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書き込み代行スレ

1名無しさん@妄想の虜:2003/08/13(水) 21:32
規制されてエロパロ板に書けない、でも書きたいレスのある方はこちらでどうぞ。

書き込みたいスレッド、書き込みたいレスの内容、
名前欄、メール欄(age、sage指定など)をこちらに書き込んでください。

対応してくださる方がいないときは、
代理書き込みに時間のかかる場合があることはご了承ください。

代理書き込み終了後、こちらに書き込んだレスは消去して欲しい場合、
その旨(書き込み依頼時に)申し出てください。

消さない前提で運営しますが、消して欲しい書き込みには、
出来るだけ善処します。

※ BBSPINKの削除対象にあたるレスの代行はお断りします。

417名無しさんが妄想します:2011/08/05(金) 20:09:54
また代行をお願いします

書き込みたいスレ:■■男のオナニー小説■■
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1232090875/

名前欄:なし
メル欄:sage
備考:代行明記のこと

内容は↓です

418名無しさんが妄想します:2011/08/05(金) 20:10:23
美智子は、最近発見したとある動画サイト内サークルにハマっていた。
「あははははははは!何よこれ!」
映っていたのは、部屋でこっそりと芸能人の物真似をしていた男をビデオカメラで撮っていた映像。
やがて自分が見られていたどころか撮影されていることに気付いた男が、慌てて撮影者を咎めるところで動画は終わ
った。動画の説明文には、この動画が被写体である弟の同意を得てアップロードされたことが書いてある。
そのサークルには他にもこうしたドッキリ動画の類がいくつかアップロードしてあり、また同じような動画を求めて
いることが書いてあった。
「よーし……私も一つ作ってみるか」
こんな動画の被写体といえば、一人しかいない。
美智子は完成はしたものの使い途に困っていた隠しカメラを取り出し、弟が留守のうちに部屋に仕掛けその帰りを待
った。

それから、10分もしない頃。
行きつけのレンタルショップから帰ってきた周平は、興奮を隠せないまま部屋に入ってきた。
袋を開けて借りてきたDVDを取り出すと、裏面の具合を確かめる。多くの人に借り出されたようだが、見ると幸い
にして盤面が傷ついている様子はない。
「よかった、新品同様だ」
このDVDはある露出度の高い青年向けアニメの所謂『水着回』が収録されたDVDであり、周平はまめにレンタル
ショップに通いながら空くのを待っていた。
今日はその念願が叶い、ついに借りることが出来たのである。
周平は早速DVDをプレイヤーに入れ、興奮で乾いた喉を買ってきた缶ジュースで潤わせる。しかしそれでも、胸の
高鳴りは早くなるばかりであった。
今は10月。半裸になるには涼しい時期だったが、服を脱ぎシャツとパンツだけになって鑑賞を始めた周平。
そのまま5分くらい鑑賞を続けた頃、ついに目的のシーンが始まった。
「ああ……す、すごい……」
地上波放送でも充分際どかったシーンが、このDVDではさらに過激になってしまっている。息をさらに荒くした周
平は、既にトランクスをずり下げ性器を出して弄り始めていた。
すっ、すっ、すっ、すっ……。
右手で性器を扱き、左手でリモコンを操作して繰り返し再生をする周平。もちろん、ティッシュを手繰り寄せるのも
忘れていない。
ただ頭に無いのは、慌てて部屋に入ったために鍵をかけ忘れていることだけであった。

419名無しさんが妄想します:2011/08/05(金) 20:10:50
「周平……」
テレビの中の二次元水着美少女に欲情してオナニーを始める周平の姿を、美智子は半ば苦笑いで見つめていた。普段
は品行方正で勉強熱心な周平だが、すぐにHなことを考えてしまうのを美智子は知っているのだ。
実をいうと、弟の部屋に隠しカメラを仕掛けるのもそれによって弟のオナニーを目撃するのも初めてではない。この
隠しカメラを作った際に験しに弟の部屋に仕掛けてみたのだが、美智子はその時も弟のオナニーを見てしまっていた。
「まったくもう……そうだ!」
あの時の美智子は、弟のものとはいえ勃起した男性器を見るのは初めてだった。しかし今はネットを使う中で既に卑
猥な動画をいくつか見ているし、男は皆オナニーをするという性知識も得ている。
そんな余裕のある美智子は、先の動画のことを思い出しある悪戯心を起こしていた。

しゅっ、しゅっ、しゅっ、しゅっ……。
周平の息は荒くなり、擦る右手も線液で滑りきっている。いよいよ絶頂が近いことを悟り、左手はティッシュを摘み
出し準備万端となっていた。
そしてついに興奮が最高潮に達して爆発し、性器が大きく脈動したその瞬間。
「うっ!あああああ!」
「周平ー?」
「えっ!?」
唐突にドアが開き、美智子が入ってきた。
「ビデオ屋行ったの?『ていおん!』借りてきてくれた?」
「ああっ!ね、姉さ……!ああっ!」
慌てて立ち上がりパンツを履きなおそうとするが、亀頭をティッシュで押さえる左手は離せない。さらにはそうして
いる間にも性器が脈動を続け、出た精液がティッシュの隙間から垂れていく。
それに伴う快感も収まるはずがなく、美智子にかける声ももはや声になっていなかった。
「あっ!ああっ!な、何……うっ!」
「周平?どしたの?」
周平からしてみれば、とにかく精液が出ているところを見られる訳にはいかない。咄嗟の判断でティッシュをもう一
枚右手であてたが、それ故に両手で性器を押さえる不自然な形になってしまった。
そのまま射精もひと通り終わり周平が落ち着いた頃をわざわざ待って、美智子は内心で腹が捩れる程笑いながらあく
まで事情を飲み込めない風を装い再度声をかけた。
「もしかしてジュース溢した?タオル持ってこよっか?」
「い、いらないよ!薬塗ってただけだよ!てか、ノックぐらいしてよ!」
「薬?どっか怪我したの?見せてごらん」
「いいって!もう終わったから!」
薬などどこにもないし美智子くらいの年齢の者ならば誰でも判るあからさまな格好であったが、本当に心配している
風を装う美智子が本当は気付いている(まして隠しカメラで覗いていた)とは周平は思っていない。
ともかく周平はティッシュを捨てさっとパンツを履いてから、DVDを手渡し強引に美智子を部屋から押し出した。
「ありがと周平、じゃあそのDVDもあたしが返しておくわね」
「い、いいよ!自分で返すよ!」

420名無しさんが妄想します:2011/08/05(金) 20:11:13
部屋に戻った美智子は、DVDを放り出して早速カメラの映像を確認した。
映像には先に部屋に突入した際には見られなかった、射精の快感が動揺に変わる瞬間がばっちり映っている。もちろ
ん、それに続いて周平が必死に性器とそこから滴る精液を隠そうとしている所も。
美智子はこの素晴らしい映像をもっと大きな動画サイトにアップロードして世界中の皆で楽しみたい衝動に駆られ
る。この動画は美智子にとってそれくらい傑作なのだが、さすがに弟の恥を無断でネットに晒すわけにはいかない。
「投稿は……無理か」
それにしてもここまでタイミングが良かったとは、美智子にも思いも寄らぬところであった。これでティッシュが切
れて股間を隠し切れていなければ、アップロードはしないにしても世紀の映像として家宝にしていたことだろう。
ともあれ、いずれ友人の千夏に見せる機会があるかもしれない。
美智子はほくそ笑みながら動画の編集に取り掛かった。

421名無しさんが妄想します:2011/08/06(土) 18:44:59
>>417
代行を依頼する理由は?書き込み規制じゃないよね。

忍法帖トラブルで長文が投下できないなら相談スレや自治スレへ。
相談スレや自治スレへの代行もするよ

422名無しさんが妄想します:2011/08/07(日) 11:14:29
相談スレ自治スレってどこにありますか?

423名無しさんが妄想します:2011/08/07(日) 19:21:01
エロパロ板自治スレッド11
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1238791725/

■ エロパロ板総合雑談スレッド・4■
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1267329237/

424名無しさんが妄想します:2011/08/07(日) 19:22:53
すまん。 下は↓の間違いだった

Q&Aはここ!エロパロ板総合質問スレッド7
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1261999123/

425名無しさんが妄想します:2011/08/07(日) 22:04:10
>>417のご依頼は遂行してきました

426417:2011/08/08(月) 13:55:35
ありがとうございます

427名無しさんが妄想します:2011/09/09(金) 01:27:06
依頼お待ちしてますage!

428名無しさんが妄想します:2011/09/17(土) 00:05:30
投下直前で全鯖規制に巻き込まれました
二週間ほど待ちましたが、解除の見通しが全く立ちません
以下↓のスレに投下代行をお願いします

書き込みたいスレ:魔法少女まどか☆マギカでエロパロ4
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1313028261/

作品投下の前に、一レスだけ注意書きを入れます。

429名無しさんが妄想します:2011/09/17(土) 00:06:59
投下させていただきます。

・舞台はループ二週目、主人公はゴルフクラブ装備メガほむ(かってに改蔵特別編にも登場)
・ストーリーは田丸浩史の同人誌そのまんま。
・エロ無し、ただし若干下ネタにつき注意。

コブラネタが出てきますが、あくまでこの作品の舞台と登場人物はまどマギです。
クロスオーバーではございませんので、コブラが出てきて欝フラグクラッシュするという事はありません。

430宇宙冒険ほむらやん〜SPACE ADVENTURE HOMURA THE ANIMATION:2011/09/17(土) 00:07:42
 魔法少女となった暁美ほむらちゃんは、同じく魔法少女で中学校の先輩でもある巴マミさんの
リビングで、昨夜自分が見た夢の話をしていました。
 半ばは灰塵と化し、残る半ばも廃墟となりつつある見滝原の市街地。灰色の空に浮かぶのは、
人類史上未だ誰も目にしたことのない巨大で強力な歯車。
 史上最大の魔女・ワルプルギスの夜から見滝原を守るのは――
 左腕に銃を仕込んだ少女、暁美ほむらただ一人だけでした。
 ほむらは四角い乗り物を橋梁のアーチ上に走らせ、宙を駆けて乗り物を魔女に特攻させます。
 衝突寸前で乗り物から飛び降りるほむら。地に転がって着地の衝撃を緩和すると、すぐに立ち
上がって四角い乗り物を見上げます。
 予め乗り物に仕掛けておいた榴弾が、積載してあった数十トンもの燃料に引火誘爆します。
ビルのワンフロアを丸ごと焼き払う火力の、そのまた三十倍にも及ぶだろう強烈な大爆炎が、
巨大な魔女の全貌を飲み込みました。
 しかし直撃を受けたにも関わらず、巨大な魔女はびくともしません。
 あれほど頼りになる百戦錬磨の兵<<つはもの>>マミさんも、いかなる絶望的な状況でも決して
諦めなかった鹿目まどかもいない。
 彼女はたった一人。けれどほむらは歩みを止めることはできません。ほむらにとって、歩みを
止めることすなわち絶望なのです。
 ほむらの扱う武器は、火薬を用いたプリミティブなシロモノでした。やくざや自衛隊が好んで
用いる、要するに魔法少女でなくとも扱える普通の銃にすぎません。
 マミさんが召喚するマスケット銃や、まどかちゃんが繰り出す光の矢のように、強力な魔力を
宿しているわけでもない。一応魔女にも効く事は効きますが、効果の程はどうしても魔法少女の
武器には一歩及びません。まして先ほどの爆発に比べたら、ほむらの持つ銃など、文字通り豆鉄
砲程度の威力でしかありませんでした。
 とうていワルプルギスの夜にダメージを与えられるとは考えられない。それでも、
 ――左腕の銃は心で撃つのよ!
 決して心折れることなく、ほむらは左腕から取り出した銃身を空に向けるのでした。

431宇宙冒険ほむらやん〜SPACE ADVENTURE HOMURA THE ANIMATION:2011/09/17(土) 00:09:02
「――なるほどね」
 見滝原中学校の制服に身を包んだ巴マミさんは、気弱な三つ編み眼鏡娘と向き合ったままで、
ティーカップを口元に運びます。
 ほむらちゃんは自分の隣に座ったまどかちゃん同様、先輩の大人っぽくて優雅な動作に思わず
見惚れてしまっておりましたが、先輩が自分に微笑みかけていたことに気付くと、顔を真っ赤に
して俯きます。
「ほむらちゃん、顔を上げなよ。別にマミさん怒ってるわけじゃないから。ほらマミさんの作った
シフォンケーキ食べよう。おいしいよ」
「は、はい……」
 まどかちゃんのフォローを受けて、ほむらちゃんはフォークを手に再びマミさんと向き合いました。
 何かある度に目を背けようとするこの眼鏡っ子。引っ込み思案ゆえに一見従順なようでいて、
実はかなり警戒心が強くて扱い難いのがほむらちゃんの本質です。
 そういう娘と会話をするには、心を開いてもらうのが先決。まどかちゃんがそうしたように、
食べ物で釣ってほむらちゃんの警戒心を解くのも有効な手段です。
「おいしいね、ほむらちゃん」
「うん」
 隣のまどかちゃんを見つめ、笑顔を浮かべたほむらちゃん。緊張が解れた頃合いを見計らって、
マミさんが話を進めようとします。
「それで暁美さん、その夢のことなんだけど」
 ケーキを咀嚼しているところ、いきなり先輩から声をかけられたほむらちゃん。
 口の中身を慌てて飲み込もうとしてむせ返り、まどかちゃんが咄嗟に差しだしたティーカップを受け取ります。
 部屋の主であるマミさんの動作とは似ても似つかぬ、優雅さの欠片もない慌ただしい仕草で
紅茶の薫りを味わう暇もなく一気飲みして、ほむらちゃんはようやく落ち着きを取り戻しました。
「何でしょうか、巴さん」
「夢というのが、潜在意識の発露であることはよく聞いてるわよね?」
「せんざいいしきのはつろ、って何ですか?」
 マミさんは言葉づかいが難しすぎた、と一瞬の内に反省し、ほむらちゃんにも通じるように
易しい言い方に直しました。
「こんな人になりたい、こんなことがしたい。あるいはその逆に、こんな人になりたくない、
こんなことはしたくない。普段は意識しないものだけど、人間はいつも心のどこかでそんな事を
考えている生き物なの。暁美さんもそうでしょう?」
「……う、うん」
 ほむらちゃんは話に取り残されまいと思うあまり、つい敬語を忘れてしまいました。マミさんは
気にすることなく続けます。
「そういう考えがイメージをともなって現れたのが夢なの。だからね暁美さん。あなたの見た夢には、
暁美さん自身の願いが込められてるとも考えられるわけね」
「そんな、そんな事ないです。巴さんも鹿目さんもいない世界なんて、私そんなの……イヤです」
 まさか先輩たちを無意識の内に疎ましく思っている、などという誤解を受けたのだろうか。
マミさんは怒っているのだろうか。
 自分は決してそんな事を望んではいないのに。巴さんと鹿目さんと、ずっと一緒にいたいのに。
また先輩から目を背けた眼鏡っ子にフォローを入れるべく、まどかちゃんはほむらちゃんに呼び
かけました。
「でもその夢の中のほむらちゃんって、すごくかっこよかったんでしょ? つまりほむらちゃんは、
かっこよくなりたいんだよね?」
「え? そ、そういうこと、なのかな……」
 可愛らしくいじらしいものです。俯いて両手の人差し指どうしを叩く三つ編みの眼鏡っ子とは。
 ほむらちゃんは上目づかいの視線をまどかちゃんに送ります。自分に自信がないほむらちゃん
にとって、自信家であるまどかちゃんの後押しは何よりも必要とするものでした。
「そうだよほむらちゃん!せっかく『燃え上がれ〜!』って感じの素敵な名前なんだから、
ほむらちゃん自身がもっともっとかっこよくなっちゃえばいいんだよ!」
 かつて彼女の口から聞いた言葉が、ほむらちゃんの脳裏に蘇りました。
 一カ月後にワルプルギスの夜と戦い、そして命を落とした魔法少女まどか。その彼女が遺したのと
同じ言葉が、目の前のまどかちゃんの口を突いて出たのです。
 まどかちゃんを救うために契約した魔法少女ほむら、それが今のほむらちゃんなのです。
 鹿目まどかが死んでしまった世界をやり直すためにも、自分はかっこよくなりたい。

432宇宙冒険ほむらやん〜SPACE ADVENTURE HOMURA THE ANIMATION:2011/09/17(土) 00:09:28
――かっこよくなって、今度こそ鹿目さんを助けたい。

 小動物のように臆病な眼鏡っ子だったはずのほむらちゃんが、雛を捕食者から守るために闘う
親鳥のように鋭い眼差しで頷きます。
「うん、わたしかっこよくなる!巴さんみたいに、そして鹿目さん、あなたみたいに!」
「……そ、そうだね」
 まどかちゃんの両手を乱暴に掴むほむらちゃん。豹変したほむらちゃんの積極的な態度に戸惑
ったのか、まどかちゃんは少し身を引きました。
 そんな二人に割り込むように、マミさんが口を開きました。
「そうね。暁美さん、コブラって知ってる?」
 まるでたった今マミさんの存在を思い出したかのように、ほむらちゃんは慌ててまどかちゃんの
手を離しました。正座してマミさんと向き合います。
「コブラ、ですか?……毒蛇の?」
 マミさんは静かに首を振ります。
「古いマンガに出てきた宇宙海賊の名前よ。そのマンガが、暁美さんの語ってくれた夢の内容と
そっくりなの。空飛ぶ四角い乗り物とか、心で撃つ左腕の仕込み銃とか……」
「つまりほむらちゃんの理想の姿を追い求めると、その海賊コブラになるってことだよね。
そうでしょマミさん」
「え、その……」
 話の展開に違和感を覚えたのか、ほむらちゃんは反論を試みようと考えました。
 宇宙海賊コブラなんて、ほむらちゃんは今日この瞬間まで知りませんでした。コブラを読んだ
影響で左腕の銃夢を見た、などという事は決してありえません。
 しかし空飛ぶ四角い乗り物も、左腕に仕込んだ銃も、ほむらちゃんの夢に登場しています。
それらがコブラに登場した乗り物であり銃であったのはおそらく偶然の一致でしょうが、果たして
単なる偶然だとマミさんが素直に認めてくれるだろうか。
 考えが上手くまとまってくれません。
 頭の中でぐるぐる思考を回し続けるほむらちゃんを差し置いて、まどかちゃんは先輩へと身を
乗り出しました。
「マミさん、コブラってどんな奴なの?」
 マミさんは人差し指で自分の唇を触りながら、天を仰いで断片的な記憶を辿ります。
「えっと確か――左腕の仕込み銃でしょ、それから――あ、パートナーのレディって人がいたわ」
 まどかちゃんは魔法少女の設定を記したノートを開き、新しいページにマミさんがつぶやいた
キーワードを書きこみます。想像した姿を絵にしようと思ったところで、
マミさんがまどかちゃんを押し留めてノートを閉じました。
「実物を見た方が早いと思うの。私は今コブラのマンガを持っていないから、鹿目さんが調べて
描いてくれる?」
「わかったわマミさん。ほむらちゃんのこと、私に任せて!」
「あの……その……」
「ほむらちゃん、私がほむらちゃんをかっこよくしてあげるね! その海賊コブラみたいに!」
「あ……は、はい……」
 当事者であるほむらちゃんの意思を置き去りにしたまま、魔法少女たちの作戦会議(という
名目で催されたマミさんのお茶会)は終了しました。

