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他人が書いた小説の一部を批評するスレ

1イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/20(金) 16:17
 書いてみたはいいけど、この表現どうなの?会話シーンに自信ないんだけど、ちょっと見てもらいたい・・・。
 そんな悩みを抱えるあなたは、このスレに、書いた作品の一部を載せてみましょう。
 ついでに、執筆上の悩みもガンガンぶちまけましょう。
 
 投稿する際には、あまりに長いのは避けてください。また、このスレはオリジナル限定とします。
 その他は、ライトノベルであれば、ジャンルその他は問いません。

762添削屋さん:2005/05/04(水) 10:45:04
>タイトルは「ブラッド・レイン」?

----------------------------------------------------------------

「雨、やまないねぇ」
 もう何度同じ台詞を彼女は繰り返したことになるだろう――
 うっすらと埃の積もった机に頬をくっつけて、奈里子(なりこ)は、また
消え入りそうな小さな声でそう囁いていた。
 汚いからやめろと僕はいつも注意するのだが、奈里子はそれを決して
やめようとしない。
 だって図書室の机だから大丈夫だよ、というのが、奈里子の言い分。
 奈里子の指は、机に伏せた『鏡の国のアリス』の上で、何やら奇っ怪な
文様を描き続けている。
「確かに、やまないよな」
 僕もそう応えて窓の外を見た。
 真っ黒な雲から真っ赤な雨。この三日間、飽きもせず弱まりもせず、
かと言って「天の底が抜けた」というほどの激しさもなしにだらだらと
降り続いている。
「またモドキが増えるのかな、昼雄(ひるお)――」
 彼女は漸く、思い出したかのように、僕の名前を口にした。
「……かもな」
 僕は校庭にできた小さな川を眺めながら言った。
「かもな」も何もあったもんじゃない。
雨が降れば降っただけ、人間は減ってモドキは増えるに決まっている。
「嫌だね。ほんとに、嫌――」
 奈里子は顔を上げ、頬の埃をぬぐった。
そして指先の灰色を見て顔をしかめた。
言わんこちゃない――仕方ないだろうよ?
と言いかけて、僕は口をつぐんだ。
奈里子は一七歳。毎週の〈儀式〉が憂鬱になる時期だ。
歳をとるということがどういうことなのか、まさか忘れているという
ことはないだろうけれど、奈里子自身はあまり気にしている風もない。
実感が湧かないのかもしれないし、とっくに諦めているのかもしれない。
何にせよ、僕にはそれを奈里子に訊く勇気はなかった。
「今夜も見張りを立てるのかな」
「……多分な。勇一とか克美、張り切ってるし。身を守らないわけにも
いかないし」
「嫌だね。ほんっとに嫌」
 とんとんとん。指先でアリスの額を小突きながら、奈里子は口を尖らせる。同感だった。
嫌なものだ。どんなに繰り返しても慣れないものだ。
「もともと人間だったもの」を殺すのは。。。


  <<<正直、良く分からんが―――>>>

763添削屋さん:2005/05/04(水) 10:52:37


 根本的に、時間経過? が、おかしいんでないのかい この文章は――

764イラストで騙す予定の名無しさん:2005/05/04(水) 11:38:50
あ、HNが変わってる

765イラストで騙す予定の名無しさん:2005/05/15(日) 18:40:00
>奈里子は顔を上げ、頬の埃をぬぐった。
>そして指先の灰色を見て顔をしかめた。

顔に埃が付いたら、皮脂があるので指でぬぐっても頬に汚れがこすれる。
指先が灰色になるくらい汚れたなら、顔にも筆で書いたような線が引かれたはず。
奈里子がプラスチック製とかなら別だけど。

766砂漠の星のオプティミスト?:2005/06/15(水) 07:32:19
 ぶわんぶわん、ぶわんぶわんと、音が響く。
「ねえちょっとオーガスト、もっとスピード出ないの?」
「無茶言うなメリウェザー、これが限界だ! これ以上出したらエンジンが
火を噴きかねん!」
 赤く広大な砂の大地を、砂上クラフトが疾駆していた。
 通称『ホバー』と呼ばれる型。旧時代の二輪車めいた形をした、随分と
古いモデルである。
 超速に舞い上がる砂と熱気を呑み込んで、ホバーを操舵する男が喚いた。
「火を噴くの? それは派手だね、なかなかいい。少なくとも、ガリッと
齧られて死ぬよりはいい散り様だなあ」
「派手って何だ派手って、花火じゃないんだぞ!? 大体落ち着き払ってる
場合なのかこれが!?」 
 重力制御装置が砂をかき分け、ホバーの通った後に浅い轍(ワダチ)を
作る。限界を超える速度から来る揺れが、轍の形を時折歪ませる。

          (以下 略)

 例えばこういうさくひんっていうのは、確かに素人衆の中では筆力が
ある方で、おそらく作者自身は、さぞや「これは、かなりイケテル!」
と、確信していることだろうが――

 その分、傍から見ればというか、プロの人間ならば思いっきりシビアに
内容の精査に入る訳で――「果たしてこの登場人物の在り方ってどうよ?」
みたいな処から入って、よくよく見てみれば……嵐の駄目出し百連発! 位
は何時でも直ぐに出されてしまう、みたいな――典型的な素人騙し的な物だね


※何処かの賞に応募しているのなら、二次選考突破、位までは赦してあげても
全然構わないとは思うけど、一応編集部としては電話で呼び出して、二時間位
プロの作家として認められる為の条件――みたいなものを懇々と説教してあげ
て欲しいよなぁ〜 是非 今の内に――とか、思うタイプの 奴 かなぁ〜※

767イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/16(木) 15:11:24
初投稿用に見栄えのするバトル物に挑戦してみたのですが、正直、今までと文体などが全然変わったものになってしまったので、少々不安です。
批評、よろしくお願いします。
なお、これは中盤で盛り上がる場面のバトルシーンの一部です。

「運命とやらもなかなか粋なことをしてくれるわね。ここなら余計な邪魔が入ることもない」
 ちょうど空自身、まったく同じことを考えていた。
「グラディウス王子の暗殺者、剣(レイピア)だな」  
「そういう貴方はアウレイリア姫の飼い犬ね」
 挑発するように切り返してくる。
 今さら精神戦が無意味なことなど知っているだろうに。
 だが、その小気味の良さは悪くない。
 彼女は小振りな剣を両手に構えている。 
 すらりと伸びた長身に、最低限の防具を身につけた動きやすそうな服装を身につけている。
 闇夜にも鮮やかな長い金髪を後ろで束ねて、その美貌は獲物を前にした女豹のように活き活きとしている。
 碧眼に灯る焔の刃は、剣の二つ名にふさわしい。
「千載一遇とはこのことだわ。そう思わない?」
 澄んだ声音だが、女性としては少し低めだ。
「ああ。まったく同感だ」
 一目見た時から分かっていた。
 彼女は自分と同じ、剣のみで戦う暗殺者だ。
 騎士などと違い、暗殺者は様々な得物を使い多種多様な戦い方をする。彼らは状況や相手に合わせて、自身の戦闘のスタイルを調整しなければならない。だから、一流の暗殺者が『全力』で戦い己の技量の全てを尽くすには、自分にとってもっとも見合った状況で、もっとも相性の良い相手と対峙し、しかもその敵が自身と同レベルの技量を備えていなければならない。
 力量が上がれば上がるほど、ただでさえ稀少なその確率は0に近づいてゆく。
 それが、この瞬間。
 奇跡にも等しい可能性の積み重ねの果てに、今、彼らは最高の敵と相対しているのだ。
「そろそろ始めましょうか」
「そうだな。間合いの駆け引きですら名残惜しいところだが、いつまでもこうしているわけにもいかない」 
 その微笑、
「きみに会えたことを__」
「__神々に感謝するわ」
 どちらかの主が居合わせれば、嫉妬したに違いない。
 闇夜に剣戟の音が高鳴って、火花が散る。
 交叉する刃を力任せに吹っ飛ばすと、彼女は地を蹴ってくるりと宙を舞う。
 こちらも右足にあらん限りの力をこめて跳躍し、必殺の突きを繰り出す。
同時の雄叫び。稲妻のような金属音。
 ズザッ、と地を滑りつつ着地する。
 頬を伝う一筋の血。あと一瞬遅ければ、下顎の付け根から上が空を舞っていたはずだ。
 実際のところ。
 心の底から眼前の敵の首を欲するその一時の間だけ、彼らは恋に落ちていたのだから。

768767:2005/06/16(木) 15:30:44
ついでに冒頭も晒しておきます。ラノベの投稿においては冒頭シーンはかなり大事だと聞いたので。

月のない、星明りだけがうっすらと闇を照らす夜だった。
 かすかな夜風に、水面がさざ波立つ。
 そんな湖畔の草原に、白馬が一頭寝そべっている。
「ごめんね、カイ。遅くまで付き合わせてしまって」
 ささやくような女性の声。白馬はかすかに首をもたげると、指し出される細腕に顔を寄せる。その影をよく見れば、白馬の額には一本の角が生えていることが分かっただろう。
 額に角持つ白馬の主人は、まだうら若い鎧姿の女性だった。と言っても、少女と言うほど幼いわけでもないし、淑女と言うにはまだあどけない面影を残していた。
 星明かりに青白く映える、ほっそりした輪郭。腰まで届く栗色の髪に、美しいというよりは愛らしい小造りな顔立ち。そして、雲一つない夜のように澄んだ、深い黒曜の瞳。
 艶やかな花と言うよりは、繊細な装飾を施された宝剣のような印象を受ける佳人だった。だが、どういうわけか女性の左目は、布に巻かれて隠されていた。
「ここに来るのは七年ぶりか」
 傍らの白馬に話しかけるとも、独り言ともつかぬことを呟きながら、湖の向こうに切なげな視線を向ける。 
 ややあって、なにかを振り切るような微笑を浮かべて
「帰ろうか、カイ。城まで乗せていってくれる?」
 ぴくりと耳を立てて、唐突に白馬が立ち上がる。主人の声に反応してのことではない。
 しゃらん、と鞘から抜く時に剣が鳴るように。
 形の良い眉が吊り上がって、黒曜の瞳の色が変わる。
 射抜くような視線が、何もないはずの闇に向けられる。
 足音一つ聞こえなかったはずであった。
 だが剣士である以上、これだけの数の殺気を向けられれば、嫌でも気づく。
「カイ。下がっていて」
 額に角持つ白馬は主人を信じきっているらしい。とくに脅える様子も見せず、主人の一歩後ろに控えると、そのまま彫像のように動かなくなる。
 女性は剣を抜くと、あたりに気を配りながら正眼に構える。装飾一つない実戦用のものだが、鋭くも澄みきった銀月の刃はその身にふさわしい。
「どうしました?娘一人に数人がかりで、近寄ることさえできないとでも?」
 揶揄するような言葉を、闇の向こうに投げかける。
「……女だてらに多少は使えるという噂、嘘ではないらしいな」
壮年の男のものらしき、かすれた低い声。
「別に逃げたければ止めはしません。お前達には敵に背を向けてはならない義理などないのですから」
負けじと言い返す女性。いや。鈴の鳴るような音でありながら、その口調は剣士のものだ。
 がさりと草を踏む音。二人、横手にまわった。
 だが、まだ動くわけにはいかない。
「ふん。数々の武勲も白昼での話よ。騎士など闇夜では、我らに捕われ喰われる者に過ぎぬ」
 反対側の横手に……たぶん三人。
 彼女の額に、大粒の汗が流れる。
 人数を正確に把握できるほどの腕は、彼女にはない。ただ予想していたよりも、ずっと多い。
「フレイル王国が第二王位継承候補、アウレイリア姫殿下とお見受けするが、相違ないか?」
 刺客の言葉に、一瞬だけ場の流れが止まる。
 女性は一息つくと、
「いかにも。我が名はアウレイリア。今は亡き、サーレイス王の遺志を継ぐ娘です」
 高らかと、誇らしげですらあるかのように彼らの誰何に答えた。
 それが、宣戦布告だった。

769イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/18(土) 19:11:16
>>768 冒頭としてはちょっと……人物描写の連続で入りづらいと思う。
>美しいというよりは愛らしい小造りな顔立ち と、
>艶やかな花と言うよりは、繊細な装飾を施された宝剣のような印象を受ける佳人
という描写がイコールしないような気がするんですが。
「いうよりは」が2文連続してるし。こういう表現の重複が多いです。
そのせいか、なんかゴタゴタした印象。

>>767の文の方がテンポアップして感じられる。
でもバトルものなのにバトル描写より人物描写の方が多いって……。
>間合いの駆け引きですら名残惜しいところだが
って台詞で言ってないで、黙って間合いの駆け引きをするところを
描写した方が、緊張感が伝わると思うんだけど。
敵同士の殺気と、男女間に漂う艶っぽさをかけたところはいいと思う。
でも暗殺者はうんぬんの下りは、言いたいことが伝わらないし、
いまいち読者を納得させる力を持ってないと思う。

文体を変えたということだけど、まだこの文体に慣れてないのかな?

770イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/18(土) 20:53:43
CivというゲームのWikiにアップした物です。そのゲームを下敷きにして書いたものなのですが・・・
どうか批評をお願いします。

まずガレー船5個船隊が九州南部に召集された。そして本土中の部隊−弓兵7部隊、戦士1部隊、槍兵2部隊が続々と到着し、我先にと乗り込んでいく。その近くの小高い丘の上に、厳重に警備された指揮所があった。中にいたのは、将軍・徳川と、軍事担当・神原の姿があった。
「どうですか、閣下!見事な眺めでしょう。規模は以前の大陸進出と同じ程度ですが、あの時はほとんどが槍兵部隊でしたからな。しかも今度は、わが国が大陸諸国に負けぬ力を持っていることを証明できる戦いです。兵の意気込みも違います」
興奮しながら語る神原を横目に、徳川は冷静だった。この軍事担当は必ず勝てると言い、それを信じてみようとあの時思ったが−正しかったのだろうか?中国の戦力を見下しているのではないか?やはり、他の策も講じておく必要があるな。
「どうかしたのですか、閣下?」
顔を急に覗き込まれ、今考えたことを感ずかれていなければいいなと思いつつ、平静を装った。
「いや、なんでもない。ところでこの春嵐計画は、対中国戦争計画と聞いたが、北京強襲しか考えていなかったのか?」
神原は眉を少し吊り上げた。気分を害したらしい。
「そんなことはありません。現在進行している、海上から北京を強襲・制圧する“鈴蘭作戦”の他に、大陸自国都市よりインド領を通過し、中国各都市を占領する“秋桜作戦”がありました。しかし、大陸侵攻はわが軍の機動力が不足していることと、本土が南から攻撃される恐れがあるため、この“鈴蘭”を採用しました」
「なるほど、ありがとう。頼もしい限りだな。ところで本当に君も、この侵攻船団に乗っていくというのは本当か?」
ある程度機嫌が直ったのか、苦笑しながら答えた。
「はい。ただ、ずっと船の上に乗っているだけです。わが軍が勝利するところを間近で見ようと、私は船から降りる、と言ったら部下から猛反発を受けました」
「それはそうだろう。もし万が一のことがあれば大事だからな」
「大丈夫です。閣下。わが軍は必ず勝利します。吉報をお待ちください」

それから2日後、強襲船団は出航した。

船団が出航してすぐ、徳川は執政室に内務、通商、外交、文化の各担当官を呼び出した。
「もし万が一の事も考えなければならない。負けた場合の事をだ。国内は混乱に陥るだろう。今本土の都市の大半が無防御状態だ。反乱でも起こされたらどうすることも出来ない」
徳川は椅子から立ち上がり、両手を後ろで組んで足早に歩き出した。
「混乱を最小限に抑えるには、君たちに尽力してもらわなければならない。やってくれるだろうか?」
物静かな紳士である東郷外交担当が、顔を真っ赤にして言った。
「一体、何を、どうやってですか!負けた場合の事などと。閣下はあの時、神原殿の言うことしか聞かなかったではないですか。それを今更−」
「すまなかったと思っている。あの時軍事担当を止めればよかったのだ。許してくれ」
東郷は目を丸くした。将軍の口から謝罪の言葉を聴くのはどれだけ振りだろうか。室内が静まりかえる中、小野文化担当が口を開いた。
「閣下、一国の主ともなると決して謝罪をしてはなりません。民の目の前では特にそうです。さあ、それでわれわれは何をすればいいのですか?」
徳川は再び椅子に座りなおした。
「・・・負けた場合、わが国は永遠に中国の属国になりかねない。そこで、中国に圧力をかけ、最悪の事態を回避したい。加藤内務担当、ガレー船と開拓団をひとつずつ用意してくれ。大至急だ。辻通商担当、大陸都市の影響圏内にある贅沢品を戦争中、奪われることの無い様。東郷外交担当、中国といつでも交渉できるよう、経路を確保していてくれ。小野文化担当、中国の政治宣伝に国民が惑わされるないように、愛国心を高い状態で維持してくれ。難しいとは思うが、頼む。日本が日本であり続けるために!」

開戦前夜午後7時。侵攻船団は台湾沖に停泊していた。中国に発見された様子はない。すべて手筈どうりいけば、明日深夜0時に宣戦布告し、午前3時に北京市郊外に上陸する事になっていた。

771イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/19(日) 14:33:37
>>770
あの、これはライトノベルとして投稿する予定の作品ですか?
それとも趣味で書いてるだけ?
作品のどの部分?

