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【デルタフォース】クラスの三バカの日常Part5

1Ψ:2011/02/05(土) 22:54:39 ID:7MRi28Lg
「クラスの三バカ」こと上条当麻、青髪ピアス、土御門元春、並びに途中でできたバカップル【例:上条×ミサカ・土御門×白雪・青髪ピアス×白井・一方通行×打ち止め 等】はもちろんクラスメートや先生達、常盤台の生徒やオリジナルキャラも登場可能なリレー形式で学園都市や魔術世界の日常をどんどん書いていくスレです。ギャグ中心でシリアスは控えめに。雑談も控えめに。

初心者大歓迎です。

次スレは>>970 の人が建てること。(無理な場合は新しい番号指定お願いします。)

Part1↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1210612236/

Part2↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1262012651/

Part3↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1266059443/

Part4↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1273412014/

まとめwiki↓(2月5日現在、停止中)
ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/14.html

180:2011/05/03(火) 12:54:27 ID:Pmmzg8vA
井ノ原親子の取り巻きって誰?

181±:2011/05/03(火) 14:05:37 ID:Mkj2YDqQ
「野原………は流石に無理か」
「仕方ないにゃー。交代ぜい、青ピ!」

 野原の容態を確かめる上条だが、野原はうんともすんとも言わなかった。
 そのため、土御門は危険を感じて先にアップさせていた青ピとの交代を決めた。

「やあ、ツッチー。ようやく僕の出番?」
「ああ。本当は後半からの出場の予定だったが野原はもう無理にゃー」
「任せてツッチー!僕の活躍で残りの前半は無失点で切り抜けたるわー!」
(………何故だが今日の青ピは何かやりそうな気がするにゃー)

 実は青ピは今日の朝に黒子や弟子達と会い、凄い活躍を見せる事を約束していた。
 そのためか、今日の青ピはいつもとは違う雰囲気を醸し出していた。

「キーパーが超負傷している今が好機です!追加得点頂きま―――」
「悪いけど、そんな事はさせませんでぇ!」

 五和が開始早々ボールを奪い絹旗にパス、絹旗必殺の【窒素装甲】による投げシュートのパターンに入ろうとする。
 しかし、それをよんでいた青ピは災誤とのぶつかり稽古で鍛え上げられた自らの身体をパスコースに割り込んでのトラッピングを敢行する。

「(本当にツッチーの言ったとおりや。絹旗ちゃんは攻めの機転やな)ほら、行きますでー、白雪はん!」
「オッケー、ナイスだよ、〇〇くん(青ピの本名)!」

 白雪が青ピからボールを貰い、一気に攻めあがる。
 しかし目の前にいたステイルはすぐさま反応し、炎剣を繰り出す。

『ステイル!炎剣を地面に向けて放って!コレでつきよのだいたいの攻撃パターンは潰せるんだよ!そのあと蜃気楼で近づいてボールを奪うんだよ!!』
「分かった!それっ!」

 言われたとおり、足元に炎剣を放ち、炎の噴出を引き起こすステイル。
 白雪が炎の壁で足を止めた隙に蜃気楼で近づきボールを奪い去った。

「あ!何時の間に!」
「悪いけど君と遊んでる暇はないんだ。悪く思わないでくれ」
「行かせないよ!」

 白雪を抜き去ったステイルの前に出てきたのはおなじみショタっ子こと月詠翔太だった。
 炎の能力者vs炎の魔術師。
 なかなかな対戦カードか今ココに揃った。

182Ψ:2011/05/03(火) 17:01:57 ID:tBwtOGFs
オリキャラね…… >>179が言うとおり確かに多いよな……
まぁ初期のオリキャラは1スレ目の無名の方とかが追加していたのが最初でしたので、その後はそのキャラを使って書いていったという感じですからね。
でもって中盤、翔太以外のオリキャラは自然に追加されたような感じですが、まぁ翔太以外は打ち止めのクラスメイトの名前を追加しただけですので、最低限度で追加しただけですからね。
それで今は……外伝の方からのオリキャラが追加された感じかな?
まぁ、向こうを読めばオリキャラの性格などが分かるのですが、外伝を読んでいない方は困ると思うのですよね。
その前でも14人もオリキャラがいたのに、またさらに増えるという事はさすがに多すぎると思うのですよ。
それによって読んでいる方も理解が出来なくなっているかもしれません。俺もその内の一人ですし。
っとなるとやっぱりオリキャラの削減になるのでしょうね。
それで一番の削減するとしたら今までで余り使っていないオリキャラと、外伝のキャラになると思うんですよね。
けど、今までで余り使っていないオリキャラでもある野原と東原は今になって何故か重要な立ち位置に居るような感じなので削減は出来ませんね。
そうなると外伝のキャラしか削減するしかないのかと思うのですよ。☆さんには悪いですけどね。
やっぱり外伝は外伝で、こっちはこっちでやった方が良いのかと思います。
まぁ、登場数を減らすとかしかできないんですけどね。せめて球技大会だけとか。
とまぁ、言いたいことは最低限度のオリキャラで十分だという事です。これ以上増やすのはどうかと思いますしね。それで書きたいのに書けないという方もいるとは思いますし。
俺は小説を書いていますが、無駄になるようなキャラはいませんからね。それぞれ活用できるようになるべくキャラの数は少なくしておりますので。
以上、読み専の代表として述べさせてもらいました。読み専の代表なのかは分かりませんがww
それでは。

どういえば今書いている方で古くから書いている方ってёになるのかな? 俺もかなり古くから書いていたものですがww

183:2011/05/03(火) 17:51:27 ID:4oLXlUPg
…分かりました。柵川中学剣道部員の方は、本スレでは最小限しか出さない傾向にします。

ですがハーフタイムではあと1人だけ、今後の展開において便利になりそうでどうしても出したいキャラと、
セレナと既出キャラとの絡みがあるのですがよろしいでしょうか?

あと、>>168は、やっぱりスル―の方針でしょうか?

184:2011/05/03(火) 17:56:26 ID:4oLXlUPg
ハーフタイムではあと1人だけ、今後の展開において便利になりそうでどうしても出したいキャラや、
セレナと既出キャラのこれまで、そしてこれからの関係を明示あるのですがよろしいでしょうか?
でした。

185:2011/05/03(火) 17:56:48 ID:4oLXlUPg
ハーフタイムではあと1人だけ、今後の展開において便利になりそうでどうしても出したいキャラや、
セレナと既出キャラのこれまで、そしてこれからの関係を明示するシーンを計画してあるのですがよろしいでしょうか?
でした。

186:2011/05/03(火) 19:44:41 ID:/f07XYNE
いや、やっぱり新キャラは直接出すのはやめておきます。

187:2011/05/04(水) 08:46:00 ID:aP/y/MGE
以後は本編には新キャラをあまり出さない方でいきます。
外伝の方は、「(キャラ的に)余裕があったら見てください」的な。

188ё:2011/05/04(水) 09:13:54 ID:IlWp8kFM
「ふむ、炎対炎ですか。なかなか興味深いですね」
「ていうかステイルさんの相手って当麻兄さんの同級生なんですね、あんなに童顔で背も小っちゃいのに」

 観客席からステイルと翔太を見ているのは神裂と佐天、お互いに興味を持っていたがその内容は別物だった。
 その一方で2人の対決にそれほど興味を持てない者達も一緒だった、美琴と初春である。

「あーあ、サッカーのせいなのかなー。当麻があんまり活躍してなくて物足りなーい」
「まあまあ美琴お姉さん。きっと後半になったら当麻お兄ちゃんも活躍しますよ(さて、私もそろそろ)」

 美琴、神裂、初春、佐天の周りには実は人は少なかった、神裂がこっそり張った弱めの人除けの結界のお陰である。
 ちなみに打ち止め、滝壺と郭はそれぞれの自分のクラスと、黒子は何故か来ていた寮監に捕まってしまい一緒ではない。
 日本出立前に上条達に挨拶しておきたい初春、そろそろ移動しないといけないと思って席を立つが当然ながら神裂が心配そうに声をかける。

「か、飾利? どうしたのですか、まだ前半は終わってませんよ。何か用事があるなら私も」
「大丈夫ですよ火織お姉ちゃん。美琴お姉さんと涙子さんが一緒ですから。火織お姉ちゃんは待っていて下さい」
「御坂と佐天が一緒ならやはり私も! 飾利のお姉ちゃんとして…………っ!!」

 神裂の追求を止めたのは初春からのハグで、これだけで神裂は借りてきた猫のように大人しくなってしまう。
 普段は神裂から初春へのハグばかりだがその逆、つまり初春から神裂へのハグは極めてレアなのだ。

「(さすが対馬さん、火織お姉ちゃんのこと分かってるなぁ)じゃあ行ってきます。私が帰って来るまで待って下さいね、火織お姉ちゃん♪」
「ええ♪ 飾利も気をつけて。御坂に佐天、飾利のことはお任せします」
「「は、はぁ……」」
「では行きましょう2人とも」

 少し席を外すだけで大げさな神裂に呆れる美琴と佐天だが、神裂のシスコン(初春限定)レベルを考えると妙に納得してしまった。
 席を立って全天候型スタジアムの屋内へと先頭に立って進む初春から美琴と佐天に思いがけない言葉が投げかけられる。

「あの調子なら火織お姉ちゃんも2週間は大丈夫でしょう。後は当麻お兄ちゃん達にロンドン行きを報告するだけです」
「「…………2週間? ロンドン? 飾利、どうゆうこと?」」
「お2人への報告が遅くなってゴメンなさい。私、今からロンドンに短期留学すはわわわわわっ!」

 初春のロンドン行きを聞かされた美琴と佐天は事情を詳しく聞く為に初春の肩を掴んでユサユサと揺さぶりながら話を聞こうとした。
 しかしそれでは話を聞けないことにようやく気付いた美琴と佐天は軽いパニックから回復、同じく目を回していた初春が回復するのを待って事情を聞いた。

「キャーリサさんとヴィリアンさんと一緒に思い出作り、ねぇ。飾利ってホントにお姉さん達に愛されてるわね。というか留学じゃなくてただの旅行でしょ、それ」
「う〜ん、キャーリサ姉さまとヴィリアン姉さまと遊ぶのは後半の一週間で前半の一週間は本当に勉強するから嘘は言ってませんよ」
「そう考えるとさっきの神裂さんへの言葉も嘘じゃないってことか。飾利って本当にいい性格になりつつあるよね……」
「涙子さんったら褒めても何も出ませんよ♪ じゃあ行きましょう」

 佐天は口を滑らせて出た言葉で初春に怒られると思っていたので少々驚いていた。
 当の初春は全く気にするどころがやや上機嫌で美琴と佐天と一緒に上条チームの控え室へと向かうのだった。

――――――――――

 一方のステイルVS翔太だがこちらの一対一はまだ続いていた。
 というのもステイルも翔太もこうもお互いの距離が近いと自分の炎で相手に直接攻撃してしまうということで能力使用を控えたのだ。
 膠着状態に入った2人の対決、45分経過してロスタイムが1分と発表された所でついに動きを見せる。

189ё:2011/05/04(水) 10:12:12 ID:IlWp8kFM
(仕方ない。この少年が火傷しないように地面に炎を放ってその熱気に怯んだ隙に)
(本当は危険だけど今の僕ならきっと出来る。この人の目の前で一瞬だけ炎を出してその怯んだ隙に)
((ボールを奪う!))

 お互いに炎で相手を怯ませた隙にボールを奪おうとし行動に移ろうとするが、それは起こらなかった。
 ステイルと自分を【座標移動】で入れ替え、恋人の翔太と一対一をしたくなった結標の仕業である。

「さー翔太、少しの間だけど私と2人っきりで遊ぼっか♪ あんな老け顔相手するよりかいいでしょ?」
「あ、淡希……えっと……」
「結標! 君は何を考えているんだ! 今は試合の最中だというのには、放せエツァリ!」

 入れ替えられたステイルが試合中にも関わらず結標に詰め寄ろうとするも良識あるエツァリに羽交い絞めにされてしまう。
 翔太は突然のことに最初は呆然とするものの、結標が自分をじっと見ていてボールを奪いに来る気配を見せないので謝りながら自分の恋人を抜き去った。
 それでも結標が追いかける気配を見せなかったので翔太が完全にフリーになるが、

「全く結標さんってばいざという時に使い物にならないんですから!」
「うわっ!」

 五和の鋭いスライディングタックルで翔太からボールを奪い、自ら上条チームゴールへと攻め上がる。
 一方通行は麦野に、白雪はステイルにマークされているので五和は猛然と駆け上がるかと思われたが、後ろからの気配に気付く。
 その気配に気付いた五和は上条チームゴールに背を向けてボールをバックパスすると、すぐさまそこから退避した。

「任せましたよ削板さん!」
「さすがだぜ五和! 俺並みの根性を持ったいい女、以心伝心ってやつだな! むっ」
「させないっ! たとえ怪我することになってもこの追加点は守るんだから!」
「口から衝撃波撃つ女か、俺の前に立つたぁいい根性してんじゃねぇか! いくぜ、手加減無しだ!」

 気配の主は削板で本人も以心伝心と言ってはいるが、単に妙に暑苦しさを感じただけに過ぎない。
 削板のオーバーラップに気付いた茜川は今までなら真横から衝撃波を撃ってシュートを防いでいたが、残り時間と後半の士気を考えて真っ向勝負に出たのだ。

「すごいパーンチ!!」
「ワアアアアアアアッ!!」

 衝撃波を撃ち出す2人、しかしレベル5とレベル4では真っ正面からのぶつかり合いでは勝負にならず、

「キャアアアアアアッ!」

 削板のすごいパーンチがボールを撃ち出す形になり、茜川も真っ正面に居たせいで吹っ飛ばされてしまう。
 しかも意図的かつ直接的に茜川を能力で吹っ飛ばしたわけではないので削板の反則は取られなかった。
 だがボールは上条チームゴールの遥か上を通り過ぎて得点にはならずゴールラインを割った所で前半終了のホイッスルが鳴った。

「ふっ、得点にはならなかったが前半最後にいい根性勝負が出来て満足だあだっ!」
「そんなこと言ってる場合ではないでしょう。女性に対してあのような……全く」

 削板の反省無しの態度を諌めたエツァリは怪我を負った茜川に削板を伴って謝罪しようとしたが、上条チームが集合して慌ててるのを見て後回しにすることに。
 それよりも問題なのは結標の翔太絡みのプレーの数々だが、こちらは心理掌握が考えを練り始めてる所だ。

「どうするメン子。淡希が自分の恋人に対してあの様子では2点リードでも危ういぞ」
「ええ、その辺は私に考えがありますわ。あまり人の想いに細工を施すのは好きではありませんが……」
「まさか淡希の恋人に対する感情を愛情から憎悪へと変えるつもりなのか?」
「そのような恐ろしいこと、するわけがありませんわ。ただ暴走しない程度に愛情を抑えるだけですわよ、2時間ほど」

 ショチトルは心理掌握の処置に安心すると、結標が控え室に着く前に目覚めたら気絶させるように頼まれると【歩く教会】チームメイトと一緒に控え室に戻って行った。
 一方、上条チームは体を張って追加点を阻止した茜川の心配をしていた。

「赤音ちゃん! 赤音ちゃん!」
「だ、大丈夫だよ月夜ちゃ〜ん。ゴメンね、2人で活躍して勝とうって頑張ってたのに……」
「あまり無理するなよ茜川。後は俺たちが頑張ってチームを優勝に導くからお前はゆっくり休んでてくれ」
「あはは、か、上条君が言うと何か力強く感じるね〜。うん、分かった。私は試合終了まで寝ることに……する……よ」

 妙な説得力を持つ上条の言葉に安心した茜川、ようやく意識を手放して気絶すると白雪に背負われて医務室へと運ばれる。
 白雪と茜川を見送った土御門は東原が右腕を痛そうに抑えてるのを見て、冷静な判断を下した。

190ё:2011/05/04(水) 10:45:23 ID:IlWp8kFM
「東原、お前さんも医務室へ行け。その様子じゃあ試合はもう無理だ」
「ま、まだだ、まだやれる! 後半も」
「怪我人のキーパーであのチームの猛攻は凌げると本気で思ってるのか? ハッキリ言ってやる、今のお前じゃあ足手まといだ」

 土御門の真剣な、それでいて容赦の無い言葉に東原は言い返すことが出来ず、頷くことでしか返事を返せなかった。
 落ち込んだ東原を見た土御門は普段のおちゃらけた(?)感じになって東原を労う。

「ま、お前さんはホントによくやってくれたぜよ。予想以上の戦果をあげてくれたにゃー。女の子へのアピールも十二分に出来てるぜい」
「女の子のアピール……? そ、そういえばそうだったな、すっかり忘れてたぜ」
「ありゃりゃ、てっきりお前さんは女の子にモテたい一心で頑張ってると思ってたんだが。オレの目算もまだまだ甘いってことかにゃー?」

 意外と熱い男だった東原が医務室へと向かうのを見て、ベンチで気絶してる野原に気付いた土御門は服部に野原を医務室へ運ぶように頼み込む。
 服部はそれを快く引き受けて野原を背負って医務室へ向かおうとするが、一つの事実を突きつけた。

「土御門、後半になったら真夜は絶対に出場する。そのことをよーく考慮しておけよ」
「おー、井ノ原弟が試合に出てくれるのか、そいつは好都合ってもんですたい。茜川が不慮とはいえ怪我したからにはあいつも怒って……怒って?」
「そうゆうことだ。始業式での怒れる真夜の復活だ、冷静で容赦の無いあの真夜がな……」

 土御門は思い出していた、始業式のゴタゴタで妙に礼儀正しいのに呼び方はフレンドリー、だけど麦野の【原子崩し】のダメージを精神力だけで耐えていた色々と異常な真夜を。
 とはいえ【歩く教会】チームに勝つためにはこれ以上は無い人材なのでその点では素直に喜んでいたが、別の問題が発生した。

「さて、問題は交代するメンバーぜよ。キーパーはカミやんに変えて、空いたMFとDFに2人。オレと姫神と井ノ原弟で3人、あと1人か」
「つっちー、そないなことは控え室に戻って考えたらええ。今ボクらに必要なのは休息なんやからね」
「青ピ、5分くらいしか参加してねぇお前さんが言うことじゃないと思うぜい」

 後半の出場メンバーについて考えるのは青ピの言う通りに控え室に着いてから考えることにした土御門。
 しかし上条チームの控え室を開けると美琴、初春、佐天が出迎えることはまだ知らない。

――――――――――

 東原と野原は球技大会だけの活躍で考えてます、というかどうしてこうなったのか……。
 出番あるとしても青ピが『嫉妬ファミリー』を動かした時だけにしかならないような気がします。
 ただ、真夜のマジ切れの性質上、東原と野原の名前も考えないといけなくなりましたが。

191:2011/05/04(水) 11:05:30 ID:aP/y/MGE
紫木がもう少しで暗部か魔術に関わりそうでひやひやするなあ。
この人、将来そういう裏方面の情報屋になりそう。
東原…うん。もてていいと思うこの人。

192:2011/05/04(水) 11:07:54 ID:aP/y/MGE
今更だけれど>>168はハーフタイムの時に入れた方がよかったかなと思いました。
急遽閃いたアイデアだったので、あせって時期を間違えてしまった…。

193:2011/05/04(水) 14:18:54 ID:5LrHNQt2
観客席(スキルアウト+剣道部員)

ハーフタイムでガヤガヤと周囲がざわめき、スキルアウト達もてんでんばらばらになりはじめたころ、剣道部員2人は現在の展開について話し合っていた。
「ハッ。思ったよりやるわねあのチーム。」
「やっぱり統率がとれていますからね。」
「……あら、でも後半はまだ分からないわよ。どうも選手交代があるみたいだし。」
(でも、正直な話……私、ホッとしている。)
 苑内の胸の中にあったのは、この勝負の先…隣にワクワクとした様子で座っている少年との賭けの内容について。
 勝ち負けにおける内容を事前に設定しておいて、どっちに転んでも自分にとって得になるように設定したトトカルチョ。
 だが、予想外のことがあってその様相が少し…いや、大きく変わった。
(こいつら(不良達)を連れたら色々うるさそうだし、悪ノリしてせっかくの雅な雰囲気、風流が台無しになりそう。ここはあのまま【歩く協会】のリードを許して彼と1日泊まった方が・・・・あーあ。せっかくこいつの趣向に合わせて用意してあげたのにこれ・・・・)

 一方、少年の方も、その胸の中に去来していたのは、言葉とは逆の想い。
(蛍の光、見てみたいなあ…)
 その願望は、彼の能力にも関係があったのかもしれない。
 新坂礼男の能力は、【発光現象(ダイオード)】。対象を発光させ、微かな熱と光の放射源とする力。
 低能力故に、それこそ蛍の発光のような淡い光でしかなく、本人にとっても暗闇の中で便利というぐらいのものだった。
 だが、
(でもやっぱり、本物の蛍や星には敵わないですよはい。)
 彼が幼少期見た蛍や満点の星空。何より、その後写真なんかで見た蛍の光のカーペットや乱舞。天の川。
 それはまさしく、自分が作り出した人造の光とは比べ物にならない…そう、本物の星空とプラネタリウムぐらいの差があった。
 暗闇の中でこそ、ポウ、ポウ、と見える光。それが彼はこの上なく好きだった。
 この学園都市の人造の光、ネオンで埋め尽くされた夜の街の光景は、一種の趣といえたが、やはりギラギラとまばゆ過ぎて、毒々しすぎるものがあり、長くいれるものではなかった。
 長く学園都市にいて、自然や田舎といったものに触れる機会がなかなかなかった新坂は、麗奈に紹介されたときから、急激にそれへの・・・・田舎や自然の闇の中で見える光への警鐘に襲われた。
 いや、長らく奥にしまってあったそれへの願望が噴き出たといった方がよかった。
 彼が父親に頼めば、たとえ負けても夏休みにそれへ連れて行ってもらえただろうが、それは彼の中の何かが許さなかった。
 1度賭けとして出されて、それに敗れて行きそこなった以上、強引に行こうとするのは一種のルール違反…そう、彼が麗奈と初めて関わったときに言われた「金持ちぶっている」ことに感じられたからだ(もっとも、今も無意識的にそれを行って麗奈の不興を買っているのだが)。
(友愛高校チームには…少し取り返してほしい…かな…)

「まだ負けてないわよ。友愛高校チームは。」
「【歩く協会】の方がこのまま押し切りますよ。」

 当初はお互いの予見によって始まったトトカルチョ。
 だが思いつきと気遣い、そして思わぬ番狂わせにより、お互いがひそかに応援しているチームが逆になってしまっていることに、2人は気付くよしもなかった。

194:2011/05/04(水) 14:21:02 ID:5LrHNQt2
(でもやっぱり、本物の蛍や星には敵わないですよはい。)

(でもやっぱり、本物の蛍や星には敵わないよ。)

195sage:2011/05/05(木) 13:14:31 ID:g93V3HLk
3バカ更新されてないんですけど、どうなんですか?

