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書き込み代行スレ

1名無しさん@妄想の虜:2003/08/13(水) 21:32
規制されてエロパロ板に書けない、でも書きたいレスのある方はこちらでどうぞ。

書き込みたいスレッド、書き込みたいレスの内容、
名前欄、メール欄(age、sage指定など)をこちらに書き込んでください。

対応してくださる方がいないときは、
代理書き込みに時間のかかる場合があることはご了承ください。

代理書き込み終了後、こちらに書き込んだレスは消去して欲しい場合、
その旨(書き込み依頼時に)申し出てください。

消さない前提で運営しますが、消して欲しい書き込みには、
出来るだけ善処します。

※ BBSPINKの削除対象にあたるレスの代行はお断りします。

276「最悪の選択肢 完全版」6:2010/06/20(日) 16:06:42

ガササッ

その時、今更少女の助けを求める声が神に届いたのか――あるいは悪魔に――草を掻き分け、凶暴な肉食の爬虫類の群れが姿をあらわした。

「ひいいいっ!」

男達は、少女の体から自らの生殖器を引き抜くと、我先にと逃げ出した。
窮地に陥った人間の底力か、太った男ですら、陸上選手並の速度で逃げていくが野生動物の前には亀の歩みに等しい。

そして、多くの肉食獣に備わっている本能に従い、鰐どもは、動けないでいる少女を通り過ぎて、逃げる男達に襲いかかる。

かつて少女が見た予知、その通りの光景。
今はまだ、鰐どもは男達の新鮮な肉を喰らうのに夢中だが、おそかれはやかれ、少女もまた予知の通りになるだろう。

あきらめが少女を包もうというとき、遠くに見知らぬ大人の集団が見えた。
粗末な手製の石斧や、棍棒で武装している5人ほどの男達。
あるいは、少女の、人間の悲鳴をききつけてこの死地に来てしまったのだろうか。

その時、少女の脳裏にまた映像が浮かんだ。

少女の助けを求める声に駆けつけた男達が、鰐どもを追い払う姿が、その後、興奮した男達に再び陵辱される自分の姿が、そして、
数ヶ月立った頃だろうか、
虚ろな目で彼岸の笑みを浮かべながら、少女は一糸まとわぬ姿で、ヘソが伸びてなくなるほど膨れ上がった自らの腹を撫でていた。
その乳房は3周りは大きく膨らみ、乳りんは広がって、色はピンクからどどめ色に変わり果て、乳首と股間から白い液体を垂れ流している姿。

少女は震える。
このまま鰐に食われて死ぬのか、男達に助けを求めるのか。

猶予のときは、もうあまり残されてはいない。

277あとがき:2010/06/20(日) 16:07:55

実は、池田が向井と同い年ぐらい?
しかも、中学生だと思ってた真美が高校生……資料をそろえてから書かないから……。

山田先生のキャラの年を絵で見ただけで判断するのは、とっても危険。

というわけで、前回書いたものに微修正を加えて最初から。
ただし、フルヒップのショーツは私の趣味なのでその設定でいきます。ビキニタイプとか邪道だよね。

エデ檻は、良い題材の宝庫なので古本が手に入ったら、また書きたいですね。



以上です。どなたかよろしくお願いします。

278名無しさんが妄想します:2010/06/23(水) 13:37:33
>>271-277
代理投下してきました。

279 ◆qs7EFMKq0E:2010/06/23(水) 20:57:35

ありがとうがざいます。
投下確認しました。

280名無しさんが妄想します:2010/08/01(日) 00:44:55
どなたか代理投下おねがいします。

【書き込みたいスレ】↓
【バトスピ】バトルスピリッツでエロパロ
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1264618679/l50
【名前】M×R
【メール欄】sage
次のレスからの代理投下をお願いします。

281M×R:2010/08/01(日) 00:46:10
警告。
華実×弾
妄想炸裂別人警報発令徹頭徹尾自己満足。
ほぼ百二十パーセント捏造。
華実の相手は兄さまだけだとか、捏造CPは認められないとか、お前の妄想に付き合ってられるかって人は、スルー推奨。

公式で弾×華実があり得なかったのでカッとしてやった。只今絶賛後悔中。
何気に初のエロパロ
あと、長いです。

282M×R:2010/08/01(日) 00:48:13
―――あ………。

 と。熱に酔った音が唇をつきました。
 音が言葉になる前に、彼の舌が私の唇をするりと潜ったのです。

「んっ」

 意志を持った生き物のように動く舌に、歯列や歯茎を舐められて喉の奥から、くぐもった音が漏れ出ます。
 オトナのキス。それだけで、私の体ははしたなくも昂ぶってしまいました。

「んっ、んん―――っ!」

 淫らな熱に意識が緩んだ瞬間、まるで、狙い澄ましたように彼の舌が歯列を超え、私の舌に絡み付きました。
 まるで蛇の交尾のように。ペチャ。ペチャ――と、私の舌と彼の舌が、赤面してしまいそうなほど、生々しい音を立てます。
 気付けば彼からだけではなく、私の舌も体内に侵入していて、お互いに舌を吸いあい、獣のように貪り合っていました。
 五分か、もしくはそれ以上。私にとっては永遠と思えた口付けは、お互いが酸素を求めたことで、唾液の橋だけを残して別れました。
 けれども、それも一瞬の出来事。どちらともなく、私たちは再びお互いを求めあって、互いの唇の味に酔いしれます。

 そして―――、

 痛いほどの力で私を抱きしめていた右手は、項を撫で上げ、淡い緑色をした私の髪を指に絡めながら。
 片割れとは逆方向に動いた左手は、腰のラインをなぞり、肉付きの薄いお尻の感触を愉しみながら。
 キスを貪り合う下で、わずかな隙間も許さないほど、密着した体はお互いの熱を共有して。
 下腹部に触れる一際熱い肉の感触に、私の子宮はどうしようもない疼きを抑えられないのでした。

 二度目のキスが終わります。
 銀糸が宙に解れ、お互いに言葉はなく、見つめ合う彼の瞳に、悦楽に蕩けた女の顔を見つけて、私はさらに赤くなってしまいました。

 赤。紅は彼の色。
 馬神 弾。
 コアの光主で、赤の戦士で、激突王。そして、百瀬華実の恋人。兄さまとはまた別の、愛を与えてくれる愛しい人。
 
 弾と睦み合うと、私はいつだって彼の赤に染められてしまいます。いつもの物言わぬ姫君は何処かに消え去って、まるで娼婦のように、体を開く牝になってしまうのです。
 弾に触れられるたび、舐められるたび、突かれるたびに、二次性徴もろくに迎えていない癖に、私の体は淫らに花開き蜜を溢れさせます。
 そして、引き締まった彼の体に縋り付いて、快楽に咽び泣くのです。

 弾は、そんなはしたない私にいつも、可愛いよ。と、囁いてくれて、だから私も歯止めがきかなくて、どんどんと、彼に溺れてしまうのです。

 本当に、ひどい人。

 百瀬華実と馬神弾が、こんな関係になったのは、数か月も前の事。
 ハレの日の喧騒に浮かれる、とある町のこと。
 お祭のフィナーレを飾る、空に開いた万色の花の下で――――、

「きゃっ」

283M×R:2010/08/01(日) 00:49:09
 衝撃に、小さな悲鳴が漏れました。背中を柔らかく受け止めたのは、スプリングの利いたベッドの反動。
 いつの間にか天井に向いた視界には、覆いかぶさるような弾の姿。どうやら、回想に意識が向いている間に、寝台に押し倒されてしまったようです。

「……いきなりだなんて、ひどい人」

 軽く語尾を弾ませて、くすり。と笑うと、弾は面白いくらいに狼狽して、一生懸命言い訳らしき言葉を紡ぎます。
 ああ、なんて可愛らしい。
 湧き上がる衝動のまま、上体を起こして伸ばした腕を弾のうなじに回して、軽くついばむようなキスをすれば、彼の唇は言い訳の垂れ流しを中断しました。

「今夜も、いっぱい愛し合いましょう」

 私だって、もう我慢は効かないのです。二度のディープキスで、私の秘所はすでに濡れそぼっているのですから。

 対面座位で向き合って、両手は私の胸から腰のラインを撫でるようにしながら、もう一度、弾は唇を触れ合わせるだけのキスをしてから、私の肌に舌を這わせます。
 唇から、顎を通って首筋まで、鎖骨の辺りで一度止まって、コリっと、歯を立てられました。

「はぅッ」

 甘噛の感触に、びくりと体が震えます。弾はにんまりと笑うとそこに唇をあてて吸い上げました。

「ああっ!」

 喉を震わせた嬌声に気を良くしたのか、弾のキスは止まりません。反対側の鎖骨や、肩、二の腕から指先に至るまで、いつもの黒いドレスからのぞく肌に、キスの雨を降らしてゆき、

「んっ―――。あっ、あっあぁあ!」

 桜色に昂ぶった肌に、赤く烙印が捺される度に、ビクビクッと、私の体は弾むのでした。
 
「―――ああ、こんなに……」

 赤く残ったキスマークたち。

 ―――弾ったら、明日の朝、兄さまや魔ゐさんに、何を言われても知りませんよ?

 そうこうしているうちに、ドレスの上から這わされていた指先が、布地の淵にかかります。これから、この身を包むドレスを剥ぎ取って、私の裸身を夜気に晒す気なのでしょう。

「ま、待ってください」

 思わず制止の声が出てしまって、弾が怪訝そうな瞳を向けてきました。

 私だってこんなところで止めたくなんてありません。でも、
 彼とこんな関係になってからもう数カ月。幾度も交わってきたけれども、やはり裸になるこの瞬間は、とても恥ずかしいのです。

 どうした? と、視線で問うてくる弾から、私は両手で顔を覆って逃れます。

「あの、やはり、脱がなければいけませんか?」

 指の間から、恐る恐るのぞき返せば、

「うん。俺、綺麗な華実の躰、見たいな」

284M×R:2010/08/01(日) 00:50:36
 なんてことを言うのでしょう。臆面もなく返された言葉にさらに紅潮してしまって、私は弾を見ることすらできません。
 そうやって私が固まっている間に、彼は手早くドレスを剥ぎ取ってしまっていて、抵抗すら出来ずに、私は総てを晒していました。

「〜〜〜〜〜〜っ!」

 あわてて前を隠そうとした手は、優しく掴まれて、頭の上で片手にひとまとめにされてしまい、弾の視線の視線を遮るものは何もありません。
 羞恥と、申し訳のなさに全身を焦がされて、私は小さくつぶやきました。

「ごめんなさい……」

 小さな、桜色だけが目立つ平坦な胸。
 肉付きの薄い、少年のような臀部。
 それらを繋ぐ、括れを知らない子供そのままの腰。
 マギサ様は愚か、魔ゐさんにも届かない幼児体型。
 その癖、淫らに火照り、濡れそぼる恥知らずの躰。
 おのれの淫乱さに居た堪れなくなって、もう一度謝罪の言葉が唇を突きそうになった時、それよりも早く、弾の舌が肌を這いました。

「ひゃうっ!」

 思わず、変な声が飛び出しました。
 谷間と云うにもおこがましい、僅かな膨らみの狭間に、弾の赤い印が刻まれます。

「謝るなよ、そんなこと」
「でも―――、弾だって、もっと女らしい躰のほうがいいでしょう?」

 マギサ様や、魔ゐさんみたいな。

「馬鹿だな」

 そう言って、彼は幾度目かのキスを、唇に落としました。

「何度も言ってるだろ? 俺が、抱きたいのは華実だけなんだ。それだって、華実が華実だからで、胸とか腰とか、そんなん、どうでもいい」

 胸が大きかろうが小さかろうが、俺が好きなのは百瀬華実っていう、女の子なんだから。

 それを証明するかのように、弾が私の小さな胸に吸いついて、舌先で桜色のとがりを弄びます。
 つついたり、舐めたり、それだけでは物足りないと、もう片方の乳首を指で引っ掻いたり擦ったり、
 その行為で、電流を流されたかのように暴れる私の躰を、逞しい腕と胸板で抑え込んで、弾の責めは下半身にまで及びます。

「ひゃあああぁああ!!!!」

 濡れそぼった花芯に、いきなり指を突きこまれて、私はあられもない声で叫んでいました。

「やっ、そん、っなっ、いきなぃいいいいい!!!」

 膣内を指の腹で擦られ、爪の先を軽く引っかけられて、かき回され、いつの間にやら二本三本と増えていく、指での愛撫。
 不規則に指がうごめくたびに、膣から脳まで白い電流が駆け抜けて、弱点を的確に攻めるその快楽に、意識は、早々に彼岸へと向かいます。

 しかし、絶頂へと解放されかけた私の意識は、まるで冷や水を浴びせられたかのように引き戻されました。

285M×R:2010/08/01(日) 00:52:37
「ちがぅ、そこちがうぅううううう!!」

 今まで乳首を弄っていた弾の指が、奥に窄まる菊門をなぞり出したのです。

「今日は、こっちも使ってみようか?」
「駄目っ駄目ええええええ!!」

 いつもと変わらぬ声音で、とんでもない事を言い放つ弾に、恐怖を覚えました。

 確かに、こういった行為の中で、そこを使うこともあるというのは、魔ゐさんから聞いたことはあります。でも、いきなりだなんて、ゼッタイに無理です!

 けれども、体をよじっても、弾の腕の中にいる私はその拘束から逃れられず。
 それどころか、膣口に含まれている指がさらなる快楽を生み落として、逆に抵抗の力は、どんどんと殺がれていきます。
 逃れることもできずにいる内に、弾の指は、私の菊門の中心を、軽く押しこみます。
 それだけで。心臓が爆発しそうなほど高鳴りました。

「嫌ぁ! お願いダンッ! それは嫌なのぉ!!」

 そんなの、嫌。そこは排泄のための器官で、不浄の穴で、こんなことに使う場所じゃないのに――。

「でも、華実。
 こっち触り出してから、前を随分きつく締めつけてきてるし、出てくる愛液の量、増えてるぜ?」
「嫌ぁアッ! 言わないでぇえ!!」

 ほら。と、証明するかのように弾が指を動かせば、聞くに堪えない淫らな水音と、今までに倍する快楽の波に襲われます。

 そう、だから。嫌なのです。お尻の穴だなんて、そんなところに指を入れられて、そんな事で気持ち良くなってしまうなんて―――、そんな事、私自身が耐えられない。
 そんなことを期待している自分自身に、耐えられない。

「―――お願いぃ。何でもしますからぁ。お願いですから、それはやめてぇ」
「………わかった、よ」

 弾の指が少々名残惜しげに菊座から離れます。そのことに安堵して、力が抜けた体が重力に引かれます、

「あ」

 そして奇妙な声を聞いたと思った瞬間。
 私は、膣口を愛撫し続ける指をさらに深く咥えこみ、膣外の親指に、とうに勃起していたクリトリスを押しつぶされ、
 何よりも、それほど離れていなかった逆の手の指が、菊座の中心にめり込ませて、

「ひぅぁああああああああああああああああああああああっ!!!」

 初めて味わうお尻の快楽によって、潮を吹き、絶頂に押し上げられてしまいました。
 ぽすん。と力が抜けた体が、ベッドに受け止められます。その感触すら、明滅する感覚に邪魔されて判りませんでした。

「あー。………大丈夫か? 華実」

 すぐ近くなのに、やけに遠くから、申し訳なさそうな弾の声が降ってきます。

―――バカぁ。

286M×R:2010/08/01(日) 00:53:49
 けれど荒れ狂う絶頂の余韻は、口を呼吸以外に使わせてはくれなくて、一言の罵倒すら言葉になりません。

 荒い呼吸を少しは落ち着かせて。
 その間、お尻を抉った事を、悪く思ってはいるのか、謝罪の言葉を重ねる弾のほうへ、やっとのことで視線を向けると、

 そこには、弾の男性器が隆々と、臍のあたりまでに反り立っていました。

「―――」

 息を呑みました。
 散々に私の痴態を観察して、とっくに準備完了しているソレ。
 幾度も、私の最奥を突いて狂わせてきた肉の凶器を。今夜は、もしかしたら直腸まで蹂躙するかもしれないソレを見て、ふと、脳裏に閃きが走りました。
 未だにひくひく痙攣する、気だるい躰を引きずって、弾のほうへにじり寄ります。

「? か、華実?」

 無言で這い寄る私に、何か不穏なものを感じたのか、弾が腰を引きますが、逃がしたりなんてしません。
 自分でも感心する速さで髪をほどいて、リボンを根元に巻き付けます。

「華実!? なにを!?」

 返答もせず、私はリボンに彩られた、弾の陰茎にむしゃぶりつきました。

 今度は―――、私の番ですよ。弾。


 「くぁっ、華、実。そこは、マズイッ」

 赤黒い先端の弾力を、愉しむように甘噛をすれば、弾が苦しげな声を上げます。でも、聞いてなんてあげません。
 そして、こんな事をして差し上げます。

「くぅおぉぉぉおおおっ。やばいっ! やばいってば!!」

 知りません。懇願を無視して、尿道口を舌先で嬲ってあげます。
 私はやめてと言ったのに、やめてくれなかった仕返しです。
 
 先程は弾にイかされたのですから、今度は私の番です。すごく恥ずかしかったのですから、同じくらい恥ずかしい目に遭ってください。

 言外に、視線に込めた言葉を察してか、弾がうなだれます。たじろぐそこに、わずかな期待の色が在る事を、私は見逃しません。
 可愛い人。
 どうせですから、もっと可愛らしいところを見せて貰いましょう。

 隆々と勃起した陰茎を口や舌で弄り回します。フェラチオというこの行為は、女性の一方的な奉仕に見えて、実は明確に主導権をとることのできる体位です。

 と、魔ゐさんは仰っていました。セルジュさん相手に実践なされたのでしょうか? かく云う私も、一方的に弾を可愛がれるので気に入っています。

「くぁ、か、じつ。もぅ、限界」

 大きくて、固くて太い弾のモノを、喉の奥にまで咥え込むのは大変ですけれど、こんな弾が見られるのなら悪くありません。
 そんな事を考えながら、唾液を舌先に集めて先端の穴に注ぎ込みます。

287M×R:2010/08/01(日) 00:55:21
「っ!!!!!!!!!!! あぁあああああああああっ」

 異物が尿道を逆流する感覚に、弾が激しく身もだえます。けれど、後ろ手に拘束されていてはどうしようもありませんね。
 でも、ソレは弾が望んだ事ですよ? オーラクセックスと引き換えにした事は認めますが。

 三つ編みを二つとも解いた髪を振り乱して、私は口腔全てで弾を愛撫します。
 血管が浮き出るほどに勃起した陰茎は、精液を吐き出したくてたまらないようですが、根元をリボンで縛られていては、それも叶いません。
 ずぞぞぞぞ。と、下品な音を立てて吸い上げれば、かくかくと弾の腰が無様な前後運動を見せます。くすっ。早く出したいのですね。

 そろそろ弾も限界の様。なら。

「ねぇ、弾。イきたいですか?」
「あ、ああ」

 いつもの力強さを失った、苦しげにかすれた声。

「臭い精液を私の口にぶちまけたいのですね?」
「ああ!」

 快楽におぼれるその声が、―――嗚呼、ぞくぞくする。

「でしたら、言うべき事が有るでしょう」
「………。華実。頼む、出させて」

 ねぇ、弾。

「違うでしょう」
「ぅあああ」

 もっと淫らに、もっと無様に、

「さぁ、ちゃんとお願いして見せて?」
「あ、あああ」

 私と、同じ処に堕ちましょう?

