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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

158菅 公隆 ◆GM.MgBPyvE:2020/10/31(土) 06:54:52
「何の日か……ですって……?」
「然様。さすれば、おのずと答えが見えましょう」

聞き返したわたしに、ニィ、と笑った田中さん。
……実にイヤらしい笑みさ。田中さんも、こんな嗜虐的な顔をするんだ。

「今日は……10月31日。臨時国会の初日。わたしに取っては……初めての所信表明を行った記念すべき――」
「ばーか。てめぇのコトは聞いてねぇよ」

シャリン! とシリンダーを回し、魁人がコルトを構える。麻生も同じモーションでそれに続く。
銃の的になるのは何度目だろう。
いい気分じゃないのは変わらすだ。向けられただけで胸の辺りがヒリヒリする。

「(答えを)外したら撃つ。それがルールです」

感情の籠らない麻生の言葉。
外す? 違う答えを言うたびに撃つと?
いいさ。撃てばいい。どうせ何を言っても最後には撃たれるんだ。
ただ初発から弾が出るかどうかは運次第。
さっきのが聞き違いじゃなければ、コルトには弾丸が1発ずつ装填されているはずだからね。
あのシリンダーの装填数は6発。つまり、出る確率は6分の1。

左右から、撃鉄(ハンマー)のコッキング音がカチリと響く。同時にシリンダーが回る音。

――撃たれる!

そう感じた瞬間、耳に届いたのは、ハンマーが打ち付けられる2発の乾いた打撃音。それだけだ。
一瞬だけ、目を閉じたかも知れない。
浅い息が漏れている。トクトクと心臓が鳴っている。
なるほどこれは……来るものがある。これこそがロシアンルーレットの醍醐味だと言うが……心臓に悪いね。
満足気に眼を細めた田中さんが、ゆっくりと口の端を吊り上げる。

「……ほう……再びお答えを聞く機会(チャンス)が……頂けましたな?」

数歩、距離を詰める魁人に麻生。
答え(理由)は知りたいが、どうせやるならとっととやって欲しいというのも正直なところ。
真剣に考えるか否か。

「さあ、答えを頂けますかな。元……伯爵どの?」
「もと……」

その呼び方は少し……ひどくない?
……確かにそうだけどさ。裏切者認識されてるこのわたしに、伯爵と呼ばれる資格なんかないって解ってるけどさ。

「わざわざ口に出してそんな風に呼ぶなんて……人が悪くありません?」

思わず零した文句に、ぐっと眉を寄せた田中さん。
再び構える2人。撃鉄の立ち上げ音と共に、引き金が引かれ――

眼を閉じる。2発目も不発。
不満を訴えても撃たれるのか。
なら適当でも答えるべきか。何かヒントは? 田中さんの顔に、何か書いてやしないか?

「旧暦で……クリスマス、とか?」

恥ずかしながら、ほぼ山勘。
今日の田中さんの羽織の柄が、ヒイラギ(クリスマスに良く飾る、棘のある葉っぱのあれ)だったからさ。
田中さんもその意図を察したのか、自身の肩の模様に眼をやって、でもやれやれと言った風に首を振り。

「……なるほど。しかし今日は……旧暦9月15日と記憶しておりますが?」


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