196読者:2011/05/05(木) 16:24:27 ID:GD0XVGiI

書いてあったら、悪いんですけど
青ピって、レベル0の設定ですか?
あるなら、使ってもいいかな〜なんて思ったんですけど…

197読者B:2011/05/05(木) 16:55:46 ID:HNVmeSh2
>>196
青ピは能力とレベルはまだ不明だと思いますけど

198■■■■:2011/05/06(金) 06:13:00 ID:gdh4pl/k
>>196
原作での上条の言動から推測される上条の高校のレベルから、青髪のレベルは0〜2だと思われる
ただ、青髪が何らかの理由で上条の高校のレベルに甘んじている可能性もあるため、断定はできない

199読者:2011/05/07(土) 22:31:21 ID:BmFT8eJc
確かにそうでした(汗)

200ё:2011/05/11(水) 08:07:08 ID:0X8t.Dtk
「とーうまっ♪ お疲れ様♪」

 上条が自分達のチームの控え室のドアを開けると、笑顔と愛嬌全開で美琴が抱きついてきた。

(み、美琴がどうしてここに? けど正直こんな嬉しいお出迎えは無いわけだから……ま、いっか♪)
「きゃっ♪ もう当麻ったら」

 控え室に美琴が居た疑問など上条にとっては大した問題ではなく、美琴のハグに自分も答えるようにハグしている腕に力を入れる。
 そんな上琴バカップルを上条チームの面々が呆れ顔で見つめる中、勇気ある(?)2人がツッコミを入れた。

「もー、当麻お兄ちゃんったら私達のことは気付いてくれないんですね。美琴お姉さんに夢中なのは分かるんですけど」
「しょうがないよ飾利。美琴姉さんが大好きだからこその当麻兄さんなんだからさ」

 美琴と同じく控え室に居た初春と佐天の言葉にハッと我に返ると上琴はすぐさま離れる。
 上条は舞い上がっていたことを反省すると、自分を訪ねてくれた義妹の2人の頭を優しく撫でた。

「飾利と涙子もわざわざ来てくれてありがとな。気付くのに遅れてゴメン。けどとっても嬉しいぞ」
「えへへ〜♪」
(これ、普通の女の子なら誤解するよね……。飾利はとっくに吹っ切ってるしあたしも当麻兄さんのことはそんな風に思ってないから平気だけど)
「そういえばどうして3人だけなんだ? 確か神裂も一緒って聞いてたけ」
「ひいいいいいいいいいいいいいっ!!!」

 上条と初春&佐天の義兄妹のほのぼの雰囲気をぶち壊したのは情報屋、理由は初春の姿を見たからである。
 初春と神裂がトラウマになっている情報屋は控え室の隅っこに座り込んで「花飾りこわい」を呟き始める。
 情報屋の急変に驚いた吹寄、姫神、翔太が駆けつける中、土御門は初春と小声で話し始めた。

「う〜ん、今の情報屋を見るとあの時はやり過ぎたって改めて思うぜよ」
「私もです。いくら土御門さんのシナリオ通りにやったとはいっても実際にあの紫木さんを見たら……」
「初春ちゃん、全部が全部オレのせいにするってのは酷くないかにゃー? お前さんとねーちんの演技力にも責任はあるんだぜい」
「そ、それはそうですけど……。そ、それよりも皆さんに伝えないといけないことが!」

 土御門の意地悪な追及から逃れる為に、初春はここに来た目的でもあるロンドン短期留学のことを告げる(魔術の話は一切伏せて)。
 話を聞いた上条、土御門、青ピ、浜面が寂しそうにする中、日頃から初春に思う所がある一方通行だけは喜んだ。

「そっか頑張れよ初春。いっそのこと短期じゃなくて永住でもしちまったらどうだ? そうすりゃあっちのテメェの義姉どもも大喜びだぜェ」
「一方通行さんにそこまで応援されるなんてちょっと嬉しいです。でも安心して下さい、私が居ない間はオルソラさんが私の代わりとしてこっちに来ますから♪」
「よしキッチリ勉強してちゃんとココに帰って来い(冗談じゃねェぞ! コイツがロンドンに永住したらババアシスターがこっちにずっと居る……そンなのはゴメンだァ!)」
「ありがとうございます♪ とはいっても2週間で帰ってきますからご心配なく」

 学園都市最強を唯一オモチャに出来る初春が渡英すれば自分の身は安泰と考えた一方通行だがオルソラと比較した結果、すぐさま手の平を返した。
 一方通行の態度に満足した初春は今すぐここを発つことを告げた後で皆に挨拶をする。

「じゃあ皆さん、行ってきます♪ 私が居ない間、火織お姉ちゃんと建宮さんのこと、宜しくお願いしますね」

 初春の挨拶に上条たちはそれぞれに激励の言葉を初春に贈ると、絹旗への挨拶もあるということで控え室を佐天と共に後にしようとした。
 しかしいきなり初春が振り返ると、上条に対してギュッと抱きついた。

「か、飾利?」
「えへへっ♪ しばらく会えないから当麻お兄ちゃん分を補充です〜。美琴お姉さん分はすでに補充してますから」

 美琴と佐天以外が呆然とする中、初春は満足げな笑顔を浮かべて今度こそ佐天と一緒に控え室を後にするのだった。

201:2011/05/12(木) 00:35:20 ID:n2W2/Tu.
(……会っちゃったなぁ、よりによってこいつに……)
カツン・カツン、と杖を突きながらもトイレに行って用を果たしたセレナは、その帰りの通路で最も会いたくない人物と会ってしまっていた。
「あーらセレナおっ久しぶりねえ。怪我してんの今日?」
「え、ええ麦野様。試合での活躍、見事でしたね。」
「んふふー。そうでしょー。でえもねえ。私としてはあんなロリ好きの変態白モヤシなんかよりは浜面のお相手をしたかったなあ。」
(うーん、セレナとしては一方通行様の大活躍の方楽しみにしていたんだけどなぁ)
「後半にも……出るんでしょう?」
「もっちろんよう。後半こそみっちりお相手しなくちゃねえ。」
「……楽しみにしていますよぉ。」
 とりあえず今回は機嫌がいいみたいで安心し、例えて言うなら寝ている猛獣の側を通過するような気持ちで麦野の側を通ろうとしたのだが……
ゲシッ!!
「ッッッッ!!!!」
 鳩尾に強い打撃を食らったセレナは声にならない悲鳴を上げてのたうった。
「あーれー?何か知らないけど思わず蹴飛ばしちゃった―☆まあいいか、小さすぎてよく分かんないんだしー。」
 ゲシ、ゲシ、ゲシ!
 その後も、浜面の相手ができなかった鬱憤を晴らすかのように何度も麦野足蹴にされ続け、せっかくこのイベントで高ぶった気持ちを
台無しにされながら、ああ、私は将来レベルが上がったとしてもこんな女のようにはなりたくないなとしみじみ感じたセレナは、ふと、
いつもと違って『反撃』ともよべないながらも『獲物』があることに気付いた。
「ありー?なんだったかなー。まあいいや」
 そう言って、麦野がセレナと入れ替わりにトイレへ行こうとしたそのとき。

 パシ、と、足首辺りに刺激を感じた。

 その途端、グルン!!と般若の形相で振り向き、ついさっき足元に当たった松葉杖を見咎めた麦野は、グワッとセレナを掴み、その顔を、ガン、と殴った。
「テメエエエエエ!!なあに調子こいてんだああ!?せえぇっかくスッキリしようとしていた気分がブチ壊しじゃねぇかぁぁぁぁぁ!!
 ああ、おい!?何?聞いてる?フレンダの奴がいなくなってちょっと調子こいてんの?どうしてくれるってんだこれ、ああ?」
 そう怒鳴り散らした麦野はバキイ!!と松葉杖を腕力でへし折った。
「ああムカつく、おい、続きトイレでしよう。とりあえずあんたの顔便器にでも突っ込んで洗わないとどうも見るに堪えそうにないなあんたのそのバタ臭い面。」
怪物か暴君の如き女が捕虜のようにズリズリと引きずり、引きずられた少女が、チッと舌打ちながらされるがままにされていたとき。

「………何をやっているんですか………」

 飴玉を転がすようでいながら、麦野にすらもゾッとするものを感じさせるものを秘めた声が。
 2人の女がそちらの方向を向くと。
 花型のヘアピンを付けた髪の長い少女が茫然としている側で、
頭にお花畑みたいな飾りをつけた少女が拳を握りしめ、仁王立ちし、正面切って怪物に対峙したいた。

202:2011/05/12(木) 00:40:42 ID:n2W2/Tu.
既出キャラ×オリキャラの絡みはこんな感じでどうでしょう?
麦野のやな女っぷりに納得していただけるといいんですけど。

203:2011/05/12(木) 01:17:57 ID:n2W2/Tu.
そう怒鳴り散らした麦野はバキイ!!と松葉杖を腕力でへし折った。
 ↓
そう怒鳴り散らし、バキイ!!と松葉杖を腕力でへし折られた様を見せられたセレナは
思わず恐怖で顔を引きつらせて「ヒッ」と声を漏らした。

引きずられた少女が、チッと舌打ちながらされるがままにされていたとき。
 ↓
引きずられた少女が、ガタガタと歯を震わせはじめたとき、

セレナが麦野を嫌いながらも恐れている様を表現できたらなと。

204:2011/05/12(木) 01:20:03 ID:n2W2/Tu.
「松葉杖を腕力でへし折られた様」じゃない
「松葉杖を腕力でへし折る様」だった

205■■■■:2011/05/12(木) 07:00:59 ID:lG2sEStg
オリキャラ出すより、黒夜とかシルバークロース出した方が………

206■■■■:2011/05/12(木) 13:07:51 ID:BogqY6rM
>>205
黒夜出すくらいならフィアンマの出番を増やす方が良いと思う

207±:2011/05/12(木) 20:54:58 ID:hUH1LC0Q
 一方、医務室ではずっと試合の様子をモニターで見ていたあの男が黙々と準備を始めていた。

「真夜ー?何処行く気だ?」
「ん?真昼さん、ただ少し調子にのっているみんなを黙らせに行くだけだよ?」

 満面の笑顔でさらりと怖いことを言ってのける男―――井ノ原真夜。
 そんな笑顔を見て、真昼は心の中で『歩く教会』チームの面々にご冥福を祈った。

(………とりあえず赤音の奴を故意ではないにしても怪我させた削板ってやつが一番危ねーな)
「あ!でも俺が行っちゃうと、誰が真昼さんやこの後入ってくる赤音さん達の面倒は一体だれが―――」
「――その役目は僕に任せて貰おうか。一応本職だからね」

 扉の方からそんな声が聞こえ、真夜が振り向くとそこにはカエルが立っていた。
 いや、正確にはカエルではなくカエル顔の医者―――冥土帰しだった。

「………少し頼まれてね。多分凄い事になりそうだから医務室に居てくれってね」
「………木山先生かな?」
「木山先生だろ」

 そんな風に頼むのは木山先生しかいない、と真夜と真昼は推測した。
 しかし、本当は彼に頼んだのは木山先生ではなくブレインこと雲川芹亜である声を彼らは知る余地もない。
 するとその時、また扉が開く音が聞こえた。

「にゃー!井ノ原弟、出番だにゃー!」
「あ、元春くん。準備はバッチリだよ」
「………って最初っからぶちぎれてるぅ!?俺らが戦ってる間に何があったんだにゃー!?」
「………土御門、察しろ」
「ああ、茜川か………そういや井ノ原姉、風邪は大丈夫かにゃー?」
「ああ、だいぶ良くなってきた」

 そのままたわいもない会話を始める真昼と土御門。
 するとその話が盛り上がる前に冥土帰しからストップがかかった。

「まあ、元気になったのはいいけど君はまだ安静だよ。それと怪我がないならそろそろ戻ってくれないかい?もうすぐ怪我人が大量に運ばれてくるからね」
「おお、それは失礼だったにゃー。行くぜい、井ノ原弟」
「うん。じゃあ真昼さん、あとで勝利の報告にくるから」

 そう言って真夜と土御門はそのまま医務室をあとにした。
 しかし彼らは知らない。
 ちょうど今、上条は初春の件でクラスメイト達からしばかれている事を………

208ё:2011/05/12(木) 22:50:37 ID:t4RqTvj2
「上条てめぇこの野郎! 可愛い恋人の次は可愛い妹か! リア充爆死しろ!」
「まさか中学生にお兄ちゃんって呼ばせてるなんて……上条くん不潔!」
「どうゆうことか説明しろ上条! そしてそのポジションは是非俺に!」
「せ、説明って言われても海よりも深く山よりも険しい事情があるような無いような……つーか爆死とか不潔ってあんまりだろ!」

 最初は純粋に選手達を励ましに来た上条のクラスメイト達だったが初春が最後に上条に抱きついたシーンを間の悪いことに目撃してしまったのだ。
 初春と佐天に気付かれないように隠れた後、2人の姿が見えなくなってから上条強襲を実行したのだった。
 上条とハーフタイム中だけでも一緒に居る為に控え室に残った美琴、本当なら雷撃を上条を襲ってる人間全員にみまってやりたかったのだが、

「み、美琴ちゃん。ここはガマンせんでもカミやん助けるために雷撃かましてもええと思うで?」
「そうしたいのは山々なんですけどああも当麻に密着してると当麻も攻撃することになっちゃいますので……」
(それって要は上条さえ居なかったら躊躇わずに攻撃するってことだよな……)

 【幻想殺し】で防げない所から感電して上条にダメージを与えるという理由で敢え無く断念。
 ちなみに吹寄と姫神も参加しているはずなのだが、情報屋の状態の方が気になっていたので上条に起こったことの経緯が分からず不参加。
 そうゆう意味では上条の不幸もランクダウンとはいっても不幸なことには変わりないわけだが、その不幸を終わらせる者が控え室へと入ってきた。

「何してるんですか皆さん。当麻くんは疲れているんです、更に疲れさせるなんてことは止めて下さい」

 控え室に入ってきた真夜の喋り方に彼のマジ切れを知らない者達は呆気に取られた。

「い、井ノ原弟、だよな? いや、そんなことよりもだな、上条が何したの」
「どうでもいいです。当麻くんに限って悪いことはしないと僕は信じてますから。応援に来てくれた皆さん、嫉妬するくらいなら出て行ってください」
「し、嫉妬くらいって……。お、俺たちは」
「いいから出て行って下さい。選手の皆さんの疲れが取れませんから。気持ちだけ受け取ります、ですから観客席で応援宜しくお願いします」

 必要以上に丁寧な言葉遣いと有無を言わせぬプレッシャーに上条を責めていたクラスメイト達は真夜に抗議すること無く控え室を後にした。
 ようやく静かになった控え室で真夜のマジ切れを知ってる人間代表として浜面が尋ねた。

「な、なぁ井ノ原弟。もしかしてさ、茜川が削板の奴に吹っ飛ばされたことで怒ってるのか?」
「仕上くんにも皆さんにも誤解の無いように言っておきます。僕はそれに関しては試合中のプレーとして捉えてるので怒ってはいません。赤音さんも頑張ってましたし」
「それで怒ってたわけじゃないの? じゃあ一体」
「簡単です、赤音さんを傷付けておいて何の謝罪も無かったからですよ。そんな礼儀知らずの人に赤音さんの愉しみを奪われたと思うだけでまた怒りが込み上げて来ます」

 だから優勝したがっていた赤音さんの頑張りを無駄にしない為にも勝利しましょう、真夜の言葉に選手全員が共感を覚えて頷く。
 真夜の今の状態が初見な吹寄、姫神、翔太、情報屋(立ち直り済)は彼の妥協の無さに驚き、残る者達はマジ切れのベクトルがかなりマシなことに安心していた。
 これで自分達の勝率が上がったと確信した土御門は実はこっそり考えていたあるプランを提示する。

「さー、後半戦に向けて頑張るとするぜい! そこでだ、美琴ちゃんも居ることだしここでオレから1つ提案がある」
「提案?」
「後半戦になって必要になってくるもの、それは応援だ。てなわけで美琴ちゃんにチアリーダーになってもらってオレ達の応援をぐぎゃっ!」
「土御門、貴様バカなの? 大体御坂さんがそんなことに応じて……」

 美琴にチアリーダーになってもらうと宣言した土御門を殴った後で吹寄はてっきり本人が猛反対するかと思っていた。
 しかし吹寄は目を疑った、視線の先に照れくさそうにチアリーダーの件を上条に聞いている美琴の姿があったから。

「ね、ねぇ当麻。当麻はさ、わ、私がチアの格好して応援してくれたら……嬉しい?」
「本音を言えば上条さんは美琴のチアリーダー姿は見たいです。しかし今考えると美琴の可愛い姿を衆目に晒すってのは……。けど美琴の応援は欲しいわけで」
「分かった。ちょっと恥ずかしいけど当麻が望んでくれるなら私、頑張るわ♪」

 美琴が引き受けてくれたことに上条は心の底から喜んだ、何せキャプテンを快くやっている動機がこうやって叶ったのだから。

209ё:2011/05/12(木) 23:36:01 ID:t4RqTvj2
 その数分前、女子トイレでは初春の怒りにもろに触れてしまった麦野が青ざめていた。
 時間も無いということで初春はうろたえながら言い訳をしている麦野を、

「とりあえず悪い事をしたのでお説教です♪」

 この一言で黙らせて個室へと一緒に入っていった、その前に佐天とセレナに特製耳栓を渡して。
 特製耳栓の意味を知っている佐天は状況が全く呑み込めていないセレナに急いで特製耳栓を着けた。
 それから30秒後、個室から出てきたのは平然としている初春と彼女に続くように出てきたのではなく倒れこんだ麦野だった。

(き、絹旗から聞いたことはあるけどここまで精神的に追い込むなんて……。初春の怒りに触れるようなことだけはや、止めよう)

 初春の裏モードを初めて目の当たりにし、気絶する前に麦野は思った、生活態度を初春に怒られない程度に改善しようと。
 特製耳栓を外すようにというジェスチャーを初春がしたのを見ると、佐天は自分とセレナの特製耳栓を外すと気絶した麦野を抱えた。
 セレナがキョトンとしていると、麦野から救ってくれた初春が頭を下げてきたことに大いに驚いた。

「すみませんでした。あなたのことは知らないですけど麦野さんが迷惑をかけてしまったようで。後で本人にもよく注意しておきますから」
「え、えっと痛っ!」

 セレナが所々に傷を負っているのを見た初春は時間が無いながらも迅速にスタジアムに居る浦上に連絡、すぐ来てもらうように手配した。

「今、私の友人にあなたの傷を治すように頼んでおきました。他にも困ったことがあったらその方に言って下さいね」
「あ、ありがとうございます。と、ところであなたは」
「飾利急いで! 挨拶する時間無くなっちゃうよ!」
「私はどこにでも居る普通の風紀委員で麦野さんのお友達です。縁があったらお話しましょうね♪」

 麦野を背負って移動してる佐天に追いついた初春はもう一度セレナの方を向いて丁寧におじぎをして小走りで去って行った。
 セレナは初春の言葉を信じられない気分で聞いていたがそれとは別の感情も生まれていた。

(麦野を友達だなんて奇特な人ですねぇ。でも……私には無い強さを持ってて憧れちゃうなぁ。飾利さま、かぁ♪)

 その後、浦上が来てくれて回復魔術(セレナは魔術とは知らずに)で麦野に負わされた傷を治療、そのまま浦上に連れられて両親の所へと戻るのだった。

「ねぇ飾利。誰にメールしてるの?」
「当麻お兄ちゃんと美琴お姉ちゃんばかり幸せなのは不公平ですからね。他のカップルさんにも幸せをと♪」

――――――――――

 時間は戻って上条チームの控え室、そこに打ち止め、黒子、滝壺、郭が訪れていた。
 4人とも、初春のメールで恋人の応援をするようにハッパをかけられてここに来たのだ。

「にゃー♪ こいつはちょうどいいぜよ。美琴ちゃんだけでなく4人のチアリーダー追加決定ですたい」

 そうして土御門が出したのは5人分のチアリーダーの衣装、しかし土御門の趣味が入っているのかメイドを思わせるようなものではあるが。
 しかも最初から図っていたかのようにサイズも5人にピッタリというおまけ付きで。
 医務室に野原を運んでいてここには居ない服部を除いた一方通行、青ピ、浜面の反応はというと実に正直なものだった。

210:2011/05/13(金) 00:24:50 ID:mPokQjlg
ёさん、ありがとうございます!!
初春が麦野にどう立ち向かうのか、正直全く考えていませんでしたから!!

