観測所分室－厳重監視区域－その4 - 1199301373

595：科の字 ◆wBXUc4mUSA：2008/03/10(月) 17:39:35: 　再び。この名前を名乗ることを許してください。
　自分自身、悩んでいるコトでもあるので。

　一人称で描く場合は特に顕著なんですが『他人の事情』ってのはどうしても伝わり難いのですよね。
　『こいつはこんなことをするけど、それはこういう理由があるからなんだよ！』というコトを伝えるのに、どうしても遠回りになってしまう。
　三人称なら、そいつ視点のエピソードを入れるコトができるけど。一人称の場合、結局は話を聞くしかないのでまず『真実性』とか『説得力』を持たせる手間がかかる。
　なにより。くどくなってしまうのですよね。
　そこで出てくるのが『あえて描かない』って方法で。
　主人公が知る由もない裏設定を、さらに描写から省いてしまったら読者に伝わるわけがない。基本的には、そりゃそうなんですよ。当たり前ですよね。
　けれど裏設定をする意味がないとは、ちょっと違う。
　例えば『表面上兄のコトをバカにしているけど、一方では尊敬し、羨ましがっている妹』というキャラを作ったとすると、『一方では尊敬し、羨ましがっている』が裏設定になります。
　表面上は兄をバカにしているという設定なので、いわゆる『デレ描写』は禁止となります。しかしこういう裏設定があると、表の行動にもちょっとずつ影響してくるのです。
　友達に兄のコトを悪く言われて、なぜか不機嫌になるとか。
　小説を書くという行動は『意識』で行っているように見えて、実は『無意識』も深く関わっているのではと思います。
　『無意識』の部分は場合にもよりますが、コントロールできた方がいい。裏設定は『意識』では届かない部分の調整を行うためにあるのだと思うのです。
　こう書くと『キャラが勝手に動く』という意見を封じているみたいですが、裏設定をやっておくとキャラにブレーキがかかるコトよりも動くことの方が多いのです。作者によって『無意識的に』抑えつけられていたキャラが、『裏設定』を武器に抵抗してくる……みたいな。
　うまく言えない。そもそも『夢』という『無意識』のネタで小説を書く大先生に、この話がわかるのかどうか。
　
　しかし、裏設定の弊害ってのもあるにはあるのですよね。
　膨大な裏設定があるおかげで『いつかわかる設定』と『最後まで明かされない設定』がごっちゃになって、キャラがいらんコトまで喋ったり喋らなかったりで。
　作者としてもキャラが読者に『正しく』理解されないのはかわいそうだとか思って、ストーリーの主軸に関係ない描写やエピソードが増える。
　冗長で、無駄が多い文になるわけです。
　いつだったか、ＭＦから貰った評価シートに『何を書いて、何を書かないのかが描写。何もかもを書けば良いというモノではない』とか言われたし。
　結局のところ、読者にとって読みやすい文が一番で。その点ドクロちゃんは一つの解答にたどり着いているのだなと思うのです。

　ああ。結局このレスも長いじゃん。ちぇ。とにかく大先生が裏設定を作らないのは『意味ないから』じゃなくて『面倒くさい』だけなんだから、つーか小説書いてないで音楽やれよそれ一本でいけよ。と。