433宇宙冒険ほむらやん〜SPACE ADVENTURE HOMURA THE ANIMATION:2011/09/17(土) 00:10:22
 翌日の夕刻。昨日の作戦会議と同時刻といったところでしょうか。
 二人の魔法少女が、ふたたびマミさんのマンションに集結しておりました。
 一人は当然のことながら、部屋の主であるマミさん。そしてもう一人は、ほむらちゃんでした。
 まどかちゃんは保健委員の会合があったため、残念ながら今日のほむらちゃんドレスアップ会
(もとい魔法少女の作戦会議)は欠席です。
 ――巴さんと差し向いでの着替え、か。
 ほむらちゃんは心ここにあらずといった様子で、小刻みに震え続けておりました。
 ほむらちゃんが心酔しているそのまどかちゃんが、さらに尊敬しているベテランの魔法少女。
加えて実生活でも、新しく通い出した見滝原中学の先輩でもあります。
 ただでさえ気安くは口を利きにくい相手なのに、二人のクッションとなってくれるはずだった
まどかちゃんは不在ときています。
 ほむらちゃんは只戸惑うばかり。
 マミさんに失礼のないように、マミさんの気分を害さないように、できれば怒らせないように。
 ほむらちゃんはマミさんの寝室に足を踏み入れてからも、そんな気弱なことばかり考えておりました。
「ねえ暁美さん」
「ひっ」
 マミさんに声を掛けられると、どうしても身じろぎしてしまうほむらちゃんでした。
 小心を通り越して卑屈ささえ感じられるほむらちゃんの態度に、マミさんは小さく溜息を吐きます。
「そろそろ私にも心を開いて欲しいところなんだけどね」
「……す、すみません」
「ほら謝らないの。謝るのは悪い事したときだけ。暁美さん、あなた何か悪い事したの?」
 首を勢いよく振って否定するほむらちゃん。心臓の病気でずっと入院していた引っ込み思案な
娘としては、十分に元気で強固な意思表示と見るべきでしょう。そんなほむらちゃんの態度に、
マミさんは頷きました。
「よし。じゃあ本題に入りましょうか」
 マミさんは通学カバンを床に置くと、中からノートを取り出します。その正体に気付くや否や、
ほむらちゃんの頬にほのかな紅が差しました。
 まどかちゃんが魔法少女の設定を書き込んだノート。
 念のため申しておきますが、決してポドリムス人が落したドリムノートではありません。
 閑話休題。
 ノートの一番真新しいページに、陽気でマッチョなオッサンのラフスケッチが、まどかちゃん
らしく可愛いタッチで描かれていました。
「かっこいい、のかな……どうなんでしょう巴さん?」
「うーん……」
 マミさんは少しばかり首を傾げて、
「でも小さい頃に見た海賊コブラと大体同じような気がする。これでいいんじゃない?」
「それにしてもすごく絵が上手ですね、鹿目さんって」
「そうよね。あの子私よりずっと絵心があるから、こういうのつい頼んじゃうのよ。絵の描ける
人って羨ましいわ。ねえ暁美さん、そう思わない?」
「はい、……私も羨ましいです」
 珍しく打ち解けた様子のほむらちゃんとマミさん。元々二人とも、まどかちゃんが大好きです。
ですからまどかちゃんの話題だと場が持つのですね。
 その場に居合わせずして仲介役を果たす辺り、さすがまどかちゃん。まさに面目躍如ですね。
「このノートを書いてきてくれた鹿目さんのためにも、頑張ってコブラを目指しましょう、ね。
暁美さん」
「は、はい!」
 マミさんから改めて言われるまでもなく、ほむらちゃんは目を皿にして、まどかちゃんの研究
成果を目に焼き付けます。
 中でも彼女の注意を引いたのは、まどかちゃんが書き記したコブラとしての必須条件でした。
『これを忘れちゃダメ!コブラじゃなくなっちゃうよ!』と一際大きく書かれた赤のサインペン
文字の下に列挙されています。
 少し読んでみましょう。

・左腕のサイコガン。
・パートナーのアーマロイド・レディ。
・ピッチリとした全身タイツ。
・トレードマークの咥え葉巻。

434宇宙冒険ほむらやん〜SPACE ADVENTURE HOMURA THE ANIMATION:2011/09/17(土) 00:11:42
「つまりこの四点を抑えれば、完璧なコブラになれるって訳ね」
マミさんの説明口調に、ほむらちゃんは力強く頷きました。
「じゃあさっそくサイコガンを!」
「慌てないの。まず銃なんてどこで手に入れるのよ?」
 日頃からマスケット銃を乱射しているとは思えない、マミさんにしてはえらく常識的な意見を前に、
ほむらちゃんは返答に窮しました。
「えっと、やくざさんに貸してもらうとか……」
 心臓病で長い間入院していた引っ込み思案な娘にしては、えらく斜め上にぶっ飛んだ発想です。
さすがのマミさんもこれは慌てて止めました。
「ダメダメ!それは暁美さんが危険な目に遭いすぎるでしょう?」
「じゃあ、巴さんの銃を……」
「せっかく仕込み武器として使うのに、単発銃じゃ使い勝手が悪すぎるでしょう?」
 マミさんはそういいますが、仕込み銃の本質は不意打ち狙いの一撃必殺にあります。ですから
たとえ単発式でも十分強力だとは思われます。
 とはいえ仕込み銃が単発式では、コブラっぽさが微妙に足りなくなってしまうのは事実でした。
単発銃ではサイコガンの連射性能には遠く及びません。
 何か方法はないものか。マミさんは伏し目がちな三つ編み眼鏡っ子にアイデアを出してみます。
「暁美さんの魔法で銃を召喚できないの? あるいはロックバスターとか空気砲みたいな魔法は
使えないの?」
「それは……」
 魔法少女とはいえ、ほむらちゃんは時間を止めることしかできません。マミさんのような回復
魔法も、まどかちゃんのような攻撃魔法も使えないのです。
 それはほむらちゃんの能力を確かめた時にマミさんも知ったはずの事実でした。最初の契約内
容で魔法の性質が決まる以上、今更ほむらちゃんの魔法の性質を変えることなどできません。
 打つ手無し。重い空気が流れたのを感じ取り、マミさんは疲れをほむらちゃんに見せないよう
わざと明るい声で宣言しました。
「少し考える時間が必要ね、お互いに。暁美さん、私お茶を淹れてくるわ」
「……すみません」
「ほらまた謝った。悪いことしてないんだから、謝る必要なんてないのよ。こういう時はどう言
えばいいのかしら?」
「あ……ありがとうございます」
「よろしい。よくできました」
 マミさんはそう言い残してキッチンへ向かい、寝室にはほむらちゃんが一人取り残されました。

 ほむらちゃんがその物体に気付いたのは、まったくの偶然でした。
 マミさんの寝室でひとり、まどかちゃんのノートを一文字一文字舐め取るように熟読していた
のですが、コブラっぽくなれそうなヒントは何一つ見つけることができませんでした。
 半ば諦め気味にノートから顔を上げたその時、マミさんのベッドの枕元にそれが置いてあった
のを見てしまったのです。
 すぐさま駆け寄って、ほむらちゃんはその奇妙な物体を手に取りました。
 ピンク色で少し変わった形状をした、プラスティックの円筒です。ほむらちゃんが見たことも
ないような、けれどどこか既視感を覚えるような細工が施してあります。
「……マツタケ? それともハニワかな?」
 ほむらちゃんは棒の全体を三百六十度俯瞰して、その特殊な棒を左手に握ってみました。
 全体的な形状は、隻腕のハニワに近いかもしれません。けど頭にマツタケのような笠を被った
ハニワなんて実在したのでしょうか。
 仮にこの棒がハニワではなくマツタケを模したものだとしても、こんな左右非対称な形状をした
マツタケなんてあるのでしょうか。それになぜ、根元にも小さなマツタケが生えているのでしょう。
 いずれにしても、ほむらちゃんはこのピンクの棒の正体を知りませんでした。棒の用途も皆目
見当が付きません。
 さらによく調べてみると、棒の根元付近にスイッチと思しき突起が見つかりました。
 ほむらちゃんは突き動かされるものを感じて、スイッチをオンに切り替えてみます。

435宇宙冒険ほむらやん〜SPACE ADVENTURE HOMURA THE ANIMATION:2011/09/17(土) 00:12:35
 ピンクの棒が不規則にうねる様は、隻腕のハニワが首を振って踊っているようにしか喩えようが
ありませんでした。
 ――なんなの?! ホントに一体なんなの、この棒は?!
 三つ編みの頭を掻き毟って苦悩します。
 なぜこんな棒がマミさんの寝室に置いてあったのか、どう頭を働かせてもほむらちゃんはその
理由を想像できません。
 その時ほむらちゃんは、変な棒を左手に持っている自分の鏡像を偶然見てしまいました。
 ――左手のサイコガン。
 そうです。
 本来ほむらちゃんがこの部屋に足を踏み入れたのは、コブラっぽさを追求するためなのです。
決して変な棒が存在する理由やその用途について悩むためではありません。むしろ変な棒だって、
コブラっぽくなるために利用してやればいい。
 眼鏡の奥で、ほむらちゃんの固い決意が光ります。
 ほむらちゃんは全身鏡の前で、まどかちゃんのラフ画をまねるように、サイコガンで天を撃つ
コブラのポーズを取ってみました。
 意外としっくり来るような気がしました。謎多き棒の正体も、本当に弾が撃てるかどうかも、
コブラっぽく見えるかどうかに比べれば些細な問題です。
 ではもう一度。
 こんどは仁王立ちの姿勢から左手の棒をを真正面に突き出し、右手で左前腕を支えつつ、
宇宙戦艦や惑星クラスの巨大な的を狙い撃つコブラのポーズを取って……

「暁美さん、お茶が入ったからリビングにいらっしゃ…」
 寝室のドアを開けたマミさんの視界に、決して他人が触れてはならない道具を左手に構えた、
三つ編み眼鏡な下級生の姿が飛び込みました。
 マミさんが血相を変えてほむらちゃんに駆け寄り、左手の棒を取り上げようとします。
「暁美さん! これどこで見つけたの?!」
 いつになく取り乱したマミさんの見幕にほむらちゃんは怯え、手に持った棒を絶対に離すまいと
握り締めたまま、心ここに在らずといった様子で答えます。
「え……そ、その、ベッドの枕元に……」
「枕の下を探したの?!」
「ちがいます巴さん! 枕元にこれが置いてあったのが見えたんです!」
「……!!」
 自分の失態を認め、マミさんは素早くほむらちゃんを離します。
 体調不良のままフルマラソンを走り終えたランナーのように膝を着き、荒げた息を整えるマミさん。
ほむらちゃんは恐る恐る尋ねました。
「あの、巴さん? この棒って何に使う道具なんですか?」
 顔を上げたマミさんの瞳に映るのは、あどけない顔立ちの眼鏡っ子が見下ろす無垢な眼差し。
ほむらちゃんが何も知らない事を、マミさんは瞳の光から理解しました。
「それはね暁美さん、どうしようもなく寂しい夜に使う道具なの。寂しくて切なくて狂いそうな夜は、
それを使って心とカラダを鎮めるのよ」
 マミさんはいつにも増してお姉さんぶった、したり顔で説明します。
 ほむらちゃんは先輩が頬を赤らめているのに気付いたものの、その理由は解りませんでした。
「巴さんでも寂しくなることがあるんですか? いつも鹿目さんと一緒に行動してるのに?」
「そういうのとはちょっと違うんだけど……」
 マミさんは顔を赤らめたまま、答えにくそうに目を逸らしました。

436宇宙冒険ほむらやん〜SPACE ADVENTURE HOMURA THE ANIMATION:2011/09/17(土) 00:13:31
 これは珍しい。
 相手と目を合わせられずに伏してしまうのは、本来ほむらちゃんの専売特許であるはずなのに。
いつも自信に満ち溢れたマミさんが、ほむらちゃんみたいに相手の顔色を伺う態度を取るなんて。
「まあいいわ。暁美さんも女の子だから、いつか解る日が来るから」
「今じゃダメなんですか? それにこの棒って、どう使えば寂しさを鎮められるんですか?」
「女の子ならいつか解る日が来るからっ!!」
 質問に一切答えず強引に話を切り上げるマミさんの見幕に、ほむらちゃんは怖気づいてそれ以上
話を続けることができませんでした。
「暁美さん、ちょっとさっきの構えを取ってみてくれる?」
 ほむらちゃんは怯えた目で無言のまま頷きます。ではもう一度。
 仁王立ちの姿勢から左手の棒を真正面に突き出し、右手で左前腕を支えつつ、宇宙戦艦や惑星
クラスの巨大な的を狙い撃つコブラのポーズ。
 やたら素早く首肯するマミさんのアピールが、非常にわざとらしく大げさに見えたのですが、
ほむらちゃんはその事を指摘しませんでした。
「今のポーズ、とてもコブラっぽく見えて良かったわ。これでサイコガンの問題は解決したから、
次はパートナーのアーマロイド・レディね」
 強引に話をまとめ上げると、マミさんは黄色いソウルジェムを取り出して何やら祈ります。
魔法を使ってマミさんが呼び出した道具は、果たして――

 ヘルメットにも似た、真黒なフルフェイスのマスクでした。
「ウォーズマンのマスクじゃないですか! どうして巴さんがそんなモノを持ってるんですか?」
 コブラを知らないのにウォーズマンを知っている辺り、ほむらちゃんの知識も偏っております。
どこでキン肉マン読んだんだ。
「これはね、いざって時に頭を守るための防具よ。頭は大事にしなきゃ、ね?」
 その後マミさんが辿るだろう運命を思うと、シャレにもならないセリフです。が、今は敢えて
突っ込まないでおきましょう。
「ウォーズマンのマスクを被ったぐらいで、アーマロイド・レディになれるのかな……?」
 当然の疑問を呟いたほむらちゃんですが、
「しゃらっぷ!!」
「ひぃっ!!」
 ほむらちゃんは黄色いリボンでムチ打たれました。
 ウォーズマンマスクを被ったマミさんが鬼コーチよろしく、しなを作って床に倒れて涙ぐんだ
ほむらちゃんを叱責します。
「たとえマスクがレディじゃなくてウォーズマンでも、気の持ちようでいくらでもコブラになれ
るのよ! 暁美さん、じゃなくてコブラ!」
「は、はい! 巴さん!」
 再びマミさんが黄色いリボンでほむらちゃんを打ちます。ウォーズマンというよりロビンマスクだな。
「今の私は巴マミじゃないわ。コブラのパートナー、アーマロイド・マミィよ」
 コーホー。
 マミさん、もといマミィはマスクに内蔵された変声器を通して、機械じみた呼吸音を発します。
 コーホー。
「さあ暁美さん」
「コブラ、ですけど?」
「……もといコブラ、これでパートナーの問題は解決したわ」
「その、私、できればパートナーは鹿目さんがいいです」
 オドオドしながらも図々しいほむらちゃんを、黄色いリボンが再びムチ打ちました。
「パートナーの問題は解決したわコブラ。次はピッチリとした全身タイツの番ね」
 マミさん、もといマミィはすっかりコブラの世界に入り込んでしまったようです。
 それにしてもマミィの呼吸が苦しそうです。ウォーズマンのマスクなんか被ってたら、普通は
窒息して死んでしまいます。
 マミィの思考がどこか狂いはじめているのは、ひょっとして既に彼女が酸素欠乏症に罹患して
いるからでしょうか。

437宇宙冒険ほむらやん〜SPACE ADVENTURE HOMURA THE ANIMATION:2011/09/17(土) 00:14:52
 二人で協力してマミさんのクローゼットを探し回っても、ほむらちゃんの体形に合うサイズの
全身タイツなんてありませんでした。
 さにあらん。ほむらちゃんにとってピッチリとしたサイズの服なんて、マミさんが着ることは
できません。特に胸周りが小さすぎて。
 着られない服など元々持っているはずがない。そんな物をマミさんの部屋で探すのが間違って
いたのです。
「暁美さん!」
「は、はい!」
 マミさんのおかしなテンションを前に、ほむらちゃんは「今の私はコブラじゃないんですか?」
と突っ込みを入れるのも忘れてしまっておりました。
「全身タイツは仕方ないにしても、何かピッチリした服は持ってないの?」
「ま、前の学校で使ってた水着とかじゃダメですか?」
「それよ!今すぐ着替えなさい! ああピッチリしてるわ、これで全身タイツの問題も解決よね、
次は葉巻だけど……」
「あの、巴さん。私たち中学生だから、葉巻はダメなんじゃ……」
「葉巻の代わりに咥えるものぐらいあるでしょう! そうよ、これだったらイケるんじゃない?」
「そんな! ねえ巴さん、ロッキーとかうんまい棒とかじゃ咥えちゃダメなんですか?!」
「ダメよ! ロッキーじゃ細すぎるし、うんまい棒みたいなジャンクフードは体に良くないわ!
だいたい咥えロッキーだなんて、隣町のあの娘とキャラが被るじゃない!」
「だからって、だからってそんなモノを口に咥えるなんて……ほむぅ?!」

 こうして、ほむらちゃん改造計画は一応完了しました。
 それでは気弱だった三つ編み眼鏡っ子が、どれほど宇宙海賊コブラに近づいたのか。
 ひとつひとつコブラらしい要素を検証してみましょう。

・左腕のサイコガン――のつもりで持った、用途不明なピンク色の棒。
・パートナーのアーマロイド・レディ――っぽくウォーズマンマスクを被ったマミさん。
・ピッチリとした全身タイツ――は無かったので、代わりに前の学校のスクール水着。
・咥え葉巻――は犯罪なので、代わりに咥えたのは脱ぎたてのほむらちゃんパンツ。

 完璧です。
 まどかちゃんが調べてくれた情報を完璧に再現したはずなのです。
 なのに鏡に映った二人の姿を見ていると、自分たちが致命的な間違いを幾つも犯しているかの
ように思えてくるではありませんか。
 二人の異様な格好が醸し出すイヤな空気が、寝室の壁や床を鳴らします。
 地響きにも似た不気味な重低音が、一帯を支配しているような気がします。
 煉獄ほどに重苦しい空気の中、ほむらちゃんもマミさんも一瞬言葉を失ってしまいました。

「と、巴さぁん……」
 パンツを咥えたスクール水着姿のほむらちゃんが、泣きそうな目でマミさんに助けを求めます。
ウォーズマンマスクに隠れて、マミさんがどんな表情を浮かべているのかは伺い知れません。
ですがマミさんが平静を失っていることだけは、ほむらちゃんにも察することができました。
「決めゼリフよ暁美さん! かっこいいセリフが決まれば、少しはコブラっぽくなるかも!」
 動揺のあまりすっかりマミィのキャラクターも忘れたマミさんが、上ずった声で助言します。
「『銃を向けられるたびに五セントもらっていたら、今頃大金持ちだぜ』みたいなセリフですね?
わかりました!」
 ほむらちゃんはマミさんに同意して、まどかちゃんのノートを拾い上げました。
 書き込みの一つに、コブラがここ一番の名場面で使った決めゼリフが色々と並んであります。
それら決めゼリフを纏めた項目に、まどかちゃんの似顔絵がアドバイスを付け加えておりました。
『とにかく短くてわかりやすいセリフが肝心! ちょっと相手をからかってみること!』と。

 ――鹿目さん、私がんばる!最後まであきらめない!
 