211:2011/05/13(金) 00:30:05 ID:mPokQjlg
観客席(セレナード)

「ただいまぁ。」
 少し時間がかかったものの、元気そうな様子で戻って来たセレナードが、彼女より年上の少女に背負われて来たのを見て父親が尋ねた。
「おかえりセレナ。ところでそこの方は?」
「あ、私浦上と申しまして、ちょっと…」
「あのねえ、セレナと話があってねぇ、一緒に応援しようってことになったのー」
「えっええ!?」
「あっ。でっでもぉ、浦上お姉ちゃんも用事とかあったぁ?」
「い、いえ、そんなことは……」
「ありー、じゃぁどうしますぅ?」
「ど、どうするって……?」
「セレナ達と応援するぅ?それともやっぱり別のとろろへ行くのぉ?」
(うーん……この少女も悪い人じゃなさそうだし……一緒にはしゃぐぐらいなら……)
「分かりました。一緒に応援しましょう。」
「わーい♪セレナの方はねぇ、友愛高校チーム応援しているんですよぉ。」
(ああ、分かる、あんなことがあったら……)
「ありがとうございますね。浦上さん。」
「い、いえ、お母さん、ですよね?私も他の人との方が………」
「あらうれしい。あれ、セレナード、あなた松葉杖は?」
「あ?ええっと……」
「ああ、すいません。私がうっかり壊してしまいました。安心してください。この試合が終わるまでになんとか新しいのを取り寄せますから。」
「そう……」
 セレナードの「深く追求しないでください」という雰囲気を感じ取り、両親はこのことに関してこれ以上は聞き出さないことにした。
 こうしてロイヤル一家と共に後半のサッカーの応援をすることになった浦上が観客席でスタジアムに魅入っているいる間、セレナは
両手をワキワキさせる何てことのない仕草をしていたのは全く気付かず、それを見た両親が
(何を『探って』いるんだ?)
と考えたことも知る由もなかった。
(初春飾利……私の一つ上の中学2年生。風紀委員をしていること以外は普通の女子中学
生……能力も低能力の『低温保存』。『書庫』から知り得る情報はこれだけ。でも……何かありそうですねぇ。麦野をああもあしらう気迫といい、
この謎の少女[浦上]といい、そもそも急に転校してきた『アイテム』の構成員が1人、絹旗最
愛との仲……聞き出してみますか。)
 このときはまだ魔術の存在すら知らなかったセレナが、初春飾利という少女の本当の凄さを知るの
は、もう少し後の話であった。

212:2011/05/13(金) 00:33:40 ID:mPokQjlg
私の一つ上の中学2年生。
 ↓
私と同じ柵川中学の一つ上の学年。

213:2011/05/13(金) 00:43:36 ID:mPokQjlg
話があってねぇ、
 ↓
話が合ってねぇ、

214:2011/05/13(金) 00:46:10 ID:mPokQjlg
もう本当にすみませんが、セレナの秘密については
「いつでも『書庫』を除ける。」
「『誰が』『今』『どこに』いるのかがわかる」
「絹旗並みの怪力を出せる」とだけ言っておきます。
いつか彼女が、初春か一方通行か側室同盟達に心を開く描写と共に書き出したいです。

215:2011/05/13(金) 01:27:40 ID:krdsdqZM
あともう一つ失敗としたのは、
両親はセレナを「ナターシャ」と呼びます。

216±:2011/05/13(金) 18:25:14 ID:VzeaMxbg
「似合うかな?ってミサカはミサカは少し恥じらいながらあなたに聞いてみたり」
「どうですか、〇〇様!こんな黒子は!!」
「はまづら……………似合う?」

 着替え終わった3人は各々の相手に感想を求めた。
 そして各々の相手はすぐさま土御門の方を向いて叫んだ。

「「「土御門(ォ)(ツッチー)!!!」」」
「ん?どうしたぜい、3人共?」
「「「グッゥゥジョォオォォブッ!!!」」」

 ひとしきり叫び終えると3人はそれぞれの相手の方を再び見始め、誉め始めた。
 そんな様子を寂しそうに眺めていた郭はボソッと愚痴を漏らした。

「ハァ………何でこんな時に半蔵様はいらっしゃらないんですかぁ………」
「ん?半蔵なら野原を医務室に連れて行ったぞ?」
「ほっ、本当ですか上条氏!!?よーし、ちょっと行ってきます!」

 そう言うや否やすぐさま走り去っていく郭。
 その様子を上条は眺めているとふとご立腹な白雪の姿が目に入った。
 当然、白雪がご立腹な理由は馬鹿な上条にも易々と想像できた。

「なーんで、サイズがピッタリな服ばかりなのかなぁー?」
「月夜さん、そんな事は後でどうにでもなりますから今は作戦をたてましょう」
「………まあ、あとでもいっか」

 怒っている白雪を軽く落ち着かせる真夜。
 その2人はすぐさま作戦会議に入った。

――――――――――

 所変わって、『歩く教会』チーム控え室。
 そこでは今ちょっとした大事件が発生していた。
 そう、トイレから帰ってきた麦野が凄まじいほどにやつれていたのだった。

217Ψ:2011/05/13(金) 20:02:42 ID:QyMLtpxo
超久々に書くわ。
ほんとうにいつ振りだろう? もう最後に書いたのが分かりませんww
ってか、こんなことして良いのだろうかね? 月曜から中間テストなのに…… しかも高校三年生ですからねw
ちなみに、書き方は昔みたいな感じではなくて今小説で書いている書き方で行きますので。
ってか、初春の説教がどうしてもなのはを思い出す俺は何だ?

−−−−−−−−−−−

「む、麦野超どうしたのですか!?」

 絹旗は戻ってきた麦野のやつれ具合を見て尋常ではないという事をすぐに察した。
まぁ麦野がやつれているのは当然だろう。あの初春の説教ことO☆HA☆NA☆SHIを先ほどまで聞かされていたのだから。
絹旗の言葉で『歩く協会』チーム全員が麦野の方を向き、一体トイレに行っている間に何があったのかと思っていた。

「何でもないわ。この世では無いものを見せられたようなだけだから……」

 いや、だから一体何があったのだよ。と、絹旗以外の者はそう思った。
絹旗はそれを聞いて麦野に何があったのかすぐに分かった。多分初春に説教でもされたのだろうと。それ以外に麦野がこれほどやつれる事なんてないだろうと思ったのだ。
また絹旗は前に自分も同じ目にあっている身でもあるので、麦野が初春を怒らせる事をしたのに対しては自業自得だとは思ったが、反して同情する面もあったりしていた。

「それでどうするの?このままじゃ作戦会議も出来ないわよ」
「確かにそうですよね。麦野さんには今すぐにも復活してもらわないと」

 結標とエツァリの言うとおりであり、麦野が復活してもらわないと後半のサッカーにも影響が出てしまう。そのためには今のうちに麦野を復活させる必要があるのだ。
しかし心理掌握はある事を思いついたのか、『歩く協会』チームにある事を伝える事にする。

「とりあえず皆さんは後半への準備をしておいてください。麦野さんを元に戻すのに時間が掛かりましたら試合の始まる少し前に念話で作戦を言いますので」
「(超)分かった(わ)(んだよ)(りました)(りました。とミサカは早速準備に取り掛かります)」

 心理掌握の言葉を聞き、心理掌握と麦野以外の『歩く協会』チームのメンバーはそれぞれ後半への準備をし始めた。

「まぁ、麦野さんがやつれている理由の記憶を一時的に消せば良いので、そんなに時間は掛からないと思いますが……」

 心理掌握は麦野のほうを向くと、早速能力を使って麦野がやつれている理由である初春の説教の記憶を消す事にしようとした。
しかし心理掌握は予想もしていなかった。初春の説教が自分の思っていた予想より遥かにすさまじいものだったと言う事を。

(な、なんですのこれは!?こんなの、私の方が保てる訳がないじゃない!!)

 そう、記憶を消すという事はその記憶を見るということでもある為であり、それは初春が麦野にした積極を全部聞かされると同じなのであるのだ。
そんな記憶を見てしまったら、心理掌握がその記憶の内容を見るのをやめようと拒絶反応を起こしてしまい、能力の使用を中断してしまったのだ。

(これは少し時間が掛かりそうですわね。少しずつやっていくしかなさそうですし)

 そんな事を思いながら、心理掌握は後半の試合が始まる前に何とかしようと頑張ってみるのだった。

−−−−−−−−−−

変だったら言ってください。

218■■■■:2011/05/13(金) 23:47:39 ID:ut2wm0Jw

オリキャラ増えすぎてよみにくいかも

219ё:2011/05/14(土) 07:22:59 ID:LFlcCsII
 絹旗が後半の準備として軽くストレッチを始めようとすると、控え室のドアの近くに遠慮がちに立っている初春と佐天を発見する。
 先程の麦野の件について尋ねようとした絹旗だが、聞いてはいけないと思いスルーすることに。

「来てくれて超嬉しいですよ飾利、涙子♪ お姉ちゃんと神裂さんは?」
「美琴姉さんは当麻兄さんの所、神裂さんは飾利の事情で観客席だよ」
「飾利の事情、ですか?」

 佐天から初春の事情で神裂を連れて来ていないと言われて不思議に思ってる絹旗に初春からロンドンへの短期留学のことを聞かされる。
 初春は絹旗なら笑顔で送り出してくれると思っていたのだが、おもむろに肩に手を置かれて真剣かつ寂しそうな表情で尋ねられた。

「……ってきますよね?」
「は、はい?」
「ちゃんとここに超帰ってきますよね? 私は超嫌ですよ! あっちに飾利が超永住するなんて!」
「あ、あの最愛さん? 2週間の短期留学ですからちゃんと帰ってきますよ」
「そんなの超当てにならないです! ヴィリアンさんならまだしもキャーリサさんが居るんですよ! 無理矢理飾利を超手元に置きたがって」
「その心配は無用だよ絹旗。闇咲と対馬、出発は違えども僕も一緒なんだ。それにキャーリサ様でも公私混同で下手な真似はしないはずさ」

 絹旗にここまで心配されるとは思っていなかった初春が嬉しさを感じつつも困っていると、ステイルが現れて助け舟を出してくれた。
 ステイルの言葉に絹旗は何とか納得し、ステイルに初春を絶対に学園都市に帰すように約束するとようやく笑顔を初春に向けた。

「飾利、GWに超遊べないのは残念ですけど頑張って下さい。その分、帰ってから超思いっきり遊びましょう♪」
「はい♪ あ、それと麦野さんに言伝をお願いします。私はもう怒ってないから安心して下さいって。最愛さんは試合頑張って下さい」
「飾利、そろそろ行こう。スタジアムの外で対馬さんと闇咲さんが待ってるんだよね?」

 そして初春は佐天と一緒に控え室を後にした、絹旗とステイルに見送られながら。
 絹旗は初春からの言伝を麦野に伝えると麦野の調子がいつものものに戻ったことに驚いた、心理掌握と一緒に。

「ま、まさかあんな伝言1つで復活するなんて……。人間というものはますますもって不思議ですわね。では次は結標さん、こちらへ」
「私が? 何で?」
「前半での失態、忘れたとは言わせませんわよ。後半でもあの調子なら私たちの勝利も危ういものになります。なので少し気持ちを試合中だけ変えさせて頂きますわ」
「気持ちを変える? もしかして翔太への愛を憎悪に変えるとか?」
「しませんわよ、というか私へのイメージが悪すぎませんか? 優先順位を変えるだけです、恋人さんへの愛情よりも私たちチームの友情と勝利を優先させるだけですわ」

 翔太への愛情を操作されるかと焦った結標だが、心理掌握の提案が比較的優しいものだったので受け入れることに。
 【歩く教会】チーム、後半への準備はほぼ万全、後は後半戦における作戦会議のみである。

――――――――――

 一方の上条チーム、土御門からこんな提案が出される。

「後半はオレらのボールから始まる。そこでまずは奇襲だ。井ノ原弟、始まったら全力でシュートを撃て」
「分かりました。ただ僕のサッカーのポジションはリベロ、DFですからダッシュしてからのシュートになりますけど構いませんか?」
「むしろその方がいい。DFがいきなり攻め上がってシュートって……読まれるかもしれんがお前さんの力なら問題は無いぜよ」

 土御門の提案に真夜は頷いて答えた、それを見た土御門が考えたのは一方通行のことだった。
 実は一方通行、前半の45分+ロスタイムの1分、ずっと能力使用状態にしており残る能力使用時間は9分だけなのだ。

(ったくアクセラの奴、動かない時は電極のスイッチオフにしろって言っといたのに張り切りやがって。しゃーない、一旦ベンチに引っ込めるか)

 土御門は考えた結果、一方通行をベンチに下げて残り時間9分で再投入することを決意し、その旨を一方通行へと伝える。
 しかし打ち止めのチアリーダー姿でテンション上がりまくりの一方通行に反対されることに。

220■■■■:2011/05/14(土) 09:35:36 ID:KTmg3NbI
>>217
それは初春が麦野にした積極

積極ではなく説教だと思うのですが

221Ψ:2011/05/14(土) 13:03:37 ID:s9gxD1dY
>>220さん
すみません。気づいていたのですけど、すっかり言っているつもりでいました。
訂正しておいてください。
後、今書いているのって☆さん、ёさん、±さんの三人だけですか?

222■■■■:2011/05/14(土) 14:11:40 ID:ANY76TTY
すいません、いつも楽しく見てます。
ところでサッカーっていったん抜けた選手もう一回入れましたっけ?
そこだけ気になったので

223±:2011/05/14(土) 14:46:43 ID:JQGkUHQw
「なンでだよ!そンなンじゃ打ち止めにかっこいィ姿を見せられねェだろォがァ!!」
「黙ってろ、一方通行!電池切れかけのお前なんかお呼びじゃないにゃー!!」
「そうだぜ、一方通行!電池切れで途中退場になるより、最後に出てきてカッコ良く決めた方が打ち止めも喜ぶぞ!」
「当麻くんの言うとおりです。ここは僕に任せて少し休んでいて下さい」

 打ち止めにかっこいい姿を見せられないと駄々をこねはじめる一方通行。
 しかし土御門、上条、真夜の3人続けての正論意見を浴びて仕方なく一方通行はその作戦にのる事にした。
 一方、そんな様子を眺めていた姫神は浜面と半蔵を呼びつけた。

「浜面。半蔵。こっちに」
「「はい!お呼びでしょうか、姫神様!」」
「最初に。行っておく事がある。なにやられているの」
「「ほっ、本当に申し訳ありません、姫神様!!」」
「まあ。2人じゃ仕方ない。あなた達の力は。私がいて。初めて凄さがわかるもの」
「「まっ……まさか姫神様………アレを!」」

 姫神の浮かべる不吉な笑みに対し何かに気付く2人。
 そしてすぐに身構えた2人に対して姫神は自分の作戦を話し出した。

「――浜面。半蔵。私が合図したら……」
「「分かっております、姫神様!」」
「ならいい。解散」

 その言葉を聞いて2人は姫神に一礼してからその場を立ち去った。
 そして1人ポツンと残った姫神に白雪は近づきながら話しかけた。

「姫神さん、ついさっき2人が言ってたアレって一体何なの?」
「私たち。バスケの時に使ってた作戦。ちなみに今までの試合じゃ。一度も見せてない」
「………サッカーでも使える作戦なの?」
「大丈夫。問題ない」

 そう言うと姫神は控え室の扉を指差した。

「時間。行こう」
「あっ………うん」
「白雪さん」
「えっ……なっ、何、姫神さん?」
「勝ちましょう」
「………うん、そうだね!頑張ろう!」

 そう言うと白雪は姫神の手を引いて控え室の外に出た。

――――――――――

 両チームとも準備が終わり、遂にグラウンドに出てきた。
 スタジアム内の観客達は両チームの姿を見て再び歓声をあげ始めた。

224ё:2011/05/14(土) 22:48:00 ID:LFlcCsII
選手交代の件ですが、本当なら一度下がったらピッチに戻れないことは知ってましたが特例ということで是非。
【歩く教会】チームがあまりにも精鋭ばかりだったのでこれくらいは上条チームにサービスと考えた次第です。

――――――――――

 スタジアム内の大歓声を初春と佐天はスタジアム出口付近で聞いていた。

「わぁ、すごく盛り上がってますね。涙子さんもお見送りはここまでで大丈夫ですので観客席に戻って下さい」
「分かった。けど飾利、美琴姉さんや当麻兄さんや最愛や神裂さんにはしてくれてあたしだけ無しって不公平じゃない?」
「もちろん分かってます。涙子さん、皆さんのことを宜しくお願いします。えいっ♪」

 別れのハグをされた佐天、意外と初春のハグが心地良かったのか予想以上の満足を得ていた。
 佐天から離れた初春が対馬たちとの待ち合わせ場所に向かおうとしたのだが、

「あーっ! 佐天お前さん、姫からの熱い抱擁を受けるとは何と羨ましい! 飾利姫、この建宮斎字にもお情ごふっ!」
「建宮のくせに飾利のハグを要求するなんて生意気!」

 魔術師達の得物を預かっていた建宮に偶然見つかってしまい阻止されてしまう。
 初春は佐天の金属バット攻撃には目をつぶり、建宮への対処をすることにした。

「建宮さん、どうしてここに居るんですか?」
「実は魔術師達の危険とみなされた得物を預かるという仕事を任されたのよ。飾利姫はこれからどちらへ?」
「ここ(学園都市)を離れなくてはいけない用事があるんです。でもご心配なく、私はちゃんと建宮さんの居るここ(学園都市)に帰って来ますから」
「成程、ここ(スタジアム)を離れなくてはいけない用事でしたか。ならばこの建宮斎字もお供……にっ!」

 建宮も神裂同様に自分に付いて行くと言うと思った初春は、神裂と同じ方法で大人しくさせる、つまり建宮にハグをしたのだ。
 これにはハグをされた建宮、その様子を見ていた佐天も呆然するしか出来なかった。
 ハグの実行者の初春は建宮から離れると愛らしい笑顔で建宮に言った。

「じゃあ行ってきます♪」

 そんな初春を佐天と建宮は彼女が見えなくなるまで手を振り続けて見送った。
 佐天は初春のハグでデレデレしてる建宮に心の底からイラッとすると、思いっきり脇腹を肘で小突く。

「はうっ! さ、佐天、い、いきなり何をしやがるのよ……ゲホッゲホッ」
「うっさい調子に乗るな! 言っとくけどさっきのハグ、建宮とあたしだけされたわけじゃないからね。美琴姉さんも当麻兄さんも神裂さんも最愛もされたんだから!」
「お、俺は別に調子に、の、乗ってるわけではないのよな。いや、勿論至福の時間だったとは理解してるわけだが」
「大体ね、飾利はあんたのことはお父さんのような人って認識しかしてないの! 恋人になれるかもとか考えないでよね! お父さんは一生お父さん止まりなんだから!」

 佐天の容赦無い物言いに建宮が凹むのを見て溜飲が下がった佐天は建宮と一緒にスタジアムの中へと戻って行った。
 一方、佐天達と別れた初春を出迎えたのは対馬と闇咲、そして初めて出会う一人の魔術師だった。

「えっと、オリアナさんでいいんですよね?」
「あら、お姉さんのことを知ってるなんて噂通りの勤勉屋なのね。では改めて自己紹介するわ。私はオリアナ=トムソン、ロンドンまで無事にあなた達を送り届けるのが今回の仕事よ」
「こ、これはどうもご丁寧に。私は初春飾利でイギリス清教のサポートをさせてもらってます」
「よろしくね初春♪ 今回は特に危険も無さそうだから楽しみながらロンドンに向かいましょう」

 訳あってイギリスの為に働いてる運び屋のオルソラと共に初春、対馬、闇咲は彼女がレンタルしたワゴンに乗って第二三学区へと向かうのだった。

(行きはあの2人が騒々しくて大変だったけど帰りは安心できる旅路になりそうね。それにしてもこの初春、確かに可愛いけど王女2人が熱を上げるほどかしら?)

