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書き込み代行スレ

471五行戦隊 第五話『寄生化スーツ』(12/20):2012/08/22(水) 06:29:11

灯は寸前のところで身を引き、後ろから駆けつけた睦美や翠と肩を並べる。
表面に「5t」と書かれた鉄塊は地面にめり込み、
その上に一人の小柄な少女が立っていた。
彼女は黄色い触手スーツを身に付け、憤怒と不服の表情を灯達に向ける。

「どういうことなのよ……どうしてお前達がピンピンしてるの?
 どうして翠はそっち側にいるのよ!」
「やい鈴華、いつまで寝ぼけるつもりだ!」
灯が啖呵を切ると、鈴華は鼻で笑った。

「寝ぼける? ふふっ……今まで我慢してたけど、この際はっきり言わせてもらうわ。
 私はね、馬鹿で馬鹿なバカリのことは大っ嫌いなのっ!
 あなたも百眼様のしもべに寄生させて、一生私の性奴隷になってもらうわ!」

鈴華は鉄塊の一端を掴んで走り出す。
鉄塊からそのまま一本の棒が伸び出て、鈴鹿によって力いっぱい薙ぎ払われる。
地中から起こされた鉄塊はそのままハンマーとなって振り下ろされる。
だがそれが目標を叩く直前、幾重もの葛草がきつく巻きつく。

「鈴華は私が止める。あなた達はその間に!」
「翠……!」
心配の表情を浮かべる灯や睦美に対し、翠は頬を赤らめながらも健気な笑みを返す。

「私のことなら心配いりません。それより、残り時間はもうそんなに無いはずです。
 速く清見さんのところへ行ってください」
「清見は私と百眼様のもの! 誰にも渡さないんだから!」
「行って!」

翠は灯と睦美を押し出すと、すかさず巻き蔓を手放して無数の花びらを散らした。
鋭い刃が空を擦る。
葛草の巻き蔓は横一線に両断され、あとずさった翠の頬にも一筋の傷がつけられる。
微量の血の色が滲み出す。

「灯、行くぞ」
その場から離れる睦美に、灯はきょとんとする。

「鈴華と戦うには翠一人じゃきついだろ」
「足止め戦は彼女が一番得意としている。逆に言えば、
 残り時間はそれくらいしか無いってことだろう。翠自身がそれを一番理解してるはずだ」
「くっ……分かったよ」
最後に翠の背中を一瞥してから、灯は睦美の後を追った。

切り刻まれた植物の残骸が地面に散らばり、鈴華と翠の剣幕を彩る。
「ふふっ、裏切り者がわざわざ裁きを受けに来たわけ?」
「私はもとから妖魔の味方になっていないから、裏切りではありません。
 あなたの目から離れるチャンスをずっと待っていました」

「でも、翠ちゃんのおかげでこれまで色んな人間に寄生できたわ」
「……その罪を含めて、私が償いをするだけです」
「無意味だな。いずれあなたの精神は完全に邪悪に染まり、その感情さえ忘れてしまうわ」
「そうなる前に、この命と引き換えに妖魔の野望を防いで見せます」


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