あと、ここ覗いてる人、いまあまりいないみたいだから、たくさんの批評欲しいなら、
新人賞スレにでも「批評求む」って言ってここに誘導した方がいいと思いますよ。
>>768の人も。

772767:2005/06/19(日) 21:23:28
>>769
的確な批評、感謝します。

>冒頭としてはちょっと……人物描写の連続で入りづらいと思う。
 最初に見せ場を持ってくると同時にヒロインの凛々しさを印象づける……というつもりだったのですが、たしかに人物描写の比重が多すぎだったかもしれません。

>描写がイコールしないような気がするんですが。
 愛らしく、かつ凛々しいというイメージだったのですが、改めて読み返すとたしかに読み手にはそれが分かりずらい表現になっていたかもしれませんね。

>表現の重複が多いです
 これは僕も自覚しています…orz。直してもいくつか残ってしまうのですよね…精進します……。

>バトル描写より人物描写の方が多いって
 この点については説明不足でした。これはバトルの冒頭シーンで、この後、電撃三枚分ほどバトルが続くのです。

>暗殺者はうんぬんの下りは、言いたいことが伝わらないし、
 いまいち読者を納得させる力を持ってないと思う。
 これは読んでもらった友人にも指摘されたことです。自分、設定魔のくせにそれを物語に活かす技術がまだ未熟なのですよね……。

>まだこの文体に慣れてないのかな?
 うーん、冒頭はともかく、767の場面あたりから慣れてきた…という感覚はあったのですが……。バトル物を書いたのも投稿を意識して書いたのもこれが初めてなので、やはりぎこちなさがあるのでしょうね。

>>770
 僕は批評はまったく素人なので、一つだけにしておきます。参考程度に考えておいて下さい。

 ちょうど作品の世界状況や戦略等を説明するための場面を書いているから、というのもあるかもしれませんが、少し登場人物の個性の描写がおざなりであるように感じました。
 戦記物だから、というのもあるかもしれませんがどんな作品であっても、登場人物の魅力は重要な要素かと思います。
 群雄劇の中で登場人物を個性を巧みに書いた作品には、ラノベでは『銀河英雄伝説』、一般小説だと『ローマ人の物語』や司馬遼太郎の日本史ものあたりがあるので、参考にしてみてはどうでしょう。
 同じ内容のことを言わせるのでも、ちょっと演出に凝ってみたり台詞廻しを工夫させてみるのも手かもしれません。同じ陣営や同志でもキャラごとに微妙に異なる信念や気質をもたせて、常にそれに基づいて描写することを心がけておくのもいいかと思います。

>>771
 そうすることにしましょう…。
 助言感謝です。

773769:2005/06/20(月) 15:50:56
>>767
>これはバトルの冒頭シーンで、この後、電撃三枚分ほどバトルが続くのです。

なるほど。いや、私も「長い」という言い方をしたのがいけなかったですね。
つまりアクションの描写が、人物描写の書き込み方と比べて、浅すぎるということです。
これ以降も同じような書き方をしているとしたらですが。
たとえばマンガのバトルシーンなら、コマごとに、打ち合わされる剣、互いの表情、
踏み切る足などを描いて効果線を入れれば、それなりに雰囲気は出せる。
でも小説では、アクションを体感させるような描き方が必要になる。
さらされている部分に限って言えば、この描写ではマンガどまりということです。
恋愛ものやコメディとかならともかく、バトルものなら、これでは不十分じゃないかな。

いや、バトルは本当に書くのたいへんだから、初投稿作というならがんばっていると思う。
読者が登場人物の動きを体感できるように書く、しかもテンポよく読ませる、
できればさらに「あっといわせる」。ぜんぶクリアするのは本当にたいへんだから。
プロのアクションシーンを読み込んで、参考にしてみたらどうでしょう?

774767:2005/06/20(月) 16:54:33
なるほど……そういうことでしたか。

<登場人物の動きを体感できるように書く、しかもテンポよく読ませる、
 できればさらに「あっといわせる」。
 さしあたって、僕に一番必要なのは最初の項目のようなので、そのあたりを中心に意識してみます。

775イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/21(火) 14:41:03
初書きしてみたのですがどうでしょうか?

 彼の気分は2,3日雨が降り続いていることもあってかいつにもまして憂鬱な気分だった。
何を見るわけでもなく窓からグラウンドに落ちていく大粒の雨を横目に軽いため息をひとつ演じてみた。そのため息は窓ガラスを曇らせ、雲のように窓に滞在している。
それを見ながらまた一つ、今度はさっきより大きいため息を出してみた。ため息は窓ガラスを更に曇らせ、その音は先生にまで届いてしまっていた。彼の身長はクラスで2番目という中々の長身のため、嫌でも目に付いてしまう。
「これで3度目ですよ。ため息をしている暇があったらノートを取ったらどうですか?神谷君。それとも校庭で走ってきますか?」
先生の3度目の台詞は怒りを通り越して呆れ口調になってしまっていた。
肘を机につけていた手を思わず滑らせ、頭を思わずぶつけそうになってしまいながら反射的に立ち上がった。
「す、すみません、先生。」
その3度目の台詞は頭をぶつけまいとしていた状態で言ったためなんともおかしい音程になってしまっていた。
1,2度はクラスメイトも笑っていたが、3度目になるともう飽きてしまい。ただこちらを見て彼のあわてた顔をしているだけだった。
「顔を洗ってすっきりしてきなさい。」
その呆れ顔も先生が滅多に言わない言葉もに神谷とってはもはやお決まりの台詞であった。
神谷はいつものように頭を縦に振るといつもとように立ち上がり、いつものようにトイレへ向かった。
神谷の中学校は私立のために回りは比較的綺麗で、特にトイレは今年作り直されたばかりでとても学校とは思えないでデパートの1室のようなトイレだった。手洗い場もまるで大理石かのようにピカピカに磨いてある。
神谷は蛇口勢いよくをひねり、その蛇口からとめどなく出る水を見ながら頭の中でただ一言、言葉を発してみた。
「俺は何をやっているんだろう・・・・。」
いくら外の景色を眺めても何も起こらないし、何百回ため息をついても何も変わらないのは彼もわかっていた。だがため息とは自分の気持ちに嘘偽りなく出るものである。ため息を消すためには、彼の体の中の憂鬱を消すしかなかった。
神谷は心の中で自分を軽く罵倒しながら勢いよく出る水を手ですくい、それを一気に顔へ押し付けた。水は自分が思っていた以上に勢いがよかったために手から飛び跳ね、ピカピカの台を水で汚してしまった。
その行為は何回も続けられたが、表面上の眠気は洗い流せても憂鬱を洗い流すことはできるわけがなかった。
洗い流せていない自分の憂鬱を感じながらふと自分の顔を鏡で見てみた。そこにはいつもと変わらない自分が写っていた。こんなに自分のことをまじまじと見つめるのは久しぶりかもしれないな。鏡の自分はさっきの水のせいでその髪の毛の先から顎までびしょびしょで眠気もすっかり覚めたはっきりとした黒い眼で自分を見つめ返している。だが、その目の下にはクマが出てきている。それになんだか元気がなさそうだ。○○はそんな自分を見て、またため息をついた。
その瞬間親友の言葉が頭の中を一気に駆け抜けていった。
「神谷は本当に一生ここにいるつもりなの?」
その言葉は、ふざけているわけでもなく、からかっていたような素振はまったくない。そして真剣な眼差しで神谷に向けられていた。あれが本気だとしたら俺は行きたいのだろうか?それともここに残り続けていつも通りの変わらない生活を送り続けるのがいいのだろうか?
その考えは永久に続くかとも思われた。だが、彼の考えは決まっていた。そしてこの憂鬱を消すためにはこの無限に続く構想に自ら終わりを告げるしかないことも気が付いていた。
もう引き返せはしない。本能的にそう感じていた。



冒頭だけうpしてみました。なんかキャラの気持ちがごたごたになってわかりづらい気がします。

診断お願いします。

776イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/21(火) 23:53:45
>>775
読点使いましょう。例えば最初の文なら、
「彼の気分は2,3日雨が降り続いていることもあってか、いつにもまして憂鬱な気分だった」
これだけで多少わかりやすくなったかと思います。
さらに言うなら、私であればこの文、
「2,3日雨が降り続いていることもあってか、彼の気分は憂鬱だった」
という具合に、倒置を使って主語と述語を近い位置に置きます。
また見ていただければわかるでしょうが、重複表現もカットしてあります。
とにかく、読者にわかり易い文章を心がけるのが吉かと。

777イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/22(水) 01:31:20
>>775
はじめてだから当然ですが、基本的な文章力がまだ……。
>神谷の中学校は私立のために回りは比較的綺麗で、
 特にトイレは今年作り直されたばかりでとても学校とは思えないで
 デパートの1室のようなトイレだった。
とくにこの文、長すぎるせいかミスが目立ちます。
「トイレは…(略)…トイレだった」(主語繰り返し)
「回り」(造り?)
「綺麗で」「ばかりで」(「で」重複)
「学校とは思えないで」(入力ミス?)
「デパートの一室」(「デパートのトイレ」では? 一室という表現はどうかと?)

書き換え例。
「神谷の中学校は私立だけに、比較的綺麗な造りだった。
 特に、今年作り直されたばかりのトイレは、手洗い場もまるで大理石のようにピカピカに磨かれ、
 学校というよりデパートのトイレを思わせる。」
……難易度高いです。書き換えにも苦労しました。
それ以前に、「トイレの描写なんていいよ。とっとと先に進めよ」
っていうのが読者の本音かもしれない……。

776も言ってるけど、
まず簡潔でわかりやすい文章を書くことを心がけ、それをクリアしたのちに、
徐々にニュアンスをつけ加える書き方をめざしていった方がいいと思う。

778775:2005/06/22(水) 18:43:11
診断ありがとうございます!
今一から読み直してみました。やっぱり読みづらいですね・・・・。
濁点や重複、さらには書き間違いまで・・・・(´・ω・`)
なるべく簡潔に、それでいてわかりやすくするように頑張ってみます。
ついでに辞典とかで勉強もしておきますね・・・・

後板違いなんですがやっぱりそのキャラ主点に動く時は、そのキャラのする行動等は
意味を持たせたほうがいいでしょうか?

779イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/22(水) 19:04:15

動機?ストーリーに対する意味?
後者は確実に必要かと思われ。

780イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/24(金) 02:20:57
冒頭シーンなのですが
多少なりとも「続きを読みたい」と思わせられる文章を作るのに四苦八苦してまして、ご教授頂けたら幸いです。

――

高級マンション。
築五年の二十二階建て。駅から徒歩五分。敷金礼金ゼロ。部屋割りはY3LDK(約二十三坪・賃料五十万円)からADF(約九坪・賃料十五万円)まで。
システムキッチン、ユニットバス、オートロック、ルームサービス、CS・BSアンテナ、セキュリティまで完備。利便性を重視した好立地。溢れ出す高級感を質素に抑えた無駄のない構造。住む人々に上質な暮らしを約束する最高の物件である。
その上なんと凄い事に――


――住民が全員ヤクザ。


「はぁ・・・・・・これ終わってから学校・・・・・・間に合うか?」
 げんなりと、大して高級でもない腕時計に視線をやる。
自分の事ながら、時計を身につける習慣は今時の高校生にしては珍しいと思う。
時刻は午前五時。
時計の文字盤を覆うガラスに反射する俺の顔は、誰がどう見ても疲れているようにしか見えないだろう。普段はさらさらストレートを保っているセミロングの黒髪が、へたれたワカメみたいになってる。友人に鷹のようだと言われる眼も、今は死んだ魚に例えた方が的確だ。眠気の無い時なら引き締まっているはずの口元も半開きだし、その上涎まで垂れている。
口元を拭い、時計の日付表示を見た。
日付は七月の一日。
既に至福の日曜日は終わりを告げて、学校の始まる憂鬱な月曜日に差し掛かっている。
だというのに、なぜ俺は自宅から遠く離れた高級マンションの非常階段前に居るのだろう。
(これから菊池組の組長の所に乗り込んで、手打ちを申し入れるためっすよ?)
 鼓膜を介さず、脳に直接響き渡る声。いや、声と言うには語弊があるかもしれない。これは俺と《意識同調》している上条 遊佐と言う名の若衆・・・・・・つまり俺の部下にあたる人物から送られてきた意思である。
送られてきたという表現も、適切では無いか?
俺と遊佐は今、俺の肉体を二人で共有している。
つまり、「お前が俺で、俺も俺で」状態なのだ。
(なんか、わかりにくい表現っすね・・・・・・)
 俺もそう思う。一つの肉体に二つの高次元霊的意識構造体、通称《霊識》を入れている状態と言った方が、良かったか。
(若ぁ、前から疑問だったんすけど・・・・・・高次元なんとかって何すか?)
「まあ・・・・・・便宜上の造語だから、深い意味は無い。《霊識》が幽霊やら魂みたいなもんだと分かっていれば充分だ。それより若って呼ぶなっ。俺は組の跡を継ぐつもりなんて無いんだから」
(でも若が若じゃなくなるってことは、若の部下やってるボク達は、仕事がなくなって破門されちゃって路頭に迷ってダンボールハウス作りの名人になって空き缶拾いに就職して、月に一度の安いお酒を楽しむ世知辛い生活を送るはめに・・・・・・いえ、今のは聞かなかった事にしてください。若は若のやりたい事をやってくれれば、ボクたちにとってはそれが一番なんです・・・・・・ううっ・・・・・・ぐすん・・・・・・ひっく・・・・・・うぇぇ)
「ああああ、やめっ! 《意識同調》してる時に落ち込むな! 感情も共有してんだから、こっちまでなんかヘコんでくるだろ・・・・・・」
 全身に纏わりつく切なくて寂しい感情に胸を痛ませながら、なんとか遊佐をなだめようと試行錯誤する。「遊佐、元気出せ」(・・・・・・若ぁ)「わかった、俺が悪かった、若でいいから」(やたっ! 若、これからもよろしくっす!)「・・・・・・」
今更ながら、今回の行動のパートナーに遊佐を選んだのは大きな失敗だったのかもしれないと後悔してます。ああ、帰ろうかな・・・・・・
(し、失敗とか言わないで下さいよ! ボク、仕事はちゃんと頑張りますから!)
「とりあえず、期待してるぞ・・・・・・?」

781イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/25(土) 03:31:19
>>778
質問の意味がよくわからない。
それよりまず「自分ならどうするか」考えて書いてる?
たとえば、冬のさなかでも、相当意図的にやらないと窓ガラスが曇るほどのため息って出ないとか、
自分がそんな巨大なため息をついておきながら、しかも三度めであるにもかかわらず、
教師に注意されてびっくりするかとか、
そんな生徒がいて、自分が教師とかクラスメイトだとしたらどうリアクションするかとか。
ごめん。どうも不自然。

782イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/25(土) 03:55:32
>>780
いきなり特殊な設定を口頭で(地の文でも)説明しはじめるのではなく、
肉体を二人で共有している状態を、行動なりで表現する方がベターだと思う。
他人がそんな状態の主人公を相手にして混乱するとか、
いっそことのはじめにさかのぼって回想とか、もっと見せ方に工夫が必要。

あと、私は不動産情報にくわしくないので、ADFとか言われてもわからないです。
そういう、読者がひっかかりそうな単語を省いて、もすこし短縮してもいいのでは?
>その上なんと凄い事に
というより「ただ、唯一の問題は」じゃ?

キャラや掛け合いはおかしくて魅力的。
遊佐の一人称「ボク」がなんかいい。

783イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/25(土) 16:19:04
冒頭です。人に見せるのは初めてですが、批評お願いします。

「気がついたかい?」
 十七、八歳の男の子が、声をかけてきた。黒い瞳が印象的な美少年だ。やさしげな顔立ちや小柄の体格のために、少女のようにも見える。
「ここはどこ? わたしはだれ?」
「ここは僕の家だ。君のことは、よくわからないけど、川で拾った」
 私の質問に、少年が簡潔に答えてくれた。
「でも、普通、自分のことじゃなく、僕のこと聞かない?」
 少年の指摘に、うつむいて視線をそらす。自分でも赤面するのがわかった。
「ていうか、君のこと聞きたいのは僕の方だけど。僕はユウ。君は?」
「わたしの……名前?」
 名前を思い出せず、つい問い返してしまった。
「わからない。わたしは、わたしはだれ?」
「も、もしかして、記憶喪失……なの?」
 少し考えて、微かにうなずいた。
 わたしは誰なのか、何をしていたのか、それさえも記憶にない。
 そう答えると、ずっと微笑を浮かべていたユウの顔が、一瞬、困っているような、驚いているような表情に変わり、またすぐに戻った。
 わたしは何と言えばいいかわからず、口を閉じた。
「え、えーと、お腹空いてない?」
 重くなった空気を払うように、ユウが話題を変えた。
 わたしが答える前に、お腹が勝手に返事をする。
 わたしは、とっさに顔を隠した。手の奥では、また顔が真っ赤になっているに違いない。
「ちょっと待ってて」
 そう言ってユウは部屋を出ていった。
 外からは何やら話し声がするが、聞き取れない。
 何気なく横を向くと、十六、七歳の女がいた。
 その深い翡翠色の瞳に、意識が吸い込まれる。
 その淡い黄金色の髪に、視線が引き寄せられる。
 あまりの神々しさに、身動き一つできない。
 しばらく見詰めあった後……気がついた。目の前にある鏡に。
 わたしが見とれていた少女は、わたし自身だった。
 鏡に映った顔がみるみる朱に染まっていく。
 誰もいなくてよかった。
 そう思った瞬間。
「あなた、ずいぶんと自分が好きなのね」
 わたしは飛び上がりそうなほど驚いて振り向いた。
 部屋の入り口には、ユウによく似た、背の低い少女。十四、五歳くらいだろう。笑いながらわたしを見ている。
「スープ持ってきたわ」
 そう言いながら、わたしの所に歩いてきて、どうぞと、湯気が立つお椀を差し出した。
 温かいスープからは食欲をそそる匂いがする。
 ふぅふぅと冷ましながら一口すすってみた。
 おいしい!
 もう一口飲もうとしたところで、使ってとスプーンをわたされた。
 スープには野菜や魚介類がふんだんに使われていて、とても美味だった。
 わたしはそれを、むさぼるように食べた。いつの間にか、お椀が空になっていた。
「ずいぶんお腹が空いてたのね」
 からかうように少女に言われ、顔から火がでそうだ。羞恥心で体がいっぱいになってしまった。
「姉さん、あんまりいじめちゃ、ダメだよ」
 ユウが戻ってきて少女をたしなめた。
 ……姉さん?
 少女に視線を向ける。
 どう考えても、ユウより年下にしか見えない。
「ホントに姉? って思ってるでしょ」
 図星を指された。ユウの方を見て、ごまかす。
「自己紹介がまだだったわね。あたしはエセル。これでも二十一よ」
 エセルを凝視する。
 ……何か見覚えがあるような気がした。
 鏡を見て、確かめる。
「気がついたみたいね」
 髪と瞳の色を変えれば、エセルは鏡に映っていた女に、つまりわたしにそっくりになる。もう何年かするとだけど。
「あなたは、だれ?」
 声が震えてしまった。
 必死に頭をめぐらせても、何が何だかわからない。
「それはあたしのセリフよ。ホント、あなた何者?」
 エセルの問いに、いくら考えても答えることができなかった。

784テーマは若年性テロリズム:2005/06/25(土) 21:09:00
さすがにもっと文章に肉付けするけどこんなもんでどうでしょうかね?