 弾の無様な懇願とともに戒めのリボンを解けば、限界を迎えた怒張は、マグマのように、白濁した精液を吐き出して、私の咽喉を叩きます。

「うぅっ! けほ、ゲホッ!!」

 ドロドロのマグマのような熱の塊に叩かれた、生理的な反射で陰茎から口を離してしまえば、いまだ吹き出すそれに、顔といい髪といい白く汚されていきます。
 独特な匂いに鼻孔がくすぐられ、指で掬えば、どろりと糸を引いて。

 口に含むと、青いえぐみが舌の上に広がりました。

 嗅覚と味覚が犯されて、子宮にさらなる火が入ります。下腹部からの熱は、全身を駆け巡り、やがて脳髄を犯します。

 トロリと悦楽に蕩けた視線を向ければ、これだけの精液を吐き出した癖に、弾の陰茎は、血管を浮かび上がらせ、ビクビクと硬度を誇っていました。

 天頂へとそり立つ焼けた鉄のような肉棒に、キュン。と、子宮が熱く疼きます。

 嗚呼―――。早く、早く、あの肉で、あの勃起で、私の中を抉られて貫かれて、濃い精液をぐりぐり塗りつけられて、イってしまいたい!!

288M×R:2010/08/01(日) 00:57:11
 快楽を求める衝動に、私は荒い息をつきながら弾の拘束を解いた――その途端、私はベッドに押し倒されていました。

「!!っ ん〜〜〜ッ!!!」

 唇を奪われ、くぐもった音が漏れ出ます。
 我慢できないのは彼も同じで、両手が私の足をすくい上げ開かせて晒した、止め処なく蜜を吐き出す淫裂に、熱く自己主張するソレをあてがいました。

「華実。―――行くぞ?」

 そんな事、いちいち確認せずともよろしいのに。

「ええ。
 来て――、下さい」

 ずぶり。と、
 反り返った肉棒が、私の中心を貫きます。百舌鳥のはや贄にされたようなその衝撃で、肺が空にするような嬌声が、空を裂きました。

「華実。華実ッ!」

 様子見などなく、いきなりトップスピードに乗った激しいピストン運動とともに、弾が私の名前を呼びます。

「ひゃ、ああんッ! だっ!!!! ああッ、弾〜〜〜ッ!!!!!」

 腕をまわして縋り付き、狂ったように私は、弾に合わせて腰を振りました。

 噛み合う動きが、快楽を、悦楽を、愉悦を、慕情を、愛情を―――、
 総ての思いを二乗します。

 弾が呼ぶ私の名前。私が呼ぶ弾の名前。

 その声以外、結合部で淫らに響く淫音しか、私の耳には届きません。

 触覚はぶつかり合う痴骨と痴骨の感触を、
 味覚は混ざり合う二人の唾液の味を
 嗅覚は弾と私の汗のにおいを
 視覚は愛しい赤色とそこに映る淡緑の色を、
 五感のすべてが弾と、弾と交わる私で埋め尽くされ、

「あっ、あぁん。あああああっ!」

 私の総ては今、この寝台の上だけに。愛する人と総てを共有するこの時間だけでいい。
 それ以外は、もうどうでもいい。マザーコアも異界王も、課せられた宿命も逃れ得ぬ運命すら、

 もう、どうだっていい。私には、弾さえいればソレで良い!

 膣内を蹂躙される快感が、限界に近付いて来る。あの熱い塊がもうすぐ私の中を、膣中(ナカ)を焼き尽くす。

 その快楽はずっと前から知っていた。彼の熱はずっと私の心を焦がしてきた。
 あの青の世界のトーナメントで、それから先の様々なバトルで、幾度も彼の思いは、力とともに私の心に響いていた。

 その熱が、何より熱い彼の心が、凍てついて歪んでしまっていた、私の心を溶かした。救ってくれた。

289M×R:2010/08/01(日) 00:58:43
 両の足を弾に絡み付け、さらに奥へ奥へと導いて―――。
 嗚呼、この体さえなければ、心まで、弾と一つに成れるのにッ!!

「一緒に、一緒にぃ!! ずっとぉ、一緒に!」
「ああ、ずっと一緒だ。 華実ッ!」
「ダンッ!!! ダンッ!!!! あッ、ぁああああああああああああああああああああ!!!!!」

 絶頂を迎えた私の膣壁は、弾を思いっきり締め付けて、吐き出された熱い精液に、私は今までで最大の嬌声を上げたのです。


 夜の中、ふと目を覚ましました。
 一瞬の前後不覚を乗り越えた瞬間、私の顔は恋人のコア以上に赤くなっていたでしょう。恥ずかしすぎて、鏡で確認する気も起きません。
 恐る恐るお尻の穴に手を伸ばせば、本来そこから溢れるはずのない、粘性の白い液体が。紛れもない情事の、肛門性交の跡。
 どうして、そんなものが溢れてくるのか、できれば永遠に謎のままにしておきたい、幾重にも箱詰めにして、誰も訪れない荒野の真ん中に穴を掘って埋めてしまいたい。
 けれど、記憶なんてものは、そう簡単にはなくなってくれません。
 あの後、三度目の絶頂を迎えて気を失っても、弾は私を開放してはくれず、私自身も意識の掛け金をどこか変なふうにかけ間違えたみたいで、
 その、お、お尻の穴から溢れる、せ、い、液は、私自身が、その、はしたなく、ねだった――、結果でした。
 それ以上にも、思い出すのも憚られるような、そんな痴態を晒していたのです。

 そう思うと、唇が触れ合うほどの近くで寝息を立てているこの恋人が、ひどく憎らしく思えてきて、えい。と、ほっぺたを引っ張ってやります。

 それでも起きない彼に、苦笑しそうになって。

 ―――罪人め。

 その声に、心が凍りつきました。

 ―――よくもあれだけの人を傷つけておきながら、自分だけ幸せになろうだなんて思えるわね。

 耳をふさいでも、その声はやみません。

 ―――地球で、異界で、どれだけの人が、貴方の犠牲になったと思ってるの?

 それは、耳に届く声ではなく、心の中の、私が私を責める声。

 ―――ズングリーの家族を酷い目に合わせて。

 やめて

 ―――大好きな兄さまに、あんな事をさせて!

 やめて

 ―――弾だって、貴方といると不幸になるわ!!

 やめてぇええええええええええ!!!!!

「華実」

 弾の声に、ビクリと全身が震えました。
 心の声は、私が拒絶されると、それが順当なのだと騒ぎたて、

290M×R:2010/08/01(日) 00:59:49
「大好きだよ」

 ……、嘘。

「…………。弾?」

 恐る恐る、声をかけてみれば。けれど、弾の反応はなく。
 唇から漏れるのは、微かな寝息だけ。

「………。寝言?」

 ふと、強張っていた体から力が抜けます。
 そうです。弾は、私を大好きだと言ってくれました。私の罪を誰より知っている彼が、それを含めて、それでも私を大好きなのだと、あの花火の下で誓ってくれたのです。

 私には、逃れ得ぬ運命が有ります。
 それは、今まで犯してきた、罪の贖い。傷つけて来たものへの償い。
 因縁は、呪いのように帳尻を合わせる。私の未来は定まっている。

 けれど、今だけは、私を愛してくれる、愛おしい人の腕の中で、幸せな夢を見たいと願うのは、決して許されない事なのですか?

291M×R:2010/08/01(日) 01:03:42
以上です。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

でも、兄妹相姦ネタか―――。
兄妹二人の狭い世界から熱血主人公に関わったせいで世界が広がるってのは王道なのに。
つか、弾×あにさま。なのか? そうなのか!?

292名無しさんが妄想します:2010/08/01(日) 01:04:20
以上になります。
お手数ですがどなたか、宜しくお願いします。

293名無しさんが妄想します:2010/08/01(日) 02:19:03
>>281-291
投下してきました

294292:2010/08/01(日) 02:28:02
代行確認しました。ありがとうございました。

295名無しさんが妄想します:2010/08/16(月) 11:41:07
依頼スレッド:ビッチな娘が一途になったら第3章
レスの内容:(sage希望)
p2規制もありレスできない時用の避難所です。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/2964/1281926181/l50

以上の2行をお願いいたします。

296名無しさんが妄想します:2010/08/18(水) 00:02:20
機能しねえのな、ここ

297名無しさんが妄想します:2010/08/19(木) 18:54:45
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1232552229/

こちらのほうに以下をお願いします。

王異(魏02SR)はそのつややかな黒髪をたなびかせると
冷やかな視線を投げおろした。
拘束された鎖をはずそうと懸命にもがく男を
汚いものでもみるような視線を投げる。
「何を暴れているの?
無駄なことよ……」
「くっ、ほ、…ほどいてくれっ…」
全裸の男は羞恥と屈辱で顔を真っ赤にしている。
「これも…さだめ……」
手を振りかざす王異。
その艶やかな黒髪と、黒い服を豊かに盛り上げる肢体に
男は下半身のうずきを止めることができなかった。
「うわぁ…楽しそう、何してるの?」
眠そうな目をこすりながら一人の女が近づいてきた。
女の肌の匂いが男を激しく高ぶらせる。
その女、蔡文姫(魏13UC)は男の下半身をみて眠たげに目をこする。
「う、う〜ん…びんびんだねぇ。」
「勃起してこの程度だから…たかが知れてるわね。」
王異は残酷な言葉を吐く。
男は美女二人に間近で性器を見られる状況に興奮をおさえきれず
ますます、高ぶっていく。
「くっ…くぅぅっ……
ううっ……ぐわぁぁぁっ!!」
背中に激しい痛みが走る。
上から吊られて拘束された両腕を鳴らして懸命にもがいている。
「二人とも、甘やかすことなんてないよ。
いじめて…ほしいんでしょう…?」
姿は見えないが、冷酷な声が後ろから響く。
賈南風(魏58SR)だ。
「ふふふ……」
冷酷な笑い声とともに男の首にムチがからみつく。
「な、なにをぐえええっ……」
男は懸命にもがくが、どうすることもできない。
ふんわりとした甘い香りが辺りを包むと、ムチの締め付けが少し緩む。
そして、男の前に賈南風が姿を現した。
薄暗いこの場所に、露出された腹部が艶やかすぎるほど白い。

298名無しさんが妄想します:2010/08/19(木) 18:55:03
思わず目がいってさらに下半身が高ぶる。
そんな男の様子を見て緩んでいた首のムチが強さを取り戻した。
「どこ見てるの…?クソ男…」
「ぐえぇぇぇぇっ、ぐぇぇっぇええええっ!!
たちゅけへくれぇぇ!!」
「まぁまぁ。それ以上やると死んじゃうよ〜。」
蔡文姫がとぼけた声でとりなすと、賈南風のムチはふたたび緩む。
「まだまだイジメたりないわ…」
賈南風の黒い服を突き上げるバストを凝視したい誘惑にかられながらも
男はムチでの首絞めを恐れて、その誘惑を振り払う。
「はぁ…はぁ……一体なんなんだっ!」
男は懸命に叫んだ。
自分が一体どうして?
なぜ?
ただの、一介の三国志大戦プレイヤーの自分が、
全裸にされ縛りあげられ、そして…
「あらぁ…まだ説明してなかったのぉ…?」
甘ったるい声が男の思考を中断させた。
甘皇后(蜀07UC)がけだるげに歩みよると、
男の眼はくぎ付けにされた。
その豊かに揺れる豊満なバスト。
「ううっ……うううっ…くっ……」
性器は激しく膨張し、小刻みに震える。
一歩、また一歩と歩み寄るたびに震えるバストに
充血した眼を注いでいる。
そんな男に甘い視線を投げかける甘皇后。
「犯した罪はつぐなってもらうってことよ♪」
彼女の言葉は男の耳にはほとんど入っていない。
強烈な色気、破壊力のあるその肢体。
視線どころか、魂すら奪われようとしている。
突如として賈南風の首のムチが男を締め上げる。
「ぐえぇぇぇぇっ!!!」
「話を聞いてるの?クズ…」
王異が手にした剣の鞘で男の尻をしたたかに叩く。
「ぐぎゃっ!?」
「きちんと話を聞きなさい。」

299名無しさんが妄想します:2010/08/19(木) 18:55:17
甘皇后は前かがみになると、そのバストはますます強調される。
男はその強烈な色気にとろけそうになりながらも
必死で自我を保って、話を聞くことに努めた。
「あなた、私たちに散々ひどいことしたでしょう?
ね?その報い、つまり、そのおしおきよ〜〜」
「そーゆーことだからさぁ〜」
蔡文姫は無邪気に笑いかけた。
「ひどいこと!?ひどいことなんて僕はっ…何もしてないっ!!
僕はぁぁぐぐぐうっ痛い痛いっ!!」
髪を引っ張られる痛みから逃れようと頭を振るが、
その強い力からは逃れられない。
呂姫(群30R)は残酷な笑みを浮かべて、男の頭髪をひっぱる。
「あら…とぼけるつもり?下郎がっ!」
さらに強まる痛みに男は懸命に耐える。
「知らない、僕は何もっ…」
ぽってりとした厚い唇、そして適度に焼けた肌、豊かな胸。
祝融(群38R)は男のあごを手で持ち上げた。
ギンギンになった性器は祝融の体からの芳香に反応し、
ますます激しくうずいている。
「あたしたちにひどいことをしたってこと。
知らない…なんて言わせないよっ!」
王異はため息をついた。
「ゴミ箱に投げ捨てたり、台に放置したり…」
「こうやって破り捨てたこともあったでしょ〜」
甘皇后がそのマネをすると、豊かなバストが震える。
「ううっ、うう、そそれは、ぎゃあああああああっ!!!!」
「天罰よ……」
男の全身を稲妻が貫いた。
夏侯月姫(蜀03C)は長くスラリとした脚線美を
惜しげもなく晒しながら男に近づいてくる。
唾を飲み込み、その美貌を見つめる男。
「認めるの?認めないの?」
柔らかな太ももを男の足におしつける夏侯月姫。
その感触に男の性器はブルブルと震える。
「はぅああああっ…くうううっ……」
男は思った。

300名無しさんが妄想します:2010/08/19(木) 18:55:33
確かに排出されたカードで使えないと
思ったカードはそのようにしたことがある。
しかし…認めてはダメだ。
認めたら、もっとどんなひどい目にあわされるか……
必死で身をよじる男だったが突如としてそれすらかなわなくなった。
何太后(漢11C)と甄洛(漢22R)に左右から抑え込まれたのだ。
「動いちゃダメよぉっ……」
「抵抗することはできません。」
体を使って抑え込まれた男は脇に当たる豊かなバストの感触に
陶然となり、身動きは愚か、言葉を発することすらできなくなった。
二人は手を男の腹部付近に這わせる。
「吐いちゃいなよ〜〜?」
「自白、しますか?」
性器はビクビクと脈動を繰り返す。
「はわぁぁっ…ぁぁぁぁああっ……」
触れられれば即座に白濁の液を噴出して果ててしまうだろうが、
決して触れてくれない二人。
男の淀んだ目の先に小さな影がうつった。
「自白できない?
できないなら、いっそ切り落としちゃおうか☆」
ハサミを手に、チョキチョキさせながらその幼い少女はほほ笑む。
「オジイサマも、男への拷問はそれがいいって言ってたよ☆」
「ひぃぃぃっ…ひぃいいいいいっ!!!!」
その後ろには黒髪の美女が幼い少女を後ろに従えて近づいてくる。
「そんな野蛮なことを…。
ここは、悪霊を憑依させて発狂させてしまいましょう。
それが一番簡単なこと……
よく見ておくのですよ、壱与。」
「は、はい……」
呼びかけられた少女は恥ずかしげにうなづく。
妖艶な美女がまた一人現れた。
「あら…ドブネズミの排除なら…私に任せて…?
ふふ……」

