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読書が好きや!!

1kn:2006/01/23(月) 01:04:45
本を読んだら報告するところ。積ん読はあかん!!

青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/

青空文庫携帯
http://novels.bookstudio.com/i/

86kn:2006/12/28(木) 07:27:19
「横山宏Ma.K.モデリングブック 」
ttp://www.amazon.co.jp/gp/product/4499229235/ref=pd_rvi_gw_1/503-7913815-4072733

3Dイラストレーター横山宏の模型本。よくあるハウツー本と違い、コテコテにカスタマイズされたツールや製作過程を伝授してくれる。
模型作る人に限らず色を使って何かする人向けと本人が書いているが、絵画の技法のおいしいところを転用して模型を作っているので
眺めているだけでも楽しいし新鮮に感じられる。
とくに補色残像といった視覚効果を利用した色彩の技法など勉強になるところが多い。
全頁フルカラー、説明用の模型製作や細かい(しょうもない)キャプションも全部本人がやっている。

87kn:2006/12/28(木) 07:54:09
「「食」は病んでいるか―揺らぐ生存の条件 」鷲田 清一 著
ttp://www.amazon.co.jp/gp/product/4900594636/

前半は「食う」「食べる」ということについて。
後半は三國シェフと松井孝典氏との三者対談。
現代思想とか読んでいてもなんか自分の問題として感じることはないと思う人も多いかもしれないが、
「食」に関してはこれほど身近なテーマもないのでわかり難い話ではないだろう。
現在、地球上の半分の人間は飽食により「食べ過ぎて死ぬ」問題を抱えており、もう半数の人間は食糧難により「食べないと死ぬ」危機に直面している。
そして、大量の食肉用の家畜を確保するために莫大な牧草を植える土地を必要としている(食肉用の家畜がいなければ概算で現在の2倍の人口の食料がまかなえる)。
レヴィ・ストロースは肉食は弱められたカニバリズムの一形態であると看破し、中沢新一は9・11テロとBSE問題は非対称性という同じ構造を内部に抱えているという。
江戸時代までの日本は肉を食うことに関してすらタブーの意識があったが、現在は世界でも有数の食べ残しを出す国となっている(不景気だ何だと言っているが)。
松井氏が言ってるが、現代において豊かさとは大雑把に言えば恩恵を先取りする(待っていれば回遊してくるマグロを取りに行く、旬の食物を一年中食べられる環境にする)ということ、手の届かなかったものをいつでも手中に収める可能性を得る事、
いったことである。結局環境より景気、効率性なのだ。
こうした豊かさの共同幻想を方向転換しない限り、行き着くところまで行き、たとえば牛肉もやがてフグのように死ぬリスク(毒)を了解した上で享受しなければならない珍味となるだろう。
テロの予備軍を皆殺し、BSE感染牛や鳥インフルエンザの鶏を殺処分することは一時しのぎにしかならない。
自分がその恩恵を拒否しない限り批判する事は出来ず、自分だけは非対称性の生産に与していないという視力喪失を増大させていくだけである。

88kn:2007/01/13(土) 14:20:28
「食塩と健康の科学 : 減塩だけがよいわけではない!」伊藤敬一著 講談社
ttp://shinshomap.info/book/4062573393.html

健康ブームでひたすら減塩が叫ばれているが、食塩は身体の細胞を維持していくために必要不可欠であって
なくなると生命に関わる重要な要素である。
人によって食塩の過剰摂取が即、高血圧に結びついたり、あるいはそうでない人がいるが
これはどのくらい体内に塩分を貯蔵するかという体質(食塩感受性という)によるという。
またストレスなど環境によっても食塩嗜好は影響を受ける。
生命は海から発生したので細胞は海水に非常に近い成分の細胞外液で満たされているが、その塩分濃度は海水よりも高い。
これは古代の海の塩分濃度が今よりも高かったのが原因ではないかといわれている。
人間はその祖先が陸上に上がって以来、絶えず深刻な食塩不足に悩まされてきたので(海から離れるほど食塩を見つけにくくなる)
摂れる時に摂取して貯蔵しておこうという事なのかもしれないが、自ら100%の純度の塩化ナトリウムを生成できるようになり、
もはや食塩不足とは無縁となっていながら食塩嗜好から離れられない。
その昔、人間を食うカニバリズムを含め、肉食をするようになった起源が塩分不足にある(人間や動物の肉や骨には多量の食塩が含まれている)という説は興味深い。
共食いのカニバリズムの慣習がもたらした恐るべき病気と、現在、共食いをさせて作った食肉を食べる我々が恐れているBSE問題は構造的に同じものであるということをもっと見るべきである。