 ほむらちゃんは決意を込めた視線をマミさんに送り、鏡の前に立ちます。
 目に映るのは、パンツを咥えたスクール水着姿の貧相な眼鏡っ娘。
 短くて解りやすいセリフで、ほむらちゃんは鏡の中の小娘をコブラっぽくからかってみます。

438宇宙冒険ほむらやん〜SPACE ADVENTURE HOMURA THE ANIMATION:2011/09/17(土) 00:15:36
「ヒューッ! 奴の胸を見ろよ、まるでまな板だぜ?!」

 ……自分はなんてバカな娘なんだろう。
 ほむらちゃんはガックリと膝を着いて床に目を落しました。眼鏡のレンズに熱い涙が滴り落ち、
分厚いレンズを内側から汚します。
 やはり駄目なものは何をやっても駄目でした。
 ほむらちゃんもマミさんも――途中からは主にマミさんが――頑張って近づこうとしたのに、
 やればやるほどコブラから遠のいてしまっているように思えてきます。
 これではかっこいい宇宙海賊どころか、ただの変態さんです。ただの変態さんならまだしも、
さらにまな板ときたものです。
 少女たちの努力は報われませんでした。世界はなんと理不尽で残酷なのでしょう。
 魔法少女としての務めを一生懸命果たそうと努力を重ねるほど、世間の基準でいう非行少女に
いっそう近づいてしまうぐらい理不尽な話です。
 そんな悲しい不条理な世界が、あっていいものでしょうか……

 重苦しくイヤな空気を切り裂いて、聞き覚えのある元気で明るい声が寝室に届きました。
「マミさ〜ん、ほむらちゃ〜ん。ごめんね委員会が遅くなっちゃって。どう? ほむらちゃんは
コブラっぽくなったかな?」
 寝室のドアを開けたまどかちゃんは、中を覗いた途端に凍りついてしまいました。
 なぜってそこにいたのは、かっこよくサイコガンを構えた宇宙海賊コブラではなくて……

「どうして、どうしてなの?ほむらちゃんがそんなモノを持ってるなんて……」
「鹿目……さん?」
 顔から血の気が失せたまどかちゃん。ほむらちゃんは彼女の異変を察して、何があったのかと
問いかけました。
「そのピンクのおちんちんみたいな形の棒、あたしさやかちゃんの部屋で見たよ。さやかちゃんが
持ってたのと色も形も一緒……」
「え?」「え?」
 ほむらちゃんとマミさんが、ほぼ同時に驚きの声を上げました。
 ほむらちゃんは手にした棒の正体に。マミさんは、顔立ちも体形も幼い後輩がこの棒について
『すべてを知っていた』という事実に。
 もちろんほむらちゃんもマミさんも、相手が驚いた理由まで気が回りません。
 それだけまどかちゃんの指摘に戸惑っていたのです。
 動揺していたのは、まどかちゃんも同じでした。自分が幼馴染の重大な秘密をしれっと暴露
してしまった事にも気付いていません。
「ねえほむらちゃん、ほむらちゃんはそれ全部入っちゃうの? ずっぽり奥まで入っちゃうの?」
 まどかちゃんが何を言っているのか、ほむらちゃんには全く理解できません。
「さやかちゃんだって、中に入れるのはまだ怖いからイヤって言ってたのに……だから使う時は
先っぽだけだって言ってたのに……」
 理解できないがゆえに、まどかちゃんの問いを肯定することも否定することもできません。
 ほむらちゃんはただオロオロと狼狽するばかり。そんなほむらちゃんの態度が、彼女の意に反
して間違ったメッセージをまどかちゃんに送ってしまいます。
 沈黙を肯定と受け取ってしまったまどかちゃんは、
「そんな……やっぱりほむらちゃん、そんな太いのが全部入っちゃうんだ!そうなんだ!
しかもする時は水着で、パンツ咥えて……ほむらちゃんいつもそうやってるんだ……」
 真っ青な顔に血色が戻ってくるや、まどかちゃんの瞳がうるうると涙を湛えてゆき、

「ほむらちゃんの特殊性癖―――――――――――――!!」

 泣きながら駆け去ってゆくまどかちゃんを追いかけて、
「違うの、違うの鹿目さん! この格好はコブラの……」
 スクール水着姿のまま、左手にピンクの棒を持ち、口元のパンツを風にたなびかせて駆け出した
ほむらちゃんを追って、
「待ちなさい暁美さん!それに鹿目さん!」
 ウォーズマンのマスクを被ったまま、マミさんが玄関を飛び出します。
「ほむらちゃんが、ほむらちゃんが、あんな変態さんだったなんて……!」
「まって鹿目さん! 違うの! 私はただ、コブラみたいにかっこよくなりたかっただけなの!」
「暁美さん待ちなさい! そんな格好を誰かに見られたら、明日から学校に通えなくなるわよ!」
 夕陽を背景に川辺を全力疾走する三人娘のシルエットが、ふたむかし以上前に放送された古臭い
青春ドラマのような、昭和の香りを漂わせておりました。

439宇宙冒険ほむらやん〜SPACE ADVENTURE HOMURA THE ANIMATION:2011/09/17(土) 00:16:00
 ところで、今回はキュゥべえの出番が全然なかったような気がするのですが。
 キュゥべえさんあんた何してたの?
「知るかバカ! そんな事より契約だ!」

<<終>>

440429:2011/09/17(土) 00:17:58
以上まで投下をお願いいたします。
なお当方のミスで一部のレスをageてしまいましたが、代理の際は全てsageでお願いします。

441名無しさんが妄想します:2011/09/19(月) 18:24:05
>>428いってくる、投下完了までしばらくお待ちください

442名無しさんが妄想します:2011/09/19(月) 18:34:10
終了しました。
名前欄を短く&レスの通し番号書いてくれるともっとよかった

443429:2011/09/19(月) 18:58:03
ありがとうございました

レスの通し番号にはいつも悩まされます
行数や容量は計算しているはずなのですが、
実際に投下してみるとerrorを頻発させて結局前後してしまうので

444名無しさんが妄想します:2011/11/06(日) 20:54:43
代行をお願いします

書き込みたいスレ:エロパロ板自治スレッド11
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1238791725/

名前欄:書き込み代行依頼
メル欄:age
本文は以下の通りです。

>>491の件は↓絡みで、荒らしを拒むなら、
自治スレで審議してBBS_NINJA=checkedを入れろってことを言ってるみたいだな

ttp://qb5.2ch.net/test/read.cgi/sec2chd/1318664715/431
> 431 名前: ◆G3E3Ee8IMBFg-隠居♪ [] 投稿日:2011/10/19(水) 14:03:42.38 ID:rtn7HsDb0
> >>414
> ふむ、
>
> 誰かがやってしまうとみんなお客さんになっちゃうから
> 自分の居場所は自分で面倒見るにしたいから
> それを拒む板、受け入れる板いろいろあっていいと思う
> そして最終的にその人が行き着く板が決まるんだと思う
> 私はそうしたい。
>
> BBS_NINJAの値をそれぞれの板で決めろと、
> chekedでもnashiでもご自由にネ
> それぞれどうなるかは十分みたはずー

ttp://qb5.2ch.net/test/read.cgi/sec2chd/1318664715/972
> 972 名前: ◆G3E3Ee8IMBFg-隠居♪ [] 投稿日:2011/11/04(金) 13:48:37.71 ID:J4eSjgSn0
> BBS_NINJAの設定がないところは BBS_NINJA=nashiとbbs.cgiで読み替えるかな、
> 設定の無い板がcheckedを導入するわけでもなく只報告するだけでいまいちだから、
> つまり設定の無い板も報告禁止。

445名無しさんが妄想します:2011/11/06(日) 21:16:07
やたらと塵スレが多いんでageますね

446名無しさんが妄想します:2011/11/07(月) 02:13:55
行って来ました。名前欄は勝手に変えておいたけどいいよね?

447444:2011/11/07(月) 19:15:55
>446
確認しました。 お疲れ様&Thxなのです

448名無しさんが妄想します:2011/12/27(火) 14:50:53
依頼受付中!

449名無しさんが妄想します:2012/06/01(金) 12:23:38
誰かいらっしゃいますか……?

450おっちゃん牛乳 ◆2nkMiLkTeA:2012/06/01(金) 15:03:15
以下のSSを代行していただけるかたがいらっしゃれば、
よろしくお願いします

【投下したいスレのスレタイ】
女の子に催眠、洗脳されてしまうスレ3
【投下したいスレのURL】
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1334150545/

SSは以下になります

451犬と彼の十の約束 ◆2nkMiLkTeA:2012/06/01(金) 15:04:58
「犬とわたし、どっちが大事なの?」
 それは、自分からしてみれば、突拍子もない質問だった。
 しかし相手は、不意に呼び出した用事として、それは適当だと疑い無い仏頂面でこちらを見ている。様子から、相当頭に来ているようだというのは、簡単に見てとれた。
「そんなの」
 どう答えればいいだろうか。いや、彼女がどう言って欲しいかは分かっている。つまりは撿撿
『そんなの、もちろん君じゃないか』
 そういうことだろう。これを言えば、彼女の溜飲をちょっとは下げられるだろう……しかし彼は、正直に答えた。
「そんなの、どっちも大事に決まってるじゃないか」
 訂正したい。正直ではなかった。
 確かにどっちも大事だが、本当は、6対4撿撿いや、7対3くらいで愛犬のほうが大事だ。
 目の前の彼女と違い、犬の方はもう一緒に暮らしている家族なのだ。仕方がない。
 でも、それを本当に正直に言えば、まあ、彼女との関係が終わるのは目に見えている。
 しかし、彼女は、その少々嘘の入った答えにさえ不満があるようで、仏頂面を更に険しくさせていた。尚も抗弁する。徒労感を感じつつも。
「アイは家族なんだ。君だって大切だけど、どっちがなんて言えないよ」
「だからって、犬のためにわたしとの約束を破るなんて」
 拗ねている。そういった声だ。これならまあ、まだ弁解の余地はある。
「それは謝るよ。でも、言っただろう?アイの具合が急に悪くなったんだ。アイはもう14歳だし、心配で」
 14歳。犬の年齢で言えば、そろそろ寿命と言っていいのだ。愛犬のアイは、普段はそうとは思えないくらい元気いっぱいだけど、やはり具合が悪ければ心配はひとしおだった。
「それは分かるけど……」

452犬と彼の十の約束 ◆2nkMiLkTeA:2012/06/01(金) 15:05:32
 糸口が見えた。弁解の。彼女だって鬼ではないのだから、正当な理由があれば、怒りきれないはずだ。
「おかげでアイの具合もよくなったし、埋め合わせはするからさ」
「……」
 ついに、彼女は黙った。もう一押しだろう。
「……でも、あなたはいつだってそうじゃない。アイ、アイって……犬のためにお泊まりも、夜遅くもダメで……部屋に遊びにも行っちゃダメなんて」
「それは」
 彼女の主張は、分からなくはない。でも、
「それは、最初に言ってあっただろう?アイは大事な家族で、僕は独り暮らしだし、面倒は僕が見るしかないって」
 彼女も、最初はそれでいいって言ってくれたのに。
「アイは人見知りが激しいから、友達や、ペットホテルに預けるなんてこともできないし、しょうがないじゃないか。犬は、僕があげなきゃご飯だって用意できないんだから」
「そりゃ……そうだけど」
 未練がましく、彼女は続けてきた。でも、もはや最初の勢いも、仏頂面も保っていない。
「せめて、あなたの部屋に行くことくらい」
「それはまあ、おいおいね」
 それも、彼女と将来を考える段階が来れば、避けては通れない道だが、彼女とはまだそこまでの関係ではない。
「じゃあ、話は終わりでいいかな?さっき言った通り、埋め合わせはするよ」
「じ、じゃあ!この後」
「ごめん」
 そう言って、彼は立ち上がった。
「もう門限間近だ。アイのご飯があるから」
 じゃあ、ばいばいと手を振って、伝票を持ってレジに向かう。それを見送る彼女の、捨てられた犬のような表情は、彼の目には入らなかった。

453犬と彼の十の約束 ◆2nkMiLkTeA:2012/06/01(金) 15:05:58
◆◇◆◇◆

 扉を開ける瞬間、身構える。予想通りの衝撃を、今日もなんとか抱き止めて、ぶつかってきたものの頭を撫でた。
(本当は、ここで撫でるのはよくないんだけどね)
 撫でるということは、褒めることになる。この、『お出迎え』を容認したことに。
 それでもいつも撫でてしまう。だって、可愛いんだもの。
「ただいま、アイ」
 声かけられたアイは、まっすぐこっちに顔を向けて、嬉しそうに舌を出して息を荒くしている。前足は彼の胸に添えられて後ろ足で立っている。アイは断尾しているので尻尾はないが、あれば物凄い勢いで振っていることだろう。
 アイはその体勢から、さらにつま先立ちになり、彼の顔に口を届かせると、思いきり唇と唇を合わせてきた。最初は何度も唇を押し付けるだけだったが、ついには舌を彼の口内に侵入させた。
 彼もそれに素直に応え、アイとのキスを楽しんだ。それを終えるまで数分かかった。
「……ふぅ、落ち着いた?」
 彼の言葉を聞いているのかいないのか、今はもう、彼に寄りかからずに“一人で立った”アイは、まだまっすぐ彼のことを見ていた。
「まったく、アイのせいで帰ったらいつも顔を洗わなきゃいけないじゃないか」
 毎日、よく飽きもせず、自分の顔を涎まみれにできるものだ。
 まあでも、ここまで純粋な親愛の表現をされて、悪い気はしない。彼が犬を好きなのは、人間と違って、犬は嘘をつかないからだ。
 彼が洗面所に向かうと、アイはとことこついてくる。甘えんぼのアイは、家の中で彼から離れることはない撿撿トイレにもついてきて待たれるのは、正直止めてほしいけど。
 洗面所で顔と手を洗い、ついでに少し湿らせたタオルでアイの顔も拭いてやる。アイも既になれたもので、嫌がるそぶりもなかった。
 その後、彼は晩飯の準備を始めた。アイもキッチンの中で待機している。
 犬を料理場にいれるなんて、と思う人もいるかもしれないが、アイはほとんど毛がない種類だし撿撿その為、服を着せるようにしている。昔は犬に服なんてとも思っていたが、実際に愛犬に着せてみると、確かに可愛いし、最近はお洒落をさせる楽しみに目覚めてしまった撿撿、その少し生えている毛もそれほど抜けないので、彼は気にしなかった。
 それになんとアイは撿撿彼女には犬は自分でご飯の準備をできないと言ったが撿撿、賢いので料理の手伝いもできるので、むしろキッチンにいてくれたほうがいい。
「お皿取って。カレーのお皿ね」
 言われてアイは、間違えることなく、いつもカレーを盛り付けるお皿を二つとった。このくらいアイにはできて普通なのだ。

 その後もアイに手伝ってもらって、夕御飯はすぐにできた。持つべきものは賢い愛犬だ。
 彼は正直、これなら恋人もいらないのではないかと思った。
 アイは賢いので、人間とほぼ変わらないくらい家事ができるし、人間と違って素直で、彼を裏切ることなんてありえないのだから。
「じゃあ、食べようか」
 彼がそういうと、アイも彼と同じ食卓に腰かけた。
「いただきます」
「いただきます」
 アイは滅多に鳴かないけれど、たまに聞くその声はとてもかわいい。彼はカレーを食べ始めたアイを見ながらそう思った。

454犬と彼の十の約束 ◆2nkMiLkTeA:2012/06/01(金) 15:11:53
以上です。短編のエロ無しですが、よろしくお願いします。

455名無しさんが妄想します:2012/06/01(金) 19:28:38
いってきます、終了までしばらくお待ち下さい

456455:2012/06/01(金) 19:45:55
終了。長すぎてエラーになる行のみ勝手に改行しときました。
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1334150545/254-256

457おっちゃん牛乳 ◆2nkMiLkTeA:2012/06/01(金) 20:03:41
>>456
ありがとうございます。
確認致しました。助かりました。

458名無しさんが妄想します:2012/08/22(水) 06:18:43
SSの代行をお願いします。

【スレッド名】不気味なモノに寄生されて虜になる娘!!Part17
【スレッドのURL】ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1329626386/

名前欄は各レスの名前欄に準じ、メール欄は全てsageでお願いします。
お手数をおかけしますが、本当に申し訳ありません。
注意書きが一レス、そのあとが文章です。
これより以下となります。

459五行戦隊:2012/08/22(水) 06:19:35
五行戦隊 第五話
『寄生化スーツ』

悪堕ち寄生モノ第五話です。
以下投下開始。

460五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(1/20):2012/08/22(水) 06:20:29

睦美は蔓を素手で掴んだ。
触肉の先端部は瞬時に石化し、ぼりぼり音を立てて握り潰される。
石化がほかの部位へ伝染し始めると、トカゲの尻尾のように蔓が断ち切り、
翠のところへ戻ってその右腕に巻きつく。

触手の残骸を握ったまま、睦美は翠を見つめる。
学校で別れた時と比べ、少女の様子は随分と変わった。

触手化したコスチュームは、かつてのデザインをもとに大胆なアレンジが施されていた。
胸の谷間や背肌は露出し、匂い立つような色香が伝わってくる。
足の付け根は過激にカットされて、むっちりとした尻肉や太ももを見せ付ける。
体を覆う肉布の隙間からところどころ蜜液が溢れ、いやらしい連想をさせる。

もともと端正な顔立ちも、今では常時欲情しているかのように赤く染め、
異性を誘惑するような息を吐露する。
羞恥なのか快楽なのか、彼女の全身がビクビクと震えていた。
それが潤んだ瞳や切ない表情と合わさって、見る者の嗜虐心を刺激する。

更に異様なのは、彼女の服だった。
植物の蔓のような触手が布地のように繋ぎ止め、
肉付きの良い体を足のつま先までぴっちり包む。
繋ぎ目のところから見え隠れする裏側の繊毛や、ねっとりとした粘液。
そして何よりも不気味な、服の表面にある多数の目玉。
その邪悪な雰囲気は、鈴華のそれとまるっきり同じだった。
ただ鈴華の色は淀んだ黄色に対し、翠の装束は鬱蒼としたダークグリーンである。
いずれも元の五行霊服の面影を残しながらも、おぞましいまでに変貌した触手スーツ。

怪奇ではあるが、それ以上に妖しい魅力を感じさせる姿だった。
あの慎ましい翠がこれほど凄艶に変貌できるとは、
親友である睦美にも想像がつかなかった。
もともと豊満だったバディは触手服によって、余すところ無く性的な興奮を焚きつける。
だがそれが魅力的であればあるほど、睦美は心に痛みを覚えた。

背中で急上昇する温度を感じる。
首に降りかかる息は、溶鉱炉から吹き出る火の粉のように熱くて痛い。
振り返らずとも、背後にいる灯の怒りを感じ取る。
そのまま自分までが沸騰しないよう、睦美はできる限り冷静な口調で尋ねた。

「あなたはいつ妖魔側になったの」
「……昨日から」
「清見はどこ」
「森の奥、あなた達を逃したところ」
「これからどうするつもりだ」
「二人とも妖眼蟲に寄生させてもらうの。……私や、鈴華と同じように」
かつての仲間であり、正義の味方であった少女は静かに答える。
その言葉も態度も、睦美にとって残酷なものだった。

461五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(2/20):2012/08/22(水) 06:21:16
騒ぎ立てる灯を制して、睦美はため息を吐く。
「驚いたな。まさかあなたほどの人間が、そこまで堕ちるとは」
「……」

後ろめたいからか、翠は視線をそらしてうつむいた。
「心配する必要はありません。一度されてみれば、
 あなた達もすぐに私と同じ気持ちになれます」

「妖魔に屈するつもりは無いね」
「だがあなた達には勝ち目はありません」
「そんなのやってみなきゃ分かんないじゃん!」
灯は睦美の背中から頭を伸ばして、「べーだ」とあかんべを作った。

そう、と翠はただ悲しげに呟いた。
次の瞬間、彼女の体を覆う触手スーツはにゅるりと音を立ててうねり始める。
服の表面にある妖眼は獰猛な緑光を放ち、
あたりの妖気と淫気は一段とこまやかになっていく。
その妖気に刺激されたか、妖樹の群れはシュルシュルと音をあげながら前進する。
だが先頭に立つ翠はそれを腕で止める。

「この戦いは私だけのもの。あなた達は下がりなさい」

翠の服の胸元にある目玉が強烈な眼光を放つと、妖樹の群れはピタリと動きを止めた。
その光景に、睦美はチクリとした痛みを感じた。
彼女はすでに手足のように、下級妖魔を扱うことができる。
それが何よりも妖魔の一員となった証拠である。