――――――――――

 一方のグラウンドでは各チームが後半前の準備運動に勤しんでいた。

225ё:2011/05/14(土) 23:22:33 ID:LFlcCsII
「あれ? アクセラがベンチに超引っ込んでますね。あれっていいんですか?」
「絹旗、あんた知らなかったの? あっちのチーム、私らみたいな精鋭だけで組んだチームじゃないから1人だけ一度引っ込んでももう一度出られるのよ」

 絹旗は麦野からルールを説明されるとは思っていなかったので少し驚いていた、本人に失礼とは思いながら。
 【歩く教会】チームは後半から出てきた選手に注目を集める。

「とうとう土御門が出てきたか。あいつのことだ、恐ろしい作戦でも練ってるに違いない」
「自分も同感です。土御門さんならどんなえげつない手でも平気で使いますからね。油断大敵です」
「確かに土御門は脅威だけど私達の結束には敵わないわよ。翔太には悪いけどこの試合、絶対に勝つ」
(メン子の能力で変わった淡希……不思議な感じがするな)

 土御門をよく知るステイルとエツァリは彼に対する警戒を今まで以上に強めた(結標は心理掌握の影響でそうでもないが)。

「浜面と服部を超下僕のように扱ってストレッチをしてるあの人、神経を超集中させてようやく認識出来るレベルの影の薄さですね」
「そうなの? 私はあいさのことはそんな風に思ってないから平気だよ。大丈夫、あいさは私が何とかするから」

 姫神という影の薄い女性を平然と認識できるインデックスを絹旗はしょうもない理由と分かっていても尊敬することにした。
 レベル5の麦野、心理掌握、削板が注目しているのは意外(?)にも真夜1人だった。

(ちっ、よりにもよって化け物が後半から登場かよ。一方通行が引っ込んで楽になるかと思ったが前半以上にきつくなりそうね……)
(井ノ原先輩にも私の成長の証を見ていただけるのは嬉しいのですが前半の茜川さんのことで怒ってらっしゃるのなら……これ以上無い脅威ですわ)
(あのにーちゃん、初めて見るツラだな。さっき俺と根性張り合った女の代わりならまたいい根性勝負が出来そうだ)

 交代メンバーに特に注目していない御坂妹と五和はというと、

(後半は当麻さんとスキンシップをとって勝利してミサカをアピールします、とミサカはもっとやる気を出します)
(このまま試合に勝利して当麻さんが私への愛に目覚める、まさに理想通りの展開が待ってるわけですよ♪)

 いつも通り上条のことを考えていた、試合のことも忘れずに。
 一方、上条チームでは土御門からポジション交代されたメンバーと後半から参加したメンバーと話し合っていた。

「後半はオレと月夜の2トップでいく。月夜もそのつもりで動いて欲しいぜよ」
「うん♪」
「カミやんはキーパーだ。これなら右手も使い放題だ、きっちり役目を果たすんだにゃー」
「美琴の応援をゲットした上条さんに全て任せろ! 0点に抑えて勝利を掴んでやるぜ!」

 白雪と上条の2人にはアドバイスするべき内容がすぐに湧き出てきたが、姫神と真夜に関してはかなり迷っていた。
 仕方ないので土御門は多少無責任と思いながら、2人にアドバイスをする。

「姫神と井ノ原弟は……自由。とはいっても姫神は基本MFだから本分を忘れるなよ。井ノ原弟はリベロだから本当に自由にさせるしかないんだにゃー」
「任せて。私と浜面と半蔵。3人居れば勝利は確実」
「勝ちましょう元春くん。赤音さんが望んでいたクラスの勝利と優勝、そして制理さんと友くんの恋の成就の為に」

 自分でもすっぱり忘れていた吹寄と情報屋の恋、それをマジ切れしてる真夜の口から聞かされてとても驚いていた。
 しかし裏を返せばそこまで頭が回るほどに冷静な真夜という存在がやけに頼もしく思えた。
 いよいよ後半戦開始と思われたが、スタジアムにスピーカーから木山からの思いがけないイベントが発表される。

『さて、後半開始の前に選手激励の為に各チームへの応援タイムを設ける。まずは【歩く教会】チームからは繚乱家政女学校の有志による応援だ』

 木山からの紹介を受けて繚乱家政女学校の生徒達による可憐で華やか、それでいて可愛らしさを残す応援が始まった。
 その瞬間、土御門は地面に突っ伏した、何せ舞夏が応援の指揮を楽しそうに執っていたのだから。

226:2011/05/15(日) 11:20:43 ID:a8kwde1c
初春って外国語できるってことでいいんだよね?
「交渉人」なんだからさ。

227Ψ:2011/05/15(日) 11:35:51 ID:AtcD.tJA
☆さん
まぁ、出来なかったとしても別にそんなに影響が無いかと。
向こうが初春にあわせれば言いだけですし。

228■■■■:2011/05/15(日) 13:01:00 ID:/zVG9Kf6
ハワイ行った時に使われた学園都市製翻訳機を使えばいいかと。

229:2011/05/15(日) 18:06:02 ID:HDCFoRqM
>>227
マナー悪くないそれって?

230Ψ:2011/05/15(日) 19:54:19 ID:AtcD.tJA
>>229
それは……どうなんだろう?
一応俺は読み専に近い立場なので、そういう事は他の書き手にも聞いくれた方がいいかもしれません。一応参考程度にっていう感じで。

231ё:2011/05/15(日) 21:24:06 ID:Dj4mFJt2
私の中では初春は英語は日常会話が出来るレベルにまで達してます。
1月に入って正式にイギリス清教のサポーターとして活動するようになってそれに伴って英語を学び始めました。
周りにはインデックス、ステイル、シェリーも居るし、何より神裂が居るので英会話の勉強には事欠かないでしょう。
いつ、日常会話が出来るレベルに達したのかは他の方のご想像にお任せします。

232±:2011/05/20(金) 21:30:55 ID:IfQ6mGLE
「フッフッフッ、土御門さんにダメージを与える為に用意したこの計画がここまで効くとは………予想以上です!」
「うわー、えげつねーとミサカは若干この行動に対し引きながら答えます」
「………そんな事してるって当麻お兄ちゃんにバレたら超嫌われますよ」
「えっ……!さ、さすがにバレる筈は――」
「何やら集まっているみたいですよ、とミサカは事実を報告します」
「えっ!何でぇ!!」

 そう言いながら御坂妹はピシッと指差し、五和もそれにつられるようにその方向を見た。
 するとそこにいたのは地に倒れている土御門を心配して集まった上条と白雪、そして情報屋であった。

「………おいおい、大丈夫かよ土御門ぉ!」
「大丈夫だって上条くん。いつものようにシスコンがぶり返しただけだって」
「いやいやいや!なんでシスコンが持病みたいになってんだよ!!さすがにありえねえからな!!」
「いや、実際土御門のシスコンは病気みたいなものだろ。元シスコン軍曹だし。なあ、白雪?」
「うん、しかも不治の病だね。メイド萌えと同クラスの」
「……お前らちゃっかり酷いなー」

 2人の土御門に対する容赦ない発言にひいている情報屋。
 しかしそのとき彼らの足元に転がっている何かが動き出した。

「……俺は月夜一筋だにゃーぁあ!!」
「うわっ!いきなり蘇りやがった!」
「もとより死んでないにゃー!つーか、カミやんも月夜も酷いぜよ!」
「いや、事実だろ」
「こないだだって私にメイド服着せようとして何言ってんの?」

 上条と白雪の同時攻撃にたまらなく再び倒れかける土御門。
 それを遠目で見ていた3人は各々呟きはじめる。

「………良かったー、バレてない」
「……もう少し注目すべき点があるのでは?とミサカはさすがに可哀相な元シスコン軍曹に同情します」
「まあ、超土御門さんですからね。しょうがないでしょう」

 上条に土御門にダメージを与える計画がバレてない事に安堵する五和。
 その一方で絹旗と御坂妹はみんなから扱いが酷い土御門に多少なり同情した。
 そしてちょうど繚乱家政女学校の応援も終わり、次のアナウンスが入った。

233ё:2011/05/22(日) 10:27:35 ID:qfBQJ1Zc
『次は上条チームへの応援だ。つ……長いので略すが白雪ファンクラブと上条チームの関係者達による応援だ』

 本当なら【月夜様に氷付けにされたい同盟】という名前があるのだが、木山の感性で長いと判断されたことに殆どのファンクラブ会員は納得していなかった。
 しかしここで騒いだら白雪に一生氷付けにしてもらえないという推測、前日に注意してきた真夜が居たことを受けて抗議には出なかった。

「L・O・V・E、ラブリー月夜様ーーーーーーーーーーーーーーーーっ♪」×【月夜様に氷付けにされたい同盟】
「とーまーーーーっ! がんばってーーーーーーーー!!」
「○○さっまー、黒子がついてますわよー!!」
「頑張れ一方通行ー、ってミサカはミサカは一生懸命エールを送ってみたり♪」
「半蔵様の勝利の為にこの郭、力の限り応援します!」
「はまづらが無事に戻ってきますように」

 【月夜様に氷付けにされたい同盟】を率いるように先頭で応援している美琴、黒子、打ち止め、郭、滝壺の効果も相俟ってスタジアムは更に盛り上がる。
 上条、青ピ、浜面、半蔵は恋人の応援に士気を向上させるが一方通行、白雪、おまけで土御門はそうでもなかった。

「は、恥ずかしい、恥ずかしすぎるよ……。こうゆう時にちゃんと仕切ってくれる万彬ちゃんと絹保ちゃんが居ないのはやっぱり痛いよ……」
「ク、クソォ……。打ち止めが頑張って応援してくれてるってのに俺はベンチ……すっげェ申し訳ねェ気分だぜェ」
「カミやん達が羨ましいぜい。舞夏は学校の関係上、五和のチームの応援。んでもって月夜はチアメイドに着替えてくんねぇし不幸としか言いようが……月夜?」
「も、もう恥ずかしい体験したからき、着てあげてもいいよ。ベンチに置いてある紙袋の中にあるんでしょ? 私のサイズぴったりのチアメイド衣装」

 衆人環視の中で死ぬほど恥ずかしい思いをした白雪の思考状態は普段なら絶対に受け入れないチアメイドを着るという決意をさせる程に麻痺していた。
 即興で雪の更衣室を作って中に入った白雪、上条チームの応援が終わると同時に雪の更衣室を派手に壊してチアメイド姿で現れた。

「さ、これで元春も試合に集中できるでしょ? 感想は試合が終わって聞くから後にしてよ。私のファンクラブの皆、騒いだら分かってるよね?」

 先手を打つことで周囲を黙らせた白雪、伊達にレベル5に上り詰めたわけではない。
 土御門も白雪の先手にやられたと思いながら、自分の恋人の姿を見て何かを閃くと白雪に小声で作戦を指示する。

「とまあそうゆうわけだから月夜、手筈通りに頼むぜよ」
「オッケー♪ ここは1つ派手に決めてあげるよ」

 土白の2人が話しているのを見ていた絹旗、御坂妹、五和、インデックスは相手の出方を予想する。

「きっと前半の私達みたいに奇襲を超仕掛けるんでしょう。白雪さんには超注意が必要です」
「ここに学園都市最強ぺドが居るなら彼を使うでしょうからミサカたちは新しい第五位に注意を払えばいいでしょう、とミサカは結論付けます」
「そうですね。主導権を握るという意味なら白雪さんのあの格好で得点を奪うのが効果的でしょうし」
「私もみんなと同意見だけど一応あいさにも注意するね。つきよの方は他の皆に任せるんだよ」

 4人以外も先手を打ってくるのは白雪と予想した、見た目も能力も派手で観客を味方につけるにはこれ以上無い人材ということで。
 各チームがそれぞれに円陣を組んで声を上げてポジションに就くと笛が鳴った、運命の後半戦開始である。

234ё:2011/05/22(日) 11:33:43 ID:qfBQJ1Zc
「じゃあ行くぜよ月夜」
「オッケー元春♪ とうっ」

 ボールを土御門に渡すと白雪は雪の翼を6枚展開させると思いっきり高く跳んだ、ほぼ垂直に。
 【歩く教会】チームは白雪の跳躍に目を奪われた、それが土御門の思惑通りとも知らずに。

「先取点、ゲットだぜい♪」
「ふっ!!」

 土御門はボールを白雪には繋げない、したり顔でバックパスをした、【瞬間超人】で全箇所70強化をしている真夜へと。
 真夜は全力疾走からの全力シュートを撃った、白雪に気を取られている【歩く教会】チームなどお構い無しに。

「ん? なんぐおっ!!」

 真夜のシュートは針路上に立っていた削板の前でホップして削板を吹っ飛ばした。
 こぼれ球にすぐさま詰めていた真夜はボール目掛けて跳躍すると、加減ゼロのオーバーヘッドシュートを撃つ。
 削板が吹っ飛ばされたことでようやく白雪から意識を離した心理掌握だが、気付いた頃にはボールは彼女の背後のゴールネットに激しく突き刺さっていた。

「まずは1点です」

 綺麗に着地した真夜は口元に少し笑みを浮かべる程度の喜びを見せた、開始わずか7秒で得点を決めたにも拘らず。
 作戦が見事に成功した土御門は白雪と真夜にハイタッチをして喜びを表現した、【歩く教会】チームにどや顔をしながら。

「ちょ、超やられました……。あの白雪さんを囮にするなんて土御門、超やってくれますね」
「しまったんだよ……。あの人、白い人とフィアンマの戦いの嵐の中、とうまを運んだ人だから警戒すべきだったのに……。もとはるの思い通りすぎるんだよ」
「派手な囮とはいえ気を取られる時間はそれほど稼げないだろう。その僅かな時間で得点を決められる伏兵と隠してるとはやってくれるね、土御門」

 絹旗、インデックス、ステイルが土御門の作戦に悔しがる中、麦野と結標と心理掌握は真夜への評価を下していた。

「くそっ、相変わらずデタラメな身体能力してやがるなあの化け物。次はこうはいかないけどね」
(仮に私が気付いて【座標移動】で誰かをシュートの壁にしても間違いなく真夜が詰めてたわね。取られるべくして取られた1点と考えた方が良さそうだわ)
「さすがは井ノ原先輩ですわ。しかも確実に怒りが振り切れている状態……脅威ではありますが負けませんわよ」

 そんな中、真夜は話の分かりそうなエツァリに頭を下げた後で削板への言伝を頼む。

「あの白い学生服の人に伝えて下さい。本来なら股抜きをした後でボールがホップするかと思ったんですが力が入り過ぎてホップするのが早まって怪我をさせてすみませんと」
「わ、分かりました。しかし驚きました、上条当麻の知り合いにあなたのような礼儀正しい人が居るなんて。しかしどうして自分に言伝を頼んだんです?」
「あなたが話の分かりそうな人だと思ったこと、もう1つは僕の怒りが勝利で収まるまで白い学生服の人と会話をしたくないからです。ではこれで」
「……世界は広いなエツァリ。ああゆうタイプの人間も居るんだな」

 そうですね、エツァリはショチトルにそう返しつつ削板が怒りを買った理由を察していた。
 当の削板が真夜のシュートの威力の強さに根性入ってると喜んで笑っているのを見てエツァリは軽いイラつきを覚えた。

「これで1点差……一気に余裕が無くなりましたね。今度は私が相手ゴールへと切り込みましょうか?」
「五和さん、ここは私に超任せて下さい。私の【窒素装甲】のパワーでお兄ちゃんの守るゴールから超ダイナミックに点を取ります」
「それでいきましょう、とミサカは前半の絹旗さんの活躍を考えていい案だと同意します」

 【歩く教会】チームボールからの試合再開、御坂妹から絹旗へボールを渡すと絹旗はボールを【窒素装甲】で掴み取る。
 それを見た土御門はチームメイトにサイドに散るように指示、上条チームゴールへの道をわざわざ作ってやった。

「成程、私のシュートをお兄ちゃんがキャッチしてこちらの出鼻を超挫くつもりですね」
「ま、そうゆうことだ。それにカミやんと遊ばせてやるってサービスも込みってのを忘れんで欲しいにゃー♪」
「……ふっ、超感謝しますよ土御門。さあお兄ちゃん、私の全力シュート、超受けて下さい!」
「来い最愛!」

 土御門のお膳立てというか目論見に乗っかった絹旗は【窒素装甲】でボールをフルパワーで殴りつけてシュートを撃った。

235±:2011/05/22(日) 15:54:13 ID:MklVHPd6
「最愛、確かに凄いシュートだ!だがな、この程度の力で俺からゴールが奪えるなんて思ってんのなら………まずはその幻想をぶち殺す!」

 そう叫びつつ上条は飛んできたボールを右手で殴った。
 いくら絹旗の【窒素装甲】でのシュートが強かろうと、幾度とない激しい戦いで鍛え上げられた上条の右拳にはかなわず、ボールは一気に【歩く教会】チームのゴール前へと飛んでいった。

「いっ、一発でこちらのゴール前まで飛ばすとは………化け物か、奴は」
「ショチトル、弱音をはいている余裕はありませんよ。僕らは彼らを倒さねばならないのですから」
「エツァリ………すまん、私とした事が」
「いいのですよ、ショチトル。さあ、反撃と行きましょう!」

 飛んできたボールをトラッピングして手に入れたエツァリ。
 ショチトルを引き連れてエツァリはすぐに前へと出るが、そこには上がってきた半蔵が立ちふさがった。

「ここで取り返してもう一点追加させてもらう!オリャッ!」
「くっ!ショチトル!」
「任せ―――」
「甘い」

 スライディングタックルをしてきた半蔵をかわし、フリーだったショチトルにパスを送った。
 しかし、そのパスをまるで待っていたかのようにどこかからいきなり現れた姫神が華麗にパスカット。
 そのままフリーとなった姫神はゴールとの距離を詰め始めた。
 しかし、その前に立ちふさがったのは【歩く教会】チームの中で唯一姫神を簡単に視認できるインデックスだった。

「あいさ、ここは行かせないんだよ!」
「インデックス。相手にとって。不足なし。だけど。私に勝とうなんて。考えが甘い」

 そう言いつつ軽いフェイントでインデックスを抜き去った。
 そして今度は心理掌握との1対1
 しかし相手が姫神という事で心理掌握は戸惑っていた。

「(………どうしましょう?表情からまったくどっちを狙っているのか分かりません)………こっちです!」
「残念。逆」

 姫神の駆け引き(?)によって見事に心理掌握を騙し、上条チームは追加点を入れた。
 しかし、一方の【歩く教会】チームは早急に集まり、作戦会議を行いはじめた。
 当然、議論の内容は真夜と姫神の対策である。