狂宴の幕は…今上がったばかりだった。
カードを粗末にしたり、乱暴に扱ったりしている、そこの貴方。
次にこの狂った宴に招かれるのは…貴方かもしれない…

301名無しさんが妄想します:2010/08/19(木) 18:55:55
以上になります。
よろしくお願いします。

302297:2010/08/28(土) 23:35:23
代行してくださった方ありがとうございます。

続きのほうも随時こちらに上げていく予定です。

お気づきの方は時間があればお願いします。

303名無しさんが妄想します:2010/08/29(日) 00:00:51
>>302
代行した者です
勝手に前書きをつけるのはさすがに躊躇われたので今回はそのまま投下したのですが、
元スレ>>1
>一、投下の際は、カップリング(A×B)と特殊な場合は傾向(レイープ、鬼畜、オリキャラなど)を事前申告のこと。
  見やすいところに『続く』『終わり』等の区切りを入れることを推奨。
を踏まえ、次回以降は前書きに注意等を併記すべきではないかと思います
あと、続きものでしたら作品の最後の部分にその旨書いておくとか
差し出がましいようですいません

304297:2010/08/29(日) 02:55:50
あうう…
色々足りなかったですね…

もう少し色々勉強したのち出直してきます。
投下代行とご指摘ありがとうございました。

305名無しさんが妄想します:2010/11/16(火) 19:34:29
保守。依頼おk

306名無しさんが妄想します:2010/11/17(水) 14:42:04
代行依頼でなくて申し訳ありません
オリジナルVRMMOみたいな作品ってどこに投下すればいいんでしょう?
規制に巻き込まれているので向こうで聞く事ができません、お願いします

307名無しさんが妄想します:2010/11/17(水) 16:26:07
>>306もっと詳しく。

例えば、無頼な狩人×素朴な町娘で凌辱注意とか
世界の存亡に巻き込まれた高校生×物語の鍵になる謎の少女でエロ無し注意
とか具体的な内容を聞かないと答えられないや。

エロパロ板質問スレへ代理書き込みもできますよ。

308名無しさんが妄想します:2010/11/17(水) 17:43:30
説明足りなくて申しわけありません
なんていうか、強制的にプレイさせられてログアウトは相手に制御されてる
同じような人が多数いて、VRMMO自体はエロというかそういうのに特化した使用
その中でGMにもてあそばれながらもクリアを目指す、みたいな内容です
同一世界観の短編多数みたいな感じで考えてるんで、シチュで分けるのが難しいと思ったのですが

309名無しさんが妄想します:2010/11/17(水) 19:02:49
.hackやソードアート・オンラインみたいな世界観で
でも特定作品のエロパロじゃなくオリジナル小説で
シチュはバラバラな短編連作、―ここまで合ってますか?

シチュの違う連作を同じスレに連載したいとなると
エロパロ板内ではココとかになっちゃうと思います。
【うpろだ】専用スレのないSS その2【代わり】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1240477403/

いっそ、エロパロ避難所板の立て逃げスレを使っちゃうとか
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/2964/1214573840/

あと、無料で官能小説を公開できるWEBサービスもいろいろあるので
FC2小説とかも検討してみたらいかがでしょう?

310名無しさんが妄想します:2010/11/17(水) 19:36:32
回答ありがとうございます
少し考えて見ます

311名無しさんが妄想します:2010/12/01(水) 21:08:35
どなたか代理投下おねがいします。

レス代行お願いします。
【書き込みたいスレ】愛するが故に無理やり…… Part6
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1289151978/
【名前】神山家の巫女
【メール欄】sage
次のレスから前書きからあとがきまでの7レスをお願いします。

312前書き:2010/12/01(水) 21:10:04
今さらですが前スレの神獣と巫女ネタ
舞台は現代でヒロインは自分が神を祀る家系だとは知りません
男神ですが女体ふたなり状態でヒロインを犯しています

313神山家の巫女:2010/12/01(水) 21:11:01
 宮下唯が不思議な手紙を受け取ったのは彼女が小学五年生の時だった。
 給食の時間に給食袋の中から折りたたまれた紙を見つけたのだ。
 開くとA4ほどの大きさがある紙に、筆でこう書かれていた。

『宮下唯様 あなたは選ばれました。六年後の今日あなたをおむかえにあがります。』

 差出人の名前は書かれていない。
 唯は小首を傾げながら、机を円形に並び替えている近くのクラスメート達に声をかけた。
「ねえ。この手紙、私の給食袋に入れたのだれ?」
 クラスメート達は唯の周りに集まってきて紙を覗き込む。
 「知らない」「こんなに字の上手いやついないよ」と声が上がる。
 言われてみれば、こんな大人のような字を書くクラスメートはいない。
 仲の良い友達から「気持ち悪いから捨てちゃいなよ」と言われて、唯はくしゃりと紙を丸めてゴミ箱に放り投げた。
 紙屑はプラスチックのゴミ箱の淵にあたり、床にころりと転がり落ちる。
 興味をなくした唯はゴミ箱に背を向けて友人の輪に入っていく。
 溶けるように消えた紙屑に気づく者は誰一人いなかった。

「お嬢ちゃん。大丈夫?」
 肩を揺り動かされて17歳になった宮下唯ははっと目を覚ました。
 セーターの袖の先で涎を拭き取り、人の良さそうな年配の女性に礼を言うと、慌てて電車から駆け下りた。
 プラットホームに降り立ち宮下唯は呆然とした。
 彼女は帰宅途中であったはずだ。だから駅をいくつか乗り過ごしていても時刻は夕方でなければならない。
 しかし――。
 携帯電話のボタンを押す。ディスプレイが開き、時刻が表示される――13:47。
 日付までもが変わっている。
 すなわち18時間以上の記憶が唯から抜け落ちていた。
 どうしてと一人慌てふためく唯は辺りを見渡す。目の前に大きく駅名が書かれていた。
 白峰駅。全く知らない場所ではなかった。母親の生まれ故郷だ。
 ただし唯が現在暮らす家から新幹線と電車を乗り継ぎ時間距離にして四時間半も離れている。
 最後にこの地を訪れたのは8年前の唯の祖父の葬儀以来だ。
 何かに引き寄せられるように改札の前に立つ。制服のジャケットのポケットに手を入れると切符が一枚入っていた。
 切符を自動改札に通す。切符は自動改札に吸い込まれ、問題なく自動改札は開き、唯を歓迎する。

314神山家の巫女:2010/12/01(水) 21:12:09
 駅を出た唯の真正面にまたしても驚くべきものが待っていた。
「シロ!?」
 近所の野良犬がちょこんとお座りをして待っていたのだ。
 唯はシロに駆け寄り、膝をつく。
 シロと呼ばれた野良犬は尻尾を振って唯の唇を舐めた。
「シロだよね?どうして?」 
 不安からかシロの大きな体躯を抱きしめる。
 その首には首輪が嵌められていない。
 なので勝手にシロは野良犬なのだろうと思っているが、実際野良犬なのかどうかは唯にもわからなかった。
 野良犬にしては毛並みが良く、肉付きもいい。
 唯がパンなどの食べ物を与えようとしても一度も食べ物を口にしようとしない。
 幼い頃からどこからともなく現れ、去っていく不思議な存在だ。
 そのシロがどうしてここに。
 シロの体を離したところでするりとシロは唯の腕から抜け出し走っていく。
「あ、シロ」
 車道を横切り走っていくシロを追いかけようと唯も駆け出す。
 横断歩道を走って渡っていると今度は唯の名前が呼ばれ、唯は声の方に顔を向ける。
 軽自動車の窓から男性が顔を出し、驚いた顔で唯を見つめていた。
「誰?」
「俺だ。神山祐介。お前の叔父だよ」
 神山は母親の旧姓だ。母親には弟が一人いたはずだ。毎年クリスマスカードを贈ってくれる。
 最後に会った時の叔父の顔を思い出そうとするが、青信号が点滅し出したのに気づいた唯は横断歩道を渡りきる。
 そして軽自動車を路肩に停めた自称叔父の男の車に寄る。
「どうしてお前がここにいるんだ?学校は?家出か?」
 男は親しげに話しかけてくる。
 しかし、突然の不測の事態の連続に、唯は疑心暗鬼になっていた。
 本当にこれが叔父なのだろうか。
 もしこの男が本物の叔父だとしても、少なくとも八年は会っていなかった姪の顔など見分けがつくものだろうか。
 男は「とりあえず乗ってけ」と助手席を指すが、唯は頭を振った。
 運転席から不思議そうに唯を見上げる男に唯は言う。
「……簡単に、男の人の車に乗ったらいけないって。お母さんが」
 男は一瞬きょとんとした顔をして、次に神妙な顔つきに変わり頷く。
「女の子はしっかりしすぎるくらいしっかりしていた方がいい」
 そして破顔し、財布から一万円札を取り出して、唯に差し出す。
「後ろのタクシーに乗って、俺の車についておいで」

315神山家の巫女:2010/12/01(水) 21:12:54
 八年ぶりの母親の実家は大人になっても、大きかった。
 和風の旅館を思わせる広い玄関で靴を脱ぎ、長い廊下を男について歩く。
 通された客間で男と向かい合って座る。
 男に近況を訊かれて唯はぽつぽつ話す。
 途中でお手伝いさんがお茶とお茶請けを出してくれる。
「本当に家出じゃないんだろうな」
 男は念を入れて聞き返してくる。
「そうです。気づいたら駅にいて」
「18時間以上記憶が抜けてると。姉ちゃんに電話したのか?捜索願いが出てるかもしれない」
 その場で母親に電話をする。
 しかし、仕事中からか母親は電話に出ない。
 留守番電話で神山の家に来ていることを伝言に残して通話を切った。

 その夜は神山家に泊まることになり、唯は用意された部屋で制服姿のまま、畳の上に仰向けに寝転がった。
 い草の匂いが鼻腔をくすぐる。
 窓から見える空は橙から紺へと移り変わる。日はとうに沈んでしまい少し肌寒い。
 瞼を閉じた唯の耳にコツコツとガラスを叩く音が届き、唯は瞼を開け、身を起こした。
 窓の外から唯と同い年くらいの女の子が窓ガラスを叩いている。
 唯は部屋の電気を点けて、窓を開いた。
「ここの、家の人?」
 紺のセーラー服を着た女の子は小さく首を振る。
「違う。昼間、あなたがあの男と話しているところを見て気になって。ねえ、早く逃げた方がいいよ!」
 逃走劇のような台詞に唯は面食らったが、女の子は極めて真剣な顔をして、声をひそめる。
「あいつ、若い女の子に優しく声をかけて……酷いことをするの。私の友達も……。だから逃げた方がいい」
「でも、あの人も神山だって。私のお母さんも旧姓は神山って苗字で。
 私の叔父さんなの……たぶん。ここだってちゃんとお母さんの実家だよ」
「この辺には神山って苗字の人はいっぱいいるよ。私も神山。
 この家はあなたのお母さんの実家かもしれないけど、本当のあなたの叔父さんとは限らないんじゃない?」
 ごくりと生唾を飲んだ。
 あの男か目の前の少女か。
 どちらの言葉を信じるべきか迷ったが、素性の知れない三十前後と思しき男よりも、同年代の少女の言葉の方がより真実味を帯びて唯には聞こえた。
 畳の上に放ってあった通学リュックを背負う。
「靴……」
「上履き持ってきてる」と少女は上履きを掲げる。
 唯は窓から脱出して、赤い上履きを履いて、少女の後について庭から神山の家を出た。

 少女の後について田舎道を走っていると遠くから男の声で唯と呼ばれた。
 振り返り見ると、遠くから叔父と名乗った男が追いかけてきていた。
「やだ。追いかけてくる」
「こっち」
 少女二人は手を取り合い、山へと向けて走る。
 黒く生い茂る木々を前に唯が躊躇しているとぐいと引っ張られる。
「大丈夫。うちの代々の山だから。小学生の子供の足でも越えられる」
 少女二人は山道に飛び込んだ。

316神山家の巫女:2010/12/01(水) 21:13:42
 30分以上走り続け、二人は山道を少し外れた茂みで休憩を取っていた。
 唯はその場に座り込み息を整える。
 なかなか息が整わない唯を心配してか、少女は唯の肩に手を置いて、唯の顔を覗きこんでくる。
「大丈夫?」
「ん……文化部だから、体育駄目で。走るの、苦手なんだ」
 少女は唯に優しく微笑みかけ「知ってる」と言って唯の肩を押した。
 唯の体は簡単に倒れ、唯の視界に木々の枝と夜空が広がった。
 すぐに少女が呆気に取られる唯の腰を両足で挟み馬乗りの状態で覆いかぶさってくる。
「知ってるよ。唯。だって私はずっと唯の側にいたじゃないか。
 唯のお父さんとお母さんが離婚した時も。唯がテストで100点を取った時も。高校に合格した時もずっと」
 少女の姿のまま、少女から発せられる声だけが低くなっていく。
 唯は悲鳴を発することもできずに、カッと目を見開き、少女を食い入るように見つめることしかできない。
 少女は恍惚とした笑みを浮かべ、唯の白く柔らかい頬に触れる。
「可愛い唯。大人は君に何も教えてくれなかったね。
 神山家は代々この山の社を祀る家系なんだ。男は社を守り、女は私の花嫁候補だ。
 唯。あの男は本当の君の叔父だったんだよ」
「待って!意味がわからない。そんなのありえない。だって、だって」
 否定を繰り返す唯に構わず、少女は唯のカーディガンの前を左右に引っ張った。
 少女の力とは思えない力がカーディガンに働き、ボタンが弾け飛ぶ。
 同じようにしてYシャツも。
 唯の前が肌蹴け、首から下腹部までの肌が外気に晒される。
「やだやだやだやだ。やめてっ!お願い」
 目に涙をいっぱいに溜めて少女に懇願する唯。
 少女はそんな唯を見下ろして、熱い息を漏らす。
「綺麗だ。唯」
 両腕で体を隠そうとする唯の手を少女は掴み、木の葉の地面の上に縫い付ける。
 すると少女が手を離しても、唯の両手は地面に縫い付けられたまま、ビクともしない。
「えっ。嘘」
 青ざめる唯のブラジャーのホックを外すと、丸い胸がぷるんと零れ落ちる。
 冷たい空気に晒されたため、桃色の乳首は何もしなくとも存在を主張している。
「ああ。すごい。こんなに立派に育って」
 少女は低い男の声で感極まった声を上げて、唯の柔らかくも張りのある乳房を揉みしだく。
 目の前の異常な少女と初めての性的接触に、恐怖しか感じられない唯は、全身を震わせ、大粒の涙を零す。
「唯。可愛い。そんなに泣かないでおくれ」
 少女は唯の乳房から手を離して、唯の顔を両手で包み込むと、唯の唇を中心にキスの嵐を降らせる。
 少女の滑つく舌は唯の口内に侵入してこようとするが唯は歯を食いしばり相手の侵入を拒む。
 少女は残念そうに僅かに眉を下げ、少女の首筋、鎖骨に吸いつき、唯の若い肌に赤い花を散らしていく。

317神山家の巫女:2010/12/01(水) 21:14:36
「おいしぃ」
 片手で唯の胸を鷲掴み、おいしいおいしいと硬くなった乳首を吸う。
 これが童話の世界なら姫のピンチを聞きつけ、王子様が駆けつけれくれるのが王道のシナリオだが、現実は残酷だ。
 唯の悲鳴を聞きつけて山奥まで駆けつけてくれる騎士はいない。
 いつしかパンツは剥ぎ取られ、唯の足を大きく開かせて、少女は唯の中心に顔を埋める。
「いい匂いだよ。唯」
 少女は犬のようにすんすんと鼻を鳴らして割れ目に舌を這わせた。
 渇いた処女の花園を少女は自身の唾液で濡らしていく。
 浅く唯の中に入り込んでくる少女の舌の動きに、唯の体は敏感に反応する。
「気持ち悪い!いや!いやぁぁあ」
 口で拒否しようとも、少女の舌と指で次第に唯の蕾は開かされていく。
 少女は白い顔にうすい笑みを貼りつけ、唯の愛液で濡れた唇を舐めながら、セーラー服のスカートをたくし上げた。
「やはり最初は人の性器の方がいいかと思って、急ごしらえで作ってみたけれど」
「あっ……や……何で……」
 ほどよく肉のついた太もも、女らしい丸みをおびた腰。
 まごうことなき女の体。
 しかし、その中心には不釣合いな、本来ついているはずのないものが、生えていた。
 勃起し、赤黒く、血管の浮き出た、グロテスクな男性器を直視できずに、唯はかたく目をつむる。
「さあ、夫婦の契りを交わそう」
 唯の割れ目に熱が押しつけられる。
 唯は千切れんばかりに首を振る。
「やだ!入ってこないでえええ!やああああッ――」
 肉欲が唯の中に押し入る。
 膣は異物を追い出そうと収縮するが、それよりも強い力で少女の雄は唯を引き裂く。
 結合部からは破瓜の血が流れ落ちていた。