十二月三十日。曇り。再開発のために一時的に生み出されたサラ地。
そんな時間と場所で、僕らは三度おちあった。
彼女は普段より厚手の服装をして、彼は普段より薄手の服装をしていた。
「そんな格好で寒くない?」「そんな格好で暑くない?」と、いつも通りの間抜けなあいさつを交換する。
彼女は犬を連れていた。珍しくもない灰色の雑種犬。
「私が代わり散歩しているだけ。そもそも動物を飼うという習慣は……」
「あぁ、もういいよ。僕は暇じゃないし」
だってそうだろ? クサっても僕は受験生。
「どうせ私たちは暇人なんだよ、いつ集まろうと、どこに集まろうと問題はないじゃないか」と滑稽な声音で続ける。
「まぁ、私は自営業みたいなモノだからいいけど、受験生が暇人ってのは、ちょっと問題だよね」
「はぁ、そうですね」
腑に落ちないままの返答、こんな場所で彼女特有の入り組んだ長弁舌を聴いても、気がめいるだけ。
なんで、彼女の呼び出しに応じてしまったのだろう?
地面を見ると、廃材の破片、乾いた土塊、生気を失っている雑草があって。
「まぁ、君を今日、呼び出したのは、わかっているだろうけど進行状況を確認しようと思ってね」
天上を見ても、祝福すべき新年が数時間後に訪れる、そんな予感を拒絶する憂鬱な曇天。
「誰もが共和国建国六十周年を祝う準備で忙しいし、浮かれきっている」
周囲を見ても、青灰色の公団住宅、背の低い堤防、ドブ川。
「機は熟したんだ」
思わずこんな独り言を言いたくなる。『せめて、こんなところに呼ばなくても……』と。
どこから、とこなく救急車のサイレンが聞こえてきた。
そのサイレンも距離による音量の軽減、ドップラー効果、遮蔽物による反響の影響で、不気味なほど音量が上下する低音となって響く。
「まぁ、大晦日といっても死ぬ人間も居るし生まれる人間もいるだよね」と彼女はうれしそうにつぶやいた。
僕には『うれしそう』としか形容の出来ないつぶやきだった。
サイレンが遠のくと今度は彼女の連れている犬が騒ぎ始めた。

785イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/26(日) 14:47:24
>>783
「ここはどこ? わたしは誰?」って……ギャグならともかく、どう?
情景描写がまったくない。舞台となる場所が鏡しか描かれていない。
私の頭のなかでは主人公が真っ白な空間の真ん中にいて、宙に浮かんだ鏡を見ています。
主人公、記憶をなくした人のわりには、ずいぶん呑気だなとも思うし。
腹が鳴ったくらいで恥ずかしがってる場合かよ!と突っ込みたくなりました。

描写は足せばいいですが、冒頭、記憶喪失の美少女が……というのは。
よほどひねらないと新鮮味を感じさせないと思う。

ですが、文章は非常に読みやすい。
スムーズに言いたいことが伝わる、テンポのいい文。これはあなたの武器ですね。

786イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/26(日) 15:30:39
>>784
悪いんだけど、私は、感性を前面に押し出したこういう文章にツボがありません。
ので、その点については、こういう文が好きな方に批評してもらった方がいいと思う。

肉付けというより推敲が必要。ほかの人もだけど、誤字脱字が多い。
人称も「彼」か「僕」かに統一すべき。
>「あぁ、もういいよ。僕は暇じゃないし」
>「どうせ私たちは暇人なんだよ、いつ集まろうと、どこに集まろうと問題はないじゃないか」
同一人物の発した言葉に見えて、暇か暇じゃないのかと混乱する。
こういう文章は独りよがりな印象を与えがちだから、なおさら注意が必要なのでは。

あと、十二月三十日が大晦日って、そういう特殊設定?

787783:2005/06/26(日) 16:10:42
>>785
>私の頭のなかでは主人公が真っ白な空間の真ん中にいて、宙に浮かんだ鏡を見ています。
言われてみれば情景描写ぜんぜんないですね。orz

キャラとありがちな冒頭は再考します。……プロット作り直しかぁ。orz

参考になりました。ありがとうございます。

788イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/30(木) 19:27:03
連続になるけど、俺も晒してよいですか。
>>783の人と同じく、これもやっぱり冒頭部分です。

 ああ、やっぱりこうなってしまうのか。
 半ば他人事のように、春樹真人は心のなかで呟いた。
 他でもない、己の身に起こっていることだ。それが分かっていないわけではないのだけど、どうにもそれがしっくりこない。
 なぜ、こんなに落ち着いていられるのだろう。彼は不思議で仕方がなかった。なんというか、こういう時はもっと、大いに取り乱してパニックに陥ったりするものではないのか。小説やドラマなんかでは大抵そうだから、現実でもきっとそうなのだろうと思っていた。
 もっともそれはあくまで「思っていた」だけであって、実際にそうなった人を見たことがあるわけではない。もしかしたらフィクションで描かれているのは全くのウソで、これこそが正常な反応であるという可能性だってあるわけだ。
 ともかく、だ。見当外れの方向に行きかけていた思考に、彼は方向修正をかけた。今は、そんなことはどうだっていいのだ。なにせ、今彼は死にかけているのだから。
 繰り返しになるが、こんなのは彼にとっても初めてのことだ。今までは死ぬような怪我なんてしたこともなかったし、誰かがそういう目に遭っているところを目撃したこともない。だからその「死にかけている」というのもやっぱり感覚的なものに過ぎないのだが、この部分についてだけは、彼は絶対的な自信をもっていた。死期を悟る、とかいうほど大げさなものではないが、感覚としてはそれに近いだろう。自分に死というものが刻一刻と近付いてきているのが、ありありと感じられる気がした。
 少し首を起こして、問題の部分――左のわき腹あたりに目を向けてみる。明かりがない上に、どうやら目が霞んできているようだ。見えにくいことこの上なかったが、それでもなんとか、自分のシャツに赤黒い染みが広がっているのが確認できた。
 刺されたわけでもないのに出血しているというのは、どういうことだろう。もしかしたら、折れたアバラがお腹の肉を突き破って、外に飛び出しているのかも知れない――そこまで考えるとさすがに少し怖くなって、彼は目を閉じた。
 ふ、と全てが暗闇に閉ざされる。なんだかもう、痛いんだか苦しいんだか、よく分からない。もしかしたら自分はこのまま、もう二度と目を開けることはないのかも知れないけど、これ以上は無理だ。このまま、なんだかこのおかしな気分のまま、闇に沈んでいったほうがまだマシかも知れない。
 そうやって、いよいよ死というものをはっきりと意識したとき、ようやく彼の胸に後悔の念が押し寄せてきた。どうしてこうなったんだろう。一体、何がいけなかったんだろうか。
 死にたくない。そんな当たり前の情動も、この時になってようやく生まれ始めた。死にたくない。自分には、まだやりたいことがある。
 だけどそれも、激しい悲嘆となって彼の心を支配するというほどではなかった。何か大したことのない、例えるならどこかへ出掛ける予定がある日の朝起きたら雨が降っていて、ああいやだな、と思うのと同じぐらいのレベルだ。
 どうしてだろう。どうして自分はこんなにも、落ち着いていられるのだろう――
 ゆっくりと意識を失っていく間にも、彼はそんなことばかり考えていた。
 こうなることを全く予想していなかったと言えば、うそになる。だけど、では死ぬ覚悟が出来ていたのか、と問われれば、間違いなく彼は首をかしげただろう。
 それではいったい何故、彼はこんなにもあっさりとした態度で居られたのか。
 もしかしたら、彼はその時すでに予感していたのかも知れない。これは、終わりなどではない。始まりなのだ、と。

これだけじゃあなんとも言えない、とお感じになったら、もう少し先まで晒しますので、お申し付けください。

789イラストで騙す予定の名無しさん:2005/07/09(土) 17:16:53
>>788
スタートのアイデアはよい。
どうなるのだろうと引き込むものがある。
文章のリズムもよい。

ただ、悪いことは言わない。
「なぜ、こんなに──」から「──感じられる気がした」の部分は
全て削れ。

冒頭に「とにかく」は避けろ。

「とにかく(兎に角)」を使うと、
それこそ兎に角をつけるような違和感とともに、
話の流れが切れてしまう。

そういう効果が必要なこともあるだろうが、
最初のスタート時点では、できるだけ使わない方がいいと思うぞ。

さておき、主人公が死の淵から舞い戻るところから
話を始めるというアイデアは面白いと思う。
主人公をそういう目に合わせた敵がいることを暗示。

また、感情と感覚をバランスよく拾い上げる一人称型三人称の
文体は、将来の主人公と敵との激闘をしっかりフォローすると
思われて、よい雰囲気。

790イラストで騙す予定の名無しさん:2005/07/13(水) 20:27:41
>788
789と同意見になるけど、「ああ〜(中略)ありありと感じられる気がした」
ここ全部いらないっぽい。いらないというか、「なんなんだこの状態は」という
感じの独白を一行ないしは数行ていどにおさえて、さっさと脇腹の描写に入った
ほうがテンポよく読めると感じたです。
「死にかかってる」とまえもっていわなくても、怪我部分を見たら「死にそう」
ってわかるので、まず描写に語らせてから「あー俺って死ぬのか…」と独白
入れるほうがいいかな。

791未だ題名も決まっていない話。:2005/07/18(月) 02:26:29
このスレッドの人々の投下する話を読んでるとほんとに自分の作品の拙さが目に見えてしまいますが……
それでも勇気を持って投下してみます。ぶっちゃけ少なすぎて意味わかんねーと思いますが、こき下ろしてくださいお願いします。

・・

 暗闇に、雨音と波音が続いている。



「――起きろ、」

 完全な漆黒の中、唐突に命令形の言葉が生まれた。
 雨雲が夜の光を遮り、あらゆる視覚が意味を失うその場所に、何かがいる。
 言葉は、何かに向けられている。

「起きろ、逃げるぞ――」

 再び繰り返す。
 応じる者がいるのか、そこにいる一人の人間は、早急にその場所からの逃走を望み、呼びかけていた。その間も雨音は途切れず、彼方には雷鳴も轟く。稲妻の明かりもまた雲の中で生じているのか、彼ら、もしくは彼女らには届かない。
 声が小さ過ぎたのか、あるいは雑音に紛れたのか、返答はなかった。だが、―――そこに言葉でも雨音でも雷でもない、新たな音が生じた。それは初め、木の板の上を歩くような効果音で、水面がそれまでの規則性を破って波打つ気配を伴った。

「…………息を吸え、後は――俺に任せろ。暴れるなよ――」

 最初の声が、今一度呼びかけた。
 返答らしい返答はやはりなかったが、しかし微かに、低く唸るような――注意深く聞けば肯定に聞こえなくもないような別の人間の声が漏れ、
 すぐにそれは、水へと飛び込む音に消えた。

・・

冒頭部分、こんだけです。どうなんでしょうか。

792788:2005/07/18(月) 21:54:21
返事が遅れてしまってすみません。

みなさんが仰っているように、やはり少しくどいですね。
こうして横書きに直してみると、違った目で見ることが出来るのでいいですね。

とりあえず、要らない箇所があるというのは間違いないと思います。
最終的に、これの半分ぐらいの長さにするのがいいでしょうね。

では。

793イラストで騙す予定の名無しさん:2005/07/21(木) 00:33:41
>>791
こきおろすにも材料が少なすぎて……。
文章はきれいだと思うんだけど、なんだか持って回った言い回しが連続して
内容を理解するのに時間がかかる。
そういう雰囲気を意識しているのかもしれないですけど、
冒頭はすばやく読者を引き込まなければいけないから、危険かも。
雰囲気を取るか、読みやすさを取るか。
分量が少なすぎてそれくらいしか言えません。

ところでみんな、自分の文投下するだけじゃなくて、ほかの人の批評もしてあげようよー。

794イラストで騙す予定の名無しさん:2005/08/30(火) 21:07:55
思いつくままの言葉を文章にしてみたのですが、やっぱりレベルが低すぎでしょうか?
他人に自分が書いたものを見てもらう機会がなかったので心配です。
どんな感じで書けばいいかアドバイスなどありましたらよろしくお願いいたします。


夏が終わる。夏が終わる。夏が終わる。
――夏が終わってしまう!

上雲八幡、高校2年の夏もあと1週間で終わってしまう。
何の思いでもなく、何もせずに夏が終わってしまう。
今年だけではない。去年も一昨年もその前も。

今まで16年生きてきて記憶に残る夏など一回もなかった。
旅行にも行ったことがない。お祭りも地元のしょぼい神社に男友達と行ってまずい焼きそばを買って、家で食ったことしかない。

「俺の人生って終わってる」

たとえ今日死んだところで俺には灯相馬なんて絶対見えない。

―あと俺は何回同じ夏をすごすんだろうか。
そんなことを考えているといつの間にか眠気が襲ってきた。

外ではセミが最後の一鳴きとばかりにわめき、近所の公園から聞こえる子供たちの声
蒸し暑いコンクリートジャングルの中を駆け抜ける、夏の終わりを告げる風

どこからともなくリーン、リーン、リーンと風鈴の音が聞こえてくる。
あぁ俺はきっと残りの夏もこうやって同じ様に寝てばかりの夏を過ごすのだろう。
そう考えている内にいつの間にか眠っていた。

795イラストで騙す予定の名無しさん:2005/08/30(火) 21:08:25
※第1章

僕は海に立っていた。
正確に言えば砂浜の波打ち際。
見たこともない青い海と白い砂浜。
空には雲ひとつなく、水平線さえぼやけて無くなってしまいそうな海に、空と海を分けんとする船が一隻水平線に沿って走っている。

「どこだ?ここ?」
自分で言って置きながらハッとした。

そうだ。僕はこの景色を見たことがない。

いや、見たことが有るには有る。テレビや本でだが。
しかし、それにしてはやけにリアルだ。

僕の記憶にある海は、湘南の人ごみと黒い砂浜、濁った海。
そんな世界とは別世界のようでいて、僕の足に時々かかる水はやけに冷たく、時折吹く風は暑さを吹き飛ばしてくれる。

――あぁそういえば今年は崇と海に行ってないなぁ
毎年なんだかんだであいつと一回は海に行ってた気がするが今年はそういや行ってない。

まぁそんなことはどうでもいい。
あいつと海に行ったところで海にも入らずに日陰でダラダラしているだけだし。

ザバンッと大きな波が俺のひざ小僧までぬらしていった。
まるで「こっちへ来い」と呼ばれているような気がしてくる。

もう一度ザバンッと今度は腰の辺りまで波が濡らしてて行った。

796イラストで騙す予定の名無しさん:2005/08/30(火) 21:08:58
いや違う。
波が高くなっているのではない。俺が海に向かって歩いているのだ。
いつの間にか浜辺から五メートル以上はなれている。

―あぁ、でも気持ちいい。
いつの間にか風は止み、真上にある太陽は一段と大きく見えて、夏を感じさせる暑さと、それを冷まさんとする水の冷たさがとても気持ちよく感じた。

そんな事を考えていた刹那だった気がする。

「行っちゃダメ!」

世界が割れるかと思うほどの声で後ろの浜辺のほうから、普通の人よりちょっと高めの声で、でも全然癇に障る声でもなく。その声が僕が歩み続けていた足を止めた。

いつの間にか俺の胸ほどまでに水の高さが来ていたみたいだ。

「そこは行っちゃダメなの。あなたはそこには行っちゃダメ。あなたはこちらとあちらの真ん中にいるべき人だから。そこはダメ」

止めた足を今度はひねり、浜辺を見る。
そこには一人の女・・・いや少女が立っていた。

797イラストで騙す予定の名無しさん:2005/08/30(火) 21:09:50
どこを見るでもない。
俺しか見ていない目。
真っ直ぐこっちを見ている瞳。

それは間違いなく僕にかけられた言葉だと一瞬で理解できた。

「君はだれ?俺はどうしてここに・・・ここはどこ?」
「私は私。あなたはあなた。ここはここ」

相変わらずの真っ直ぐな瞳で俺を見ながら彼女の口は微笑んでいる。
まるで吸い寄せられるかのように、僕の足は今度は来た道を戻っていた。

「もうすぐあなたに会えるから。もうすぐ私と会えるから。そしたらあなたはすべてを受け入れる」

彼女がそういい終わるか終わらないかの刹那の瞬間。
俺は彼女に殴られたかと思うほどの衝撃をほほに感じていた。

段々と覚醒していく記憶
今まで開けていると思っていたまぶたが少しずつ光を取り込んでいく。
光が完全に目になじんだそこは見慣れた部屋と見慣れた片方の足。そしてもう片方の足は俺のほほに乗っており、その見慣れた部屋の中に見慣れぬ人物がいた。