236ё:2011/05/22(日) 20:14:42 ID:qfBQJ1Zc
「正直、開始5分で同点にされるとは思ってませんでしたわ。井ノ原先輩はともかくあのような女性まで居るなんて」
「まずはあの2人をどうにかして抑え込まないとね。姫神の存在感の薄さはインデックスに通用しないけど」
「さっき簡単に抜かれたな。とはいえインデックスに同じフェイントは通用しない、心配無いだろう」

 姫神対策としては引き続きインデックスがマークに付くことが決定、抜かれた場合を考えてショチトルが常にフォローに入ることを自ら志願する。
 残るは真夜だがこちらは簡単に決まった、あくまで対策だけはだが。

「井ノ原先輩には五和さん、お願いできますね?」
「……仕方ないですね」

 【瞬間超人】で強化された真夜の動きに付いていける五和が真夜のマークに就くことにした、五和本人は相当大変だと覚悟の上で。
 ちなみに削板も考えた心理掌握だが、本人の性格を考えて比較的自由にさせた方がいいと判断して却下した。

「後は金髪サングラスの人ですが」
「土御門さんには自分が。付き合いの長さを考えるならステイルさんが適任ですが白雪さんを抑える役目がありますし」
「頼むよエツァリ。それに僕ではいいようにあいつにあしらわれる、むしろ君のような人間の方が適任だよ」

 土御門のマークはエツァリが名乗り出ることで問題なく解決。

「結標さんは全体のフォローと恋人さん、麦野さんはアク様が居ないので浜面さんとついでで相方さんのマークをお願いしますわ」
「了解」
「オッケー♪ 後半はたっぷりねっとり浜面と対決か、ゾクゾクするわ。おまけで浜面のダチも面倒見てやるよ」

 麦野のモチベーションを理解していた心理掌握は彼女に適切な指示を下す、半蔵に関して少し不安を感じはしたが。

「FWの絹旗さんと妹さんは守備を気にせず攻めて下さい。削板さんももっと攻め上がって構いません。結標さんの【座標移動】のフォローで対処可能ですから」
「わっかりました! 今度こそお兄ちゃんからゴールを超奪ってやります」
「当麻さんと触れ合えるチャンスは無駄にしません、とミサカは役得と感じつつも試合に勝ちたいと決意を新たにします」
「よっしゃーっ! 上条相手に得点する、何とも根性漲る展開じゃねぇか!」

 攻撃の核となる3人のやる気に満ちた表情に満足した心理掌握はチームメイトにポジションに就くように促す。
 4対4の同点で試合再開、絹旗はボールを持つと結標に向かって叫んだ。

「結標さん、妹さんを上に超飛ばして下さい!」
「上……なるほどね。じゃあ行くわよ!」

 結標に叫んだ直後、絹旗はボールを空高く放り投げるとその軌道上に【座標移動】で飛ばされた御坂妹がスタンバイしていた。
 
「絹旗さんナイス判断です、とミサカはこの好機に雷撃シュートを撃っちゃいます」
「井ノ原弟ばかりええカッコはさせへんでー。ボクの強くなったこの体でどんなシュートもあばばばばっ!!」

 高高度からの御坂妹の雷を纏ったシュート、いくら当たりが強くなった青ピでも雷の耐性などあるわけもなくダメージを受けた。
 しかし体が麻痺しても意識は途切れてはいないので途中退場ということにはならなかった。
 青ピのブロックを突破した御坂妹の雷撃シュート、威力そのものはかなり弱まっており上条の【幻想殺し】で雷を解除、簡単にキャッチする。
 上条はすぐさま近くに居た吹寄にボールを投げるが、

「甘いですよ当麻さん。でもそんな甘い所も」
「告白なんて余裕ですね。そうゆうあなたも充分甘いと思いますよ」

 変則的な強化術式の恩恵を受けている五和によってインターセプトされピンチに陥るも、真夜が素早く五和へと詰めていた。
 ドパン! ドパン! ドパン! と激しい音を出しているのは五和と真夜がボールを蹴り合っているもので、全く互角の展開を見せる。
 ボールはサイドラインを割って【歩く教会】チームのスローインで再開、絹旗はチームメイトが作戦通りにそれぞれにマークに就いてるのを確認すると削板へボールを渡した。

「ナイスだ絹旗! 行くぞ上条ぉ! すごいパーンチ!」

 削板のすごいパーンチで撃ち出されたシュートが上条が守るゴールへと襲い掛かる。

237±:2011/05/22(日) 22:22:17 ID:MklVHPd6
「カミやん、アッパーの要領で下から打ち返すんだにゃー!その方が簡単に弾き飛ばせるぜい!」
「分かったぜ、土御門!オリャァア!」

 土御門に言われたまま、上条は下から上へとアッパーの要領でボールを弾き飛ばす。
 しかし、すごいパンチの勢いも凄まじいもの。
 激戦の中で鍛え上げられた上条の力でも軌道を逸らしてゴールを免れるのが精一杯だった。

「っ!ゴールポストに!すぐに拾うんだにゃー!」
「あいにくそんな暇与えないわよ!それっ!」
「サンキューです、結標さん!!コレで超逆転です!!お兄ちゃん覚悟!!!」
「させないよ!燃えろ!!」

 ゴールポストに当たり跳ねたボールに対し土御門はすぐさま拾うように指示を出す。
 しかし、それより早く結標が反応し、【座標移動】で素早く絹旗を絶妙な場所に送った。
 そしてそのまま【窒素装甲】でシュートを撃とうとした絹旗に対してそれを防ぐ為に翔太は絹旗の回りを燃やして行動を制限、その隙にボールをクリアした。

「(……翔太が活躍したのに結標の奴、前半みたいに見とれてない……心理掌握に何かされたのか?)海原、ついさっきから邪魔にゃー、いい加減退くにゃー!」
「あいにく、僕の今の使命はアナタを行動させない事。退く事は出来ませんよ」

 土御門に徹底してマークして動けないようにしている海原。
 そのせいで土御門はつい先ほどから声による指示しか出せてなかった。

「元春が動けないなら、私が!いくよー!!」

 翔太がクリアしたボールを拾った白雪、相方である土御門が動けぬ事を確認するとグランドを凍らせてその上を滑るかのように1人でボールを持った駆け上がった。

「もっ、物凄く速いんだよ!!」
『今までにないパターンの攻撃……削板さん!氷に向かってすごいパンチを!!』
「おう、任せろ!すごいパーンチ!!」

 白雪がいきなり新しいパターンで攻めてきた事によってインデックス、心理掌握は驚いた。
 しかしすぐに対応策として削板のすごいパンチを発動、グランドの芝生を土ごと吹き飛ばしつつも白雪の氷のレーンとボールを吹き飛ばした。
 そしてこぼれたボールを一番近かったステイルが拾い、近くにいた麦野へパスした
 ボールを貰った麦野は駆け上がるが、それを止めるべく浜面と半蔵が目の前に現れた。

238ё:2011/05/24(火) 17:47:19 ID:swo2H0ZQ
「悪いがここから先はいどぅわっ!」
「邪魔すんな地味男ぉ! せっかくの私と浜面のイチャイチャタイムに割り込むんじゃねぇよ!」

 半蔵を【原子崩し】の威嚇射撃で黙らせた麦野の気持ちは既に目の前に居る浜面にしか向けられていない。
 浜面は思う、肉食獣に襲われる小動物の気持ちが痛いほど分かると。
 麦野は浜面との1対1(本人の感覚で)を少しでも長く愉しむ為に、浜面は麦野相手に不用意に動けない為に膠着状態に。

「どーしたどーしたはーまづらぁ。私からボールを奪うんだろぉ? 私は攻めるの大好きだけど浜面なら攻められるのは大好きなんだぞ♪」
(だから動きづれぇんだよ! 半蔵はさっきの威嚇ビームで動けねぇ、麦野からボールを奪えそうな奴らにはマークが付いてるし……)

 麦野に対抗出来そうな土御門、白雪、真夜、翔太にはそれぞれエツァリ、ステイル、五和、結標がマークに付いているので浜面の援護にすぐには来られない。
 状況打破について真剣に考えている浜面にテンション上がりまくりの麦野がバカっぽい宣言をした。

「よし、浜面のやる気が上がる為に私から提案だ。私が抜いたら両乳、浜面がボール奪ったら両尻を好き放題にしていいぞ♪」
「いいぞ♪ じゃねーんだよ!! 俺らの間にそんな賭け成立しねーっての! どんだけエロいんだお前は!」
「浜面……そんなに褒めるなよ、照れるじゃない♪」
「照れんなーーーーっ! ええいっ、このままじゃ埒が明かねぇ。イチかバチか」

 浜面は目の前の少女がこうなった原因が自分にもあることを反省しつつも、腹をくくって麦野のボールを奪うべく動こうとした。
 しかしその前に情報屋が上がってきて奪おうとした、麦野の怒りを買うことも知らずに。
 イチャイチャタイム(あくまで本人の感覚)を邪魔された麦野は閃光のアームで情報屋を薙ぎ払おうとするも、浜面が割って入ることで惨劇は回避された。

「止めろよ麦野。こんな所でお前にそんなことはさせたくねぇんだ。ちゃんと試合で決着着けようぜ、いいな?」
「……ちっ、わーったよ。じゃあ私らが試合で勝ったら浜面、お前を私の部屋に監禁するからな。つーわけでショチトル!」
「ちょ! 最後にとんでもねーこと言ってんじゃねーよ! ……分かった、その賭け乗ってやる(勝てばいいだけだしな)」

 さらっと賭けを成立させた麦野、フリーのショチトルにパスを送るも情報屋が決死のスライディングでカットする。
 情報屋は気付けば自分がフリーだということに気付き、そのままボールを持って【歩く教会】チームへと攻め、PA内へと入る。
 しかしそこに追いついたショチトルがボールを奪おうとしたその時、情報屋を呼ぶ声が聞こえた。

「紫木こっちよ!」
「吹寄! 任せたっ!」
「えいっ!」

 上がってきた吹寄の声を聞いた情報屋は反射的に左へとセンタリングを出した、しかも奇跡的にタイミングピッタリで。
 情報屋の綺麗なセンタリングに吹寄おでこDX状態の吹寄がヘディングシュートを撃つも、心理掌握のダイビングキャッチで得点は奪えず。
 一進一退の攻防に観客が大いに盛り上がる中、心理掌握は近くまで下がってくれていた結標にボールを渡す。

「どうするの? 上条がキーパーになってから絹旗と削板でも得点できないのは大きな痛手よ」
「そうですわね。それにあの背の高い青髪の人も意外と当たりは強いですし、真っ正面からの力押しでは……真っ正面?」
「メン子?」
「結標さん、とりあえず削板さんにボールを渡して下さい。上条当麻から得点を奪う一手を思いつきましたので」

 結標にメン子呼ばわりされたことなど気にも留めず、心理掌握はボールを持った削板ではなく御坂妹と絹旗に念話を送った。

《絹旗さん、削板さんがクリアされたボールをキープして妹さんに渡して下さい。妹さん、上条当麻を抜ける自信はおありですか?》
《まさかこんな時にメン子さんが当麻さんで抜けるなんて下ネタを言うとは、とミサカは常盤台の性の乱れを嘆かずにはいられません》
《いっ、言ってませんわよ! 私は妹さんに上条当麻を抜き去るフェイントがあるかどうかを尋ねてるのであって……》
《メン子さんメン子さん、妹さんは超分かっててやってるんですから流していいですよ。私の方は超了解です、確かにお兄ちゃんには効果的ですし》

 ちょっとしたイザコザはあれども、心理掌握の作戦を御坂妹と絹旗は受け入れることにし、削板の様子を注意深く見ながら走り出す。
 猛然と上がる削板はPAの少し手前でドリブルを止め、ボールを胸元まで上げるとすごいパーンチでシュートを撃ち出した。

239:2011/05/24(火) 19:52:31 ID:leTB6PGA
観客席(セレナード+浦上)
 初春に関する何気なさを装った追及を浦上がやんわりとかわし続けていた中、(彼女自身は
初春の「友達の一人」ということにしている)試合運びの中でようやくセレナが
話題を変えてくれた。
「じゃぁさあ浦上お姉さぁん。」
「何ですか?」
「あの浜面って人は麦野の恋人ぉ?」
「えっええっと……」
「あとねぇ、一方通行様と心理掌握ってできちゃってるのぉ?
 どっちも超能力者だしぃ、名門校出身(長点上機、常磐台)だぃし、女王様や
最強って何か凄い組み合わせだしぃ。」
「い、いや、それは……」
「それにぃ……なぁんかあの2人試合中も意識し合っている感じがしますしぃ……」
「えっ。そ、そうかしら……」
 前者の2人ならともかく、この超能力者カップル(と、思っている)に関して
こういうことに気付く辺り、一方通行への想いもあるもののかなり洞察力があるのかもしれない。

240:2011/05/24(火) 20:02:52 ID:leTB6PGA
「い、いや、それは……」→「いや、それはな…」
細かい指摘ですみません。

241±:2011/05/24(火) 21:14:49 ID:Ge6FXtBs
「いくぞ、上条ぉ!コレが俺の根性の詰まったすごいシュートだぁぁあぁぁあぁぁ!!」
「いいぜ、削板……お前が俺からゴールを奪えるっていうのなら、まずはその幻想をぶち殺す!」
「……それ以前に、削板くんから吹き出している謎の煙に対するツッコミはないの!?」
「翔太……気にするだけ無駄ぜよ。なんせ削板だからにゃー」

 自らの本気を相手にぶつけ合う削板と上条―――もとい、FWとGK。
 その2人の間にはいれる者はおらず、観客達も含めてすべての者が静かにその行く末を見守っていた。

「削板………お前の根性が凄い事はよく分かった…………だがな!この程度で、俺の美琴への愛に勝てると思うな!!」
「愛の力、だと……!俺の根性に勝つとは……なんつーパワーだ………」
 自称愛の力で上条は削板の『すごいシュート』を真っ正面から打ち破った。
 全員はその上条の力に圧倒されつつも、すぐに上条が弾き飛ばしたボールを取りに行った。

「全員、ボールとって速攻だぜい!相手は今のカミやんの活躍で隙が出来ている筈にゃー!」
『皆さん、落ち着いて下さい。今はボールをとって妹さんに回して下さい!』

 互いの指揮官の指令はすぐに両チームに伝わり、両チーム同時にボールを取るために動き出した。
 しかし、その中で1人だけ動かぬ者がいた。

『い、五和さん?何故そこで止まってらっしゃるのですか?』
『だって……ついさっき当麻さんが……』
『(まっ、まさか今頃気づいた――いや、ようやくと言うべきでしょうか?)そ、そんなにおち―――』
『――こんな大衆の中で私への愛を言ってくれるなんて!!』
『はぁ?』

 五和がつい先ほどの上条の叫びで、ようやく上条と御坂の関係に自分がはいれるものじゃないという事に気がついたのか、と思っていた心理掌握にはこの状況は理解できなかった。

『いっ、五和さん?』
「だってメン子さんも聞いたでしょう?ついさっきの当麻さんの告白!『俺の五和への愛に勝てると思うな!!』ってもう最高じゃありませんか!」
『アナタの耳はどんだけ希望に満ち溢れているんですか!?』

 心理掌握が五和の暴走を止めようとしている間に両チームほぼ全員参加のボール争奪戦は絹旗が勝利していた。
 そして絹旗は取ったボールを先ほどの指令の通り御坂妹に渡した。

242:2011/05/24(火) 23:12:56 ID:g7yV.jZI
観客席(セレナード+浦上)

「あれ?五和さんって人だけボーっと…」
「五和……(この威風堂々とした告白で流石に吹っ切れたか…ああ、でも、
あの希望に満ちた顔は……まさかまた変な風な超解釈を……)」
 浦上が他の観客達とはかなり違う意味でハラハラしているの見たセレナは
(よし、ならまず五和さんあたりから攻めてみるか)と、シフトチェンジしてみた。
「前半の活躍ぶりすごかったですねぇ五和さん。格好は派手ですけど。」
「ええ、人目を引く格好でありつつ、自らへの注目を力へと変換させる術式を織りこむ。
 よく生かしているわね。」
 小声とはいえ思わずぽろりと漏らしてしまった魔術用語にハッと口を押さえる浦上。
 しかしセレナは敢えてそのミスを突いてガードをより一層固められるようなことはせず、
あえて聞こえないふりをして更に掘り下げた。
「浦上お姉さんって、初春さんと同じく五和さんとも友達なんですねぇ、どんな
人なんですかぁ?」
「頑張り屋で純粋で……好きな人には尽くしまくるタイプよ。」
「いい人ですねぇ。」
「いいえ。」そこで浦上はかなり悲痛な様子に顔をゆがめた。
「問題はその相手が自分を見ていないとしても……いわゆる強引に自分を振り向かせようとする
のよ。それこそ、恋敵…この場合、美琴って人を…極端な話八つ裂きにしてでもね。」
「ママ、恋敵って恋のライバルのことだよね?」
 母が苦笑して首を縦に振るのを確認して、セレナは頭の中で『整理』した。
(それが本当なら『超電磁砲』美坂美琴と一人の男を取り合っていることになりますねぇ。
 五和さんについては…(わきわき)…浦上お姉さん同様詳細不明。
 最近突然学園都市に来て、繚乱学校で働いていること以外情報なし。
 未成年?にも関わらず、能力開発どころか正規の教育すら受けていない…)
「いつまでとどまっているのかしらね。」
「はい?」
 浦上は、心から憐れむような表情で、仲間の女をジッと眺めた。
「恐らく飾利もそうだったんでしょうけれど…彼、上条当麻に慕情を募らせる他の女達が、
次々とそれをふっ切って、本当の思いやりによって、彼と美琴の幸せを願い、成長し、そして新たな道を歩んでいるのに………
 一体いつまで彼女は自分勝手な愛に生き、全てを失っていくのかしら……」
「………私も………」
「え?」
 GK兼司令塔として仲間を引っ張っている心理掌握を見ていたセレナは、
つい先ほどまで彼女と相対して選手として活躍していた白い少年を思い起こし、無表情でポツリと呟いた。
「私も、一方通行様と心理掌握さんの間に割り込もうとしている時点で、もう…どちらかになっちゃう
のが決まっているのかなぁ。」
 浦上はポン、と、眼下のセレナの頭に手を置いて呟いた。
「応援しているわよ。」
「………ありがとう………」
 ニコッと、少しくすぐったそうに、でも、とてもうれしそうな笑顔を向ける少女を見て、思わずドキンとした浦上は、
一瞬、本当に一瞬だったが、打ち止めよりこの子を応援したいと考えたりした。

 流石に、その幼女が笑顔の裏で、浦上のガードがかなり緩んできていることに……
浦上自身と、上条当麻という現在フィールドで活躍している少年と、
初春、美琴、五和との関係を聞き出すまでに至ったことに
ほくそ笑んでいたことは知らなかったが。

243:2011/05/24(火) 23:16:14 ID:g7yV.jZI
美坂美琴→御坂美琴
でしたね。

244:2011/05/24(火) 23:21:57 ID:g7yV.jZI
「いつまでとどまっているのかしらね。」
「はい?」→「え?」

245ё:2011/05/25(水) 20:23:16 ID:4tJxgL5o
「当麻さんには悪いですがミサカが確実に得点してみせます、とミサカは必勝宣言をしてみせます」
「随分と面白い事を言うようになったな、御坂妹。だからといってチームの守護神たる上条さんを相手に」
「えいっ」

 上条と1対1になった御坂妹はシュートをするフリをした、しかし上条は見事なまでに反射的に動いてしまう。
 その後もシュート、パスのフリに過敏に反応してしまい面白いように御坂妹の単純なフェイントに引っかかる上条。
 観客はその様子にクスクス笑ってしまうが例外は居るものである、美琴に御坂妹に五和だ。

(ちょっと何よあの当麻、お猿さんみたいで可愛いじゃない♪ 今度家に帰ったら私もやってみよっと)
(ここまでいいように反応してくれる当麻さんに萌えを感じます、とミサカはもう少し続けたいと思いつつも仕上げにかかります)
(きゃーーっ当麻さんったらかーーわーーいーーいーー♪ さっきの告白はカッコよかったのに今度はかわいいなんて素敵です!)

