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架空の軍隊がファンタジー世界に召喚されますた 2

97タイフーン ◆sePHxJrzaM:2007/03/14(水) 22:37:45 ID:eImMvDlU0
「えっと、その奥さんは旦那さんを無くしてるんです。今は子どもと・・・」
 「お前がそういう奴じゃないことはわかってるから安心しろよ」

 カローニンはまだ若くて純粋な奴だ。
 入隊した理由は家が貧乏だとかその辺だったはずだ。
 少なくとも、他人の女房を奪って平静を装える奴ではない。

 「それでお前、どうするんだ?」
 「どうするって?」
 「戦争が終わった後だよ。いつ終わるかわからないが、いつかは終わるだろ」
 
 正直戦争がいつ終わるのか、検討がつかない。
 パドフだけではなく、ユークにいる多くの人間やエルスランド、ガルデシアの国民だってそうだろう。
 早く終わるに越したことはないが、戦争というやつは気まぐれで予想通りにはいかないのだ。

 「早く終わってほしいです」
 「早く戻りたいか?何ならそれらしく推薦状でも書いてやるぞ」
 「や、やめてください!」
 「わかってるよ、本気にすんな。しがない下士官の俺が何をできるよ」

 おどけるパドフにカローニンは苦笑したが、すぐ真顔になって言葉を連ねた。

 「でも約束したんです。あの子たちと、エルフの奥さんに」
 「戻ってくるってか」
 「はい」

 カローニンの目には確かに決意が宿っていた。
 正直戦場でこういうことを考えたり言ったりする奴は今なお戦場の都市伝説として有名なアヴァロンダムの一件―――V2発射を阻止したF-16Cのパイロットが、故郷に帰ったら云々と言った矢先に撃墜された―――のようにあまり気持ちの良くない結末が待ち構えているのだが、彼ならどうにかして生き残るかもしれない。
 パドフがそんな希望的観測を覚えるほど、カローニンの決意は固かった。

 <<こちら機長。給油完了、後がつかえてるから三分後に離陸する。早く座ってくれ>>

 席に戻る前、パドフはカローニンに言葉をかけた。

 「指輪いじるのもいいが、無くさないよう首にでもかけとけ!」


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