。『嘘』で構築された広場に、正しい属性を表す少女達が進入する。
この時、媒体よりも『アニェーゼ部隊の存在』を優先しているとすれば、“『嘘』は『真』に上書きされる”。髪の毛とは個人の存在の中で最も目立つ部分の一つであるため、それ自体を重視して『風』の役としていても不思議ではない、はずだ。
(・・・・・・今日は、妙に頭が回って助かりますね。もしそうなら、金髪と認識されるシスターが居ることで『ロキの咆哮』の発動条件は満たされる訳で・・・・・・)
逆に言えば、それらの『風』の役を持つ金髪の少女達がいなくなれば、ロキの捕縛が解かれるということになる。
(・・・・・・それが、クリスタルの足元のカウントダウン。具体的な数字が書かれている所を見ると、一定数のシスターが広場から出ていった時点で“ロキが解放された”と術式が認識するように設定されているのでしょう)
例えば『風』の役を背負わせる者をランダム、または意図的に『選択した』とすると、自発的に離脱したシスターがカウントされていく説明がつかない。特定の人物云々よりも『風』の役が出て行く、という事実が重要なのだろうと神裂は予想した。ちなみにこれは正解なのだが。


(そう考えると、第三段階はあと四人の黄色い髪の毛の離脱者が条件。霊装や装飾の『黄色』は、どうやら関係が無いようですし。・・・・・・しかしアニェーゼは、まさか、これに気がついて・・・・・・?)
神裂は疑問を感じながらも、アニェーゼへの通信を再開した。

494牧田さん:2013/07/21(日) 00:02:05 ID:r39TFej2

「神裂さん、ですか。“何秒か”黙ってましたけど何か分かりましたか?」
「・・・・・・ええ。『金髪が風の役』ということまでは、大体」
「そんなに分かったんですか。まあ、実は私もでしてね。お互い冴えているみたいでラッキーです」
「それは・・・・・・、いいですから。それよりも、貴方はさっき『ロキの軌跡』に関して「大体予想はつく」と言いましたよね? その予想を教えてください」
アニェーゼは少し間を空けて、面倒そうな声を出す。
「・・・・・・ま、多分アレですね。あの、ほら、ステイルとかいう不良神父が使っている滅茶苦茶に物騒な術式あるじゃねえですか。多分それです」
「・・・・・・もしかして『魔女狩りの王(イノケンティウス)』のことですか?」
「あー、はい。多分そんな感じの」
神裂は呆れたように息を吐き、会話を続けた。
「特士召喚術、ですね。特定の数のルーンがある限り決して倒れない戦士を呼び出す術式。もしもその予想が正しいのならば、北欧神話の『巨人』か、はたまたロキそのものがそのまま召喚されるかもしれませんね」
その言葉に、アニェーゼは思い出したような声を送る。
「そうです。私はそこまで予想していて、尚且つ考えていたんですよ。今の状況ではみんな、・・・・・・いや正確には何人かのシスターを除いて、『ロキの咆哮』を充分に捌ききれています。反撃はままなりませんがね。ですがもし『ロキの軌跡』が第三段階へ移行した時に、今とは比にならない“絶望的な状況が始まる”としたら・・・・・・、と。そんな事を数分も考えこんでしまっているんですよ。本当に情けない話ですが」
「絶望的な、ですか・・・・・・。それで硬直していたのですね貴方は。・・・・・・・でも、ですよ。アニェーゼ」
「なんです?」
神裂は広場の淵へとチラリと目を向けた。薄暗い林の出口には微かに『広場にあるものとは違う色のルーン』のカードが見える。
「つまり貴方の心配というのは、第三段階の『ロキの軌跡』が、自分達では対応できないほどの強大なものではないか、ということですよね。そういうことなら大丈夫ですよ」
「・・・・・・大丈夫とは、何がです?」
「貴方の言う不良神父が、コソコソと準備を進めているということですよ」
それを聞いたアニェーゼはすぐさま広場の外側へ首を回した。するとそこには神裂の言った通り、アニェーゼの脳裏にトラウマ混じりに焼きつく『赤いルーン』が広場の外側を中心に規則正しく並べられている様子だった。
不良神父、ステイル=マグヌスが応援に来ていたということだ。
「ステイルは、特士召喚術である『魔女狩りの王(イノケンティウス)』を扱えます。貴方の予想が正しくとも間違っていようとも、法王級の魔術が味方にいるというのは心強いでしょう? それに私に言わせれば『ロキの咆哮』をいつまでも受けつづけている方が、むしろ身動きが取れなくて危険だと思いますよ」
「・・・・・・ですね。じゃ、いきなりで悪いですが『離脱命令』・・・・・・ってことで、金髪を何人か追い出しましょうか。そうすれば『ロキの軌跡』は第三段階へ移行して、“もしかすると今より状況は良くなるかも”しれませんし」
「・・・・・・そうですか。では、お願いします。ステイルも、じきに参加するでしょうから、慌てずに」
そう言うと、神裂は通信霊装を切った。“いつもの神裂なら片手間では捌ききれないはずの攻撃”を、いとも容易く退けながら。