 御坂妹に踊らされた上条に御坂妹がボールを取れるか取れないか微妙な所に出す、当然ながら上条は反応して飛びつく。
 しかしそのボールはバックスピンがかかっており、地面に付くとボールは御坂妹の所へ戻り上条は地面にダイブしてしまう。
 突っ込んでくる(?)上条をスピンターンでかわして無人のゴールへと進み、シュートを撃つ。

「これで確実に逆転です、とミサカは余裕なので普通のシュートを撃ちます。えいっ」
「当麻くんを抜いたからといって余裕を持つには早いですねっ!」

 御坂妹のシュートは全力疾走でゴール前に走ってきた真夜にクリアされてしまうが、その光景に誰もが驚いていた。
 いくら五和のマークが緩くなったとはいえ実は一番ゴールから遠い所にいた真夜が間に合うなど味方含めて誰一人思っていなかったのだ。
 これで上条チームの危機は回避されたはずなのだが、

「助かったぜ真ぎゃふんっ!」

 地面に転がっていた上条が勢い良く立ち上がって真夜のクリアボールを振り向きざまの顔面に受けてしまい、自分のチームのゴールネットを揺らした。
 後半16分、あまりの間抜けな逆転劇に御坂妹と真夜は「えっ?」と呟くしか出来なかった。
 決勝戦初得点をオウンゴールで上げた上条に吹寄と姫神から制裁が加えられることに。

「馬鹿か馬鹿なの馬鹿なんでしょ! せっかく井ノ原弟が貴様のフォローしてくれたのにオウンゴールするなんて真正の馬鹿ね!」
「せっかくの私の。同点ゴール。こんなふざけた展開で。無駄にするなんて。死んでいいよ」
「いだっ! 俺だって好きでオウンゴール決め! ぐえっ! たんじゃね! あだっ! ぎゃんっ! いだだだだっ!」
「制理さんも秋沙さんも落ち着いて下さい。当麻くんだけに非があるわけではありません。ボールをキープして攻め上がる選択をしなかった僕も悪いんですから」

 真夜の自分達を宥める発言に吹寄と姫神は上条への制裁を止めた、理由は真夜の発言の正当性と名前呼びである。
 吹寄も姫神も真夜に名前を呼ぶのを止めてもらうように頼むも、真夜が頑として折れなかったので受け入れることにした。
 逆転されたことで策を練ろうとした土御門だが流れが相手側に傾いてるのを感じ、どうしようか迷っていると真夜が策を出す。

「元春くん、一方通行くんがピッチに再び戻るのはいつ頃なんですか?」
「そうだな……この後の通常活動時間を考えると残り時間6分って所だ。ロスタイムも考えた上での時間だがどうしてそんなことを聞く?」
「僕が稼げるだけ時間を稼いで、時が来たら当麻くんか秋沙さんと仕上くんと半蔵くんのどちらかに同点ゴールを決めて貰うんです」

 最初は真夜の策に難色を示した土御門だが、残り時間が少ない所で同点にすれば流れも自分達に向き、尚且つ一方通行のテンションもいい状態で試合に臨めると感じて受け入れることに。
 ちなみに真夜が姫神&浜面&半蔵を推したのは切り札があると知っているから、上条を推したのはキーパーのオーバーラップは意外性があるからとのこと。

「僕はあの変わったメイド服を着た女性との1対1で時間を稼ぎます。あの人は1対1なら逃げないでしょう、それ程の身体能力と自信を持ってますから」
「(確かに今の五和は観衆に魅せるプレーをしている。きっと観客や周囲の期待の視線や歓声を力にする術式を組んでるんだろう。成程、それなら)分かった、それでいくぜい。皆もフォロー頼むぜよ」

246ё:2011/05/25(水) 21:09:09 ID:4tJxgL5o
 そして上条チームボールで試合再開、土御門からボールを貰った白雪はすぐに上がってきた真夜にパスを送る。
 真夜は御坂妹と絹旗に詰めることすらさせない速いドリブルで、更にエツァリとショチトルを鋭く巧みなフェイントを織り込んであっという間に抜き去る。
 そこへ予想通りに五和が真夜の前に立ちはだかると、真夜もドリブルを止めてボールをキープして距離を取った。

「後半の貴方の活躍を見てて思いました。是非とも戦ってみたいと。今の私の身体能力に付いて来れるのはそちらのチームでは貴方1人でしょうから」
「つまり僕に勝つことで流れを完璧にそちらに持っていくということですね。けど僕だって負けません、この試合にはかかっている物が沢山ありますから」
「では……始めましょう! この試合を決するであろう私達の戦いを!!」
「望む所です」

 そして始まった真夜と五和の1対1の勝負、まずは真夜が高速フェイントで五和を抜き去ろうとするも五和が見事に反応して抜かせない。
 今度は五和が鋭く足を使ってボールを奪おうとするも真夜の巧みなボール捌きでキープを続ける。
 ならばと真夜はボールを高く上げてヘディングで五和の裏へ落とそうとするが五和もそれを読んでいて互いのヘディングがぶつかり合う。
 全く互角のヘディング勝負でボールは2人の中間点に落ちると着地した2人は激しくボールを奪い合う。

(な、何て人ですかこの人は! 通常よりも強化された私の身体能力に付いてくるなんて! 正直サブメンバーかと思っていましたがとんでもない、優れたプレイヤーです)
(戦ってみて初めて分かりました、この人はとても強いです。一見して当麻くんに現を抜かしてると思えばこうして冷静に対応してくる、本当に凄い人ですね)

 互いの足を削り、ボールをキープする為に体をぶつけ合い、鋭く速い動きを見せる真夜と五和に観客は大歓声を送った。
 あまりの激しいぶつかり合いにお互いの顔、足に傷が付き始めたので災誤がプレーを止めようとするも、この1対1の雰囲気に笛を鳴らせなかった。
 時間が経つにつれて大歓声を送っていた観客も徐々に静かになり、ついには真夜と五和の激突を魅入るように見守り始める。
 そして観客だけでなく上条チームも【歩く教会】チームも固唾を呑んでこの1対1を見守ることになった。

「私は正直凄く楽しいです、こうやって今の私の全力と渡り合える相手がいることが! 貴方の名前、教えてもらえませんか!?」
「それは試合が終わってからにしましょう。今は1対1に専念したいんです、この楽しくて心躍る1対1に」
「そうですね! けどこの勝負、勝つのは私です!!」
「勝利は譲りませんよ。勝つのは僕たちですから」

 激しくぶつかり合うも楽しく会話をする真夜と五和、しかし2人には大きな違いがあった。
 五和はテンションが上がっておりあくまで真夜との1対1に勝利することを狙い、真夜は楽しいと思いつつも自分の策を忘れておらず時が来るのを待っていた。
 後半30分が経過しても真夜と五和の1対1はまだまだ終わらず、それ所か更に激しさを増していた。

247±:2011/05/25(水) 22:07:09 ID:cLQpujoU
 いまだ終わらぬ真夜と五和の1対1に観客達は息をのんでいた。
 その感覚はグラウンド全体を包み込んでおり、【歩く教会】チームのメンバーは五和が、上条チームのメンバーは真夜が勝ってくれると信じて誰一人その間に割ってはいろうとする者はいなかった。

(真夜の奴……1対1じゃなけりゃ抜くぐらいは出来るはず……言ったとおり時間を稼いでいるのかにゃー?)
(浜面。半蔵。井ノ原くんが勝ったら。アレを)
((了解であります、姫神様!!))
(いくら五和が強くてもあの真夜に勝てるとは思わない………つーか、なんか試合あとについさっきの事で美琴に何か言われそうな気がする……)
(流石は五和だな……スゴい根性だ!!)
(五和のやつ………あの化け物相手にここまでやるとは……浜面、覚悟しなぁ)

 各々こんな事を思っている間に2人の1対1は激しさを増していく。
 そして後半40分に差し掛かった時、この均衡が崩れた。

「―――楽しい時間でしたけど、そろそろ終わらせて貰いますよっ!」
「なっ……誰もいない所にバックパス――」
「あいさがいるんだよ!」

 一瞬の隙をついて真夜はキープしたボールを背後に放った。
 そして放った先の誰もいないスペース――もとい姫神がいる場所に放られたボールは走り込んできた浜面と半蔵のペアに渡り、2人は一気に攻めあがる。
 五和を信じていた【歩く教会】チームの面々は五和が抜かれたという一瞬の隙によって走り込んできた2人への反応が遅れてしまった。

「いくぞ、半蔵!俺たちの必殺、曲がるシュートだ!!」
「おう!いくぞ!!」

 2人は同時にシュートを放ち、それは斜め上へと向かって飛んでいった。

(この軌道……明らかに場外ホームランじゃない!確かに曲がるなら入るかも知れないけどそんな能力者はいない筈――)
「――甘い」

 その言葉と共に現れたのは、そのシュートに対してオーバーヘッドシュートをうとうとしている姫神。
 その状況を見て、心理掌握はさっきの言葉の意味を理解した。

「(そうか!曲がるというのは途中でシュートを加えて軌道を変えるという事……)これは、姫神先輩の影の薄さを利用した――」
「………」
(なんか、凄い気にしてるー!!)

 しかし凄まじい勢いで放たれるオーバーヘッドシュートを止めることが出来ず、後半42分再び同点となった。

248±:2011/05/25(水) 22:10:04 ID:cLQpujoU
すみません
最後の行の後半42分の所はカットしてください
……なんか読み返してみたらちょっと時間に矛盾が出てきそうなので

249ё:2011/05/27(金) 21:00:43 ID:Ku98nBuc
 後半40分に同点ゴールを決めた姫神は、この同点劇の演出者でもある真夜とハイタッチを交わす。
 そこへ五和が割って入ってきた、理由は真夜のバックパスの件である。

「どうして貴方、あそこでバックパスをしたんですか? まさか私を1対1で抜けないからとは言わないですよね」
「僕は最初からあなた相手に1対1で勝つ気が無かったんです。時間を稼いでいい感じの時間で同点にしたかったんですよ」
「えっ? だ、だってあんなに楽しそうにしてたじゃないですか? あれも演技とは言わないですよね?」
「楽しかったのは事実です。下手をすれば目的を忘れるほどに。それに僕言いましたよ? 勝つのは僕たちって」

 五和はようやく納得した、目の前の少年は最初から1人で戦ってはいない、チームで戦っていたのだと。
 それならば仕方ないと思った五和は真夜にチームとして勝利することを宣言すると自分のチームの所へと戻って行った。

「井ノ原弟、それに姫神もご苦労さまだぜい。ところでカミやん、何でオーバーラップしなかった?」
「いや……姫神と浜面と半蔵が邪魔したら殺すぞって感じの視線送ってきたからつい、な。けどきちんと同点になったんだからいいだろ?」
「まあな。さて、残り5分、いよいよアクセラ投入ってわけなんだが問題が1つ発生した」
「問題?」

 上条は一方通行投入に何の問題があるのかさっぱりだったが、近くに居た姫神と真夜はすぐに理解した。
 全く理解していない上条に姫神が一方通行投入時に発生する問題を説明する、自分の願望も含め。

「アクセラくんが出るということは。選手の交代を意味する。土御門くんはそのことで悩んでる。私は絶対に交代しないけど」
「そうゆうことだカミやん。オレとお前、浜面と半蔵と姫神、月夜と井ノ原弟と翔太は勝つ為に必要だから交代は無し」
「残るのは青ピ、吹寄、情報屋……ああ、確かに悩むほどの問題だな。

 上条は理解した、一方通行と交代する選手が現れる以上は誰かがベンチに下がるということだ。
 土御門が残すと言った選手は【歩く教会】チーム相手に外せない戦力、吹寄は性格上譲りそうに無い、情報屋は吹寄とのデートが懸かっている。
 残るは青ピなのだがここで外したら後で絶対に拗ねるだろうから簡単にはいかない。

「さて、3人の中で誰を外したらいいもんかにゃー……」

――――――――――

 一方の【歩く教会】チームではインデックスからのとんでもない作戦が提案されていた。

「ほ、本気なのかい? インデックス」
「私はいつだって本気なんだよ。残り5分、これでいかないと勝利は掴めないと言っても過言じゃないね」
「でもメン子さん、削板さん、結標さんを残して後は全員攻めるというのは超大胆過ぎます!」

 インデックスの作戦はシンプルでキーパーの心理掌握、削板、結標の3人に守備を任せ、残る全員で攻めまくるというものだった。
 殆どのメンバーが難色を示す中、心理掌握がキッパリとインデックスの作戦に賛同する。

「私は賛成ですわ。あちらは絶対にアク様を投入してきます。守備は最小限必要な人間を残し、残る全員で攻めて相手の攻撃を潰していく位でないと」
「それが一番でしょうね。一方通行の奴、ベンチで休んで体力も有り余ってるから惜しみなく全力出してくるわね。守備は私と削板、メン子で何とかする」
「結標とメン子の言う通りだぜ! これくらい根性入った作戦じゃねぇとあいつらには勝てねぇ! ゴールは俺達が守ってやる、残るお前達は得点を決めて来い!」

 心理掌握と結標と削板の力強い言葉に悩んでいたメンバーは迷いを吹っ切って残り時間、全力で攻め続けることを決意する。

――――――――――

 その頃、なかなか選手交代を指示しない一方通行がしびれを切らして土御門へ詰め寄って来た。

「土御門ォ! さっさと俺をピッチに立たせろォ! 変える奴決めてねぇンならテメェが代わるかァ!」
「チッ、相変わらず我慢をする事を知らん奴ですたい。……仕方ない、情報屋」
「お、俺が交代! 頼む! 最後まで試合させ」
「話は最後まで聞けっての。お前さんが吹寄を説得っつーか口説いてアクセラと交代してもらうように頼むんだにゃー」

 情報屋は最初は自分が交代しないことに安心したが、土御門から吹寄を口説いて交代させろという無茶振りに大いに慌て始める。

250ё:2011/05/27(金) 21:15:38 ID:Ku98nBuc
±さんの後半42分を後半40分にさせて頂きました。
後半40分に差し掛かったとあったのでこれなら多分矛盾は無いと思います……無いですよね?

251±:2011/05/27(金) 22:11:26 ID:Wfa28teY
ёさん、ありがとうございます
多分、矛盾はないはず……?

――――――――――

「むっ、無理無理無理無理っ!!!」
「無理じゃないにゃー、やれ」
「ファイトやでー、紫木はん」
「そォだ紫木……やりやがれェ」
「俺はお前の事応援してるぞ、紫木!!」
「なんでこんな時に限ってバカルテット勢揃いで応援なんだよ!!つーかそういう交渉ならもっとふさわしいのがいるだろうが!井ノ原とか」

 本人に告白するのはいいのに口説く――もとい交渉するのは嫌がる男、紫木。
 紫木はいきなり背後から何者かに触られ振り向くとそこには笑顔の真夜がいた。

「そういうことは僕は得意じゃありませんから。お任せしますよ、友くん」
「………そういえば紫木くんの下の名前って友だったよね……」
「基本、みんな紫木か情報屋だしな……呼ぶとき」
「もしかして、もしかしたらじゃなくて、俺の下の名前、みんな忘れてたのか!?―――って、俺気がついたら逃げ場なし!?もはややるしかねーのか!?」
「「「「「「だからやれって言ってん(ン)だよ(言っているんですよ)」」」」」」

 上条、土御門、青ピ、一方通行、真夜、翔太ら全員につっこまれ逃げ場をなくす紫木。
 そんな紫木に残された行動はひとつ――上条の昔の口癖を叫ぶ事だった。

「ふっ、不幸だぁーー!!」

――――――――――

 結局、紫木は上条の真似をしてもどうにもなるわけではなく吹寄を口説きに―――もとい交渉しにきたのであった。
 そして当然交代したくない吹寄にこんな事を頼めば、紫木が酷い目にあうのは目に見えていた。

「情報屋………あたしを馬鹿にしてるのか?」
「しっ、してません!断じてっ!!」
「つまり情報屋、あんたはあたしより活躍出来ると?」

 多少なり怒った形相で話しかけている吹寄。
 紫木は吹寄を落ち着かせるために土御門に言われた殺し文句を実行した。

252ё:2011/05/29(日) 10:35:39 ID:CK7StjOI
「……正直言うと出来ないと思う。けど俺頑張るから! 吹寄に認めてもらえるように!」
「情報屋、貴様どうしてそこまであたしに……」
「それは……一緒に遊びに行った時にちゃんと言いたいから後にしてくれると助かる。俺は吹寄に勝利を捧げたい、吹寄の笑顔が見たいから」

 一瞬よぎったのは自分が吹寄に惚れた理由、しかし情報屋はここで言うのはお門違いだと思い口にはしなかった。
 吹寄は情報屋の言葉に心動かされたのか、顔を赤くさせたが本人に見られるわけにもいかないのでそっぽを向いてベンチへと向かう。
 しかしその途中、白雪に赤面してる顔を見られた吹寄はそれをネタに弄られてしまうことに。

「へー、吹寄さんの恥ずかしがってる顔って可愛いねー♪ いつものツンツンしてる顔よりもそっちの方が魅力的だよ」
「なんですと? 吹寄のデレ顔とはなんともレアだにゃー♪ これは是非とグオッ!」
「だっ、黙れ土御門! とっ、とにかく絶対に勝ってよね! あたしがベンチに引っ込んで負けたら全員タダじゃおかないから!」

 ベンチに下がった吹寄を見て上条は思った、ツンデレだなぁと。
 そして交代で入ってきた一方通行が空気を読めない宣言をする。

「よォし、ここで俺が逆転ゴールを決めて優勝……ンだよテメェら、その呆れたツラは」
「あのさアクセラ、ここは情報屋の顔を立てて情報屋にゴールを決めさせるもんだろ。それくらい上条さんにだって分かりますのことよ」
「全くアクセラは打ち止めちゃんの前だとカッコつけたがって困るぜい。前半結構活躍したんだからもう充分だろ?」
「せやでアクセラはん。紫木はんの事情を知ってる身としてはここは華を持たせるのが普通やで。どんだけ幼女に好かれブルゥへ!」

 デルタフォースに言われ、確かにその通りかもと揺らぎ始めた一方通行は悩みだす(青ピを殴ったのは無視して)。
 するとそこへ白雪、真夜、翔太が一方通行を後押しするように言葉をかける。

「得点は友くんに譲るとしてもそのアシストを一方通行くんがすればいいんですよ。それでも充分に活躍したことになりますから」
「井ノ原くんの言う通りだよ。ゴールを決めるだけがサッカーじゃないし、逆転劇の演出の方がカッコいいと僕は思うけど」
「それに普段はしない誰かの援護をするアクセラくんを見たら打ち止めちゃんだけでなく観客みんなもいい印象持ってくれるよ、きっと」

 3人の後押しで情報屋の逆転ゴールのアシストをする決意をした一方通行、彼の頭の中は打ち止めの笑顔6割と情報屋の恋の成就&チームの優勝が4割だったりする。
 一方通行たちの輪に入っていない姫神と浜面&半蔵も、

「紫木くんの為じゃない。吹寄さんの為に。私達も紫木くんをフォロー。2人とも。協力をお願い」
「「了解です姫神さま!!」」

 チームの勝利の為に頑張る事を改めて誓う、ただしモチベーションは情報屋ではなく吹寄だが。
 そして試合再開、【歩く教会】チームは絹旗がボールを持って先手のパターンでもある【窒素装甲】のパンチによるシュートを撃とうとするが、

「何度も同じパターンが出来ると思ってンじゃねェぞォ!」

 MFに入った一方通行が脚力のベクトル変換であっという間に絹旗との間合いを詰め、ボールに蹴りを叩き込む(翔太がDFに下がって)。
 しかし即座に絹旗も対応、本来得意としている防御の体勢に入って一方通行のシュートを吹っ飛ばされながらもボールを真上に飛ばした。

「……いたた。ったくアクセラの奴、超手加減無しですね。ステイル、ボールを超頼みます!」
「任せろ! 悪いが土御門、高さ勝負なら君に負ける気は全くしないよ」
「ちいっ!(DFのステイルが攻撃参加だと? ゴール前には結標、削板、心理掌握だけか。成程、攻撃特化で行くつもりか。面白ぇ!)」

 DFのステイルが攻め上がってきたのを受けて土御門はすぐさま【歩く教会】チームが攻撃集中の構えを取ったことを理解、楽しいと思いつつ受けて立つことを決意する。
 土御門と競り勝ったステイルがヘディングでエツァリ、エツァリからショチトル、ショチトルから五和へとダイレクトパスで素早く繋ぐ。