戦端は唐突に開かれる。
翠は腰まで及ぶロングヘアを優雅にかき上げた。
周囲に一陣の薫風が舞い上がり、綺麗な長髪がサラサラと流れる。
どこからともなく花びらが現われ、ふらふらと睦美達の方向へ吹いてくる。

ほぼ同時に、睦美は人差し指と中指で印を結んで地面を突いた。
一枚の巨岩が地表から急速にせり上がる。
ただ浮かんでいるように見えた花びらは、
まるで発射されたカッターナイフのように次々と岩に刻んだ。
岩に受け止められた花びらはその場で青々しく変化し、
まもなく刻み込んだ溝から苗が生え出た。

苗の生長が終わるよりも速く、睦美は岩をまるごと放り投げた。
疾走しながら翠は蔓鞭を縦一線に振り上げ、
すでに内部まで植え崩された巨岩はその一撃によって砕かれる。
降り注ぐ土石の中から、翠は睦美達に急接近する。
彼女が踏みつけた土に草花が生え、睦美のテリトリーだった砂地を緑に作り変える。

睦美は相手の動きを目で追いながら、背中に一筋の冷や汗を流した。
相性は、断然こっちのほうが不利である。
その上自分は一歩も動けない。

462五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(3/20):2012/08/22(水) 06:22:02

綿密な戦闘スタイルを擁する翠相手では、
こちらから仕掛けなければどんどん追い込まれてしまう。
その先手さえ譲らないといわんばかりに、翠は睦美を目掛けて蔓触手を振るわす。
だが彼女が睦美に向かって踏み込んだ途端、
足場が崩れて大きな落とし穴が現われる。

(今だ……!)
睦美は機を逃さず右の拳に霊力を溜め始めた。
狙いは全身全霊の一撃のみ。
相性をも覆し、翠の回復力でさえ追いつかない大きなダメージを。

しかし、翠は想定したよりも速く復帰した。
落とし穴から数本のツタが伸びると、
そこからラフレシアのような巨大植物がよじ登る。
開花した中から無傷な翠が現われ、蔓触手で睦美の首を絡め取る。

「おしまいです。もう降参してください」
言い終わってから、翠は違和感を覚えた。
あれほど騒がしかった灯が、戦い始まってからまだ一言も喋っていない。
睦美の背後に目をやると、
灯の顔が真っ赤なヒキガエルのように膨らんでいるのが視界に入る。

翠はすかさずラフレシアを前へ蹴り上げ、そこから飛び降りる。
一瞬速く、灯が口を広げて大きな火炎弾を吐き出す。
直径二メートルにも及ぶラフレシアは、悪臭を散らしながら灯に向かって突進する。
だがまばゆいほど輝く火球に触れると、わずかな炭屑を残して蒸発した。
火炎弾は翠の上方を掠め、明後日の方向へ飛んで行った。

灯はケホンケホンと煙を吐きながら、悔しそうに睨みつける。
あと一歩というタイミングで、狙いを邪魔されてしまった。
首より下が動けない彼女にとって、この攻撃は唯一取れる行動だった。
しかし彼女が作ったこの隙は、睦美にとって十二分の助けとなる。
彼女は緩んだ触手を振り解きながら、溜め終わった右拳を構える。

その時。
翠は忽然と睦美に顔を近付けた。
そして彼女の耳側で、小さな声で呟く。

(お願い、私に捕まったフリをして)

その言葉はどういう意図で言っているのか、睦美にはよく分からなかった。
考える暇もなかった。
凝縮しきった霊力は、ギリギリまでつがえた矢のように、発さずにいられない。
「……砕石拳!」
気合の入った一喝とともに、
睦美の右手は無数の石つぶてと砂塵を巻き上げて相手に直撃する。

463五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(4/20):2012/08/22(水) 06:22:58

翠は何もしてこなかった。
小腹に直撃を受けて、糸が切れた凧のように遠くへ飛んだ。
その様子を、睦美は半信半疑の表情で見つめるしかなかった。
力を一点に凝縮した一撃は、単純に対象を内側から破壊するのみ。
あまりにも凄まじいパワーに、睦美自身も途中で不発にすることはできない。
それを無防備に向かってくるなんて、自滅するようなものだ。

妖樹達の前で、翠は震えながら立ち上がった。
直撃を受けた触手スーツはぐにゃりと潰れ、
その部分に生えていた目玉の白身と合わせて溶け出し、
下にある少女の素肌を外気に晒す。
すぐに周りの肉布が活発に細胞分裂を繰り返し、
損傷部分を補うための緑色の液体を分泌する。
緑汁は肌の上で絡み合いながら、だんだんと繊維の形を成す。

「……お見事です……」
負傷した部分を手で抑え、口から一筋の血を流す翠。
たとえ表面の傷は妖眼蟲の力で回復できても、
体内部まで届いたダメージはそう短時間に回復できないはずだ。

「皮肉なことですね……味方だったとき、何よりも頼もしかったこの技を、
 自分の身で受けるなんて……」
翠は口の血を拭いながら、冷たい表情に戻る。

「しかし残念です。睦美さん、あなたは最後のところで迷いが生じましたね。
 本来なら、私がここで横になったままのはずです。
 その未練が、あなたの命取りとなりましょう」

翠が言い終わった途端、睦美と灯のまわりから大量の蔓が伸び出た。
不意を突かれた二人は抵抗する暇さえなく、
次から次へと現われる触手によって体を隅々まで緊縛される。

翠は更に印を結ぶと、砂を押しのけて一つの巨大植物が現れる。
それはウツボカズラのような、長い壷型の怪物だった。
壷のような捕虫器で二人を足元から頭まで一気に呑み込むと、
蓋を閉じ蔓で何重も巻いた。
ウツボの内側からもがく音が漏れ出るが、蔓が巻いていくにつれ弱まり、
やがて何も聞こえなくなった。

完全に静まったことを見届けた翠は、妖眼樹の群れを振り返る。
「この子達は私が連れて行くわ。
 あなた達はこの森に誰も入らないよう、周囲を監視してきなさい」
「「……シュルルル……」」
スライムの肉同士が擦れ合って、奇声を発しながら緩慢な足取りで散った。

その場にほかの者がいないことを確認してから、
翠はゆっくりとウツボカズラの前にやってきた。
巨大食虫植物の蓋はパカッと開き、息を求める二つの頭が急浮上する。

464五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(5/20):2012/08/22(水) 06:23:59

「ハァ、ハァ……」
「ぷはー! あと少しで窒息するところだったぜ」
睦美と灯が口を大きく開けて息を吸っている隙に、
翠は丸薬を取り出しそれぞれの口に押し込む。

「んぐぅ!」
「これは……?」
「解毒剤よ」
お腹が暖かいと感じるや否や、睦美達は鉄枷がはずれたような身軽さを感じた。
気の流れが一循すると、
それまで体にまとい付いていた悪寒がスーッと消えていく。
ついさきほどまで筋肉が動けなかったのが嘘のようだ。

灯はウツボカズラから地面に降り立ち、嬉しそうに屈伸運動を繰り返す。

「おお、体が治った!」
「即効性のものです。後遺症も一切残らないはずです」
「オレは最初から翠のことを信じてたからな。
 五行戦隊の絆は、ダイヤモンドカッターでも切れないぜ!」

灯は翠に向かってウインクしながら、ピースを作る。
その横で、睦美がゆっくり足を伸ばして着地する。

「よく言うよ。火を吹いた時は必死だったくせに」
「そ、そういう睦美こそ、マジになって翠を殴ったじゃないか」
「そうよ」
「えっ?」
「敵の目を欺くには、それくらい力を入れないと」
「なんだよ、最初から全部分かってたのかよ!」
「いいえ、私もあなたと同じ本気だったわ」

睦美はそう言いながら、翠に顔を向けた。
「敵を容赦するつもりは一切無い。あの時点では翠を敵として見ているから、
 例えかつての仲間だろうと手加減しないし、後悔もしない。
 それでいいよね、翠?」

石よりも固い信念を滲ませながら、睦美は翠を見つめた。
今度の翠は視線をそらさず最後まで視線を受けとめた。
そして、いつも学校で見せるような微笑を浮かべて。
「ありがとう、睦美。でも、手加減しなかったというのは、嘘かな」
「うーん……ちょっと、したかもしれない」
「あれれ、睦美はもしかしは照れちゃってるの?」
灯が意地悪い声をあげると、睦美はますます気恥ずかしそうに頬をかいた。

それを隠すかのように、睦美は改めて翠に尋ねた。
「ごめん、翠。まだ痛い?」
「大丈夫よ。私が今まで傷つけた人と比べれば、
 これくらい何でもないから……」

その言葉にこもる悲しい感情を感じると、睦美も灯も真剣な表情になる。

465五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(6/20):2012/08/22(水) 06:24:42

「翠、あなたや鈴華に起きたことを詳しく教えてくれない?」
「はい……」
翠はつらそうに顔を俯き、重々しく口を開く。

「全ては昨日の夜のことです。私はみんなと離れた後、
 鈴華ちゃんの影を見かけて……そして彼女に襲われたの」
「鈴華め! やっぱり原因はあいつだったのか」

「あの時点で、彼女はすでに妖眼蟲に支配されていました。
 そして、私も妖眼蟲に寄生され、彼らの……言いなりになったのです。
 そこから今までずっと」
翠は震えながら、言葉を続けた。
彼女が身に着けている触手スーツを観察しながら、睦美は慎重に尋ねる。

「これもその妖眼蟲の一種なのか?」
「はい。姿形はさまざまありますが、このタイプは人間に寄生して全身を支配し、
 精神まで浸蝕します。寄生の進行度は人によって違うみたいで、
 鈴華ちゃんはすでに心を支配されたが、私はまだなんとか意識が保てる状態です」

「鈴華は、やはり完全に敵側になったのか」
「……はい。一度妖眼に寄生された者は、速かれ遅かれ悪の心を植えつけられてしまいます。
 この妖眼蟲がある限り、私もいずれ……」
「へどが出る妖怪だぜ! こんなもの、オレがひっぺかしてやる!」

灯はいきり立って、触手スーツの襟口を掴み取った。
しかし彼女が力を入れた途端、スーツの表面にある妖眼はぎょろりと視線を集める。
翠は悲鳴を上げながら地面にうずくまり、
同時に寄生スーツから数本の触手が分裂して灯に襲い掛かる。

「灯、やめろ!」
睦美はすかさず灯を引き離す。
触手は空中でうねうね浮遊した後、攻撃対象を失ったせいか、
元の触手服に合体していく。
翠の荒々しい息遣いだけがいつまでも響き渡った。
その中にかすかな官能的な響きが含まれていたが、
睦美や灯には気付くはずがなかった。

「どうやら外から敵意を感じると、宿主の意思によらず自動的に反撃を行うようだ」
「くそっ、これじゃあ迂闊に手が出せないじゃないか!」
「一気に除去ではなく、霊力で少しずつ浄化するほかないだろう。
 いったんここを離れて、翠を安全な場所に移動させよう」

「だ……め……」
翠は熱っぽい吐息を漏らしながら、まだ身震いが止まらぬ体を無理やり立たせる。
ほのかに赤い肌色は、しらずしらずのうちに雌としての媚態を強調する。
しかし、彼女の表情は必死だった。
「私なら、大丈夫よ……それより、速く清見ちゃんを助けて!」

彼女は睦美と灯の顔を見つめ、一字一句続けた。
「今はまだ間に合うけど……速くしないと、彼女の寄生化が終わってしまう」

466五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(7/20):2012/08/22(水) 06:25:38



清見が目を覚ましたのは、蕾に三度目の激震が走った時だった。
ぶよぶよした肉色の壁は不規則にうねり、次第に大きく波を打つ。
脳髄に直接刻まれるような鋭い快感が、曖昧な意識を強引に覚醒させる。
まぶたをゆっくり開けば、肉壁についた妖眼が一斉に自分を見つめ返す。

「うぅっ……」
妖眼が怪しげな光を放つたびに、快感がさざなみとなって背筋を押し上げる。
肉壁に埋もれる四肢はまるで咀嚼されているかのように、
ねっとりとした気持ち良さが伝わってくる。
天井から滴る粘液の頻度は、明らかに以前よりも増した。
絶え間なく分泌される甘汁が顔を汚し、体に垂れ落ちる。

気を紛らそうと体を見下ろした時、清見は愕然となった。
身に付けているバトルスーツが、触手化しているのだ。

最初はただの錯覚かと思った。
だが目を良く凝らしてみると、自分の服が少しずつ蠢いていることに気付く。
粘液をたっぷり吸い込んだ布地は、ゆっくりと液状に同化されていく。
爽やかなだった青が。絵の具のような青液と化し、
そこから更にドロドロした肉質に変化する。

粘体同士が凝縮しながら濃度を高め、繊維を伸ばし合い、
新たな肉布として生まれ変わる。
それは元の清らかなイメージと異なり、暗く淀んだものだった。

青色の肉布はまるで生き物のように蠕動し、更に効率よく粘液を吸い上げる。
面積はまだ小さいが、触手化はまるで伝染するかのように周りへと広がっていく。
固体と液体の中間状態で細い繊毛を伸ばし、肉質の繊維を増殖させる。
そしてより長時間粘液に漬かった部分から触手化が速く進んでいく。

不思議なことに、恐怖の気持ちは一瞬しか起こらなかった。
それよりもすぐに、麻薬のような背徳感が脳を染める。

(私は……蕾の一部……)
ぼんやりとした思考の中、まるで誰かに囁かれたかのような思念が浮かぶ。
それを口に出してつぶやいた途端、
体中から言いようのない甘い幸福感が起こる。
心臓は秘所と繋がる触手と同じリズムで、ドクドク鼓動する。
血液が循環するたびに霊力が吸収され、
代わりに邪悪な妖力を体内に注がれているのを実感できる。

ふと、正面の肉壁から一本の触手が盛り上がり、清見の前まで伸びる。
淫靡な香りが漂い、二三個の目玉が嵌め込まれた先端部は、
思わず顔を背けたくなるほどグロテスクだった。

しかし、清見はそこから目を離すことができない。
粘液よりもずっと濃い匂いが、少女の淫欲を引き付けて離さない。
以前の清見なら、この淫臭には耐えられただろう。
だが霊服が保護機能を果たさないほど弱まった今、
体の奥底から抑えきれないほどの衝動が湧き上がる。

467五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(8/20):2012/08/22(水) 06:26:21

(私は、雌しべだから……雌しべはちゃんと雄しべから受精しなきゃ……)
自分じゃない声が心を支配する。
おかしいと分かっていても、清見はこの寄生本能に抗えなかった。
肉壁がうねり出すと、清見の四肢を後ろに回し、彼女をバック体勢から突き出す。
顔の間近に雄しべの触手があると、くらくらするような匂いがより濃くなる。

まわりの無数の妖眼に見守られる中、
清見はただうつろな目で勃起をじっと見つめていた。
猛々しい造形の表面に血管が浮かび、一定のリズムで脈打つ。
先端から滲み出る白い液体は、蜂を誘う蜜のようにキラキラ輝く。

そこに顔を近付け、唇を開き、小さな舌先で先端をちょこっと舐める。
触手がビクンと反応する。
それに安心したかのように、清見は触手の輪郭をなぞって上から下へ、下から上へと舐める。
雄しべの蜜と自分の唾液が混ざり合う。
飲み込んだ時の甘さは、陶酔した表情によって表現する。

気がついたら、清見は夢中になって異型をしゃぶり始めた。
普段機知に富んだ両目も今はとろんとして、
無表情な顔は赤く染まり色気を振りまく。

「ぴちゅ……はむっ、んぐ」

まるで恋人とディープキスをかわすかのように、雄しべの柱頭と舌を絡め合わせる。
ときには唇で優しくついばみ、ときにはざらついた表面を舌でなぞる。
最初こそ噛み千切ることを思い立ったが、
それもすぐに淫液が飲める安堵感に代替される。
それどころか、時折思い出したかのように両足の付け根をもぞもぞさせ、
娼婦になった気持ちで股間の触手から快感をねだる。

性器を突かれる嫌悪感はすっかり無くなり、今では何よりも体に馴染んでいた。
気だるい淫楽が妖力とともに体に染み渡り、
自然と腰を振って迎合するようになる。
蕾の雌しべとなってから、乙女の体がどんどん淫乱な色に染められていく。

ふと、口内の触手が雄々しく脈を打ち始める。
心の準備ができるよりも速く、触手の先端からおびただしい量の白液が吐き出される。
「ひゃっ……」
思わず口を離して、小さな悲鳴をあげた。

口で受け止めきれなかった熱液は顔や髪にかかり、
そこからいやらしい匂いを放つようになる。
しかし清見はよごれることも気にせず、虚ろのまま雄しべ周りの残滓を舐め取り始めた。
花の雌しべにとって、雄しべから受精することはこの上ない喜びである。

妖液を大量に浴び続けたことにより、霊気が溶かされるスピードはますます速くなった。
妖力が宿し始めた肉布は更なるスピードでうねり、
小腸のような表面積を増やしていく。
そうして分裂した繊毛を通して、毛細管現象のごとく妖液を正常だった服まで浸透させる。
アメーバがほかの細胞を食いながら増殖するよう。

たびかさなる浸蝕を経て、
もともと服の表面にあた霊気の紋様はほとんど消えかかっていた。
その代わりに、妖気を滲ませる禍々しい模様が浮かび上がる。
寄生面積が増加していくにつれ、霊服は蕾の肉壁と同じ肉繊維に作りかえられる。

468五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(9/20):2012/08/22(水) 06:27:16

ポトッと、一つの目玉が天井からふってきた。
目玉は触手化し終わった服地に移動すると、そのまま表面にピタッと張り付く。

「んんむ……はああぁん!」
体を弓のように反らす清見。
妖眼が取りついた部分を中心に筋が走る。
そこから妖眼は押し込むように肉布の中に入っていく。
目玉がめり込むたびに、ずきゅんとするような痺れが全身に広がる。
体がいくらこわばったところで、触手に絡められた清見は身動きもできず、
ただ背中をもどかしそうに揺らすしかなかった。

(だめ、それ以上は……!)
激しい衝撃によって、失いかけた我を取り戻す。
妖眼と肉布が一体化していく。
普通の人間にとって、今すぐにも没頭してしまう快感。
しかし、その意味を察知した清見は、なんとか寄生を食い止めようと歯を食い縛った。

妖眼と肉布が繋がってしまえば、おそらくその部位は完全に触手化してしまう。
五行戦隊のバトルスーツはもともと霊力で維持されるため、
仮に破壊されても修復はできる。
だがそれ自体が妖魔化してしまった、もはや浄化しても元には戻れないだろう。

妖眼が深く押し込むほど、布地と接する肌から甘い快感が広がる。
裏側に生え始めた繊毛がぬめっと肌を愛撫し、
抵抗の意思を少しずつ溶解していく。

(くぅぅぅ……っん!)
清見は眉を悩ましげに曲げた。
筋目は一気に裂かれ、そこに目玉全体が沈む。
肉布がしばらく激しくうねったが、
やがて妖眼が完全に定着すると、そこで改めてまぶたをあける。

「かぁあああんっ!」
清見の瞳孔が大きく開いた。
妖眼の寄生が終わった瞬間、極限に迫るような快楽が体を突き抜ける。
みるみるうちに目玉と肉布は融合し、繋ぎ目が見当たらなくなった。
そして新たに神経細胞のネットワークが構築され、今までなかった性感帯が一つ増える。

妖眼は寄生後の居心地に満足したのか、きょろりとあたりを眺め回す。
その映像が綺麗に脳内で再生された。

「ハァ、ハァ……」
少女の可憐な胸が起伏を繰り返す。
衝撃を感じる気力さえなかった。
上昇してくる粘液の水位をぼんやりと見つめ、清見は疲れ切った顔で目をつむる。
何も考えられない。
何もできない。
身を焦がす淫欲は自分の感情なのか、それとも植えつけられたものなのか、
それすら区別できなくなった。
だがどちらにしろ、彼女はもうその快感に身を委ねるしかない。