318あとがき:2010/12/01(水) 21:19:01
以上です
ここまで読んでくださりありがとうございました
続きたいなと思ってますが少々時間がかかるかもしれません

319名無しさんが妄想します:2010/12/01(水) 21:20:14
以上です
レス代行お願いします

320名無しさんが妄想します:2010/12/01(水) 23:29:00
>>311いってきます

321名無しさんが妄想します:2010/12/01(水) 23:41:22
>>320
確認しました
ありがとうございました

322名無しさんが妄想します:2010/12/08(水) 22:21:14
代行の依頼をさせていただきます。

書き込みたい場所は↓です
ファルコムでエロ小説PartⅥ
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1253185842/

メール欄は sage で、次のレスからの代理投下をお願いしたいです。

323名無しさんが妄想します:2010/12/08(水) 22:21:57
長い一日楽しんでいただけたみたいで安心しました。
性懲りも無く再び思いついたものを、さわりだけですが張っておきます。
零は既存キャラのバランスが良いので、正直設定で新しい人物を出すべきではないとは思うのですが、
ロイドの洞察力を考えると、クロスベルに来る前にも何かしら武勇伝あってもいいじゃないと思ったので…。
いろんな意味でベタベタな展開ですが温い目で再度お付き合いいただけたら幸い。

324共に歩みぬく意志:2010/12/08(水) 22:27:13
「脱獄だァっ!」

雷雨の夜、暗雲を切り裂く稲妻を背に、看守は叫んだ。

「出してくれえ!悪魔だ、悪魔が雷を担いで、こっちに来るゥ!」

頑強な造りの牢屋には、いくつもの影が、あるいは格子に抱きつき喚きたて、あるいはベッドに堅く寝そべり、あるいはかかえた膝に独り言を延々とつぶやいていた。
その一番奥の、格子が特別に二重にされた部屋の壁に、ぽっかりと小さな穴があいている。中に人の姿はない。

「ロジセルの犬だ!ヤツが、ヤツが逃げたぁ!」

看守は松明を手に大声を張り上げ、小さな街を駆け抜けていった。
雨はさらに勢いを増し、街のいたるところに激流の根を伸ばす。

その街を遥かに望む森の中、彼は息を切らせ、走っていた。
この一年。復讐という二文字だけが、彼に強い意思を与え、気の遠くなる虚無の日々から、精神の崩壊を防いできた。

「…ロイド・バニングス。」

再び雷鳴が轟き、真っ白な腕が大地に爪を立てる。取り戻した昼間の景色に、その名をつぶやく彼の姿が不気味に浮かび上がった。
片目に光はなく、閉じた瞼が歪にへこんでいた。

やがて気配は蘇った闇に溶け、降りしきる雨が息遣いもかき消す。ぬかるみ、草木の妖しく煌く小道に足跡は続いていた。
魔都、クロスベルへ向けて。

***

325共に歩みぬく意志:2010/12/08(水) 22:27:47
「ようやく今週も終わったって感じだな。」
「ああ、お疲れさまランディ。」

特務支援課のメンバーは、日曜午前の仕事を終え、午後からの休暇を迎えていた。
帰宅の途中に購入したクロスベルタイムズを開き、ランディが開放感たっぷりにこぼす。

「たまの休日くらいはゆっくりしたいもんだが、魔獣の連中も日を選んでくれないもんかねえ。」
「緊急の手配だったから、遊撃士にも依頼はいっていたかもしれないけど…。人手が減った今、俺たちに出来ることは、なるべく負担したいしな。」
「んだな。あの三人、向こうでも元気みたいで何よりだ。」

テーブルの上には、ヨシュアからの手紙があった。エステル、レンと共に、再びリベールの各地を巡り、遊撃士の仕事をこなしているらしい。

「ロイドさん…ちょっといいですか。」

端末の前に座っていた少女が、ロイドを呼ぶ。

「すぐいくよティオ。俺達も、彼らに負けてられないな、ランディ。」
「おお、せいぜい精進するとしようぜ、相棒!」

拳を打ち付けあうと、ロイドはティオが待つ端末へと席を立つ。同時にキッチンの扉が開き、エリィがお茶を点て終え、出て来た。

「皆、お疲れさま。お茶にしましょう。」
「おっ、ありがたいねえ。」

手際よく食器を机に置いていき、エリィがポットのふたをとると、ミントの香りが湯気とともに広がる。

「先の住宅街のボヤ騒ぎ…警察は愉快犯の仕業と判断、か。空家だったしなあ。」
「大事になる前に発見されて良かったわ。隣には共和国議員の邸宅もあったし。」
「正しい火遊びは美人とするもんだぜ。おっと、ありがとよお嬢。」
「ふふ、どういたしまして。」

ランディの目の前のコップにお茶をつぎながら、エリィはちらりとロイドを見た。
彼は端末の前でティオと話し合っている。その姿は以前にも増して凛々しく見え、絶え間無く小さな光が粒となって全身から弾けだしているようだ。
そんな彼に思う様愛された夜から、はやくも二週間が過ぎていた。

326共に歩みぬく意志:2010/12/08(水) 22:28:23
エリィ誘拐事件の始末、多忙な通常業務に加え、休日はキーアをつれて、皆での小旅行。
相変わらず日常は、エリィとロイドの関係をより深めるには健全的すぎた
唯一、各自の時間が作られる夜でさえ、ロイドは入浴から、着替え、睡眠に至るまでキーアにつきっきりである。
キーアがロイドにつきっきりと言ったほうがいいのかもしれない。

(仕方ないことだけど…。)

再びお互いの肌を感じる暇も、もちろん無い。
エリィとて平和な日々に不満はなく、むしろ神に感謝していたが、ロイドに対する恋しさも山と積み上げられていた。
心の内の要望すら、暴走気味になるほどに。

――今すぐ私を部屋にさらって、抱きしめて欲しい。

「わっちゃ!お、お嬢!?こぼれてるこぼれてる!」
「え?あっ…ご、ごめんなさい!」

気付けばコップにお茶がなみなみと注がれ、追加されるままにテーブルにおすそ分けをしていた。
そのまま角をつたってランディの膝へと落ちている。

「わたしったらうっかり…今拭くから!」
「ふー、ふー。や、いいさ、ほっときゃ乾くって。それよかお嬢、疲れてんじゃねえのか?あの日からまだそう経ってねえし。」
「え…。」

考えてみれば、例の事件で自分は拉致され、まだ皆の記憶にも新しい。
周囲の気遣いも、様々な言動から感じ取っていた。それら全てを差し置いて、ロイドを求めていたことに気がつき、彼女は急に恥ずかしくなる。

「ううん、大丈夫よ。ちょっと考え事をしていただけ…ありがと、ランディ。」
「なら良いけどよ。んー、やっぱお嬢の淹れた茶はうめえ!」

ランディが小皿にこぼれた分まですする。行儀が悪いながらも、その仕草にエリィは思わず微笑んでしまう。
今こうして支援課に身を置き、ロイド、ティオ、ランディ、課長と…そしてキーアと出会えた事に、再び空の女神に対し心で手を合わせた。

327共に歩みぬく意志:2010/12/08(水) 22:29:19
「…以上が報告の内容です。さきほど退治した魔獣から入手した情報も、この端末から参照できるようにしておきます。」
「サンキュー、助かるよ、ティオ。」
「まあ、もともと膨大な情報を管理するのが主な役目ですから。対したことではありません」

端末を操作しながら、相変わらず素っ気無いティオに、その隣に立っていたロイドはもう慣れっこだった。
しかし何処かいつもと違う彼女を感じ取り、ロイドはその細い肩に手を置く。

「ティオ、体の調子は大丈夫か?」
「…?なんですか、やぶからぼうに。」
「いや、何か目の下がいつもより少し青いような。唇のつやも、少し鈍いし。」

ティオが横目でロイドを突き刺す。

「……ロイドさんって、いつもそんなところ見てるんですか?」
「た、たまたま目に入っただけだよ、そんないつもってわけじゃ!」

ティオは作業を再開しながらつぶやく。

「別に、睡眠時間も確保してますし、疲れてるわけでもありませから、気のせいです。」
「そうか、ならいいんだけど。」
「相変わらず自分のことを棚にあげますね。わたしたちの分まで、やたら走り回ってるロイドさんこそ、もうすこし自分を労わったほうが良いんじゃないですか?」
「え?」
「わたしたちは全員で一つのチームなんです。頼れるときは無理せず頼ってくださいということです。
…責任をひとりでしょいこもうとする悪いクセが、まだ少し直ってません。」

そっぽを向いたまま淡々と続く説教に、まるで反論できず、ロイドが頭をかく。

「ああ、悪い、気を使わせたな。そうだな、これからもずっと、頼りにさせてもらうよ、ティオ。」
「……はい。話は、以上です。」
「わかった。じゃあ、そのへんで切り上げてくれ。お茶にしよう。」

ロイドがテーブルに戻っていく。端末の導力を落とす操作をしながら、ティオはそっと唇に触れた。

「…これからも、ずっと。」

漏れた言葉は、他の三人の会話に吸い込まれてく。ティオはそのまましばらく画面を見つめ、どこか遠くで、玄関の開く音を聞いていた。

328共に歩みぬく意志:2010/12/08(水) 22:29:44
「よう。」
「課長、お帰りなさい。」
「ウイーッス!」
「休日の朝からご苦労だったな。働き者のお前らのおかげでこっちの呼び出しまで増えちまったぜ。」

毒づきながら、セルゲイが入ってくる。そのまま、外に向けて指で誘い込む仕草をした。

「ま、それはそうとロイド、お前に客だ。」
「俺にですか?」
「駅から来たところに偶然出くわしてな。話は本人から聞いてくれ。俺は少し寝るぞ。」

ロイドが何か言いかけるのも待たずに、セルゲイは二階へと上っていく。

「ほんと取り付く島もねえなあ。」
「でも課長、小言を言いながらも、どこか嬉しそうだったわね。」
「うーん。」

階段の前まで歩いていったロイドが、玄関を見ると、彼女は立っていた。
ひまわり色のつば広帽子を深くかぶり、純白のベールからは黒の長髪が、ゆるくウェーブがかってすらりと腰まで伸びている。
帽子と同色のワンピースは、ゆったりとしているが、着ている人物のスタイルの良さを物語っていた。
玄関を一歩、室内に入ってくると、一同の視線は彼女に集中する。ランディは彼女の魅惑的なラインを、思わず席を立ち確認した。

「ロイド様…。」
「はい?」

つぶやき、面をあげると、感極まったように眉をしかめ、はじける笑顔とともに、もう一度彼女はその名を呼んだ。

「ロイド様ぁ!」
「え、うわっ!」
「!」

帽子が高く舞い、端正な顔が現れたかと思うと、彼女は突然ロイドに飛びついた。彼はよろめき、その肩を掴む。
美しい来客の奇襲に、ランディは口笛を鳴らす。エリィとティオは銅像と化した。

「ああ、再びあなた様にこうしてお会いできるなんて…感激ですわ!」
「ちょ、ちょっと、お嬢さん?」
「お嬢さん、だなんて。昔みたいに、名前で呼んで下さいませ?」

女性はロイドに、片目にかかった髪をかきあげて見せた。しばらく記憶と相談していたロイドが、はっと顔をあげ、彼女をもう一度見る。

「もしかして、アロネ?」
「ああ、やっぱり覚えててくださったのね!嬉しい!」

今度は首に抱きつかれ、ロイドは大きくバランスを崩し、思わず腰に手を回してしまう。
瞬間エリィが握るポットの取っ手が、みしりと音を立てたのを、ランディは確かに聞いた。
ティオの目も、さきほど画面に落としていた表情の面影もないほどに、毒気に濁っている。
支援課の平和な休日は、早くも終わろうとしていた。

329名無しさんが妄想します:2010/12/08(水) 22:32:46
以上です。お手数おかけしますがお願いします。スレ消費失礼いたしました。

330名無しさんが妄想します:2010/12/08(水) 23:08:19
>>322
やってみる

331330:2010/12/08(水) 23:16:13
終了!!ミスが無いか確認よろ。「以上です。」は勝手に付けた

332名無しさんが妄想します:2010/12/08(水) 23:44:30
確認しました、ありがとうございます。
締めくくりの追加感謝です。

333名無しさんが妄想します:2010/12/09(木) 21:38:59
代行の依頼を1レスお願いします。

書き込みたい場所は↓です。
不気味なモノに寄生されて虜になる娘!!Part15
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1276082367/

なお、メール欄は sage で次レスの代理投下をお願いします。

334名無しさんが妄想します:2010/12/09(木) 21:39:17
このレスは俺が規制されてるんで書き込み代行スレで代行依頼したものです。

ttp://qiufen.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1289935413/ からの引用だけど
触祭の都は↓らしいんで一応注意な。

199 名前:名無したちの午後:2010/11/30(火) 19:16:52 ID:tE599s6+0
触祭の都のサイトがやっとできた
ttp://www.syoku-game.com/01syokusai/index.html

二代目SHOKUSYURIANに成らない事を祈る。
げっちゅ屋のCG見たらもう眼鏡で抜けそうにない……

211 名前:名無したちの午後:2010/12/01(水) 20:24:18 ID:pqr9lweE0
>>199
中の人がショクシュリアンと同じなんだけど同じ開発元?
設定も似てるし、また地雷?

217 名前:名無したちの午後:2010/12/02(木) 00:06:51 ID:viINPbyU0
新規ブランドスレでも話題になってるけど、
SYOKUはショクシュリアン作った会社で確定
勘弁してくれ

335名無しさんが妄想します:2010/12/10(金) 10:08:43
>>333完了しました。

336333:2010/12/10(金) 18:55:44
>>335
確認しました。 有難うございます。

337名無しさんが妄想します:2010/12/11(土) 22:24:45
322で代行依頼したものですが、続きの投稿をお願いしたいです。

書き込みたい場所は↓です
ファルコムでエロ小説PartⅥ
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1253185842/

メール欄は sage で、次のレスからの代理投下をお願いしたいです。
度々ごめんなさい。

338共に歩みぬく意志:2010/12/11(土) 22:25:28
***

「皆様はじめまして。わたくし、アロネ・パスキューブと申します。共和国の外れにある、小さな鉱山街から来ましたの。どうぞよろしく。」

テーブルを囲む面々に、席についたまま深く頭を下げ、アロネは自己紹介をする。

「…エリィ・マグダエルです。」
「…ティオ・プラトーです。」
「ランディ・オルランド、だ。よろしくなお嬢さん。」

やけに温度差がある声と共に各自名乗り終えたのを確認し、ロイドが切り出す。

「ロイド・バニングスです。ここ、特務支援課のリーダーを務めていますが…、今日はどういった用件で、こちらに?」
「どうしてそんな言葉遣いですの?嫌ですわ、そんな他人行儀な聞き方。」

そっぽを向くアロネに、ロイドはため息をこぼし、改めて聞いた。

「じゃあその、アロネはなんで、ここに?あんな遠くから来たんだ、よっぽどの事なんだろうけど…。」
「ふふ、ロイド様ったら、相変わらず鈍いのね。決まってますでしょう?」

アロネはロイドにまっすぐ向き直ると、彼のほうに身を乗り出す。

「ロイド様の妻になるため、ですわ。」
「――!?」

鼓膜が鳴るほどに空間が張った。

「妻って、どうしてそんな?」
「おいロイド!おまえこんな綺麗な婚約者がいたのかよ?」
「いや、違うよランディ、彼女には以前、お世話になって…」
「あら、でも約束したはずですわ。いつか私を迎えに来てくださるって。どうしても待ちきれなくて、こうして来てしまいましたけど。」
「確かに再会する約束はしたけど、そういう意味で言ったんじゃないから!」

ロイドがうろたえながら、さきほどから正面で冷ややかな視線を突き刺してくるエリィに何度も振り向きながら、必死に弁解する。
無表情な笑顔が、やたら恐ろしい。ティオも、まるで汚物を見るような眼差しで、ロイドを見つめていた。

「でもみたところ、クロスベルで知り合ったって訳じゃなさそうだな。」
「ああ、以前外国を回ってた頃、彼女の故郷を訪れた事があってさ。」
「ほほう。馴れ初めはそこからというわけか。」
「わたくし、忘れもしませんわ。あれはもう、一年も前のこと…。」

それは小さな鉱山街の出来事だった。
属性は限られるが、大量の七耀石が採掘されるその地で、盗難事件が発生した。
街の宝である、火、水、土、風の四属性が美しい十字を象った、「四方石」が、その中央に位置する広場から跡形も無く消えていたのだ。

疑いは、領主として代々街をおさめてきたバスキューブ家に集中した。
理由は単純なものだった。広場の小屋にある四方石を覆う二重のカバーの鍵は、それぞれパスキューブ家と、それに次ぐ権力を持つ、ロジセル家が持っていたのだが、
事件発覚のその日のうちに、四方石とともに、二つの鍵がパスキューブ家から見つかったのである。

