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架空の軍隊がファンタジー世界に召喚されますた 2

500超ソビエト大戦:2010/06/01(火) 20:18:07 ID:6LiHdjEo0
密閉され静寂に包まれたコックピットの中で、規則正しい呼吸音だけがやけにはっきりと聞こえる。
無駄に体に密着したパイロットスーツを着用し、搭乗員に棺桶のような圧迫感を与える窮屈な空間でシートに腰掛けたシルエットは、淫靡な曲線を描く若い女性のものだ。
クリスカ・ヴャーチェノワの搭乗するATB−02ボルゾイは、針葉樹の森の中に掘られたタコ壺の中で、膝を折り曲げて尻を接地させた降着ポーズと呼ばれる姿勢をとって待機していた。
クリスカが頭を回すと、ゴーグルに連動したカメラアイがスライドし、少し離れた隣りのタコ壺に蹲るイーニァ・シェスチナの機体をとらえる。
カモフラージュネットの下で、青味がかった明灰色に塗られた機体を払暁の光の中に浮かび上がらせた装甲騎兵は、周りの自然と比べ冒涜的なまでに場違いに見えた。
『来たぞ』
ノイズ混じりのひび割れた声がヘッドフォンから流れる。
クリスカはカメラアイを正面に向けて倍率をあげた。
網膜に投影される視界の中で、開けた地形を斥侯も出さず、密集隊形で進んでくる異形の軍団がその姿を明瞭にしていく。
人間がいる、エルフがいる、オークが、ゴブリンが、リザードマンが、ケンタウロスが、およそ人間の想像力の及ぶありとあらゆる亜人種が、隊列を整え整然と歩を進めている。
空に目を向ければ、天馬や飛竜に騎乗した空中騎兵に加え、天使さながらに自前の翼で空を行く飛行兵が見える。
その同じ光景を、前線からやや下がった位置に駐車するカーキ色の指揮車輌の中で目にしている男たちがいた。
「敵は全く警戒していません同士中将、もう勝ったつもりです」
「では教育してやろう」
ゲンナジー・イオーフォビッチ・ボンダレンコは、モニターに映し出される映像を眺めながら言った。

「わっはっはっは!気分はもう戦争!」
「ロジーナさーん!一人で先走っちゃダメですよぉー!」
懐かしい漫画(矢作俊彦原作・大友克洋作画)の台詞を叫びながら突貫するのは、鋼の乙女と呼ばれる美少女(笑)型決戦兵器の中でも最高峰のネジの外れ具合を誇る問題児ロジーナ。
後を追うのはレンドリースでやって来た、器用貧乏で団体行動が十八番のアメリカ製鋼の乙女シン。
なんとかロジーナを制止しようとするシンだが、直線スピードで勝るロジーナはどんどん差を広げていく。
さらに全力疾走しながら、両手に持った紅白の旗を細かく上げ下げするロジーナ。
「あれは手旗信号?『お お ヒ ー ス ク リ フ』…ってモンティ・パイソンですか!?!」
律儀に突っ込むシン。
【嵐が丘・手旗信号編】を演じる鋼鉄のロシア娘という、ある意味奇跡のような光景にも心動かされることなく攻撃魔法を撃ち込んでくるファンタジー世界連合軍。


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