495牧田さん:2013/07/21(日) 00:02:42 ID:r39TFej2

本当は神裂はわざわざアニェーゼに丁寧な助言などせずに、彼女自身がシスター達に指示を出せば早かったのだが、そうしなかった。いや、できなかった。
アニェーゼ部隊のシスター達はアニェーゼの指示しか聞かず、アニェーゼ自身もシスター達はアニェーゼ=サンクティスの命令なら自殺以外何でも聞き入れるものだと信じているのだ。

(彼女達は相変わらず、怖いほどに一途で、従順。それは“いつも通り”。なのに、この言い表せない違和感は何でしょうか?)

神裂は、数人のシスターに離脱命令を出すアニェーゼを遠目で見ながら『妙に冴えた頭』で考えた。
(そもそも、アニェーゼは“なぜ『ロキの軌跡』の構造に気づく事が出来たのでしょうか?” ローマに正教にいたこともあり魔術経験が浅くないとは言え、あそこまで複雑に組まれた術式を状況と事象だけで見破るなど、常軌を逸しているとしか思えない)
しかも、と神裂は思わず呟く。
(金髪云々の術式構成に関して、クリスタル=アークライトが『元からそうしていた』とは考えにくい。具体的な人数を示して術式を動かしている辺り、“一番最初から金髪の人物が九人以上来る前提”でないと、そもそも『ロキの咆哮』が当たり前に発動できない。つまり、この『ロキの咆哮』に関する『風』の役の選び方は・・・・・・)
アドリブ、ということになる。アニェーゼ部隊が攻めてくると分かった時点で、その場で術式を改造して『金髪を風の役にする』設定を組み込んだのだ。天才の一族と謳われたアークライト家だが、どうやらそれは真実らしい。むしろ、噂以上だ。
(しかしそうなれば、ますますアニェーゼの『ロキの軌跡』への辿り付き方が化け物じみたものに思えてきますね・・・・・・。確かに古今東西様々な術式のパターンなどもローマ正教にいたころに学んでいたのだろうし、北欧神話に関してそれなりの知識があっても魔術師の一人として何ら珍しいことではない。それでも、禁書目録を保有するインデックスや対魔術に特化した『必要悪の教会(ネセサリウス)』でも無い限り、短時間であそこまで的確な分析は・・・・・・、)
そこで神裂は、気がついた。
(・・・・・・いや『必要悪の教会(ネセサリウス)』でも難しいかもしれない。何せ“情報が少なすぎる”。『ロキの咆哮』で常に攻撃に意識を取られ続けている中で、クリスタルの足元の数字と、敵の前説明だけでここまで糸を手繰り寄せるのは、至難の業のはず)
それならば、と神裂は思った。そして背筋が震えた。

(何故、私はそれを出来たのでしょうか・・・・・・?)

降り注ぐ真空刃を全て捌ききり、尚且つアニェーゼと同じように『ロキの軌跡』の構造理解へと辿り付いた『必要悪の教会(ネセサリウス)』の神裂火織は、それをとてつもなく疑問に思った。

496牧田さん:2013/07/21(日) 00:03:44 ID:r39TFej2

(何かが、おかしい)
冴えすぎる頭。研ぎ澄まされすぎた感覚。今の神裂のコンディションは、『聖人』などいう枠を越えた“紛れも無い化け物のレベル”だった。何故かいつもより焦燥感が激しいせいで、中々この事態には気づけなかったのだが。
(あれだけの事を、この状況下で落ち着いて話せる自分が理解できない。あれだけの考察をしながら、敵の絶え間ない攻撃を完璧に弾いた自分を説明できない)

『ロキ』に関する知識については、アニェーゼと同じように元からクリスタルの術式に追いつけるだけのものはあっただろう。しかしそれらを数秒程で組み上げて、分からないところも予想だけで補って、しかもそれでしっかり矛盾が削れていくというのだから、さすがの神裂でも今の自分の能力の高さに気持ちが追いついていかないのだ。
(そしてそれは私だけじゃない。アニェーゼはもちろん他のシスター達だって、この量の攻撃を数分間も避け続けるだけの身体能力を持っていただろうか?)
神裂は知らぬうちに底上げされていた味方を見回した。皆、明らかに普段よりも動きが洗練されていて、『集団で力を発揮する』という部隊のキャッチコピーさえ疑わしくなってくる。

