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他人が書いた小説の一部を批評するスレ

1イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/20(金) 16:17
 書いてみたはいいけど、この表現どうなの?会話シーンに自信ないんだけど、ちょっと見てもらいたい・・・。
 そんな悩みを抱えるあなたは、このスレに、書いた作品の一部を載せてみましょう。
 ついでに、執筆上の悩みもガンガンぶちまけましょう。
 
 投稿する際には、あまりに長いのは避けてください。また、このスレはオリジナル限定とします。
 その他は、ライトノベルであれば、ジャンルその他は問いません。

1323イラストで騙す予定の名無しさん:2006/05/05(金) 01:30:38
空は暗く、あたりは霞んだように見づらくて、僕は目を凝らしていた。
足元には、花弁のように広がった、真っ赤な水たまり。
その中には、壊れ、奇妙な角度で曲がった人間が一人、落ちている。
「ああ、そうか」
 僕は、一人で納得する。
確かにこいつは憎まれていて、僕はそれを知っていた。 そして僕は、こいつを憎んでいたあの子を、知っている。
 だから、そう、まんまとはめられたのだ。あの子に。
人通りの少ないこんな裏通りで、バットを持って死体を眺めている僕は、傍から見れば殺人犯以外の何者でもない。
返り血がないのが、唯一の救いと言えるだろうか?
 でも……賢いあの子のことだ。このバットにはたっぷりと、この死体の血が塗りつけられているだろう。
そしてもちろん、今までこれを握っていた僕の指紋は、残された時間では拭き取れないほど着いているだろう。
「たまんないなぁ。僕が、捕まっちまう」
空を見上げて、僕はあの子に少しだけ愚痴った。
 でも、それでも僕は、あの子を助けるって決めてたわけで。
あの子が、人殺しなんて、そんなバカな事を犯してしまうようになっても、僕はあの子が好きなわけで。
「どうせなら、」
もう少しまともなやり方をしてくれれば、処分も簡単だったのに。
撲殺なんて、色々飛び散って片付けられないじゃないか。
せめて死体を処分できれば、事件の発覚が防げた。時間稼ぎくらいには、なったんだけどな。
 でもさ、ほら。あの子の助けくらいはしてやれる。
あの子が昔、いたずらした時みたいに、僕が犯人になってやるから。
 サイレンが聞こえて、僕はバットを振り上げた。
どなり声が煩い。警察が物騒なものを構えてるのも、見てとれた。
 しかし今の僕には、それこそ歓迎。
だって、もうこいつは死んでいるんだから。
僕の役目は、終わっている。
かまわず僕は、バットを――。

1324イラストで騙す予定の名無しさん:2006/05/05(金) 01:33:28
   ◇
 夏の日差しも収まり、そろそろ秋の気配が見え隠れしだした、10月のある日。
通学路をいく私、近藤美咲(こんどう みさき)と、友人の朝野琴音(あさの ことね)の2人は、いつものように学校からの帰り道を歩んでいた。
「あー、そういえば美咲」
 何かを考えるように空を見つめていた琴音が、学生服を翻しながら私に向きなおる。
ショートヘアーが流れ、林の隙間、秋の日差しに照らされた。今の彼女は、さながら絵画のモデル。
でも次の瞬間、彼女はイメージに似合わない、なにやら不穏なセリフを放っていた。
「例の、撲殺事件だけど」
琴音のセリフが理解できず、私は間抜けな声を上げた。首をかしげる。
「撲殺……?」
「ほら、そこの裏通りで殺人事件があったじゃない。その話だよ。ええっと、あれ? ……美咲、まさか知らない?」
「ぜんぜん」
 そういって、私は首を振った。学校でも、そんな話は聞いていない。テレビもあまり見ないから、当然ニュースも知らない。
「うーん、ここらへんじゃ、もう有名なんだけどなぁ。 ま、美咲には情報が遅れて届くから、仕方ないか」
「なにぃ、失礼な」
 少し怒ったフリをしながら、腕を振り上げる。琴音はするりと私の元から離れて あはは、と笑った。
「えっとね、4日前の話。あそこの裏通りで、殺人事件が起きたんだ」
 裏通りとは、呼んで字のごとく。いつも私たちが通ってるこの表通りから、一本中へ入った場所だ。
ビルは、裏側から見るととても汚い。その、集大成のような場所。
「確かに、いかにも起こりそうな場所ではあるね」
 ちょっと唇を結んで そーだね、と琴音がうなずく。
私たちは、あの裏路地をめったに通らない。あそこは数十メートルに1本街路灯があればいいほうで、夕方になるといかにも危険な雰囲気が漂ってくるからだ。
「犯人は、金属バットで被害者をめった撃ち――、」
 そういうと、人差し指だけを立てて、私の目前に持ってきた。言葉を続ける。
「――壮絶だよ。被害者はもう死んでるのに、警察が来ても殴ってたって言うんだから」
 額にしわがよった神妙な顔で、琴音は言葉を切った。
 でも、こういうことを言う時の彼女が、私には輝いて見える。
他人が驚くようなこと、そういうものを他人に伝えるときが、彼女にとって一番刺激があって面白いのだ。
たとえそれが、他人が聞いたら、少しヒいてしまうような事でも。
「怖いね」
 私は、とりあえず当たり障りのない返事を返した。でも、それが情報源には気に入らなかったみたいだ。
「なーに、その無反応。もうちょっとこう、驚いてくれてもいいじゃん」
「だって一番最初にオチを言っちゃってるもの。それに、どうせ新情報があるんでしょ?そのために私に話を振った」
「っちゃー、そういえば……。でも、ま、美咲の予想通り『最新情報』はあるよ。これが意外でさ。犯人についてなんだけど」
「まさか、知り合いとかいうオチ?」

 そして私は、彼が殺人を犯し――警察に射殺されたことを知った。
     ◇
 階段を駆け上がる。マンションの一室、家の鍵を取り出して、扉を乱暴に開けた。
あたまが痛い。無数の単語が私の頭の中を跳ね回って、頭蓋骨に突き刺さる。
痛い痛い。私はベットに横たわり、体を丸めた。
 部屋に飾られて、いつもは私を優しく見守っているフランス人形が、今日だけは鬱陶しかった。
 なぜだろう。
すこしだけ天然な彼は、いつも他人の評価なんて気にせずに飄々としていて。
それでも何故か、他人の心を読めるかのように気配りが利いて、とても心優しかった。
よく言われるみたいに、殺人犯特有の残酷さなんて、そんな物は持ち合わせていなかった。
 彼に『付き合ってください』と言った時も、彼は優しく私を抱きしめるだけだった。
私が塾で忙しくて、しばらく会えないなんていった時も、彼はうなずくだけで私を許してくれた。
付き合ってることを秘密に、なんてお願いもだ。
なのになんで、
そうか、私のせいだ。私が、嫌いな人を言ってしまったから。
優しい彼は、そうだ。
――私の嫌いなあの人を、消してしまったんじゃないか。
 顔を上げた私を、人形が、責める。
私は起き上がって、拳で人形を殴った。
間抜けな音。転げ落ち、部屋の隅に転がった人形の、視線。
窓から、空を見上げていた。
私は、ベランダの手すりに足を掛け、一気に――。




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