街の人間は、けして裕福とは言えないながらも、善良な事業を打ち立ててきた領主が、事件の犯人であるという追及に、懐疑的ではあった。
しかし徐々にロジセル家に言いくるめられ、パスキューブ家の名誉と歴史が崩れようとしていたその時、たまたま同家に滞在していた一人の青年により、事体は急速に解決に向かうことになる。
彼は、鉱山の見学の際、ロジセル家が雇っているという発破行員が隻眼であることと、パスキューブ家の使用人の目の動きのクセから、両者が同一人物であることを見抜いたのだ。
その使用人は領主を陥れるために、義眼をはめ巧みに変装し、長い間紛れ込んでいたのだった。鍵の管理も、つい最近は彼が任されていた。
その後の取調べにより、真犯人は青年の推理どおりであることが明らかになり、領主の名誉は守られ、ロジセルは取り潰しとなった。
パスキューブ家の令嬢は、訪問当初から困っている街の人々をよく助け、もとから好印象だった青年に、この件によりすっかり虜となり、生涯慕うことを誓ったのであった。

彼が出立の意思を伝えると同時に、令嬢はその熱い胸のうちを語った。
かくして青年と領主の一人娘は、離別するまでの数日の間に、幾度も逢瀬を重ね、昼夜問わず愛し合ったのだった。

「それはもう濃密に、わたくしを何度も、やさしく…。」
「ちょっ、待った待った待ったぁ!」

ロイドがあわてて、両手を頬にあてうっとりと回想にふけるアロネを止めにかかる。

339共に歩みぬく意志:2010/12/11(土) 22:26:11
「他はともかく、最後の部分は完全に記憶にないんだけど!」
「あら。じゃあ今からあなた様のお部屋で、思い出させてあげてもよろしくってよ?」
「いやだからあの事件の後俺は普通に、いつかお互いの故郷に来たとき再会しようと約束して、そのまま帰ったじゃないか!」

寄り添ってくるアロネを食い止めながら、ロイドは彼女の話を訂正した。

「はっは、ロイド、やっぱりタダもんじゃないなお前は。こっちに来る前から武勇伝ばら撒いてたってわけかよ。ついでに嫁までゲットしちまうなんてな!」
「うふふ、まんまと捕まってしまいましたわ。;」
「ランディ、話をかき混ぜないでくれ!」

エリィは表情を固めたまま、話の最中も延々とカップに突き刺したスプーンを廻していた。なぜかその中の紅茶が激しく泡立ち、沸騰している。
ティオはというと、こちらは加えたミルクごと凍り付いてしまった内容物を、削っては食べていた。

(うひゃー、こいつは血を見そうだ。)

もみくちゃになる二人と、殺気を漲らせる二人を交互に見ながら、ランディはほくそ笑んだ。
彼は内心、ロイドがこういった状況に陥ることに何処か期待していたのかもしれない。
それは意地悪な意味合いも含んではいたが、そうして慌てふためくロイドを眺めるのもまた、今のランディにとっての役目な気がしていたのだ。
そんな荒れ狂う海原に、一羽のハトが飛びこんできた。

「たっだいまー!」
「やや、お姫様のお帰りだ。」

玄関を勢いよくあけ、めまぐるしい足取りで、キーアが走ってきた。

「ロイドーー!」
「おかえり、っと!学校は楽しかったか?」
「うんっ!」

席を立ったロイドにキーアが飛びつく。抱き上げられその頭を撫でてもらい、彼女の笑顔は最高潮を迎えた。

「まあ、かわいらしい!」

キーアが歩み寄ってきたアロネを見て、丸い目をさらに丸くした。

「ロイド、このおねーちゃん、だあれ?」
「ふふ。わたくしはロイド様の…。」
「お・客・様、よ。キーア。」

沸騰した紅茶を涼しい顔ですすりながら、エリィが割り込む。アロネの眉がぴくりと動いた。

「こんにちはおきゃくさま!」
「こんにちは。キーアちゃんっていいますのね。この子はどうして、こちらに?」
「ああ、ある事情でうちで預かることになったんだ。今となっては家族みたいなもんかな。」
「…みたいな、というか、すっかり家族ですね。“私たち”は。」
「あらそうですの。家族、ねえ。」

ティオがぼそりとこぼした言葉に、アロネの眉が再び動く。三人の乙女の間に見えない火花がいくつも散り、その闘志の熱により背景が歪む。
キョロキョロするキーアを抱いたまま、その中心に立たされて、ロイドは滝の汗をかいていた。

(うーん、カメラにとっときてえなあ。)

ランディはしげしげとその様を見守る。

「キーア。とりあえず部屋にもどって、荷物をおいてくるんだ。もうすぐ昼食だからな。」
「はーい。」

キーアがするりとロイドから離れ、階段を駆け上がっていった。
笑顔の二人と、ひたすら表情の無い一人が、目で抗争しているのをなだめ、アロネを座らせるとロイドがきっぱりと言った。

「とにかく。俺はまだ結婚する気もないし、遠くから来てもらって悪いんだけど、そういう用件なら受けられないよ。」
「あら、わたくし、ロイド様に嫁ぐのはもちろんのことですけど、他にも目的がありましてよ?」
「他にも?」

340共に歩みぬく意志:2010/12/11(土) 22:26:41
アロネが真剣な面持ちになる。

「一週間前に、故郷の牢が破られ、囚人が脱走しましたの。その男の名はシェバルド。ロイド様が解決してくださったあの忌々しい盗難事件の、実行犯です。」
「なんだって?」
「彼は、一番頑丈な牢で、この一年、おとなしく服役していました。私の街では、特に問題を起こさない囚人は、年ごとに一つだけ、本人の望む物が届けられるのです。
彼が望んだのはあの義眼、ただ一つだけ。」

シェバルト…ロジセルの発破工員は、渡された義眼を常に肌身離さず持っていた。それは彼にとって、相当大事なものだったようで、その慈しみ方は異常なほどだったという。

「もちろん念入りに調べた上で、義眼は彼のもとに届けられたのですけど…その数日後の雷雨の夜、牢は破られ、彼は脱走したのです。」
「オイオイ、どういうことだ。」
「爆弾、だったのですわ。その男の義眼は。」

アロネが、今も信じられない様子で、その時の事を語った。
牢屋は旧式のものだったが、それでも人外の力でもないかぎり突破できるはずのない造りになっていた。
その牢の壁が、雷雨に紛れた爆音と共に、穴が穿たれていたのだった。

「義眼サイズの爆弾なんて…そんなもの、作れるのかしら。」
「戦場じゃあ珍しいものじゃあないな。俺が見た中じゃ、義眼よりも小さくて軽い爆弾なんて腐るほどある。ただ、一般に出回ってないのは確かだ。」
「となると、その男も戦争を経験している人間だったのかもしれないな。」
「かもしれませんわね、彼も流れ者ですし。少なくとも、わたくしの街には、そんな事考え付く人間はひとりもいませんでした。」

アロネがかぶりを振る。

「脱走後の足取りもまったくつかめませんでしたわ。ロイド様が来るまでの間だまされていたほどに、変装の名人だったようですから。」
「厄介な相手ですね。」
「私は考えました。プライドの塊のようだったあの男が、私たちパスキューブ家に対する復讐以外に、脱獄の目的となりうる対象。」
「おいおい、そりゃもしかして…。」

全員の視線が、ロイドに集まる。

「俺に対する、報復、というわけか。」
「その通りですわ。わたくしのもう一つの目的、それはその企みを阻止し、あなた様をお守りすること。おわかりいただけまして?」

にっこりと微笑む彼女に、ロイドは頭を抱えた。

「モテモテじゃねえかロイド。領主様のご令嬢のお次は爆弾魔とは恐れ入るぜ。」
「…人間磁石です。」
「ホント、節操というものが無いのかしら。」

全員につつかれ、ロイドはその針のむしろから逃れるようにアロネに質問を浴びせた。

「それで、このことを君のお父さんは?」
「もちろんご存知です。あなた様との事も含めて背中を押してくださいました。」
「仮にこの街に滞在するとして、宿のあてはあるのか?」
「あら、そんなもの必要ありませんわ。」

アロネがロイドの腕にしがみつき、指先でつつ、とその胸をなぞった。

「あなた様と同じ場所で…寝泊りいたしますから。」
「!?」

限界まで張り詰め、溶けるほど炙られたかと思えば、急激な冷却をうけ、空間は悲鳴をあげるようにひび割れた。

「はっはっは!大胆だねえ、お嬢さん。」

ランディが笑い、エリィとティオの太いつららのような気迫に貫かれ、ロイドはしがみついてくるアロネを振りほどくこともできず、固まっていた。
初めて経験する、犯罪者に狙われるというオプション付きの修羅場に、彼にしては珍しく、弱気に祈っていた。
夢なら醒めてくれ、と。

341共に歩みぬく意志:2010/12/11(土) 22:27:35
***

「先ほども見ましたけど、車が沢山ですわ。」
「この通りでは、似たような感想を良く聞くよ。」

午後もしばらくすぎた頃、ロイドは街の案内を彼女にせがまれ、中央広場へと来ていた。
休日なだけあり、人通りも多い。

「私の故郷とはまるで別世界ですわね。鉄道がいくつも敷かれてますし。」
「俺も驚いたよ。数年でこんなに様変わりするなんてね。」
「でもこの街が、ロイド様を育んだのだと思うと、なんだか愛しく思えてきますわ。」
「はは…。俺も、なんだかんだいって好きだな。この街の事が。」

日差しに手で影を作り、景色を見上げロイドが微笑む。
素朴な乙女ならばめまいもしかねない光景に、アロネは熱い眼差しを送った。

(ああ、たっぷりと陽を受けて、まるで一つの絵のよう…!)

「ロイド、キーアちゃんに新しい靴、買ってあげましょ。今のもけっこう痛んできたわ。」
「…エニグマの更新が出来るかもしれませんし、GENTENにも行くべきかと。」
「カジノに、アルカンシエルも通ってこうぜ!」
「ロイドー、だっこー。」

額の中に大量の乱入者が混じり、アロネの体勢が盛大に崩れる。

「ま…まったくもう!わたくしはロイド様に案内を頼んだのに、なんで皆様まで付いてきて下さるの!」
「ふふっ。特務支援課は万全のサービスでお客様の依頼を果たしますから。」
「チームワークが売りですので…。」
「どうせ家にいても退屈だしな。」
「ロイドのほっぺよくのびるー。」

完全に所帯の一端にひっかけられ、アロネは別の意味でめまいがしていた。
が、すぐに気を取り直し、キーアの遊具にされているロイドを見つめる。

(が、我慢よ我慢。まだこちらには来たばかりですし、チャンスはいくらでもありますわ。)

そしてちらりと、その前をつかつかと歩いていく二人を素早く観察した。

(あの二人、ロイド様とずいぶん親しいようですけど、一人はまだ幼いですし、あと一人も胸だけ先に育ちきったような小娘に過ぎませんわ。わたくしの大人の色香で攻めれば、ロイド様はおのずと。あわよくば、今夜にでも…きゃっ。)

「ねえ、おきゃくさまが、一人でがっかりしたり、てれたりしてるけど、どうしたのかな?」
「さぁ。病気なんじゃないかしら?」
(言うねえお嬢。)
「ほ、ほりはへず、げんへんによろう。…キーア、人の顔で遊ばない。」
「はーい。」

かくしてアロネの案内を兼ねた、クロスベル街めぐりは始まる。

――オーバルストア<<GENTEN>>。

「いらっしゃい。あ、ロイド。」
「やあ、ウェンディ。」
「皆さんもこんにちは。あら?見慣れない方だね。」
「はじめまして。ロイド様の妻になるアロネですわ。今後ともよろしく。」

ぞくりと背筋に悪寒を感じたロイドと腕を組みながら、アロネがお辞儀する。

「あはは、ロイドってそんな甲斐性あったっけ。」
「いや…そう言われるとなんか府に落ちないけど。彼女は観光でここに来てるんだ。もちろん婚約はしてないよ。」
「わかってるって。出来るくらいなら今頃何人泣かしてるか知らないし。お姉さん、この人追っかけるなら、それ相応の覚悟したほうがいいかもよ。」

ころころと笑いながら、ウェンディがアロネに目配せする。
あっさりと受け流されて、拍子抜けしたアロネがふと感じたままに口にした。

「もしかして貴女も、ロイド様のことを…?」
「え?わたしがロイドを?ないない!とても幼馴染っておもえないくらい可愛い弟分だし。」

顔の前で手を振り、ウェンディは否定した。

「可愛いとか言うなよ!年だって同じじゃないか。」
「しょうがないじゃない。それにロイドとくっついたって、どうせこのお人よしさんは、いろんなとこで別の人釣り上げちゃうだろうし。
…でもそうだなあ。」

カウンターに肘をついたまま頬に手をあて、ロイドを見上げながら、彼女はつぶやく。

「貰い手に困ったら、受け取ってもらおうかなあ。」
「なっ!?」
「絶対だめですわ!」
「あはは。あせってるあせってる。冗談よ冗談!」

思いがけない玩具が転がり込んできて、ウィンディが愉快そうにロイドとアロネを手玉にとる。
その間に割り込み、ティオとエリィが、エニグマを差し出した。

「ロイド。当初の目的を忘れてもらっては困るわね?まだ予定は一杯あるのよ。」
「エニグマのメンテナンス、お願いします。」
「あ、はーいオッケー。すぐ済むから待っててね。」

342共に歩みぬく意志:2010/12/11(土) 22:28:59
立ちはだかった二つの背中から、確かな威圧感を感じ、ロイドはたじろいだ。
アロネがまだ疑わしそうにウェンディの作業を眺めている。

「ランディ、これかってにおゆわかしてくれるんだって!すごいね!」
「ああ、優れモンだ。…なぁキーア、平和って、いいもんだよなあ。」
「?へーわってなあに?」
「あっちじゃなくて、こっちってことさ。」
「???よくわかんないけど、ランディ楽しそう。」

ランディはキーアと顔を見合わせて、二人してにししと笑った。
結局メンテナンスが終わるまで、カウンター前は時が息絶えたように静まり、来客を一歩も近寄らせなかった。
店を出るときにオーナーがこちらを睨んでいたのは言うまでもない。

――百貨店<<タイムズ>>。

「いろんなものが売ってますのね…。このお店があれば、他には何もいりませんわ。」
「ここは大抵のものはそろってるからね。どうだ、キーア。履き心地は。」
「うん、すっごくいいよ。ほら。」
「…あ、キーアだめです。急にはしりだしてはいけません。」

新品の靴を買ってもらってご機嫌のキーアが、出口をまっさきに飛び出してティオにつかまり、くるくるとその腕のなかで回っている。
微笑ましい画を見守る一同に、二人の少女が駆け寄ってきた。

「あ、やっぱりロイド君だ。」
「やっほー。」
「ああ、君達はいつもここにいる…って、一応二人より年上なんだから、ロイド“君”っていうのはよしてくれないか?」
「だってロイド君、なんだかほっとけないし、弟みたいなんだもん。」

きゃあきゃあとあっという間に囲まれ、三対のジト目が出来上がった。

「う゛っ…じゃ、じゃあ俺は用事があるから。」
「えー、これから一緒に買い物してほしかったなあ。」
「水着選ぶの、手伝ってもらいたかったのに。」
「ご、ごめんな!皆、行こう!」
「あーん。また今度付き合ってねー。」
「ばいばいロイド君。」

ロイドは先頭となって東通りを目指した。
なるべく後ろを振り向かないようにしながら。

――東通り。

「あら、一風変わってますわね。この通りは。」
「東方の町並みってのはいつみても雰囲気あっていいねえ。この渋さはたまんねえよ。」

足を止め、異国情緒を楽しんでいると、後ろから声をかけられる。

「こんにちは!皆さんお出かけですか?」
「よお、フランちゃん。」
「今日はあなたもお休みなのね。」
「はい。これからお姉ちゃんのところにいこうかなって。あれれ、はじめまして、ですよね。私、フランっていいます。」
「はじめまして、わたくし、アロネと申します。この街には今日来たばかりですの。」
「そうなんですか、ようこそクロスベルへ!」
「フランだー!」

キーアがフランに駆け寄る。

「あ、キーアちゃん!いいなあ、皆さんとおさんぽ?」
「うん!あたらしいくつ、かってもらったの!」
「いいなあーわたしもご一緒したいなー。」

うらやましそうな視線を一行に注ぎながら、フランは、思い出したようにロイドを見た。

「あ、ロイドさん、今度の休日って空いてますか?」
「今のところは予定はないな。俺に出来ることなら、何でもするよ。」
「あ、いえ、お姉ちゃんと合わせて三人で行く予定だったライブのチケットが、友達のキャンセルで一枚余っちゃったので、一緒にどうかな、なんて。」
「へ?」
「ほら、記念祭でご一緒したときの、あのバンドです!」

てっきり手伝い事だと思っていたロイドが、再三吹き出る冷や汗を感じながら、しどろもどろに返事をする。

「いや、でも前もそうだったけど、せっかくなんだから姉妹水入らずで…。」
「でもお姉ちゃんも来て欲しそうでしたし、私もロイドさんなら大歓迎ですから、考えておいてくださいね。」
「気持ちはありがたいんだけど!もっと他に相応しい人が…」
「あ、いけない、そろそろバスが出ちゃう!皆さん、これで失礼しますね!キーアちゃん、ばいばい!」
「おーう。姉さんによろしくなー。」
「ばいばいフランー!」