253ё:2011/05/29(日) 10:54:43 ID:CK7StjOI
 右サイドから猛然と切り込んでくる五和の前に真夜が立ちはだかる。
 先程の1対1の攻防がまた見られると思った観客は期待するが、

「すみません。今は自分のことよりもチームの勝利を優先します!」

 五和はPAへと走り込んでいた麦野と御坂妹を視界に収めてセンタリングを上げる。
 一見すると五和が勝負を投げたと思われるプレーだが、チームの勝利の為に無茶を控えたことに真夜は気付いていた。
 そのセンタリングに麦野が反応、ジャンプしてヘディングシュートを撃とうとするが、

「そない簡単にボク相手に制空権取れる思うたらアカンでお姉さん♪」

 長身の青ピ、しかも災誤によって鍛えられた体を前に競り負けてボールをヘディングでクリアされてしまう。
 しかしそこに守備完全無視で攻めに専念していたインデックスが詰めてボールをキープしてドリブルで情報屋をかわす。
 インデックスは御坂妹にパスを送ろうとしたが翔太がマークに付いていたので自分でゴールへと攻め上がり、この試合で初めて上条との一騎打ちをすることに。

――――――――――

 ようやく球技大会編のゴールが見えてきました、ここまで長くして本当にすみません……。
 吹寄と情報屋のデート編が早く書きたいなと思っていたりします。
 でもその前に初春がイギリス留学したことを知った神裂&建宮の扱いとか、学園都市入りしてる2人(オルソラとアンジェレネじゃない方)のことも少し書きたい……。

254Ψ:2011/05/29(日) 17:38:52 ID:/Xvrp.0w
たまに姿を現すψですw
ёさん、それは全部一緒にしてGWにやれば良いと思いますよ。
後球技大会になったら俺も少しは参加すると思います。球技大会は本当に何も内容が思いつかなったもので^^;
まぁ、時間が取れればの話なんですけどねww

255±:2011/05/29(日) 21:31:43 ID:x39T3aL2
僕もψさんの意見に賛成です
………でも、神裂と建宮は絶対いろんな意味でダメダメになってそうだな……

――――――――――

「覚悟するんだよ、とうま!右に蹴るんだよ!」
「あいにくとそこまで馬鹿じゃないぞ、俺は!」
 言った方向と逆の方向に蹴るという馬鹿しか引っかからない典型的な騙しを使ってきたインデックス。
 流石の上条もそんな簡単なのには引っかからず、なんなく左に蹴ってきたボールをキャッチした。

「よしっ、このまま逆転だ!土御門!!」
「了解だにゃー、いくぜい!」

 上条からのパスを華麗にトラッピングする土御門。
 そして土御門はそのまま持って上がろうとした時、その前に2つの人影が飛び出してきた。

「そんな事、超させませんよ!」
「ここは通しません!とミサカは身体をはってボールを奪いにはいります」

 ボールを奪うために土御門へと駆け寄った絹旗と御坂妹。
 流石の速攻に土御門もなすすべない――のように思われた。

「お勤めご苦労様だにゃー」
「「えっ?」」

 ニヤリと少し笑ってからバックパスを出す土御門。
 いきなりの行動に絹旗と御坂妹は反応出来なかった。
 そしてその出したパスに反応して駆け上がる影が1つ。

「行くぞ、情報屋!!」
「って、おい!いいのかよ、上条!ゴールほっぽりだして!」
「ここで決めれば何の問題もない!それにもしもの時は真夜に任せたから大丈夫だ!!」

 土御門からのバックパスを広い、情報屋を引き連れて駆け上がる上条。
 行かせまい、と追いかけようとする者達もいたが……

「悪いが、ここから先は一方通行だ!」
「悪いけど、紫木くんの恋路の邪魔はさせないよ!それっ!!」
「浜面。半蔵。やっておしまい」
「「了解しますた!姫神様!!」」
「僕もいるでー!」
「さあ、死にたいやつからかかってくるにゃー!」
「元春、それ死亡フラグ………まあ、何はともあれここは通さないよ!」
「ゴールは僕に任せて皆さんは当麻くんと友くんの援護を」

 上条チームの残り全員が守備に回り、【歩く教会】チームの動きを封じはじめた。
 そのために上条と情報屋のコンビは2人で削板と結標を抜き去らなければならなかった。
 残り時間はロスタイムも含めてあと僅か、ココで決めた方が勝つ事となる。

256ψ:2011/05/29(日) 21:46:21 ID:/Xvrp.0w
今更ながら>>254誤字してたorz
「球技大会になったら」じゃなくて「球技大会が終わったら」じゃん。
とりま、球技大会が終わったら多分参加しますので。
無駄にレスしてしまってすみません。

257ψ:2011/05/29(日) 21:47:38 ID:/Xvrp.0w
あ、後どうでも良いけど大文字のΨから小文字のψに変えますね。特に意味は無いのですけどww

258:2011/05/29(日) 22:39:01 ID:CCG5eQsY
±さん、ёさん、急に専門用語がいっぱいでてきましたが
勉強してきたんですか?
私もスポーツものは得意でなかったのでついさっきようやく追いついたと
いったところでした。
苑内達の様子ももう1回ぐらい書きたかったんですが、もう、決着付いてからで
いいや。

259ё:2011/05/31(火) 07:34:31 ID:LQPu0.MY
「さぁ来い上条! お前の根性と俺の根性、どっちが上か白黒ハッキリつけようぜ!」
(まさか削板の奴、ここですごいパーンチってのをやるつもりか? いや、いくら何でもそれは無い。とすると……)
「行くぜ、すごいスライディーング」

 削板のすごいスライディーング、要は音速の2倍の速度で繰り出されたスライディングである。
 しかし体は地面を滑っておらず超低空で飛んでいるのでスライディングというより飛び蹴りと呼ぶ方が正しいのかもしれない。
 普通に考えれば避けられないのだが上条は普通のカテゴリーに収まる人間ではない、強敵との戦闘をくぐり抜けてきた猛者なのだ。

「なにっ! かわしただと!」
「悪いな削板。今はお前と真っ正面から勝負するつもりはねぇんだ。何せ人の恋路がかかってるんだからな!」
(他人の恋の為か、ホントに根性入ったすげぇ奴だな)

 削板のすごいスライディーングをジャンプでかわした上条、着地して心理掌握の守るゴールへと切り込んでいく。
 ところがそこへ【歩く教会】チーム最後の砦が上条の進撃を阻む。

「削板を抜いたからって気を抜き過ぎよ!」
「うわっ! む、結標っ!」

 【座標移動】で上条の前に現れた結標の鋭いスライディングで上条はボールを取りこぼしてしまう。
 宙に舞ったボールにいち早く反応したのは白雪で、雪の翼の力強い跳躍ですぐさまボールに詰め寄ると雪の翼でボールを撃ち出す。
 コースは【歩く教会】チームのゴール右上隅、しかし心理掌握もきっちり反応していた。

(コースは厳しいですがキャッチは出来ますわ。そして近くまで下がっている削板さんへパス。すごいパーンチで逆転で試合終了、いけますわ!)
「ナイスセンタリングだァ白雪ィ! 行ってこいよ紫木くんよォ!」
「のわああああああああああああっ! へぶしっ!!」
「(アク様がチームメイトの誰かを撃ち出した!)し、しまったっ!」

 そこにいつの間にか情報屋の後ろに回っていた一方通行が情報屋を風のベクトルを操作して射出した。
 暴風で飛ばされるという人生の中でもワースト3に入る恐怖体験をしている情報屋の顔面に白雪の撃ち出したボールが上手い具合にヒット。
 そしてボールは心理掌握とは逆方向に飛んでゴールネットを揺らしていた、上条チームの逆転である。

260:2011/05/31(火) 22:51:03 ID:dQWh5qN2
観客席(ロイヤル一家+浦上)

「ウワーーーー!!!スゴイスゴイスゴーーーイ勝っちゃったーーーー!!!
 やっぱり一方通行様ってスゴーイ、カッコイー!!!」
 セレナードは興奮しっきりでキラキラと満面の笑みをたたえて喜び、浦上は両親と共に、その様を微笑ましく見ていた。
しかしやがて
「さてっと。じゃぁそろそろ帰ろぉっと。」
と言って席を立ったのには驚いた。
「えっ。もう帰っちゃうんですか?これから式典とかがまだあるのに。」
 と、尋ねると、セレナは困ったように首を傾げて言った。
「うん。本当言うとこれからも楽しみたいんだけどぉ。でもねぇ、足を直しに行かなくちゃぁ。」
「え?だったら丁度いいですよ。今ここには学園都市1の名医が…」
 しかしその言葉を父が、何故かどことなく有無を言わせない様子で遮った。
「すみません浦上さん。ナターシャの足は専属医でないと直せないんですよ。」
「あ。でも、松葉杖が……」
「いいですよぉ。向こうに連れて行ってもらったら別にありますしぃ。
 ママァ、たしか真羅(しんら)さんは……」
「今は助手さんと一緒にここに来ているから先に行ってなさいって。」
「わかりましたぁ。じゃぁねぇ浦上さぁ…」
「ま、待ってください!!せめてちゃんと杖を受け取って……」
「ううーん、私もこれから先も見たんだけどぉ、ほら、この後いろいろあって落ち着いて
冷めちゃってから帰るよりわぁ、少しでも興奮とかときめきとか残したままにしたいでしょぉ?
ほらぁ、もう私じゅうぶん満足しましたしぃ。」
 まあ確かに1理ある。恐らく病院に行って入院するんだったら、ある程度試合のことを思い出して
余韻に浸りながらの方がいいだろう。しかし、あくまで麦野によるもので
天草式(自分達)は関係ないとはいえ、このまま帰してしまうのは飾利から世話を任された身としてはいささか気分が悪い。そこで、
「わかりました。じゃぁ、後で必ずあなたの下に素敵な松葉杖を送りますから。
 ロイヤル・N(ナターシャ)・セレナードさん、ですね?」
「うん、浦上お姉さん、初春飾利さんにもよろしくね。また会いたいって。」
「伝えておきましょう。」
 こうして、セレナは早々と両親にかかえられながらスタジアムを去って行った。
 浦上は知る由も無かった。彼女がこの後半、新しく投入されたある選手に注目していたことなど。
「あれが、真羅さんの息子、井ノ原真夜……『会うのは』初めてですねぇ。」

261:2011/05/31(火) 22:54:32 ID:dQWh5qN2
観客席(スキルアウト+剣道部員)

 自分達が応援しているチームが勝ったスキルアウトは、風船をヒューヒューと
上げるやらクラッカーや爆竹をバンバン鳴らすやら、挙句の果てにはビールや酒類をありったけ開けまくるやらで、周囲と比べて格段に騒がしくて浮いていた。
「ヒャッハ―!!やったぜ浜面さん半蔵さん。」
「てゆーかあの曲がるシュートってなんなの、未だ分かんないんだけど私。」
「細けえことはいいんだよ俺も何で曲がったのかわかんねぇし。」
「おい、打ち上げ会の予約とってあるんだろうな。例のディスコだぞ。」
「当ったり前だぜ!!今夜は呑みまくって浴びまくるぜ!!」
「ヒャッハ―」
「ヒ―ハー」
(客席でこうっていうんなら夜はどんだけはしゃぐのよこいつらは!)
「麗奈様ぁ。勝っちゃいましたね麗奈様の予想通り。」
「えっ。ええ、そうね。ほら、私の言った通りでしょう?」
「あーあ、こっちもいい試合していたと思ったんだけどなあ。」
(良かったー、これで京都に行ける蛍を見れる♪)
(ま、いっか。お泊まりなんて、夏の間いくらでも理由をつけてできそうだし)
 各々がまあそれぞれ胸中で結果について納得していると、スキルアウト達が一斉に新坂に詰め寄った。
「新坂―!約束通り連れてってもらうぜ京都―!」
「分かりましたー。そっちの浜面さんと半蔵さんも頑張ってたみたいだし、慰安旅行だと思えばいいですよ。
 ほら、ここでよかったんですよね麗奈様?」
 そう言って持っていたケータイで蛍観光ガイドのページを確認して、スキルアウト達と打ち合わせをし始めた新坂。
 そんな彼を横目で見て、麗奈はぼそりと呟いた。
「あなたの費用持ちそれ?」
「まあ、負けちゃいましたからね。だからちょっと行ける人数には限りがありますけど…ここに集まっている人々は……うん、全員行けますね。浜面さんと半蔵さんも含めて。」
「ねえねえ、どうせならあの2人の彼女達も連れてったら?出来る?」と、スキルアウトの女子1人が、郭と滝壺のことを思い出して尋ねたところ
「えっ?ええっと…あと、1人ぐらいなら……」
「そう……ま、考えとくわ。」
 滝壺の方は暗部の報酬があるので1人でもまかなえることをまだ知らない不良少年達。
 そんな中、植森少年は彼女達が試合中ときどきしていた会話の中で気になっていたことを訊いた。
「あ。それからさお前ら。なんか絹旗について心配ごととかある風だったよな。」
「ええ、あの人がいると、球技大会のパワーバランスが……」
「おまえらで十分賄えると思うけどな。なあ?」
「「「「うん。」」」」
 音頭を取っていた植森の問いに、他のスキルアウトは全員一斉にうなずいた。
「そうかしら?」
「どうでしょう?」
「いやだって麗奈、お前石やコンクリートぶった切ったって聞いたけど?」
「あれはあくまで木刀持っていたから……」
「「「「それで切れるお前が凄いよ」」」」
「それから新坂、お前なんかも」
「うーん…どうでしょうかぁ…」
 新坂は腕を組んで真剣に悩んでいる風だったが、彼の細身のどこにこんな力が……
かつては駒場利徳とスピード、体力でほぼ互角に渡っていた様をよく見ていたスキルアウト達に言わせると、
彼のことが絹旗より……ある程度能力で強化された彼らから見たらよくある種の手合いより遥かに脅威といえた。
 むしろ闘い慣れた彼らから見たら、下手したらまだ絹旗よりこいつらの方が実力が上なのではと真剣に考えてしまう位だ。
しかもこれで2人ともまだ修行中ということで腕を上げてきているというのだから恐ろしい。
「ま、後で直接絹旗と話し会った方が早いわね。」
「まあそうでしょうね。あーあ。以外と痛い出費ですよ。
 もし京都で面白いことが起こりそうとなったら、お父さんがいくらでもお金出してくれるんだけどなあ。」
「ああ、ありそうねあの男だったら。今ここに来ているの?」
「ええ、こんな面白いイベント逃すはずないでしょう?何より自分でセッティングしたんですから。」

262:2011/05/31(火) 22:55:49 ID:dQWh5qN2
 はしゃぐ選手達から離れた所では、審判としての仕事を終えてきた災誤を含めた教師陣が、
落ち着かない様子でそわそわしながら観客席のある方向を見ていた。
 やがて子萌先生の携帯が鳴り、彼女が緊張した声で応じ続け、やがてパタン、と、ケータイを閉じると、プルプルと震えていた。
「子萌先生…ダメでしたか?」
 災誤が心配そうに声をかけると、


「ヤッタ―!!!やりましたよー!!!」 


 子萌先生がバンザーイ,と伸びをしてニコニコと他の先生に報告し、その結果にワ―っと教師陣から歓声が上がった。
「ごっ合格ですか!?」
 思わず親船素甘が訊き返すと、子萌先生ははいーと応じた。
「今後こういう『面白そうな』ことやらかしてくれるんあら、わが校への出費は惜しまないそうです。」
「そ、それじゃあ修学旅行や能力強化合宿なんかは…」
「期待できそうですねー」
「私達(教師)のボーナスは!」
「もっちろんですよー」
「ヨッシャ―!!!」
「いやあ、子萌先生のクラス様様ですよ。」
「ほんとですねえ、よりによって統括理事会のあんな人の目に止まるとは。」
 教師達が見上げた観客席の最上段、そこではこの学校の校長がぺこぺこと側の男に頭を下げていた。
 黒のタキシードを着た、キザな風ではあるものの非情に優雅さを漂わせた青年といった面持ちの男は、どこか悪魔か吸血鬼を思わせた。
「あの方が以後私達のマネージャーになる学園都市統括理事会の1人、新坂道男(あらさかみちお)さんですよー。」
 子萌先生が指差した男を見て、黄泉川はケッと吐き捨てた。
「なーんかキッザな感じするじゃん。実際は馬鹿なことばっかりやりまくってるくせに。」
「よっ黄泉川先生、マネージャーさんにそんなこと言うもんじゃありませんよー、第一おバカちゃんが好きじゃなかったんですか―?」
「ブルジョワ階級の成金遊びはまた別じゃん。」
「そうですかねー、先生はああいう楽しい人は好きですよ―、子供みたいじゃありませんかー。あれ、親船先生?」
 親船素甘は、ホームページで見た彼の昔の写真と指差された男をきょろきょろと見比べながら呟いた。
「あの人……中学の息子がいるんですよね……それであの若さ……しかもしかも、どう見てもこの昔の写真より若返っている……
どんな健康法使っているのよ一体……」
「ええっと……やっぱり活気があふれるというか…子供の心を持っていると若返るんじゃないんでしょうかねえ。」

263:2011/05/31(火) 22:58:33 ID:dQWh5qN2
 子萌先生がそう言うのも無理はない。
 親船最中が外交、潮岸が軍事とするなら、
新坂道男の役割は情報と呼べた。
 主な仕事は学園都市に入ってくる外からの情報や、
逆に学園都市が外へ流す情報の取捨選択、操作といったものだった。
 その腕は優秀で、ロシアとの戦争時に学園都市内部に波風を立てず、
逆に外に対する情報開示により混乱を起こし、学園都市の交渉やアピール、世論操作に大きく貢献した事実がそれを物語っているのだが、彼が学園都市の人々に知られている所以は、
むしろ趣味が人をからかうことといっていいくらい、無駄に金をかけた様々な悪戯をしでかしてくる担ぎ屋ぶりで、周囲からは「大金を持った馬鹿」と見られている。
 かつては仕事人間だったのだが、礼男を生んだ奥さんに逃げられて以来、(そのため現在は父子家庭)精神年齢と
見た目の年齢が大きく若返ったらしく、事実親船教師が見ているかつての彼は、初めて見た人から見るとどうしても目の前の若々しい男が十年以上の時を経て貫禄を得て口髭を生やしている風にしか見えなかった。
(親船最中と対立したとき、名前と見た目を彼女そっくりに仕立てた部下に、本物の彼女とは正反対の主張の講演をさせて親船最中の講演のつもりで来た観客達を困惑させただの、
学園都市の成立日の祝日に、馬車を使ったパレードを行い、外国の王族がやってきたというデマを流して民衆を熱狂を起こして、実際は彼自身が乗って学園都市中を回っていただけだっただの、エイプリールフールに「学園都市がタイムマシンを発明した」という嘘ニュースを流して、昔の身なりをさせた人物と、人体消失の手品を使った大規模なセットや演出で本気で信じた人もいたりして、未だ学園都市ではエイプリールフールを「ロード・デイ」と呼ぶ人もいるだの、よくやるじゃん。こんな人だから、このイベントも見逃すはずなかったじゃん。)
 そう、他でもないこの男が、当初常磐台で行われる予定だった今回の球技大会の決勝戦の変更を提案し、その為にわざわざ管轄外の学園都市のスポーツドームを貸し切り、メディアの専門として面目躍起といった広報を行って、今回の1大イベントに仕立てたのだった。
 普通なら非常に有難いはずの存在の男に対し、黄泉川愛穂だけは親船とは違う意味で、即ち非情に胡散臭そうな目で彼を睨めつけていた。
(子萌先生はああ言っていたけれど……色々と悪い噂も絶えない男じゃん。拷問ショーなんかもよく見物して、自身も様々な責め苦を考え付いたりするような、興味の方向が危ないところにも向いていることもあるとか、無類のゲーム・ギャンブル好きで、その黒づくめで歳不相応の若々しい上品ないでたちと、多くの者達を負かしてその金・場合によっては命さえも奪う圧倒的かつ容赦ない勝ち方から「吸血鬼」の異名を取っているとか、勝負に関する取り決めはそれが『どんなものでも』容赦なく執行するとか……よくよく用心しといた方がいいじゃん。)

264:2011/05/31(火) 23:01:27 ID:dQWh5qN2
最後の投稿、改行あんまりしなかったせいで、無茶苦茶になっちゃった……
キャラのあまりの増加が叫ばれましたので、新坂道男については本編では
「友愛高校のスポンサー」という存在だけで登場させ、セリフなんかは
つけない予定です。
ただ、すごいキャラではあるので外伝で活躍させたいです。
あと、井ノ原真羅については、朝陽さんが出たんだから、研究者の父が出ても
いいかなって……