以上がプロローグなのです。長くなりましたが、よろしくお願いいたします。

798イラストで騙す予定の名無しさん:2005/09/01(木) 22:46:13
通りすがりだけど、ざっと読んだので。

文章はさほど悪くはないと思う。読めたから(基準はそこか)。
ただ、書きなれてないのがよく判ってしまうのはなんとも。
とりあえず、文頭一字あけと「・・・」ではなく「……」を使うといいよ。
それから、これはもう今はさほど言われてもないし市販小説でも違ったりするんだけれど、
やっぱり文章中の数字は漢数字が嬉しいです。
上雲八幡って、名前? あんまり名前っぽくないから、学校名なのかなんなのか判断がつきません。
改行がやたら多いのは、ここに載せるから見せやすくするため? そうでないのなら、非常に厨臭いオンライン小説のようで微妙に心地悪いです。

夏が終わる。
と言う始まりは夏好きにはたまらん感じに惹かれました。
ただ、惜しむならばそれを生かしきれてないかなぁ。あと、擬音が正直あまりに安直で安すぎる。
リーン、リーン、と風鈴は響きませんw
風鈴の音、聞いたことある? リーン、リーンだとどうしても鈴虫っぽいw
どうせなら、冒頭の「夏が終わる」は全部はしょっちゃって良いかも知れない。
インパクトを狙うなら、だけど。(ただ、私個人としては夏が終わる、というその焦燥感は好きだ)

気になった部分。

「近所の公園から聞こえる子供たちの声」……「近所の公園からは、子供たちの騒ぎ声が響き〜」など、きちんと文章として成すこと。
「世界が割れるかと思うほどの声で後ろの浜辺のほうから、普通の人よりちょっと高めの声で、でも全然癇に障る声でもなく。」
……文章として成すこと。文頭の前半をまとめ切れてないので、意味がわからなくなっている。
後、個人的に「世界が割れるかと思うほどの声」が甲高いのは想像つかない。
「刹那の瞬間」……重複文。「刹那」も「瞬間」もおなじ。「刹那」使いすぎると厨臭いので気をつけて。

ざっとはこんなかんじかなぁ。
通りすがりが辛口でごめんなさい。がんばって完成させてください。

799イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/13(木) 16:32:04
短編の冒頭です。
出来れば、批評をお願いできないでしょうか。

 大学からの帰り道。スーパーでの買い物を終えた僕は、寄り道せずに家路を急いだ。
 ここ最近は、毎日こうしている。友人の誘いも、全部断って。「付き合いが悪い」と言われようが、構うものか。僕にはもっと大事なことがあるのだ。
 アパートの階段を上がり、部屋のドアを開ける。日当たりの悪い、六畳一間の安アパート。本来なら喜び勇んで帰って来たくなるような場所ではない。だけど――
「おかえりなさい!」
 無言でドアを開けた僕を、彼女の元気な声が出迎えた。同時に、部屋の奥から彼女の笑笑顔が飛び出してくる。薄暗い廊下が一気に明るくなるような、そんな笑顔。
「ただいま」
 僕も思わず笑顔になりながら、帰宅のあいさつをする。すっかり当たり前になった感のあるこのやりとりを、僕は喜ばしく思っている。誰だって、誰も居ない部屋に帰るよりは、出迎えてくれる人が居るほうが嬉しいものだ。たとえそれが――
「ねえ、買ってきてくれた?」
 彼女の明るい声が、僕の思考を遮る。
「ああ、うん」
 僕は、手に提げていたスーパーの袋を差し出した。彼女は僕から受け取ったそれを一通り確認すると、
「うん、オッケー。今から作るから、ちょっと待っててね」
 僕の返事を確認する間もなく、彼女の姿はキッチンへと消えていく。彼女の長い後ろ髪が、僕の視界の先でふわりと揺れた。彼女の甘い香りが、僕の鼻腔をくすぐったような気がした。本当はそんなこと、絶対にあり得るはずがないんだけど。
 部屋に上がり、ぼんやりとテレビを眺めながら待っていると、やがて彼女の料理が出来上がった。いただきます、と言って、彼女の手料理を食べ始める。おいしい、と連呼しながら。彼女は僕が食べ終わるまで、その様子を横からじっと、嬉しそうに眺めている。彼女が作った料理を、彼女が口にすることはない。たぶん、もう二度と。
 食事が済んで、テレビを見ながら彼女と過ごすうちに、寝る時間になった。布団を敷き、横になる。僕一人で。彼女は僕が寝るときになると、部屋の外へ出て行く。僕に気をつかっているというのもあるのだろうけど、僕が寝ているのを横で眺めているのは彼女自身辛いのだという。自分の立場を改めて思い知らされるような気がするのだとか。
 僕と彼女は、触れ合うことはない。別にプラトニックだとかそういうことではなくて、単純に「出来ない」のだ。だって、彼女は――
 幽霊だから。
 僕が彼女と出会ったのは、僕のアパートの近くにある、小さな公園だった。ベンチに腰掛け、一人で寂しそうにしている彼女の姿が、僕には何故か見えてしまったのだ。
 むろん、僕は最初、彼女が幽霊だなんて夢にも思わなかった。見た目には、普通の人間と何も変わらないのだ。彼女に声をかけたのは、なんだかそうしないといけないような気がしたから。僕が声をかけなければ、彼女はずっと独りきり。何故だか、そんな風に思った。
 最初に、なんと声をかけたのか。僕はよく覚えていない。だけど、声をかけられて、びっくりしたような顔で振り向いた彼女の顔を、僕は一生忘れないだろう。その一瞬で、僕は恋に落ちてしてしまったのだ。
 それからは、夜になると公園に行って彼女と話をするのが日課になった。何を話したのかは、やっぱり覚えていない。話の内容なんて、どうでもよかったんだと思う。ただ彼女と一緒に居られれば、それでよかった。彼女の口から、彼女が幽霊であることを聞かされたときも、僕は自分でも意外なほど驚かなかった。たぶん、そのときにはもう、そんなことでは揺るがないほどに彼女のことを好きになってしまっていたのだろう。
 僕の部屋に来たい、と言い出したのは彼女のほうだった。むろん、僕は二つ返事で了承した。それから、彼女が一日のほとんどを僕の家で過ごすようになるまで、さほど時間はかからなかった。
 彼女は、何でも出来た。物に触れることも、さっきみたいに料理をすることも。普通の人間と変わりなく、なんでも出来てしまうのだ。ただ一つ、「人と触れ合うこと」を除いて。
 それが障害になっているといえばそうなのだろうけど、僕は気にしていない。朝、彼女が起こしてくれて、送り出してくれる。講義を終えて、家に帰れば彼女が待っている。僕には、それだけで十分だった。

800799:2005/10/13(木) 21:54:46
少し補足。
なぜ「僕」に「彼女」が見えたのかは、この後明らかになります。
彼らが本当に今の関係でお互いに満足しているのかということも、
この後問題になってきます。

801イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/13(木) 22:11:26
設定、ストーリーはおいとくとして(というかこれだけじゃ何ともいえへん)。
句読点の使い方をもうちょっと何とかした方が良いと思われる。
ぶつ切り過ぎだったり、変なトコで区切ってたり。

802 草薙?剛 朗読FU:2005/10/15(土) 12:28:00
 その日もボクは、大学の講義が終わると
近所のスーパーで簡単なゆうげの買い物だけを済ませて一目散に我が家に帰った。
 ここ最近は、ボクは毎日こうしている。
 友人の誘いも、全部断って。
「付き合いが悪い」と言われようが、構うものか。
 僕にはもっと大事なことがあるんだ――
 アパートの階段を上がり、部屋のドアを開ける。
日当たりの悪い、六畳一間のIKの安アパート。
     それがボクのお城――
本来なら喜び勇んで帰って来たくなるような場所ではない。
       だけど――
「おかえりなさい!」
 無言でドアを開けた僕を、彼女の元気な声が出迎えてくれた――
それと同時に部屋の奥からはこぼれるばかりの彼女の笑顔も飛び出してくる。薄暗い廊下が一気に明るくなるような、そんな笑顔。
「ただいま」
 僕も思わず笑顔になりながら、帰宅のあいさつをする。
すっかり当たり前になった感のあるこのやりとりを、僕は喜ばしく思っている。
誰だって、誰も居ない部屋に帰るよりは、出迎えてくれる人が居るほうが嬉しいものだ。
たとえそれが――
「ねえ、買ってきてくれた?」
 彼女の明るい声が、僕の思考を遮る。
「ああ、うん」
 僕は、手に提げていたスーパーの袋を差し出した。彼女は僕から受け取ったそれを
一通り確認すると、
「うん、オッケー。今から作るから、ちょっと待っててね」
 僕の返事を確認する間もなく、彼女の姿はキッチンへと消えていく。
彼女の長い後ろ髪が、僕の視界の先でふわりと揺れた。
彼女の甘い香りが、僕の鼻腔をくすぐったような気がした。
本当はそんなこと、絶対にあり得るはずがないんだけど。
 部屋に上がり、ぼんやりとテレビを眺めながら待っていると、
やがて彼女の料理が出来上がった。「いただきます」と言って、
彼女の手料理を食べ始める。「おいしい」と連呼しながら。
彼女は僕が食べ終わるまで、その様子を横からじっと嬉しそうに眺めている。
彼女が作った料理を、彼女が口にすることはない。たぶん、もう二度と。
 食事が済んで、テレビを見ながら彼女と過ごすうちに、寝る時間になった。
布団を敷き、横になる。僕一人で。彼女は僕が寝るときになると部屋の外へ出て行く。
僕に気をつかっているというのもあるのだろうけど、僕が寝ているのを横で眺めているのは
彼女自身辛いのだという。自分の立場を改めて思い知らされるような気がするのだとか。
 僕と彼女は、触れ合うことはない。別にプラトニックだとかそういうことではなくて、
単純に「出来ない」のだ。だって、彼女は―― 幽 霊 な の だ か ら。

803イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/18(火) 11:24:45
>>799

>本来なら喜び勇んで帰って来たくなるような場所ではない。
>だけど――

冒頭で逆接の接続詞を使うのは、やめておけ。

あと、>>801が句読点のことを指摘しているけれども、
文体は、とりあえず、よく言えば、独特だな。
それがいい方向にでるのか、悪い方向にでるのか、
今の段階では不明。

804イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/18(火) 19:25:17
何故冒頭で逆説が駄目なのか、それを説明してあげないと。

……てか、俺も知りたい。

805イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/20(木) 02:17:10
俺は801ではないが、そもそも接続詞を使いすぎるとテンポが悪くなる。
それに、事実が転換したというイメージがより強くなってしまう。ここは
あっさり、

本来なら喜び勇んで帰ってくる場所ではないのだけど――
「おかえりなさい!」

でいいと思う。あっさりしてて。

806803:2005/10/23(日) 19:34:10
>>804
逆接の接続詞を使うと、論理の流れが一つ増える。
その分に、読者に負担がかかる。

安アパートが普通は帰りたくない場所とか、さしたる
必要のない情報でしょ?

冒頭から、逆接の接続詞で、さしたる必要もない情報のために、
論理の流れを増やすっていうのは、読者にとってストレスが
たまると思う。

最初から、俺は読者のサイドの負担など気にしていない、と宣言する
ような態度にも思われ……。

だいたい、そんな感じ。

807788:2005/10/30(日) 23:32:01
上で晒した人はもう見てないかな?
自分が晒すばっかりだと申し訳ないので、僭越ながら感想を述べてみます。

>>795
上でも他の方が仰ってることですが、文章は特に問題ないと思います。
若干表現が拙いと感じる部分もありますが、
そういうのはきっと全部書き上げてから推敲する時に自然と修正できるのではないかと思います。
少し希望的観測ではありますが。
ただ、冒頭の独白の部分、僕の読み違いでなければ
寝転んであれこれ考えている状態なんですよね?
だとすれば、そのことを少しでも説明したほうが分かりやすいのではないかと思います。
何も情報がない状態からいきなり寝ちゃうので、少し唐突な感じがしました。
あと、これは好き好きかもしれませんが、
夢の描写はもっとぼかしたほうが夢っぽくなるのではないかと思います。

>>802
某巨大掲示板のスレで「晒す」と書き込んでた人ですね。
あちらではいろいろな意見がありましたが、
そこでの評判どおり文章はこなれている感じがしました。
やはり描写不足の感は否めませんが。
ここで言われている句読点についてですが、
僕は気になりませんでしたがこれだけ同じ意見が出ているのですから
気をつけるべきではないかと。

808788:2005/10/30(日) 23:35:11
さて、連投になってしまいますが、>>788で晒した作品を本格的に執筆することにしたので、
冒頭の部分もここで頂いたご意見を参考にして修正しましたので載せておきます。
もしよければまたご意見いただけないでしょうか。


 ああ、やっぱりこうなってしまうのか。
 ぼんやりとした意識の中で、春樹真人は小さく自嘲した。
 春が近いとはいえ、まだ夜は底冷えする。背中で感じる地面の感触はまるで氷のようだ。
 うっすらと開かれた視界の先で、冬の星座がきらきらと瞬いている。死んだらお星さまになるってのは本当だろうか――なんとなくそんな考えが頭をよぎって、真人は思わず苦笑した。馬鹿馬鹿しい、夢見る少女じゃあるまいし。
 状況はどうしようもなくシリアスなのに、どうも頭がそれについていけていないようだ。なんだか思考にモヤがかかっていて、ろくな考えが浮かんでこない。痛いとか苦しいとかいう感覚も、気付けばいつのまにか無くなっている。いよいよ、おつむのほうも働きを終えつつあるらしい。
 ただじっと、真人は夜空を仰ぎ見ていた。べつに星の輝きに目を奪われていたのではなくて、たんに視界を動かしたくなかっただけだ。きっと今の自分の身体は、まるでスプラッタ映画に出てくる惨殺死体のようになっているに違いない。いくら頭がろくに働いていないとはいえ、そんなものを見てしまったらさすがに気分が悪くなるだろう。
 やがて、不意に光が差した。あいつが近付いてきたのだ。とどめを刺すつもりだろうか。
 小さく息を吐いて、真人は目を閉じた。俺の人生もこれで終わり。ずいぶんとあっけないものだ。昨日までは――いや、つい一時間ほど前までは、自分がこんなふうに死ぬなんて思いもしなかったのに。
 後悔はない。強がりではなく、本当にそう思う。今日一日の自分の行動を思い返してみたところで、悔やむべき点は見つからないのだ。他に選択肢があったとは思えないし、もし今日と同じ日が百回続いたとしたら、自分はきっと百回ともこれを同じ結末を迎えるに違いないと思う。
 自分にとって、この死は必然だった。意味はないけど、仕方がない。
 意味はない――ふいに浮かんだその言葉が、真人の心をずきりと痛ませた。死、というものに対してだけではない。一体今まで自分は、何のために生きてきたのか。形としては彼女のために死ぬわけだが、彼女から見れば自分など勝手に心配して勝手についてきて、勝手に巻き込まれて死ぬだけの男にすぎない。そう、彼女はとうとう最後まで自分のことを思い出してくれなかったのだから――
 まったく、なんてバカな話だろう。
 閉じたまぶたの奥から、一滴の涙が溢れ出た。その涙がゆっくりと、耳の裏側をつたって零れ落ちていくのを感じながら、真人の意識はゆっくりと闇へ呑まれていった。

809イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/31(月) 10:06:47
スラスラ読めますた。
個人的に気になるのは二点かな。

①「お星さま」→「星」で良い希ガス。
男で「お星さま」と言うのは生理的に……w


②意味はないけど、仕方がない
 ↑
 ここを強調するために、前後を改行した方が良いっぽ。

前)同じ結末を迎えるに違いないと思う。自分にとって、この死は必然だった。意味はないけど、仕方がない。
 意味はない――ふいに浮かんだその言葉が

 ↓
後)
同じ結末を迎えるに違いないと思う。自分にとって、この死は必然だった。


『意味はないけど、仕方がない』


意味はない――ふいに浮かんだその言葉が真人の心をずきりと痛ませた。死、というものに対してだけではない。


……あくまで自分個人的の、主観的な意見っす。
文章自体は読みやすかったですよ( ´∀`)

810イラストに騙されても負けない名無しさん:2005/10/31(月) 15:31:27
>>808
の文章は、何枚もある写真を描写しているようだ。
描写が単発で終わっている為、変化が感じられない。
もっと写真と写真の間を描写するべきだ。

例えば、真人のコンディションの変化が書かれていない為
「スプラッタ映画に出てくる惨殺死体」というよりも
「応急処置が終わった重傷者」的な印象を受けた。
この点を修正すればもっと迫力が出るのではないかと思われる。

811イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/31(月) 20:52:01
>>808
真人は痛みを感じてない?
地面が冷たいとは感じてるんだよね?
真人の感情の第一に来てるのは諦観?
真人のキャラは言ってしまえばクールだけど、大切なものには強い執着を示す人?
自分の死すら「どうでもいい」と思ってるような絶望系?
真人の感情は総括するともうぬるぽ?
そういや、血は流れてるのかな? アイツが近づいてきたけどヌルーされてる?