触手化していくスーツがベトベトしてて気持ち良い。

469五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(10/20):2012/08/22(水) 06:27:42



緑、赤、褐の三色が風のごとく木々の間を駆け抜け、
地面の落ち葉に踏み跡を残す。

ふと、先頭を走る緑の人影が立ち止まる。
残りの二人は一瞬飛び越えるが、すぐ地面に釘を刺したようにピタッと止まる。
「二人とも、隠れて」
緑の少女が小声で呟くと、赤と褐色は音も無く幹を登って気配を消す。

森奥からシュルシュルと草葉の掠れ音が近付く。
二匹の暗緑色のスライムが現われ、体中央にある目玉を輝かせる。
それを応えるかのように、少女の服の胸元にある妖眼も淡く光る。

「こちらに敵はいないわ。あなた達はあっちへ行って見張りなさい」
「「シュルルル」」
スライムは躯体をうねらせ、指示された方向へのろのろと移動した。
妖気が完全に遠のいてから、少女はほっと息をつく。
「もう大丈夫です」

「ハラハラするぜ。あいつらは何考えてるかまったく分からないし。
 翠を襲ったりしないのか?」
「はい……私が心の中で念じれば、彼らには意思が伝わるみたいです」

木の後ろから出てきた灯に対し、翠はやや答えづらそうに顔を俯いた。
途中で何度かこうして妖眼蟲と遭遇したが、その度に翠が出てやり過ごした。
その不思議な光景に灯は驚くばかりでいた。
一方、睦美の考え方は堅実だった。

「識別信号みたいなものなのか。あの植物型以外の蟲にも通じるか?
 以前私達が戦った金色のやつとか」

「あれは鈴華ちゃんの直属だから、私を敵とは認識しないだけで、
 直接指示を下せるのは鈴華ちゃんだけだと思います」
翠は顔を赤らめ、「もうすぐ着くはずです」と再び先頭をとった。

森を抜ける道中、睦美と灯はむず痒いような、複雑な気持ちになった。
今の翠は、妖魔の寄生スーツを身にまとっている。
正義を象徴する五行戦隊の霊服と違い、
それは女性をより淫らに見せるための造形だった。

邪悪を示す妖力以外にも、翠の肢体から絶えず芳ばしい香りが漂う。
それは決してアロマなど上品なものではなく、
メスがオスを誘うときに放つ淫らな匂いであった。
そして翠自身は抑制しているものの、
彼女の仕草には無意識のうちに官能的な情緒が溢れ、淫花のように美しかった。

人一倍気配りな翠には、自分の身に起きている変化は当然気付いているはず。
それでも睦美と灯に心配をかけまいと、恥ずかしさをこらえて道案内を先導する。
その心内を思うと、睦美も灯もやるせなかった。

470五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(11/20):2012/08/22(水) 06:28:26

「そろそろ見えてきましたわ」
翠は足を緩め、一本の木の後ろに体を預ける。
睦美と灯は手前にある茂みに身を屈め、視線をそこに移す。

やや開いた空け地に、複数の巨大蕾が地面に根ざしていた。
蕾から地面に突き刺さる極太触手は、リズミカルに膨張と収縮を繰り返す。
そのたびに、気色悪い触肉の表面に妖気が凝縮し、
まるで地中から養分を吸い上げているようだ。

それぞれの蕾の表面に妖眼が開きかけているが、
一番奥にある蕾だけ三つもの妖眼が見開いていた。
その蕾はほかと比べ、異様なほど大量な妖気を漂わせる。
霊力を習得している睦美や灯には、一目でその異常性を理解した。

「あの一番大きい中に、清見がいるだろ?」
「はい。それ以外の蕾の中にも、一般人が捕らえられています」
「なぜそんな手間をかける。寄生だけならすぐじゃないのか」

「あの特殊な方法により、どうやら宿主に記憶や能力を植え付けることができるみたいです。
 潜在的霊力を持つ人間を選別し、よりも強い妖魔に作り変える……
 これは私の予測ですが、おそらくその人達を上級妖魔の指揮官に仕立てて、
 人間界に侵略させるつもりでしょう」

「じゃあ、清見のやつを解放したら、この人達も助けないと」
「はい……あれは!?」

突如、翠の声色が変わった。
睦美と灯は急いで視線を戻す。

清見を捕らえた巨大蕾はぶよぶよ蠢き、
太い触手を給水ポンプのように膨らませた。
それに合わせて蕾表面の脈絡膜が抽縮を繰り返し、新たな筋目が開き始める。
筋目の隙間はみるみるうちに広がり、
やがて完全な巨大妖眼として見開いた。
すでに開いた三つの妖眼と合わせて、不気味な眼光を周囲に放つ。

さっきよりも増して、濃密な妖気が睦美と灯の胸に圧しかかる。
だが、彼女達よりも翠のほうがよっぽど驚いていた。
「そんな、もう四つ目が……!」

「何かまずいのか?」
「寄生の進行速度が、予想をはるかに越えています!
 ……まだ四つ目ですが、これが五つ全て開いてしまうと、妖気が五行循環してしまい、
 中にいる清見ちゃんが完全に妖魔になってしまいます!」

「つまり今すぐあのデカイのをぶっ壊せばいいだろ?」
「灯、待てっ!」
睦美が制止するよりも速く、灯はとび出した。
回復した彼女は動物園の檻から解放された豹のように、
標的に向かって一直線に飛んでいく。
だが彼女が蕾に届く直前、一つの梯形の鉄塊が空から降ってきた。

471五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(12/20):2012/08/22(水) 06:29:11

灯は寸前のところで身を引き、後ろから駆けつけた睦美や翠と肩を並べる。
表面に「5t」と書かれた鉄塊は地面にめり込み、
その上に一人の小柄な少女が立っていた。
彼女は黄色い触手スーツを身に付け、憤怒と不服の表情を灯達に向ける。

「どういうことなのよ……どうしてお前達がピンピンしてるの?
 どうして翠はそっち側にいるのよ!」
「やい鈴華、いつまで寝ぼけるつもりだ!」
灯が啖呵を切ると、鈴華は鼻で笑った。

「寝ぼける? ふふっ……今まで我慢してたけど、この際はっきり言わせてもらうわ。
 私はね、馬鹿で馬鹿なバカリのことは大っ嫌いなのっ!
 あなたも百眼様のしもべに寄生させて、一生私の性奴隷になってもらうわ!」

鈴華は鉄塊の一端を掴んで走り出す。
鉄塊からそのまま一本の棒が伸び出て、鈴鹿によって力いっぱい薙ぎ払われる。
地中から起こされた鉄塊はそのままハンマーとなって振り下ろされる。
だがそれが目標を叩く直前、幾重もの葛草がきつく巻きつく。

「鈴華は私が止める。あなた達はその間に!」
「翠……!」
心配の表情を浮かべる灯や睦美に対し、翠は頬を赤らめながらも健気な笑みを返す。

「私のことなら心配いりません。それより、残り時間はもうそんなに無いはずです。
 速く清見さんのところへ行ってください」
「清見は私と百眼様のもの! 誰にも渡さないんだから!」
「行って!」

翠は灯と睦美を押し出すと、すかさず巻き蔓を手放して無数の花びらを散らした。
鋭い刃が空を擦る。
葛草の巻き蔓は横一線に両断され、あとずさった翠の頬にも一筋の傷がつけられる。
微量の血の色が滲み出す。

「灯、行くぞ」
その場から離れる睦美に、灯はきょとんとする。

「鈴華と戦うには翠一人じゃきついだろ」
「足止め戦は彼女が一番得意としている。逆に言えば、
 残り時間はそれくらいしか無いってことだろう。翠自身がそれを一番理解してるはずだ」
「くっ……分かったよ」
最後に翠の背中を一瞥してから、灯は睦美の後を追った。

切り刻まれた植物の残骸が地面に散らばり、鈴華と翠の剣幕を彩る。
「ふふっ、裏切り者がわざわざ裁きを受けに来たわけ?」
「私はもとから妖魔の味方になっていないから、裏切りではありません。
 あなたの目から離れるチャンスをずっと待っていました」

「でも、翠ちゃんのおかげでこれまで色んな人間に寄生できたわ」
「……その罪を含めて、私が償いをするだけです」
「無意味だな。いずれあなたの精神は完全に邪悪に染まり、その感情さえ忘れてしまうわ」
「そうなる前に、この命と引き換えに妖魔の野望を防いで見せます」

472五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(13/20):2012/08/22(水) 06:30:01

嘲笑じみた口調の鈴華に対し、翠は毅然とした表情で答えた。
彼女は頬の血珠を指で拭うと、それを地面に垂らした。
まるで息が吹き返ったかのように、
蔓の残骸から刺々しいイバラと真紅の薔薇が生え、鈴華と翠を取り囲む。
植物の表面に妖眼が見開き、禍々しい妖気を発散する。
翠の寄生スーツからも同様な妖気が溢れるが、彼女の表情には迷いは無かった。

「笑えるね。その体はもう完全に妖魔化したのに。まだ正義の味方でいるつもり?」
「蓮は泥沼より出でて、汚れに染まらず気高く伸びる。
 例え私の体が邪道に堕ちようと、心を正義のために使うことができます」
「ざれごとを――!」

鈴華は全身の妖気を漲らせた。
彼女の触手スーツが一気に解放され、無数の刃となって翠に襲い掛かる。
翠もすかさず妖気を集中させ、目玉の生えたイバラと薔薇を起動させる。
邪悪なオーラ同士が、互いに激しくぶつかり合った。



翠や鈴華と違って、灯の技は単純明快である。
彼女が最も得意としている攻撃方法は、ズバリ体当たり。

四方八方から集まってくる蟲の群れの中、一陣の陽炎が縦横無尽に突き進む。
「どけどけどけ――っ!」

陽気な叫び声とともに、爆炎をまとった灯が敵の集団に突っ込む。
彼女が通った道に、ただ焼け溶けた蟲の黒染みが残される。
妖気の弱いものは、彼女に半径一メートル近付いただけで沸騰して蒸発していく。
そんな我先逃げまとう蟲の中、一匹の金属体の妖眼蟲が立ちはだかる。
その蟲ほかの軟体種と違い、はがねの体はくっきりとした輪郭を持っていた。
以前灯が戦ったことのある特殊種だ。

「出やがったな!」
灯は不敵な笑みを浮かべると、立ち止まるどころか更に加速した。
金色スライムの体から八本もの刀が伸び出て、左右から灯の体を切り裂く。
灯は頭身を低くしてかわすと、豪快な勢いでタックルをしかけた。
妖魔の金属体は瞬時に高熱化し、地面と摩擦する度に大量な体液が溶け出していく。
残された妖眼を灯がポイと捨てると、空中で小さく爆発して飛び散った。

久々に動けるのがよっぽど嬉しいのか、灯の炎はいつも増して燃えていた。
だが次に現れた敵手に、彼女は思わず足を止めた。

相手は少女だった。
華奢な体の上に、一本の蔓触手が右手から左足にかけていやらしく巻きつく。
その顔に恍惚な表情を浮かべていたが、灯を認識した途端腕を振り上げた。
蔓が一瞬にして伸び、灯が避けた後の地面に深い溝を作る。
その溝の縁から、緑色のコケが素早く成長する。

「こいつは……!」
「おそらく、ほかの寄生者だろう」
後方の妖眼蟲を退けて、睦美が灯のそばに駆けつけ指をさす。

473五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(14/20):2012/08/22(水) 06:31:21

「あれを見ろ」
「なにっ!?」
灯は睦美に言われたとおり、視野を広げた。
左右にある二つの蕾の妖眼が完全に見開いていた。

蕾の肉片は縫い目を沿って綻び、毒々しいほど鮮やかな花が咲く。
中からとろりと粘液が流れ出た後、それぞれ一人の少女がおぼつかない足取りで立ち上がる。
一人は葉っぱのような服飾を身に付け、もう一人は頭に一輪の花をかざす。
花は綺麗な色に反し、中央に一つの目玉が生えている。

まだ乾かぬ体から、生まれたての淫香が漂ってくる。
だが灯達の前を阻むようにして立つと、改めて妖眼蟲を上回る妖気が伝わってくる。
「こいつら、翠の能力を……!」
「厄介な話だが、今は彼女達を相手にしている場合ではない」
「わかってらあ!」

灯は前を飛び越えるようにして大きく跳躍した。
しかし想像以上の速さで少女達は反応し、
三つの角度からそれぞれ蔓、葉っぱ、花びらを飛ばして攻撃した。

一方の睦美はその場でジャンプして、両足で地面を力いっぱい踏んだ。
土は平方形に沈み、逆に違う場所から同面積の土台が高く盛り上がった。
空高く跳んだ灯はそれを足場にして、敵の攻撃を越えて巨大蕾の真上に飛び上がった。
そのタイミングは阿吽のごとく一致する。

「清見は返してもらうぜ!」
灯は両腕を胸の前で交差すると、闘志を頂点までに燃やした。
火の鳥を模した霊気の形が背後で生成される。

「喰らえ、バーニング・バースト・バード!」
語尾を延ばしながら、灯は空中から急降下した。
朱雀色の霊気は空気と摩擦するたびに、耳をつんざくような爆音を弾く。

いつもより完璧な一撃だった。
蕾も凄まじい気配を感じたか、四つの妖眼をぎょろりと空に向け、灯と見つめ合う。
だが次に起きたことに対し、灯は自分の目を疑った。
それまで「蕾」と思い込んでいた敵は、
なんと地面から茎を引っこ抜き、そのまま逃走した。
カサカサと音を立てて、高速に離れていく。

「な――に――?」
あまりにも衝撃的な光景に、灯はポカンとした。
せっかくの必殺技はただの着地技となり、ぽっかり空いた穴の中で立ち尽くす。
蕾はジグザグ移動で、睦美の放った地烈斬を華麗にかわす。

「灯、やつを追え! 絶対逃すな!」
「おおう!」
灯は躊躇なく快足を飛ばす。
寄生された少女達はそれを追いかけようとする。
しかし、彼女達は一歩たりとも前へ進めなかった。
地面の土はまるで流砂のように後退していき、後方にいる睦美の足元へ集まっていく。

縮地法を駆使しながら、睦美は不安な気持ちで灯の去り姿を見つめた。
一瞬だが、蕾の最後の目が開きかけていることを彼女は見てしまった。
(でも、やらなくちゃ……!)
砂から起き上がる敵の少女達を見て、睦美は意を決して霊力を練り出す。

474五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(15/20):2012/08/22(水) 06:32:30



四度目の激震が収束したしばらく後。
蕾の中を充満する粘液は、左右に軽く揺れた。
頭まで液体に漬かる清見は、口や秘部に触手をくわえたまま、
眠ったように目をつむっていた。
外界の衝撃は肉壁と粘液によって緩衝され、
彼女の髪が液体の中を揺れる程度だった。

バトルスーツはすでに半分以上が触手化していた。
淫液に漬かれた布地は目に見える速さで触肉と同化し、
溶かされた部分から小さな泡が浮上する。
暗い溶液の中は静寂に包まれ、寄生眼だけが不気味に輝く。

目玉は一度スーツに着床すると、地盤を固めるようにして繊毛を侵食させ、
今まで寄生した妖眼と絡め合って、更なる強固な肉布に形成する。
時間が一分一秒経つにつれ、その面積が拡大していく。
熟成した触肉は裏側に生え渡った繊毛を使って、清見の肌にべっとりと吸い付く。
そしていまだに抵抗する正常な布地に対し、寄生しながら強制的に変質させる。

長い時間をかけて進化した結果、肉布の構成は単純なものから複雑な形となった。
肉帯は彼女の首筋を巻きつき、そこから鎖骨まで二本に分かれて左右の乳房を覆い、
更に後背部で交差する。
露出した胸のラインや腋下の肌は、少女の性的な部分をより強調する。
そして触肉は腰つきを撫で下ろしながら、レオタード状となって股間を覆う。
蕾の中に埋もれていた四肢はすでにロンググローブやブーツ状の触手を履かされ、
触肉の切断面はうようよと繊毛がひしめく。

押し寄せてくる邪悪に、心が染まっていく。

清見は薄っすらと目を開いた。
淫液は彼女を内側から改造し、一から妖魔として作りかえていく。
なんとなく、もうすぐ終わるんだなと理解する。
だが頭に浮かぶのは悲しい感情ではなく、ドキドキするような気持ちだった。
蕾の雌しべとして受精し、ちゃんとした妖眼蟲の虜に成長することができた。
これからは自分が妖眼蟲を産み出し、妖魔の繁栄のために尽くす。

正義だった自分がもうすぐ悪のしもべになってしまうと思うと、
妖しい興奮がこみ上げてくる。
それを睦美や灯が見たら、二人はどんな表情をしてくれるだろう。

(すごく、ゾクゾクする……)
ドス黒い思いが、清見の心の中をよぎる。
彼女の瞳もまわりの妖眼と同じよう、邪悪な光がともり始めた。

475五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(16/20):2012/08/22(水) 06:33:03

「清見――ィ!」
灯は懸命に叫び声をあげた。
しかし蕾が木々を押し潰して進む音が、その声を覆いかぶさる。
森中を進む敵を追いながら、灯は顔の前に腕を構えて飛んでくる木屑を防いだ。

なかなか縮まらない距離に、灯は強火で焼かれた卵のように焦った。
倒れてくる樹木が邪魔で、なかなか思うように闊歩できない。
そして少しでも近付けば、蕾は花粉やら種やらを放出して攻撃してくる。
こうして駆けくらべしているうちにも、五つ目の筋が開きつつある。

(絶対に開けさせないんだから……!)
灯は妖眼の様子を確認していた、その時。
彼女の足は、茂みから伸びた一本のツタに引っかかってしまった。
全力疾走が全力転倒となり、鼻から地面にぶつける。
その直後、四方八方から触手が伸び出て彼女をぐるぐる巻きにする。
罠にかかったことをあざ笑うかのように、蕾は振り向いた。
五つ目の筋間から強い眼光が漏れ出し、今にも完全に開きそうだ。

「舐めたマネしやがって……」
触手巻きの中から、くぐもった怒声が響く。
次の瞬間、灯に巻きつく触手が急速に枯れ落ちる。
蔓をつたって、一陣の炎が目にも留まらぬ速さで延焼していく。

「シュルルルル!」
蕾は重い奇声をあげながら、みずから蔓を寸断する。
それを機に、高熱化した炎気が蔓の残骸から突き破って出る。
鳳凰の形をした霊気を背に、
灯は空気をつんざくような音を立てながら蕾に向かって突進する。
すかさず蕾は自身を触手で包み、体組織を戦車の装甲よりも固く変化させる。

「いっけえ――!」
少女の火拳は一番外側のガクに直撃した。
そのまま中の木部繊維を貫き、維管束を貫き、子房を貫く。
大きな爆音とともに、蕾は内部から木っ端微塵に崩れ、
あいた大穴からおびただしい量の白液が飛び散った。
その粘液をかき分けながら、灯は一人の少女を抱き起こす。

少女の手足は肉片に埋め込んでいて、大文字のように固定されていた。
灯が力をこめて外へ引っ張り出すと、触肉の筋糸が少しずつ切れ、
肘や膝まで包んだ触手の布地が露呈する。

「清見、清見!」
灯は少女の体を地面に置くと、その名前を大声で呼んだ。
清見の目は閉じられ、白紙のような顔色に血の気がまったく見当たらない。

少女の体は暗藍色の肉布に覆われ、まだ癒着が終わらない触肉が小刻みに蠢き、
最後の合成を完成させようとしている。
彼女の手足にいたっては、すでに触肉の布地が服飾として完成していた。
淫らにうごめく媚肉は、少女の体にいやらしいイメージを添える。
そして寄生スーツ全体から濃厚な淫気と妖気がたちこめ、意志の弱い者を堕落させる。