265:2011/05/31(火) 23:11:34 ID:dQWh5qN2
>>261の最後に付け加えるセリフ(新坂の)
「後で自分の仕事が何倍にも増えるっていうのに…自分の父ながらよくやるよ。」

266:2011/05/31(火) 23:14:19 ID:dQWh5qN2
あと、どなたか、井ノ原姉弟の外見的特徴が書かれている所を
知りませんか?2人は似ているようですが…
父親を書くとき、子供に似ている風にしたいので。

267§:2011/05/31(火) 23:45:45 ID:IQ7.xTGQ
ひさびさにやって来ました。とりあえず本編(ピッチ内)を投下です。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


「き、」
「「「「「「「「「「決まった(ァ)ーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」
「やりやがったな情報屋!」
「あの野郎なんて根性入ったヘディング(?)なんだ!!」
「お前らまだ気抜くんじゃないぜよ?まだ試合は終わってないんだからにゃー」
「あれ?友くんは…?」

テンションが最高潮に達するスタジアム。
そんな中このゴールの主役である紫木は…

「ぐふぅ、あ、アクセラぁ…。感謝してはいるが別な方法は無かったのかよぉ」
「ンだァ!?せっかくゴール譲ってやったンだろォが!?文句でもあるンですかァ!!?」
「いや、だからもっと優しくできなかったのかって…」
不機嫌になった一方通行におどおどしながらも自らの意見を述べる紫木。
しかし

「一方通行!!貴方のアシストいぶし銀で痺れちゃった!ってミサカはミサカは賞賛を送ってみたり!!」
という打ち止めからの声で機嫌をなおし
「打ち止めァ!次はオレがゴール決めて差を広げてやるぜェ!!」
と言い残し自分のポジションへと帰っていく。

その頃逆転を許した【歩く協会】チームは…
「すいません。あそこで私がもっとアク様の動きに気を配っていれば…」
「過ぎたことは仕方ないんだよ。それに相手の攻撃力を甘くみて選手をあげるようにいったの私にも責任はあるかも…。それよりもいま話し合わなくちゃいけないのはいかにしてこの短時間でゴールを決めるかなんだよ!」
「確かに。残り時間はあと僅かだね…。」
「でしたら…とミサカは最後の賭けとなる戦略を提示します。 ごにょごにょ」

「!!いや、でもそれは…!」
「でもここまで来たら超覚悟決めましょう!!」
「そうね、それしかないわ!」
「こんなに根性入った作戦は初めてだ!!」
「腹をくくるしかないね。」
「なんとしてでもとうま達にかつんだよ!!」

【歩く協会】チームは御坂妹の提案した最後の賭けにのった。

その『最後の賭け』の正体は

「「「「「「「「「「「決着はPK合戦で(超)お願い(するんだよ)(するよ)(します)!(とミサカは頭を下げます)」」」」」」」」」」」

「は、」
「「「「「「「「「「「は(ァァァァァァァァァァァァァ)ああああああああああああああああ!!!!???」」」」」」」」」」」

268:2011/06/01(水) 00:11:21 ID:fhXpXStQ
あれー、終わりじゃなかったの―?

269ё:2011/06/01(水) 08:47:57 ID:MY2pJmJE
私が書いた>>259ではあくまで情報屋が逆転ゴールを決めただけであって試合終了とは書いてませんからねぇ。
☆さんの投下分は試合が終了してから繋げても大丈夫かと思いますよ。

それといきなり井ノ原ツインズの父親の名前が出て驚いてますが専属医ってことは医者なんでしょうけど職業違います…。
第11章の『終わりなきバカップル』でミニ情報として父親は科学者と書かれてます。
セレナの足が科学者でないとどうにか出来ないのであれば納得は出来るんですけど。

270:2011/06/01(水) 18:00:48 ID:MDrIPVIQ
そのとおり、医者ではなくて科学者です。
「専属医」というのは、あくまでセレナの父がそう言っていただけです。
>>168は完全にいらんかったなと痛感。

271:2011/06/01(水) 20:58:50 ID:WSSF4aiw
あと、当初の設定では月夜と仲良くなるはずが
浦上と懇意になったのには驚き。
こういう意外な展開が、リレー小説のいいところです。

272ё:2011/06/01(水) 21:01:30 ID:MY2pJmJE
§さんの続きから投下します。
試合終了後、☆さん投下分の>>260〜>>263に繋げる形で。

――――――――――

 【歩く教会】チームの最後の賭け、その内容に上条チームは怒りを通り越して呆れていた。
 何とか気を取り直した土御門が冷静に【歩く教会】チームキャプテンのインデックスに尋ねる。

「なぁ禁書目録。要するにお前さん達は今までの試合は無かったことにしてPK合戦で本当の決着をつけよう、そう言いたいのか?」
「うん。さすがはもとはる、察しが良くて」
「ふっざけんじゃねーーにゃーーっ! 今までの努力や汗を無駄にするような提案なんぞ呑めるわけねーーだろーーっ!」
「ふふんっ、超分かりました。土御門は私達とPK合戦で勝つ自信が超無いから拒否するんですね。まったくとんだ超チキン野郎です」

 【歩く教会】チームの不条理極まりない提案&絹旗の暴言に土御門もさすがに我慢の限界に来ていた。
 そこに真夜が割り込んで【歩く教会】チームを正当かつ容赦の無い追い込みを仕掛ける。

「すみませんがあなた達のそのプライドの無い提案、受け入れることは出来ません。試合終了後ならまだしも試合中ですよ」
「そ、それはそうだけど……」
「それに泣きの1回のようなPK合戦、今まで僕たちを応援してくれた観客の皆さんに申し訳ないと思います。それに潔くありません」

 真夜の物言いに【歩く教会】チーム全員が何も言えなかった、麦野や絹旗でさえも。
 そして止めとして真夜がPK合戦を反対する理由が語られるのだが、それは意外にも【歩く教会】チームの不利を示すものだった。

「PK合戦になったら僕達は当麻くんじゃなくて一方通行くんをキーパーにします。風のベクトルを操作すればどんな相手だって止められますから」
「……確かにそうよね。私は【座標移動】でのボール移動は禁止されてるから直接ゴールは決められないし……。誰も決められないんじゃないかしら?」
「流石は淡希さん、理解が早くて助かります。そちらもその白い学生服の人の奇妙なパンチがありますけど一方通行くんのシュートは止められないですし」
「そんなもん俺のこ」
「時間もギリギリあるようですから諦めるのは早いと思いますよ。さ、試合を再開させましょう。試合終了後、同点だった場合はあなた達の提案を受け入れることも考えますので」

 削板の発言を遮った真夜を見て削板以外の【歩く教会】チームは思う、間違いなく削板に怒っていると。
 真夜の言葉、そして早めに表示されたロスタイムが2分なのを見てインデックスは素直に引き下がり、奇跡的な逆転勝利を掴むことを決意する。

「いやー助かったぜよ井ノ原弟。あそこでお前さんが割り込んでくれなかったらオレらしくなく挑発に乗ってた所だぜい」
「いえ、正直ギリギリでした。一方通行くんの能力使用時間を相手の方々に悟られていたら危うかったです。さ、今は勝つことだけを考えましょう」
「よし! 情報屋の逆転ゴールでようやくここまできたんだ、絶対に勝つぞぉ!!」
「「「「「「「「「「おおっ!!!」」」」」」」」」」
「勝負は最後まで分からない。みんな、ここは出せる力の全てをもって逆転して優勝を勝ち取るんだよ!!」
「「「「「「「「「「オーーーーーーーーッ!!」」」」」」」」」」

 両チームの最後の円陣の後、後半44分から【歩く教会】チームのボールで試合再開。
 そこからの3分間、余計な言葉は一切聞かれず、互いのチームは全力でぶつかり合った。
 お互いに一歩も譲らない試合展開に観客席に居る応援団も一生懸命彼らを応援し、選手もそれに応えるように更に頑張りを見せる。
 そして主審の災誤の試合終了のホイッスルが吹かれた、6対5で上条チームの勝利と共に上条のクラスの全種目優勝が決まったのだった。

273:2011/06/01(水) 21:43:18 ID:WSSF4aiw
もう順序がおかしくなっちゃいますけれど、
先に井ノ原真羅さんを出しちゃいましょう。
>>262
非情に→非常に

274:2011/06/01(水) 21:43:52 ID:WSSF4aiw
白衣の怪物

第十学区のとある研究所に停まった高級車の後部座席から、父親に背負われたセレナが出てきた。
 その顔は先ほどまでの試合にときめいたものと大きく違い、自分を背負う父親に、ニヤニヤ笑いながら話しかけた。
「まあ安心しなって親父。こんくらいの怪我だったら、レイシェルの奴にも直せるくらいの軽―いものさ。」
「ミランダか。」
「セレナの方は興奮しっきりのままおねんね状態さ。今頃麦野にやられた分、いとしの一方通行様の勇姿を思い描いてにやにやしているさ。あたいにゃ見えんがね。ケケケ!」
「お前にも試合、見えたか?」
「ああ、あの男(新坂道男)が目をかけるのもわからぁ。
 とーんでもねースペクタクルだったよまったく。あんたにとってもそうだったろ?」
「まあな。」
 軽口をたたき合いながら研究所の歩き慣れた長い廊下を歩き続ける親子。
 ふと2人は、別の方向からやって来た、元気がなさそうな男とすれ違った。
「止まって。あれー早乙女、確かあんた今日ここを出て行くんだってね。」
「あっああ。」
「確かあんたが担当していたところがとんでもない失態巻き起こしちゃって教授が、まあ多分上層部によるものだが、消されちゃったんだってねえ。」
「……」
「良かったなあ殺される価値ない下っ端研究員で。」
「………」
 歳歯も行かない少女に次々と図星を指摘されて、下を向いて押し黙るしかない研究員。
 少女はそんな彼をふん、と鼻で笑った。
「2度とここに来んな。私ら『実験生物(モルモット)』に言わせたら、あんたのような奴が1番むかつくんだよ。
 とっととそのぬるま湯気質が似合う所に行っちまいな。
 どうせあんたは、こっから先一生チャンスなく、しがない研究員で終わるんだからさ。」
「……ありがとう。」
 ペコリと頭を下げ、ややスッキリしたようにすれ違って行った。
 再び歩き出しながら、しばらく黙り、やがて父親は口だけを動かして呟いた。
(まあ、これもあいつなりの優しさなんだろな。)
「ま、ああいう奴が似合った所に落ち着くのを見るのが1番ホッとするかな。はて……そういえば一方通行の奴の保護者になっている芳川とかいう研究者も、丁度そのタイプだったな。」
 ミランダがそう一人ごちたとき、ふと、あの試合、いや、正確にはその前と間にセレナを介して関わった2人の超能力者が思い出された。
(まあ、確かに戦えって言われたら恐いんだろうけどさあ)
 しかしミランダやセレナに言わせると、これからここに来る男は……自分達が
これから入る部屋の主は、
『最強』だの『第1位』だのといった称号に悦に入っているガキや、
気に入らない奴を力で潰しまくることしか頭にないようなアバズレ女なんかより遥かに恐ろしかった。

275:2011/06/01(水) 21:44:42 ID:WSSF4aiw
2時間後

「いやあ待たせたね。」
 そう言って頭を掻きながら、白衣を来てメガネを掛けた男が金髪の少年と共に親娘がいる研究室に入って来た。(父は外のベンチに腰掛けている)
 その顔立ちは、中年ではあったものの、やはりピッチで活躍していた少年に所々似ていた。
「奇偶だねえ、よりによって試合前に一方通行と関わるなんて。
 レイシェル。まず君が見てやって。」
「はーい。」                                 ・・
 眼鏡の男に呼び掛けられた、黒い眼をした金髪の少年は、彼女の足元に膝まづくとカチ
・・・・
ャカチャといった音がし続け、やがてその脚部から顔を上げずに男に行った。
「軽い欠損を起こしていますが、まあ、取り換えやメンテですぐ直るでしょう。」
「そう、じゃあ任せた。ついでに他の四肢全てについても点検、メンテしてやって。」
「わかりました。」
「私はこっちの方やっとくよ。正直な話、今、重要なところに来ているから。」
 こうして白衣の男、井ノ原真羅は別の作業に、レイシェルと呼ばれた少年の方はセレナの脚に向き合った。
 真羅は作業の最中、鼻歌を歌いながらセレナに言った。
「どうセレナード。息子の活躍すごかった?」
ヴォン。
「悪いがあたいは今、ミランダでね。」
「あれ、じゃぁ君でもいいや、息子どうだった?」
ウイーン、ウイーン、ウイーン、
「どうしてあんたみたいな学者肌からあんなポテンシャルが生まれたんだ?」
「母譲りなんだよ姉弟そろって。
 あーあ、こっち譲りの奴もほしかったんだがなあ、レイシェルがいるとはいえ。」
ピーガガガ、ピ、ピ、ピ、ピ・・・・
「……さすがに近親姦やハーレム体質は誰からも受け継いでないよな。」
「こっちもびっくりだったよそこらへんは!まあ今考えるとそれによって、あいつの心身の著しい成長スピードの原動力になったんだからよかったといえばよかったんだけれどさ。」
そう言いつつも、とある父親はその後も心から嬉しそうに、楽しそうに、はにかみながら、息子自慢をし続けた。

目の前の、声帯や全身の骨を潰されて、もはやその感情を唯一表しうる表情すらをも機械で覆われた子供を、全身に取りつけた機器で更に犯しながら。

「………」
経歴上、ロイヤル家の娘達は多くの種類の研究者を見続けてきた。

 例えば。
今すれ違った栗野宮や芳川桔梗のような、善人にも悪人にもなりきれない生ぬるい研究者。
例えば。
木原数多のように、研究対象どころかあらゆる他者に悪意をふりまく地獄の炎のような研究者。
例えば。
生半可な良心や同情といったものを向けるようなことをせず、努めて能面のような表情で、或いは最初っからそんな苦悩すらなく、たんたんと実験をこなしていく氷のような研究者。

だが、この目の前の男は、敢えてそういった飲み物に例えるとするならば、
甘い飲み物と苦い飲み物とすっぱい飲み物やら、他にも色々な奴をまぜこぜにした結果、温度といった以前に、その舌触りや味を堪能してしまう前に一刻も早く呑み下してしまいたいような、そんな男だった。
 ミランダやファイネスに言わせると、神様なんてのはいないか、到底信じる価値なんかありゃしない奴だ。この期に及んで両親と共に十字教、正確にはローマ正教のカトリックの神なんてのを信じているセレナの精神がよく理解できない。
 それでも、井ノ原真羅という研究者を。
 実験動物に対するこの上ない残忍さと、妻に頭が上がらない家族思いでお人良しの両方の面を同時に見せ続ける男を見ると、つくづく思う。
(もしこいつが死んで天国の門とやらに来たら、神様…正確にゃあ、天国の門を守っているペトロとかいう奴が日本の閻魔さんの役割を担っているそうだが…そいつはこいつをどう裁くんだ?あたいらや、いわゆるジキル博士とハイド氏みたいなのだったら、精神か人格を分離させて別々の体にしちまえばいいんだが……)

276:2011/06/01(水) 21:48:09 ID:WSSF4aiw
井ノ原真羅(いのはらしんら)

 井ノ原姉弟の父。
 学園都市の研究者で『ある分野』のエキスパート
 実験対象以外に対しては息子の真夜並みのお人よしで、妻の朝陽に家計を管理されているかかあ天下。
 息子と娘の恋愛については激しい家族会議の結果、「子供を作らない(万が一出来たら実家と手を切る)」「籍を入れない」という条件下でまあ許容している。


Q:井ノ原真夜についてどう思う?

・ロイヤル・ナターシャ・セレナード曰く
「えっと……人がいい分、却って恐いんですよねぇ……態度の変化が大きいことも含めて、真羅さんの息子なんだーってつくづく実感して……
 姉弟とも、能力や興味においては母譲りであることがせめてもの救いでしょうか。」

・ロイヤル・ミランダ・セレヌスティー曰く
「精神力が強いっていうより……性欲がないんじゃねえかいあの男。とっつきにくくて苦手だ。」

277ё:2011/06/01(水) 21:52:44 ID:MY2pJmJE
これは>>263の後に繋がるということで1つお願いします。

――――――――――

「よっしゃ勝ったーーーーっ! やったな情報屋!」
「ああ! ありがと上条、ありがとみんな!」
「今日ばっかりは紫木はんに華持たせんとな♪ 何せ吹寄はんに男が出来て大人しくなギャンッ!」
「青髪くんったらそんな打算的なこと考えてちゃダメだよ。あの元春でさえ純粋に紫木くんを応援してたんだから。ね? 元春」
「もちろんだぜい♪ まったく青ピはそうゆうトコロがダメダメなんだにゃー(少し打算があったのは秘密秘密っと)」

 球技大会の主役といっても過言ではない情報屋をデルタフォースと白雪が取り囲んで騒いでいた。
 その様子をやや離れた所から見ていたのは姫神、浜面、半蔵、そして吹寄。

「良かったね吹寄さん。紫木くんが頑張ってくれて。後でいいから。紫木くんにおめでとうって。言ってあげて」
「ま、まあアイツもそれなりに頑張ってくれたし、それくらいは……。で、でも違うからね! あたしは情報屋が頑張ってくれたのが嬉しいわけじゃなくて……」
「ホントに吹寄はいつでもどこでもツンデうぎゃっ! す、すびばぜん姫神さま……」
「ったく浜面、お前ってホントに学習しねぇのな。じゃあ姫神さま、俺たちは郭たちの所へ」

 姫神に殴られた浜面を引きずって半蔵は郭たちの居る所へと向かった、すでに上条と青ピもそこに居たりする。
 その騒がしい取り巻きを離れた所で見てるのは人が多くて打ち止めの所へ行けない一方通行と勝利したことで怒りを収めた真夜の2人。

「一方通行は他の皆と騒がないのか?」
「そうゆうのはガラじゃねェってわけじゃねェけどな。つーか弟、テメェこそあの2人の所へ行かなくていいのか?」
「閉会式が終わってからにするよ。抜け出したら真昼さんと赤音さんに追い返されそうだし。自分達に気を遣うなってさ」
「あ、あのアク様、それに井ノ原先輩。今日はありがとうございました!」

 そこに心理掌握が現れて一方通行と真夜にお礼を言った、全力で試合をしてくれたことに対して。
 心理掌握は愛する一方通行、尊敬する真夜に変わりつつある自分の在り方を見てくれることが一番の目的だったりする。
 短いながらも成長の跡を感じ取っていた一方通行と真夜はそれぞれに感想を口にする。

「テメェが正々堂々とスポーツするたァな、ちったァ見直してやるよォ」
「それにチームの皆ともちゃんと向き合ってたね。頑張ったね心理掌握さん」
「あ、ありがとうございます!」

 心理掌握の礼儀正しいお辞儀に一方通行は何も言わず手をひらひらさせて去って行った、口元に僅かばかりの笑みを作って。
 真夜はそんな2人の雰囲気を笑顔で眺め、心理掌握が頭を上げた後で試合について色々と会話を交わし始めた。

――――――――――

 心理掌握と真夜と別れた一方通行が向かった先は上条や青ピや浜面や半蔵が居る所、すなわち自分達の恋人が応援してくれた場所の前だった。
 応援していた美琴、黒子、滝壺、郭は観客席からグラウンドに下りていてそれぞれの恋人といちゃついていた、節度は控えて。
 1人寂しく佇んでいた打ち止めが一方通行に気付くと、元気いっぱいに自分の恋人へとタックルのように勢い良く抱きついた。

278:2011/06/01(水) 23:28:50 ID:5k9zKkGo
・レイシェル・フーバー

 真羅の助手で、15歳にして初春クラスの担任を受け持つ天才科学者。担当は古文。
 当然、マットサイエンティストである。
 教職は師に勧められて就いている「副業」といった感じで、真羅の助手としての研鑚の方を好むため学校に来ることは少ないが(1カ月に10日ぐらい)、「実年齢が生徒と同じ」ということで子萌先生に次ぐ名物教師とされている。頭はいいため、要領よくこなしているもののやはり教師としてはまだまだ半人前。
「1090(イチマンキュウジュウ)」という名前の恋人がいるらしい。

279:2011/06/01(水) 23:31:08 ID:5k9zKkGo
10090号は「青年」と言っていたけれど……
まあ、欧米人って背が高いから青年っぽく見えないこともない…かな…


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