89kn:2007/01/17(水) 23:02:23
「非対称の起源-偶然か、必然か」 C. マクマナス 著 大貫昌子 訳 講談社
ttp://www.amazon.co.jp/%E9%9D%9E%E5%AF%BE%E7%A7%B0%E3%81%AE%E8%B5%B7%E6%BA%90-C-%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%8A%E3%82%B9/dp/4062575329

利き手、心臓、右脳と左脳、DNAらせん構造、文字列、交通、右翼と左翼etc.
人体や身の回りの非対称について恐ろしく広い分野を横断して考察している。
一般的に左右対称であること(シンメトリ)こそが美、真理であると思われているが
実際には対称でないものも多い。
科学者、数学者が真実に近づこうと研究し、真理はやはり対称であったと思いたかったのに非対称でガッカリという例もある。
なぜ実際には非対称であるにもかかわらず対称であって欲しいなどと思うのかという疑問も興味深い。

右と左の意味として右はメジャー、保守、光、常識といったイメージに対して左はマイナー、革新、陰、創造というイメージが
深層心理に影響してフィールドが振り分けられているような気もする。
「GOD」という文字列を右向きに普通に読むと「神」だが逆に左向きに読むと「犬」である。
真っ暗な吹雪の夜には軍隊はほぼ円の軌跡を描いて進軍し、元の場所に戻ってくる。
黒から白へのグラデーションパターンで左側が黒→白と逆に左側が白→黒を比較すると、
左側が黒のほうが暗く見える。
睾丸は通常右側のほうが高い位置にある。
本には書いてないが、たとえばガッツ石松が「太陽の昇ってくる方角?右から昇るんだよ!」
「右から」と迷いなく言う自信は何処から来ているのか?
LEFTFIELDというバレアリックハウスのユニットが「レフティズム」ってアルバム出していたな。

90kn:2007/01/22(月) 20:00:43
「[可変思考]で創造しよう」 広中平祐 著 光文社
ttp://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0233474176

数学者の広中平祐による創造性開発の本で現在「可変思考」に改題されて再販されている。
物事の捉え方や考え方に役立つ数学的な発想をすすめている(数式などが出てくるわけではないが)。
「フリーダム」+「ウィズダム」が創造を生む、知恵を持たないものにとって自由は拷問であるっていうのは納得。
小人閑居して不善を成すというから閑居するならまず勉強と。
義務教育ではすでに出来上がった学問を取り入れていくので、途中で止めたとしてもそこまでで得た知識は残るのに対して、
創造活動においては段階の途中で停滞したとき、成果が出る前に止めてしまうとそこまでやった事は無駄になる。
頂上に近づくにつれ距離が分からなくなり、あと100メートルだったのに頂上を目前に下山してしまう人が多い。
創造はリスクを伴うものであり100メートル手前で決して引き返すなと。
相当しつこくやらないと認識されない。
最近になって、時には損か得か合理的に考えなくてはいけない理由がやっと分かってきた気がする。

91kn:2007/01/24(水) 20:09:50
「マンガでわかる色のおもしろ心理学」ポーポー・ポロダクション 著
ttp://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9981515388

色が心理的にどういった影響を与えるかといった知識を文章+マンガで解説してある。
一項目ごとに一ページといった構成になっているので読みやすく検索もしやすい。
各色ごとに好む人の心理分析があったりして納得する部分が多い。
色の記憶は漠然とした印象だけではかなり不正確だが、明度・色相・彩度と3つのパラメーターに分けて記憶すると結構再現度が高まるという。

92kn:2007/01/27(土) 13:08:25
「進化しすぎた脳」池谷裕二 著
ttp://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2575388

大脳生理学を中高生に分かりやすく講義。
脳の構造や記憶のしくみ、進化の過程などの解説から、
人間の脳はものを見たときにどういった捉え方をしているか(錯視は何のために起こるか)、
意識と無意識、不確実性、クオリア、アルツハイマー病など現在盛んに話題になっている分野まで一冊で分かる。
実際のこの講義を受けることを考えると安すぎる値段。
中高生の時期にこういった生の学問の面白さを伝えてくれる講義を一度受けられれば。
ブルーバックス版は巻末に最前線の研究成果を紹介する追加講義収録されてるが、
税金使って大学で研究している以上、人の役に立つ成果を上げないといけないことについて少し議論していて、
すぐ役に立つ(病気治す薬を作るとか)ほど良いと言い切ると、すぐ成果が出ない、金にならない研究はすべて無駄といわれてしまう。
でも自然のしくみを解明したり、知る事の喜びそのものにも大きな意味があるからバランス感覚が要ると結論付けていて、
クソみたいな教育制度改革叫んでいるオッサンは少しはこういう話に耳傾けろと思った。

93kn:2007/04/18(水) 01:17:08
「行人」夏目漱石

以前ちょっと読みかけて放置していたのでもういっぺん最初から読み直し。
漱石作品は最初は展開がかなりスローで、途中から後半にかけてぐんぐん加速して引き込まれるという展開が多い気がする。
この作品でも何か展開を予期させながら巧妙にはぐらかされていって、人間の心理面にえぐりこんでいく。

