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英国(第二次世界大戦勃発直前)がファンタジー世界召喚されますた。

235HF/DF ◆e1YVADEXuk:2017/12/10(日) 20:10:38 ID:xcVmLF4g0
「どうだった?」
「今のところはまあ大丈夫です。ただ明日の道中でもう一つシリンダーが死ぬかもしれませんけどね」

停車したトラックの上から思案顔の二人へ向けて放たれた一言に思わず顔を見合わせ、大きなため息をつくブッシュとウールトン。色よい返事は期待してなかったとはいえ、厳しい現実をこうも続けざまに突きつけられればため息の一つも出ようというものである。

「まいりましたな……」「わかった、その時はまた頼むぞ」
「…………分かりました。ええ、やりますよ、あと一息なんですからね」

苦味が濃い笑みを微かに浮かべつつまたもため息を漏らしたのはウールトン、一方ブッシュは厄介事は任せたぞ、と言わんばかりの表情で下車した部下の肩を叩く。
そんな指揮官の態度に半ば自分に言い聞かせるように言葉を吐き出すブラウン。少々自棄を起こしたような口調とは裏腹に、髭に覆われた顔に浮かぶ表情はどことなく嬉しそうだ。
これにて丸一日を費やした修理作業は終わり、男たちは後片付けに取り掛かる。
汚れを拭き取られた工具が工具箱に納められ、中身を使い切った潤滑油やグリスの缶もひとまず箱に戻される。交換された細々とした部品は一まとめにされ、手頃な空き箱へと詰め込まれた。
そして仕上げは水浴び。池からくみ上げた水をふんだんに用い、たった一個の小さな石鹸を交互に使いながら一日の労働で汚れきった体から汗と油、土埃といった汚れををきれいさっぱり洗い落とす。
こうして頭の天辺からつま先まで綺麗になった男たちが元通り服を着た時には、赤く大きな太陽が今まさに地平線に沈もうとしていた。

そして訪れる夜、この地での最後の野営は静かなものとなった。
ストーブの中で燃える炎を囲み、この地での最後の夕食を取る一行。内容は疲れた体、特に胃腸に負担をかけぬようまたも軽めのものだ。
豆と缶詰野菜のスープにおなじみの堅パンと水割りラム酒。いつも通り堅パンを砕いてスープに混ぜ、ふやけさせたものをゆっくり、良く噛んで味わいつつ腹へと収める。ほのかなライム味の配給酒がそれにアクセントを付けた。
そんな食事の席でふとしたことから話題に上ったのはあの怪物のことだった。

「結局あいつの正体やどこから来たか、どうやって来たかについては分からずじまいですな」
「ええ、でもまさか死ぬとあのようになるとは予想できませんでした」

ウールトンの何気ない一言に反応し、死んだ怪物に起こった変化について言及するファウナ。
彼女が投げつけた爆薬により止めを刺された怪物の体は死後しばらくして崩れ始め、最後にはまるで一山の砂のようになってしまった。
彼女を手当てしている男たちの目の前で起こったこの出来事、まるで土や砂を固めて作られた像が雨により瞬く間に崩れる様を思わせる現象は結果として怪物に関する一切の情報を永遠の謎としてしまっていた。


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