ここら辺が、感想と疑問点。全部疑問系なのは、続きを読まんときっぱりと分からないからね。
まぁ、参考にでも。

812808:2005/11/01(火) 01:42:12
みなさん、レスどうもです。
>>809
細かい指摘痛み入ります。
確かに男のくせに「お星さま」は変ですねw
訂正しておきます。

>>810
もう少し具体的に真人の状態を描写したらいいのですかね?
少し考えてみます。

>>811
ううむ、地面が冷たいと感じてるのに痛みは感じなくなってる、か。
確かにおかしいですね……
まあ感覚がなくなる前、倒れた直後から地面の冷たさは感じていたはず、
という言い訳はできますが、違和感があるのは否めない。

他の指摘は大体あたってます。
中でもヌルーされてるってのは正にその通り。
何故わかったんだ〜〜って感じです。
あと、後々語られることですが
この出来事は彼にとってあまりにも唐突な出来事であったので感情が麻痺している状態です。
本当はクールではなくて、もう少し素直というか、少年ぽい性格です。
大切なものには強い執着を示すってのはあたってますが。

813811:2005/11/01(火) 19:10:05
>>812
ふむ。なるほどありがとう。
冷たいのは分かった後にとしたいなら、その描写をいれる必要があると思う。
ex)その前に倒れた瞬間の痛みを熱として比較してみるという手もあると思う。
感情が麻痺しているとわかる描写がないと、読者が混乱してしまう可能性がある。
ex)異常な状況ならば、異常と捉えやすいように文体を(普段の文章と)変えてみるという手もある。

それと、真人という人物は死というものをとても身近に捉えている人物であるか、
とても空虚な人間であるようにみえる。
あなたの言う少年のようなイメージと(感情が麻痺していたとしても)繋げられない。
今後の文章で、キャラクターの一貫性がでるように気をつけておくといいかも。

疑問に答えてくれたので突っ込みやすくなりました。特にしたほうがいいんじゃない?って思うところはなかったんで。
ちなみにヌルーってのは止めを刺しに向かってきたんじゃねーのかよ! って思っただけです。
遠ざかってったほうがいいんでない? プロット上問題がないなら。

814808:2005/11/02(水) 14:35:43
>>811さん、二度もご意見ありがとうございます。
僕があまり書き込みすぎるのもよくないかも知れませんが、
ここは答えるのが礼儀だと思うし何より今後の執筆の参考にしたいので返信します。

そういえばこの晒し文章では付け加えていませんが、
真人の怪我は腹の部分を大きく切り裂かれたものです。
「まるでスプラッタ映画のような〜〜」の後に、
完成版には「腹が大きく裂けて〜〜」という描写の一文を入れることにしました。
なので、疼く腹の傷と氷のように冷たい背中の地面という対比はやりやすいかと。
ただ、ぶっちゃけてしまうと腹を裂かれた痛みというのがどんなものなのか
当然僕は味わったことがないので、どう描写していいものやら見当がつかないんですよね。
なので少し逃げに走ってしまった……というのが正直なところです。
あと、のっけから「いたいよ〜〜」と連呼する主人公も
いかがなものかと思ったというのもありますが。

感情が麻痺していると書きましたが、
もっと分かりやすい言い方をすると真人の心情は「諦めの境地」というやつです。
人間、どうあがいてももう助からない状態に追い込まれれば
たいていはこんな心理状態になるんじゃないかと思ったのですが。
今後はもっと>>812で言ったような性格に見えるような描写を心がけます。

遠ざかっていってしまうと、プロット上大きな問題がありますねw
というか、物語が終わってしまう……
「あれ、近付いてきたのにとどめの一撃が来ないな」
ということに気付けるような心理状態に真人はなかったということではダメでしょうか。

815イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/04(金) 00:11:47
>>814
過疎ってるし、書き込みすぎって事はない気がしますが、
そちらに合せて俺も一文晒しということで例にしてみますね。

えっと、個人的に小説にはリアリティというものは必要であっても、リアルである必要はないと思っております。
要するに相手の想像力さえ刺激すりゃいいんでねぇのと。で、下手糞ですが例示。

春が近いとはいえ、未だ街は寒さに包まれていた。
春樹真人は、霞がかった意識の中で氷の様に冷たい地面を背中に感じていた。
こんなものなのか。真人は思う。
ぬるりとした感触にふと視線を落とす。仰向けに寝ているのだから、落とすとは言えないかもしれない。
真人の目を赤い色が刺激した。
「あ……」
お腹がからっぽだ。比喩ではなく空っぽだった。
それを視た瞬間、最初に感じたのは熱。じんわりと体に満ちていく熱は、次いで言葉にはならない刺激になった。
それは痛みだったのかもしれない。けれど、彼の頭ではそれはただの刺激だった。
声にならない声が口から漏れた。それは叫びだったのかもしれない。ただひたすら、刺激に対して、激しい反応を示す。
辺りが赤く染められていく。真っ赤になっていく視界の中、真人は自分の管理から離れた肉体をただ眺めていた。
やがて肉体は全てを諦めた。叫ぶことも、もがく事もなくなった。最初に感じた熱さえなくなり、地面の冷たさだけが取り残された。
下を見るのは止めておこう。真人は思い、夜空を見上げた。不完全な、醜い肉体を軽蔑するように、星は綺麗に輝いていた。

勝手に状況使ってごめん。頑張ってくださいね。
あと、最後の質問ですが答えはわかっていますよね?w

816俺は推敲用人格、竹島博士を脳内に雇っている:2005/11/04(金) 19:15:30
>>812
>>810 だけど以下みたいなシミュレーションをしていき、
時間の変化とともに体調が変化していく様子を描写して欲しいって事ね。

想像をしてみよう。季節は冬、君は何者かに襲われて怪我をしている。
動けなくなる事は死を意味する。それでも君は倒れこんだ。
何故か? 当然、肉体的に限界が来たからだろう。
なぜ限界が来たのか? それはエネルギーが不足したからだ。
人間のエネルギー供給システムのうち、最初にダウンするのは酸素供給系だ。
心臓、肺、血液、そのどれかが限界を超えた時、人は動けなくなる。
君が倒れたのは酸素が不足したからに違いない。

では動けなくなった直後の君の身体状態を考えてみよう。
息は荒く、心臓の鼓動は早い、体温は高い。
運動による熱は冬の寒さを超越し、君は冷たい水や風を望むだろう。

数分が経過した。どう感じるだろうか?
体調は通常に近づいている。しかし普段の体調には戻らない。
君は怪我をしているのだ。血液の酸素運搬能力が低下している。
必要な酸素量を確保する為には、普段よりも多くの血液を必要とする。
心拍数や呼吸数は高めであろう。
では体温どうであろうか? 想像の参考資料として思い出して欲しい、冬の夜に最初に寒さを感じる部位はどこだ?
「血行が悪い」手足の指の先ではないか? 血行が悪い部位は寒いのだ。
君は今出血によって全身の血の巡りが悪い。
今の君は通常よりも寒さを感じやすい状態ではないだろうか。
さらに、汗、血液が気化すれば体温は奪われていく一方だ。
外的要因よりもまず、自分の体自体が寒いのではないだろうか

以後永遠に続く、推敲用文章だからこの文自体の推敲はなし。
悪文だけど気にしない。

817808:2005/11/04(金) 22:54:01
>>815の最初の一文を信じて、さらに書き込んでみたりして。

>>815
僕とは文体が違うみたいですが、上手いですね。
奈須きのことかと似たようなものを感じました(むろん悪い意味ではないですよw)
というか、実はよく考えたら>>808の文章、致命的な欠点があるんですよね。
真人が助けようとした「彼女」はこのまま真人が意識を失ってしまったら助からないはずなんです。
「あいつ」はもともと「彼女」を殺そうとしていたんですが、
そこへ真人が割って入ったからこんな怪我をしているということです。
だからもっと必死に抵抗していないと変なんですよね。
もっと推敲を重ねてみることにします。

>>816
痛みの描写は僕が描きたい主題とはちょっと外れてしまうから
意図的にやっていないという本音もあります。
けど、上で書いたように書き直す際に痛みの描写も入れなくてはならなくなるかも知れません。
これって一応三人称ではありますが視点はあくまで真人です。
こんな状況下で血巡や体温について冷静に描写するのは何か変な感じもするのですがね。

818イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/05(土) 12:18:47
>>817
うぇうぇ。今新作やってるからなぁ。その内抜けるはず……。
元はあっさりした文体なんだよう。
必死に抵抗しようとするも、お腹がなけりゃ、立ち上がることすらできないわけで、
その無力と絶望感を結び付けられればいいんでないかい?
あ、そうそう。人間の信仰心とは凄まじいもので、人間BBQになることもできれば、
首を自分で切った後、9mくらい自分の首を抱えて歩けるそうな。
後者は眉唾だけどね。記録に残ってるそうだ。死を超越した(神への)愛というやつだね。
参考になれば。

それと、三人称の利点は、視点を切り替えられる事だよ。遠ざかったり近づいたり。

819イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/10(木) 04:38:19
今書いている話の冒頭なんですが、文体とかに自信があまりないので、意見をもらえませんでしょうか?
ダメな所を指摘してもらえると、為になるので、酷評歓迎であります。
てか、話的に読む気が起きそうかどうかも、よかったら聞かせてください。


 人気のない暗闇に響くのは、自身の足音。
 息が、苦しい。
 あの凄惨な現場を目撃してから、どれくらい走っただろうか。
 足に限界がきている。
 呼吸はひゅうひゅうと、貪欲に酸素を求める。
――だめだ、少し休まなくちゃ。
 あそこからはだいぶ離れたはずだし、とりあえずは平気だろう。
 電柱に背中を預け、乱れている呼吸を整える。
 思考が正常に戻ったところで、同時に吐き気がこみ上げてきた。
 それを抑え切れず、電柱に寄りかかって戻した。
 人が、人を、喰う、姿――。
 一瞬にして、全身が粟立つ。
 それは、もう人ではなく、獲物を狩る獣のそれだった。
 無惨に引き千切られた手足は、わたしに助けを求めているようで――
――いけない。ここにいては、いけない。
 殺される。
 ここにいれば、わたしはそこに転がっている人だったモノのように――

          マチガイナク、コロサレル

 瞬間、凍りついた理性を総動員させて、そこから逃げ出した。
 自分の声とは思えないような声が、恐怖の叫びとなって口から出ていた。
 人を肉として喰っていたそれには、当然気付かれただろう。
 だが、それ以外に体を動かす術などなかった。
 今、思い出しても背筋が凍る。体中が情けないほどに震える。
 それほどまでに、圧倒的な死があそこにはあった。
「なに……あれ……」
 失敗した。
 やっぱり昼間に先輩に言われた通り、夜の街になんか出るんじゃなかった。
 以前に遭遇した変態さんとはワケが違う。
 でも、まあ、このまま帰れれば――
 かつん、と死の気配(おと)が背後でした。
「――――――――ぁ」
 なんて、間抜け。
 あんな人間離れしたモノから、どうして逃げ切れたなんて思ったのか。
 振り返るまでもない。それ以前に、振り返ることなどできるわけがない。
 体は金縛りのように言うことを聞いてくれず、厭な汗が背中を伝う。
 かつん、と足音は近付いてくる。
 死んだ。
 わたしは何の抵抗も出来ずに死ぬ。
 ひゅん、と背後で鋭く空気を切り裂く音。
「――――――っ…………!」
 次に来る筈の衝撃に、目を瞑る。
 それは、一直線にわたしを目がけて振り下ろされ――
――てこない。
 その代わり、風の音がずいぶん近くで聞こえている。
 なんか、体も軽い気がする。
「ぇ……?」
 恐る恐る目を開くと、そこには散りばめられた宝石のような夜景が広がり、

 わたしは、空を、飛んでいた――――――

820那賀 健比古:2005/11/12(土) 23:18:56
書きかけのライオノベルの冒頭です。少し硬めでソノラマ辺りに向けた作品なのですが、宜しければ感想をお願いします。

1945年3月9日午後6時。俺は出撃前に体を清めることにした。手拭いに塩と水を含ませ、祝詞を唱えながら略式の禊ぎを済ませる。胸元からサラシをきっちりと巻くと、不思議と気持ちも引き締まるものだ。
 手早く軍服を着て長靴を履きゲートルを巻く。腰には伝統的な97式三鈷柄軍刀、そして私物だが万州経由で入手したモーゼル一号拳銃を装着する。
 部屋の戸を開けて出ると、廊下には既に許嫁の土門が待機していた。土門の武装は見るからに仰々しい。背中には背嚢の上から、89式7.7mm旋回機銃を背負い、特徴的な円盤弾倉も2つ。腰には南部式、それも悪名高い自殺拳銃を下げている。
 俺は過去に暴発させ自分の太股を打ち抜いて以来、南部拳銃を信用していない。南部自動拳銃は、どちらも側面のシアーバーを強打すると暴発してしまうが、特に94式は最低だ。
 あれは安全装置を掛けて引き金を引くと、シアーバー曲がって固着し、安全装置の解除と同時に撃針が落ちてしまうのだ。言わば自動暴発機能付きの欠陥品だが、土門は威力の割に軽くて便利だと主張し譲らない。
 それなら荷物を減らせば良さそうなものだが。土門は右手に、巨大な101式5鈷軍杵まで持っていた。5鈷軍杵は両端に霊的蓄電器『オルゴン筒』を装備しており、呪術・魔法戦で強力な武器となるが、狭い機内で扱うには向かない。
 滑走路まで持ってやろうかと思ったが、土門はさっさと出て行ってしまった。俺は土門を慮り、何も言わず後に続く。ウ号作戦(インパール作戦)での失敗が無ければ、この作戦は土門が指揮したはずだ。俺の異例の抜擢と昇進で、2人の絆にひびが入ってしまったのが歯痒い。
 滑走路には異形の機体が駐機し、暖気運転を始めていた。
 キ58襲撃機『降龍』
 元は100式重爆『呑龍』の派生型で、3機だけ試作された、編隊翼端防衛用の多座重戦闘機だった物だ。今回の作戦に合わせ、両側面と後下方銃座は『ア号兵器』に換装され、対空砲火に備えて下面に装甲を加えている。
 左舷下方からは、銅管を束ねた剣山のようなア号照射管が、その禍々しい姿を見せていた。
 米国でもB-25やB26爆撃機を改装し、地上攻撃に特化した機体を運用している。だがこの機ほど洗練された、独創的な武装を載せてはいまい。
 降龍は言わば空飛ぶ加持祈祷の祭壇であり、呪術・魔法の増幅と機動力とを合わせ持つのだ。
 画期的な兵器ではあったが、戦局の悪化で作業は遅れに遅れた。その上ベトナムまでの輸送に手間取り、出立はとうとう明号作戦の当日だ。レイテ沖で連合艦隊を失い、輸送網が寸断された為だった。帝国は後が無くなりつつ……
 ドガッ、ガシャリ!
 間抜けた音に驚いて、俺は土門機の方を見た。
 アァやっぱり。土門がタラップから転げ落ちている。降龍へ乗り込む際、搭乗口に機銃を引っ掛けたらしい。見かねて助けてやろうかと思ったが、乗員達が駆け寄るのを見て止めにする。目が合うと、土門は照れ笑いを送って寄越した。
 軍刀にしておけば良かったのに。
 そう思わないでもなかったが、土門は名高い陰陽師の一門、土御門家の傍系だ。呪術・魔法については強烈な拘りが有るのだろう。俺も頭を振って苦笑いを返し、自分の機に向かって行った。出撃前に、僅かでも関係を修復出来たのが嬉しかった。

821那賀 健比古:2005/11/13(日) 00:19:57
 熊楠も自機に搭乗し、ア号最後の部品が揃った。これより我々帝国術法部員3名は、古都フエを発ち、中国国境のカオバン省を目指す。往復5時間を超える長旅となろう。
俺は寒気のする”戦慄”を感じ、我知らず身震いした。これは武者震いだろうか? それとも俺は怖じ気づいているのか? 天候は悪くないが乗員達の吐く息は白い。
 術者は霊的に鋭敏で、しばしば敵の呪詛や行く手の困難を、予兆として感じ取る事がある。断定は出来ないが、今のもそれに似ていた。
 俺は吉兆を占おうとしたが、無線・航法手の大久保に呼ばれて操縦席に赴いた。
「榊大尉どの、管制室から最後の通信です「貴官ラノ武運ト作戦成功ヲ祈ル」とのこと」
 俺は重大任務を負った責任と、重大任務を得た名誉とを等しく思い起こした。そう、この作戦は何としても成功させねば成らないのだ。
「有り難う。こう返信を頼む「我ラ期待ニ背クマジ」」
「了解しました」
 これからは作戦開始まで無線封鎖となる。
 多分俺の思い過ごしだったのだろう。それに本当に全員に危機が迫ったら、3名で作り髪を仕込んだ護符が燃え、はっきりと危険を知らせてくれるはずなのだから。
降龍は中島発動機の不安定な音を響かせ、急角度で滑走路を上昇していった。作戦全体の指揮は俺の任務だが、この機の操縦と編隊の指揮は、操縦手兼編隊長の天宮小尉の担当となる。狭い操縦室で邪魔になっても悪い。俺は後に引き下がることにした。
 後ろに下がるといっても降龍は旅客機ではないから、後ろの席と言えば尾部か、後上方にある銃座しか無く、そちらは既に射手が座って警戒に当たっていた。
 俺の席はア号兵器の操作盆だが、これは結跏趺坐して操作するので座席は付いてない。単に待機するだけなら、別に胡座でも体育座りでも構わないのだが、それならどこに座っても同じことだろう。
 目標空域到着まで2時間は掛かる。狭い所で寝るのは慣れているが、真夜中からオルゴン箱に隠り切る気はしてこない。俺は夜型でまだ起きたばかりなのだ。結局、通路の操縦室近くで胡座を組むことにした。この方が楽だし状況も掴み易い。
 床几でも持ち込むべきだったな。
降龍は高度4000mまで昇ると北上を開始した。春先とはいえまだ日没が早いのは有り難い。人丹術『氣血吸入』で鍛え上げた俺の体は、霊的には半ば鬼仙と化しており、肉体も変化を始めているからだ。
 この高度なら流れ水は問題ない。河川を流れる氣の乱流は、不快感ではあっても霊体をかき乱すほど危険なものではない。
 しかし逆に日光は高度が上がるほど強くなるものだから、陽の氣も同様に厳しさを増していく。別に灰になって焼け死ぬ訳ではないが、熱帯地方の高空で直射日光を浴びれば、魂魄に酷い火傷を負う危険があった。
 左道の外法を用いた報いだ。これもお国の為、いや故郷に置いてきた家族と、共に轡を並べて戦う許嫁、土門の為に。そう思えば後悔は無いが、戦死した時は……

822イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/14(月) 18:32:18
>>820-821
正直に言えば、続きを読みたいと思わない。
なんか凄い兵器と魔法があって、日本は大変そうなんだな〜、って言うのはわかった。
けど、それ以上に伝わってくることがなかった。
例えば出兵する主人公の悲壮な決意であったり、婚約者のキャラクターであるとか。
おいおい、わかるのかもしれないけど、冒頭としては引きが甘いと思う。

823那賀 健比古:2005/11/14(月) 20:00:30
「キャラクター紹介」については、少し叙述トリック的な伏線とした為、故意に控えています。
それが上手く処理出来ていない、ということなのでしょう。指摘はごもっともかと。
特に引きの甘さは、もっと考えなくてはなりませんね。有り難う御座いました。

824イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/14(月) 22:25:57
>>823
主人公が女とか?
それはさておき、一番最初の一文はもっと良く考えた方がいいと思うよ。

825那賀 健比古:2005/11/15(火) 00:57:34
仰るとおり「オレ女」です、ハイ。第一章のクライマックスで、米国O∴S∴S(オーダー・オブ・ソーサリー・ソルジャー)所属の魔女との対決で、性別の誤解を呪文の失敗に繋げようと考えてこうなりました。
それまでは出来るだけ仄めかすだけに止めたくて、どうしても知り合い同士の会話は控え目に成ります。冒頭を少し追加しましたがどうでしょう?