(何か、得体の知れない『方向』に引っ張られているような、そんな高揚感が湧き上がってくる。早く突き進んで行きたいと、頭が喚くように)
何かに身体を預けて引っ張ってもらえる時、人間はとてもリラックスして高い能力を引き出すことができる。“引っ張っていく側だった”神裂はそれをよく知っていた。だからこそ、少し時間がかかってもそれに気がつくことができた。
そして、神裂がそれを感じているということはつまり、
(何かが、いる。絶大な影響力を持つ『方向性』を生み出す何かが、この空間にのさばっている・・・・・・っ!?)
それに少しでも身を委ねるだけで、それに取り込まれるように個人のスタータスそのものが底上げされてしまう、絶大な『流れ』を生み出す者がこの場にいる。
(味方か、敵か、それとも・・・・・・?)


そしてその瞬間、またも神裂の説明できない勘が蠢きだした。
神裂は、何となく、本当に何となく、『方向性』の根源が“居るような気がする”所を見た。
チラリと見ただけのつもりだったが、今の神裂のとっての『何となく』とはつまり、真実に直結させることでもある。

(・・・・・・あれが、私やアニェーゼ達を化け物に変えた、『方向性』・・・・・・・・・・・・のような気がするだけですが、今の私がそう思うなら多分それが正解なのでしょう。しかし・・・・・・アレは・・・・・・?)

神裂の目線の先には、血走った目をした少女がいた。




絹旗最愛という超能力者である。

497牧田さん:2013/07/21(日) 00:05:06 ID:r39TFej2

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十月一六日午前二時三〇分。ハイドパーク内サーペンタイン湖辺。


「・・・・・・引き込まれるような、流されるような、うざったい感じがする。エーミル、本当にロクなことしないなぁ」
煌々と降り注ぐ月を見上げながら、一人の少女がのんびりと、散歩するように歩いていた。
横手に広がる池は真夜中の月を大きく映し出し、それ自体が大きな鏡のように煌いている。少女は何となくそれに惹かれ、後ろ手を組みながらゆっくりと池を覗き込んだ。
しかし、そこには誰もいない。覗き込んだ自分の目が、池に誰も映っていないことを認識できてしまっていた。
(・・・・・・映るわけないのに。馬鹿みたい)
自分の顔など、数年間見ていない。自分が綺麗なことぐらいは分かっているが、それでも自分の姿がこの目で確認できないのには不安がある。
(・・・・・・エーミルも、クリスタルも、みんな綺麗で、美しい。私は綺麗だけど、美しくない)
限りのある美こそが人の求める美しさであり、少女の美には儚さが欠けている。これから数百年間は顔が変わらない予定なのだから、当然だ。
刹那、少女は視界が濁った。涙が溜まっていたのだと分かり、慌てて拭う。
(悲しくない。寂しくない。・・・・・・はず、だけど)
言い表せない感情が、少女の心を薄黒く染めていく。

その時、湖を呆然と見つめていた少女は、不意に横からの足音を聞いた。
ゆっくりしているのか、テンポは遅い。足音は二人分聞こえる。

足音が止まった。音の主が口を開く。

「イラーリア=リビングデッド=ラウレンティスだな?」
「・・・・・・ええ、そうだけど。何か用? シェリー=クロムウェルさん」
イラーリアは目を向けずに答えた。対するシェリーは、頭を掻きながら言葉を続ける。
「月明かりを背負って湖を覗き込む、金色で儚げな少女、ね。・・・・・・アンタ、美しすぎるわ。芸術って以前に、本能的に痺れてくる」
「私は美しくも儚くもない。ただ綺麗なだけよ」
イラーリアはそこで初めて会話をしている方に顔を向けた。そしてシェリーの横のもう一人に笑顔を向けた。
「あら、ソフィアじゃない。こんなところで会うなんて、奇遇ね」
銀髪で片手に巨大な斧を携えたシスター、ソフィアだった。
「・・・・・・ああ、奇遇だな。ところでその気持ち悪い口調は何だ?」
「こっちが普通よ。そっちに居た頃は程よい馬鹿を演じる必要があっただけ」
「隠し切れてなかったがな」
「それは光栄ね」
そうしてイラーリアは手を解き、胡散臭いほど愛想の良い笑顔を露にしながら、もう一度質問をした。
「二人共、何か用?」