走り去るフランを見送り、ロイドは言い訳するのもあきらめ、キーアと手をつなぐと、港へと向き直った。

「さあ、次へ行こう。」
「はーい。」
(見事に手と足が揃ってるぞ、ロイド。)

だんだんと口数の減ってきた数名に反して、ランディは自然と口元がゆるんでしまっていた。

343共に歩みぬく意志:2010/12/11(土) 22:29:17

――行政区。

「なるほど。」

一行は、図書館に入るや否や、タイミング悪くアロネがロイドの腕に抱きついた瞬間に、マリアベルと遭遇していた。

「エリィのことをさんざんたぶらかしておきながら、他の女性も口説いていた、ということ。」
「いや、これは違っ!?」
「ベル、大丈夫よ。このお方はただのクライアントで、ただの観光客だから。」
「そうそう。ロイド様と同じベッドを幾晩も共にした程度の仲に過ぎませんわ。」
「…じー。」

書籍に霜が降りるほどの吹雪が巻き起こり、ランディとキーアはカウンターへと避難していた。

「だ、大丈夫かね、ロイド君は。なにやらもめてるようだが。」
「ああ、大丈夫ですよおやっさん。いつものことですから。」
「ロイドに本よんでほしいのにー。」

心配そうなマイルズをなだめ、ランディは童話の新作のチェックをしながら、十字架にはりつけ状態のロイドを遠目に、猛烈にうなずいていた。

――歓楽街。

「あら、弟君じゃなーい!」
「あ、イリアさん、おひさしってムグッ!?」

相変わらず遠慮のない突然の抱擁に、ロイドはよろめき後ずさる。

「い、イリアさん!あなたは劇団の看板女優だし、俺は子供じゃないんですから、所構わずこういうことはちょっと!」
「あら、しばらく会いにきてくれなかった上にそういう生意気な事言うわけなの?これはきつーいオシオキが必要ね。」

ぐいぐいと抱きしめられていると、後ろからもう一人の女性も現れた。

「こんにちは、皆さん。」
「ああ、リーシャ、ちょうどよかった。イリアさんに離れるようングーッ!」
「えいえい!どうだ、参ったか!」

私服に包まれた豊かな女体の中でもがくロイドを見て、今度ばかりはランディも冷ややかな視線をあびせながら、うすら笑いを浮かべていた。

「なんだか皆かおがこわーい。」

そういいつつも、キーアがけたけたと笑う。
ロイドは今すぐ彼女と立場を交換できたら、どれだけ楽だろうと心から思った。

――住宅街。

「けほっ…そ、そういえばエリィ、今日は実家には顔を出さないのか?」
「そうね。挨拶くらいしないとね。」

磨かれた三本槍に貫かれ、そのまま押されるように歩きながら、ロイドが提案する。
マグダエル家に向かうべく、通りの階段を下りると、一匹の仔猫が横切っていった。

「まあかわいい仔猫ちゃん。」
「あら、この子は確か。」
「マリー、いらっしゃい!」

階段の上り口にある住宅から、一人の少女が駆け出してきた。彼女はロイド達をみつけると、ぱっと顔を弾かせ、お辞儀をする。

「こんにちは、しえんかのおにいさまがた。」
「こんにちは。礼儀正しいお嬢ちゃんね。」
「やあサニータ。マリーも元気そうでなによりだな。」

ロイドがしゃがみこんで、マリーの鼻先をちょいちょいとなでると、甘えたい盛りの仔猫は、その指に喉をならして擦り寄った。
サニータはその傍らに歩み寄り、ロイドの顔をじっと見つめる。

「ああ、ごめん。お邪魔だったかな。」
「…そういえば、おにいさまに、マリーをみつけてくれたおれいを、まだしてませんでしたわね。」

ロイドが疑問符を浮かべる間もなく、その頬にサニータが口付けをした。

「え…。」
「お、おとうさまだけにしてあげる、げんきのでるおまじないですけど…おにいさまはとくべつですわっ。」

そのままマリーをかかえあげ、顔を真っ赤にさせると、再びお辞儀をして、彼女は家の中に走っていった。
呆然とする一同と、口を半開きにしてサニータを見送るロイドの側に、キーアがいつのまにか立っている。

「ロイド、今のげんきが出るの?」
「え?…ああ、そうだな。大事な人にしてもらうと、これ以上ないおまじないだろうな。」
「ふーん。」

目をぱちぱちと瞬きした後、キーアもロイドの首にしがみつき、その頬にキスをした。

「お、おい、キーア?」
「えへへ、ロイドげんきでた?」

344共に歩みぬく意志:2010/12/11(土) 22:30:23

屈託なく笑うキーアに、ロイドは言いかけた言葉も忘れ、その頭を優しくなでた。

「じゃあつぎはキーアにもして?」
「え?や、それは…。」
「イヤなの?」

顔を曇らせたキーアを、背後の若干名の影に、めりめりと音を立てて角が生えるのを感じつつ、ロイドが必死でなだめる。

「いや、このおまじないは、女の子が男の子にすると、効果があるものなんだ。かわりに男の子は、女の子を守ってあげるっていう約束をするのさ。」
「…ふーん。」

どこか納得しなさそうに口を尖らせながら、キーアがじっと見上げてくる。
ロイドはすっくと立つと、目的地へと向き直った。

「さ、さて、挨拶に行こう。執事さんたちも、エリィの近況を気にしてるだろうし。」

ランディは吹き出しそうになるのを必死で堪えながら、ズンズンと地響きが聞こえそうな足取りでロイドの後をついていく三人を見ていた。

(ああ、こりゃもう、犬にじゃれられただけでも、大惨事だな。)

――某所。

「ロイドさーん♪」
「うわぁ!」

――某宅。

「ロイドちゃーん♪」
「ちょ、ちょっと!」

――某通り。

「ロイドくぅ〜ん!」
「だああ!」
(うへえ、こればっかりはうらやましくないな。)
(…オカマさんです。)

――西通りベーカリーカフェ<<モルジュ>>前。

「さすがロイド様ですわ。沢山の街の人に慕われてますわね。」
「…アロネさん、顔がひきつっています。」

椅子に腰掛け、エリィ、ティオ、アロネの三人は、買い物をするロイド達を待っていた。

「まあ、どうせロイド様の容姿にばかり目がいってのことでしょうけど。その内に秘める情熱も全て知った上での、純粋な愛情をもつこのわたくしの敵ではなくってよ。」
(…そういえば確かに…教団摘発の後から、あの手の人達が熱を増しましたね。)

アロネが自分に言い聞かせるようにひとりごつ。対照的に冷静なエリィがカフェの入り口を見つめている。
鋭く伸びた細目から、それはさながら真夏の太陽のような瞳で、その焦点から煙を噴出しかねない。

「そういえばお二人とも、わたくしに対してかしこまる必要はありませんわ。普段の口調で話していただいたほうが、わたくしとしても嬉しいですし。」
「…わたしは元からこれが普通なのですが、一応、了解です。」
「ありがとう、ティオさん。…エリィさん?」
「えっ?あ…解かりました。アロネさんがそうおっしゃるなら。」
「ふふ。改めてよろしくね。」

カフェの扉が開き、ロイドとランディが、その間で満足そうにパンをほおばるキーアと共に出て来た。

「おまっとさん。」
「ごめん待たせて。オスカーは顔が広いから、あまりアロネの事も教えないほうがいいと思って。」

キーアを椅子に座らせ、抱えていた袋包みをガーデンテーブルに置くと、ロイド達も席に着いた。

「冷やかされるのも嫌だったし、だろ?ロイド。」
「うっ。まあ、無いといえば嘘になるけど。」
「オスカーのパン、おいしー。」
「もうすぐ夕食だからあまり食べ過ぎたらダメだぞ、キーア。」

キーアをたしなめるロイドとエリィの目が合った。彼女はぷいと目を逸し、紙袋からパンを取り出すと、小口で噛り付く。

「そ、そういえば今日の夕食はエリィの当番だったな。今から楽しみだよ。」
「あら、当番制ですのね。ロイド様、お料理もなさるの?」
「ああ、難しいものじゃなければ、一通りは一応作れるかな。」
「家庭的な一面もあるなんて、素敵ですわ。」

アロネがエリィをちらりと一瞥し、掌を打ち合わせた。

「そうですわ。案内してくださったお礼に、今日のディナー、わたくしが作らせていただきます。よろしくて?」
「お、自信たっぷりだねえ。」
「もちろん皆様と、エリィさんさえよければ、ですけど。」

話をふられ、パンを咥えたままテーブルを睨んでいたエリィが、顔を上げる。

「ええ、構わないわ。でも全部お任せするのもなんだし、デザートは私が作るわね。」
「ありがとう、お願いしますわ。」
「とくると、晩飯は共和国の家庭料理って訳か。」
「ロイド様、楽しみにしててくださいね。わたくし、愛情たっぷり込めますから。」
「ああ…。」

再びエリィがテーブルに視線を落とした。
ティオがその隣で、シェイクのストローを口にしたまま、平たい表情もそのままに、少しずつ吸い上げている。

「よおし、そうと決まったら材料も買わねえとな。ちょうど一週巡ったとこだしよ。」
「そうだな。帰りにタイムズにもう一度よろう。」

345共に歩みぬく意志:2010/12/11(土) 22:31:29

一行はそのまま、オスカーのパンをつまみつつ、アロネの故郷の話題などを交わしながら休憩をとり、買い物へと繰り出した。
やがて大量の食材と日用品をかかえ、特務支援課ビルに戻ってきたときには、陽は茜色に染まっていた。

***

「おいしー!」

支援課は夕食時を迎えていた。
テーブルに並ぶ料理はどれも素朴ながらも品があり、その味も申し分のないものばかりだった。

「こいつはおどろいたな。どれも食べた事の無いもんだが、いけるぜ!」
「…おいしいです。」
「ふむ。クロスベルと共和国じゃあ味の濃さの違いが顕著に出るもんだが…こいつはちょうど良いな。」
「どれもわたくしの国では代表的な料理ですの。皆様の口に合うかどうか心配でしたけど、そういっていただけてひと安心ですわ。」

セルゲイ含める一同の反応に、アロネは嬉しそうに微笑む。
エリィも黙ってはいたが、口に運ぶ料理に対しては率直な反応を返し、頷いていた。

「でも、わたくしとしてはもっと上手に作りたいですわ。でなくてはロイド様の伴侶は務まりませんもの。」
「伴侶?」
「はんりょってなーに?」
「いや、そういえば課長、どうでしたか?本部の返事は。」

ロイドがあわてて話の腰を折る。

「ああ、まあ当然といえば当然だが、動くのは難しいそうだ。確証もないし、いかに領主の娘の言でも、憶測の域は出ない訳だからな。」
「やはりそうですか…。警戒態勢をしいてもらうだけでも助かるんですが。」
「市民の不安をかきたてるからな。簡単にはいかん。」

ロイド達の帰宅後、起床してきたところで説明を受け、セルゲイは一応本部への報告もしていた。
幾度の事件の解決により、支援課の情報は警察としても無視できないものにはなっていたが、やはり信憑性の問題から、前述のような判断が下されたのだった。

「ま、連中の耳にいれておくだけでも、それなりの効果はある。遊撃士のほうには連絡はいれたのか?」
「はい。こちらも注意の喚起のみですが。」
「気を張り詰めてももたんしな。相手が着の身着のままの脱獄犯なら、すぐには行動にうつせんだろう。」

二人のやりとりを聞いていたアロネが、問いかける。

「セルゲイさん…ロイド様もそうでしたけど、わたくしの狂言ということを疑いはしませんの?」
「ん?」
「ロイド様と面識があるとはいえ、わたくしは今日こちらに着いたばかりの来訪者に過ぎませんわ。なのに、そこまで考えていただけるなんて、少し意外で…。」
「そうだな。正直半信半疑ではあるが。」

セルゲイが肉料理を小さく切り、ロイドを手にしたフォークで指しながら言った。

「そこの男とこいつらは、今までこういった感じで事を運んできては、それなりの成果をあげてきた。お嬢さんの言う事が本当かどうかも、解かるんだろうよ。だから俺はそれに乗っかってるまでだ。」
「課長…。」
「…ようするに。」
「自分で考えるのがめんどくさいんだな。」
「クク、そういうことだ。」

ワインの蓋をあけ、グラスに注ぎながら、セルゲイは頷いた。ロイドが根拠を付け足す。

「俺が一年前厄介になったパスキューブ家の人々は、温厚で誇り高い人達ばかりだった。犯人が解かったのも、そうした中、存在が浮いていたからなんだ。
その一員である君がこうして、遠路はるばる訪ねてきてくれたわけだから、疑いようが無いよ。」
「ロイド様…。」
「仮に嘘だとしても、俺達を不安にさせるようなことは絶対に言わないだろうし。」

ロイドが料理を口に運び、続けた。

「こんな美味しい料理は、狂言を企むような人間には作れないさ。」

彼は笑顔で言葉を結ぶ。一瞬、食卓が静まり返った。

「あ、あれ、何か変なこと言った?」
「ロイド様、やっぱり貴方様は…」
「うん?」
「わたくしの、王子様ですわぁっ!」
「って、アロネ、あぶなっ!?」

ロイドが座った体勢でしがみつかれ、あやうく転げ落ちそうになりながら、胸の中のアロネを支える。
ティオがキーアの口を拭きながら、あきれた様に目を伏せ、ランディが遠慮もなく笑った。
エリィが、唐突に席を立つ。

「え、エリィ?」
「皆そろそろ食べ終わるみたいだし、デザートを持ってくるわ。少し待っててね。」
「わーい!でざーと!」

空の女神が実在するとすれば、今の彼女がそうだろう。それほど美しく、優しい声だった。
しかしキッチンに消え行く姿は、虎もすくむ威を放っている。
ロイドは尚も纏わりついて来るアロネを押しのけるのがやっとで、その背中に声もかけられなかった。

「お嬢のデザートは絶品だからな。きっとアロネのお嬢さんも気に入るぜ。」
「まあ、そうなの?今度教えていただこうかしら。」

346共に歩みぬく意志:2010/12/11(土) 22:32:02

のん気な会話の隣で、ロイドは気が気ではなかった。
彼とて、今日一日のエリィの様子がおかしい事に気付かないほど末期ではない。
だが、自分に対して好意的な相手を無下に扱えないという、長所とも短所とも言い難い部分が彼にはあった。
半ば自覚しつつも、アロネを無理矢理突き放す事が出来ない。だから目の前に出て来たデザートも、ある程度覚悟はしていた。

「エリィ、その、何か怒ってるか?やっぱり。」
「あら、どうして?私そんなふうに見える?」

シチェーションさえ違えば、迷うことなくロイドはエリィを優しく抱きしめるだろう。腕の中の彼女を見つめ、幸福に酔いしれるだろう。
それはそんな笑顔だったが、彼はそれ以上何も言えず、出された皿に乗っているものを見た。

「凄く美味しいですわ!」
「エリィさんのデザートはわたしもいつも楽しみです。」
「甘いものはあまりくわんが、なかなかのものだ。」
「ありがとう。余分に作ってあるから、足りなかったら言ってね。」

口の中で滑らかに溶け、ほろ苦いカスタードとの相性抜群の甘さのプリンを、一同が賞賛する。
ロイドの目の前にある物は、見た目はそれとまったく同じなのだが、なぜかスプーンでつつくと金属音がした。
彼はナイフとフォークを使って強敵を一口サイズに切り取り、派手な音を立てながら黙って食べていく。

「そういえば、特務支援課、でしたかしら。普段はどういった仕事をしてらっしゃるの?」
「おう、いい質問だ。」
「簡単に言えば遊撃士協会と似たイメージですが。」

食後の話題が提供され、話は支援課発足から、教団壊滅にまで広がり、数々の武勇伝にアロネは目を輝かせた。
特にキーアが目立ついくつもの笑い声と、ロイドが奏でる剣戟の中、団欒の時は過ぎていく。

***

(バカねロイド…全部食べることないのに。)

エリィは、ロイドが死闘を繰り広げた会場を洗いながら、そっとその真ん中を、彼の頬に当てるように撫でる。

(私ったら、なにしてるのかしら…。)

彼らが想いを確認し合ったことを明言しないのは、暗黙の了解であった。奥ゆかしい二人は、わざわざ報告するような事ではないと判断していたのだ。
そんなロイドがどれだけ他の女性と懇意にしていようと、エリィにとってはそれは、既にほとんど日常の一部のようなものだった。
彼の人柄を思えば、当然の事だと思っていたからだ。あるいは、彼女自身にそう言い聞かせていたのかもしれない。
しかしその具体例を一日中見せ付けられた事で、複雑な心境に無意識のジレンマが生まれ、彼女が料理する手に、悪戯をさせていた。

「…やっぱりエリィさんも、ロイド様の事を、お慕いしてらっしゃるのね。」

隣で同じく洗いものをしていたアロネに不意をつかれ、エリィはあやうく手にした皿を落としかける。

「突然に、なんのこと?」
「あら、とぼけなくてもよろしくてよ。それだけじゃないわ。ロイド様も、エリィさんのことを憎からず思っている。
もしかしたら、すでにお二人は恋人同士なのかしら。」

心を読まれたかのように言い当てられ、エリィは手が完全に止まっていた。

「ふふ。こう見えてもわたくし、領主の娘ですもの。人と人の繋がりを観察するのには慣れてますの。
まあ、あなた方は、誰の目で見たとしても、初々しくて解かり易いですけど。」