476五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(17/20):2012/08/22(水) 06:33:54

「清見、今すぐ助けるからな!」
灯は粘液でよごれてしまうこともかまわず、
清見の側で膝を立て、両手を彼女の腹に重ねた。
寄生スーツの妖眼に触れると、ふにゃっとした手触りが返ってくる。

意識を集中し霊気を高め、本人を傷つけないよう慎重に解き放つ。
霊力が触肉に衝撃を与えると、次第に熱したマグマのように赤く変色し、
妖眼もろとも溶け始めた。

「シュルルルゥ!」
触肉は耳を裂くような奇声を作りながら、
いくつもの肉紐に分裂して灯に襲い掛かる。
だが、灯はそれに気をかけることは無かった。
触手がいくら絡んでこようと、ただ霊力を両手に集中させる。

(妖魔なんかに、成らせてたまるものか!)
心の中で必死に唱えると、灯は霊力を十二分に引き上げた。
触手スーツはドロドロに溶け出し、流れ落ちた粘液が地面に溢れかえる。
その粘液の下から、本来の肌の色が見えた。

触肉が全て溶けた後、灯はようやく手を引いた。
額を伝う汗を拭う暇もなく、清見の胸に耳を伏せた。
しかし、伝ってくるのは冷たい感触だけだった。

「そんな、清見……お前、まさか自分から命を……!」
ますます生気が減っていく仲間の顔色に、灯は目尻を濡らした。

「せっかく助けてあげたんだから、死んだら絶対許さないんだからな!」
灯は清見の胸骨を押さえ、肘をまっすぐ伸ばして圧迫を繰り返した。
更に彼女の気道を確保して、人工呼吸を行おうと口を伏せる。
心肺蘇生で何がなるか分からない。
だが今の灯にとって、どんなことでもいいから、ただ清見に返事をしてほしかった。

その時。
いきなり開いた清見の目と、バッタリ見つめ合った。

「灯、顔が近い」
「うわあぁぁ!」

灯は思わずビックリしたが、すぐ歓喜の表情に一変する。
飽きるほど見慣れた、むっつりで無愛想な顔。
それが今の灯にとって、どんなものよりも愛着を感じた。

「清見、無事だったのか!」
「来るのが遅い。暑苦しい。後ろ危ない」
清見は灯に頬ずりされながら、矢継ぎ早にしゃべり出す。
灯は喜びの表情のまま背後へ裏拳を打ち出す。
拳の甲は飛び掛ってきた妖眼蟲に命中し、吹き飛んだ先にある木の幹でぺちゃっと潰れる。

477五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(18/20):2012/08/22(水) 06:34:46

「良かった、本当に良かったよ。無事だったなんて」
「実のところ、ちょっと危なかった。蕾を破壊してくれるのがもう少し遅かったら、
 私の体まで完全に妖魔化していたかもしれない。
 しかし息を止めたおかげで、寄生はそこまで浸透しなかった」

「へぇ、息を止めたって……?」
「脳部から副交感神経を刺激し、心臓の鼓動を抑制したの。
 私、潜水だけは得意だから……」
「二度とそんな危ない方法で泳ぐな!」

灯は清見を支えた手でツッコミを入れた。
だが意外なことに、清見はそのまま力無く倒れた。
まるで四十度の熱を出したままマラソンを走りぬいたように、
憔悴しきった表情を浮かべる。
虚ろな瞳は、どこまでも遠くを見つめていた。

「おい、清見? 冗談なんかやっている場合じゃないんだぞ」
灯は慌てて清見に触れる。
そしてビックリする。
少女の体は、まるで厳冬の湖に沈む氷のように冷たい。
その温度は、なおも下がり続けている。

「うんっ……」
苦しげな息が清見の口から漏れ出る。
彼女が呻き声をあげると、はだけた胸の部分から勾玉が浮かび上がる。
五行戦隊に変身するための霊具。
本来なら彼女を象徴する澄んだ青色が、今では色彩を失って黒がかっていた。

灯は愕然とする。
勾玉は彼女達それぞれの霊力によって作り出され、
彼女達の生命力を示すものでもある。
それがこんなにも黒く変色したのは、灯にとって初めて見た光景だ。

「そんな、どうして……」
「私の霊力は、ほとんど吸い取られて……」
「これ以上しゃべるな!」
「大丈夫……私より、速く鈴華達を……」
「何が大丈夫だバカヤロウ! いつもいつも必要以上にがんばって!
 そこでじっとしてろ」

灯はバトルスーツから自分の勾玉を取り外した。
身に付けていた服は瞬時に赤い炎と化し、勾玉の中へ吸い込まれる。
その代わりに、彼女は変身した前の学生服姿に戻る。
灯は勾玉同士を当て、意識を落ち着かせた。

「鈴華のやつなら、睦美と翠に任せれば良い。今はこっちに集中しろ」
「……翠も睦美と一緒にいるのか」
「ああ、オレと睦美を助けてくれたんだ。だから心配は無い。
 さあ経脈を開いて、霊気を同調させるぞ。私の力を分けてやるから」

478五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(19/20):2012/08/22(水) 06:35:21

清見は目を瞑り、弱々しく頷いた。
軽くしかめた眉間は、今にも苦痛を我慢しているようだ。
灯は二つの勾玉を通して、清見と気の流れを循環させる。
勾玉の片方は輝き、片方は黒ずむ。

焦りが増していく。
手のひらの先から、清見の霊力が微塵も感じられない。
自分の霊力だけ相手に流れていって、まるで一方通行のようだ。
どんな人間にも、最低限の生命エネルギーがあれば霊力となって現われるはず。
それがまったく感知できないとは、
清見の容態が想像もつかないほど悪いということだ。

「本当に……灯がもう少し速く来てくれたら、手遅れになることもなかったわ」
「……っ?」
霊力のコントロールに精神を集中するため、灯は言葉を発することもできず、
ただ清見の顔を見つめた。
清見の雰囲気は、どこか変わったように感じた。

「あともう少し速かったら、私も希望を捨てずに待っていられたのに」
清見は何事も無かったように、手のひらを広げて見せた。
彼女の勾玉は、墨汁の中から拾い上げたかのように真っ黒だった。
灯の心は震え上がった。
恐ろしいほどのスピードで、自分の霊気が吸い取られていくことに感付く。

「蕾が花咲く前に私を助けてくれて、ありがとう。でも、ちょっと遅かった。
 私はもうあなた達の助けを諦め、妖魔に心を捧げてしまったの」
清見は淡々と述べながら、黒い勾玉を強く当てた。
まるでダムが決壊するかのように、灯の体から霊力が急速に溢れ出ていく。
顔を真っ赤にして止めるが、最初から無防備に解放した霊力は、
そう簡単にせき止めることはできない。

清見は立ち上がると、その体から濃密な邪気がほとばしる。
やがて、彼女の勾玉は一つの妖眼として見開く。

「はい、五つ目」

清見は静かに宣言した。
その途端、彼女の気配が完全に妖魔のものに変質する。
灯は渾身の力を振り絞り、なんとか清見から離れた。
「清見、お前……」
「邪魔よ」
冷酷な口調とともに、清見の手から激しい水流が放たれ、灯の胴体をつんざく。

森を切り裂くような悲鳴をあげ、灯の躯体が吹き飛ばされる。
その拍子に、赤の勾玉を手放してしまう。
何の前触れもない一撃。
バトルスーツも無く、無防備な体で受けてしまった灯は、
気絶しないだけで精一杯だった。
彼女は苦痛を耐えながら、傷だらけの体をなんとか起こす。

479五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(20/20):2012/08/22(水) 06:36:03

「バカな……体に憑依した邪気は、全て浄化したはずなのに……!」
「ええ。確かに私の体は完全に妖魔化には至らなかった。
 だから、灯の霊力を借りて、妖力を補充したの」

「なにっ……?」
「助けてくれてありがとう、灯。
 あなたのおかげで、私は生まれ変わることができたわ」
清見は静かに告げると、蕾の残骸のほうへ歩んだ。

「やめろ……!」
灯は腹の底から声をきしませ、懸命に起き上がろうとした。

夜空に雲が集まり、月明かりを遮る。
空気のうなりが突風を呼び起こし、周囲の木々を揺らし始める。
一滴、二滴と続いて、無数の雨粒が降り始める。

清見は蕾の中にある一番太い触手を拾い、それを自分の股間に近づける。
そして眉間を悩ましく曲げて、触手の先端を自分の陰部に宛がう。
損傷を受けなかった蕾内壁の妖眼は、まるで祝福を贈るかのように妖しく光り出す。

「さようなら、灯」
「やめろ、清見――ぃ!」
灯が必死にあげた声は、激しく降り注いだ雨音に消される。
暗闇の中、清見の背中が弓なりに反らすと、
彼女が握る邪眼の勾玉から暗黒のオーラが溢れ出る。
魔の妖気は黒帯となって、乙女の裸体を妖しく包む。
形のいい乳房や柔らかい腰つき、腕や太もも、そして女性器までも。

一連の変身動作は、五行戦隊の時とまるっきり一緒だった。
だから灯は一瞬、これが全部清見の嘘じゃないかと思った。
そのささやかな希望は、周囲を溢れ返る妖気によって打ち砕かれる。

ひそかに伸ばした腕が、暗闇から伸びた水の触手に弾かれる。
触手はそのまま灯の前から赤い勾玉を奪い去る。
「くっ……!」
「灯、あなたにはもうチャンスは無いの」
清見はゆっくりと灯の側にやってきて、触肉に包まれた足で彼女を踏みつけた。

雷の閃光が遠くの空で炸裂する。
しばらく経ってから、ようやくゴロゴロと轟音が鳴り響いた。
だが、灯の頭にはその音は入らなかった。
彼女の脳内には、雷光によって一瞬照らされた清見の姿が、
いつまでも焼きついていた。

深海よりも暗い青色の寄生スーツ。
下から見ると良く見える太ももや、陰部に食い込むいやらしい触肉の形。
その宿主は、底知れぬ冷たい目で自分を見下ろしていた。

官能的な色香があたりを包みこむ。


(以上です)

480名無しさんが妄想します:2012/08/22(水) 06:38:16
- ここまで -

なにとぞ、よろしくお願いしますorz

481480:2012/08/24(金) 00:57:45
ありがとうございます。
大変助かりました!

482名無しさんが妄想します:2012/10/19(金) 20:56:22
どなたか恐れ入りますが、どなたか↓のスレにレス代行お願いします。

【うpろだ】専用スレのないSS その3【代わり】
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1319038014/
なお、名前欄は無記入・sageでお願いします。
以下本文です。
----------------------------------------------------------------
>>103-105
>>102はローカルルールの
>以下は禁止、より相応しい他の板でどうぞ。
>画像の貼り付け →半角二次元/お絵描き・創作等
を盾にとって言ってるんだとは思うが

自治スレでLRを審議してた時の過去ログ見る限りでは
画像貼り付けを主体としたスレ建ては、この板(エロパロ&文章創作板)では板違いだからね。
って意味で、SS作者が挿絵に画像1枚貼り付けたりキャラ紹介で1〜2枚貼り付けたりするのを禁止する物じゃないハズ……なんだけどね。

483名無しさんが妄想します:2012/10/20(土) 13:01:51
>>482 いってくる

484483:2012/10/20(土) 13:03:22
終了!

485名無しさんが妄想します:2012/10/20(土) 20:02:20
>>484
確認しました。 代行乙でした。

486名無しさんが妄想します:2012/12/25(火) 22:58:49
代行大丈夫ですかね。
見てくれた暇な人、お願いします。

甘えんぼうな女の子のエロパロ 糖度13
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1329558939/
名前欄 「B.Y.O.B」と表記お願いします。
sageでお願いします。

以下本文

487名無しさんが妄想します:2012/12/25(火) 22:59:36
とろとろと心地良い浅い眠りに意識を預けていた。
誰かが鳴らしたインターホンの音で、僕の意識は現に返る。
天井にぶら下がる蛍光灯の灯りを妙に眩しく感じた。起き上がって、あくびをする。重い瞼を擦りながら、時計を見た。十一時。
眼は開いているものの、まだ夢うつつの気分だった。
もう一度、インターホンの音が部屋に鳴ったところで、玄関のドアを開けに、寝起きの重い身体をどうにか立ち上がらせた。
ドアを開けると、背の低いサンタががたがたと歯を鳴らしていた。
「い、居るんなら早く開けてよ」そう言うが早いか、由梨はさっと室内に体を滑り込ませ、ドアを閉めた。
「うー、寒かったぁ……」そう言って、自身の冷たい手を僕の頬にくっつけた。ぞくり、とその冷たさに身震いした。
「ごめん。うたたねしてた」
「いいよいいよ。それよりごめんね。バイト長引いちゃって。忙しくて連絡できなくてさ」
頬を掻いて、申し訳なさそうに微苦笑をもらした。由梨は赤と白のコントラストが目立つ服に身を包み、暖かそうなふわふわの付いた三角帽をかぶっていた。所謂、サンタ服だ。

488名無しさんが妄想します:2012/12/25(火) 23:00:00
街中にあるケーキ屋でアルバイトをしている由梨は、激務が必至の二十四日、二十五日の二日間を、当然避けようと思っていたのだが、店主に泣きつかれ、期間中の時給を三倍にする、という約束の元に手伝うことになった。
疲れた身体を曲げ伸ばししながら、三倍はちょっと割に合わなかったなぁ、と笑う由梨。
由梨が僕の住むアパートに来ると予定していた時刻は二時間前に過ぎた。聖夜には、二人が思っていたよりも上を行く過密なスケジュールが用意されていたらしい。
由梨は小さなテーブルの傍に座り込み、激務と喧騒の中で張りつめた気持ちの糸を緩めるように、長い溜息を吐くと共に肩の力を抜いた。
僕は、インスタントのコーンスープの封を切り、大きめのマグカップに粉を入れる。ポットのお湯を注いで、スプーンで軽く混ぜてから由梨に差し出した。
「来るとき君の部屋の灯り、点いてるの見たよぉ」カップを受け取った由梨は、上機嫌に目を細めた。
「そっか」由梨の傍に腰を下ろす。
「ちゃんと、待っててくれたんだねぇ。えらいえらい」カップを持ち替えて、僕の頭を撫でてくれた。由梨の手はとても暖かくなっていた。
照れ隠しに、温かいうちに飲んでよ、と僕はそっぽを向いた。
由梨はちょっと驚いたように目を見開いて、そして、にんまりと笑った。
「分かった。ありがとねー、うふふ」僕の頭をもう一度、撫でてからカップへ手を戻し、ゆっくりとコーンスープを啜った。
「かわいいんだからー」と、僕の肩に寄りかかる由梨。今度は僕が由梨の頭を撫でた。

489名無しさんが妄想します:2012/12/25(火) 23:00:18
少ししてコーンスープを飲み干した由梨は、思い出したように自身の荷物を漁り始めた。
「ケーキ貰ってきたの。一緒に食べよ?」
可愛らしいクリスマス仕様の包装の箱を手に、由梨はそれを満足げに掲げ、わずかに膨らんだ胸を張った。
僕は快くうなずいて、棚から皿を二枚持ち出した。
「小さいやつなんだけど、店長さんが二つ、取っておいてくれてね」
「へえ、良い人だね」
「まあねー。あと、クリスマスに働かせたの、申し訳ないと思ってたのかな」
由梨は箱から一つずつ取って、皿にのせた。艶のある黒い髪が、柔らかく揺れる。垂れた前髪の奥で光る白い歯を、ケーキの乗った皿を差し出されたのに気付くまで、僕は見詰めていた。
「チョコレートとショートケーキ、どっちがいい?」
「せっかくだし、半分ずつ、分けて食べない?」
「ん、ナイスアイデアだね。じゃあ、先にショートケーキ食べる」
由梨はいそいそとケーキに巻きついたビニールを剥がして、待ちきれないとばかりにフォークで一口目を口に運ぶ。まるで子供のような柔らかな表情の由梨に、思わず僕の表情も柔かいものになる。
「んふ、おいし……」ほっぺたに手を当てて、幸せそうな表情を浮かべる。
「すっごくおいしいよ。君もどんどん食べなー」
「うん、頂きます」ビニールを取り、チョコレートケーキにフォークで切れ目を入れ、口に運んだ。
甘い。生地の中に詰まったチョコレートが舌の上に溶ける。生来、甘いものは苦手だったが、甘すぎない苦みのあるビターなこのケーキはなかなか好みだった。
「気に入った?」
顔をあげると、由梨は本当に嬉しそうな笑顔をしていた。
「うん。おいしい」
「ね、一口ちょうだい」
由梨は悪戯っぽく笑いながら、身を乗り出した。僕は由梨がこういう風に笑う時は、試されているのだと知っていた。恋人らしい振る舞いを求められている。
フォークの先に揺れているチョコレートケーキを、由梨の口に運んでやる。
「ん……うん……ありがと……」
由梨から積極的に動く割に、行為が終わると大抵顔を真っ赤にして口をつぐんでしまう。
可愛いな、と思うのと同時に、無理をさせているようで申し訳ない気分になる。
「僕も、一口食べたいな」
ぽつりとつぶやいた言葉に、由梨は驚いたらしかった。自分の手元にあるショートケーキを見つめ、やがて、意を決したようにフォークで切り、僕の口の傍にケーキを持ってきた。
甘いクリームとスポンジ。とても、甘かった。
「ちょっと、恥ずかしいね」頬を掻いて微笑すると、由梨も真っ赤な顔で笑ってくれた。

490名無しさんが妄想します:2012/12/25(火) 23:01:12
食べ終わったケーキの包装の残りや、使った食器を片付けて、お互いシャワーを浴びて、身繕いを済ませるとあっという間に日付が変わった。
「あれ、まだその格好してる」僕は敷いた布団の上に座る由梨の、サンタ衣装を見て言った。
「んー、バイト先から直接来たから、着替え用意してなかったの」
「もう、クリスマスも終わったのに」
「明日、着替え取りに一回家に帰る」
「明日はバイトは休み?」
「うん。私が頑張った分、暫くは他の人に任せる……」そう言って、大きくあくびをした。
「本当のサンタも、明日からおやすみなんだろうね」
「だろうねー」由梨は僕の言葉を聞いて、くつくつと笑った。
「偽物サンタから、大好きなあなたにクリスマスプレゼントをあげよう」
「言ってて恥ずかしくない?」
「うるさいなぁ、もうっ。こっち来て」
隣に座る由梨に無理やり身体を引き寄せられる。密着する。由梨の体温を首筋に感じた。
少し低い位置にある由梨の眼を見つめる。こげ茶色の透き通った瞳に、言いようのない感情を抱く。
由梨は僕の首に手を回し、さらに身体を寄せた。僕も、由梨の腰を抱いた。自分の心臓の鼓動が騒がしい。
由梨の瞳がゆっくりと近づいた。
湿った、柔らかい唇が、僕の唇にそっと触れた。
「はい。メリークリスマス」
「……うん」
「顔赤いぞー」僕の熱くなった頬を軽くつねる由梨の顔も負けず劣らず赤かった。愛おしかった。
僕は由梨を強く抱きしめて、頬や、髪に唇を押し付ける。由梨の綺麗な髪を手櫛で梳いた。手と手を絡めて、由梨を優しく押し倒した。
「好き……」
「うん、私も」
唇を重ねる。舌を由梨の閉じた唇の間に滑り込ませ、口内を愛撫する。由梨の鼻から甘い吐息が漏れる。
由梨の胸に手を伸ばしかけたとき、かすれた声で制止をされた。
「電気……消して」
僕は無言で立ち上がってぱちぱち、と電灯を消した。
布団にもぐりこんで、由梨の柔かい身体を服の上から撫でる。
深いキスを何度も交わし、由梨の敏感な首筋や頬をそっと舌でなぞる。
互いの唾液で互いの顔がべたべたになるまで、キスをした。舐め合った。