498牧田さん:2013/07/21(日) 00:06:45 ID:r39TFej2
シェリーが何か言おうとしたが、その前にソフィアが前へ出た。
「お前、吸血鬼らしいな」
「半分ぐらいね」
「具体的には?」
「無限に等しい大量の魔力と水、鏡の類からの拒絶。不死身とまではいかないけれど、寿命は無い。治癒能力も、指一本くらいなら秒単位で再生するわ」
ソフィアが眉を顰めた。その手に持つ斧を強く握り締め、額に汗が浮かび上がる。
硬直しかけたソフィアに代わり、シェリーが質問を続けた。
「通信霊装ごしのカテリナから聞くところによると、アンタは敵で、吸血鬼。・・・・・・つい昨日まで同じ席で飯を食ってた事にはおぞましいの一言だけど、とりあえずさっきカテリナを殺さなかった理由を聞こうか」
「別に、理由があるわけじゃない。ただ『私の仕事はもう殆ど終わっているから』、あんまり余計なことをするつもりが無いだけ」
それよりも、とイラーリアは付け加えた。
「シェリーさんはともかく、ソフィアは何していたの? カテリナ達が心配していたわよ」
「・・・・・・単なる黒服狩りだよ。カテリナからの通信は、全部拒否してただけだ。それにどうせ向こうも大した心配なんてしてねぇ。大方『敵と間違えられて攻撃されたらたまんないから、のんびり捜そう』とか言いながら、公園内ブラついてただけだろ?」
「結構、分かっているのね。さすがにいつも同じ班なだけある」
「お前も、」
ソフィアは少し悲しそうな顔をした。

「お前も、今日たまたま違う班割なだけで、いつもは同じ班だっただろう?」

アニェーゼ=サンクティスの横暴についていけない者として、同じ境遇の仲間として、よくトランプをした仲だったはずだ。
イラーリアは目を細め、嬉しそうに口元を緩めた。
「・・・・・・私に騙されてご立腹?」
「怒ってはいない。騙されるほうが悪いんだからな。・・・・・・まあ、この話はもういい。そんなことよりも、だ」
そう言うとソフィアはポケットを探り、ワッペのような物を取り出して、イラーリアの前へ投げ捨てた。
それは十字に斜め線の入った、『対十字教黒魔術(アンチゴットブラックアート)』の象徴(シンボル)だった。
「それをつけてた男達は、一回倒しても蘇った。たまに蘇らない奴もいたが、俺の戦った奴の八割ぐらいは『蘇生術』を施されていた」
人体の強制回復術式、『蘇生術』。一度倒れても、もう一度だけは立ち上がらせることのできるゾンビ術式。ただし再生後は意思を失い、文字通りゾンビのような状態になってしまう。
ソフィアは先程シェリーから聞いたことをそのまま喋りながら、声を少し鋭くする。
「・・・・・・それ、黒服に施したのお前だろ?」
イラーリアは特に動じる様子もなく、淡々と受け答える。
「まあね。ちょっと噛んであげたってだけなんだけど。私の場合は他人を噛んでもその人が不死身になったりはしないから、ちょうどよく残機が増えるって訳。不完全な吸血鬼だしさ」
「噛んだだと?」
「そう。百何人も噛んで回るの大変だったけど、みんな愛想悪いわりには結構ノリノリで受け入れてくれたの」
イラーリアがそう言うと、シェリーが咳払いをして怪訝な表情で口を開いた。
「・・・・・・ちなみにだが、アンタは野郎共のどこを噛んだのよ?」
「? 首筋に甘噛みしたの。あんまり痛いのは可哀相だし、そこが一番効果があるから」
「首筋に、甘噛みだと?」
「だから、そこからが一番楽に効力発揮するんだって」
「(・・・・・・そりゃあ、男共もノリノリな訳だ)」
シェリーが何を言っているのか分からずキョトンとするイラーリアを見て、当のシェリーは呆れた顔をして溜息をついた。
「アンタ、黒服の部下達はどのくらい信用している?」
「そうね、あんまり。彼等は元々クリスタルに付き従いたくて集まってきた人が殆どだし、私の事もちょっと不思議な上司、くらいにしか思ってないはず」
「そうか。今後も、その姿勢は貫きべきね」
「どういうこと?」
「男はみんなムッツリスケベだって言ってんだよクソガキ」
実年齢的にはシェリーもイラーリアも大差無いのだが、人生経験的にイラーリアは少し純粋なようだった。


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