前半は自分(二郎)から兄の一郎を見る視点で描写されているが、兄のあまりの苦悩を受け止めるには主観としての強度が足りないということか後半、兄の友人Hからのレポートという形にモードが変わる。
物語的な読後感としては重いけど予定調和を排して描き切ってやるという意志の清々しさといったものが感じられた。

94kn:2007/04/18(水) 01:19:03
「巨船ベラス・レトラス」筒井康隆

おもしろくて一気に読んでしまった。
現代の日本文学の状況を批評的に書いているけど、これは芸術・娯楽など全般的に同じムードがあって、
先取りして消費するサイクルがものすごく早くなっているとか、誰もが知っていることの前提としての
基礎教養が少なくなった(情報過多でコレだけ押さえておけという定義も無意味になった)結果、文脈
の上での評価や実験・前衛といったことの価値も薄れ、ものすごく古い陳腐な手法に感心したり、
ベタな笑いややすい涙など感動する閾値が低いものが逆にワッと売れたりする。

音楽もアルバム単位でなくmp3の1曲ごとにデータベース式に管理されることで世代やムーブメントなどよりも
いかにキャッチーであるかとか、手軽に消費できるかという側面で並び替えが進んでいるようにも思う。

尺が長いとか、思想等のバックグラウンド、前衛的なアプローチなど、分からない人が出てくると疎外感を
与える部分は「弱さ」となってしまい、そういった部分を抜かして高密度に圧縮していきたいという現代の
流れもまたベラス・レトラスを揺り動かしている一つの波のように思った。

95kn:2007/04/18(水) 01:55:26
「ものぐさ精神分析」岸田 秀 中公文庫
ttp://www.amazon.co.jp/%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%90%E3%81%95%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E5%88%86%E6%9E%90-%E5%B2%B8%E7%94%B0-%E7%A7%80/dp/4122025184

何年も前に読み終えたと思っていたらなぜか中間の「心理学について」「自己について」あたりを読み飛ばしていたようなので読んだ。
日本の心理学は近代に西洋から輸入されたものだが、物理・科学などの他の学問よりもそのまま翻訳されて取り入れた度合いが
かなり高い、犯罪心理などを語っている心理学者の話がなぜつまらないか(日本の心理学ができるまでは大学から心理学を追放しろと
まで言っている)といった批判的な立場から見た刺激的な内容。

著者自身が10代の頃から長いこと神経症になやまされ、切実かつ慎重な自己の分析から日本人の特有の心理、さらに近代日本という
もの自体が第二次世界大戦で全能の共同幻想をへし折られて以後、いまだに自我が確立できずにいる精神分裂病であると分析している。
あと、日本独特とも思える性に関する意識やタブーについてはキレイごとのオブラートなどすべて引っぺがして、そもそも「人間の本能
は壊れている」ということを白日の下にさらす勢いで書いているのが痛快でもありゾッとする虚無感を覚えるところでもある。

96kn:2007/04/19(木) 02:46:02
「堕落論」坂口安吾 集英社文庫
ttp://www.amazon.co.jp/%E5%A0%95%E8%90%BD%E8%AB%96-%E5%9D%82%E5%8F%A3-%E5%AE%89%E5%90%BE/dp/4087520021/ref=pd_rhf_p_5/249-1596379-0003565

このタイトルにまつわるイメージが強烈なので坂口安吾はスルーしていたが、なんか呼ばれた気がして読んだ。
頽廃の美学みたいなのが一番嫌いなのでなんかビンボーくさい煮出したようなナルチシズムを勝手にイメージしてたが、
読んでみるとまったく違い、むしろ至極まっとうなことを普通に書いていたことが分かった。
当時来日したブルーノ・タウトが純粋な日本美を語ったことについて歓迎した日本人の様子を自己欺瞞だとして批判しているところで
『日本精神とは何ぞや、そういうことを我々自身が論じる必要はないのである。説明づけられた精神から日本人が生まれるはずもなく、
また日本精神というものが説明づけられるはずもない。日本人の生活が健康でありさえすれば、日本そのものが健康だ。』(「日本文化私観」)とある。
最近叫ばれている「美しい国」というフレーズになんとも説明しがたい不愉快さを感じていたが、まさにその不快感の正体を突いている言葉。
自分が創出したものでもなんでもない過去の遺産を持ち上げ目の前の歪みを見ないふりをする人間は戦後すぐから何も変わってないんだな。
坂口安吾は文章がものすごくうまいとかテクニカルな志向性はあまりないが、何事も取り繕わないポリシーを持ち、きちんとした骨格に肉付けされた身体的なタフさがあり、そのあたりに好感持つファンが多いのかもしれない。


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