491名無しさんが妄想します:2012/12/25(火) 23:02:00
由梨の息遣いが荒くなり始めたあたりで体勢を変え、由梨の胸を後ろからまさぐる。
「んぅ……はっ、くぅん……」
由梨の胸ははっきり言って小さい。だが、色白で、柔らかく、綺麗な形をしていた。僕は由梨を愛するのと同じように、由梨の身体も愛していた。
サンタ服を肌蹴させ、ブラをずらして直接胸を触る。幸い、サンタ服は普通の服とあまり変わらないシンプルな構造だったので、暗闇の中でも苦労しなかった。
由梨の脇の下から差しこんだ手の指先で、ツンとたった乳首をくりくりと弄る。
「やぁ……あっ、んっ……うん……」
指先の動きと連動して喘ぐ由梨の声に、身体の芯が急速に熱を帯びる。
片方の手を胸から離し、由梨の身体の下へ移らせる。
お腹を指でなぞりながら、確実にスカートの中へ、そして熱を持ったそこへ手を滑らせる。
「あぅっ……!」そこに触れた瞬間、由梨の身体が跳ねた。
パンツの上から触っても分かるくらい、そこはぐじゅぐじゅに濡れていた。
そこを布の上からこすりつけると、暗闇の中でぴちゃぴちゃと淫らな水音が響いた。布団の中にむせ返る性の匂いと、由梨の声、水音、身体の擦れる感覚。
もう、我慢できなかった。
「由梨、入れるよ……?」
「う、うん……」
そのままの体勢で、パンツを下ろし、由梨の下着もずらす。由梨の小さな尻を手で抱え、自分のものを由梨のそこにあてがった。
「あ、や、やっぱり待って……」
「ん? どうした」
「その、前、前からが良い……」
ころんと、僕の方に向き直り、恥ずかしそうに甘えるように僕の胸に顔をうずめた。
「じゃあ、入れるよ……」
由梨を布団に寝かせ、上から抱えるように抱きしめて、繋がる。
「あっ……んぅ……く……」ゆっくりとした、相手を思いやった静かな挿入。
由梨の蕩けた表情が暗闇の中でもよく分かった。身体を密着させ、舌を絡める。手を繋いで、ゆっくりゆっくり腰を動かす。
由梨の鼻にかかった声に、だんだんと理性が崩され、終いにはぐずぐずになって溶けて無くなり、動物のように息を荒げて腰を打ちつけていた。

492名無しさんが妄想します:2012/12/25(火) 23:02:26
「あんっあ……ああぅ……っ、くぅ……! すきぃ、ねぇ、あっ……んぅ、好きぃ好き、はぁんっ」
次第に快楽の頂上が見えてきた。ペースがさらに早まる。
由梨の腰が浮き、身体全体が小刻みに震え始めた。
「いっ、いっ……ぐ、はぁ、んぁ……!」
「僕も、そろそろ、はぁっ……!」
由梨を強く強く抱きしめ、濃厚なキスを交わす。
僕のものの付け根がぞわぞわと脈打つような快感。快楽の波が引いた一瞬後、僕は由梨の中で果てた。
自分の身体の中のすべてが流れ出たような感覚。精液が尿道を擦り、由梨の身体の中へ吐き出される。
由梨も、同時に達したらしかった。蕩けた顔で、夢うつつのようだ。

改めて、静かな夜だった。
僕と由梨の荒い、途切れがちな呼吸の他に、暗闇に音はなかった。
「今……何時?」
「……二時」
「はぁー、ちょっと頑張りすぎちゃったかなぁ」由梨はその白いお腹を愛おしそうに撫でて、笑みをこぼした。
「ごめん、残業代は出せそうにないや」
「なにそれ」由梨は楽しげに笑った。
「二人でシャワー浴びて、後ゆっくり寝ようか」
「……うん」

終わり

493名無しさんが妄想します:2012/12/25(火) 23:03:10
以上、もし都合よければ、代行よろしくお願いします。

494名無しさんが妄想します:2012/12/26(水) 20:11:02
>>486いってくる

495494:2012/12/26(水) 20:17:23
終了!

496名無しさんが妄想します:2012/12/26(水) 20:18:32
あ、名前欄最初の1回しか書いてなかったごめん

497名無しさんが妄想します:2012/12/26(水) 20:30:26
>>495
サンクス!
その程度、気にしなくておkk
ありがとう!

498名無しさんX ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:34:13
【すいません。回数制限に引っかかってしまいました…代行スレにて書きこみます
ちなみに遅くなりましたが今回の属性は沙織×久美のレズ 夢落ちハーレムの二本です
この後はエロ成分ありません
次から投稿します】

■ 巨乳小学生をテーマにしたエロパロ その八 ■
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1347367020/l50

>>362の続き 次スレにて

499舞い降りる鷹 ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:37:05
そんな事を考えていた私だったが理奈から
「うん!あたし翔の事好きだよ!優子よりも!パパよりも!」
全く屈託も無しにはっきり言い切るのだった。私はそんな彼女の言葉を聞きながらカードを理奈に示す

過去が“吊るされた男”の正位置
現在が“節制”の正位置
未来は“恋人”の正位置

「んにゃっ❤久美ちゃんこれはどう言う意味?」
理奈は私に説明を求めるのでまずは過去から…

「ん…過去は“吊るされた男”意味合い的には試練だね
理奈だったら私以上にあいつの事知ってるだろうから省くけど、あいつ昔色々あって暗かったのよ」
私の言葉に知っているという意味で軽く頷く

「けど少なくても今のあいつは義務感だけで光陵をやってなんかないというのはすぐ気が付いた
それもあんたが体を張ってアイツを叱咤したからなんでしょ?」

私は理奈があいつをどんなふうに激励したかなんとなくだが察していた
元々理奈も大きく…野球の効果もあって形も良いおっぱいをしているのだが
チームメイトからは何時も性的な目で見られ、色眼鏡をかけられるばかりで選手としては取り合ってくれない事とかも

だけど理奈は光陵に入団しエースピッチャーとして活躍を始め、土生もかつて持っていた闘志を取り戻した。

やっぱりお互い体を通して(SEXまでしたかどうかは知んないし興味ないけどね)分かりあったという事を

理奈も私の言った事が当たっているとばかりに驚き
「凄い…何をしたかっていうのは禁則事項だから言わないけど、翔はずっと辛かったんだって
でもみんなの前で弱音とかいえなかったし…あたしの事とかで少し揉めたけど翔は分かってくれたから…」
私に好意と多少畏怖の混じった視線で私を見つめる

で…現在の二枚目“節制”はというと…
「うん。過去からあんまり進展してないでしょあんた等」

そう…節制は良くも悪くも調和・節度を表すカード。
大幅に関係が悪くなる事は無いけど進展も見込めない

その言葉通り理奈はガックリ肩を落とし
「うん…あたしとしてはもっと…あっ久美ちゃんだから言うんだけど
本当はあたし…もっと翔の事知って翔と…翔と繋がりたいんだって!そう…思ってるから❤」
まあ朴念仁らしいあいつらしい…土生の性格的に自分からがっつり理奈を食べるっていうのは立場上やりにくいんだろう

でも三枚目がお待ちかねという“恋人”のカード!

「おうっ。これは文字通り恋人のカード!理奈…あんた始めてを土生にあげたいんでしょ?
その望みは絶対なんて保証はできないけど叶うかも
少なくても今までよりもしっかりした恋愛関係は築けるみたい」
恋人は文字通り恋人に取ってみたら、相当良いカードで未来はかなり明るい様だ
だけど…
「けどね…浮気ってのもあるから、理奈…今後土生のほかにキープ君とか作る可能性もあるかもね…
それから…あんまり程度を超えた恋愛はとんでもない事態を引き起こす可能性もあるからそこら辺はあいつのテンションとか見ながら気を付ける様に」
とまあ“恋人”が指し示す正位置の効力は“恋愛成就”だけではなく“性欲”或いは“浮気”だから土生が本命という事は疑いようもないがひょんな所から野郎と関わる事も十分あり得る

そして理奈は優子が言った通り。普段こそおとなしいが好きな人間相手なら明るい所も見せる
ただ土生の場合は普通の友情や愛情と以上に強い物。
だからテンションが上がり過ぎて変な事をしないか少し不安になったりしたのだ

理奈は私の忠告に少し怪訝そうな表情で
「え〜私は翔が好きだから他の男の子や…今更久美ちゃんから優子を取ろうとか考えてないから…
そもそも優子とは子供の時お医者さんごっこをしてちょっと気持ち良かったってくらいで
女の子同士とか興味ないし……でも可愛い男の子が来たら…あッそれは翔には絶対黙っててね
変な誤解をさせたくないから…それから……」

理奈の話は続き
「あんまり程度を超えたって言っても…あたし翔の事が好きで好きでたまらないの
だからチャンスさえあれば最後まで…」
とまあ続けるがちょっと思い詰めた様なやばげな雰囲気になってきたので私から

「まあ落ち着きなさいな理奈。とりあえず未来の“恋人”はもうしばらく先だしゆっくり絆を築いていきゃいいじゃん」
理奈を取りなすのだった。

理奈も一応は応じてくれる模様で
「分かった久美ちゃん。まだ翔と恋人になれるのが後だって言うんだったら頃合いを見てみる
占ってくれてありがとうね」
私に礼を言って、うちのメンツで一番自分と顔なじみである優子ん所に言って二人で色々と話しだすのだった。

500舞い降りる鷹 ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:38:00
んでんで…暫く色々と占っていたが人が引いたのを見計らった菊野さんから
「巫女様もお疲れでしょう…まだ場所を変えて午後の部も控えてますし、
ウエイトレスの方に頼んで巫女様分の食事を作ってもらったので暫くお休みください」
気を使って休むよう声をかけてくれた、因みに菊野さんが言うにはマミーはとっくに高いびきで昼寝中らしい

それにそろそろお腹も減ってきた事もあるので
「分かりました菊野さん。では私も暫く休憩します」
さっと仕事着を片づけて、昼ごはんの準備を整えていた

お〜菊野さんが言うとおり予めテーブルには私が食べられる分の食事がぱっぱぱっぱと置かれている所だった。
しかもなんか申し訳事に

「大泉。お前の分は司馬さんが頼んだ分量だけ置いたから、もし足りなかったら私に言え」
梢先輩直々の調理だったようだ

蜂綾 梢(はちあや こずえ)先輩。または梢打撃件守備コーチは成人だ。
しかし背丈や体つきにクールだけど可愛い童顔に似合ったシャギーヘアを見れば私とそんな変わらなく見える。
寧ろお姉さまら長身組と比べたらどちらが年長者か分からないほど低い。
しかし歴代リリアムでも五本の指に入るほどの猛打撃とあり得ないほどの俊敏さから来る鉄壁の守備で名を馳せた人物だ。

現在大学に通いながらここハニィスールのフロアチーフ件リリアムのコーチを兼ね、勤勉に働いており…
その約2割のお金は猫を飼えない分。猫カフェに消えていくのは有名な話である。

流石に普通のお客さんならきっちり敬語とか使うが
今回は仲間内の誕生日会という訳で本来ぶっきらぼうな梢先輩らしい口調にて営業していた。

さてと…ぬをぉ……基本的に菊野さんがオーダーした通りにバランスのとれた
半玉オムライス・リーフサラダ・ハーフハンバーグにハニィスール名物のハニートースト
そして保奈美んち直伝のマーブルスクリュケーキ……ここまでは普通だけど
サラダの脇にあってはいけない物が……

「蜂綾先輩…なんなんすか?これ??」
どうしても私は梢先輩に聞かざる負えなかった…だって…だって……

梢先輩はぶすっとした表情で
「ああ蜂のフリッターだけどどうした?一品精の付く物をって司馬さんは言ってたから作ったんだが
もしかして食べられんのか?基本的に昆虫はよほどの常連じゃなきゃ作らないんだがな」

蜂!蜂のぉぉ!!やっぱ蜂のフリッターすかこれぇぇぇ!!!
大きなスズメバチのてんぷらがあったからなんだこれって思ったけど

だが悪びれず梢先輩は
「小倉先輩とか一人で食事する時喜んで注文するんだがな。あとはオーストラリアの芋虫ソテーなり昆虫料理とかもな…」
てな具合に小倉監督もげても…いやいや……昆虫料理とか変わったもんを食べていると聞き私も覚悟を決めて食べたのだが…

「美味しい!」
思いのほか美味しくて声をあげてしまう。エビフライの様な…流石にいつも食べろと言われたら難儀するけどそれでも味自体は良かった。

梢先輩は嬉しそうに
「それじゃあついこの間ハブを入荷したばかりだから、生き血入りドリンクもサービスしてやろう
夏にかけて特にお前のスタミナを増しておく必要があるしな」
ぱっぱぱっぱとキッチンに入り土生の…じゃないや、ハブの生き血入りぶどうジュースを出してくれる

味は…流石にぶどうジュースを混ぜたとはいえ飲みにくいが…なんとなく精が付いた気がする
それに…ハブを食べるというのはいつかヤツを倒すという意味づけをより強く出来る訳だし。

で…当然梢先輩の料理がおいしかった事。
菊野さんのオーダーした分が本当にちょうどいい塩梅だった事など昼ごはんは大満足だった。

もっとも…夜は副キャプテンの会社関係者から付き合いのある企業関係者まで来ると言った理由から
私らでもそうそう滅多にいけない割烹“明日野”での懐石料理が控えている為
現在腹6分くらいなのだけど。しばらくの間全く問題は無い

そんな後の事はまた考えればいいし、今はハニィスールにて占いをひたすら行っていた

501舞い降りる鷹 ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:39:12
そんなこんなで、日も暮れてきた所で副キャプテンからお客さん等に対して一礼した後
「皆様。私の誕生日に来てくれてありがとうございます。
続いて夜の部にも来られる方・或いは帰られる方にもそれぞれ送迎車を用意しましたので搭乗してください
昼の部にて帰られる方。改めてありがとうございました」
もう一度深く頭を下げる…呼んだ側とはいえそこまで丁寧にしなくてもいい気がするけど…

で殆どみんな夜の部にも出るのか、ぞくぞくと明日野行きの送迎バスへ乗り込むのだが…
ふと私は理奈を見かけたので見てみたが、今日はもう上がるようで…副キャプテンと少し話した後
何かプレゼントしたようだ…余りに遠くだったから、読唇術も様を成さず詳しい話までは流石に分からないが
雰囲気を見る限り。副キャプテンはかなり嬉しそうに理奈から小包を受け取って、西小行きのバスに乗る理奈を見送っていた。

んで…私は当然仕事件リリアムのお付き合いなどのファクター
そして明日野の“海賊海鮮”目当てでそのまま明日野行きバスへと乗り込むのだった。

運のいい事に優子と相席になれたので…
「優子。私理奈と…あの野村理奈と友達になったよ」
て報告すると優子も嬉しそうに

「そうなんだ!占いとかやっぱ土生絡みの事とか? ああごめん久美…占いの結果とか言わないんだったよね」
優子は理奈が土生の事を私に占ってもらうと踏んでた様で興味があった様だけど
意味もなく第三者に占いの結果は言わないと言う事を思い出してくれたようでそれ以上の詮索はしなかった

でも優子の話は続き
「後ね…副キャプテンのプレゼント。この間私や理奈。芙蓉さん・村田さんが集まって
絶対に副キャプテンが喜びそうなものって事で理奈の声を入れた目ざまし時計を贈る事にしたの」
成程ね…あの大きさなら目覚まし時計っていわれりゃ納得がいく
最も…ただ理奈に頼みごとをするだけで、リリアムのスタメンが三人も出る事は無いと思うから
優子達が土生等と練習をしに行くついでに理奈を捕まえたと言うとこなんだろうな

そういう事情なら副キャプテンが申し訳なく思うのも、小倉監督が照れているのもなんとなくわかるし

で…話は続き、梢先輩直々に土生ドリンクじゃないハブドリンクなどを振舞われたと聞いた時はさすがに優子もびっくりしていたが

「味は良かったんだ、蜂のフリッター
じゃあ今度私の家に来ない久美?母さんがモツ鍋凄く上手でさ…梢コーチが言った通り私たち以上に久美は夏に向けて体力をつけなきゃいけない訳だし
それからこれは久美が良かったら…なんだけど……」
今度は優子が優子の小母さん直伝のモツ鍋でもどうだと誘ってくれた…それから何か言いたげだったが、バスは明日野に到着し……

優子は待ちくたびれたとばかりに席を立つが
「それじゃあ詳しい日程とか連絡するし、私の家に遊びに来てね❤」
とまあ私に気を使ってくれるのだった

502舞い降りる鷹 ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:41:07
んで…やっぱり4代続く老舗割烹!でか〜い!!説明不要!!!
聞いた話だと第一次世界大戦から営業を始めたお店で、総代明日野真里菜(あすの まりな)さんが料理長を務めていたと言う話だ
で…流石に真里菜さんはもう他界したが、85を超えてなお“天才”と呼ばれている総料理長
明日野 俊彦(あすの としひこ)さんを筆頭に
“海賊船長”とあだ名を取る二代目料理長明日野 卓也(あすの たくや)さん
そして初代利彦料理長の再来と呼ばれている副料理長 明日野 来生(あすの きお)さん
の家族経営で現在に至る

んで…今度は前もって来ていた副キャプテンの会社のお偉いさんなり、その家族であろう
いいとこのお嬢様やお坊ちゃんだったりと、やっぱり私もマミーも大忙しだった。

そんな中。私は仲良さげな兄妹の占いを務める事となったのだけど…

「お兄ちゃん。私だけでいいの?」
可愛らしい女の子が高校生くらいの男に申し訳なさそうな口調で言うも、丸坊主な兄と思われる男は
「俺はいいや…それよりさやかが占ってもらってばいいよ…大洋とか色々あるだろうしさ……」
妹…兄が言うさやかという少女を先に占って欲しい様だ

ん…あっ。この丸坊主の人どっかでみた事ある気がするなと思ったら
大分前大洋リトルが優勝した時の主戦力だった人か〜けど今じゃ大洋リトルは落ちぶれたって話だけど

たしか…石井卓郎…って名前だったかな?
そんなオールドスターに妹がいたなんて全然知らなかった
どれだけのもんなんだろ?けど過去の名声にしがみついているリトルじゃねぇ〜
今の監督さんも愚鈍だって口ずてに聞いたし…それとも下手くそだからその程度のリトルでしか勤まらないって事?