 昭和20年3月9日午後6時。ベトナムの寝苦しい昼が明け、俺は棺桶寝台で目を覚ました。何か悪夢を見ていた気がする。これは何かの啓示だろうか? しかし思い出す傍から夢は揮発し、意味を掴みきれぬまま、言い知れぬ不安だけが残る。
 いや、出撃前に後ろ向きな事を考えるのは止そう。初めて実戦で作戦指揮を任され、緊張しているだけだ。神経質な自分が少し情けない。
 気分を改める為、俺は出立前に体を清める事にした。手拭いに塩と水を含ませ、祝詞を唱えながら略式の禊ぎを済ませる。水は生ぬるかったが、心身は清涼な氣で包まれた。
 俺は着替えを取り出し身支度を始めた。鏡に写った俺の顔は、日本人離れして目鼻立ちが整い、その肌は抜けるように白い。と言うより本当に背後の調度品が透けて見え、俺が半ば幽界の者である事を示していた。
 我ながら体型もなかなかだ。陸軍らしからぬ長髪は耳に被り、あたかも宝塚の男装の麗人……って俺は出撃前に何をやっているんだ? 馬鹿馬鹿しい、さっさと服を着てしまおう。鏡に写る半透明な顔は赤面し、血色の良い幽霊なんて矛盾した表現を思いついた。
 胸元からサラシをきっちりと巻くと、不思議と気持ちも引き締まるものだ。手早く軍服を着て長靴を履きゲートルを巻く。腰には伝統的な97式三鈷柄軍刀、そして私物だが万州経由で入手したモーゼル一号拳銃を装着した。

826イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/15(火) 10:29:45
昭和20年〜というのは要らないと思う。泥臭くしてる。
レシプロ機で戦争中ってだけで、第二次大戦くらいというのは普通の人でもわかるし。
ベトナムって書いてる割に、ベトナムの気候が感じられません。
感覚の描写が少ないせいか、平坦に感じます。
書いて削ってを繰り返した方がいいと思います。

827808:2005/11/15(火) 19:38:16
>>819
ちょっと「――」を使いすぎかな。
それを含め、某氏の影響がもろに出すぎかなあ、と。(違ってたらごめんなさい)
多分ライトノベル系を目指してるのだと思いますが、
それだともっとシンプルな文体のほうが受け入れてもらいやすいかと思いますよ。
むろん、よほど文章力に自信があるというのなら話は別ですが。

>>820-821
僕は軍ヲタではないのでちょっと好みに合わなかったかも知れません。
それを差し引いても、冒頭としてはやや説明臭すぎるかな、と。
ライオノベルってライトノベルのことですよね?
だとしたら中高生が主な読者となるわけですし、
冒頭での引き込みというのは一般作品よりもさらに大事になってくると思います。


ところで、>>808の文章を大幅に修正してみたのですが、また晒してもいいでしょうか?
あまり僕ばかり晒すのもどうかと思ったりもするのですが……

828275:2005/11/15(火) 21:27:14
>>827
GO。成果を見てみたい。

829808:2005/11/15(火) 21:38:56
ではお言葉に甘えて……
といっても、絶対に前より良くなっているという確信があるわけではないので、
もし期待はずれであってもあしからず。



 ああ、やっぱりこうなってしまうのか。
 ぼんやりとした意識の中で、春樹真人は小さく自嘲した。
 春が近いとはいえ、まだまだ夜は底冷えする。地面は氷のように冷たく、吹き付ける風は容赦なく体温を奪ってゆく。
 まるで世界の全部から見捨てられたようだと真人は思った。ここで今まさに息絶えようとしている人間が居るというのに、誰もそのことを知らないし、助けようともしてくれない。今まで俺が生きてきた世界って、こんなにも冷たいところだったのか。
 出血はかなり酷い。斬られたのは腹の部分だけなのに、うつぶせに倒れた地面には血糊が大きく広がっていて、地面にくっついた頬の部分までぬらりとした感触に覆われている。今日び、こんな戦国時代みたいな殺され方をするなんてある意味貴重な体験じゃないだろうか。そんな馬鹿げた思考が頭をよぎって、真人は思わず苦笑した。こんな時だっていうのに、まったく俺という奴は。
 うつぶせに倒れた姿勢のまま、真人は視線だけを動かした。人気のない、川辺の公園。聞こえる音といえば川の流れる音ぐらいだ。街灯もろくにないから、あたりは一面の闇に覆われている。やはり自分は世界から断絶されてしまったのだ。そんなことを思いながら、真人はぐるりと闇を見渡した。左側からゆっくりと右へ行って、ちょうど真人の右肩あたりまで来た時、真人の視界に何かが映りこんだ。暗闇に溶け込むように真っ黒なズボン、真っ黒な靴。
 ――あいつの足だ!
 その瞬間、まるで雷に撃たれたかのように真人は正気に戻った。自分は何のためにここへ来たのか、何故こんな目にあっているのか。そうだ、その目的はまだ果たされてはいないのだ。
 足は、ゆっくりとある方向へと歩いてゆく。彼女のほうへ向かっているのだ。
 真人は手を伸ばして、足を掴もうとした。痛みと寒さで全身が震えて、うまく力が入らない。それでも無理やりに動かそうとするものだから、余計なところにまで力が入ってしまって、腹の傷がひどく疼いた。
 血が足りなくなってきたのだろう、いよいよ意識が薄れてきた。正気に戻るのが遅すぎたのかもしれない。ぼんやりと霞んだ視界の中、それでも足だけを見据えて必死に手を伸ばした。今まで俺はなんのために生きてきて、なんのために死ぬのか。その意味を奪わせはしない。
 クモの糸。ふと、そんなことを思った。あれは、この地獄から俺を助けるために垂らされたクモの糸。だけど果たして俺は、助けるに値するような善行を今までやってきただろうか――
 そうして、指先に何かが触れたような気がした次の瞬間、全てが闇に閉ざされた。最後の瞬間に触れたのは本当にクモの糸だったのか、それとも何か他のものだったのか。そのことを真人が知るのは、もう少し後のことになる。


こんな感じです。前と比べてどこがどう良いか、あるいは悪いか。
そして、全体を見て前とどちらがよいかのご意見を頂ければ嬉しいです。

830イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/16(水) 03:24:24
全体的に良くなってるよ。
覆われているの後に「にも関わらず痛みは無い。いかれちまってる」なんて一文をいれて、感覚の無さをアピールすべきかと。そんな状態なのに淡々としすぎ、って思った直後に正気を取り戻して、あ、そういう事って思う感じだった。
あと、最後に三人称に切り替わるのは、混乱した。三人称をいれないか、工夫すべきかと。
キャラクターの感じも出てるし、引きもある。冒頭としてはいい感じだと思います。

831819:2005/11/16(水) 08:48:15
>>827
批評、待ってました。ありがとうございます×2!!
確かに、こうしてみると「――」多すぎますね。
意識して、少なくしていってみようと思います。
ちなみに、ご指摘の通り、某氏の影響をかなり受けてます…orz
というか、今回小説というより、シナリオと意識して書いてみたもので。
シンプルな文体とは、どんなものでしょうか?
僕の文章で言うと、どのあたりをどのように変えてみたら良いと思いますか?
指摘して頂けたら光栄っす。

あと>>829の文章、すげえサクサクと読めました。
テンポがよくて、長い文章でも飽きなさそうですね。
俺は勉強が足りん!きぁーーーっ!

832イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/16(水) 16:01:55
>>830
最後の一文はやっぱり変ですか。
最初は「よく分からなかった」とだけ書いてたんですが、
なんか納まりが悪い気がして上記のものに変えたんです。
やっぱり素直に最初のほうでよかったのかな。

>>831
シンプルな文章……というのを言い表すのは難しいですね。
他の作家の作品を読んでみてはどうです?
シンプルな文体というのでは宮部みゆき、
難しい文章を使いこなすというのでは村上龍なんかがお勧めです。

833イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/16(水) 20:12:41
>>832
閉ざされた。で、終わりじゃなダメなのか?

834イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/16(水) 23:45:13
>>833
それこそ納まり悪くないすか?
僕の考えすぎなんでしょうか……

835イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/16(水) 23:53:55
ん〜、確かに収まりは悪いけど、三人称にいきなりなって混乱するよりまし。
過ぎたるは〜って言うけど、過ぎてるほうが大概悪い。

836イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/17(木) 00:09:24
まあこれは元々一人称寄りの三人称
(いや、三人称寄りの一人称と言ったほうが近いかな?)ですからね。
唐突ではないかな、と自分では思っていたのですが、人の目に晒してみるとダメだった、と。
問題の箇所はプロローグ部分の締めになるわけですから、
書き出しの部分と同じくらい気をつかうべきでしょう。
まし、では片付けたくないなあ……
なんかいい方法がないか、考えてみます。

837819:2005/11/18(金) 16:43:18
>>832
宮部みゆきはよく読みますねー。
あんな感じですか、ふむふむ。
今度、村上龍も読んでみようと思います。
もっと、飽きさせない文章を書けるように、努力することにします。

838那賀 健比古:2005/11/18(金) 20:18:45
・私なぞが批評するのも気が引けますが「あいつの足」を描写する目的であれば、

 >そんなことを思いながら、真人はぐるりと闇を見渡した。

 ではなく、砂利音とか物音で誘導してやっては如何でしょうか?


・私も>820-821、及び>825を全面改稿しましたので晒してみます。ポイントとしては、
 オープニングのインパクトを増す事と『ベトナム』の描写、読者が主人公に興味を
 持つよう気を配るといった点です。
 >826の

 >昭和20年〜というのは要らないと思う。泥臭くしてる。

 については、戦記物らしく成るよう故意に西暦から変更しておりまして、効果的なので
 そのままにしております。


 昭和20年3月9日午後5時。ようやく熱い陽の陽の氣が退くのを感じて、俺は箱形寝台から起き出した。人の気配に気が付くと、配膳係が薄気味悪そうな顔で俺を見ている。何故箱に入って寝てるのかと訝しそうだ。
「居らしたんですか?」
 しまった、寝起きを見られた。
 見られていると意識して、寝ぼけ頭がいきなりはっきりする。俺は慌てて手洗いに行き顔を洗った。水は生ぬるかったが、指先は氣を流されて感覚が薄れていく。俺は手拭いで顔を拭きながら、照れ隠しに小言をこぼした。
「済まないが入る前に一言いってくれないか」
 配膳係は恐縮して答えた。
「申し訳有りません。ノックはしたのですが、ご返事が無く不在かと思いまして」
そうか、熟睡していて気付かなかった。初の部隊指揮を控え、緊張でなかなか寝付けなかったせいだ。俺は鏡を見て寝乱れた髪を整えた。
 鏡に写った俺は日本人離れして目鼻立ちが整い、肌は抜けるように白い。と言うより本当に透き通り、俺が幽界の者である事を示していた。寝間着の裏地が透けて見えている。
 寝間着? 着替えを持って入るべきだった。まぁ仕方がない。少なくともそれ程乱れていないし、彼は気付いていなかったようだ。俺は牙磨きを済ませて手洗いを出た。
「失礼ですが、何故あんな棺桶みたいな箱に?」
 朝食を並び終えて、配膳係が尋ねてきた。
「底が土間に成ってるんだよ」
「土間ですか、つまり土が敷いてある?」
 俺はそれ以上答えずに窓に向った。鎧格子を上げると、水牛に牽かれた荷馬車や、天秤棒を担いだ物売り達の帰宅姿が見える。水田の上を鳥達も森に帰って行く。
 ベトナムの夕暮れ時。3月は乾期にあたり、気温は日本の秋並に涼く過ごしやすい。だが遮るものの無い日差しは鋭く俺には辛い。俺は鎧格子を下ろして夕日を遮り、食卓に向かった。
 朝食の献立はご飯とみそ汁、米粉の春巻きとサラダ。それに鉄籠に入った数匹の活ネズミ。
 またネズミだ。インドシナでは食用ネズミの飼育が盛んで、これもさっきの行商の誰かから買い取ったものだろう。
 貧しい農村では大事な蛋白源らしいが、日本人の俺にはどうしても馴染め無い。生きた人間からとは言わないが……それはそれで今だ抵抗が有る……たまには鶏か兎くらい口にしたいものだ。本国や餓島の事を思えば文句も言えないか。
 食欲が進まぬまま俺は食卓に着いた。配膳係が興味深そうな視線を向けている。
「食べる間外してくれないか」
「食べ終えたら片付けるよう言い付かっていますが」
 指示に忠実そうだが本心は見え透いている。俺がネズミをどうしてるのか知りたいのだろう。
「食べ終えたら声を掛けるよ」
 俺は重ねて出て行くようほどこした。
「分かりました」
 そう残念そうな顔をするな。見れば興味を持った事を後悔するのだから。
 俺は籠の蓋を開けるとネズミに手を伸ばした。畜生でも命の危険が分かるのか、狂乱して逃げまどう。1匹捕まえると、そいつはキィキィと哀れげに鳴いて藻掻き、掌に噛み付いてくる。
 俺はその程度では傷付かないし痛みも感じない。そういう体なのだ。ネズミの足掻きに怒りよりむしろ感動を覚える。生き延びようと懸命に努力するその姿が、今の日本の境遇に重なるからだろうか。
 俺はトリを絞めるようにそいつの首を捻り、一息に止めを刺してやった。
 俺は服を汚さぬよう気を付けながら4匹ばかり”平らげ”た。死体を籠に戻し、サラダを烏龍茶で胃に流し込む。ご飯とみそ汁、春巻きには手を出さず、俺は簡素な食事を終えた。

839イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/18(金) 21:38:34
>>838
ん〜、ストーリーの流れが見えないです。
推敲して再投稿されるのが良いのではないでしょうか?

840那賀:2005/11/18(金) 22:03:04
 そりゃ冒頭の、そのまた始まりだけでは判らないでしょう。小説で言えば1Pと半分だけですから。
この後>>820の出撃に繋がります。

 出撃前に血と死の穢れを清めなくてはならない。俺は服を脱ぐと手拭いに塩と水を含ませ、祝詞を唱えて略式の禊ぎを済ませた。
 俺は着替えを取り出し身支度を始めた。胸元からサラシをきっちりと巻き、軍服を着てベルトを絞める。左腰には伝統的な97式三鈷柄軍刀、右には私物のモーゼル一号拳銃を装着し、長靴を履きゲートルを巻く。
 身支度を終えた俺は、背嚢を持って部屋を出た。出掛けに厨房に寄って、あの配膳係に後片づけを頼んで外へ出た。
 発動機がプロペラを回す音が聞こえ、土と牛糞の臭いに混じって、排気と焼けたオイルの臭いが漂ってくる。滑走路から電源車が戻り、格納庫に戻っていくのが見えた。
 滑走路には異形の機体が駐機し、暖気運転を始めている。
 キ58襲撃機『降龍』
 元は100式重爆『呑龍』の派生型で、3機だけ試作された、編隊翼端防衛用の多座重戦闘機だった物だ。今回の作戦に合わせ、両側面と後下方銃座は『ア号兵器』に換装され、対空砲火に備えて下面に装甲を加えている。
 左舷下方からは、銅管を束ねた剣山のようなア号照射管が、その禍々しい姿を見せていた。
 米国でもB-25やB26爆撃機を改装し、地上攻撃に特化した機体を運用している。だがこの機ほど洗練された、独創的な武装を載せてはいまい。
 降龍は言わば空飛ぶ加持祈祷の祭壇であり、呪術・魔法の増幅と機動力とを合わせ持つのだ。

841イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/18(金) 22:19:45
いや、そういうストーリーじゃなくて、
情景は浮かぶんだけど、映像の一貫性みたいなものがないってことを言いたいのよ。
たとえば、最初のところだけど、メイドさんが入ってきて超絶スルーをかます主人公とかさ。

842那賀:2005/11/18(金) 23:42:22
了解。主人公が会話を拒否しているのを明確にします。

843那賀 健比古:2005/11/19(土) 20:43:57
 ここの指導を受けて、自作の方向性に疑問が出ました。ちょっと説明が過ぎるかなと。
>>840の続きを載せますので、ご意見お願いします。
 設定としては魔法が科学と平行進化し『黄金の夜明け団』や『ユング』のにより、
体系だった学問として確立した世界でのWWⅡです。まだ構想中ですが、歴史も多少の
変化を見せています。
 なお、主人公の許嫁である土門さんは、処理が難しいので基地に残す事にしました。


