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架空の軍隊がファンタジー世界に召喚されますた 2

172タイフーン ◆sePHxJrzaM:2007/04/26(木) 23:55:38 ID:eImMvDlU0
 <<あいつら、あいつら死ぬのが怖くないのかよ!?>>
 <<各車、ヒトガタを優先して狙え!近付かれたら終わりだぞ!>>
 <<そんな!き、聞いてないぞ!あ、あんなことをしてくるなんて!>>
 <<落ち着けハニショフ、あれはデカい的だ!そう思え!>>
 
 もしガタムール高地に展開するユーク軍の練度や構成がオーシアとの戦いの前なら、こうも時間はかかっていない。
 味方の損害を計算に入れた砲撃は地面を掘り返し、人命をある程度消耗品と考える指揮官たちは損害を軽視して兵を進めるだろう。
 最悪の場合、後ろから銃で脅してでも―――。
 やがて無線は、どこかの歩兵中隊の通信を捉えた。
 
 <<中隊長、トーチカに工兵を突っ込ませてください!>>
 <<駄目だ!今の状況では、全滅するのが関の山だぞ!>>
 <<しかし!>>
 <<もし無駄死にさせたら、私は一生日の当たる場所では暮らせなくなる!>>

 先の大戦以降、ユーク軍には絶えず国民からの厳しい視線が浴びせられている。
 ベルカの残党に利用された挙句、侵略の憂き目を見た国民の中には、軍への不信感を抱く者が少なくない。
 それにニカノール首相も大戦の経験からか、報道に対する介入の一切を行わない旨を―――報道の自由を認めている。
 報道の自由と言えば聞こえはいいが、単純に言えば軍にとって都合の良くないことでも、有りのまま伝えられるということだ。
 
 <<腰抜けが・・・!>>
 <<なんとでも言ってくれ。言ってくれていいよ!>>

 その気になればどの指揮官がどれだけ部下を死なせたか、誰でもパソコン一つで見られる社会が背景にある以上、ユーク軍全体の動きが鈍くなるのは至極当然だった。
 歯車のように伝わった躊躇や不安は、巨大な悪循環として作用している。
 今回の派兵も少数民族を横暴から救うというそれらしい理由付けがあるが、単純に言えば善意の押し付けに近い。
 戦争の理由になりがちな石油資源も地下資源も、ユークには百年単位で自活していけるだけの量があり、腕四つで組み合ったとしても大抵の国には勝利できる軍事力がある。
 誰もが心に思いながらも口に出しては言わないことではあるが、ユークとしては今回の戦争は政権や軍への不信を拭い、国民の目を他国へと向けることが重要なのだ。
 国を守るわけでもない戦いに命を賭ける人間は少なかった。


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