くすりとアロネが笑みをこぼす。エリィはあわてて作業を再開し、明らかに変わってしまった自らの顔色を隠した。

「でも、貴女には悪いですけど、わたくし、あきらめませんわよ。例えお二人の仲が深いものであったとしても。」

アロネはエリィの横顔に向かい、はっきりと宣言した。

「彼の若さなら一人や二人、加えてあの魅力でしたらそれこそ十数人、お相手がいてもおかしくはありませんわ。でも最後に、死ぬまで一緒にいてくださる…その相手にわたくしを選んでくだされば、それで構いませんもの。」
「そんな…どうしてそこまで、ロイドのことを。」
「ふふ。自分でも、おかしいと思いますわ。でも、仕方ありませんわね。ロイド様を愛しているということ以外、理由が見つかりませんもの。
正直恐ろしいですわ。あの吸い込まれるような瞳と、燃え盛る魂を持ち合わせたあのお方が。」

347共に歩みぬく意志:2010/12/11(土) 22:32:44

エリィは、愕然とし、あえて考えないようにしていた一点が急浮上してきたのを感じ取り、あわてて押さえ込んだ。
ロイドはあの日、媚薬を飲んでいる。その言葉に嘘偽りがあったとは思えないが、彼自身が心から望んでいた事なのかどうかも断定できない。
純粋な好奇心と色欲の結果が、夜の出来事だとしたら、エリィは今の彼にとって特別であると言えるのだろうか。

「なぜ私に、こんな話…。」
「べつに他意はありませんわ。わたくし、フェアな勝負がしたいだけですの。ロイド様が決めた相手を、お互いが認め合い、後腐れが無いように、ね。
その為の宣戦布告と受け取っていただいてよろしくてよ。」
「私がそのルールに従わなかったら?」
「貴女がロイド様を困らせるような事をしないということくらい、わたくしにも解かりますわ。」

銀器を磨きながら、アロネが付け加える。

「それから、ティオさんも、貴女と同じくらいロイド様のことを好いてらっしゃるわね。」
「え?」
「霧に沈んだ湖のように表情を映さない子ですけども、あのお方を見つめる時だけ、その内に火が灯りますもの。あれは、恋する乙女の瞳ですわ。」

ティオがガイに救出され、彼の亡き今、ロイドがその約束を受け継いだことは、すでにエリィも聞かされていた。
しかし、ティオのロイドに対する態度は、作戦行動中は良好だが、それ以外はあまり際立たず、彼を立派なリーダーとして認めているのは見て取れても、好意にまで発展しているとは思わなかった。
それ故に、エリィには解からなかったのかもしれない。その変化は、ティオがロイドに異性を見ていると意識して、ようやく見ることが出来るほど微細なものだった。

「ライバルは多いですけど、しかたないですわね。お互いに頑張りましょう?」
「ええ…。わ、私、クロスを片付けてくるわね。」

作業を終え、逃げ出すようにエリィがキッチンを出て行く。

(やはり何か、訳ありのようですわね。)

その後ろ姿を眺めながら、アロネは磨いていたフォークに口付け、ほくそ笑む。それはロイドが先ほどの決闘に使用した獲物の一つだった。

(ごめんなさいね、エリィさん。わたくしもこればかりは負けられないの。卑怯といわれても、品がないと罵られても。)

一方で、エリィは混乱していた。
片付け後のシャワーを使い終え、二階の廊下からビルの前を見下ろすと、ロイドとランディが街灯の側で稽古をつけている。
その姿が、再び遠くなっていくのを、肉眼で確認した途端に実感していた。

(ロイド…。)

窓に額を付け、イヤリングを指の背で慈しむ。
それは彼からの真心の贈り物であり、唯一形として残っている物だった。そして命を懸け、エリィを救ったのも、違いようの無い事実である。
そんなロイドの想いを、エリィは一切疑っていなかったが、それもまた単なる独りよがりに過ぎないと、アロネに気付かされてしまう。
もしティオが議長の娘なら、イヤリングは彼女に贈っただろう。もちろん誘拐の危機からも、同じように救っただろう。

348共に歩みぬく意志:2010/12/11(土) 22:33:31

エリィは今、巧みな言葉の罠にすっかり陥っていた。
部屋に向かうと、外したイヤリングを机に置き、ろくな寝支度もしないままにベッドに身体を預ける。
あの日以来、感じることの無かった精神的な苦悩をえぐりだされ、うずくまる。やがて泥沼に沈むように、深い眠りについていた。

しばらくの時間のあと、まるでティオに連行されるようにして、アロネが三階へと上ってきた。
どうやらロイドの部屋に忍び込もうとしていたようだが、すでに彼女の部屋はティオの隣に確保されている。
二人が挨拶を交わし、部屋へと入っていく。

やがて街がすっかり寝静まった頃、足音を押さえ、一つの気配が廊下を歩いていた。
それはエリィの部屋の前でとまり、小さく三度ノックをする。間を置き、今度は一度だけ、ノックをした。
部屋の主は、夢の何処かでこの音を聞いていたのだろうか。声には出ず、しかしその唇の動きは、愛しい人の名を呼んでいた。
気配は小さな鎖のような音を立て、しばらく黙っていたが、何もせずにその場を離れる。その正体は、窓から足元を照らす月だけが知っていた。

***

349名無しさんが妄想します:2010/12/11(土) 22:35:47
とりあえず例によって物語は完成してますが推敲してますのでしばしおまちください。
実は一ヶ月前にほぼ出来上がってたんですが今の今まで規制されていてぐったりです。
しかも前置きがめちゃくちゃ長いので、当分えろくないです。ごめんなさいごめんなさい。

350名無しさんが妄想します:2010/12/11(土) 22:39:10
以上です。ここまでを投稿おねがいします。
お手数おかけします。

351名無しさんが妄想します:2010/12/12(日) 18:31:11
>>337いってきます!

352351:2010/12/12(日) 18:38:21
ちょっとタイム、1レスあたりの行数が多すぎでした。どうします?
改行減らしてもギリギリかと

353名無しさんが妄想します:2010/12/12(日) 20:55:40
ああ…どうしましょう。
本当に、ほんっとーにずうずうしいお願いをするとすれば、足りない分を削って、削った部分を次のレスに追加して、オーバーしたらまた削って・・・
といった形にしていただけると有難いのですが・・・すごく面倒くさいと思います。
なのでそのエラーが出たところまでで、とりあえずはお願いします。
自分ではれないばかりにしょーもない苦労をおかけします。

354名無しさんが妄想します:2010/12/12(日) 21:13:51
とおもったらもう一個目からオーバーしてそうですね。
あまりスレを無駄遣いしたくないのですが、もし問題なければ行と字数きちんとあわせて再投稿させていただきます。
351さん本当にお手数おかけしました、代行なさってくださって感謝です。

355351:2010/12/13(月) 17:54:46
>>354 >行と字数きちんとあわせて再投稿させていただきます
それでおkかと。またいつでも依頼にお越しください。

1レスあたりの行数と文字数は
2ch用ブラウザやアスキーアート用エディタとかで
確認すると便利ですよ

356322:2010/12/13(月) 19:19:16
助言ありがとうございます!322から依頼させていただいている者です。
再三の依頼となりますが、どうかお願いいたします。

書き込みたい場所は↓です
ファルコムでエロ小説PartⅥ
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1253185842/

メール欄は sage で、次のレスからの代理投下をお願いしたいです。

357共に歩みぬく意志:2010/12/13(月) 19:21:02
***

「皆様はじめまして。わたくし、アロネ・パスキューブと申します。共和国の外れにある、小さな鉱山街から来ましたの。どうぞよろしく。」

テーブルを囲む面々に、席についたまま深く頭を下げ、アロネは自己紹介をする。

「…エリィ・マクダエルです。」
「…ティオ・プラトーです。」
「ランディ・オルランド、だ。よろしくなお嬢さん。」

やけに温度差がある声と共に各自名乗り終えたのを確認し、ロイドが切り出す。

「ロイド・バニングスです。ここ、特務支援課のリーダーを務めていますが…、今日はどういった用件で、こちらに?」
「どうしてそんな言葉遣いですの?嫌ですわ、そんな他人行儀な聞き方。」

そっぽを向くアロネに、ロイドはため息をこぼし、改めて聞いた。

「じゃあその、アロネはなんで、ここに?あんな遠くから来たんだ、よっぽどの事なんだろうけど…。」
「ふふ、ロイド様ったら、相変わらず鈍いのね。決まってますでしょう?」

アロネはロイドにまっすぐ向き直ると、彼のほうに身を乗り出す。

「ロイド様の妻になるため、ですわ。」
「――!?」

鼓膜が鳴るほどに空間が張った。

「妻って、どうしてそんな?」
「おいロイド!おまえこんな綺麗な婚約者がいたのかよ?」
「いや、違うよランディ、彼女には以前、お世話になって…」
「あら、でも約束したはずですわ。いつか私を迎えに来てくださるって。どうしても待ちきれなくて、こうして来てしまいましたけど。」
「確かに再会する約束はしたけど、そういう意味で言ったんじゃないから!」

ロイドがうろたえながら、さきほどから正面で冷ややかな視線を突き刺してくるエリィに何度も振り向きながら、必死に弁解する。
無表情な笑顔が、やたら恐ろしい。ティオも、まるで汚物を見るような眼差しで、ロイドを見つめていた。

「でもみたところ、クロスベルで知り合ったって訳じゃなさそうだな。」
「ああ、以前外国を回ってた頃、彼女の故郷を訪れた事があってさ。」
「ほほう。馴れ初めはそこからというわけか。」
「わたくし、忘れもしませんわ。あれはもう、一年も前のこと…。」

それは小さな鉱山街の出来事だった。
属性は限られるが、大量の七耀石が採掘されるその地で、盗難事件が発生した。
街の宝である、火、水、土、風の四属性が美しい十字を象った、「四方石」が、その中央に位置する広場から跡形も無く消えていたのだ。

疑いは、領主として代々街をおさめてきたバスキューブ家に集中した。
理由は単純なものだった。広場の小屋にある四方石を覆う二重のカバーの鍵は、それぞれパスキューブ家と、それに次ぐ権力を持つ、ロジセル家が持っていたのだが、
事件発覚のその日のうちに、四方石とともに、二つの鍵がパスキューブ家から見つかったのである。

街の人間は、けして裕福とは言えないながらも、善良な事業を打ち立ててきた領主が、事件の犯人であるという追及に、懐疑的ではあった。
しかし徐々にロジセル家に言いくるめられ、パスキューブ家の名誉と歴史が崩れようとしていたその時、たまたま同家に滞在していた一人の青年により、事体は急速に解決に向かうことになる。
彼は、鉱山の見学の際、ロジセル家が雇っているという発破行員が隻眼であることと、パスキューブ家の使用人の目の動きのクセから、両者が同一人物であることを見抜いたのだ。
その使用人は領主を陥れるために、義眼をはめ巧みに変装し、長い間紛れ込んでいたのだった。鍵の管理も、つい最近は彼が任されていた。

その後の取調べにより、真犯人は青年の推理どおりであることが明らかになり、領主の名誉は守られ、ロジセルは取り潰しとなった。
パスキューブ家の令嬢は、訪問当初から困っている街の人々をよく助け、もとから好印象だった青年に、この件によりすっかり虜となり、生涯慕うことを誓ったのであった。

彼が出立の意思を伝えると同時に、令嬢はその熱い胸のうちを語った。
かくして青年と領主の一人娘は、離別するまでの数日の間に、幾度も逢瀬を重ね、昼夜問わず愛し合ったのだった。

358共に歩みぬく意志:2010/12/13(月) 19:21:46

「それはもう濃密に、わたくしを何度も、やさしく…。」
「ちょっ、待った待った待ったぁ!」

ロイドがあわてて、両手を頬にあてうっとりと回想にふけるアロネを止めにかかる。

「他はともかく、最後の部分は完全に記憶にないんだけど!」
「あら。じゃあ今からあなた様のお部屋で、思い出させてあげてもよろしくってよ?」
「いやだからあの事件の後俺は普通に、いつかお互いの故郷に来たとき再会しようと約束して、そのまま帰ったじゃないか!」

寄り添ってくるアロネを食い止めながら、ロイドは彼女の話を訂正した。

「はっは、ロイド、やっぱりタダもんじゃないなお前は。こっちに来る前から武勇伝ばら撒いてたってわけかよ。ついでに嫁までゲットしちまうなんてな!」
「うふふ、まんまと捕まってしまいましたわ。;」
「ランディ、話をかき混ぜないでくれ!」

エリィは表情を固めたまま、話の最中も延々とカップに突き刺したスプーンを廻していた。なぜかその中の紅茶が激しく泡立ち、沸騰している。
ティオはというと、こちらは加えたミルクごと凍り付いてしまった内容物を、削っては食べていた。

(うひゃー、こいつは血を見そうだ。)

もみくちゃになる二人と、殺気を漲らせる二人を交互に見ながら、ランディはほくそ笑んだ。
彼は内心、ロイドがこういった状況に陥ることに何処か期待していたのかもしれない。
それは意地悪な意味合いも含んではいたが、そうして慌てふためくロイドを眺めるのもまた、今のランディにとっての役目な気がしていたのだ。
そんな荒れ狂う海原に、一羽のハトが飛びこんできた。

「たっだいまー!」
「やや、お姫様のお帰りだ。」

玄関を勢いよくあけ、めまぐるしい足取りで、キーアが走ってきた。

「ロイドーー!」
「おかえり、っと!学校は楽しかったか?」
「うんっ!」

席を立ったロイドにキーアが飛びつく。抱き上げられその頭を撫でてもらい、彼女の笑顔は最高潮を迎えた。

「まあ、かわいらしい!」

キーアが歩み寄ってきたアロネを見て、丸い目をさらに丸くした。

「ロイド、このおねーちゃん、だあれ?」
「ふふ。わたくしはロイド様の…。」
「お・客・様、よ。キーア。」

沸騰した紅茶を涼しい顔ですすりながら、エリィが割り込む。アロネの眉がぴくりと動いた。

「こんにちはおきゃくさま!」
「こんにちは。キーアちゃんっていいますのね。この子はどうして、こちらに?」
「ああ、ある事情でうちで預かることになったんだ。今となっては家族みたいなもんかな。」
「…みたいな、というか、すっかり家族ですね。“私たち”は。」
「あらそうですの。家族、ねえ。」

ティオがぼそりとこぼした言葉に、アロネの眉が再び動く。三人の乙女の間に見えない火花がいくつも散り、その闘志の熱により背景が歪む。
キョロキョロするキーアを抱いたまま、その中心に立たされて、ロイドは滝の汗をかいていた。

(うーん、カメラにとっときてえなあ。)

ランディはしげしげとその様を見守る。

359共に歩みぬく意志:2010/12/13(月) 19:22:22
「キーア。とりあえず部屋にもどって、荷物をおいてくるんだ。もうすぐ昼食だからな。」
「はーい。」

キーアがするりとロイドから離れ、階段を駆け上がっていった。
笑顔の二人と、ひたすら表情の無い一人が、目で抗争しているのをなだめ、アロネを座らせるとロイドがきっぱりと言った。

「とにかく。俺はまだ結婚する気もないし、遠くから来てもらって悪いんだけど、そういう用件なら受けられないよ。」
「あら、わたくし、ロイド様に嫁ぐのはもちろんのことですけど、他にも目的がありましてよ?」
「他にも?」

アロネが真剣な面持ちになる。

「一週間前に、故郷の牢が破られ、囚人が脱走しましたの。その男の名はシェバルド。ロイド様が解決してくださったあの忌々しい盗難事件の、実行犯です。」
「なんだって?」
「彼は、一番頑丈な牢で、この一年、おとなしく服役していました。私の街では、特に問題を起こさない囚人は、年ごとに一つだけ、本人の望む物が届けられるのです。
彼が望んだのはあの義眼、ただ一つだけ。」

シェバルト…ロジセルの発破工員は、渡された義眼を常に肌身離さず持っていた。それは彼にとって、相当大事なものだったようで、その慈しみ方は異常なほどだったという。

「もちろん念入りに調べた上で、義眼は彼のもとに届けられたのですけど…その数日後の雷雨の夜、牢は破られ、彼は脱走したのです。」
「オイオイ、どういうことだ。」
「爆弾、だったのですわ。その男の義眼は。」

アロネが、今も信じられない様子で、その時の事を語った。
牢屋は旧式のものだったが、それでも人外の力でもないかぎり突破できるはずのない造りになっていた。
その牢の壁が、雷雨に紛れた爆音と共に、穴が穿たれていたのだった。

「義眼サイズの爆弾なんて…そんなもの、作れるのかしら。」
「戦場じゃあ珍しいものじゃあないな。俺が見た中じゃ、義眼よりも小さくて軽い爆弾なんて腐るほどある。ただ、一般に出回ってないのは確かだ。」
「となると、その男も戦争を経験している人間だったのかもしれないな。」
「かもしれませんわね、彼も流れ者ですし。少なくとも、わたくしの街には、そんな事考え付く人間はひとりもいませんでした。」

アロネがかぶりを振る。

「脱走後の足取りもまったくつかめませんでしたわ。ロイド様が来るまでの間だまされていたほどに、変装の名人だったようですから。」
「厄介な相手ですね。」
「私は考えました。プライドの塊のようだったあの男が、私たちパスキューブ家に対する復讐以外に、脱獄の目的となりうる対象。」
「おいおい、そりゃもしかして…。」

全員の視線が、ロイドに集まる。

「俺に対する、報復、というわけか。」
「その通りですわ。わたくしのもう一つの目的、それはその企みを阻止し、あなた様をお守りすること。おわかりいただけまして?」

にっこりと微笑む彼女に、ロイドは頭を抱えた。

「モテモテじゃねえかロイド。領主様のご令嬢のお次は爆弾魔とは恐れ入るぜ。」
「…人間磁石です。」
「ホント、節操というものが無いのかしら。」

全員につつかれ、ロイドはその針のむしろから逃れるようにアロネに質問を浴びせた。

「それで、このことを君のお父さんは?」
「もちろんご存知です。あなた様との事も含めて背中を押してくださいました。」
「仮にこの街に滞在するとして、宿のあてはあるのか?」
「あら、そんなもの必要ありませんわ。」

360共に歩みぬく意志:2010/12/13(月) 19:22:46

アロネがロイドの腕にしがみつき、指先でつつ、とその胸をなぞった。

「あなた様と同じ場所で…寝泊りいたしますから。」
「!?」

限界まで張り詰め、溶けるほど炙られたかと思えば、急激な冷却をうけ、空間は悲鳴をあげるようにひび割れた。

「はっはっは!大胆だねえ、お嬢さん。」

ランディが笑い、エリィとティオの太いつららのような気迫に貫かれ、ロイドはしがみついてくるアロネを振りほどくこともできず、固まっていた。
初めて経験する、犯罪者に狙われるというオプション付きの修羅場に、彼にしては珍しく、弱気に祈っていた。
夢なら醒めてくれ、と。

361名無しさんが妄想します:2010/12/13(月) 19:23:15
とりあえず例によって物語は完成してますが推敲してますのでしばしおまちください。
実は一ヶ月前にほぼ出来上がってたんですが今の今まで規制されていてぐったりです。
しかも前置きがめちゃくちゃ長いので、当分えろくないです。ごめんなさいごめんなさい。

362322:2010/12/13(月) 19:26:49
以上です。
自分の知識不足でお手数おかけしますが、どうぞ宜しくお願いします。

363名無しさんが妄想します:2010/12/13(月) 20:32:52
>>356終了。確認よろ

364名無しさんが妄想します:2010/12/14(火) 03:08:48
どなたか代理投下をお願いします

投下スレ
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1289674137/l50
おとめ妖怪ざくろでエロパロ

投下内容↓

>>183
攻め総角!ごちそうさまでした!!