けどまあ仕事だからさやかという少女を占う事にした
「じゃあ貴女ね占ってもらうのは…今日は何を占って欲しい?」

私はさやかに問う…さやかは卓郎さんの顔を少し見て…
「わ…わたしお兄ちゃんが日本一にした大洋リトルをもう一度日本一にしたいんです!!」
きっぱりと所属している大洋リトルを日本一にしたいと言い切った。

ただ卓郎さんはなんか引け目・或いは負い目があるのか少し表情が暗くなる。
私としても昔はともかく、ぶっちゃけ今は弱小リトルでしかない大洋リトルじゃとても無理だろうなと心の中では思った。

だけどまあ私は何も言わずにタロットをさやかの前に出した。その結果

過去が大洋だけあってか“太陽”の逆位置
現在が“運命の輪”の正位置
未来は“吊るされた男”の正位置

なるほどなるほど
私はカードの意味とともにさやかの境遇を察した
「成程。大洋リトルではあまりよくしてもらってない…でしょう貴女」
失礼だと思ったけど、私ははっきりと言い切った
太陽のリバースは不調や落胆を意味し、チーム自体衰退しきっている大洋リトルに相応しいカードといえた。

卓郎さんはぎょっとし、さやかも表情が沈んだが…
「そんな事…それは私の出来が悪いから……チームが悪い訳じゃ…」
健気に言い返してくる。でも卓郎さんは直接見たのか聞いたのかと言わんばかりに
チームになじめていない、或いはチームから浮いていると言うのを態度で私に教えてくれた。

私は気を取り直して
「でもね…現在のカード“運命の輪”はチャンス!或いは新しい出会い
だからそのうちきっといい事があるわよ」
運命の輪の説明をする…私としては恐らく校舎の意味でかなうだろうと思ったがさやかは

「はい。きっと…きっとチャンスは掴み取ります!!」
前者の意味と取ったようだ…どちらかというと新しい出会いの方がカードの意味合い的にはよりぴったりなんだけどね

で…最後のカード“吊るされた男”
「でもまだまだ。試練は続くってさ
その代わり堅実に物事を積み重ねれば、着実に自分の力になるよ」
とまあさやかの野球ロードは順風満杯と行かないが…そのうちさやかを受け入れるリトルが現れれば、ちゃんと活躍できると言う事を匂わせ
さやかの占いは終えるのだった。

因みにだいぶ後の話になるんだけど。
恵の一件でさやかと再び会った時。彼女が光陵に入ったと知り
運命はどう転ぶか分らないモンだな〜と心から思う事となる。

ましてはさやかがあのパワー馬鹿と純粋なお付き合いをする事になるとは思わんかった。

とまあ私が知りえる話からしたら未来の話は置いておき、ひたすらお偉いさん等の占いを続けていたが…

503舞い降りる鷹 ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:44:14
自分でもいい加減お腹が減った事は自覚していたので、近くにいた菊野さんを捕まえて

「すいません菊野さん。私おなか減ったんで少し休んできてもいいですか?」
て休憩を求めるも、元々菊野さんも私を休ませるつもりだったか

「ええ…そろそろ頃合いかと私も思ってましたわ
巫女様が好きな卓也料理長がする海賊船盛りを今しておられるようですし…見ながらお食事をとってきてくださいませ」
優しく微笑み、着替えを渡してくれた。

私は菊野さんにお礼を言った後大急ぎで着替え、さっそく卓也料理長お得意の船盛りを見ていた
豪快な包丁さばきでマグロなどの大型魚をたちまち解体し、細やかな動作で盛りつけていく。

卓也料理長渾身の海鮮割烹だった。
で切り上がった船盛りを皆まるでピラニア(勿論最低限の行列はしているけどね)の様に群がり
あっという間に食いつぶしていく

当然私も皿全開に刺身を取って食べるのだが…美味しい!やっぱり美味しい!!
うまい事〆てあるから鮮度も極上。熟成も完璧と非の打ち所が無い

舌鼓を打ちまくりだったのだが、利彦総料理長入魂の“天ぷら”(フリットにあらず)も同じくらいにギャラリーと食べる人が集まり
祖父と父の手伝いをしようと来生副料理長が二人の手伝いをしてという具合に大盛り上がり!!

言うまでも無く天ぷらもご飯と一緒に疑似天丼風としてとっても美味しく食べるのだった。

で〜お腹も仕事ができる位程度には抑えて、再びお開きになるまでひたすら占いに没頭していたのだけど
最後に副キャプテンのお母さんと思われる綺麗な女の人とお付きの人らしい男の人が壇上に上がって…

「皆様。奈津の誕生日においで下さり有難う御座いました
そろそろ夜も更けてまいりましたので、宴もこの辺でお開きにさせて頂きたいと思います
皆様お気をつけてお帰り下さいませ。ありがとうございました」

てな具合に〆るのだった。

さ〜て。仕事も終わった終わった❤みんな撤収を始めているんだけど

「久美ぃ。仕事終わったらら菊野さんのギャランティを鷲沢さんがらもらうけん、控室に来てくれって」
マミーから“仕事”として報酬を受け取るから、移動とのことだ
折檻は菊野さんがやってくれているのだろう…私達母娘で控え室で待つことにした
と…暫く待っていたら……

「大泉占いお疲れ様。大泉のお母さん…夜分まで付き合わせてすいません」
何と副キャプテンが直に来た。何でも副キャプテンの話だと自分達が思っていた以上に私らが働いていたので
鷲沢夫妻と菊野さんとの間でギャランティの折檻などでまだ話しているようだった

因みに…副キャプテンの話だと、壇上に副キャプテンのお母さんと一緒にいて
特に何もしゃべらなかったお付きの人は副キャプテンの父親だそうだ。

「うちの父は目立たないからね…会社は母主導で経営しているから」
と…実の親だからこそ、わりとはっきり言うのだった。

因みに後日鷲沢家の会社を調べていたら、父親よりも母親の方が大きく写真に出ているほどだった。
かといって縁故とかでは無い様で、父親も身分相応の力はあるが、母親が更に経営の天才な模様で頭が上がらないようだ。

それで副キャプテンの話は続き

「で…菊野さんと両親の交渉もう少しかかるみたいだから、その間に大泉と大泉のお母さんに礼を言いに来たんだ」
そうなんだ…変な所で折り目正しい事で

マミーはそんな副キャプテンに感心したのか
「よかお嬢しゃんね…うちも今日一日楽しか思いばしゃしぇてもろうたわ
あんたのようによか先輩のいて久美も幸しぇね」
てな具合に副キャプテンを褒め、話を私にふる。

んんっと❤確かに今日は楽しかった。色々思う所もあるのはやっぱり変わらないけど
「いえいえ。私も母同様に色々と楽しかったです鷲沢副キャプテン!」
正直に心境を話すのだった。

そんな私達に副キャプテンはほっとしながら
「そっか…改めて今日一日ありがとう大泉。大泉のお母さんも本当に今日は助かりました」
再び私達に礼を言うのだった。

そんな風な青春の一ページみたいなシーンをしていたら
「巫女様・御母様。お疲れ様です」
菊野さんが私達を労い…続いて

504舞い降りる鷹 ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:45:20
「お疲れ様。現リリアムのエース大泉久美さん
あの娘たち以来かしらね、先が楽しみだって思える娘は……それから
大泉勝代さん。貴女も“大泉の母”と呼ばれる事はありますね…お疲れ様です」
副キャプテンのお母さんに続いて、御父さんから

「奈津の後輩は可愛い子ばかりだけど君は特にかわいいね久美ちゃん
それから勝代さん、重役とかの占いありがとうございました」
てな具合にねぎらわれた…あれ?副キャプテンのお母さんリリアムの関係者??あの娘たちって…誰?

後で調べるか…今聞くのは少し疲れもあるし…
で…マミーの方も軽く会釈して
「娘の世話になっとる先輩ん誕生会たいもん…母親んうちのご家族ん助けになるんは当然たい」
鷲沢夫妻を労う

直接リリアムとは関係ない菊野さんは仕事を優先とばかりに

「鷲沢様。御母様と巫女様に対し、色を付けて下さり有難うございます
また御用があれば優先して予定を開ける様に致しますので今後とも御贔屓にしてください」
ショウビスとしてこの上ない上客と関われた事を喜んでいた様だ

そうしていたら…今度は保奈美らアキュリス組も現れた。
午前の部同様。午後の部のデザートやらお土産の焼き菓子やらで凄く忙しかったようで
家族皆コックコートを着たままだった。だけどきっちり厨房の片づけなどをしてきたという事だ

「村田さん達もお疲れ様でしたね。お菓子美味しかったですよ」
まずは菊野さんの方が保奈美や保奈美の両親に対し、お菓子がうまいと褒め称える。

そんな菊野さんの言葉に保奈美のお母さんが
「いえいえ…菊野さんも勝代さんや久美ちゃんが動きやすいよう色々尽力をしていたのを見ていましたよ
私は夫や保奈美と違って作る方専門では無いですから、手伝いくらいしか出来ませんでしたし」
菊野さんを褒めるのだった。

菊野さんも会釈をして「ありがとうございます」てな具合にお礼を言い返す。

ただ流石にもう夜も更けて迎えのバスを待っているよりかはという話になり、今日は保奈美らの車で帰る事となった。

「んじゃ。副キャプテンお疲れ様です」
「何かパーティがありましたら何時でもおっしゃってくださいね副キャプテン!」

私らは車に乗り込む際。副キャプテンにこういう事があったらと遠慮なく呼んでと言い
副キャプテンもまた
「悪いね二人とも。私らが用入りだったらありがたく呼ばせて貰うよ
それから次は沙織の誕生会で色々頑張る事になるんだろ?私も沙織の誕生日に出させて貰うから今度は客として宜しく頼むね」
てまあ次の機会と沙織お姉さまがじきに開く誕生会のお客としてまた会おうと声をかけてくれるのだった。

「「お疲れさまでした!!」」あたしらは改めて副キャプテンに頭を下げ、車に乗るのだった。

505舞い降りる鷹 ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:47:25
で…車の中でビックリする事を保奈美から聞く事となる
「久美ちゃん。お疲れ様だね……ところで久美ちゃんはまだ知らなかったっけ
鷲沢副キャプテンのお母様って先代の監督だったんだって」

え…何それ……初めて知った。でもそれだったら確かにリリアムの事知ってるわな❤
でもなんで黙ってたんだろ…ひいきされているって勘違いされるのを嫌がったとかかな?
私なりに推察したが保奈美の方から

「…そうだね。ある程度久美ちゃんが思っている事で正解だけど
一番の原因として神楽坂キャプテンとの勝負の一件に
リリアムから一線引いたけど前監督の娘って言うので色眼鏡をかけられたりするのが嫌だったんだって」

だろうね…お姉さまと副キャプテンのキャプテン争いはし烈なんて言葉では片付かず
話し合いでも人望でも二分してしまい、一週間トライアウトをやってようやく小倉監督は
沙織お姉さまをキャプテンにした訳だけど…
当然情実縁故で出来レースとかやられたら、副キャプテン的にはいやだろうし
言うまでも無く私はそんな話が出てたら、実力だとしても副キャプテンがキャプテンになってたら絶対言う事聞かなかっただろうし。
そういった所からケチが付くと言うのは、お姉さま的にも嫌だろう。

で保奈美の話は続き
「後は現役時代の小倉監督と春日監督の事もよく知っていて
というよりあの二人がバッテリーを組んでいた頃の監督さんだったから…久美ちゃんに対しては今更言うまでも無いけど…凄いよね小倉監督達!」
てな具合に過去小倉監督達が4年からレギュラー入りし…そして春日監督が家族の人とひっこしをするまで二人が試合に出た際の防御率が0.00
つまり凡打はおろか、出塁やエラーさえも出さなかったというまじでプロになれるほどの凄まじい有様だった

もったいないな〜春日監督の事情は知らないけど、今に至るまでリリアム歴代で“最高のバッテリー”と謳われる英雄譚は語り草だ。

けど引っ越したからこそあのでたらめチームが生まれたと考えると…春日監督は小倉監督の為に対等以上に戦えるチームを揃えた…て事かな?
それともうちの決まりとして余程無茶なお願いでなければ、“勝った相手が負けた相手に従う”というルール上。ずっと見てもらいたいって考えてたりして❤

けど春日監督と小倉監督の関係は羨ましい
最強のライバル…そして最愛の恋人って言うのはロマンチックだ

私と優子もそこまでの高みに行けるのかな?相性の良さは今更考えるまでも無い
けど流石に速球も変化球も天才と言われた春日監督に勝てると言えるほど、私は傲慢では無い。

少なくても“今現在”は

真顔のままの私を見てか保奈美は
「久美ちゃんは春日監督を超えたいんでしょ❤現リリアムのエースとして…それだったら久美ちゃんだけのスぺシャリテを作る必要があると思う
久美ちゃんの変化球は凄いけど…タイガーソウルはいうまでもなく、他の強豪チームだって久美ちゃんの持ち球は研究し尽くているだろうし」

なんとなく私の考えている事を察したみたいに助言をする
スペシャリテ…要するにもっと強力な決め球を覚える必要がある事に

そう。私もなめてかかった所はあるけど
先輩どころかリリアムトップレベルのお姉さまら上位打線にさえ私のツーシームはそうそう打たれない。
だけどあいつは…土生翔平は打ってきた……
直接相対していない大河虎らタイガーソウルの上位打線はビデオを見る限り。低く見積もってさえ土生と同等

506舞い降りる鷹 ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:49:47
でもどうする?とりあえず速球は試してみても理奈と比べたら雲泥の差。
良くできても理奈の模倣の範疇を越さず、当然その程度では通用しないだろう。
逆だったら当然私が雲で理奈が泥だけどね

となるとやっぱり変化球だけどどう言うのにするか…体力消耗とか考えると色々と頭を悩ます所だ。

で保奈美は…
「私は久美ちゃんみたいにピッチャーやる事は無理だし、打撃にしても凪ちゃんや石引さん等には遠く及ばないのは分かっているから
せめて守り切る事はね…久美ちゃんにも頑張ってもらうけど私もフォローはするから…お互いガンバろ!」
てな具合にいきなり結論は出さなくていいからベストを尽くそうと励ましてくれた

確かに幸いなことにまだ決め球を絞る時間はある。或いは何かしらできっかけをつかめる可能性だってあり得る。
とりあえず今日は占い疲れもたまってたし、明日改めて考えるとしますか❤

「まかせてよ。保奈美達がビックリするような球投げて見せるからさ」
私は心配するなとばかり保奈美にそう言い返し、保奈美も信じているとばかりに微笑んでくれた。

そうして保奈美と話している間に我が家が明かりをともして出迎えてくれたのでまず私から
「ありがとうございます保奈美のお父さんとお母さん」
続いてマミーも
「村田しゃんうちら親娘ば送り迎え届けて頂きありがとねやった」
てな具合にお礼を言い車から降りようとするも、菊野さんから少し止められ。

「今日はお疲れ様です。お二人とも本日のギャランティです…お受け取りくださいませ」
てな具合に今日の給料を渡してくれた。

で…保奈美から
「それじゃあ司馬君のお母さん送って帰るから、ゆっくり体休めようねお互いに」
とまあ私に気遣ってそのまま帰るのだった。

で…鍵を開けて私らはお給料の確認をすると…封筒の重みでなんとなく察しはついていたが
菊野さんが言ってた通りかなり色を付けてくれたようで、かなり割の良い仕事だった

お風呂も律儀にパピーがわかしてくれたようで、先にマミーを入らせ…私は疲れているなりに着替えながら、ソフトボール大百科を眺めていたら…
電話?だれからだろう…仕事用の番号だから冷やかしとかではないだろう…受話器を取ったら出てきたのは…

「はいは〜い。大泉ですけど…ん?あ〜あんたか〜
え…あ〜私に?まあいいけど…マミーはその日付だと別の仕事だし…OK
ただ予約取れるの営業時間ぎりぎりだから結構夜遅くになるけど…ああ良いのね。分かった分かった
大阪からはるばるとねぇ…ふーん。はいはいじゃあ夜にまた」

ひょんなことってあるモンだ、まさかあいつが私に占いを頼みに来るなんて
まあいいや仕事が増えるのはそんな悪い事じゃないし…あッ!聞こえたるはマミーの声

「久美。いんたはしゃっしゃっち風呂入っち寝ない! 疲れとるんやろ」

マミーは相変わらず早上がりだな〜電話終わった時着替えが終わっていたようだ

私はとりあえず明日の為引き出しから服を取り出し浴槽に向かうのだった。続く

507設定資料 ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:53:06
ミニ設定資料

蜂綾 梢(はちあや こずえ) 150cm B76(B) W56 H80 47kg 21歳
喫茶店ハニィスールのフロアチーフを務める大学3年生でリリアムの打撃件守備コーチも務めている。
特徴としてシャギーを入れたショートをしている童顔小柄なクールビューティー
本来はぶっきらぼーな性格ながらとても機敏で接客スマイルなども完璧に行う

過去リリアムに属していた事もあり、当時から尋常じゃない動きの俊敏さを守備に使いつつ
小柄な体躯とは想像もつかないほどの強烈な打撃で名を馳せた四番打者
因みに猫マニアでオフの時は猫カフェに通い詰めているらしい

元ネタはブリーチ登場人物 砕蜂(ソイフォン)の本名 蜂 梢綾(フォン・シャオリン)より

喫茶店ハニィスール
小倉監督がわりと良く行く喫茶店。
基本的に甘味料は蜂蜜縛りという一風変わった喫茶店
さらに常連などに提供する裏メニューには昆虫の類が混ざったキワモノ料理(味はいい)を提供する

因みに後日土生少年と野村穣も中井監督との食事会にてこの店に訪れる事となる
(再開のストレートより)

元ネタはハースニール(WIZシリーズに出てくる剣・或いはみさくらなんこつのサークル名)より


割烹明日野
100年以上前から付属地区にて名を馳せる割烹料理店
初代明日野 真里菜を皮切りに二代目明日野 利彦 三代目 明日野 卓也そして
現料理長は明日野 来生が務める

初代板長 真里菜は他界したものの、揚げ物を得意とする利彦・刺身を得意とする卓也
オールマイティな来生の三人で切り盛りしている

名前の由来はガンダムAGEのアスノ一族から
フリット・アスノの母 マリナ・アスノ
第一部の主人公にて本編キーパーソンのフリット・アスノ
第二部主人公 アセム・アスノ
第三部・および三世代編主人公 キオ・アスノ より

508名無しさんX ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:53:38
以上で投稿終了です。
次は

509名無しさんX ◆q5tFVKFOs2:2013/08/21(水) 13:56:31
【変なところで失礼しました。
舞い降りる鷹の裏話“保奈美イズム”と超展開必至の久美イズム続編
そして今まで語られなかった“彼女”の裏事情が明らかに!
次週をお待ちください】

改めてどなたか書き込みお願いいたします
以上です。

510名無しさんが妄想します:2013/08/22(木) 09:26:22
連投規制ならもう解除されたはずですよね?
またのご依頼お待ちしております

511 ◆q5tFVKFOs2:2013/08/22(木) 12:53:59
>>510
【すいません勝手がわからなかったのでいろいろ使わせていただきました
今後は気をつけます】

512名無しさんが妄想します:2013/08/23(金) 12:54:23
テンプレ置いときますね

【依頼に関してのコメントなど】
【スレのURL】
【名前欄】
【メール欄】
【本文↓】

513名無しさんが妄想します:2013/12/14(土) 20:46:24

久しぶりにネタ思いついたけどスマホ全規制
小ネタでもよければ代行よろしくお願いします

クイーンズブレイドのエロパロ
ttp://pele.iand2ch.net/bbspink/test/read.cgi/eroparo/1201432565/l50
名前欄 名無しさん@ピンキー
メール欄 sage

以下本文↓

514名無しさんが妄想します:2013/12/14(土) 20:48:06
アルドラ「ふと気になったのだが…そなた名は何というのだ?」

コック「…え?」

アルドラ「いや、コックコックと呼んではいるが名前を聞いた事は無かったと思ってな」

コック「…はあ」

アルドラ「これからは名前で呼んでやろう、名乗ってみよ」

コック「いや、コックでいいですよ」

アルドラ「…おい、余が名前で呼ぶと言ったのだ。さっさと名乗らんか」 

コック「だからコックでいいんですってば」

アルドラ「いい加減にしろ、名乗れと言うのがわからんのか!?」

コック「だから名乗ってるじゃないですか」

アルドラ「…え?」

コック「コック(職業)の、コック(名前)です」

アルドラ「…えぇー…」

コック「まあモブキャラですからねー」ヤレヤレ

アルドラ「そういう事を自分言うものでは…いや…そなたがそれで良いと言うなら…まあ…」

コック「ああ、ちなみに一部の国では『コック』って『ち○こ』って意味になるそうですよ」HAHAHA


アルドラ「よしそなた今すぐ改名しろ」

コック「え」

アルドラ「いいから改名しろ」

コック「え」

アルドラ「四の五言わず改名しろ!余がもうそんな風(ち○こ)にしか見られなくなるだろぉぉぉぉ!!」

515名無しさんが妄想します:2013/12/14(土) 20:49:45
以上です
よろしくお願いします

516名無しさんが妄想します:2013/12/15(日) 14:18:27
いってきます


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