 画期的な兵器ではあったが、戦局の悪化で改装とフエへの搬入は遅れに遅れた。
 俺の任務はホー・チン・ミ率いるベトナム独立同盟、略称ベトミン(越盟)の呪的懐柔であったが、これも本来なら明号作戦の前に着手したかった。
 俺は短い脚立を昇って機内に搭乗した。俺の鋭敏な耳には、発動機の喧騒に混じって、操縦席の話し声が聞こえてくる。あの2人は、出発前に紹介を受けた操縦手兼編隊長の天宮と、無線・航法手の大久保だ。
「随分と華奢な士官さんだな、あれで隊長だとよ」
「術法部の妖怪だって聞いてますよ。何でも毎日生き餌を食べてるそうで」
 妖怪か。確かにその通りだ。この作戦も、夜間で無くては全力を出せない俺と犬飼に合わせ、
夜間に設定されている。その犬飼が念話を送って寄越した。
「「出撃準……終えま……熊……少し遅れ……。ウェン・カムイ(悪霊)……フッ……」」
 念話は言語に相当するものが無く、訓練を受けた者同士でも不鮮明に成りがちだ。敵の妨害を受けている現状では尚更。最後のは薬草を使ったアイヌのお祓い、フッサラの事だろう。
 北海州出身の熊楠は優れた祈祷師で、樺太アイヌの先祖からキムン・カムイ(山の神=熊)への獣化能力と優れた霊感を受け継いでいる。その霊感聴力が何か聞き付けたのだろうか? 。
「「君の犬神は何か知らせたか?」」
 胸騒ぎを覚えて俺は犬飼に問い返した。我々帝国術法員は、着任時から敵に目を付けられており、呪的妨害で霊感が鈍らされている。危険と言うなら既にして危険な状態ではある。
「「犬神……無……りません」」
 犬飼の使役する犬神も、何も嗅ぎ付けられないようだな。
 もちろん我々は、越盟の潜伏地に式神を送り、調査を試みている。そして失敗した。遠く重慶に本部を置く米国O∴S∴S(オーダー・オブ・ソーサリー・ソルジャー)は、術者を動員してカオバン省一帯に結界を敷いていたのだ。
 出来たのは占術による間接的な調査と、現世の情報部による地道な活動だけだった。それでも越盟の潜伏地を、3カ所にまで絞り込んだ。動員する降龍も3機、搭乗する術者も3名。
 その3人目がようやく現れた。熊楠は恰幅の良い大柄な男で、痩せ狼の犬飼とは対象的だ。丸々とした顔に総髭を伸ばした姿は、獣化する前から羆を連想させる。そのノンビリとした性格と仕草も。搭乗の遅れを気にする風もなく、ゆっくりと自機へ歩いて行く。
 仕方が無い奴だ。肩の煌びやかなエムシアッ(太刀帯)から、これ又華やかなエムシ(宝刀)を下げ、落ち着き払った姿からは危機感を感じ取れない。俺の思い過ごしだったか?
「「遅いぞ熊楠」」
 俺の念話に熊楠は弾かれたように振り向き、頭を掻きながら遅刻を詫びた。いそいそと脚立を昇って自機に搭乗する。
 これでア号最後の部品が揃った。これより我々帝国術法部員3名は、中国国境のカオバン省を目指す。往復5時間を超える長旅となるだろう。
 天宮の指示で、滑走路の整備員が輪留めを外す。ベトナムの初春には珍しく冷え込み、彼らの吐く息が白く煙っているのが見えた。
 機体が発進位置を目指し誘導路を進む。俺は大久保に呼ばれて操縦席に赴いた。
「榊大尉どの、管制室から通信です「貴官ノ武運ト作戦成功ヲ祈ル」とのこと」
 「貴官ラ」ではなく「貴官」の。きっと土門からだ。俺は許嫁の思いやりに感謝した。土門はウ号作戦(インパール作戦)の失敗で、過失も無しに作戦から外され、意気消沈していた。土門の為にも、術法員の有効性を証明しなくてはならない。
 俺は重要任務を与えられた責任と、重責を得た名誉とを等しく思い出した。もう日本の敗北は避けられない。しかし独逸や伊太利亜のようには成らないし、させない。名誉ある敗戦を受け入れて、荒廃した国を立て直すのだ。
 見ていてくれ。祖国日本と君の為に、俺はやり遂げて見せる。そして戦争が終わったら除隊して結婚しよう。
 俺は既に除隊後の計画も考えていた。根強い女性蔑視の習慣を改める、社会活動に奉仕するのだ。土門はどう思うだろうか。
「有り難う。こう返信を頼む「我ラ期待ニ背クマジ」」
「了解しました」
 これからは作戦開始まで無線封鎖となる。語りたい事は沢山有ったが、それは胸に秘めて俺は出撃に向かった。

844那賀 健比古:2005/11/19(土) 20:45:25
 作戦全体の指揮は俺の任務だが、この機の操縦と編隊の指揮は、操縦手兼編隊長の天宮小尉の担当となる。狭い操縦室で邪魔になっても悪い。俺はまた後に引き下がることにした。
 後ろに下がるといっても降龍は旅客機ではないから、後ろの席と言えば尾部か、後上方にある銃座しか無く、そちらは既に射手が座って警戒に当たっている。
 俺の席はア号兵器の操作盆だが、これは結跏趺坐して操作するので座席は付いてないし、2重に密閉されたオルゴン箱の中で狭苦しい。目標空域到着まで2時間は掛かる。狭い所で寝るので慣れているが、現地までオルゴン箱に隠り切る気はしてこない。
 結局、通路の操縦室近くで胡座を組むことにした。この方が楽だし状況も掴み易い。床几でも持ち込めば良かったのだが。
 発進位置に着いた降龍は速度を増し、俺は通路の壁に捉まって加速に耐えた。降龍は中島発動機の不安定な音を響かせ、急角度で滑走路を離床する。
 基地を出てしばらくすると新市街上空に達した。新市街と旧市街を隔てる、フオン川越えに備えて心の準備をする。人丹術『氣血吸入』で鍛え上げた俺は半ば鬼仙と化しており、霊肉一致しかけた体は流水を苦手とするのだ。
 風水的に河川は氣の流れとされ、地脈と違って激しい乱流は霊体に及ぼす影響が大きい。直接触れさえしなければ不快感だけで済むが、体が浸かると霊体を掻き乱され仮死状態に成ってしまう。降龍の機上にあっても、俺は戦慄を伴う悪寒を感じて竦み上がった。
やがて旧市街に入り王宮を越え、フエを出る頃には高度も4000mまで上がった。ここまで上がれば河川の氣流も心配要らない。俺はようやく緊張を弛めることが出来た。
 春先とはいえ日没が早かったのは有り難い。鬼仙の俺は流水だけでなく日光にも弱い。正確には日照に伴う陽の氣にだが。これは高度が上がるほど強くなるものだから、熱帯地方の高空ともなれば、魂魄に酷い火傷を負う事がある。
 左道の外法を身に付けた報いだ。鬼仙と成り、得た物は多かったが失う物もまた多かった。
 俺は変わっていく体以上に、心も変わっていく事を恐れている。今でさえ生き物の氣血を奪う事に、性的な快感を感じているのだ。尸解して本当の鬼仙に成った時、俺は最後の人間性さえ失い、妖怪と成り果てる事だろう。その時は土門よ、俺を滅ぼしてくれるか?
 降龍は北上を続ける。作戦開始まではまだ時間が有るので、俺は作戦計画書を読み直そうと思い、背嚢をまさぐった。中に入れた覚えの無い包みが有る。良く見ようと体を捻ったが、サラシをきつく巻き過ぎて思うようにいかない。
 仕方無く取り出して見ると、それは笹に包まれた弁当だった。夜間飛行は危険な夜間着陸を避け、早朝に終えるのが常だから、配膳係が気を利かせてくれたのだろう。彼に少々冷たく当たり過ぎたかも知れない。戻ったら礼を言わなくては。
 その時不意に足下が頼り無くなり、体が落下する感覚に襲われた。しばらくすると機体は身震いして落下を止め、続いて床を突き上げる勢いで上昇する。機体は波に揉まれる船のように、上下左右へ不規則に揺れ、軋み音を立て振動した。
 俺は驚いて操縦室へ向かった。この季節のベトナムは気象が安定しており、基地の気象予報も快晴と伝えていた筈だ。
「乱気流です! 申し訳有りません」
 操縦手の天宮が報告する。大久保の怪訝そうな視線に気付くと、自分がまだ弁当を持っている事に気が付いた。俺は慌てて軍服の物入れに仕舞った。
「自然現象では仕方がなかろう」
 俺は出来るだけ威厳が出るよう願いながら返事を返した。考えて見れば、彼ら搭乗員とは余り話す機会が無かった。通路で作戦計画書を読み返すより、ここで意思疎通を深める方が有意義かも知れない。邪魔に成らなければだが。
 俺は愛想良く笑みを浮かべながら、軍服の物入れを探り弁当……では無い、煙草を取り出して勧めた。
「もう少し力を抜きたまえ、恩寵の煙草でもどうかね?」
 天宮は視線を合わさず、前方を見据えたまま答えた。
「ハッ頂きます。申し訳無いが、火を付けて頂けませんか」
 夜間飛行の操縦手に強い明かりは禁物だ。目が眩み、再び闇に目が慣れるまで時間がかかる。
 しかし上官の俺が、部下の煙草に火を付けてやっては立場がない。それに、どうも彼の態度には意図的なものを感じる。俺は自分の分を引き抜くと箱ごと大久保に預けた。大久保は心得え顔で2人分の煙草に火を付け、1本を天宮に手渡した。
 俺のような士官学校出は、どうしても叩き上げの部下に気を使う。意気高になって反感を買うのも拙いが、舐められるのもまた良く無い。操縦手の要望を無視する形になったが、天宮は気にする風もなく煙草を吸うと、おもむろに尋ねてきた。
「この作戦の目的は一体何でありますか?」

845那賀 健比古:2005/11/19(土) 20:46:49
 天宮の緊張と反感はその為か。駐留軍による仏植民政府への軍事クーデター、明号作戦ならば彼も知っている筈だが、この特別任務は極秘事項として扱われてきた。俺自身、まさか明号開始当日に飛ばされるとは思わなかった程だ。
 天宮の質問は分を超えかけていたが、彼にはそれを知る権利があるだろう。
「ユング博士は知っているかな? 欧羅巴は瑞西の真理学者だ」
 俺は一端はぐらかすことにした。
「いえ、存知あげません」
 天宮は反抗的な返答でそれに不満を表したが、大久保がなだめるように間の手を入れてくれた。
「その学者さんが、この作戦に何か関係有るのでありましょうか?」
 俺は大久保の質問に答える形で話を続けた。
「その学者さんは、呪術や魔法を科学的に理論付けたんだよ。つまり仏教でいう阿頼耶識、インドではアカシャーと呼ばれるものが、人類の集合的無意識だと突き止めた」
 2人は怪訝そうな顔をしている、無理もない。こんな知識は陰陽寮の得業生にでも成らない限り、一般人が知る機会は少ない。大戦以来、軍事機密に指定されていれば尚更だ。
「誰しも”思わず”とか”魔が差す”とかして、自分自身でも説明し切れない行動をする事があるだろう。普段は意識していないが、心の奥深くに澱のように溜まって、人に影響を与えるものを無意識と呼ぶ。ここまでは聞いた事があるかな?」
 呪術・魔術の技法とは、正にその無意識に接触する手段の追求である。
 術は無意識層でなくては発動しないが、無意識は自我の殻に囲まれて普段は表に出てこない。術者はその殻を潜り抜け、或いは打ち破る技を身に付けて、無意識に接触せねばならない。しかも無意識は言語や数字を理解出来ず、様々な象徴や観念の体系を用いねばならないのだ。
 俺は説明を続けた。
「その無意識を仏教では末那識呼ぶ。しかしこれは個人単位のもので、それより奥底には家族が共有する無意識、更に一族郎党や各地域、民族や人類のと、下に行く程広がり、互いに繋がり合っていく」
 それこそが呪術・魔法が、時間や空間を超越して伝播する理由であった。小宇宙は大宇宙に影響を与え、大宇宙は小宇宙の動きを左右する。
「つまり山のてっぺんみたいなものですな」
 天宮もようやく興味を持ってくれたらしい、自分なりの解釈を交えて話を促した。流石に叩き上げで士官に成っただけあり頭が切れる。
「どちらかと言えば海に浮かぶ島々に例えた方が良いな。例えば日本列島は一見するとバラバラだが、海面下では繋がっている。これが民族的無意識だ」
 個々の民族が共有する文化や宗教によって、形成される無意識層も異なるものとなる。その為に術者が操る術も、地域ごとに特色が出る。神道と仏教では術の形態が異なるし、同じ耶蘇(キリスト)教であっても、朝鮮やベトナムでは精霊信仰等が混じった独特の信仰だ。
「成る程。しかしそれを言うなら、大陸とだって繋がっているでしょう?」
 地球そのものとも。無意識層の深奥には、ほ乳類や動物層、更には生物的無意識層まで存在する事が確認されている。
「それを人種的無意識とでも呼ぼうか。つまり亜細亜人は亜細亜人なりの価値観があり、それに沿った考え方をする」
 天宮は小さく顔をしかめた。
「ハン、大東亜共栄ですか?」
 天宮は非公式に、軍の宣伝を胡散臭いと言っている。
 俺自身は大東亜共栄の理想に、賛同はしても鵜呑みにはしていない。どの国だってそれぞれ事情というものが有るのだから。
 西欧の植民地支配から民族を解放すると言えば聞こえが良いが、日本がそうするのは政治・軍事的に都合が良いからに過ぎない。逆に連合側は「日本の侵略・拡張主義から守ってやる」とでも宣伝していることだろう。
 大体カンボジアやラオスなど、タイ王国……一時は日本と共に蒋介石と戦火を交えた友軍……の支配から、仏蘭西の保護国となって独立した過去を持つ。ベトナムのように強制的に植民地化された訳ではない。
 そのタイ王国は日本から戦車や軍艦を輸入し、時には肩を並べて戦いながらも、連合軍とも通じる抜け目なさだ。万州国は承認せず、1933年にはハッキリと中立を宣言し、日本と袂を分かっている。
 そして当初の敵である蒋介石は、我らが陸軍士官学校の出身なのだ!
 しかし上官として、天宮の軍隊組織への批判を肯定する訳にはいかない。もちろん作戦飛行中に、操縦手・編隊指揮官に手を出すのは論外だし、そこまでする気も無いのだが。

846那賀 健比古:2005/11/19(土) 20:49:14
「それはしばらく置いて、文化や思想の話さ。」
 俺は天宮の挑発に取り合わず、気付かなかったふりをして続けた。
「例えば日本では、古くから女性は汚れとされて、神域には入れなかった。東洋全体でもその身分は低いとされているが、西洋ではそれ程ではない」
 俺は京都の帝国陰陽寮『中町学校」』で学んだ時のことを思い出しながら、2人に説明を続けた。女にとっては失礼で迷惑な例えだ。
「しかし母と言えば、洋の東西を問わず”暖かい”とか”優しい”ものを連想する。それが人類という種族の集合的無意識だ。ずっと突き詰めていけば”死を恐れる”ことなど生物全体の集合的無意識にまで辿り着く。そうした無意識層をインドの古代語でアカシャーと呼ぶんだ。日本には仏教とともに伝わり、阿頼耶識と呼ばれている」
 天宮は、乱気流に揉まれ軋み音を立てる降龍を操りながら、苛ただし気に先を促した。勿論、腹立だしいのは俺ではなく乱気流だろう。
「その”嵐”とやらは何の関係が有るんです?」
 煙草は指もとまで燃えて、チリチリと音を立てている。俺は摘んでもみ消した。なめし革のようになっている俺の皮膚は、少々の事では痛みも感じない。天宮が不気味そうに見る視線を感じる。
「ア号兵器を使い、ホー・チン・ミ率いるベトナム独立同盟、略称ベトミン(越盟)に呪術的攻撃を加える」
 呪術攻撃といっても呪殺を意味する訳ではないが、2人は明らかに誤解したらしい。問い返すように振り向いた天宮に、俺は初めて正面から顔を見合わせた。操縦席の窓硝子には、燐光を放つ俺の眼が写っている。天宮は唾を飲み込んで眼を逸らした。
 結構、ようやく主導権を握ることが出来たようだ。脅すような真似はしたく無かったが、こうも反抗的では仕方がない。親睦を図るという訳にはいかなかったが”意思疎通”には充分だ。
「我が軍は米英の援蒋補給路を遮断し、作戦・兵站基地を確保する為に、仏領インドシナ(仏印)に進出し、仏蘭西の主権を認める代わりに駐留を許可された。」
 俺は機外前方に向き直り、何気なさを装いながら話を続けた。
「本来なら独立派勢力と手を組んで植民地を解放し、親日政権を立てるのが理想的なのだろう。だが同盟独逸の占領により、仏蘭西は名目上とはいえ味方となった。植民地解放を掲げて、親独ヴィシー政権と対立する訳にはいかない、これまでは。」
 戦局の流動により……よりはっきりと言うなら枢軸の凋落により……事態は一変した。連合軍によるパリ解放とドイツの敗北で、ヴィシー政権が解散したのだ。新たに首班となったドゴールは、日本=ヴィシー政府間協定の無効を宣言した。
 今でこそ旧ヴィシー政権派が植民地の実権を握っているが、じきにドゴール派が取って代わるのは間違いない。既に水面下にあった対立が表面化していた。
 我が国はレイテ沖で連合艦隊を失い、第15軍はインパールで密林に漉し取られて消えた。米海軍・英陸軍の侵攻に植民軍が呼応して決起すれば、我が軍の組織的抵抗は不可能となり、仏印の作戦・兵站基地も手放す事になる。
 対抗手段は各個撃破しかない。そこで大本営は、政権交代による指揮系統の混乱に乗じ、植民地の解体と傀儡政権の樹立を目論んだ。仏印駐留軍は第38軍に改編され、軍司令官となった土橋中将は、仏印武力処理「明号作戦」を計画。その決行こそ今日この日なのだ。
「漸くやっつける機会が来たって事ですな。あいつ等東洋人を馬鹿にしやがって」
「吠えるな、そう簡単にいくものか。越盟だけでも苦労してるんだぞ」
 大久保は勇ましいことを口にするが、天宮は冷静に戦況を把握していた。大戦から取り残され、無傷の仏蘭西植民軍は強力だ。主力は2万に過ぎないが、現地人の徴用は7万にも及ぶのだ。
 そう、現地の人心を掴まねばならない。最悪なのは、仏蘭西政府がベトナム独立と引き替えに、越盟と共闘する事だ。その前にこちらが同盟を結ばねば。
「民族独立の志と、大東亜共栄の理念は融合し得る。この作戦は、今まで敵対してきた越盟を味方に付ける為のものだ」
 そして仏印三国を独立させ日本との同盟関係に置けば、防衛力を増強しつつ、進駐軍を減らして他に転用することが叶う。

847イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/22(火) 00:34:18
「那賀」から「長過ぎ」に改名したら?

848イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/25(金) 19:33:29
まぁ、確かに乗せる量もだが、ワンシーンに置ける文章量も多すぎだな。
つーか、ここは推敲して貰う場所じゃないと思う。だから推敲してから乗せてくれ。

849イラストで騙す予定の名無しさん:2005/11/26(土) 00:41:09
まともに感想がつかないのは、単に長すぎるからというだけではないとオモ。
なんというか、惹き付けられるものがない。
残念ながらとてもじゃないが全部読む気にはなれない。
連続だったのでどうしても>>829と比べてしまうが、
きっと>>829の文章ならもう少し読む気になるんじゃないかと思う。
俺の好みの問題もあるだろうが、
多分10人に見せたとするとそのうちの7、8人は>>829のほうが面白いと言うんじゃないだろうか。
同じ素人の文章と比べてもそうなんだから、プロと比べてどうかは言うまでもない。

たぶん何かの賞に応募する予定なんだと思うけど、
ライトノベル系ならMFがいいんじゃないだろうか。
評価シートをもらえるし、きっと参考になるよ。

850那賀 健比古:2005/11/29(火) 21:54:46
いや自分でも読み進める吸引力に欠けてるのは痛感しまして、応募は見合わせます。
先ず問題は、一人称で背景とか歴史を説明するのが難しくて、その為に機内の会話が説明になってしまった事ですね。
つまりストーリーでは無く、説明に成ってしまっている。
元の構想からどんどん離れていくし、矢張り三人称で改訂します。
わざわざ批評して頂いて申し訳有りませんが「冒頭の甘さ」「流れが判らない」等、有益なアドバイスを有り難う御座いました。

851イラストで騙す予定の名無しさん:2005/12/02(金) 20:53:46
始めまして。オリジナルとしては初めて人目に晒すので
かなりどきどきしております。書き進めているうちに
「ちょっとくどいかな?」と心配になったので、思い切って
ご意見を頂こうと思った次第です。どうぞよろしくお願いします。



 四月某日日曜日、晴れ。朝早くから西田家の台所は戦場と化していた。
大きな物音やら、叫び声やら、焦げた匂いやら、黒っぽい煙やら。
料理を作っているのか、実験をしているのか、はたまた何かを燃やしているのか、
判断に苦しみそうな光景だった。
 こっそりと様子を窺うお母さん。『この後一体誰が片付けるんだろう』とか、
『食材が勿体無い』とか、『ちゃんと家事を教えておけば良かった』等等、
言いたいのを堪えているのがありありと解る。それでも口に出さないのは、
我が子可愛さからなのだろうか。有難くて涙が零れるよ。
 ところが弟の敦には、そんな優しさは微塵も備わっていないようだった。
「……これ食わされる奴、気の毒だな。」
 例えその通りだったとしても、第三者から言われると無性に腹が立つのは世の常で。
しかも、これ見よがしにため息までつかれたりして。言返そうにも本当の事なので、
ただ顔を赤くしてわなわなと振るえる事しか出来なかった。我ながらなんて情けない。
 お父さんに至っては、無言でテーブルの上に胃薬を置いて行った。……これが一番
傷付くんですけれど。なんで我が家の男達はこうもデリカシーがないんだろう?
 がっくりと肩を落とす私に、とうとうお母さんが声を掛けてきた。
「幸子ちゃん、お母さんが作ってあげようか?」
 なんて甘い誘惑をするんだ、お母さん。思わず『うん』と言いそうになったではないか。
作ってもらいたいのは山々なれど、あの優次の事だ。あんまり上手に作っても、
『母親に作らせるな、0点』位は言いそうだ。いや、奴なら絶対に言うに違いない。
ただ首を横に振ると、再びフライパンと格闘を始めた。
 タイムリミットまであと一時間――――。

852イラストで騙す予定の名無しさん:2005/12/02(金) 20:59:23
>>851
多分、章か小説自体の冒頭だと思うんだけど、概ね良いと思う。
小説全体の雰囲気も伝わってくる。
気になるところは二つ。
>わなわな
一人称なのに、語り手が客観視しすぎていて文章から浮いてるように感じた。
>――――
なんとなく微妙。終わらせられなくて無理やり切ったように見える。

853851:2005/12/02(金) 22:07:19
なんと、早速レス頂けて感激しております。
小説全体の雰囲気が伝わってくると言って頂き、天にも昇る気持ちです。
正直、かなりの酷評を覚悟していましたので。

さて、ご指摘の二点ですが。
「わなわな」
これはあまり考えずに入れた言葉ですね。読み返した時はさほど疑問にも
思いませんでしたが、言われてみると、ですね。もう少し表現を考えて見ます。
「――――」
これは、「タイムリミットまであと一時間」も込みのご指摘でしょうか?
ここでの終わり方は、割と早くから決めていまして、無理やりに切った訳では
ないのですが、唐突過ぎる、って事なんですよね?う〜ん、ここもちょっと
再考が必要なのかな。

予定では原稿用紙換算で150前後になるかと思うのですが、この調子で進めても
くどくはないでしょうか?(恐らく始終この調子で話は進むと思われます)

854852:2005/12/02(金) 22:24:01
>>853
天に昇って頂いたところで地獄に引きずり込んでおきます。
注)酷評しようとして酷評してます↓
まず、雰囲気が伝わってくるのは、ライトノベルのテンプレート的な雰囲気だからです。
わなわなの部分、柔らかく言ってますが、致命的だと思います。わなわな震えているのは、作者、読者の視点であって、語り手の視点ではありません。この量の文章で出てくると言うことは、この先そのような事態が頻発してると予測します。少しではなく良く考えてください。
また、――ですが、ここに関しては文章の続きがわからないのでなんとも言えません。尻切れトンボ的な印象を与えたいなら良いと思います。
この調子で進めたらダメに決まってます。文章のノリが一定であると言うことは、メリハリがなく単調で平板な文章になって行くことでしょう。
それと書き出しは三人称風一人称なのに、自分が出てくる分岐点の描写がでてきません。
視点の混線はプロがやるなら許されますが、ワナビがやると叩かれます。
基本的に描写が足りてないとも思いますが、この手のノリの文章なら量的には問題ないと思います。ただ質を高めたいなら、短い文で適切に状況を表そうとすべきでしょう。ノリの良い文章が身上でしょうから、質を高めるのは逆に難しいと思いますが。
まぁ、言いたいことは勝って兜の緒を締めよ的な事です。

855851:2005/12/02(金) 22:55:49
再びの書き込み、ありがとうございます。
酷評をみてちょっとだけほっとしていたりします(笑)
わなわなについて
仰せの通り、自分でも書いている途中で「あ……」と
思う事がしばしばあります。今回のご指摘の部分などは
自分だけで読み返してもさほど疑問に思っていなかった
部分ですので、おっしゃる通り、かなりの数で同様な事が
起こっていそうです。書き進める前に、その辺りのチェックを
もっともっとしてみます。
描写ですが、どんな話を書く時でも必ず苦しめられるんですよね。
自分でいうのも何ですが、このノリで逃げている面もあるな、と。
でも、どんな内容であれ、小説を書くのであれば描写はちゃんと
できないとダメですよね。もっといろいろな本を読まなきゃ。
この調子で進めたら、くどいよりも単調になる……。確かにそうですよね。
最終的には幸子がしおらしくなる予定なんですが、その辺りで進め方を
考え直してみます。
また機会がありましたら続きを出して見ます。その際はどうぞよろしくお願いします。

856イラストで騙す予定の名無しさん:2005/12/03(土) 00:49:30
>>851

某日日曜日>同じ漢字が被るのは避けましょう。

判断に苦しみそうな>判断に苦しむことを迷いそうな、では分かりにくいです。
苦しむ、でOKです。

こっそりと様子を伺う>どこから様子を伺っているのか分からないので、あまり想像しやすくないです。

等等>等々

そういう優しさ>『そういう』が何を指すのかあまり明確に示唆されてないので、分かりにくいです。


言返す>でも、言返す

振るえる>震える

母親に作らせるな、0点>ならば、『あまり上手く作らせても』という文章は不要だと思います。

横に振る>否定の意を少しでもいいので、書いておきましょう。

857イラストで騙す予定の名無しさん:2005/12/03(土) 15:58:57
 その日、僕は放課後の中庭にいた。中庭からは赤くなったグラウンドが見えて、駆け回るサッカー部の連中の姿が土の上に揺らめく空気で歪んでいた。
 7月に入ると、蝉も鳴き声で自分を主張する。蒸し暑さに溶けそうな肌をなでる風が心地よかった。プールに溶けた塩素と、しめった埃の臭いと、夏の校舎だけがもつ有機的で無機質な臭いとが僕の気持ちを落ち着くとも沈めるとも言えない気持ちにさせた。
 時間はとうに過ぎていた。待ちぼうけかと何度思ったか数えようとした時、一人の女子が校舎から駆けてくる。すぐにわかった。長く黒い髪。彼女だ。普段の白い肌は夕焼けに赤く染まっている。
 彼女は僕の目の前で止まった。うつむき、息を整えている。見慣れない懸命な仕草に胸が鳴った。
 彼女の顔が上がる。見上げる顔が夕日で影になり彼女の印象を幽かにさせている。
「秋白君、急に呼び出してごめんね。お待たせしました」
 息を落ち着かせて彼女が言った。いつもの様に明瞭な声の響きに、胸が高鳴る。心臓の音が大きい。彼女に聞こえてしまいやしないか。
「いや、いいよ」
 声が震えないよう気を使うのに精一杯のセリフの淡白さに、堪らなく恥ずかしくなる。
「えっと、そのね……言いたいことがあって」
 夕日が地平に流れていって、彼女の顔に表情が浮かびあっていく。
「付き合ってる人……いる?」
 少し太めの眉が、ちょっと困ったように、付け根に寄っている。夕焼けのせいか赤く染まっている白い頬。黒く大きい瞳は強い光を放っていて、僕を射抜く。
「え……いないけど」
 蝉の大合唱、捨てられたペットボトル、風が運ぶ彼女の甘い臭い。堪らず頭に血が上り眩暈がする。
「そっか……それなら――」
 彼女の少し湿り気を帯びた桃色の、唇が目に入った。惹きつけて離さない。
 小さく開く唇に、ゆっくりと空気が吸い込まれていく。白いシャツが空気が押し上げていき、ついに止まる。蝉の鳴く声だけが辺りを満たしている。
「――です、付き合ってください」
 辺りが静とした。心臓の音だけが浮ついている。彼女の声が頭の中でなんども繰り返す。言葉の意味を理解するまで何度と繰り返したのか、僕は気づき、焦る。彼女は僕を見つめている。頭の中では泡みたいな答えが生まれては消えていく。決まっているに決まっている答えが、泡の海に沈んでいって思考が窒息する。彼女の姿だけが意味も無く頭の中を支配した。
 あ、彼女が微笑んだ。

おながいします。

858851:2005/12/05(月) 00:03:11
>>856
書き込みいただいていたのに、気付かずに失礼しました。
またしても疑問にすら思っていないところで、ご指摘の箇所は
言われてみて初めて気付いたものばかりでした。
やはり、書いたものはこうして添削して頂かないと、いろいろな
あらが見えてこないものなのですね。
今回頂いたアドバイスを胸に、日々精進します。どうもありがとうございました。

859イラストで騙す予定の名無しさん:2005/12/05(月) 22:44:04
>>829

俺も>>833の意見に賛成。

あと、言おうか言うまいか、迷ったけど、言ってしまおう。

文章が削った分に、ぐんと引き締まった。それはいい。

でも、代わりに、読者に与える時間間隔があまりにも短く
なりすぎて、真人の苦痛が伝わりにくくなっている。

腹を刺されたら、どうなるかの話で、時間を稼いでほしい。

空手の試合でレバーに後ろ蹴りをカウンターで叩き込まれて
ダウンした個人的経験から推測するに……。

痛いこともあるだろうけど、その痛みで呼吸ができなくなって、
しまう。これが辛い。

痛みで筋肉が痙攣してしまって、肺が作動不能状態。
ともかく酸素がほしい。
頭の中は、そればかり。
首に手をかけられて締められる方がまし。

腹の中に重い石が入っているというか、そういう痛み?

うわ、やっぱ、人間、酸素が必要ダヨ。

おそらく腹を刺された場合にも、そういう呼吸困難の苦しみ
があると思う。

860イラストで騙す予定の名無しさん:2005/12/05(月) 22:54:18
>>857
批評とかあんましたことないから感想だけど。
主人公の緊張というかいっぱいいっぱいな感じは伝わってると思う。

気になったのは、彼女の名前。
伏せなきゃならない理由がないなら名前を出した方がいいんじゃないか。
顔見知りで「彼女」とだけ呼ぶのはちょっと他人行儀すぎる気がする。

861イラストで騙す予定の名無しさん:2005/12/06(火) 15:56:27
俺のもお願いします。以前本スレまわりで上げたことがある奴の微修正版。


 稲妻のように駆ける赤毛の犬が、獲物を捕らえた。
 騎乗した猟師と勢子、十数匹の猟犬に追われながら、獲物の野兎はよく逃げ回っていたほうだった。
 だが、安全な木々の下生え、暗い茂みへの逃走路は、常に先行する騎手か犬によって塞がれていた。数十頭もの馬と犬。野兎は知らず知らずのうちに、追う者達が狩猟場と呼ぶ場所をぐるぐると駆けめぐって、彼らの思う壺に嵌まっていた。
「マヴルーシカ!」
ひときわ、大きな掛け声が狩猟場に響いた。反応したのは、それほど見栄えの良くない、赤毛の猟犬だった。マヴルーシカは疾走する騎手達の足もとを恐れる風もなく駆けぬけると、他のどの犬よりも速く、隙を見せた獲物へと飛びかかった。
「よおし、よし、よし!」
赤毛と野兎がごろごろと転がり、追いついた他の犬どもがそれを囲んだ。マヴルーシカが取り押さえたところで、ころあいを見て下馬していた猟師の一人が、手早く野兎を縛り上げた。力強く尾を降る赤毛の頭をひと撫でして、猟師は周囲に集まってきた仲間に見えるようにと、獲物を高々と持ち上げた。何十もの好奇の視線が集まる中で、脚を縛られ身動きをとれなくなった野兎は、透きとおった目で周囲の者たちを見つめていた。
 ざわめき、興奮して甲高くしゃべる皆の間を抜けて、狩りの主催者である子爵令嬢が姿を見せた。すでに両親をなくしており、戦争でただ一人の兄も失った令嬢は、子爵家の事実上の主人であると見なされていた。遠慮する皆に片手で楽にするようにと示して、令嬢は乗っていた鹿毛の上から腕を伸ばした。とらわれの野兎を受け取った令嬢は、野兎を顔の前にぶらさげてまじまじと見つめて、満足そうな笑みを浮かべた。
「よし」
傍らの騎手に獲物をほおって、令嬢は言った。
「よくやった。皆の酒代を上乗せする。マヴルーシカにはあとで脚を一本おやり」
猟師と勢子が上げる歓びの声をうけて、もう一度にこりと微笑んでから、令嬢は鹿毛の頭をめぐらせた。マヴルーシカを遣っていた猟師が、仲間に背中を叩かれていた。

 夏から秋にかけての、毎日が変化に富んだ、あの魔法のような時季のことだった。明け方に降った雨はほどなく止んで、狩猟には絶好の上天気になっていた。
 子爵家の有する狩猟場は、いまだひとの手の入ったことのない森の脇の、さほど広くない一角だった。周辺には村の一つもなく、子爵家の領地における邸宅からは、馬で二時間ほどの場所にあった。
 令嬢は次の狩りの段取りをつけるために、馬丁と猟犬監督の姿を探した。馬丁には勢子の仕切りを、猟犬監督には猟師と猟犬のそれを任せていた。
 令嬢を乗せた鹿毛は狩猟場をゆるゆると進んでいった。さほど広くはないとはいっても、そこは貴族の有する場所だった。緩やかに起伏する狩猟場の各処に、この狩猟に参加しているひとびとの姿が散見できた。放した犬をまとめている猟師の一団。先の獲物のことをしゃべっている何人かの手隙の騎手。馬から下りて蹄鉄の具合を調べている勢子の奥手では、今回の狩りの獲物を鞍にくくりつける作業がつづけられていた。令嬢は狩猟場を見渡した。
 ほどなく、令嬢は思い思いの格好をして猟師達の指示を待つ犬どもの向こうに、猟師の一人と放す馬丁の姿を見出した。鹿毛の首筋をひとつ優しく叩いて、令嬢は馬丁のもとへと馬を進めた。

「猟犬監督からの知らせです」
話していた猟師を示しながら、馬丁が言った。
「少し向こうの、森に入ったところです。猟犬監督が、お嬢さんに来てほしいと」
 うなずき、令嬢は知らせを持ってきた猟師と馬丁と共に、猟犬監督のところへと馬を駆った。




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