神々の作品を正座して待ってる間に描いてみた
ttp://loda.jp/vip2ch/?id=842.jpg

メ欄 総ざく

ご面倒をおかけしますが、どうぞお願いします

365名無しさんが妄想します:2010/12/14(火) 11:52:52
>>364確認のため聞きますが、
「総ざく」って書くのはメール欄でおk?名前欄じゃなく?

366名無しさんが妄想します:2010/12/14(火) 17:16:12
>>365
すいません
名前欄が「総ざく」で、メ欄が「sage」です。

367322:2010/12/14(火) 20:37:26
>>363
確認させていただきました。度々ありがとうございました。

368365:2010/12/15(水) 10:23:12
>>364>>366完了しました。

369364:2010/12/16(木) 22:11:36
>>368
ありがとうございました。

370322:2011/01/05(水) 18:56:45
恐縮ながら、再び代行の依頼をさせていただきます。

書き込みたい場所は↓です
ファルコムでエロ小説PartⅥ
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1253185842/

メール欄は sage で、以下の内容の書き込みをお願いします。

371共に歩みぬく意志:2011/01/05(水) 18:57:11
***

「先ほども見ましたけど、車が沢山ですわ。」
「この通りでは、似たような感想を良く聞くよ。」

午後もしばらくすぎた頃、ロイドは街の案内を彼女にせがまれ、中央広場へと来ていた。
休日なだけあり、人通りも多い。

「私の故郷とはまるで別世界ですわね。鉄道がいくつも敷かれてますし。」
「俺も驚いたよ。数年でこんなに様変わりするなんてね。」
「でもこの街が、ロイド様を育んだのだと思うと、なんだか愛しく思えてきますわ。」
「はは…。俺も、なんだかんだいって好きだな。この街の事が。」

日差しに手で影を作り、景色を見上げロイドが微笑む。
素朴な乙女ならばめまいもしかねない光景に、アロネは熱い眼差しを送った。

(ああ、たっぷりと陽を受けて、まるで一つの絵のよう…!)

「ロイド、キーアちゃんに新しい靴、買ってあげましょ。今のもけっこう痛んできたわ。」
「…エニグマの更新が出来るかもしれませんし、GENTENにも行くべきかと。」
「カジノに、アルカンシエルも通ってこうぜ!」
「ロイドー、だっこー。」

額の中に大量の乱入者が混じり、アロネの体勢が盛大に崩れる。

「ま…まったくもう!わたくしはロイド様に案内を頼んだのに、なんで皆様まで付いてきて下さるの!」
「ふふっ。特務支援課は万全のサービスでお客様の依頼を果たしますから。」
「チームワークが売りですので…。」
「どうせ家にいても退屈だしな。」
「ロイドのほっぺよくのびるー。」

完全に所帯の一端にひっかけられ、アロネは別の意味でめまいがしていた。
が、すぐに気を取り直し、キーアの遊具にされているロイドを見つめる。

(が、我慢よ我慢。まだこちらには来たばかりですし、チャンスはいくらでもありますわ。)

そしてちらりと、その前をつかつかと歩いていく二人を素早く観察した。

(あの二人、ロイド様とずいぶん親しいようですけど、一人はまだ幼いですし、あと一人も胸だけ先に育ちきったような小娘に過ぎませんわ。わたくしの大人の色香で攻めれば、ロイド様はおのずと。あわよくば、今夜にでも…きゃっ。)

「ねえ、おきゃくさまが、一人でがっかりしたり、てれたりしてるけど、どうしたのかな?」
「さぁ。病気なんじゃないかしら?」
(言うねえお嬢。)
「ほ、ほりはへず、げんへんによろう。…キーア、人の顔で遊ばない。」
「はーい。」

372共に歩みぬく意志:2011/01/05(水) 18:57:38
かくしてアロネの案内を兼ねた、クロスベル街めぐりは始まる。

――オーバルストア<<GENTEN>>。

「いらっしゃい。あ、ロイド。」
「やあ、ウェンディ。」
「皆さんもこんにちは。あら?見慣れない方だね。」
「はじめまして。ロイド様の妻になるアロネですわ。今後ともよろしく。」

ぞくりと背筋に悪寒を感じたロイドと腕を組みながら、アロネがお辞儀する。

「あはは、ロイドってそんな甲斐性あったっけ。」
「いや…そう言われるとなんか府に落ちないけど。彼女は観光でここに来てるんだ。もちろん婚約はしてないよ。」
「わかってるって。出来るくらいなら今頃何人泣かしてるか知らないし。お姉さん、この人追っかけるなら、それ相応の覚悟したほうがいいかもよ。」

ころころと笑いながら、ウェンディがアロネに目配せする。
あっさりと受け流されて、拍子抜けしたアロネがふと感じたままに口にした。

「もしかして貴女も、ロイド様のことを…?」
「え?わたしがロイドを?ないない!とても幼馴染っておもえないくらい可愛い弟分だし。」

顔の前で手を振り、ウェンディは否定した。

「可愛いとか言うなよ!年だって同じじゃないか。」
「しょうがないじゃない。それにロイドとくっついたって、どうせこのお人よしさんは、いろんなとこで別の人釣り上げちゃうだろうし。
…でもそうだなあ。」

カウンターに肘をついたまま頬に手をあて、ロイドを見上げながら、彼女はつぶやく。

「貰い手に困ったら、受け取ってもらおうかなあ。」
「なっ!?」
「絶対だめですわ!」
「あはは。あせってるあせってる。冗談よ冗談!」

思いがけない玩具が転がり込んできて、ウィンディが愉快そうにロイドとアロネを手玉にとる。
その間に割り込み、ティオとエリィが、エニグマを差し出した。

「ロイド。当初の目的を忘れてもらっては困るわね?まだ予定は一杯あるのよ。」
「エニグマのメンテナンス、お願いします。」
「あ、はーいオッケー。すぐ済むから待っててね。」

立ちはだかった二つの背中から、確かな威圧感を感じ、ロイドはたじろいだ。
アロネがまだ疑わしそうにウェンディの作業を眺めている。

「ランディ、これかってにおゆわかしてくれるんだって!すごいね!」
「ああ、優れモンだ。…なぁキーア、平和って、いいもんだよなあ。」
「?へーわってなあに?」
「あっちじゃなくて、こっちってことさ。」
「???よくわかんないけど、ランディ楽しそう。」

ランディはキーアと顔を見合わせて、二人してにししと笑った。
結局メンテナンスが終わるまで、カウンター前は時が息絶えたように静まり、来客を一歩も近寄らせなかった。
店を出るときにオーナーがこちらを睨んでいたのは言うまでもない。

373共に歩みぬく意志:2011/01/05(水) 18:58:01
――百貨店<<タイムズ>>。

「いろんなものが売ってますのね…。このお店があれば、他には何もいりませんわ。」
「ここは大抵のものはそろってるからね。どうだ、キーア。履き心地は。」
「うん、すっごくいいよ。ほら。」
「…あ、キーアだめです。急にはしりだしてはいけません。」

新品の靴を買ってもらってご機嫌のキーアが、出口をまっさきに飛び出してティオにつかまり、くるくるとその腕のなかで回っている。
微笑ましい画を見守る一同に、二人の少女が駆け寄ってきた。

「あ、やっぱりロイド君だ。」
「やっほー。」
「ああ、君達はいつもここにいる…って、一応二人より年上なんだから、ロイド“君”っていうのはよしてくれないか?」
「だってロイド君、なんだかほっとけないし、弟みたいなんだもん。」

きゃあきゃあとあっという間に囲まれ、三対のジト目が出来上がった。

「う゛っ…じゃ、じゃあ俺は用事があるから。」
「えー、これから一緒に買い物してほしかったなあ。」
「水着選ぶの、手伝ってもらいたかったのに。」
「ご、ごめんな!皆、行こう!」
「あーん。また今度付き合ってねー。」
「ばいばいロイド君。」

ロイドは先頭となって東通りを目指した。
なるべく後ろを振り向かないようにしながら。

――東通り。

「あら、一風変わってますわね。この通りは。」
「東方の町並みってのはいつみても雰囲気あっていいねえ。この渋さはたまんねえよ。」

足を止め、異国情緒を楽しんでいると、後ろから声をかけられる。

「こんにちは!皆さんお出かけですか?」
「よお、フランちゃん。」
「今日はあなたもお休みなのね。」
「はい。これからお姉ちゃんのところにいこうかなって。あれれ、はじめまして、ですよね。私、フランっていいます。」
「はじめまして、わたくし、アロネと申します。この街には今日来たばかりですの。」
「そうなんですか、ようこそクロスベルへ!」
「フランだー!」

キーアがフランに駆け寄る。

「あ、キーアちゃん!いいなあ、皆さんとおさんぽ?」
「うん!あたらしいくつ、かってもらったの!」
「いいなあーわたしもご一緒したいなー。」

うらやましそうな視線を一行に注ぎながら、フランは、思い出したようにロイドを見た。

「あ、ロイドさん、今度の休日って空いてますか?」
「今のところは予定はないな。俺に出来ることなら、何でもするよ。」
「あ、いえ、お姉ちゃんと合わせて三人で行く予定だったライブのチケットが、友達のキャンセルで一枚余っちゃったので、一緒にどうかな、なんて。」
「へ?」
「ほら、記念祭でご一緒したときの、あのバンドです!」

てっきり手伝い事だと思っていたロイドが、再三吹き出る冷や汗を感じながら、しどろもどろに返事をする。

374共に歩みぬく意志:2011/01/05(水) 18:58:41
「いや、でも前もそうだったけど、せっかくなんだから姉妹水入らずで…。」
「でもお姉ちゃんも来て欲しそうでしたし、私もロイドさんなら大歓迎ですから、考えておいてくださいね。」
「気持ちはありがたいんだけど!もっと他に相応しい人が…」
「あ、いけない、そろそろバスが出ちゃう!皆さん、これで失礼しますね!キーアちゃん、ばいばい!」
「おーう。姉さんによろしくなー。」
「ばいばいフランー!」

走り去るフランを見送り、ロイドは言い訳するのもあきらめ、キーアと手をつなぐと、港へと向き直った。

「さあ、次へ行こう。」
「はーい。」
(見事に手と足が揃ってるぞ、ロイド。)

だんだんと口数の減ってきた数名に反して、ランディは自然と口元がゆるんでしまっていた。

――行政区。

「なるほど。」

一行は、図書館に入るや否や、タイミング悪くアロネがロイドの腕に抱きついた瞬間に、マリアベルと遭遇していた。

「エリィのことをさんざんたぶらかしておきながら、他の女性も口説いていた、ということ。」
「いや、これは違っ!?」
「ベル、大丈夫よ。このお方はただのクライアントで、ただの観光客だから。」
「そうそう。ロイド様と同じベッドを幾晩も共にした程度の仲に過ぎませんわ。」
「…じー。」

書籍に霜が降りるほどの吹雪が巻き起こり、ランディとキーアはカウンターへと避難していた。

「だ、大丈夫かね、ロイド君は。なにやらもめてるようだが。」
「ああ、大丈夫ですよおやっさん。いつものことですから。」
「ロイドに本よんでほしいのにー。」

心配そうなマイルズをなだめ、ランディは童話の新作のチェックをしながら、十字架にはりつけ状態のロイドを遠目に、猛烈にうなずいていた。

――歓楽街。

「あら、弟君じゃなーい!」
「あ、イリアさん、おひさしってムグッ!?」

相変わらず遠慮のない突然の抱擁に、ロイドはよろめき後ずさる。

「い、イリアさん!あなたは劇団の看板女優だし、俺は子供じゃないんですから、所構わずこういうことはちょっと!」
「あら、しばらく会いにきてくれなかった上にそういう生意気な事言うわけなの?これはきつーいオシオキが必要ね。」

ぐいぐいと抱きしめられていると、後ろからもう一人の女性も現れた。

「こんにちは、皆さん。」
「ああ、リーシャ、ちょうどよかった。イリアさんに離れるようングーッ!」
「えいえい!どうだ、参ったか!」

私服に包まれた豊かな女体の中でもがくロイドを見て、今度ばかりはランディも冷ややかな視線をあびせながら、うすら笑いを浮かべていた。

「なんだか皆かおがこわーい。」

そういいつつも、キーアがけたけたと笑う。
ロイドは今すぐ彼女と立場を交換できたら、どれだけ楽だろうと心から思った。

375共に歩みぬく意志:2011/01/05(水) 19:02:13
――住宅街。

「けほっ…そ、そういえばエリィ、今日は実家には顔を出さないのか?」
「そうね。挨拶くらいしないとね。」

磨かれた三本槍に貫かれ、そのまま押されるように歩きながら、ロイドが提案する。
マクダエル家に向かうべく、通りの階段を下りると、一匹の仔猫が横切っていった。

「まあかわいい仔猫ちゃん。」
「あら、この子は確か。」
「マリー、いらっしゃい!」

階段の上り口にある住宅から、一人の少女が駆け出してきた。彼女はロイド達をみつけると、ぱっと顔を弾かせ、お辞儀をする。

「こんにちは、しえんかのおにいさまがた。」
「こんにちは。礼儀正しいお嬢ちゃんね。」
「やあサニータ。マリーも元気そうでなによりだな。」

ロイドがしゃがみこんで、マリーの鼻先をちょいちょいとなでると、仔猫はその指に喉をならして擦り寄った。
サニータはその傍らに歩み寄り、ロイドの顔をじっと見つめる。

「ああ、ごめん。お邪魔だったかな。」
「…そういえば、おにいさまに、マリーをみつけてくれたおれいを、まだしてませんでしたわね。」

ロイドが疑問符を浮かべる間もなく、その頬にサニータが口付けをした。

「え…。」
「お、おとうさまだけにしてあげる、げんきのでるおまじないですけど…おにいさまはとくべつですわっ。」

そのままマリーをかかえあげ、顔を真っ赤にさせると、再びお辞儀をして、彼女は家の中に走っていった。
呆然とする一同と、口を半開きにしてサニータを見送るロイドの側に、キーアがいつのまにか立っている。

「ロイド、今のげんきが出るの?」
「え?…ああ、そうだな。大事な人にしてもらうと、これ以上ないおまじないだろうな。」
「ふーん。」

目をぱちぱちと瞬きした後、キーアもロイドの首にしがみつき、その頬にキスをした。

「お、おい、キーア?」
「えへへ、ロイドげんきでた?」

屈託なく笑うキーアに、ロイドは言いかけた言葉も忘れ、その頭を優しくなでた。

「じゃあつぎはキーアにもして?」
「え?や、それは…。」
「イヤなの?」

顔を曇らせたキーアを、背後の若干名の影に、めりめりと音を立てて角が生えるのを感じつつ、ロイドが必死でなだめる。

「いや、このおまじないは、女の子が男の子にすると、効果があるものなんだ。かわりに男の子は、女の子を守ってあげるっていう約束をするのさ。」
「…ふーん。」


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