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英国(第二次世界大戦勃発直前)がファンタジー世界召喚されますた。

180HF/DF ◆e1YVADEXuk:2017/07/31(月) 20:34:13 ID:SOvPWnV60
小さく息を吐き、マッチを投げ捨てるとまず一つ目を手に取り、立ち上がると腕の力に頼らず体全体を使って投擲する。狙うのは怪物の巨体ではなくその前の地面、ヒューズが燃え尽きるまでの時間を考慮してやや離れた場所に落ちるように力を加減する。
ブッシュの手を離れ、くるくると回転しながら宙を飛ぶ爆薬。だがその行方を彼が確かめることはない。視線を落として二個目の爆薬を拾い上げ、再び投擲、円筒形の包みが回転しながら放物線を描く。
煙をたなびかせるセフティ・ヒューズを尻尾のごとくたなびかせて飛ぶ爆薬。しかしブッシュはそれが地に落ちるのを見届けることもせず、土嚢とライフルを掴んで走り出した。行き先は勿論トラックの助手席だ。
勢い良く助手席に転がり込み、足元に土嚢を放り出すと引き結んでいた口を開いて空気を大きく吸い込む。酸素不足になりかけてた脳が働きを取り戻した。隣のブラウンに命令を下そうと試みるが、その前にトラックは動き出した。
先程とは違うゆっくりとした加速、最早虫の息といった体のエンジンとトランスミッションに無理をさせないようにというブラウンの判断だ。

「ブラウン、もっとだ、もっと急げ!」
「…………」

助手席に身体を投げ出し、切れ切れの声で急かすブッシュに対して無言でアクセルを踏み込むことで応えるブラウン。荷台ではファウナとウールトンが腹這いの姿勢でその時を待っていた。
誰も後方を、そして迫る怪物を見ず、ただ爆薬の爆発から逃れ、そして衝撃から身を守ろうとしていた。

その時が来る。
短いが強烈な爆発音が鼓膜を震わせ、大気と地面を伝わってきた衝撃波がトラックを大きく揺さぶり、軋ませる。
だがそれは予想していたものよりも小さい。
そして幾分の間を置いてまた爆発、同時に爆発するように作られていたはずの爆薬が一同の期待を裏切り、大きくタイミングをずらして爆発したのだ。
慌てて立ち上がり荷台越しに後方を見るブッシュ。その視線の先には一足先に起き上がっていたウールトンとファウナの姿。どちらも背中を向け、後方を凝視している。
その視線の先には横倒しになった怪物の姿、右側面を上に向け、これまで見ることが出来なかった下腹部を晒していた。体の他の部位同様白茶けた色をしたそこには規則正しくびっしりと配置された楕円形の模様が存在し、今もまた不気味にうごめいている。
だが下腹部の前半分はそうではない。
梱包爆薬の爆発をまともに喰らったであろうそこは規則的な模様が惨たらしく潰れ、所々にこげ茶色の斑が出来ている。どうやら傷口から滲み出した体液によるもののようだ。


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