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書くことがなくて困った時にあろろろと書き込むスレッド

237気分屋:2003/08/26(火) 17:23 ID:gLqu78J2
 冷たい風が吹き付ける中、街は静かに眠っている。冬の東京は静かだ。夏ならば熱気を帯びた空気が嫌でも眠った本能を呼び覚ましてくれる。沈黙に包まれた住宅街は寝息すら立てず、静寂を保ち続けている。彼ら以外は。
 中級・特別資格を持つマクダフは、三人の部下と共にマンションの前にいた。三人ともまだ赴任して一年にもなっていない。この時期を乗り切れるかどうかで、これからやっていけるかどうかが決まる奴らだ。こういった人材は大抵マクダフに任せられている。本来彼の部下であるはずの中級のイフェリなどは「マー君ガンバッテね!」などと何も考えていない顔で笑い飛ばす。もっとも、マクダフ自身はこの手の仕事に倦んだことはなかった。仮に嫌ったところで「組織」の中では不平など許されはしないのだが。
 「組織」の歴史は長い。有史以来の年齢を持つ「組織」の経歴を羅列しただけで、優に図書館一つが建てられる。そのあまりの長さにマクダフ自身、四百年前の活動記録まで読んで諦めた。「組織」で働くのに歴史の知識はさほど重要ではない。「人に仇成すものを狩る」のが重要課題であるだけだ。
 ドアを蹴飛ばす。706号室の中には誰もいなかった。少なくとも生きている人間は。居間に転がっている二つの体は、カビのようなもので覆われている。夫婦だろうか。どちらが夫なのかすら見分けがつかない。マクダフは二人を玄関に待機させ、一人を連れて部屋の奥へと進んだ。
 指の感覚だけで壁のスイッチを探り当て、明かりをつける。蛍光灯が数回の点滅を繰り返す。テーブルの上にはまだ皿が残っていた。料理は先ほどの死体と同じくカビで覆われている。ふと、マクダフが湯飲みに目を止めた。何気ない視線は5秒と経たずに険しくなり、おもむろに湯飲みの中に指を入れる。

「ぬるい」

銃声が響く。外からだ。玄関に急ぐ二人の前にカビの塊が立ちふさがった。かつて人間であったそれはマクダフ達につかみかかってくる。動きは案外早い。相手の腕を避け、体当たりで突き飛ばす。弾丸を叩き込もうにも、急所が判らない。部下と合流するほうが先だ。
玄関で待機していた部下二人は大勢のカビ人間に囲まれていた。辺りを見回すと、このマンションのドア全てが開いていた。住人全てが数時間と経たずに侵食されたことを、湯飲みに残った茶の温度が雄弁に物語っている。この窮地を脱するには、多少の犠牲を覚悟しなければならない。普通の指揮者ならばそう判断する。しかし、マクダフは控えめに言っても「優秀」だった。
臆病者マクダフ。彼に付けられたあだ名だ。これは決して蔑称ではない。組織で最も多彩な技を持つ男。これが彼の定評。その技の数々は、全て退却に用いられてきた。そのため彼の部下の生還率は未だに100%を誇る。だから「組織」の者は彼を感謝と尊敬の念を込めて「臆病者」と呼ぶ。

「風精 暴虎馮河」

突風、と言うには激しすぎる風が吹く。竜巻に近い乱流は、マクダフと部下三人をマンションの7階から地上へと運んだ。空中で携帯を取り出し、本部に応援を頼む。イフェリに最低限の指示を与えて三秒後にマクダフは地面に着地した。
二分後。マンションは赤い炎で彩られていた。イフェリの部隊は常に一分以内に集合できる。「組織」により今夜のことはガス爆発だとでも報道されるだろう。
パーセンテージ100は崩れない。


書くことがなかったので小あろろろろろろろろろろろろろろろろ


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