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【大正冒険奇譚TRPGその6】
96
:
倉橋冬宇子 ◇FGI50rQnho :
:2013/09/02(月) 22:52:47
玉座へと視線を移し、冬宇子は続けた。
「……と言っても無礼講って話だったよね。なら遠慮なく、お言葉に甘えさせてもらうよ。
呪災は、あくまで過程―――あんたの宿願は未だ道半ば―――…
だから私らを、この国に呼んだんだろう?」
呪災発生の大本には清王の思惑がある―――生還屋の追及は、実に見事だった。
フー・リュウは、王都に展開されている空白地帯の謎を知らなかった。
旧来の防災計画を変更し、対策拠点を設置しなかった一帯――
そんな場所があることにさえ気付いていなかったと言う。
日本の嘆願所に依頼された『遺跡保護の人材派遣』についても、彼の働き掛けによるものではない。そう断言した。
フーが真実を言っているのなら、二つの出来事を差配したのは、一体何者なのか。
それらが可能な者、という観点から推測していくと、
各拠点への派兵を見送る決議が出来るのは――『軍部』…それも上層部の者でなければならない。
遺跡保護の嘆願は、『清国政府』より直々の依頼という触れ込みであった。
嘆願受理の当日、その日のうちに黒免許持ちの冒険者を掻き集め、現地に出発させた嘆願所の対応も、
依頼の出所の確かさを裏付けている。
清国において、『軍』、『政府』、双方に、権限を発揮できる者とは―――?
大陸全土を襲った呪災は、"不死の法の研究"が、発端となっている。
そもそも、不老不死を望み、研究を命じたのは誰か――?
清国の国体は絶対王政。君主が統治の全権能を持ち、自由に権力を行使することが出来る。
国王は政治の最高権力者であると同時に、祭祀の長であり、軍の総帥でもあるのだ。
動機と権力の両面から――自ずと浮かび上がって来る名があるではないか。
謁見の作法に従い、王座が据えられた壇の下に起立する冒険者達。
鮮やかな青緑色の旗袍に身を包んだ冬宇子は、清王の顔に視線を留めたまま、言葉を連ねた。
「……大陸の事情は知らぬが、不死王の遺跡を探るのは、禁忌にでも触れるのかい?
表立っては下せぬ命令を、あんた自身は禁忌を侵さずに、果たす事が出来たって訳だ。」
傍らに佇む八卦衣の男――フー・リュウを見遣り、皮肉を交えた口調で言い放つ。
「そりゃ、成功の前例があるんなら、それに習いたいのが人情ってモンさねえ。
まるで研究が上手くいっていない上に、まだか、まだか、とせっつかれりゃ、禁断の法に触れたくもならァね。
しかも、急かした相手は、巒頭(らんとう・地理風水)の達人だってんだから。
手段を持つ者なら、尚のこと、手を出さずにはいられない……!」
生還屋は特異な勘の持ち主だ。
フー・リュウの言葉の真偽を見抜き、起こした推論を元に、王に鎌をかけて見せた。
結果――少々乱暴とも思える王都の空白地帯の謎も含めて、全てが的中。
災害対策拠点の設置されていない一帯は、『森羅万象風水陣』の使い手――フェイ老師と、
かつて清軍の英傑と呼ばれた男――ジン、
野に下った二つの稀有な戦力を、王の手中に収めるためだけに敷かれた布石だったのだ。
偶然にも、フーと接触した冬宇子達によって、その目論見は挫かれてしまったことになる。
「道士の兄さん……少しは、腹を立ててもいいんじゃないのかい?
そこの王様は、あんたの呪医としての腕前を見込んで、せっついていたんじゃあない。
別口から不死の法に迫る方法を探っていて――たまたまあんたが、打って付けの能力を持っていたってだけだ。
要するに、フー・リュウ…あんたは、この呪災を起こすために必要な、手札の一枚だったのさ。」
肩を竦め、小さく溜息を吐きながら、
「何も、利用されてたのは、あんただけじゃないがね。
私らも……清国にとっちゃ日本に一枚噛ませるための、日本からすりゃ清国に恩を売るための、
使い勝手のいい駒だったってことだ。
はん……!やはり黒免許なんてロクなもんじゃなかったよ。」
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